2008年04月29日

続々中学生の成長を愉しむ

 さて中学校の大会。今日は準決勝と決勝を1日で行うレギュレーション。とは言え、決勝に残れば県大会進出なので、とにかく準決勝に勝つ事が何よりも重要。

 準決勝の相手は地域最強との噂がもっぱらのチーム。主将のトップ下の10番が抜群の能力を持ち、センタバック2枚が強力。チーム全体のレベルも高く、速くて丁寧なボール回しは鋭い。
 我がチームの監督は、敵主将に当方の大黒柱をマンマークでつけた。大黒柱は本当によくやった。敵主将はドリブルも巧いし、パスも正確。この1年年上の難敵に対し、丹念にしつこくアプローチする事で、自陣から遠い場所でプレイさせる事に成功した。あの幼少時のハナ垂れ小僧が、ここまでサッカー選手として成長してくれた事が素直に嬉しい(ほかの選手もそうだけど...逆に今少年団のハナ垂れ小僧達と毎週遊んでいると、こいつらが将来あんなに立派になっていくのかと、これまた一層感慨深い)。
 相変わらずバック4は、安定して機能。大黒柱が敵主将を押し出す事で、敵がロングボールを蹴ってくると、おちついて第1波をはね返す。大エース、俊足、将軍の3人はこのはね返したボールに執拗に絡み、第2波を許さない。この攻撃ならば防げる。
 一方、(それほどの頻度ではないが)大黒柱が敵主将を止め切れず、前向きにボールを持たれて仕掛けてくると、サイドを崩され、ゴール前での勝負に持ち込まれてしまう。もう1つ怖いのはセットプレイ。セットプレイだけは敵エースは、大黒柱の妨害なしで精度の高いボールを入れてくる。この日はフィジカルCBが抜群の安定感を見せ、主将GKの果敢な飛び出しと合わせ、何とか押えきる。とにかくこのような攻撃の回数をできるだけ少なくできれば。
 では、どうやって点を取るか。突破力抜群とストライカの2トップがよい体勢でボールを渡せるように、大エースをどのくらいの頻度前を向かせられるかと言う事になってくる。しかし、敵もそのあたりはよくわかっていて、大エースへのマークは執拗を極める。それでも、前半終了間際にこの3人で攻撃を仕掛け、最後は突破力からストライカに強いパス、ストライカは敵ストッパを背にしながら見事なターン、振り向きざまにファーサイドに強く低いシュートを放ちGKを破った。「釜本か!」と言いたくなるほどの見事なストライカの個人技で先制してしまったのだ。
 3月に卒業した連中が多数応援に来ていたのだが、あまりの妙技に皆「うわ〜〜〜!すげ〜〜〜!」と大騒ぎだ。中でもストライカの兄貴は「おかしい、これは何かの間違いだ、あいつがこんなに巧い訳はない」と語り、友人達に「弟の方がもう巧い事を素直に認めろ」とやり込められていた(兄貴の名誉のために言っておくが、あくまでもこれは言葉の綾、彼は昨年の中盤のエースで、近くの強力高校に加入しがんばっている)。

 後半、敵の圧力が高まる。GKが大当たりと言う事もあり、1−0のまま時計が進むが、次第に危ない場面が増えてくる。我がチームは、俊足、将軍に代えて、大柄脚力とスーパーサブを起用し、中盤の運動量を確保する。あと10分になって、いよいよ敵は後方の選手が前掛りで猛攻を仕掛ける。結果的に当方の大エースへのマークが甘くなる、たちまち大エースは見事な展開から絶好機を作り、スーパーサブが絡んで最後は大柄脚力が狙い済ましてシュートを放つが、敵GKに超美技で防がれた。惜しい。
 好事魔多し。直後のCK、敵はフィールドプレイヤ1人を残して全員が前線に進出、混戦から押し込まれ、とうとう同点に追いつかれてしまった。
 感心したのは、それ以降。「あと僅かを守り切れなかった」とのショックを引きずらず、全員が集中したプレイを継続。5分ハーフの延長も、ひるむ事なく戦い続け、危ない場面もあったが、当方もチャンスをそれなりに作るなど、ほぼ互角の攻防。勝負はPK戦に。
 PK戦では先蹴の当方の4人目までは全員が成功する息詰まる展開。そして敵の4人目、主将GKが見事な反応、こぼれたボールはバーに当たり、外へ転がった。歓喜に飛び跳ねる主将。踊り続ける彼に、センタサークルからチームメートが「次はお前だ!」と声がかかる。どうやら5人目に蹴る事を忘れていたらしい。思い出した彼は「おお、任せろ!」と胸を張ってペナルティスポットに。ところが、人工芝に滑ったのか、転倒しながらのキックとなり「うわあ」と一瞬思ったが、敵GKは逆を取られボールはネットに突き刺さった。
 見事に県大会出場を決めてくれた。すごい。

 決勝戦は、準決勝終了後のインタバルが長かった当方が、体力的に圧倒的に有利となった。大エースへのマークが甘く、序盤から再三決定機を掴む。そして前半半ば過ぎ、右サイドを大エースが突破し低いセンタリング、ニアで突破力抜群がつぶれ、ファーに走りこんだストライカが先制弾。これでストライカは、2年生ながら5試合で6得点、堂々の得点王だ(と思うのだが)。以降も押し気味に試合を進め、終了間際に逆襲から突破力抜群が決め、突き放し優勝。

 「伸び盛りのチームが試合ごとに力をつけて行く」そのものの快進撃だった。長い事サッカーを見ているが、ここまで短期間に成長する事例は記憶にないくらい。こんないい経験をさせてくれた選手たちに多謝。
 今までも君達には、幾度も喜びを提供してもらったが、まただね。本当にありがとう。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いいお話ですね。でちょっとだけミスっぽいところがあるので直したほうがいいと思います。

>後半、敵の圧力が高まる。GKが大当たりと
>言う事もあり、0−0のまま時計が進むが、
>次第に危ない場面が増えてくる。

前半の終了間際に、ストライカ君がゲットゴールしてるので「1−0のまま時計が進む」が正しいと思います。
Posted by ロビン at 2008年05月01日 23:27
本当に懐かしいです・・・

私の中学にも小学校のコーチが応援に来ていたなぁ・・・
キャンプで使うようなビニルの椅子持参で(笑)

中学の監督はサッカー素人で大学でたての若造。
小学のコーチはそれなりにサッカー経験あり。

だからコーチはよく試合後にかつての教え子を側に呼んで特別指導していたっけ(笑)

でも僕は小学時代全くそのコーチに使ってもらえず(たんなる努力不足で)、中学ではそれなりに評価されていたのでコーチの言うこと全然聞かなかったなぁ・・・

そういう人間性だから中学でも高校でも大学でも
私のサッカーはずっと中途半端なまま・・・
(いや、サッカー以外も・・・)

今では本気でボールを蹴ることすらなくなってしまいました。

今なら何となくコーチの気持ちも分かります。


私ごときにこんなこと言わなくても分かってると思いますが、どうか愛すべき蹴球児たちを見守ってやってください。
Posted by GK20 at 2008年05月02日 01:08
ロビン様
修正しました。ご指摘ありがとうございました。今後気をつけます。
Posted by 武藤 at 2008年05月02日 08:58
いつも楽しく拝読しています。
うちの息子も小学校ではサッカーチームに所属していたのですが、今年4月、中学に進むと他の部を選んだため、応援の機会が無くなってしまいました。
でも、いつか、息子の同級生達の試合を見に行きたくなりますね。
武藤さんも少年団+中学サッカー+仙台で
ますますお忙しくなるかと思いますが、お体には
お気をつけて
Posted by 悪しき臭球部 at 2008年05月03日 11:06
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