2017年02月19日

平山相太と戦える喜び

 ベガルタサポータとして、平山相太と戦うことができるシーズンの開幕が近づいてきた。何かとても素敵なシーズンになりそうな予感がしている。

 私は、平山相太と言う選手が大好きだ。そして、若い頃から、その将来性を大いに期待していた。
 一方で、10年以上前、平山が若い頃から、周囲の指導者が、「平山の特長を誤って捉え、成長を阻害しているのではないか」と、憂う文章を随分書いたものだ(もっと読みたい方は、検索ウィンドウに「平山」と入力ください。そして、8年ほど前に、FC東京で中心選手として定着し始めた頃にも、「そのプレイスタイルは相変わらず平山の潜在力と一致していない」と、文句をつけたこともある。そして、翌年の平山A代表でのハットトリックには、随分興奮したものだ。
 しかし、残念ながら平山は、代表はおろか、FC東京の主軸にすら定着はできなかった。けれども、その得点能力は決して錆びついていない。FC東京での最終戦となった昨年末の天皇杯準々決勝フロンターレ戦の終了間際の一撃など、実に見事だった(もっとも、その一撃が遅すぎて、自軍の勝利につながらないあたりも、いかにも平山らしいのだが)。
 そして、平山はFC東京から、我らがベガルタ仙台に移籍してきた。

 平山は31歳。ここまで、平山が、大成しきれなかった要因はいくつかあるだろう。
 最大の要因は、負傷の多さだろう。2011年、12年、14年と骨折による長期離脱は、あまりに不運だった。また、上記したように、この選手の特長を見誤った使われ方が続いたのも、残念だった。もちろん、オランダ時代からよく取沙汰されるように、いわゆる「戦う気持ち」に課題があったのかもしれない。しかし、これらは皆過去のことだ。
 そして、上記したフロンターレ戦の一撃を見れば、平山はまだまだ存分な輝きを見せる能力を保持しているはずだ。いや、かつてないほどの輝きを見せてくれる可能性もあるように思うのは私だけか。
 もちろん、そのために解決すべき課題は無数にある。厳しい鍛錬により、コンディション調整をしっかりと行うこと。チームメートが、平山の特長をよく理解し、平山に点を取らせるサッカーを行うこと。そして何より、平山が己の特長を理解し、チームメートに適切な要求を行い、それに平山が応え、信頼を獲得すること。それらは、決して簡単な道ではないだろう。
 ただ、若くして格段の才能を発揮しながら、活躍しきれなかった選手が、ベガルタ仙台に加入し光彩を放った事例が無数にあるのだ。たとえば岩本輝雄、たとえば財前宣之、たとえば角田誠。もちろん、朴柱成もその系譜に加えてよいかもしれない。

 などと考えると、冒頭述べたように、「素敵なシーズン」と語りたくなる気持ちを、理解いただけるのではないか。うん、楽しみだ。
posted by 武藤文雄 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月03日

監督采配の差

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。すっかり更新頻度が落ちていますが、書ける範囲であれこれ書き続けたいと思っています。と言うことで、まずは天皇杯決勝戦から、今年の講釈を始めます。新年早々、イヤミを色々書きますが、よい試合でした。でも、憲剛の戴冠を見たかった...


 アントラーズ2-1(延長)フロンターレ。
 両チームが中盤で厳しく当たり合い、攻撃でも持ち味を出し合い、最終ラインも粘り強く守る好試合だった。何か終わってみれば、伝統と実績を誇るアントラーズがタイトルの数を増やし、勝ち切れないフロンターレが無冠を継続したような結果となった。けれども、私の見たところ、勝敗を分けたのは、歴史や伝統の相違でも、試合運びの巧拙でもなく、監督采配の差だった。このような大試合で、ここまで監督が無策で自滅するのは珍しい。

 後半半ば、アントラーズは非常に厳しい状況に追い込まれていた。
 前半終了間際にCKから先制したものの、ハーフタイムに、左DFの山本を負傷で黄錫鎬に交代。ところが、後半開始早々に、その黄錫鎬が小林悠に出し抜かれて同点弾を許す。その後も、三好、小林の両翼攻撃に押し込まれていた。たまらず、鈴木優磨を起用して押し返して小康状態としたものの、既に残りの攻撃カードは1枚のみ。元々12月は連戦に次ぐ連戦で各選手に疲労の色が濃いのに加え、スタミナに不安がある小笠原、体調不十分の西、遠藤を抱えていたのだから。一方のフロンターレは日程的には格段に有利だったし、交代カードは2枚残っていた。
 それでも石井氏は決断し、88分には小笠原に代えてファブリシオに代えた。後半終了間際に決定的な失点を防ぐとともに、延長の序盤から勝負をかける意図だったのだろう。他の選手が動けなくなってしまったら、その時はその時だ。結果的に、このリスク覚悟の果断が奏功したことになる。
 対して、風間氏は何もしなかった。延長序盤もフロンターレは漫然と入ってしまい、アントラーズに押し込まれる。CKからのニアに飛び込んだ西(に見えたのだが)のヘッドはバーに救われたが、そのクリアにDFラインが集中を欠いて上がれず、永木(に見えたのだが)のヘッドで流したボールのこぼれを、ファブリシオに押し込まれ、リードを許した。繰り返すが、アントラーズが延長序盤出てくるのは、見え見えだったのだが。
 リードを許した風間氏の采配は、さらに疑問。中盤を活性化させるための森谷起用は理解できるが、チームのバランスを保つためには欠かせない田坂との交代には驚いた。ボランチに森谷と大島を並べ、憲剛をトップ下に入れるが、リードして完全に後方に引いたアントラーズ、肝心の憲剛にボールが入らなくなり、延長前半はほとんど有効な攻撃ができず終了。
 延長後半、大島に代えて森本を起用。憲剛をボランチに戻す。しかし、この時間帯となると、大久保も小林悠も疲労困憊になっており、森本を含む3トップが前線待機状態となり、一層アントラーズゴール前は密集地域となりスペースがなくなる。、さらに焦るエウシーニョと車屋も前に張り出すもサポートが得られず、両翼をえぐれない。結果として、フロンターレのパスは、アントラーズの守備網に簡単に引っかかり、幾度もアントラーズの逆襲を許す。その度に、憲剛が最終ラインまで戻り、献身的にボール奪取のための努力を行い消耗していく本末転倒。延長後半もフロンターレがつかんだ好機は数えるほどだった。
 両チームの選手は、死力を尽くし、知恵の限りを尽くして戦った。しかしながら、監督采配でここまで差が出てしまうと、フロンターレの選手たちだけでは、どうしようもなかった。繰り返すが、勝負を分けたのは、風間氏の自滅だったのだ。

 石井正忠氏は現役時代、ジーコ、サントス、アルシンドらのパスワークに的確に参加する位置取り、落ち着いたシュートなど、知性あふれるものだった。チャンピオンシップ以降の采配振りは、試合への準備、選手起用の柔軟性、リスク覚悟の決断、いずれも知性あふれるなもので、現役時代を彷彿させた。

 風間氏は退任すると言う。
 まずは、中村憲剛と大久保嘉人と言う最高級のスタアが、本当に楽しそうにプレイする環境を揃えた風間氏の手腕を称えたい。また、小林悠と大島と言うタレントも存分に力を発揮するようになった(もっとも、風間氏就任初年度、ご子息2人を重要視し、J屈指の若手ストライカだった小林悠を起用しなかったのは不思議だったが)。また、そこに三好のような、さらに若いタレントまで機能させた。
 けれども、最後得点をとるところは各選手の感性に任せてしまっているように思えた。もちろん、多くの試合では、格段の能力を誇る選手たちが次々と得点を決めていた。しかし、この決勝のような厳しい試合になると、最後の最後で連携が合わないように思えたのだが。
 守備も同様で、鄭成龍、エドゥアルド、谷口、エドゥアルド・ネットと言ったタレントの対応能力、田坂や憲剛の判断力で守っているが、組織敵には几帳面さが不足していた。この決勝、前半終了間際、延長開始直後と言った重要な時間帯のコーナキックでの守備対応の甘さは、几帳面さの不足が如実にあらわされた場面だった。
 憲剛や大久保の能力を存分に発揮させながら、最後点をとるところの連係や、守備の几帳面さを、もっと作り込む采配は、もっと並立可能ではないかと思うのだが、それは贅沢と言うものなのだろうか。

 結びに余談。いつもいつも言っているが、天皇杯決勝を元日にやるのはやめた方がよい。最大の理由は、トーナメント戦の決勝をシーズン最後にすると、オフに入るタイミングがチームごとに異なり、に日程破綻が継続することにある。Jのクラブが、ACLで勝てない最大の要因は、日程の破綻にあるのは、過去から幾度も指摘してきた。その日程破綻の要因の1つが、天皇杯決勝の元日開催なのだ。
 それに加えて、年末年始の長期休暇は帰省する人が多くサッカー観戦にはあまり向かない(しかも組合せが決まるのが直前で予定が立てづらい)、元日はテレビは特別番組が多く優勝チームの露出が小さい、などの副次的問題も大きい。
 伝統だからとか、元日にこたつに入りながらテレビを見るのが楽しみだとか、と言う理由で元日決勝を継続することが、日本サッカーの発展を阻害してしまうと思うのだが。
posted by 武藤文雄 at 00:06| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月05日

2016年シーズン、年間チャンピオンシップの罠

 まずは、アントラーズを称えたい。大会前から決められたレギュレーションにのっとり、見事な勝利を収めたのだから。今シーズンのチャンピオンはアントラーズだ。小笠原とその仲間たちに祝福の言葉を贈るとともに、敬意を表したい。

 ただ、私はこのレッズの敗戦には考え込んでしまった。ただの不運とか、理不尽とかとは別なものを感じたのだ。

 今シーズン、ペトロビッチ氏が率いるレッズは化けた感があった。試合終了間際まで、丁寧に攻撃的サッカーを継続し、粘り強く勝ち点を拾う。往々にして試合終盤の詰めを過つ傾向がなくなったのだ。結果として、長期のリーグ戦で最後の詰めを過る過去から訣別した感があった。遠藤航の補強が奏功し、後方を遠藤に託すことができるようになった阿部が本来の持ち味である中盤での刈り取りを行うことで、敵速攻への対応が改善したことも大きかった。そして何より、敵が守備を厚く固めて来ても、ペトロビッチ氏が粗忽に動かず、執拗に両翼から攻め込み続けるようにもなったのも重要だった。
 結果として、ナビスコカップをPK戦で制した試合も見事だったし、フロンターレと一騎打ちになったリーグ戦を勝ち切ったのも鮮やかだった。 そして、このチャンピオンシップ、鹿島での初戦も、西川、遠藤、阿部の中央の強さを活かし、PKの1点を守り切った試合ぶりも大したものだった。
 この第2戦も、前半開始早々、スローインからアントラーズの僅かな隙を突き、関根の高速突破から、興梠が先制。完璧な立ち上がりだった。その後も、前に出てくるアントラーズの裏を突き、武藤が幾度も好機をつかむ(が、決められない。何かなあ、武藤雄樹、持ってないなあ、がんばれよ)。
 ここまでは完璧だったのだ。

 ところが、前半終盤、宇賀神が遠藤康に出し抜かれ、さらにカバーに入った槙野の詰めが甘く、簡単に狙い済ましたクロスを許し、金崎に同点弾を食らったあたりから、おかしくなってくる。
 アントラーズに「勢い」が出たこともある。また、アウェイゴールルールがあるため、結果的に興梠の先制点があってもなくても、同じになってしまうレギュレーションが、微妙なプレッシャとなったのだろうか。そのような流れの中で、ペトロビッチ氏が、昨シーズンまでのペトロビッチ氏に戻ってしまう。
 高木に代えての青木起用は、少々守備的に戦う狙いと考えればわからなくもなかった。しかし、続く関根と駒井の交代はよくわからない。関根は先制点のアシストを含め、幾度も好機にからみ、豊富な運動量による上下動で守備にも貢献していた。まだまだスタミナも残っているように見えたのだが。そして、何か慌てるように、興梠に代えてズラタン。前線で溜めを作れる興梠は、守備にも攻撃にも有用なのだが。
 そうこうしているうちに、槙野がやらかしてしまった。アントラーズの速攻に対し、鈴木優磨のフリーランに気がつかず突破を許す。この失態のみならず、あろうことか軽率なファウルでPKを提供。我慢して身体を寄せ、初戦も好捕を見せた西川に託すべきだったのではないか。余談ながら、槙野はキッカーの金崎に対し、恫喝まで行ったのは失望した。
 しかし、それでも、アントラーズが逆転した後も試合は10分以上残っていた。けれども、ペトロビッチ氏が切れてしまった。槙野を最前線に上げ、バランスを崩した時点で、試合は事実上終了してしまった。最前線に槙野が残っても、空中戦で圧倒できる訳でも、格段のシュート力を持っているわけではない。槙野は昌子に子供扱いされ、レッズは完全に攻めあぐむ。実際、一部報道によると、レッズベンチ内にはペトロビッチ氏に異論を唱える向きもおり、ベンチは大混乱だったと言う話もある。一方で、阿部と柏木が何とか状況を打開しようとする姿は美しかったのだが。
 ペトロビッチ氏が丹精込めて作り上げ、シーズンを通じて見事なサッカーを見せていたレッズは、最後に崩壊してしまった。それも、ペトロビッチ氏が自らの手で。

 先週、フロンターレがアントラーズに、山雅がファジアーノに、それぞれ苦杯した。この2つの試合から、改めて、長期のリーグ戦の結果が、一発勝負でくつがえる恐ろしさ、理不尽さを感じることとなった。それでも、これらの試合の敗者2クラブは、負けはしたものの、相応の強さを見せてくれた。
 しかし、レッズは違った。逆転された後、10分以上の時間があったのに、監督の判断ミスで、敵に恐怖すら与えることなく自滅してしまったのだ。互角どころか、敵を圧する戦闘能力を持っていたにもかかわらずだ。

 冒頭に述べたように、通期勝ち点が少なかったアントラーズがチャンピオンになったことは、それがレギュレーションと言うもの。シーズン前に決まっていたルールにのっとったのだから、「お見事」と語るしかない。
 しかし、最後の10分のレッズの崩壊劇は、やはりよくわからない。少なくとも、レギュラーシーズン中のペトロビッチ氏は、昨シーズンまでとは異なり、丁寧に慌てることのない采配を振るっていたのだ。いったい、あの瞬間、ペトロビッチ氏に何が起こったのだろうか。単純な前後期制でなく、中途半端に通期成績が重視されるレギュレーションの罠にはまってしまったと言うことなのだろうか。

 これもサッカーと言うことなのか。
 いずれにしても、私たちにできることはある。今シーズン、レギュラーシーズンでフロンターレとの競り合いを制したレッズ(そして敗れたフロンターレ)の見事なサッカー、チャンピオンシップで鮮やかな勝ち方を見せたアントラーズのしたたかなサッカー、それぞれを、しっかりと記憶していくことだ。
posted by 武藤文雄 at 00:30| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月29日

プレイオフはやめよう

 J1昇格決定戦。準決勝の時点で2試合ともすばらしいドラマを見せていただいた。
 映像観戦は、セレッソ対サンガを選択。経営規模も比較的大きなクラブだけに、両チームにJ1レベルのスタアも多く、とてもおもしろい試合となった。
 柿谷の妙技からセレッソが先制。ソウザのミドルシュートを、サンガの名手菅野がキャッチしきれず、そこを鋭く詰めた得点だったが、飛び出しが格段の菅野の上を行くロブの鮮やかなこと。その後の時間帯も、蛍、ソウザの鋭い押し上げから、両翼の清原と杉本が精力的な上下動と個人技を発揮し、セレッソペースで試合は進む。しかし、終盤チームはガス切れ、これは柿谷の負傷などもあり、1年間をかけたチーム作りがうまく進まず、存分な組織力を持つまで強化できなかったと言うことだろう。本来であれば独走で首位を走ってもおかしくない戦闘能力を誇る(いや、そもそもJ1陥落そのものが考えづらい)クラブなのだが、監督のめぐり合わせが悪いのか、チームとしての強化が進まない。もっとも、終盤戦に向けて連勝し、このJ1昇格プレイオフにあわせてきたのはさすが。考えてみれば、昨シーズンもベテラン選手を組み合わせ、アビスパとすばらしい試合を演じてくれたっけな。ただ、チーム全体の組織力が不十分なだけに、どうしてもこのような消耗戦では、終盤エネルギー切れを起こしてしまう。ただ、このクラブには山口蛍がいた。この強力なMFの帰国には、様々な論評が渦巻くが、90分間を通し、「なるほど、代表の定位置を確保している選手は違うものだ」と、感心したものだ。
 サンガの不運は、堀米をスタメンから使えなかったことだろう(体調不良とのことだが)。ために、エスクデロが1人最前線で奮闘するが、山下、藤本のベテランCBコンビに抑えられてしまう。しかし、後半堀米が起用され、再三左サイドから見事なえぐりを見せると、エスクデロへのマークも分散。幾度も好機をつかんだが、その度にセレッソの守護神金鎭鉉が立ち塞がった。それでも、最終盤にパワープレイから1点を奪い、「あわや」と言う場面も作ったがここまで。パワープレイそのものの選択は否定しないが、もう少し堀米、エスクデロの個人技を活かす算段をすべきにも思ったのだが。

 こうして「いや、よいものを見せていただきました」と感心していたのだが、「裏番組」ではとんでもないことが起こっていた。アディショナルタイムに、ファジアーノが赤嶺の一撃で、山雅を振り切ったというのだから。繰り返すが、赤嶺の一撃で。
 山雅は、今シーズン常時安定した成績で、終盤まで2位をキープし続けてきた。首位を走るコンサドーレが失速しかけたため、じりじりと差をつめ、一時は逆転優勝でJ1昇格に花を添えるのではないかとすら思われた。ところが、終盤、ゼルビアに苦杯。名将小林伸二氏が、すさまじい勢いとチーム完成度で仕上げてきたエスパルスにひっくり返されての3位に終わり、プレイオフに回ることになった。しかし、安定した戦い振りと、反町氏の用意周到な采配を考えると、最後のJ1昇格チケットを獲得するのは、山雅が本命と考えていたのだが。
 繰り返すが、正にストライカとしか言いようのない赤嶺の一撃。名将反町氏の憮然とした表情。そして、両軍サポータの天国と地獄。この表裏一体となったドラマは今年始まったわけではない。過去も幾度幾度も堪能させていただいた。

 熊田達規氏の「マネーフットボール」、主人公が自らの将来と恋人との幸せを賭け、プレイオフ出場権を目指すストーリは感動的だった。このマンガは大好きだし、リアルな世界でも上記のように様々な講釈を垂れたように幾度も興奮させていただいた。そして、この2試合もすばらしい経験となった。


 けれども。 

 やはり、J1昇格プレイオフはやめるべきだと思う。


 長期のリーグ戦の成績をあまりに無視し過ぎているからだ。幾度も触れるが赤嶺の一撃は最高だ。けれども、サッカーと言う競技は、1試合で評価するには、あまりに偶然が左右し、理不尽なのだ。理不尽が故に最高の愉しさを提供してくれるサッカーではある。そして、その理不尽さを回避するために、長期のリーグ戦が必要なのだ。それなのに、上位リーグへの昇格を理不尽にゆだねてよいものだろうか。

 チャンピオンシップが不適切なことは過去述べたとおりだ。しかし、金儲けのためと考えれば、それはそれで1つの理屈である。
 今シーズンのJ1。レッズの粘り強さが、フロンターレを上回った。技巧的でよいチームを作る能力には疑いないペトロビッチ氏が、過去の弱点と言われた、詰めの甘さ、リードされると慌てる悪癖をよく修正。さらに、遠藤航の獲得による守備の安定もあり、とうとう年間のリーグ戦を制したシーズンだった。一方で、中村堅剛と大久保嘉人が、小林悠と大島僚太と言う配下を得て見せてくれた技巧的なサッカーも中々だった。もちろん、前期シーズンを制したアントラーズの集中力も見事だった。
 明日から始まるレッズとアントラーズの戦いは愉しみだし、どのような結果になるかはわからない。しかし、どのような結果になろうとも、今シーズンは上記の記憶を愉しむシーズンとなるのだ。アントラーズがチャンピオンズシップを制したとしても、今シーズンのレッズとフロンターレの輝きが、損なわれるものではない。繰り替えすが、今シーズンのリーグ戦を制したのは浦和レッズだ。チャンピオンシップの結果がどうあれ、これは変わらない。皆がその記憶を語り合っていけばよいのだ。

 しかしだ。
 J1昇格決定戦は違う。たとえ、山雅が長期のリーグで3位を獲得しても、そしてその戦い振りを記憶しようとしても、そこには涙しかない。より上位リーグでの戦いを目指す人々にとっては、記憶は何のなぐさめにもならない。結果がすべてなのだ。
 確かにプレイオフはおもしろい。何度でも語るが、赤嶺の一撃は最高だ。上記したように過去幾度も興奮させていただいた。しかし、そのような刺激が、いかにおもしろいとは言え、劇薬に頼るエンタティンメントが健全ではない。エンタティンメントを求めるならば、入替戦を復活させればよいだろう。中位クラブに、終盤まで上位進出の希望を持たせるために、長期リーグの結果を軽視するのは、本末転倒なのは言うまでもない。
 上位リーグとの入替は、年間の通算勝ち点で評価するべきなのだ。
posted by 武藤文雄 at 01:30| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月06日

レジェンドへの処遇

 マリノスが、中澤に大幅な減俸を提示したと言う。あくまでも、この報道が事実としてだが、何とも複雑な思いにとらわれる。

 まず今シーズンの中澤は、マリノスのまごうことなき大黒柱だった。いや、今シーズンに限らず、ここ10数年ずっとですが。ともあれ、今シーズンのマリノスが、中澤の格段の守備能力に支えられていたのは間違いない。
 そして、敵にするとこれほど忌々しい男もいない。先日のユアテックで0対1でベガルタがやられた試合。栗原のミスを拾ったウイルソンが落ち着いてフリーのハモンにラストパス、しかしハモンはドタドタと寄せる中澤に魅入られたかのように左外に持ち出し過ぎ、シュートはあえなく枠を外れた。中澤の寄せのタイミング、位置取りのうまさ、事前研究によるハモンのドリブルとシュートの癖の理解、いずれも完璧な守備ぶりだった。中澤とハモンを比較し、「格の違い」と言ってしまえばそれまでかもしれないが、あの中澤の守備は本当にすばらしかった。考えてみれば、この悔しさを味わえないのだから、マリノスのサポータの方々はお気の毒だな(と、負け犬の遠吠え)。
 南アフリカでのカメルーン戦、試合終盤に、闘莉王のおバカにより「うわあぁぁぁぁぁあ」と悲鳴を上げた直後に、中澤が例のドタドタ寄せで見事にカバーリングしてくれた場面を思い出した。38歳になった今でもなお、その守備能力は、衰えを見せていないのだ。しかも、中澤は、この3シーズンフル出場だと言う。CBでのこの偉業は、万全な体調維持、警告を食らわない読みの深さによるものだ。大したものである。

 これだけの減俸を提示すると言うことは、マリノスフロントは「来シーズン、中澤は不要」と判断していることとなる。とすれば、その後継者候補を見つける自信があるのかもしれない。確かに、マリノスには、資金潤沢の出資団体がいるらしいので。確かに世界に目を広げれば、中澤よりすぐれたセンタバックはいるだろう。ただし、そのような選手は、皆欧州の超一流クラブに雇用されており、今シーズンの中澤と同等の年俸で雇えるとはとても思えないのだが。 
 もちろん、マリノスには朴正洙、ファビオなどのよいタレントがいるので、周辺のポジションでよい選手を補強して、強力な守備網を構築する構想があるのかもしれない。このあたりは、毎試合マリノスの試合を追いかけているわけではない野次馬には、わかりかねるところがある。しかし、マリノスは、J屈指の右サイドバックである小林祐三と契約更新しないことが、公表されており、謎は深まるばかりである。
 少なくとも、野次馬が見る限り、中澤と小林が2人ともマリノスを去るとすれば、マリノスは来シーズン、まったく新しいチームとして再構築が必要になるように思う。これは、随分思い切った判断に思える。

 もっとも。
 マリノスと言うクラブは、中澤のほかに、同じ38歳の中村俊輔と言う、超弩級のレジェンドを抱えている(一部報道によると、その俊輔にも他クラブからの強力なオファーがあるとのことだが)。そして、2人のプレイが格段であるだけに、チームの若返りが難しいと言う状況がある。さらに、この2人には相当レベルの高給が支払われていることだろう。そして、どんなに節制を重ねても、30代半ば以降、多くの選手は負傷のリスクを抱えることになる。実際、今年、中澤はフル出場したが、俊輔は負傷がちのシーズンを送った。高給で年長の選手は、その選手がどれほど偉大な存在でも、クラブにとって、リスクとなり得るものだ。まして、こう言ったレジェンドに対するサポータの崇拝は格段のものがある。このような選手への待遇は、とても微妙なものなのだ。
 そもそも、マリノスと言うクラブは、歴史的にも、。中澤、俊輔以前にも、木村和司と井原正巳と言う、日本サッカー史に輝くレジェンドを輩出している。そういう意味では、レジェンドの扱いの経験は豊富なはずなのだが、何かねえ、木村も井原も、このクラブとは微妙な別れ方をしている印象が強いのですよね。
 ともあれ、レジェンドを所有できるのは、クラブにとって、とても幸せなことだ。しかし、そのレジェンドたちを適切に処遇するのは、案外に難しい。そして、同世代のレジェンドを2人抱えるマリノスフロントの悩みは、わからなくもない。

 まあ、そんなこんなを考えても、マリノスの今回の中澤への対応は、あまり上手とは言えない。
 個人的には賛成しかねるが、この大ベテランを戦力外と判断するにしても、高給を負担しても雇いたいと考えるクラブが他にもあるはず。そのようなクラブへの移籍を花道として準備する手段もあったはず。
 それとも、まさかこの偉大な選手を、ディスカウントで雇用しようとは思っていないですよね。
posted by 武藤文雄 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月03日

ホーム最終戦を前に2016

 早いもので、2016年シーズンも最終節。今シーズンは、ベガルタはホームにジュビロを迎えて戦う。そして、残念ながら天皇杯で苦杯を喫していることもあり、このジュビロ戦が、今シーズンのまごうことなき最終戦となる。ただでさえ、ホーム最終戦は胸高まるものがあるのだが、このメンバで戦う最後の試合と思うと気持ちは高まる。考えてみれば、リーグ最終盤よりかなり早くJ1残留を決めたシーズンは珍しい。勝とうが負けようが、大勢に影響のない最終戦。だからこそ、純粋に「勝ちたい」と言う思いが高まる。さらに、敵方のジュビロが追い込まれていると言うスパイスも加わっている。そしてウイルソン

 11月上旬にシーズンが終わってしまうことの愚かさを、いまさら語ろうとは思わない。少なくとも、Jリーグ当局は、「過ちては改むるに憚ること勿れ」と言う概念は理解しており、残念な方式は今年で打ち止めになるのだし。ただ、レッズとフロンターレによる1年を費やしたすばらしい戦いが明日完了するにもかかわらず、最終的な結果が別オプションとなる間抜けさは強調しておくべきだとは思うが。

 ともあれ。
 上記のとおり、ワクワクする最終戦である。いや、それだけではない。今シーズンベガルタが早々に、J1残留を決めることができたのは、、渡邉監督が組み上げてきた攻撃的サッカー志向の賜物だ。ハモンの大化け、奥埜の充実、三田の展開力、そして藤村、西村、茂木と言った自前の若手選手たち、これらの明らかなプラスを軸に、貪欲に攻め切ろうとするサッカーが結実しつつある。
 ただ、守備は難題だった。とくに、敵の速攻への対応は、なかなか修正されなかった。それでも、今シーズン加入した平岡と大岩の、個人能力の高さが、昨シーズンと比較すると、改善点にはなっていたが。
 しかし、ようやくこの終盤戦、敵速攻への対応が改善されてきた。前々節のヴィッセル戦の組織守備は中々よかった。前節のFC東京戦、充実した中島に切り崩された失点場面はさておき、後半幾度も迎えた東京の速攻への対応が、格段に充実していたのは嬉しかった。
 明日は、これらの集大成を見たい。今シーズン格段に改善された攻撃力と、終盤に向上してきた守備力。それらが、しっかりとバランスがとられた試合を見たいのだ。その、すばらしい組織戦を見ることができると期待したい。

 もちろん。
 ジュビロにとっては、とても大切な試合となった。「引き分ければ大丈夫」ではなく「大差で負けなければたぶん大丈夫」と言う試合は、入り方がとても難しい。かつて、アジアを制覇した名門クラブ、その制覇時の大黒柱だった名波監督が、選手達をどのようにモチベートしてくるか。
 そして、ジュビロは、典型的な「先方は特にそう思ってはいないが、当方は忘れられない」クラブなのだ。ベガルタのクラブ史においてとても重要な存在だった太田吉彰が敵方にいるのも、何とも言えない思いがある。
 ベガルタとしては、この尊敬すべき友人を粉砕することが、最大限の敬意となるのは言うまでもない。

 報道によると、ピッチで舞うウイルソンを堪能するのは難しそうだ。佐々木匠が起用される可能性もあると言う。どのような布陣で、どのような戦い方をするのか。上記したとおり、今シーズン、このメンバでの、集大成を愉しみたい。
posted by 武藤文雄 at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月23日

ありがとう、ウイルソン

 ベガルタが、ウイルソンとの契約満了を発表した。
 31歳で、3シーズン続けて再三負傷での離脱が続き、年俸も決して安いとは言えないストライカとの再契約が、難しいのは予想していた。そして、その予想どおりとなったわけだ。クラブの経営と言う視点からは妥当な結論だ。
 また、あと2節を残しての発表そのものも、これだけ貢献してくれた選手との別れの機会を、我々サポータに提供してくれたクラブの判断に敬意を表したい。

 と、クラブの判断は適切だとは思うが、むしょうに寂しいのは言うまでもない。感情と言うものは、理屈では語り切れないのだ。
 ベガルタサポータとって、ウイルソンはあまりに大切な選手だった。今思い起こしても夢だったのではないかと感じるACL出場への貢献は格段だった。
 冷静な判断からの落ち着いたシュート。しっかりした前線でのボールキープ。広範な視野から速攻の起点となる。単身でも強引にシュートに持ち込み敵DFに与えるプレッシャ。そのような天才肌のストライカにもかかわらず、攻守両面の献身。
 最前線にウイルソンがいるだけで、ベガルタのサッカーはまったく異なるものとなった。そして、今シーズンも、復帰したアルビレックス戦やベルマーレ戦で、正にスーペルゴラッソとしか言いようのない美しい得点を決めてくれた。「まだまだやれる」と言う強い思いもあるのだ。

 監督就任後、実質3年目となる渡邉氏だが、この3シーズン、エースと期待され、実績も豊富なウイルソンがの体調が、シーズンを通してそろうことはなかった。それでも、コンディションさえ整えば、ウイルソンが一番頼りになるストライカだったことは間違いない。
 その中で、渡邉氏は丁寧にチーム強化を継続。特に今シーズンは、氏が監督に就任した14年シーズンに途中加入したハモン・ロペスが完全に「化けた」感がある。昨シーズンまで、左足の一撃は強烈だが、そこに持ち込むことができず、敵DFにつぶされていたばかりのハモン。しかし、今シーズン、後方からのボールをしっかりと収められるようになり、クロスに合せる呼吸が格段に上達したのだ。ベガルタのフロントが、「ウイルソンに頼らずとも」と、判断したのも理解できる。もっとも、このハモンに他クラブからのオファーが集まっているとの報道があるが、それはそれと言うものだろう。
 
 ウイルソンについて美しいな思い出は幾多もある。しかし、最も甘く苦い思い出はこれに尽きる。ウイルソンと世界屈指の名審判の、日本最高のスタジアムでの邂逅の悲劇。このような感情を味合わせてくれただけで、ウイルソンには感謝の言葉もない。

 来シーズン、ウイルソンはどこに行くのだろうか。負傷が続いた中で、ブラジルに帰るのか。アジアの他国にプレイ機会を求めるのか。それとも他のJクラブか。大好きなこのストライカのプレイを見続けたい思いは強いが、ベガルタゴールドとは異なるジャージを身に着けたウイルソンを見たくない思いもある。
 いや、ここはつまらない思いは捨てよう。ウイルソンの次の人生での幸運を祈りたい。ブランメルから始まり、ベガルタと言うクラブは、ようやく22年間と言う歴史を積み上げてきた。22年と言う歴史は、決して長くもないが、短くもない。その歴史を、ウイルソンは鮮やかに彩ってくれた。
 マルコスも、シルビーニョも、朴柱成も、幾多の歓喜を我々に提供し、母国に帰って行った。

 あと2試合ある。
 ウイルソン。さよなら、そしてありがとう。
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2016年08月19日

ベガルタ史に残る試合

 8月13日ユアテックスタジアム。ベガルタはレイソルに4対2で快勝。勝ったことも何よりだったが、若手の活躍と言う意味で、ベガルタの歴史に残るような一戦となった。
 実は、自分自身、久々のユアテック詣で。本当に嬉しい夜だった。

 前節に、平岡、石川、梁が負傷。元々、金園、野沢、金久保、蜂須賀も負傷離脱。その結果、ユース出身1年目の小島雅也が左サイドバックで初スタメンとなるなど、相当厳しいメンバ編成となった。もっとも、小島はユース代表の常連、五輪代表のスパーリングパートナとしてリオに帯同したタレント。試合に出るのが当たり前になってくれなければ困るのだが。
 ともあれ、小島の抜擢はチームのバランスを崩していた。(梁の代わりで起用された)左サイドハーフの藤村が、後方の小島を気にし過ぎた感もあり、仕掛けようとせず、球離れを早くするばかりで、攻撃が右サイドに偏る。
 「いかんな」と思っていたら、どうしてどうして。藤村のCKを、ハモン・ロペスが高い打点のヘッドを決めて先制。さらに敵DFのミスパスを藤村が拾い、ウイルソンにラストパス。ウイルソンが、いかにも彼らしい両足使いの特長を存分に発揮する技巧から決め追加点。いきなり藤村の2アシストで、2点差としてしまった。藤村は盛岡商時代から、正確な技術と落ち着いた展開力が評価され、リオ五輪候補にも選ばれたことのある5年目のタレント。昨シーズンから、少しずつ試合出場機会を増やし、今シーズンのベガルタには、不可欠の選手となっている。本来のポジションはボランチだが、FWもサイドバックも攻撃的MFもこなす。その藤村の大活躍でいきなりの2対0。これはこれで、ベガサポとしては涙が出そうな展開である。
 ところが、ベガルタのバランスの悪さはそのまま。2点差になって、引き気味になったところで、藤村と小島の連係ミスを突かれ、PKをとられて2対1とされる。さらに後半。レイソルは、この連係の悪い左サイドを執拗に突いてくる。そして、レイソルの俊足右ウィングの伊東に、小島が突破を許し、同点とされる。
 ここで、ベガルタ渡邉監督は決断する。小島に代えて茂木を起用したのだ。茂木はベガルタユース出身の2年目。ふてぶてしいほどの、ボールキープから色々な仕事ができるタレントで、昨シーズンは新人ながら開幕からスタメンに抜擢された。しかし、敵のマークが厳しくなるにつれ、起用の機会が減り、シーズン途中から、J2のツェーゲンにレンタルされた。ツェーゲンでも、ボールの引き出しに課題があり、中々起用されなかったと聞く。今シーズンオフ、突然アイスランドリーグに挑戦するとの報道があった。欧州とは言え、必ずしもレベルが高いとは思えない欧州極北国のチームに厳寒期にjトライアルと聞き、茂木本人なのか代理人なのかはさておき、相当アレな活動と心配したものだった。そんなこんながあり、今シーズンは序盤からベンチ入りするも少なく心配していた。ただ、前節のアントラーズ戦の終盤に、負傷した梁に代わって起用され、よいプレイを見せてくれていた。
 この交代により、茂木は右サイドMFに。奥埜が左サイドMFに回り、藤村が左サイドバックに。これがうまくいった。茂木は、昨シーズンでは見られなかった質の高い動き出しを再三見せ、ボールをよく引き出し、右からの崩しを演出する。一方、狙われていた左サイドは、奥埜の豊富な運動量と、藤村の落ち着いた位置取りで、攻守ともに大幅に改善された。結果として、ウイルソン、ハモンの2トップを、両翼から奥埜と茂木がサポートする形となり、試合は一気にベガルタペースになった。 
 そして、圧倒的に攻勢をとり、CK崩れからPKを奪い、勝ち越し。反転して攻め込んでくるレイソルの攻撃に耐えながら、速攻から自殺点を誘発し、2点差に、そのまま押し切っての快勝となった

 小島にとっては、ほろ苦い一夜となった。いきなり2失点に絡んでしまったのだ。でも、これも経験だ。とにかく、勝ったのだ。
 もっとも小島自身は、切り替えや押し上げも的確だし、視野も広く絞り開きの位置取りの修正も上々、攻め上がって思い切りよくシュートを放ったし、一度左サイド奥深くに進出し上々の低いクロスも上げた。ただ、DFとして一番肝心な守備で、対面の伊東を止め切れなかったのだ。確かに不合格だった。
 まず目先で改善すべきは、仕掛けてくる相手に対し、もっと勇気を持ち厳しく当たることだろうか。いや違う。そんなこと以上に重要なのは、チームメートからの信頼獲得だ。少なくとも、この日は、藤村、三田、富田、渡部、大岩と周囲を固める選手が、みな小島をカバーしようとしていた。いや、選手達だけではない、サポータも小島が何でもないクリアをする度に「マサヤ!マサヤ!」コールで称える。リーグ戦に起用され、当たり前のプレイをしているだけで、周囲に評価されているうちは、まだまだだ。小島よ、内田篤人はアントラーズ加入直後からスタメンを務めたのだよ。

 ともあれ。この試合はベガルタの歴史に残る試合となった。
 ベガルタは2010年にJ1に復帰したが、それ以降、ほとんど生え抜き(新卒)の選手の育成に成功していなかった。梁、菅井、富田ら生え抜きの選手はみな00年代半ばに加入した選手。そのほかは、上手に獲得した移籍選手をステップアップさせてチーム強化を行ってきた。加入した移籍選手の多くが、ベガルタ加入以降、前所属クラブよりも格段な活躍を見せてくれたことは、サポータとして誇り高いのだが。
 ようやく昨シーズン、ベガルタユース出身の奥埜が、仙台大を経て12年に加入し、Vファーレンへのレンタル経験を加え、中心選手に成長してくれたのが、久々の成功例だった。そのように生え抜きのタレントの育成に苦労してきたベガルタなのだが、このレイソル戦は藤村、茂木、小島が、それぞれ活躍したのだ。
 今シーズン、ベガルタは苦労しながらも、攻撃的なサッカーを指向し、何とか中位から上位をうかがう位置につけている。そこに次々と、前途有為な野心的な若者が多数登場し、結果を出す試合を見せてくれた。しかも、私自身がその試合に参戦できた。忘れ難い一夜だった。
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2016年07月24日

FC東京は何のために城福氏を起用したのか

 J2ジェフ対エスパルスをノンビリ映像観戦する日曜の夕刻。ふと、気が付いた。両軍の監督は、関塚隆と小林伸二、何と2人とも私の同級生ではないか。考えてみれば、歴史、予算規模、ホームタウン、スタジアム、いずれも相当なレベルにあるが、過去のほんのちょっとした不運から、J2での戦いを余儀なくされている両クラブ。早期のでのJ1復帰を目指し、国内で実績屈指の名監督を招聘しているわけだ。
 試合そのものも、スリリングな点の取り合いでおもしろかった。両軍関係者の悲喜こもごもを想像すると、何とも言えないが。

 さて、その試合中に飛び込んできた情報。FC東京が、城福監督を解任したと言う。おお、この人も、同級生ではないか。いや、同級生かどうかは、何ら本質的な問題ではないのですが。

 FC東京は現在勝ち点26の13位、確かに代表選手やそれに準ずるスタアを多く抱え、昨シーズンは4位に食い込んだクラブとしては、非常に不満がある成績だろう。特にACLの影響がなくなりリーグ戦に専念できるようになった6月以降に、中々勝ち点が上がらないのも印象が悪かった。
 もっとも、ACLでは1次ラウンドを突破、1/16ファイナルで敗退したわけだが、「最後のアディショナルタイムを守り切れなかった」のは、采配云々よりは不運と語られる語られるべきだろう。現実的に、ガンバとサンフレッチェが1次ラウンドで敗退したことを考えると、そう悪い成績ではなかった。

 しかしながら、今回の解任劇については、ここ最近のFC東京の不振だけで議論できないのは言うまでもない。城福氏がFC東京から解任されるのは、2回目なのだから。しかも、前回の解任劇では城福氏の采配の下、FC東京は低迷し、氏を解任した後も成績は上がらずJ2陥落してしまっていた。
 さらにFC東京は昨シーズン上々の成績を収めたフィッカデンティ氏を解任し、敢えて過去J2ア降格を誘引した城福氏を呼び戻している。フィッカデンティ氏を解任した背景は、野次馬にはわかりづあらいが、どうもFC東京のフロントはフィッカデンティ氏の守備的なサッカーがお気に召さなかったらしい。
 ところが、城福氏が以前FC東京の監督を務めていた折は、守備的なやり方をしてナビスコカップを制するなど上々の成績を収めたが、「ムービングフットボール」と言うモットーで志した攻撃的サッカーを、あまり見せることはできなかった。また、FC東京解任後に務めたヴァンフォーレでは、必ずしも恵まれない戦闘能力ながら、リアリズムに富んだ采配でJ1昇格、残留を演じている。つまり、城福氏は、必ずしも攻撃的なサッカーで成果をあげた監督ではないのだ。
 そうこう考えると、野次馬にとって、FC東京のフロントが、何を考え、何を目指し、何を期待して、城福氏を再招聘したのかが、さっぱりわからなかった。それでも、我々が知り得ない何かを望み、氏を呼んだのだろうかと推測していたのだが、シーズン半ばでのこの解任。いよいよ、理解できない。ここでクビにするならば、最初から呼ばなければいいんじゃないの?
 繰り返そう。いったい、FC東京のフロントは、何を求めて、城福氏を再度呼んだのだろうか。

 帝都東京をホームタウンにし、多くのスタアを抱え、カップ戦を複数回制覇し、幾度かACLにも参戦したFC東京。このクラブが、真の強豪を目指し、もがいている。そして、このもがきものが、Jリーグの、あるいは日本サッカーの歴史なのだろう。
 ついでに言うと、城福氏をすぐ招聘しそうなクラブが、中部地方に(以下自粛)。
posted by 武藤文雄 at 23:56| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月18日

扇原貴宏と山村和也

 セレッソの扇原貴宏が、グランパスに移籍したと言う。色々なことを考えさせてくれる移籍劇だ。

 扇原は、ロンドン五輪代表選手。正確なパスを武器にチームの中核として活躍した。しかも、184cmの大柄な体躯、左利きと言う特長も備えている。ロンドン大会準決勝のメキシコ戦で決定的な失点につながるミスをしたものの、そのような失敗経験をプラスに活かし、大成するのではないかとの期待も大きい選手だった。
 その後、2013年の東アジア選手権ではA代表にも選考されたこともあったが(海外クラブ所属選手不在のタイミングだったが)、自クラブのJ2陥落を止めることはできず、もう一つ明確な活躍が見受けられずに、今日に至っている。上記のメキシコ戦のように、時々いわゆる「抜けた」プレイをする悪癖が、なかなか改善されないのが課題に思える。たとえば、昨シーズン肝心かなめのJ1昇格決定戦のアビスパ戦では、ベテランの橋本にスタメンを譲ったのも残念だった。さらには、この大一番の終盤、セレッソがリードした時間帯に、扇原は橋本と交替して起用された。ところが、セレッソはその時間帯にアビスパに同点とされ、J1昇格を逸することになる。その失点の要因の1つが、中盤を老獪に引き締めていた橋本の不在だった印象もあり、いっそう扇原の伸び悩みを印象づけるものとなった。
 今シーズンは、セレッソでもロンドン五輪代表でも、ボランチでコンビを組んでいた山口蛍が、欧州に移籍。扇原にとっても、チームの中核としての自立が期待されたシーズンにもかかわらず、定位置を失ってしまった。
 扇原にとって、新たな場を求めて移籍は、有効な選択と言えよう。グランパスは勝ち点勘定、チーム作りいずれの面でも、苦しい状況にあるようだ。不運にも、加入早々に負傷離脱となってしまったようだが、新加入の扇原にかかる期待は大きいはず。ここで活躍することで、まだ24歳のこのタレントが、再度A代表を目指す道が開かれるかもしれない。活躍を期待したい。

 その扇原がポジションを奪ったのが、山村和也。これまた186pと言う身長に加え、技巧も運動量も優れたタレント。しかも、扇原と同じロンドン五輪代表選手だ。その山村は、前所属のアントラーズでは定位置を獲得できず、セレッソに移籍してきた。
 山村は、ロンドン五輪代表チームがスタートした際は、主将を務め、中核として期待されていた。けれども、傍から見ていて、「気持ちが前面に出てこない」 タイプと言うこともあり、活躍の印象は薄い。結果的に、予選半ばから、扇原に定位置を奪われた形となった。ロンドン本大会でもメンバには入ったものの、中盤の控え選手として、やはり「気持ちが出てこない」プレイに終始。結果的に、同じポジションの山口蛍と扇原を休ませづらい状況となり、大会終盤に勝ち切れなかった要因の1つとなった。正直なところ、「ほかの選手を連れていくべきだったのではないか」と言う印象だった。
 その後、アントラーズでも、思うような活躍ができずにいた山村。昨シーズンオフにセレッソに移籍、シーズン序盤から、扇原からポジションを奪い、そこそこの活躍をしていた。「この好素材が、ようやく本物になってきたか」と雰囲気が出てきている。もっとも、山村は山村で、山口蛍がセレッソに復帰するや否や、 定位置を奪われてしまったのだが。

 選手の成長と言うのは難しいものだと思う。
 そもそも五輪代表の最終メンバに入ることのできる選手は、正にエリート中のエリート。しかも、五輪本大会と言う修羅場を経験することで、一層の成長(すなわちA代表)が期待される存在だ。
 けれども、そのように順調に成長する選手もいるが、伸び悩む選手も少なくない。アトランタ五輪後の前園真聖と中田英寿の明暗がその典型。そこまで極端ではないが、ロンドン五倫のボランチも、山口蛍は代表に定着し(ここに来て、やや壁に当たった感もあるが)、一方で扇原と山村はもがいている。
 選手の成長は、その環境(所属チーム)に左右されるとよく言われる。出場機会がどの くらい得られるか、戦術的にその選手の特長が活かせるか、などが重要だからだ。けれども、扇原と山村については、従来の所属チームが、その成長に不適切な環境だったとは考えづらい。扇原はセレッソユース育ちでそのままセレッソでプレイしていた、チームとの相性が悪いなどの、外部環境問題は少なかったはずだ(もちろん、フォルラン騒動など、チームそのものの不安定感はあったのは確かだが)。山村は、新人選手や移籍選手のスカウト、その後の成長に定評があるアントラーズに所属していた。これまたチームコンセプトと、山村のプレイが合わなかったとは思えない(もちろん、アントラーズにはチーム内の激烈な競争はあるのだが)。

 そもそも、我が国は、180cmを超える中盤でプレイする代表選手を、ほとんど輩出していない。メキシコ五輪の英雄、小城得達は、大柄で技巧に優れていたが178cm(釜本と同じサイズ、180cm未満ではあったが、当時は超大型選手と言う印象はあった)。70年代後半に大器として期待された西野朗は、とうとう代表には定着できなかった。そして、日本サッカーの質が格段に上がった90年代以降も、180cmを超える代表に定着した中盤選手は数えるほどしかいない。90年代前半の浅野哲也、2000年代の福西崇史と稲本潤一、そして本田圭佑くらいだろう。
 世界的に見ても、GK、CB、ストライカ以外でも、185cmを超えるタレントが当たり前になってきている。これは、アフリカ系の選手が各国の代表に増えていること、トレーニング技術が発達し体格のよい少年への技術指導が定着したことなどが要因に思える。中盤の選手に高さがあるのは、セットプレイや敵の放り込みへの対処に有効なだけではない。偶然巻き起こる中盤でのちょっとした空中戦を制することで、思わぬ好機が演出されることもあるのだ。日本協会にしてもJの各クラブにしても、積極的に大柄な少年選手の育成に力を入れているようだが、中々結果に結びついていないのが現実だ。リオ五輪世代を考えてみても、遠藤航でさえ178cm。180cmを超えるタレントはGK、CB、最前線に留まっている。そう考えると、扇原と山村の「タッパ」は、それだけで魅力なのだ。
 扇原も山村も20代半ばとなった、けれども選手の成長曲線はまちまちだ。特に大柄な選手は、20歳を超えたあたりで、身体が大人になったところで、少年時代にできていた動きができなくなるケースが、よくあると言う。2人がそれにあたるかどうかは別な議論となるが、いずれにしても、丹念にコンディショニングを高め、経験を活かして判断力を磨けば、まだまだ「化けられる」可能性はあるはず。粛々と努力を積み、成長を期待したいところだ。
posted by 武藤文雄 at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする