2008年05月09日

ガンバ、1次ラウンド突破

 早いもので、あれから3年近い月日が経ったスパチャラサイスタジアム。ガンバが、ACL敵地でのチョンブリとの殴り合いを制し、堂々と準々決勝を決めた。両軍とも技巧的で攻撃的な実に見事な試合だった。今思えば初戦にこのチョンブリに命からがら引き分けたために、全南でもメルボルンでも「引き分けではなく勝つ」事を目指すことになり成功した。初戦に勝っていれば、それらの試合に無理に勝ちには行かず、準々決勝進出は最終節までもつれていたかもしれないな。
 引き分けでも準々決勝進出だが、チョンブリの強さは上記試合で痛い程に把握済み、さらにガンバは連休の連戦の疲労が蓄積、遠藤の欠場と悪い条件が付加。しかも、テレビ映像で見てもわかる芝の悪さは、ガンバ特有の低くて強いパスが回しづらいコンディションだった。

 チョンブリはよくガンバの事を研究していた。中盤からパスで抜け出そうとすると、明神のところで多くの攻撃は引っ掛かってしまう。そのため、通常短いパスで組み立ててくる事が多いタイのチームにも関わらず、長くて斜めのボールを使って最終ライン勝負に持ち込み、トップのネイ・ファビアーノの巧妙なプレイで好機を作り出す。それでも、中澤は急いで当たりに行かずここぞと言う時に相当きついタックルを狙いよく守った。松代の好捕と、山口、橋本の粘り強いプレイは言うまでもなく。ちなみに中澤は終盤には敵陣前でラストパスを受け、またぐフェイントから超決定機を掴んだが、あのフェイントなどを見ていると、この選手が「打点の高さ」を評価されセンタバックを目指したのが正しかったのかと言う思いに捉われる。
 結果的に攻め合いになったこの試合。前半から両軍が再三好機を掴むが決めきれない展開が続いた。そして勝負を決めたのが、安田、復調した加地の西野氏自慢の両サイドバックのクロスだった。安田は決して足は早くないが加速後のボール扱いが抜群で、フェイントで敵を揺さぶって縦に抜け出す。一方の加地は突然の加速力が格段で、マーカの一瞬の隙を突いて前に抜け出す。この日は、正に2人の特長がそのまま出た得点。ニアに飛び込んだ交代直後の山崎、大外から入り込んだルーカスも秀逸だった。
 感動させられたのは2−0になってからのチョンブリの飽くなき闘志。強豪をホームに迎え「勝たなければならない試合」で2点差になり状況が絶望的になったにも関わらず、最後まであきらめる事なく猛攻をしかけてきた。本当によいチームだった。さらに素晴らしかったのはチョンブリのサポータ。テレビ映像は特に熱狂的な人たちを映している可能性もあり、割り引いて考えなければいけないかもしれないが、終始熱狂的にホームチームを支えていた。しかも試合後、多くのサポータがチョンブリの健闘を称えていた。実際見事な試合内容だったのだし。

 遠藤不在と言う事で、中盤は明神を配下に置いて、二川が差配した。通常は最前線でかき回しフィニッシュに絡む役どころだが、あれだけの技術を持つ男、展開力も抜群。二川も20代後半となり、以前にも増して多彩な仕事が可能になってきている。野次馬としては、遠藤と二川が異なるチームの指揮官として対決する試合を観てみたい気もするな。
 さらに見事だったのはルーカス。あの難しいダイレクトシュートも大したものだったが、中盤での妙技に感心したのだ。元々1.5列目(1.3列目くらいと言うのがいいのかな)で、中盤で1度ボールを触ってから前に出て行くタイプのストライカ。ところが、この日は二川のサポートの仕事を巧みにこなした。前を向いて仕掛けようとする二川が詰まると、スッと(二川の)横に引いてくる動きの的確な事。二川の展開はどうしても遠藤ほどの「緩」がなく時に単調になる事もあった(もちろん「急」の速さと言うメリットもあるのだが)が、そこでルーカスが二川のサポートに入ることで一拍置くのが非常に効果的だった。何とまあ、頭のよい選手だ。ルーカスはルーカスで、一皮剥けたプレイヤになったと高く評価すべきだろう。

 結びに、播戸のコメントをそのまま転載させていただく。この日は不運もあり得点できなかったが(しかも交代した山崎がその直後に大仕事をしたのだが)、この男はやはり何かがある。
クラブでアジアの大会に出てこうやって勝ちあがれて行けることは格別の喜びがある。G大阪に関係する選手、スタッフ、サポーター全員の力で勝ったと思います。決勝トーナメントは中東やウズベキスタンなどのチームが楽しみです。(サポーターの声は力になったか?)向こうのサポーターもいい応援をしてたし、 G大阪のサポーターも凄く応援してもらって凄く聞こえてたし、すごく力になった。これからどこと対戦するかわからないけど、ウズベキスタンとかは、なかなか行けない国なので行ってみたい国ではあります
(余談)
 先日FC東京サポータの友人と一杯やった時に「かつて非常に厳しく糾弾したルーカスについて、今ではどう思っているのだ?」と、鋭い指摘を受けた。それにお答えします。
「今でも私はルーカスを許すことはできません。でも、今のルーカスは、見ていて本当に愉しい素晴らしい選手です。」
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(1) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
タイの現場で試合を見ていたんですが、チョンブリの応援があんなに熱心だとは驚いてしまった。ただ、チョンブリはファビアーノっていう選手がひとり引っ張っているような気がするなあ、彼はブラジル人なのかな(たぶん)
彼がいなかったら、チョンブリはただの普通のタイのチームになって、怖さは半減していただろうなあ、何かサッカーのうまさと違う本質的な違いみたいなものを見せつけられたような気がするな。ガンバ大阪で気になったのは,加地だなあ。
彼を見ていると、やはり日本代表の右SBは彼でいいのかな、って気がしてくるなあ、ただなんなんだろうなあ、彼を見ていると、よく言えば落ち着き、余裕がある、悪く言えば本気を出していない
、熱く燃えるものがないっていうような、まあ、その辺は性格的なものなのか、よくわからないんですが、総合的な力からいったら彼が一番なのかなってきがします。
Posted by ヒデタイ at 2008年05月12日 09:47
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

ガンバ大阪 加地 引退
Excerpt: 替えカバー マルチクッションR用(AEK-01R/AEK-02R) 【加地】 商品価格:2,310円レビュー平均:0.0 加地「士気下がってきた」代表引退表明日刊スポーツG大阪DF加地..
Weblog: News見聞録
Tracked: 2008-05-22 01:25