2018年09月02日

西村拓真CSKAモスクワに移籍

 ベガルタの若き中心選手、西村拓真がCSKAモスクワに移籍した。まずは、3年半の間、我がクラブのために献身的なプレイを継続し、時に大きな歓喜を提供してくれたこの若者に、感謝の言葉をささげたい。ありがとうございました。

 西村不在となる初めての試合、ベガルタは苦労しながら、エスパルスを下し勝ち点3を獲得、暫定順位を5位まで上げ、試合後挨拶をした西村を心地よく送り出すことに成功した。これで、3位までに与えられるACL出場も視野に入ってきたのだから、結構なことだ。
 ただし、試合内容は苦しいものだった。前半から、ここ1か月の間フル回転してきた富田、奥埜の動きに切れがなく、1対1の競り合い(いわゆるデュエル)で後手を踏むことが多い。そのため、チーム全体として、ボールを奪われた後のボール奪取に失敗し、幾度も速攻や連続攻撃を許す苦しい展開が続いた。それでも、復帰初戦となる野津田のCKを大岩が決めて先制に成功。
 しかし、後半も類似の展開が継続、ベガルタ守備陣がはね返したボールを、負傷上がりの阿部が落ち着けられずに許した連続攻撃から、ドゥグラスに打点の高いヘディングで決められてしまう(ここはマークしていた椎橋にもう一工夫欲しいところだったのだが、まああれだけよいボールが来てしまうと仕方がないか)。
 その後、中野を投入し、攻勢をとる。エスパルスは日程の不運もあり、中2日ゆえ、次第に各選手が明らかに消耗しているのが目につき始めるが、ベガルタは崩し切れない。それでも、ベガルタは終盤起用した大ベテランの梁が丁寧なボール回しを継続、そして、アディショナルタイムに、蜂須賀の逆サイド展開を、中野が頭で折り返し、中央飛び込んだ石原のダイビングヘッドで決勝点。美しく感動的な得点だった。
 最近の試合では、流れが悪い時間帯は、西村の単身ドリブルによる前進でペースを取り戻すことが多かったが、その西村が不在となる初めての試合で、ゆっくりした丁寧な展開で、試合終盤に相手を崩し切れたことはとても重要だ。西村に対して、「お前がいなくても、俺たちは問題なくやれるよ」と伝えて、送り出すことができたことになるのだし。

 ともあれ。送り出す方は何とかなるにしても、送り出される方はいかがか。私からすれば、心配山積である。
 CSKAモスクワは、まごうことなき、ロシアの伝統的なトップクラブ。ここでプレイしたと言えば、言うまでもなく本田圭佑であるが、本田はCSKAに移籍した2010年には、既にオランダで相応な実績を上げ、代表でもほぼ定位置を確保していた。日本人選手が現在所属するクラブで、CSKAに一番ランク的に近いのは、長友佑都が所属するトルコのガラタサライあたりに思う。8年前の本田にせよ、今の長友にせよ、西村からすれば、はるかかなた格上の存在なのは言うまでもない。まだ一度のA代表経験も、いや若年層代表の経験すらない若者が、定位置争いに加われるものなのだろうか。
 また、ロシアと言う国には、言葉の問題も大きい。英語が通じる場所が限定的のみならず、キリル文字は読むのも難しい。モスクワのような大都市でも、庶民が通うレストランのメニューのほとんどはキリル文字。プライベートな時間に、西村は食事をとるのも簡単ではない国で、働くことになるのだ。極東の島国からやってくる若い選手に、CSKAがどのような通訳を含めたサポートを提供してくれるのだろうか。
 そもそも、西村が強力なFWとして、Jで評価されるようになったのも今シーズンから。昨シーズンは、ナビスコでニューヒーロー賞を獲得したが、若手期待のFWがようやく常時試合に出るようになったと言う段階。そして、今シーズンは完全に中心選手の座を確保し、継続的な活躍をしてくれるようになった。けれども、まだまだ課題は山積。シュートを打てる場所にいるのに味方へのパスを選択してしまうこともある。ドリブルで完全に抜け出したGKとの1対1でのシュートの精度も改善の余地が多い。また、時々ファーストタッチを雑にしてしまい、味方の速攻の好機を台無しにしてしまうのも散見される。加えて、格段の俊足とか長身とか技巧とか目に見える明確な武器があるわけでもない。このような選手が、ロシアのトップクラブで、すぐに活躍できるのだろうか。

 一方で、西村の何がよいかと言うと、ボールを受ける位置取りのうまさと、長駆した後にもう一仕事できる点だ。
 西村はベガルタでは、トップ、シャドー、インサイドMFのいずれかで起用されてきた。ポジションにより、守備のタスクは異なるが、これら異なるタスクをしっかりとこなした上で、マイボールとなるや否や、いわゆる質の高いオフザボールの動きで、敵DFやMFの間隙で斜め前を向いてボールを受けられる位置にすぐ入る。この攻撃に転じたときの位置取りと身体の向きが非常によいのだ。
 また、今シーズン得点を重ねているのも、ゴール前に入る位置取りのよさがポイントになっている。特にここ2カ月は、チームメートがラストパスを狙うタイミングを計ったかのようなタイミングで、敵DFよりわずかに早く核心的な場所に加速して入るのが、実にうまくなった。なので、センタリングに合わせたダイレクトシュートや、思い切りのよい反転シュートが、再三ネットを揺らすようにになってきたのだ。
 さらに、脚力も魅力的だ。ハーフウェイライン手前あたりで、よい位置取りでボールを受けるや、そのまま高速ドリブルで30m程度の前進後、またぎなどの大きなフェイントから突破をこなせる。長い距離を走った後に、俊敏性を活かすもう一仕事ができるのだ。
 これらを考慮すると、西村と言う選手は、欧州のある程度のレベルのクラブにとっても、使い勝手がよいように思うのだ。与えられた守備のタスクを如才なくこなし、ボールを奪うやよい位置取りが可能、長駆をいとわずボールを運び、ペナルティエリア内で敵が嫌がる場所に進出できる。監督の意図さえ理解できれば、試合出場の機会は比較的早くやってくるのではないか。CSKAのようなレベルのクラブは、選手に対する個人戦術の要求レベルは、それなりに高いはずで、西村の特長はその高い戦術レベル対応できそうなところにある。そのうえで、まだ課題が残っているファーストタッチや、ドリブルシュートや、プレイ選択を、すこしずつ改善していければ。そして、西村は、この3年半、ベガルタでそうやって個人技術を少しずつ磨いて今日の地位をつかんだのだ。いま私が述べた西村の長所に、CSKAが目をつけてくれたのだとしたら、すばらしいのですけれども。
 、欧州の中堅どころのクラブは技巧に優れた選手を確保しづらいので、日本の若い攻撃タレントが、重宝されてすぐに起用されるケースをよく聞く。古くは中田英寿や中村俊輔であり、最近では久保裕也や堂安律がそう言った好例に思う。それに対して、その国のトップチームの場合、比較的タレントを集めやすいこともあり、相当レベルの高い日本人選手でも出場機会を得られないこともある、たとえばバーゼルにおける柿谷曜一朗が、そのような不運と遭遇したと思っている。
 まあ、ベガルタサポータの贔屓目かもしれないけれどもね。

 この西村の移籍劇で、ベガルタサポータの私は、またサッカーの新しい楽しみを得ることができた。
 海外のクラブの映像を丁寧に追いかけたいと言う思いを抱くのは、カズがジェノアに、あるいは中田がペルージャに、それぞれ移籍して以来だろうか。いや、西村がCSKAで定位置を確保し、さらなる上を目指すようになり、現地でベガルタゴールドをまといながら応援できたら、どんなに素敵だろうか。いや、日の丸とヤタガラスを胸にした西村がワールドカップ本大会で躍動する姿を見ることができたら。
 決して簡単な道ではないけれど、愛するクラブの若き選手が、自らの努力で新たな道を開拓してくれた。おめでたいことだ。西村拓真の成功を切に祈るものである。
posted by 武藤文雄 at 17:46| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月04日

ベガルタ開幕2連勝

 ベガルタは、開幕から2連勝。まことにめでたい。
 
 昨日のFC東京戦にせよ、先週のレイソル戦にせよ、似た流れのウノゼロの勝利だった。
 いずれの試合でも、前半は内容が悪く、危ない場面も多かった。しかし、GK関の完璧な位置どりと、大岩の献身的なカバーリングで、何とか無失点でしのぐ。そうこうしているうちに、前半半ば過ぎから、次第に狙い通りボールが回るようになり、ベガルタペースに。そして後半に先制、その後はチームとしてボールキープが機能し、守り切った

 まずレイソル戦。
 前半は非常に難しい試合となった。左サイドの永戸が前進するスペースを、レイソルの右バックの小池に埋められてしまい、思うように左サイドに展開できなかったからだ。にもかかわらず、多くの選手が右サイドでのプレイを選択し、いよいよ永戸が孤立。結果として、チームのバランスが崩れ、幾度かクリスティアーノや伊東に、よい体勢でボールを受ける形を作られ、幾度か決定機を許すことになった。レイソルの中盤後方の金甫Qと大谷が厳しい寄せで、ベガルタの中盤にサイドチェンジを許さなかったも大きかった。
 後半に入り、板倉が積極的に押し上げるようになると共に、阿部が左サイドに寄り永戸をサポートするようになり、状況は改善された。そして、後半序盤に、CK崩れのスローインからの古林のクロスに、前線に残っていた板倉が打点の高いヘッドで決めて先制。レイソル守備陣の集中がわずかに切れた幸運と、後方に戻らなかった板倉の強気の判断が重なったことによる得点だった。
 レイソルも、ACLの疲労もあるだろうし、新加入選手の使いどころが固まっていないチーム事情もあるのだろう。以降はベガルタはバランスよくボールを回せるようになり、ペースを渡さない。終盤に入り、奥埜の疲労が目立ち始めたところで、攻勢を許すことになったが、レイソルCBの中山が、石原の老獪なドリブルを引っかけ、2度目の警告で退場となったところで勝負あり。
 試合終了後の記者会見で、渡邉監督が自画自賛していた、3-1-4-2で敵ボランチをつぶしに行くやり方が、十分に機能したかどうかは微妙だったが、後半のバランス修正で、この強敵を押し切れたのだから、結構なことである。

 そしてFC東京戦。
 FC東京は、中盤をダイヤモンドに組み、序盤から昨シーズンとは見違えるような、前線から厳しいチェックを仕掛けてきた。結果として、ベガルタは大森、米本、東の3枚の中盤を抜け出せず、再三低い位置でボールを奪われ、トップ下の高萩に自在に細工され、ディエゴオリベイラと前田の2トップに好機を作られた。
 ただ、東京の厳しい前線守備が、段々とゆるくなった前半半ばからは、それなりに中盤を抜け出せるようになる。しかし、CBの張賢秀の的確な読みと鋭い出足が見事で、好機を作るにはいたらず前半終了。
 後半、さらに両翼からの圧力を強めたベガルタはとうとう先制に成功する。右サイドでボールキープした小林を、阿部が追い越しフリーでボールを受け、体幹の強さを活かしたドリブルで中に切り込み強いクロスをいれる。東京DFがヘッドでクリアしたボールを逆サイドから進出した永戸が拾い丁寧にプルバック。石原が合わせたボールはGK林を抜き、両側のポストに当たりゴールラインを越えた。石原のボレーキックはアウトサイドにかかったもので、飛んだコースも上記の通り最高。他の選手ならば「偶然ではないか」と思うけれど、石原だと「いかにも彼らしい相違工夫に富んだ妙技」と言う気がしてくる。
 ここで東京は、久保を投入してくる。さすがに驚いた。久保のドリブルは正しく脅威、ベガルタの守備者たちがボールをまったく奪えない。奪えないのみならず、コース取りが絶品。大岩は一度身体を入れたと思ったら、再度入れ替わられゴールラインをえぐられる。石原が抜かれた後方から自信をもってアプローチした富田は、スッとボールを動かされてファウルをとられる。奥埜と古林で囲んだと思ったら、ヒールキックで中央のフリーの選手にパスを通される。
 投入直後の約10分は幾度も危ない場面を作られたが、ベガルタ各選手とも次第に対応ができてくる。一つは久保へのパスの出所を厳しく押さえること。今一つは、ワンタッチ目でゴールを向かせないこと。久保自身がいわゆる一軍に合流したのも、長谷川監督が就任したのも、比較的最近であり、チームとして、まだ久保の使い方も、久保による使われ方も、十分に確立していないことが幸いした。この早熟の若者が、一層の、いや過去にない光彩を放ってくれることを期待したい。ベガルタ戦以外で。
 久保への対応が落ち着いた以降は、再びベガルタペースになる。前節見られた選手のガス切れもなく、そのまま押し切り、開幕2連勝。いや、えがった。

 この2試合、相手が新戦力を十分に消化しきれておらず、チームとしての成熟度で、当方が明らかに上回ったのが幸いした。また、いずれの試合も序盤ペースをつかめない時間帯に先制された可能性もあり、安定感と言う意味ではまだまだ。さらに、後半先制した以降ベガルタの意図通りにボールを回している時間帯は長かったものの追加点を奪えなかった。
 まあ贅沢は禁物だし、ここは開幕2連勝を喜ぶことにしよう。と考えると、「いや去年も2連勝した後は…」などと、どんどん悪いことを考えるのも、サポータ冥利と言うものか。
 一つ言えるのは、上記した通り、チームとしての成熟度は相当高まっていること。攻撃用タレントとして控えに入っている茂木、ラファルエソン、ジャーメインはまだ活躍の機会を得られていない。コンディションが整えば、椎橋、庄司、中野も登場してくることだろう。私は素直に今シーズンの飛躍を期待している。
posted by 武藤文雄 at 22:45| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月25日

Jリーグ2018年開幕

 さあ、Jリーグだ。

 我がベガルタの開幕戦が日曜日と言うこともあり、この土曜日は居住地近辺の平塚BMWスタジアム。ベルマーレ対Vファーレンを、ベルマーレを必死に応援するコーチ仲間の横で、似非サポータとして堪能した。
 ベルマーレは、持ち前のチーム全体の、豊富な運動量と前に出る勇気がしっかりと継続。それに加え、松田天馬の鋭いドリブルと、新韓国人ストライカ李廷記の受けのうまさと、強力な前線の武器が加わった感がある。一方のVファーレンは、高杉を軸にした守備に徳永が加わり一層の堅牢さを増し、ファンマを軸にした速攻は効果的。終盤セットプレイから得点したベルマーレが2対1で振り切ったが、おもしろい試合だった。
 やはり、生観戦は堪えらえない。

 と言うことで、26年目の開幕。いまは、明日のベガルタ対レイソルのDAZN観戦に思いをはせているわけだ。
 今シーズンのベガルタへの期待はおいおい語っていくこととして、26年目のJリーグへの思いを語りたい。

 いつもいつも語っているが、もう最近の日本サッカー界は、いま57歳の私にとって、20代の頃まで夢にすら思わなかった世界だ。毎週末、日本の主要都市で、多くのサポータが応援する中で、リーグ戦が行われる。それも、多くのクラブが、日本人好みの中盤を大事にしたサッカーを狙っている。そして、日本代表は、当たり前のようにワールドカップに連続出場している。
 夢にも思わなかった世界が実現してはいるが、まだまだ私にも欲はある。今以上に、日本代表がもっと強くなって欲しいし、一層充実したリーグ戦を楽しみたい。
 ところが、欧州のトップリーグの各クラブには、(制度上にも道義面にも幾多の疑問にも幾多の疑問はあるものの)ばかばかしいくらいのキャッシュが集まり、Jリーグ各クラブの予算規模との差は開くばかりだ。そのような現状で、我々はどこを目指せばよいのか。

 私にとって、その答えは明確だ。
 ブラジルやアルゼンチンを目指せばよいのだ。
 どんなに、よい選手が欧州に買われて行っても、ブラジルやアルゼンチンのように、それを上回る勢いで、よい選手が供給されればよいのだ。そうなれば、両国の国内リーグのように、常に充実した試合を毎週楽しむことができる。そして、ワールドカップで、もっともっとよい成績も収められるはずだ。
 ブラジルやアルゼンチンを目指すことそのものが、大変な努力を必要とするのは言うまでもないけれど。

 で。グランパスの、ガブリエル・シャビエルを見ていると、その大変な努力が、具体的に可視化されると思うのだ。
 オスカール、もちろんジーコ、レオナルド、ジョルジーニョ、ジーニョ、セサル・サンパイオ、そしてドゥンガ。このようなセレソンの名手ならば、すごいプレイを見せてくれるのは、理解の範疇内だ。また、セレソンまで行かずとも、多数のブラジル人の名手が、これまでのJをいかに実り豊かにしてくれたことか。
 しかし、ガブリエルの魅力は超越している。昨シーズンJ2でガブリエルが見せてくれた様々な好プレイ、技巧と判断の妙、「こんなことができるのか!」と言う魅力の数々。「恐れ入りました」としか言いようがなかった。ちょっと似た記憶として、90年代半ばに、サンフレッチェでプレイした中盤選手のサントスも、そのような魅力があったかなと。
 「どうやったら日本から、このような素敵な選手を輩出できるだろうか」と、ガブリエルの魅力あふれるプレイを見る度に考えてしまうのだ。正に、ガブリエルは、ブラジルと日本のサッカー力を分けている典型的存在なのだ。

 などと考えてながら、今シーズンのJに思いをはせる。
 久保建英(開幕戦でもプレイしたと聞いたが、)は、どのレベルまで行くことができるのか。一方で、久保のようなまだ若いタレントに過大な期待をすることに否定的な考えも少なくない。ただ、ペレとディエゴ・マラドーナはもちろん、ミシェル・プラティニやネイマールのようなタレントは、10代後半から、ほかの選手とはまったく異なる個性の冴えを見せていたのだが。
 そして、このシーズンオフに、我がベガルタに岐阜から移籍したMF,庄司悦大。エスパルスジュニアユース、清水商業と言った若年層育成組織の名門出身のこのタレントは、専修大学、町田、山口、岐阜と、J2、J3のクラブで着実に実力を蓄え、とうとう28歳となった今シーズン、J1に挑戦の機会を得た。
 この2人は、早熟、晩熟、それぞれの典型的なタレントだ。そして、このような、育成の多様性の実現こそ、ブラジルやアルゼンチンに追いつく道だと思うのだ。そして、このような丹念な強化を継続すれば、いつか我々は、ガブリエル・シャビエルを生み出すことができるのではないか。
 それが我々が目指すべき道だと思うのは、私だけだろうか。
posted by 武藤文雄 at 02:05| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月29日

平山相太引退

 平山相太の引退が発表された。オフに契約更新をしていたにもかかわらず、キャンプ中の発表、さすがに驚いた。度重なる負傷に悩まされた選手人生を象徴する引退発表となった。

 昨シーズン開幕戦、ユアテックでコンサドーレと対したlベガルタは押し気味に試合を進めるが崩しきれず、試合終盤を迎えた。渡邉監督は、この場面でベンチにいた平山を石原と交代させることを決意した。ところが、平山がピッチに入ろうとタッチライン沿いで待機していたところで、ベガルタは三田の強シュートのこぼれを石原が押し込み先制に成功。渡邉氏は、交代選手をストライカの平山から、DFの増島に切り替え、守備固めを選択した。
 そして、その翌日のサテライトの試合、平山は重傷を負い、チームからの離脱を余儀なくされた。
 今回の引退発表。その負傷の回復が順調でなかったと言うことだろう。残念極まりない。

 平山が格段の素質に恵まれていたことに異論を唱える人は、ほとんどいないだろう。ただ、残念なのは、その格段の素質の内容を見誤った指導者が、当時の若年層日本代表を率いていたことだったと思っている。そして、その監督がその後FC東京でも、平山の上司となった。
 もちろん、平山の魅力の1つに、190cmの上背があったことは確かだ。しかし、彼の格段の能力は、その上背ではなく、正確なボール扱いと、足でのシュートのうまさにあった。国見高校時代の幾多の得点が、落ち着いたインステップキックのグラウンダのシュートだったことは重要だ。また、その技巧を活かしたターンのうまさも相当だった。
 長身を活かした空中戦も悪くはなかったが、細身なこともあり、後方からの高いボールを受けるのは、あまりうまくなかった(一方で低い足下へのボールを収める上手だったが)。しかし、横に動いてマーカを振り切ってからのヘディングシュートの威力は中々だった。
 だから、そのような使い方をしてほしかったのだ。ああ、それなのに

 もちろん、負傷が多かったと言う不運も大きかった。また、オランダでのホームシックに代表される、精神面の課題もあったのかもしれない。けれども、あれだけの大柄な身体でありながら、あれだけ柔らかなボール扱いの上、あれだけ弾道の低いシュートを打てる技術を身に着けた男が、努力を惜しむ性格だったとは思えない。
 だからこそ、その格段の素質を活かしたチームでプレイすればとの思いは消えなかった。そして、ようやく、ようやくのこと、その機会は、やって来たのに。渡邉氏の指導の下、丁寧にボールを回し、両翼に人数をかけ、時に前線に速いパスを入れるベガルタ。ザ・リアル・ストライカの平山が、その格段の能力を発揮できるチームに、ようやく、ようやく出会えたのに。
 度重なった負傷を呪うしかないのか。

 それはそれとして。
 幾多の素敵な場面を見せてくれた平山に、改めて感謝したい。中でも、インタネットのカクカク画像で堪能したこの試合は、忘れられない。また、似非FC東京サポータとしてゴール裏に侵入し平山の消える動きを堪能したこの試合も。

 結びに戯言を。よく、「平山相太に、岡崎慎司のハートがあれば」と言う人がいる。でも、私の意見は違う。「平山相太が、岡崎慎司の上背しかなければ」と思うのだ。そうだとすれば、平山は、優雅で技巧的なストライカとして、誤った使われ方をせずに、もっともっと、その個性を活かせたのではないか。

 幾多の美しい得点に多謝。
posted by 武藤文雄 at 00:13| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月31日

2017年ベストイレブン

さて、恒例のベストイレブンです。

GK 川島永嗣(メス)
 2017年に入っての最初のワールドカップ予選、敵地UAE戦でハリルホジッチ氏はGKに川島を起用した。この試合、前半早々に日本が久保の個人能力で先制した直後、DFの不用意な対応から許した1対1の決定的ピンチを、川島が防いだ場面は記憶に新しい。さらに続く埼玉タイ戦では、終盤のPKを、川島は見事に防ぐ。これらの川島の好守もあり、日本は得失点差を含め予選グループのトップに立つことができた。以降も代表で安定したプレイを披露、予選突破の立役者の1人となったのは、ご存知の通り。あのUAE戦まで、自クラブでもほとんど出場機会がなかったと聞くが、難しい環境にもかかわらず、体調を含めた能力を維持し続けた川島自身の努力、それをしっかりと観察し起用したハリルホジッチ氏(正確には、ハリルホジッチ氏のチームと言うべきか)の慧眼と合わせ、正に今回のワールドカップ予選の1つのハイライトだった。

DF 酒井宏樹(マルセイユ)
 距離が出るクロスを蹴ることができて180cmを超える長身と言う特長があるサイドバックが、ようやく本物になった感がある。中でも長足の進歩は、その粘り強い守備。フランスリーグでも親善試合でも、ネイマールと堂々の丁々発止を演じてくれるまでに成長したわけだ。酒井宏樹とネイマールと言えば、この試合を思い出すわけだが、この6年間で酒井は着実にネイマールとの差を詰めてきたことがわかる。これは嬉しい。もちろん、レイソルでプレイしてきた時から有効だったクロスは、これからもっともっと猛威を振るってくれるはず。まずは、大迫、原口、岡崎らとの連携強化を期待したい。

DF 吉田麻也(サウサンプトン)
 吉田麻也も、このワールドカップ予選中に大化けしてくれた。ザッケローニ氏が率いたときから代表の定位置をつかみ、プレミアリーグでも相応の活躍をしながら、敵との1対1の際に(自らの鈍足を考えすぎるのか)慌てる悪癖があった。しかし、16年の敵地豪州戦以降、格段に落ち着きが増し、何かしらの風格も漂うようになってきた。この成長に、ハリルホジッチ氏が相当な関与をしたと考えるのは、私だけだろうか(敵地豪州戦直前の、埼玉イラク戦では、麻也は相変わらず、落ち着きのないプレイを見せていた、この2試合の間の「何か」が麻也を変えたように思うのだ)。だいたい、世界を代表する名DFたちだって、テュラムやカンナバーロやマスケラーノと言った「超人」を除けば、足が遅いとか、後ろを突かれると弱いとか、百点満点の選手は少ないのだから。29歳でロシアに向かう麻也に、期待したいのは、かつて井原正巳や中澤佑二が見せてくれた、格段の予測能力。頼むぞ。

DF 阿部勇樹(浦和レッズ)
 ACL制覇は、結局この男に帰する。ペトロビッチ氏の崩壊の後、指揮権を任された堀氏のヒットは、阿部を中央にした4DFで後方を固めたことだろう。さすがに、往時の強さと速さは失われたが、格段の読みと位置取りは未だ健在、もちろんロングボールの弾道の美しさも全盛期とは変わりない。
 実はこのポジションは、リーグ制覇に強さで貢献した谷口彰悟や、リーグ戦フル出場し天皇杯決勝に進出した中澤佑二と、迷ったのだが、やはりあのACL終盤の超然とした守備を思い出すと、やはり阿部だなと。

MF 槙野智章(浦和レッズ)
 嫌いな選手だった。いわゆる守備の1対1の応対のうまさは国内屈指の能力を持つにもかかわらず、肝心の場面で敵のマークを見失うことが再三。さらには、リードされた試合で、強引に前に位置取りし、チームのバランスを崩す場面を幾度も見せられてきたから。しかし、17年後半から、それらの悪癖が消え、センタバックとしても、左サイドバックとしても、見事なプレイを見せてくれた。不用意な判断ミスががなくなれば、周囲を叱咤激励する発信力の強さもポジティブにはたらく。サンフレッチェ時代から、槙野を甘やかし、上記のミスを犯しても許し続けてきた、ペトロビッチ氏が去ったことも、槙野には幸運だったのだろう。もちろん、槙野が今日の能力を築くためには、ペトロビッチ氏の教育は重要だっただろうが、ここに来ての氏との別離が、この逸材をようやく本物にしてくれつつあると期待したい。

MF 山口蛍(セレッソ大阪)
 ブラジル大会でも準レギュラとして活躍し、将来を嘱望されていた蛍も、ようやく真価を発揮しつつある。元々、球際の強さ、ボール奪取力、常識的だが丁寧な展開、などいわゆる守備的MFとしての能力は折り紙つきだった。何よりすばらしいのは、そのスタミナだ。90分間、最後の最後まで、戦い続けることのできる能力は、必ずやロシアで我々に歓喜を提供してくれることだろう。

MF 井手口陽介(ガンバ大阪)
 底知れぬ潜在力。そのボール奪取力は明神智和のデビュー時をを髣髴させるし、埼玉豪州戦の決勝点に代表される長駆後の継続性は2002年当時の稲本潤一を思い起こさせるし、正確なパスやドリブルは(そのふてぶてしさを含め)J2からJ1に殴り込みをかけてきた当時の中村憲剛の印象すら与えてくれる。もしかしたら、日本サッカー界が生んだ最高の素材ではないか。我々のロシアでの歓喜は、もはや井手口抜きには考えられないが、何かしらそれに留まらない期待を抱かせてくれる。一部に欧州の2部リーグへ移籍すると噂もあるが、才能の安売りだけは避けて欲しいのだが。
 
MF 中村憲剛(川崎フロンターレ)
 詳細は10大ニュースで。

MF 堂安律(FCフローニンゲン)
 あのワールドユース(U20ワールドカップ)での、イタリア戦。ヨハン・クライフの74年ブラジル戦のような1点目、ディエゴ・マラドーナの86年イングランド戦のような2点目。ロシアに間に合って欲しい。

FW 小林悠(川崎フロンターレ)
 縦に飛び出す際のボールの置き方と、敵DFとの間合いの取り方が巧みな、このストライカ。大久保嘉人が去ったクラブで、中村憲剛から腕章を受け継ぎ、Jリーグを初制覇し、得点王となった。そして、主軸のほとんどを欠いた東アジア選手権でも、技巧のみならずエースとしての自覚を発揮、上々のプレイを見せた。好素材が完成に近づきつつある。すばらしいシーズンだった。けれども、小林悠がロシアの23人に残るためには、大迫勇也、岡崎慎司、久保裕也、浅野拓磨、杉本健勇、武藤嘉紀、場合によっては本田圭佑との争いに勝たなければならない。選手層の分厚さは結構なことだが、何とも厳しいものだ。

FW 大迫勇也(1FCケルン)
 大迫はいわゆる万能型のセンタフォワード。格段のキープ力で日本代表の攻撃の中軸を担い、予選突破の立役者の1人となった。ハリルホジッチ氏のチームの攻撃は、大迫の格段のキープ力を軸にしている。そして、先日のブラジル戦でもベルギー戦でも、このやり方はそれなりに通用した。紛れもなく、大迫は日本最高のフォワードになりつつある。しかし、残念ながら、このままでは日本最高のストライカになれるかどうはわからない。ハリルホジッチ氏に要求されているボールキープは重要だが、もう少しシュートに余力を残しておけないものか。この課題をクリアしてくれれば、我々は格段のストライカをも入手できるのだが。1968年に日本がメキシコ五輪で銅メダルを獲得した際、日本には背番号15の万能型ストライカがいた。あれから50年が経った。同じ背番号でプレイする大迫が、どこまで釜本の域に近づけるか。
posted by 武藤文雄 at 21:54| Comment(4) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月18日

苦闘続くベガルタに、中野嘉大の勇気

 ベガルタ1-0サンフレッチェ。
 私にとっては、久々のユアテック詣でのこの試合、ベガルタは8試合ぶりの勝ち点3を獲得した。
 前半は残念な内容だったが、ハーフタイムの修正が絶品(詳細は後述)。後半は完全にペースを確保し、51分に奥埜が先制。以降は、再三すばやい速攻から分厚い攻めを見せ、好機をつかんだのだが追加点は奪えず。終盤、サンフレッチェのパワープレイに苦しめられたが、何とか守り切った。
 いや、1点差でリードし、終盤危うい場面に絶叫し、選手と共に戦い抜くのは、サポータ冥利の1つ。中々生観戦しない不良サポータが、このような快感を味わえたのだから、ありがたいことだ。

 前半のベガルタは攻守ともに機能しなかった。
 出場停止の平岡に代わり中央のDFに入った大岩が、判断よくラインを上げるのだが、左DF増嶋と左MF中野の反応が鈍く、オフサイドラインが上がらない。ために、サンフレッチェのワントップのパトリックに幾度もよい体制でボールを受けられて、難しい状況を作られた。チームとして、分厚い守備的なサッカーをねらっているのではないのだから、ラインを上げる勇気は必須なのだが。
 さらに悪いことに、攻めに転じたところで、左サイドでボールを受けた中野が前を向いて仕掛けようとせずに、内側を向いてボールを受ける。そのため、せっかくボールを確保して前に出ようとした他の選手の前進が止まってしまう。そうなると、せっかくタッチライン沿いでキープしたボールを、ピッチ中央に戻すことになり、敵MFにカットされ、いわゆるショートカウンタを食らうリスクも高まる。中野のような個人技で敵を抜き去る能力が高い選手は、前に出ようとするだけで、敵を警戒させ後方に押し下げることが可能になるのだが。やれるはずのタレントが、消極的なプレイに終始したのが、もどかしかった。

 しかし、後半状況は劇的に改善された。
 中野が勇気を発揮し、前を向いてボールを受け、前進するようになったのだ。そうすれば同サイドの増嶋も、ラインを上げられるようになる。すると、センタの大岩も一層前に出ることができる。結果として、中野の対面の丹羽は中野の突破を怖れて後方に下がり、戻りの遅いパトリックとアンデルソンロペスを孤立させることに成功、以降は完全にベガルタペースで試合は進む。51分の先制点も、動きがよくなった中野の前進から、西村が強シュート、GK中林がはじいたボールを、詰めていた奥埜が決めて先制したものだった。
 その後も試合はベガルタペースで続く。大岩を軸とした最終ラインの押し上げが効果的で、おもしろいように、中野、三田、富田、古林の4MFがルーズボールを拾い、左右のDF増嶋と椎橋がそこに加わり、効果的なボールが前線に入る。石原のいやらしいキープと、西村と奥埜の長駆も効果的で、ベガルタは幾度も好機をつかむ。しかし、どうしても2点目が奪えない。
 問題はこれだけ攻勢をとりながら、追加点を奪えなかったこと。まあ、こう言ってしまうと、身も蓋もないのだが、各選手のシュート力に課題があるのだ。特に、中野、古林、(古林に代わった)蜂須賀らが、アウトサイドから中央に切れ込んで、ほぼフリーでミドルシュートを狙うのだが決めきれない。どうしてもカットインしてのシュートと言うものは、敵GKからはシュートコースを見極められやすいものだから、GKのタイミングを外すなり、読まれづらいコースを狙うなりの工夫が欲しい。
 また、シャドーを務める西村だが、相手を抜ききる前にもっとシュートを狙う意識を高められないものか。強引な持ち出しは、ここ2〜3か月、ますます凄みを増している。そこに加えて、持ち上がろうとする時点で、どこに持ち出し、どこでシュートを打ち、どこに決めるのか、もっともっと意識を高めて欲しい。今シーズン着実に上昇する西村だからこそ、要求が贅沢になってくる。もちろん、シュート力と言う意味では最高のクリスランがいる。しかし、クリスランは、ボールを収める力が弱いだけに、フルタイム使うのが難しい。そうこう考えると、西村の一層の向上と工夫に期待したくなる。頼むぞ。
 余談ながら、元サンフレッチェの石原と、かつてのチームメートの千葉と水本との丁々発止は、何ともおもしろいものだった。お互い長所短所や、プレイイングディスタンスを知りぬいているのだろう。絵に描いたような、騙し騙されの攻防は、実に見どころが多かった。さらに余談、石原のボールの受け方、ターン、身体の入れ方などを集めた映像を、どなたか作ってもらえないだろうか。サッカーの難しさがわかってきた小学校上学年や中学生に、恰好の教材となると思うのだが。
 最後の10分、サンフレッチェはパワープレイに転じる。パトリック、アンデルソンロペスに工藤が並ぶFW陣は、中々強力ゆえ、ほうりこまれるとさすがに劣勢となる。こういう時こそ、ラインを高くして、パワープレイをさせないように中盤を機能させたいところだったが、うまくいかず最後は押し込まれるままとなってしまった。それでも、各選手の献身的努力と、シュミットのファインプレイで何とか零封に成功、何とか勝ちきることができた。やれやれである。
 このあたりは、ボランチの運動量確保に課題があるように思う。渡邊監督の、主将富田とゲームメーカ三田への信頼は絶大で、(それは結構なことなのだが)2人が少々疲弊しても、交代しない。しかし、このように単純な方策で押し込まれてしまう欠点の改善は必須だ。2人をどうしてもピッチに残したいのならば、三田を一列上げて、梁や藤村をボランチに起用し運動量を確保する手段もあると思うのだが。

 ベガルタにとっては、本当に貴重な勝ち点3確保となった。結果も嬉しかったが、試合内容、特に後半の内容がよかったからだ。
 6月後半から7月上旬にかけてのホームでのセレッソ戦、ガンバ戦は、かなり質の高い攻撃ができたのは確かだったが、守備はガタガタだった。さらに、続くヴィッセル戦では、名将ネルシーニョ氏に両翼を的確に抑えられ有効な攻撃はできず、守備面の弱点も執拗に狙われ完敗し、中断期間を迎えた。さすがに渡邊監督も、まずいと思ったのだろう、中断期間は守備の修正に多くの時間を割いた模様で、レイソル戦以降、守備はかなり改善された。ところが、その背反か、攻撃はほとんど機能しなくなっていた。
 レイソル戦の終了間際の同点弾は、どう考えても幸運の賜物。続くアントラーズ戦は、濃霧と言う不運はあったものの、シュートは僅か1本。そして、連戦で行われたジュビロ戦は、敵の組織的なフォアチェックを抜け出せず、「よくもまあ失点しなかったものだ」と言う超幸運な0対0だった。
 そうこう考えると、後半完全にペースをつかみ、幾度も好機をつかみ勝ち取ったこの勝利は本当に重要だ。しかも、守備面で大きな破綻もなかったのだし。

 今シーズン、従来のいわゆる4-4-2から、3-4-3に配置を切り替え、両サイドを前面に押し出すやり方を採用したベガルタ。その前面への押し上げが奏功し、相手の監督から、お褒めの言葉を頂戴した試合もあった。しかし、落ち着いて振り返ってみると、明確な成果を発揮した試合は案外と少ない。守備面で大きな破綻がなく、良好な攻撃ができた試合は、敵地で3-0と快勝したエスパルス戦と、同じく敵地で押し込みながら1-1の引き分けに終わったマリノス戦くらいではなかったか。
 今後、このサンフレッチェ戦のように、守備面の課題を丁寧につぶした上で、いかにマイボールを大事にして人数をかけた攻撃をしっかりやり遂げることができるか。ベガルタが、上位進出を目指すためには、サッカーの質を上げていくしかないのだ。
 続くのは敵地での、アルビレックス戦、コンサドーレ戦。共に今シーズンは苦闘しているクラブだが、試合内容は悪くなく、選手の個人能力も我が軍とは、ほぼ互角と関げてよいだろう。彼我の戦闘能力差、残留争いの星勘定、そして敵にとってホームゲームであることを考えれば、両クラブともベガルタから勝ち点3を獲得することを目指してくるのは自明だ。
 その難敵を相手とするときに重要なのは、試合内容の充実に尽きる。ようやく獲得しつつある攻守のバランス、両翼の勇気、シュートの改善、終盤までの運動力の確保。これらを、しっかりと行うことが、今後の上位進出はもちろん、この2試合でのより多くの勝ち点獲得にも重要なはずだ。
 よい成果を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 20:26| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

石川直樹との別れ

 石川直樹が、コンサドーレに完全移籍した。
 今シーズンに入り、スタメンの座を奪われていた石川。したがって、他クラブからオファーがあれば、石川が移籍の決断をするのは不思議ではない。ベガルタにとっては貴重な控え選手ゆえ、戦闘能力と言う意味でも痛いし、何より石川がいなくなると考えると寂しい。しかし、ここは快く送り出すしかない。そして、新たな環境での活躍を期待したい。ベガルタ戦以外でだが。
 それにしても、この4年半の貢献には感謝しても感謝しきれない。特に2014年シーズンに、我々がJ1に残留できたのは、石川の八面六臂の活躍があってのこと。あの難しい時期のベガルタを支えてくれた石川のプレイ振りを、私は忘れることができない。

 石川は、ベガルタにACLに出場したの2013年シーズンに、ベガルタに加入した。
 当時のベガルタは、菅井、梁、関口、富田と言った2000年代前半に加入した生え抜き選手に加え、J1再昇格の2010年シーズン前後に獲得した、林、鎌田、角田、太田、赤嶺、そしてウイルソン、さらには朴柱成と言った、移籍で獲得したタレントの個人能力を存分に発揮させることで輝いたチームだった。こう言ったピンポイントの移籍選手獲得の格段のうまさと、手倉森監督の格段の手腕により、我々はACL出場の栄冠をつかむことができた。
 けれども、そこには背反があった。それぞれの選手たちは、みな己の選手としてのピークを迎える年齢、つまり20代後半にベガルタにやってきた。そのため、2014年シーズンには一気に反動が来た。チームの老齢化が隠しようがなくなったのだ。
 その2014年シーズンに常時出場し、チームを支えたのが、石川だった。石川はベガルタの一番難しい時期を支えた存在だったのだ。そして、翌2015年シーズンより、ベガルタは奥埜に代表される自前の若手選手を次々に登場させ、新たなステージに移ることができた。

 石川はセンタバックもサイドバックもこなし、左足のキックが魅力。その左足は、センタバックでは高精度のロングフィードに、サイドバックでは好クロスに活かされる。左利きで、いずれの位置もこなせるタレントは日本では珍しい。私的には、日本のマルディーニなのだ。
 守備においては、いわゆるスピードは今一歩だが、敵の攻撃を読む能力に秀でている。ただし、昨シーズンあたりから、年齢的なこともあるだろうが、単純なスピード不足で敵のサイドプレイヤに突破を許す頻度が増えてきて、「そろそろサイドバックは難しいかな」と言う印象だった。
 そして、ベガルタが今シーズン3DFを採用したこともあり、石川はいわゆる左のセンタバックで起用された。ところが、そうなると局面によっては、サイドでの守備が必要となり、上記したスピード不足の課題を露呈することもあった。そのため、敵FWへの応対が丁寧な増嶋に定位置を奪われた格好となっていた。
 それでも、石川はルヴァンカップでは主将を務め、2次ラウンド進出を支え、ベガルタにとっては、貴重な貴重な控えの守備者った。そして、勤勉な石川のことだ。丁寧に自分の長所短所を整理し、レギュラ奪回を狙っていたはずだ。その奪回劇を堪能させてもらう前に、コンサドーレからのオファーが届いたと言うことだろう。

 石川の移籍が発表された日に行われたレイソル戦。同じポジションに椎橋慧也が抜擢された。椎橋は、落ち着いたポジション修正、敵の縦パスへのはね返し、正確なフィードを見せてくれた。そして見事なドリブルの攻め上がりから、石原に決定的なラストパスも通した。もちろん、加速したクリスティアーノや伊東に、後方を突かれるなど、肝心の守備はまだまだ課題は多い。それでも、椎橋のプレイは我々に大きな期待を抱かせるものだった。石川が去ることにより、椎橋は機会を得た。そして、椎橋と同年齢の小島や常田に機会が訪れる可能性があるだろう。さらには、3日には新しいブラジル人CBのヴィシニウスの獲得が発表された。去る者があれば、来る者もいるのだ。

 改めて、4年半の間、ベガルタのために粉骨砕身してくれた石川直樹に感謝したい。ありがとうございました。
posted by 武藤文雄 at 01:23| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月31日

蜂須賀孝治の充実と課題

 J1第19節、ベガルタ1-1レイソル。

 中断前3試合で、毎試合のように大量失点をして3連敗していたベガルタ。さすがに、この試合では守備を相当意識した試合を行った。蜂須賀と中野の両サイドMFが、素早く最終ラインに入り、3-4-3と言うよりは、5-4-1と言う並び。もちろん、ボールをしっかりとキープする狙いは変わっていないから、蜂須賀と中野は幾度も上下動を繰り返す必要があり、負担は非常に重い。
 そして、ベガルタの守備は非常によく機能。石原と西村が長い距離を走る逆襲速攻、蜂須賀の強引な右サイド持ち出しに大岩と西村がからむ右サイドからの崩しなど、上々の展開で後半半ばまで試合は進む。
 しかし後半半ば過ぎ、ベガルタはCKから先制を許す。その後、ベガルタは中々有効な攻め込みができない。クリスランと石原が、レイソルの中谷、中山の若きCBに押さえられ、結果両翼に起点を作れなかったのだ。中でも、シーズン当初より上半身が明らかにたくましくなった中谷は、忌々しい事この上なく、カバーリングの妙と、体幹の強さを存分に発揮されてしまった。
 それでも、アディショナルタイム、クリスランが狡猾な動きから、中野のスルーパスを呼び込み、左から抜け出し鋭く低いクロス、石原が見事なスクリーンプレイからボールを落とし、中野が叩き込んで同点。
 まずはやれやれである。この勝ち点1は、ベガルタにとっては、本当に貴重なものとなった。

 ともあれ。CKから奪われた失点は、ほろ苦いものだった。
 レイソルに分厚い攻めを仕掛けられたが、ベガルタ守備陣も丹念に対応。富田が実に見事なボール奪取を見せたものの、蜂須賀がクリアすればよいものの中途半端につなぎを狙い拾われ、シュートまで持ち込まれたのをブロックして許したCKからだった。
 そして、キッカーのクリスティアーノがファーサイドを狙ったボールに、見事な出足で飛び出した伊東に、蜂須賀の前でヘディングを許し、決められてしまった。
 つまり、蜂須賀が提供したCKの対応を、蜂須賀が誤まり、失点してしまったのだ。

 つらいことだが、中断前の3連敗、失点場面に幾度も蜂須賀はからんでいた。ガンバに許した決勝点は、ガンバのFKに一番ファーサイドにいた蜂須賀が対応できず、ファビオにヘディングシュートを許したものだった。ヴィッセルに許した先制点は、蜂須賀が不用意につなごうとしたボールを奪われたものだった。
 この日のレイソル戦の失点は、蜂須賀はつい最近行ったミスを再度犯してしまったために、許したものだったのだ。

 蜂須賀は2013年シーズン、仙台大から特別指定選手を経てベガルタに加入したサイドプレイヤ。180pの体躯、利き足は右だが左でもしっかりとクロスを蹴ることができ、縦への疾走を繰り返すことができる。しかし、中々定位置をつかむことができずに5シーズン目を迎えた。
 蜂須賀がレギュラに定着できなかった要因はいくつかある。元々、ベガルタの右サイドバックには、クラブのレジェンドでもある菅井直樹がいたこともあった。蜂須賀自身が、ベガルタ加入以降複数回下半身の大怪我をしたこともあった。ただ、それらに加えて、時々びっくりするようなミスをする悪癖があったのだ。中盤でパスをつないでいるときに、簡単な横パスを提供してしまう。逆サイドから攻め込まれているときに、敵に揺さぶられているわけものないのに、ボールウォッチャになってしまうなど。
 それでも今シーズンの蜂須賀は格段に成長している。幾度も上下動を行える脚力を活かし、いずれの試合でもスプリント数は格段の回数を誇る。縦に出た右クロスも、切り返した左クロスも、精度が向上した。敵サイドプレイヤに対する守備応対も随分と粘り強くなった。中盤でのつなぎも、逆サイドへの展開を含め、間違いなく上達した。
 渡邉監督が目指すサッカーでは、サイドMFの充実が何より重要。そして、左サイドで高い評価を得ていた新人永戸の負傷離脱はあまりに残念。しかし、その他のサイドMFとしては、ようやく負傷が癒えた中野、グランパスから獲得した古林、ベテランの菅井、若手の茂木、小島など候補選手は多い。しかし、蜂須賀には彼らライバルにはない、体格の強さ、空中戦の強さ、そして何より上下動をいとわない脚力がある。
 そして、我がクラブは、少々欠点がある選手を見捨てる贅沢は許されない。蜂須賀が己の長所を活かし、短所を改善することで、格段のサイドプレイヤに成長すること。それが、今シーズンの上位進出のカギを握るのだ。

 頑張ってくれ、蜂須賀よ。 
posted by 武藤文雄 at 00:12| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月29日

渡邉監督、順調だからこそ柔軟な采配を

 イタリア戦の堂安の2発もすごかったが、昨日のアルビレックス戦ののクリスランの決勝弾も相当な難易度だった。テレビ桟敷とは言え、これだけ鮮やかな得点で幾度も歓喜することができたのだから、誠に結構な週末だった。

 ベガルタは、アルビレックスに2対1でかろうじて逆転勝利。敵地でエスパルスに3対0で快勝した以降、4試合ぶりの貴重な勝利となった。
 ちょっと過去3試合を振り返ってみる。
 まずホームのFC東京戦。前半CKのこぼれ球、ゾーンディフェンスがカバーできない地域に位置取りした大久保に、ペナルティエリア外側あたりから、地を這うような強烈な一撃を決められる(生観戦してたのですが、美しい弾道だった、くそぅ)。さらに後半、シュミットのミスを突かれ大久保にもう一発食らう。強引な攻めは森重に止められるため、三田を中心に丁寧に変化をつけた攻めを展開。しかし、どうしてもGK林を破ることはできなかった。大久保、森重、林と言った、個人能力の高い選手に敗れた試合だった。
 続く敵地の大宮戦。前半は完全に圧倒、敵DFの軽率なミスで得たPK崩れからクリスランが先制。その後も複数回好機をつかむ。ところが、後半CKからニアを固める(最近のはやり言葉ではストーン)クリスランが簡単に敵に前に入られフリックされて、ファーサイドフリーの山越に決められ同点を許す。これにより、連敗続きの大宮がホームの大声援の後押しで勢いを増す。特にFW瀬川の献身的なフォアチェックに苦戦。西村の軽率なボールロストからの速攻から、大前に鮮やかな個人技を発揮され決勝点を奪われた。ペースを奪われた時間帯に無理をしてしまい、悪い流れのまま無理をしてやられると言うもったいない試合だった。
 そして前節の敵地横浜戦。この試合も前半から敵を圧倒する。決定機は前節前半より多いくらいだったが決められない。選手達にも焦りがあったのか、フィニッシュに向けて、妙に凝ったパス回しを始める。イヤな予感がしていたら、案の定中盤のミスから速攻を食らい、前半アディショナルタイムに先制を許す最悪の展開。それでも後半もよいペースを維持、CKから大岩が同点弾を決め、その後も攻め込んだが、どうしても中澤を破れず、引き分けに終わった。フィニッシュには課題が残ったが、90分間攻勢をとれたのは明るい材料と思われた。

 そうこうして迎えたこの新潟戦。前節からの勢いをそのまま継続したように前半から攻勢をとる。しかし、フィニッシュに工夫が足りず決めることができない。特に高いクロスの多くを、新潟CB宋株熏にはね返されていたのだから、ラストパスにもう一工夫欲しいところだった。
 しかし、好事魔多し。後半立ち上がりに、中盤で簡単に奪われて、速攻から決定機を許すも、かろうじてしのぐ。そして、それ以降、押し込むことができなくなる。そして、無理に攻め込もうとしては中盤でボールを奪われ、さらに2度好機を許す。そして、60分過ぎ、前線で石原がうまいキープを見せるがフォローに入った梁?との連係ミスから簡単にボールを奪われ、またも速攻を許し、とうとう先制点を奪われてしまう。
 これは、渡邉監督の采配ミスだろう。後半立ち上がりから、思うような展開が叶わず、幾度も速攻から決定機を許していたのだから、何がしかの修正を行うべきだった。梁に代えて西村を入れて運動量を増やし敵DFを押し下げてもよかた。この日久々にベンチに入った野沢を起用して全体の展開をスローにする手段もあったはずだ。もちろん、中盤を構成する富田や三田に、ベンチから「無理して前ばかりいかず、ゆっくり展開せよ」と指示する手段もあった。しかし、後半立ち上がりの15分間、あれだけペースが悪くなっていたのに、渡邉氏は何も手を打たなかった。
 大宮戦もそうだが、敵がアグレッシブになることで、今までうまく行っていた展開が叶わなくなることはあるものだ。それに対して、無理にうまく行っていたときと同じやり方にこだわるのは、どうしても無理が生じてしまう。

 失点後、渡邉氏は果断な采配を振るう。クリスランと西村を同時投入、基本的に後半交代することが多い梁はさておき、今シーズン攻撃の要としてほぼフル出場していた石原を比較的早い時間帯に外したのは、相当な決断だった。
 この交代はうまく行った。いきなり西村が遠い距離からミドルシュートを放つなど、再三縦に出る勢いを見せ、新潟DFを押し下げることに成功したからだ。そして、ベガルタは再び攻勢をとると、少しずつ新潟の選手に疲労が目立ち始める。
 そして83分、西村との連係で抜け出そうとしたクリスランが倒されPK獲得し同点。さらにその直後、永戸が守備ラインとGKの間に見事なクロスを通す。そして、クリスランがものすごい得点を決めてくれた。左からのクロスをジャンプして左アウトで左前方にトラップ、それを左足のジャンプボレーで叩き込んだのだ。クリスランがトラップした瞬間、「ヘディングシュートを狙えよ」と文句を言ったのはひみつだ。
 その後は、一度ホニに抜け出されシュミットのファインプレイでしのいだ場面を除いては、丁寧に時計を進めタイムアップ、久々の勝利とあいなった。まずはやれやれである。

 勝ったのは嬉しい。しかも逆転劇の快感は格段だ。けれども、後半序盤の悪い時間帯に、しっかり修正できていれば、ああも易々と失点しなかったのではないか。そして、大宮戦に続き、悪い時間帯に修正し損ねたのは気になる。

 勝ち点は思うように伸びていないが、チーム作りは順調に進んでいるのは間違いない。
 今シーズンから始めた両翼を押し出す3DFの連係は、試合ごとによくなっている。開幕当初から、よく機能している左サイドの新人永戸は、この日もアシスト以外でも、工夫したクロスを再三上げている(同点直前、西村に合わせたグラウンダのクロスも見事だった)。加えて、ここ最近、右サイドの蜂須賀が、脚力と両足を扱える長所を活かせるようになってきた。今期の移籍組で最も期待された中野も復活してきたし、ここにはふてぶてしさが武器の茂木もいる。
 前線の選手層も相当なものだ。石原と梁の異なる知性、奥埜の献身と裏抜け、西村のアグレッシブさ、佐々木匠の技巧は間違いない、ルヴァンカップを見た限りではまだまだ野沢も元気だ。そしてクリスランのズドーン。これだけのタレントを、どう組み合わせるか。
 若い選手の台頭も多く、選手層も着実に厚くなっている。結構なことだ。ルヴァンカップを含め、西村、匠、椎橋と言ったタレントが存分に機能している。他クラブの関係者に笑われるだろうが、我がクラブが20歳そこそこのタレントを機能させられたのは、J2時代の菅井、関口、萬代ら以来なのだ。

 渡邉氏は、見事にチームを作ってきている。だからこそ、いっそう柔軟な采配を期待したいのだ。せっかく、ここまで質の高いサッカーの息吹が感じられるのだから、それを存分に活かしたいではないか。
 まあ、そうそう思うように行かないから、おもしろいのですがね。
posted by 武藤文雄 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月08日

取られも取られたり

 ベガルタはレッズに0対7で惨敗。
 1週間根を詰めて働いて迎える愉しい週末が、これで始まるのだから、サポータ稼業はやめられない。現地に行かれなかった己の情けなさを呪い、大差がつけられても奮戦してくれた選手たちを誇りに思い、現地で最後まで声援を送り続けた友人たちに感謝したい。

 まあ、言い古された話ではあるが、0対7で1試合負けるのは、0対1で7回負けるよりも格段にマシなのだ。今シーズンはルパンカップを含め7試合を行い、得点は3、失点はこのレッズ戦を含め17。それでも、リーグ戦で勝ち点9を確保しているのだから、最高の成果を挙げていると理解すべきだろうな。

 勝敗そのものも、大差がついてしまったことも、2点目が分岐点となった。得点力に乏しい我が軍は、西川や遠藤航が後方を固めるレッズから大量点をとるのは難しい。ために、2点差になった時点で、ベガルタの選手達の守備統率意識が崩れてしまった。一方で選手達の敢闘精神はすばらしかったのだけれども(終了間際の梁の逸機がその典型だった)。3点目はミスがらみだが、武藤へのアプローチに連動がなくズドーン。4点目のPK提供の平岡の宇賀神に対して無謀なタックル。5点目はレッズの速攻に対しラインが揃わない。
 選手1人1人が頑張っても、あれだけ守備組織がおかしくなると、レッズの攻撃は防げない。サッカーは頑張るだけでは勝てない。頭を丁寧にはたらかせて、相互が適正な連係をとらなければ。2点差、3点差にされても、落ち着いて頭をはたらかせて欲しかったのだけれども。もちろん、全選手が冷静な判断を失っていたわけではない、特に関は、あれだけ失点を重ねがらも、90分間を通し冷静な位置取りで的確なプレイを継続してくれた。
 まあしかし。レッズ相手に組織崩壊し、どんどんと点差を開かれても、いずれの選手も戦う気持ちは萎えてなかったのだから、それでよいのだろう。いや、今後のことを考えると、この展開では知性よりも精神力を見せてくれた方がよかったのかもしれない。

 元々この日は契約条項で石原が使えない。平山と西村は負傷離脱中、クリスランもフルタイムの出場は難しい。そのような状況で、渡邉監督は、奥埜と梁を2トップにした5-3-2を選択、まずは守備的に戦うことを選択したのだろう(野沢を前線に起用するやり方があったように思うが、体調がよくないのだろうか)。これはこれで、合理的な策ではあった。
 しかし、両翼の永戸が若さを露呈し絞り過ぎ、蜂須賀が駆け引きで興梠に完敗し、早々に失点。2点目は、中盤選手が引き過ぎて(この欠点は、ヴィッセル戦でも見られたことだ)、いわゆるバイタルを空けてしまい、そこから永戸が関根に出し抜かれた。
 特に永戸は同年代のトッププレイヤである関根に完敗したことそのものが、とてもよい経験になったはずだ。永戸は終盤茂木と交替させられた訳だが、経験と言うことを考えれば、最後までプレイさせたかった。交替に関しては、この展開だったのだから、菅井ではなく2年目の佐々木匠を使ってもよかったとも思う。これだけ状況が悪くなったのだから、若い永戸、茂木、匠らに託すのも一手段ではないか。
 まあ、渡邉監督はそう言う男なのだ。どのような状況になっても、若手だから優先するのではなく、いずれの選手にも公平に対応する。その生真面目さを、私はとても信頼している。

 冒頭にも述べたが、埼玉でのナイトゲームだけに、参戦する計画を立てていたのだが、本業都合でどうしてもかなわなかった。そんなことをやっているから、これだけ貴重な機会を逸してしまうのだ。考えてみれば、今シーズンはこのレッズ戦のほかにも、レイソル戦やルパンのFC東京戦など居住近隣地での観戦機会を逸しっぱなしだ。これではいけない。しっかりと、他のことを片付け、現場に通えるようにしなければと大いに反省した次第。
 幸い来週は所要があり帰仙するので、ユアテックアントラーズ戦には参戦できる。心を入れ替えて、ちゃんと応援しよう。
posted by 武藤文雄 at 14:39| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする