2008年05月07日

43年目の危機

 ジェフがクゼ監督を解任した。ここまで11試合では2分9敗、内容も芳しくなかったが、何より全く結果が出なかった。通期の約1/3を終え、降格脱出権の15位のとは勝ち点10差。フロントとしても看過できないと判断したのだろう。

 以前も述べたがが、監督交代時に一番難しいのは、その後任の監督が前任者より優秀である必要がある事。そうでない場合(そしてそうでない事が世の中結構多い、世界にそうたくさんのシャムスカはいない)、そのチームはさらに階段を転げ落ちるように苦戦するケースもままあるのだ。そう考えると、クゼ氏の実績を考慮し、もう少し我慢をする選択肢もあったようには思う。
 特に現状のジェフの場合、昨シーズンの中軸が大量に抜けただけに、それなりの選手を集め直し、基盤からチーム作りをする必要があった。クゼ氏の招聘はその狙いがあったはず。事実、クゼ氏はクロアチアでの評価も悪くないし、ガンバでのそれなりの実績もあった監督だったのだ。そう考えると、クゼ氏の能力をもってしてもJ1で存分に戦えないほど基盤の選手の能力が足りなかったと考えるべきだろう。
 とすれば、今後のジェフは、基盤強化のための選手補強と、より能力の高い監督獲得と言う、2面から対応を考える必要がある。ある程度の基盤があったチームならば、やり方の異なる監督を就任させればよいだろうが、現状のジェフは全く違う。監督交代と言う大ナタのみで現状の問題を解決できるとは思えない。

 そうは言っても、クゼ氏最後の采配となったレッズ戦、失点場面の映像を見ただけだが、ジェフフロントが「何か手を打たなければ」と考えたのも無理ないようにも思えた。1点目は闘莉王の個人能力にやられた感があり、単に戦闘能力差と捉えればよい失点だった。しかし、2点目、3点目はDFが精神的に萎えてしまっていたのか(肉体的な疲労と言うよりは精神的に疲労して身体が動かないように見えたのだが)、揺さぶりについていけず、非常に無様な失点だった。クゼ氏の采配や選手選考がどうのと言うより、選手達が戦えなくなっている現状で、一種のショック療法として監督を交代する発想はあるのかもしれない。
 現状後任が発表されていないが、契約面を含めまだ目処が立っていないのだろうか。あと2試合リーグ戦をこなせば、リーグ戦が長期中断するので、それまでは暫定政権でつなぎ、本格政権として大物監督を招聘しようと言う狙いか。上記したように、選手達に精神的疲労感が目立つために、とにかく流れを変えようと言う事なのだろう。
 また補強面だが、報道によるとサンフレッチェの戸田、ガンバの寺田など、それなりの実績があるが出場機会の少ない選手を狙っている模様。狙いは悪くないと思うが、守備ラインには相当スーパーなタレントの獲得が必要ではないか。格段の実績を持ち、将来性もあり、シーズン序盤の不振で出場機会に恵まれていないCBがいるのだが、彼をレンタルで獲得すると言うウルトラCがあるように思うが、相互の感情面を考えると難しいのだろうな。そうすると、新しい外国人DFの模索となるのだろうか。

 以前から幾度となく述べてきたように、古河−ジェフは、JSL開幕以来43シーズンに渡り、1部リーグの座が確保し続けてきた唯一のクラブ。昨期も危なかったが、今期はいよいよ危ない。
 暫定政権を支えるのは、越後和男コーチ(ベガルタサポータとしても何とも思いで深い男だが)の模様。おお、古河がアジアチャンピオンを獲得した当時の若き指揮官ではないか。越後氏が、この名門の苦境をいかに支えるか、まずは注目したい。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(9) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
まさか水…ですか?
Posted by at 2008年05月08日 09:13
ストヤノフが戻ってくるのがいいんでしょうね。
技術あるし、精神的支柱にもなるでしょう。
Posted by at 2008年05月08日 10:29
イリアンは勘弁!

ちなみに、獲得に動いてるのは寺田じゃなくて倉田ですよ
Posted by 熊 at 2008年05月08日 10:45
後任にはリバプールのコーチの方の名前が
出てきてますね。
東欧系からの脱却を狙っているのでしょうか。

ジェフサポの中ではオシム翁の電撃復帰…
(現場でなくても)みたいな感情もあるようで。
Posted by 近会 at 2008年05月08日 13:04
リバポのヘッドコーチのミラー氏で確定したようです。
Posted by at 2008年05月08日 20:42
身内のガンバサポータに開幕5試合くらいからレンタルでいいから貸して(返して)−ってことをずーっと言っています
現時点ではジェフへの嫌がらせくらいにしかなってないじゃないかーと(笑・・五輪のことも含めて笑ってられないな・・

前監督の切り方とそのタイミングから狂いは大きくなったと思っています
それ以降後任監督選任の遅れから出て行った選手の去就と代替選手の補強、選手の見極め、チーム作りすべてが遅れて結果こうなってしまったんじゃないかなと
これからどう反抗していくのか分かりませんけどがんばって付いていって見ようと思いますな
Posted by touri at 2008年05月08日 21:48
いつも読ませて頂いております。
新監督は決まりましたが、確かにご指摘の通り選手の補強も必要だと思います。両方当たらないと厳しいのが現状です。


残念ながら、越後さんの暫定指揮は実現しませんでしたが、将来的には監督として指揮を執る可能性はあると思っています。(JREと古河の思惑が関係しますが)

比較的新しいサポなので、越後さんの略歴はしらべてわかるのですが、どのような選手、また仙台時代のコーチとしての評価は如何だったのかを知りたいと思っています。

是非、講釈師様に執筆願えればと思います。
よろしくお願いします。
Posted by 新米犬 at 2008年05月09日 15:27
まず、空気を換えることですね。ムードがすこし暗いです。それから、補強なり戦術なり…
埼スタからの帰り、赤サポに混じる黄色い千葉サポから危機感はあまり感じ取れなかった。

>降格脱出権の15位のとは勝ち点10差。
11試合(勝ち点33分の)勝ち点2の状態で、まだ、差が10というのは、考え方次第では、まだ、追いつける数字です。


Posted by 徒然 at 2008年05月09日 22:44
二部に落っこちるチームのスタンドって
アニメみたいにどんよりした黒いもやがかかってますよ
Posted by 柏市民 at 2008年05月11日 15:55
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック