以前も書いた事があるが、小学生の頃、子供の科学か少年マガジンかよく覚えていないけれど(愛読していた雑誌だったはずだから、多分どちらかだと思う)、雑誌で「サッカーのワールドカップ」と言う記事を読んだ事がある。曰く「ワールドカップは4年に1回。ワールドカップが終わると、その思い出話を語っているだけで年が過ぎていく、そうこうしているうちに次のワールドカップが始まる」と言った内容だった。
今考えてみても、この記事が正鵠を射ていていたものだと思う。
一昨晩、「失望の快感」に酔っ払って茫洋とTVを見ていたら、来年早々に始まる3次予選の組み合わせ抽選をやっているのを見て、少々ビックリ(と言っても、来年2月から3次予選が始まるのだから、そろそろ抽選が行なわれるのは当然なのだが)。
結果的には非常に望ましい組み合わせとなった。理由は以下の通り。
(1)元々2位抜けのレギュレーションは戦闘能力の高いチームに有利
(2)第2シードのウズベク、第3シードのイラク、第4シードのカタールのように、より上位にシードされてもおかしくない国とは同じグループにならなかった。油断は禁物だが、いずれの国に対しても、1勝1分け以上の成績が問題なく期待できる。
(3)第4シードのタイも、バーレーン、オマーンとはほぼ同格なため、逆に3国で勝ち点をつぶし合う可能性が高い。すると、日本がいずれかの国にケタグリ負けを喫しても、下位に落ちるリスクは少ない。
もちろん、勝負だけに油断は禁物であり、何より悲しい事に監督問題を何とかしなければならない。そして、語りたくはないが、次期日本代表監督人事について講釈してみたい。
現実的にオシム爺さんを監督に抱いている以上、これ以上の人材を求める事そのものが不可能に近いと言う認識からスタートすべきだろう。また、暫定政権(よい采配強化を見せてくれたから継続契約を前提にする事を含む、ただし今年の夏場欧州の監督マーケットが開いた場合に欧州で活躍するトップ監督との比較も前提に)で行くのか、安定政権(よほどの不首尾を見せない限り、2010年までの采配を託すのが前提)で行くのかも、難しいところだ。日本協会はまずそれを決めた上で検討を行なうべき。
現実的に2月から3次予選が始まるのだから、現在の日本サッカー界のトップクラスをある程度理解している監督を招聘するのが前提となろう。何故ならば来週にはJリーグが終了し、新監督は予選開始まで全くトップリーグを視察せずに選手選考、合宿、試合に臨まなければならないからだ。したがい、私が候補と考える監督の多くが、現在のJの監督となる。各クラブの関係者の方々から「彼はうちの監督であり供出などできない」と怒られるかもしれないがご容赦いただきたい。
また、ちょうどシーズンの切れ目の場合、現所属チームと円滑な話し合いが持たれると言う前提においては、Jクラブの監督の代表横滑りは、オシム氏就任時と異なり現実的な解決策の1つとは言えるだろう。
1.オシム爺さんの系譜を引き継げる弟子筋の監督
これは強化の連続性と言う点からの発想である。
ただし、オシム爺さんに関しては各種の報道を読む限り、世界中に「自称弟子」が相当いるのが気になるのだが(ご本人に推薦いただけるまで、早期に回復いただければありがたいが、そのようなストレスをかける訳にもいかないだろうし)。国内の弟子筋にあたる監督と言うと、オマル氏、ペトロビッチ氏となるが、残念ながら2人ともJにおける実績にやや疑問符がつく。興味深いのは前カタール代表監督のムソビッチ氏、カタールでの実績があり、かつ日本代表についてもある程度の調査をしていただろうから。
また弟子筋とは言わないだろうが、ベルデニック氏は同系列で日本国内で実績のある監督ではあるが、Jから離れて既に3シーズンでは現状の要求にはそぐわないだろう(また氏のスタイルは過度の教育型であり、代表監督に必要な勝負師的要素も少ない)。
とは言え、誰を選んでもオシム爺さんを越えられるとは思えず、むしろスケールダウンと言う事になってしまうとすれば、連続性に拘泥する必要はないのかもしれない。
2.外国人監督
最近Jリーグで実績を上げている監督は有力な選択肢だろう。具体的には、エンゲルス氏、シャムスカ氏、オリヴェイラ氏、クルピ氏の4人は現状のJリーグの把握、実績いずれも申し分なし。このあたりの監督に、吉田靖氏がコーチを勤める体制は座りがよいかもしれない。
ただし、彼らに依頼をするとしたら、上記した「安定政権」としてのオファーが必要だろう(そうでなければ、所属Jクラブを説得する事が困難だ)。日本協会がその決心を決める事ができるか。
3.日本人監督
どうやら日本協会は岡田武史氏にオファーをしたらしい(と言う報道が跳梁跋扈している)。
日本人監督のメリットは、現状の日本サッカー界に対する把握がある事だ。もちろん、周りが全く見えていない日本人の監督も結構いるのは悲しい事だが。さらに、上記の「暫定政権」も組みやすいと言う利点もある。最初から数ヶ月限定と言うオファーを受ける監督では困りモノだが、条件を満たせばプラス要件を獲得できると言う暫定政権ならば、プロならば受けてしかるべしだろう。
まあ、反町氏があそこまでダメダメだったのも、事態を混乱させているのも確かだが。
岡田氏を初め、清水秀彦氏、桑原隆氏、小林伸二氏、石崎信弘氏、鈴木淳氏、長谷川健太氏など、候補となる監督は多数いる(西野氏については別な機会に論じよう)。中でも、岡田氏、桑原氏、清水氏、小林氏は今フリーなのだから、対応しやすい(もっとも、日本協会が桑原氏や清水氏にオファーを出す事はないだろうが)。
そう考えて見ると、岡田氏へのオファーはそれほど不思議ではない。ただし、日本協会としては、岡田氏にどのようなオファーを出したのかは明確にすべきだろう。特に「暫定政権」なのか「安定政権」なのかは明確にしておくべきなのだ。
繰り返すが、オシム爺さんより優秀な監督を望むべきではないのは間違いない。そのような監督に短期とは言え、教えを受けた事そのものに満足すべきなのだろう。だから、今必要なのは「次善」を選ぶ意識なのだ。
2007年11月27日
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敵を知らず、己を知らず
Excerpt: どうやって勝負事に勝とうと言うのか? オシムに指摘されるまで、「日本人とは」と言う命題に挑んだ奴は居ないのか。 人に指摘されなければ自分自身が判らないなんて情けない 。 かつて川口能活が「富士山より高..
Weblog: あるぱか、ネタの種
Tracked: 2007-12-02 22:24
したのは”日本サッカーの日本化”と言う
目標のためです。
では”日本化”なるものは何であるかは
さておきまして、少なくとも
”日本サッカーの日本化”をしてくれる
監督にすべきだと思います。
それが病床にあるオシム監督への
せめてもの協会のとりうる最低の誠意です。
で、なんらかの”日本化”した日本代表
がいつの日か誕生し、揺るがないものになれば
”勝つ”為の監督にすればよいだけなので
しょう。
飛ばし記事でオジェックの名前が挙がりました。
ACL制覇しました。なるほど、で?
西野氏の名前も挙がりました。なるほど、で?
私はシャムスカの名前が一つも挙がらなかった
日本のスポーツ新聞に、スポーツマスコミに
絶望しています。
ことに日本サッカーの日本化は百年後も
無理であろうと思いました。
日本サッカーの日本化に、マスコミの成熟
も当然含まれると思います。
国民全体で日本サッカーは日本化すべきなのに。
スポンジを敷き
フルーツを調達し
ホイップして
・・・まさに完成させよう、とするところで
仕上げと試食を他の人に任せざるをえなくなった。
ってとこですよね。
その下地作りを上手に自分の味に応用できる人であれば。
そう願うばかりです。
確かにそうかもしれません。
ところで最初のコメントの方、あなた金子達人さんですか?
直近のJを見てないと、やっぱり厳しいのかな。3次予選がすぐですものね。
そんなものは歴史の中で醸成されるものであって志向するべきものではない
幾多の経験の中で必然的に選択されていけばいいだけのこと
そんなことに右往左往するのは無駄である
シャムスカに関していえば今季の成績をみればマスコミが名前をあげないのは
特に驚くべきことではないと思うが…
個人的にはムソビッチはもちろんマチャラも見てみたい気がする。
岡田氏はしばらく現場を離れて以前とは異なる考えをもっているかもしれないし、
実際に見てみないとわからないし怖くもあり、楽しみでもある
オシムがアドバイザー的立場でも残ってくれるのがベター
同感。比較して云々するのもナンセンス。
>「暫定政権」なのか「安定政権」
日本サッカー協会からすれば、どっちに転んでもいいような人選かと。ただ、暫定政権はうまくいったためしがない。安定政権にしたいが、そうもいかないというのが現実。
岡田だと、オシムのフットボールが継承されることはない。監督交代なのだから、継承も糞もないのだが。
でタイトル争うチームを作った」からです。
で、私がシャムスカを押すのは
「”さらにあの大分”をJ1に残留させ続ける」
手腕に対してです。
優勝争いのためには万遍なく勝ち点を重ね
ココイチの勝負に打ち勝つこと。
ココイチの勝負に勝てないのは千葉だからです。
J1残留のためには万遍なく勝ち点は取れなくてもココイチの勝負に勝つことです。
ココイチの勝負での大分の選手達の893っプリ
は驚愕物。その人身掌握術、選手を鼓舞する
心理術は素晴らしい。
次善とはシャムスカでしょう。
大分県民には泣いてもらいましょう。
岡田氏を監督にする以上は、日本代表はきっちり「岡田サッカー」を目指すべき。
だと思います(同じ意味のことがケット・シーさんのサイト等でもすでに書かれていますが)。
自分の意志でトレーニングや選手起用をできなければ、チーム作りの責任者とは言えません。
「○○監督っぽい戦術でお願いします」なんて制限を付けられたら、ベストを尽くせないでしょう。
岡田氏が監督をやるのならば、存分に「岡田氏のサッカー」をやっていただくべき。
問題は、その「岡田サッカー」に日本のこれからの3年弱を託していいのか、でしょうね。
たとえリーグで二連覇した監督であっても、
カズを外した事を絶対に忘れない。
外す事がどうゆうことなのか分からない人間を信用することはできない。
事が順調に進んでいるときは良いが、困難に陥るとまたパニくるぞ。
リーグにどんな選手がいるのか分からなければ、
オシムが選んだ選手を選べば良いじゃないか。
日本代表に選ばれた選手じゃダメか?
オシムに選ばれた選手は、オシム以外じゃダメか?
俊輔や遠藤、駒野はダメか?
日本代表とはその程度なのか?
という方針に対するの川淵の言葉を見れば、川淵(=協会)
の言う「継承」が単なるこじ付けで、全く意味を持たな
いものだとわかるでしょう。2002年W杯前から、代表の
強化より日本人監督の誕生を優先してきた川淵たちなので、
岡田が監督に就任したら、暫定になるはずはないと思いますよ。
大分がらみの試合
大分vs千葉
大分vs浦和
大分vsG大阪
等おもしろい試合が多かったので、シャムスカのサッカー好きです。東欧のオシムと
ブラジル人のシャムスカですが、指向しているサッカーは似ていると思います。
継承よりも新しい監督の目指すサッカーでチーム作りをすべきなんでしょうが、オシム氏
と岡田氏ではやるサッカーが違いすぎるのではないでしょうか。
岡田氏は連覇は成し遂げましたが、高額な選手を揃えて守備重視の横からの放り込み
サッカーは全くつまらなかった。
仮に岡田氏が大分に就任したとしても、シャムスカ氏ほどの成績が残せるか疑問です。
サッカーの継続性については武藤氏もここ数年の仙台で色々と考えるところもあるんじゃないですか?
ひょっとしたらオシム氏と岡田氏の目指すサッカーは同じかもしれませんが、実際に行われるサッカーは
違いすぎます。
アジアカップでの苦労とかこの一年半やってきたことが活かせられない監督人事は反対です。
あと「オマル」には笑いました。私もここで指摘されるまで気付きませんでした。
某巨大掲示板はもとよりそれ以外でも結構使われてしまってますもんね。
正確には川淵氏のビジョンのなさでしょう。
川淵=JFAというのも情けないが…。
建て直し、という趣旨なら全くダメですが。
もっとも継承した財産は半年で食いつぶし、ですが。
岡田氏は札幌を昇格させ横浜で二連覇。
だからいいじゃないか、的な論があります。
でもエメルソンがいたんですよ。
(飼いならしたことは素直に絶賛しますが)
絶頂時の久保も中澤もドゥトラもいましたよ。
そうなんです。あの大分を残留させ続ける
手腕こそ素晴らしいのです。
世界での日本の位置はJ1における大分
の位置と被る感じですよね。
物事は相対的に見ないと。
>仮に岡田氏が大分に就任したとしても、シャム>スカ氏ほどの成績が残せるか疑問です
素晴らしい考え方。感服です。
札幌を昇格、横浜で2連覇という実績は素晴らしいですが、昇格後の札幌の低迷もあるし、Jを観ている人にとっては納得できる人選ではないのでは。
ワールドカップ予選が目前だからそこに目がいってしまうのかもしれませんが、岡田でワールドカップ予選は突破できても本大会で勝てるチームが作れるのかと思うと疑問符がつきます。
オマル・トルシエを
候補にあげたのではなかろうか?
やはり暫定監督ではなく、長期政権のようですね
http://mainichi.jp/enta/sports/soccer/japan/news/20071130k0000m050109000c.html