もちろん、毎号の常であるが、読み応えのある記事と、そうでない記事が並列されるのは仕方がない。しかし、何が残念かと言えば表紙に書かれていキャッチ。かつて日本を代表する一流選手で、日本代表監督で実績を挙げ、Jリーグでも見事な手腕を発揮した男に対し、意味不明な言辞を弄するのはいかがなものだろうか。もちろん、雑誌である以上「売れる算段」は必要だろう、しかしあの現代表監督を愚弄する表現は、売り上げ増進につながるのだろうか。と、不快感を示したものの、今号は充実した記事が多く、帰りの電車で堪能する事ができた。
まず、冒頭の小野剛技術委員長のインタビューは非常に読み応えあり。インタビューアの山内雄一氏の鋭い切り込みに、誠実に答える小野氏。オシム爺さんが不運な病魔に倒れた直後から、岡田監督選考への経緯が丁寧に引き出され、読んで面白いだけでなく、(爺さんが倒れた2ヶ月半後にはワールドカップ予選を迎えなければならない)切迫感も伝わってくる。
また勉強になったのは、キリンが日本サッカーのスポンサになる事を推進した「黒幕」(と言っても、サッカー好きの元キリン社員の方)の記事。このような内幕モノは、読んでいても「どこまでが真実なのか」と言うあたりがどうしても気になるが、木村元彦氏独特の読みやすい文章に引き込まれる。私自身、この「黒幕」氏の事は全く知らなかったので勉強になった。
ミカミカンタ氏と言う方が書いた、レッズ及び日本協会のACL対応のスタッフ達の記事も見事だった。レッズのアジア制覇は、レッズ自身の周到な準備と、日本協会の協力が奏功したとよく言われるが、それを丹念かつ具体的に引き出している。もちろん、レッズに協力するフロンターレ関係者も登場する。特にサポータを含めた大量のビザ発行に対して、各国の対応の鈍さに苛立つ日本協会スタッフから「もしかしたら日本が非常識なのかもしれない」と言う発言を引き出しているのが見事なものだ。
加部究氏の連載「海を越えてきたフットボーラー」のお題は「ビタヤ・ラオハックル」。ヤンマーと松下でJSLのスターとしても活躍し、ブンデスリーガでのプレイ経験もある、タイ代表のスーパースター。今はガイナーレ鳥取で指揮を取っているのは、知らなかった。日本に来る事になった経緯、ドイツでの苦闘、奥寺との交流、タイ代表がアジアで勝ち切れぬ事への冷静な分析と忸怩たる思い。これらをじっくりと愉しむ事ができた。
そして今号のハイライトは、三村高之氏による「アルゼンチンの審判事情を追う」。これは面白い。いきなり
コリーナも、南米では上手いレフェリングができなかったと言うインパクトのある文初で始まるこの小文は、日本とアルゼンチンの差を審判のレベルから見直そうと言う狙いが感じられる。日本が全ての草サッカーを「公式審判」でさばかせるために「審判の層」を分厚くする事を狙っているのに対し、アルゼンチンは「少数精鋭」でトップレベルの審判育成のみを考えた体制である事。さらには、アルゼンチン協会直下に複数の「審判組合」が存在する事、時に副審不在で主審だけで大会もある事など、各ランクの審判の収入の程度など、興味深い話題が続々。そして結びに、マスコミがアルゼンチン風に審判をしっかりと批判すべきではないかとの提案も。ちょっとゼロックスでの家本氏批判を思い出したりして。
サッカー批評 issue38―季刊 (38) (双葉社スーパームック)






おります。
さて、「サッカー批評」表紙の、
『岡田武史なんて知らない』
というコピーですが、先の東アジア選手権
で、中国代表監督から、そのようなコメントが
発せられたのを、そのまま拝借したんだと
思います。
※中国代表監督か否かは、あいまいな記憶です。すみません。ただ、参加国代表監督のいずれかなことは確かです※
確かにご指摘通り、この発言を利用したことで、
売上向上につながったのかは、わかりませんが・・・(苦笑)
「オシム監督の土台」の真意が初めて理解できました。
それから衝撃的だったのが直井さんのインタビュー。
「じゃあ俺がGMをやるからいいだろう」って…
主力選手の相次ぐ離脱が納得できました。
(たしかに現役時代に「GK」はやってましたね)