2008年04月12日

憲剛対シャムスカ

 テレビ観戦したトリニータ対フロンターレ、トリニータ守備の要の深谷が前半早々に退場になった。そのためホームのトリニータが守備を固め、常に攻撃的サッカーを指向するフロンターレが押し込む形となった。結果的に、シャムスカ氏が創意工夫する守備網を、いかに憲剛が切り崩すかと言う試合になった。

 まず、深谷の退場について考えたい。まあ、いずれのイエローカードも妥当と言えば妥当。特に2本目は、相当厳しいタックルが敵の足に入ってしまった。退場は仕方がないのかもしれない。ただ、いずれのファウルにしても、激しい事は激しかったが、悪意なり敵を傷つけたり、意図的にファウルで止める意思は感じなかったのだが。激しくない深谷には何の魅力もないし。
 悪意と言う意味では、深谷退場のちょっと後、ウェズレイがカウンタから抜け出そうとした時に、プロフェッショナルファウルで止めた井川のそれは酷かった。しかし、相当ゴールからは遠かったので、ルール上一発レッドは出しづらいところであり、警告どまり。
 そのような意味で主審の判定は正しいのだが、野次馬で見ている限り飲み込みきれないところもある、審判術の難しさを示す事例と言えるかもしれない。

 とは言え、苦境になればなるほど、その手腕が冴えるのがシャムスカ氏。ホベルトを最終ラインに下げ、上本と森重と3DFを維持。両サイドの鈴木慎吾と小林亮と5人でしっかり守る。ただし、特に鈴木は、森に押し込まれ過ぎないように、状況を見て再三長躯前進していた。さらに高松を後方に下げ、ウェズレイと縦の関係を築く。そして、エジミウソンが比較的前方でボールを刈れると、金崎と高松のキープを基点に逆襲をしかける。
 このあたりの、高松のキープが絶妙。負傷上がりとの事だが、この男は年を経るごとに巧くなっているように思う。再度、代表に呼ばれてもいい存在だ。そして、高松の持ちこたえに金崎が絡み、ウェズレイに展開すると、結構逆襲速攻が成立する。上記したように鈴木慎吾が長躯飛び込み、うまく変化も作っていた。昨シーズン終盤に「終わってしまった」かに思えたウェズレイが、それなりにがんばるのは少々驚き。これもシャムスカ魔術か。後半、敵ペナルティエリア周辺で憲剛に高松らがまとわりつきボールを奪取、ウェズレイの決定機につなげた場面は見事の一言。

 一方のフロンターレ、菊地と言う若いボランチ(と言っても学卒だから谷口と同年齢だが)を起用し、憲剛と谷口を前に押し出す策をとっていたが、逆に引きこもるトリニータの前に憲剛にスペースがなくなり、攻撃が機能しない。前半は左サイドから、山岸が目の覚めるようなクロスを谷口に合わせた場面以外は決定機を掴めなかった。それにしても、この山岸のクロスは強さ、コース、タイミングいずれも凄かった。左足であのクロスを蹴る事ができる日本人は、他には中村俊輔くらいだろう。これだけの事ができるのに、どうしてこの人は引き出す事だけで満足しちゃうんだろうか。
 後半、フロンターレの高畠代行は、菊地に代えて大橋を投入。憲剛が後方に下がり、創意工夫を開始する。谷口を右に開かせ、森を使い、森重と上本の位置取りをずらして、中央にスペースを作ろうとするのだが、肝心のジュニーニョにどうにも冴えが見られない。それでは自分で前進しミドルシュートを狙い、執拗に斜めの速いパスを山岸に通し、そこからの崩しを狙う。など色々な仕掛けを行い、3DFを破りかけるのだが、そこには西川が立ち塞がる。鄭大世に代えて黒津を入れて縦の変化を狙うも、とうとう崩しきれなかった。
 逆に、終了間際には、逆にトリニータが決定機。エジミウソンの好パスを受けた金崎が鮮やかな個人技で左サイドを突破、低い好クロスに2人が飛び込んだのだが、実に惜しかった。
 こうやって、人数の少ないチームに守られてしまうと、ベンチがやれる事はそうはない。結局、フィールド上で戦う選手が、創意工夫して守備ラインにギャップを作れるかどうかと言う事になる。
 憲剛はラストパスや得点については、相当なレベルに到達している。しかし、90分と言う時間を考え、展開を工夫したり、敵の疲労や混乱を誘い、最後とにかく崩してしまう域には、まだ達していないと言う事か。 

追伸
 関塚氏は体調不良で検査入院との事だが、無事を祈りたい。
 氏は私と同年齢でもあり、何か他人事とも思えないのだ。以前述べたが、氏は現役時代、全盛期に脊椎分離症と言う重病にかかり、約1年を棒に振った(もし、これがなければA代表入りを果たした可能性も高い)。あのような、長引く病気ではない事を切に祈る。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
武藤さん

関塚氏の件ですが、同様に無事を祈りたいです。
日の丸を背負う選手達は貴重な存在ですが、日の丸を背負う力を持った指導者はもっと貴重です。

関塚氏、城福氏、吉田氏(奇しくも海老茶軍団ですが)といった才能ある指導者達には、是非とも2014年・2018年体制において、海外ブランド好きのJFAが招聘する外人監督と代表監督の座を争うだけの実力をつけていってほしいと願います。

オシム氏のようなカリスマとともに彼らのようなJで活躍する指導者達が日本サッカーのレベルを引き上げてくれているのですから。
Posted by プーアール at 2008年04月17日 09:45
布さん、(セクシー)山本さん、(ガンバ)島田さんにも期待したいです。日本のユース世代の指導者は、非常に知識・知力が高く、また「サッカー眼」とでも呼ぶべきものが柔軟でかつ鋭い方が多いと思います。こうした方々が「経験」を積み、海外の名将たちと代表監督の座を争う時代が訪れる、なんてのは想像するだけでも楽しいです。
一方、現代表FWでは、講釈師さまオススメの高松を始め、久さんのもとで確変した田原(ギュウちゃん)、遂に「赤組」のエースとなった永井、地味ながら仕事の安定度がすばらしい大島、このあたりをぜひ見てみたいです。
Posted by Dortmund06 at 2008年04月17日 12:45
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