2008年03月03日

悩まない審判

 ゼロックススーパーカップ。もう少しシーズンインを素直に愉しみたかったのだが。

 まずは雑念以外の話。
 アントラーズの充実。10人になっても、引き気味に丹念にボールを回し我慢を重ねる。同人数になったところで攻勢を取り、本山と野沢の個人能力で2点差に。小笠原を含めたこの中盤の3人を見ると、負傷者続出で青息吐息だった先日の東アジア選手権は何だったのかと言う思いもあるのだが。本山と山瀬が並ぶ攻撃的MFなどちょっと見たいとか、小笠原と遠藤の口論など面白そうだなと思ったりして。とは言え、このような大人の試合振りは、正にこのクラブの伝統。その後もペースを確保し続け、しっかりと試合をクローズする...はずだったのだが。全くの余談だが、最近の本山、小笠原、遠藤、播戸、加地、永井と言ったあたりを見ていると、彼らが全盛期のうちに1度でいいから、ナイジェリアワールドユースOB会でちゃんとした試合を観たくなる(どうせオールスターをやるのなら、このような企画をしてくれればいいのに、と無責任な思いつき)。もちろん、監督には琉球から「彼」を呼んできて。そして試合後にチュ〜(私が小野の完全復活を望んでいるのは皆様ご存知の通り)。
 サンフレッチェの粘り。久保とユキッチを投入し無理攻め。久保はまだ時間がかかりそうだが、いるだけでやはり怖い。ユキッチは相当いい選手だな。これで柏木不在なのだから嫌になってしまう。PKについては後述するが、あの同点弾には恐れ入った。久保がニアに飛び込み、その外に寿人があのように飛び込んでくる攻撃への対処など、J2クラブとしては一体どうすればよいのか。ここは、ペトロビッチ氏には昨シーズン同様理想を求めたサッカーの継続する事を強く期待したい。後方からの正確な球出しを重視するため、柏木をセンタバックにするとか、サイドからの突破を重視するために寿人をサイドバックに使うなど、氏の理想を実現するためのタレントは多数いるのだから。

 などと、戯言を語るのに十分な愉しめる試合だったのだが。

 ただし、私はカードを多用する事は全否定はとてもできない。
 カードを出さない主審がいかに困った存在かは、つい最近経験したではないか。三流チーム、三流審判、優秀なチームの組み合わせで行なわれたあの酷い試合。あの試合ではしっかりとカードを出してもらわないと、「選手が壊れてしまう」と言う大問題があった。
 また一流のチーム同士に一流の審判が組み合わされても、その一流の審判が試合序盤に赤紙を出す事に逡巡すると、このような悲惨な試合になってしまう事もある。
 繰り返すが、カードを多数出す事がいつも悪いとは言わない。そして、過日のゼロックスでは、疑問の判定は、終盤のPKくらいかもしれない。
 しかし、カードを出す事が問題なのではなく、試合を制御できない点が問題なのだ。試合をしているのは人間であり機械ではない。シーズン開幕前のスポンサ付きの小タイトルマッチ。上記のように荒れる心配のない試合で、開始早々から次々に機械的にカードを切る姿勢。崩れていく選手との信頼関係。
 家本氏に問いたくなる。「あなたは、カードを切る際に悩んでいるのですか?」
 様々な試合を観ていると、「これはすぐカードを切るべきだ」と思う事がある。例えば、上記の中国のプレイだ。それは選手を怪我から防ぐために必須だからだ。しかし、そのような状況は、中国サッカー界ならいざ知らず、そう頻繁には起こらない。
 サッカーの審判で難しいのは、反則の度合いを考慮しつつ、試合のレベルを維持し、かつ卑怯なプレイをした選手が得をするのを防ぐ事だ、しかも自分は目立たぬように。1枚のカードを出すか出さぬか、卑怯なプレイをした選手をいかに罰するかで、試合の流れは大いに変動してしまう。そのような矛盾を巧く飲み込み、誰も審判の存在に気がつかない試合に我々は興奮する。しかし、氏はカードを切るのに悩んでいるようには、とても見えない。次々にカードを切る氏を見ると「楽な選択」をしているようにしか見えないのだ。安きに流れる(ようにしか見えない)人は、決して尊敬を得る事はできない。

 もちろん、アントラーズの選手の愚かさは当然として。家本氏が主審をしているのに軽率な振る舞いをした岩政。重慶であの悪環境下でクールに戦い抜いた代表とチームメートだった誇りはないのだろうか。試合終了後、不満な気持ちを発散するためだけに家本氏を挑発した中後。あの悪辣で怜悧な本山や小笠原と同じチームの選手なのだろうか。
 そして、乱入したサポータ達。UGも指摘していたが、あのような輩のために不要なコストがかさみ、Jリーグが窮屈なものになっていく。アントラーズには、ああ言った輩に対し厳しい対応を取る事を望みたい。

 最後に鬼武チェアマンの暴言。
こういう試合でJ2が優勝したのは、いいことではない
もう腹も立たないな(もっともこの引用の部分の発言は今では削除されてしまったようだが)。この人はわかっていない人だから。尊大でも無能でも私利私欲でも理念先行でも目先利益で大損をこくのも、残念だが仕方のない事だ。でも頼むから「自分は馬鹿だ」と言う発言はしないで欲しいのだが。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(6) | TrackBack(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
家本さんのジャッジを弁護する気は毛頭ありません。むしろ、プロですから、あの能力では明日追放になっても良いと考えています。鹿島の選手たちの態度については講釈師さまと考えを同じくしています。その一方で私は、「アレもありかな」と考えはじめています。だって家本さんが笛を吹くというだけで、TV中継を観ようかな、という気になる自分に気がついたからです。家本さんは、明らかにJリーグの一部であり、つまりサッカーの一部となっています。これは「誤審もサッカーの一部」というのとは別の意味で、もっと家本さんのキャラに限局した表現ですけれど。彼の経歴を考えれば、サッカーシーズンの開幕を飾る大切な試合に家本さんを指名したヒトは、あの流れを確信犯的に演出したのではないでしょうか。
Posted by ひき at 2008年03月04日 15:10
>試合を制御できない点が問題なのだ。
>「楽な選択」をしているようにしか
その通り。ゲームは生き物だから、それを主審が嗅ぎ分けるのも仕事。その上で「遊び」があればいい。

カードと注意を使い分けられる主審については(カード枚数は)問題ないが、注意だけでカードを出さない、注意もなくカードも出す、というアンバランスな主審がゲームを壊す。

鬼武チェアマンの暴言は、ひさしぶりに怒りを通り越して、逆に笑いました。
Posted by 徒然 at 2008年03月04日 15:56
いつも楽しく拝見しております。

> こういう試合でJ2が優勝したのは、いいことではない

鬼武さん、セレッソが出ていても同じこというだろうか?!
Posted by at 2008年03月04日 22:15
>家本さんを指名したヒトは、あの流れを確信犯的に演出したのでは
なかば冗談で言ってるのは分かりますが、こういう内実だとすれば選手、チーム、観客、大会スポンサーらにとって許せる話ではないですよ。そしてそれらの犠牲の上に成り立つ客寄せなぞクソクラエです。

「試金石としてもらいたい」と家本審判に注目度の高い試合を吹かせたのは間違いだったしその責任はとるべきと思います。
Posted by yocc at 2008年03月05日 08:54
十何年ぶりに優勝したこんな時くらいサンフレッチェの事を書いてほしいと我儘を言ってみる広島サポです。
Posted by 熊ー at 2008年03月05日 22:37
サンフサポです。
先日の国立では、笛の音以外は大変良い思いをさせていただきました。

ゼロックスには出場しませんでしたが、柏木の他に、元日本代表)戸田和幸、双子の兄貴)森崎和幸、GK下田崇もいますので、こちらも併せてよろしくお願いします。

PK戦の場面、改めてビデオで見直しましたが、1本目の森崎浩司の時も、GKの足が先に出ているように見えます。そういうスタイル(癖?)なのでしょうね。
Posted by にきち at 2008年03月06日 12:45
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Tracked: 2008-03-12 16:09