2017年03月05日

ベガルタ開幕2連勝

 ベガルタは、敵地でジュビロを下し開幕2連勝。2試合続けて、粘り強く戦い、終盤に1点を奪い、丁寧に守り切る、いわゆるウノゼロ、理想的なスタートダッシュと呼んでよいだろう。両試合とも、今シーズンから導入した3ー4ー2ー1が奏功、新加入の石原と永戸が組織的に機能するのみならず、中心選手として活躍したのだから、笑いが止まらない。

 ともあれ、ジュビロ戦。
 前半はあまりよくなかった。川又(必ずしもポストプレイがうまいとは言えない選手なのだが)に再三クサビを収められ、中村俊輔に自由を許す。結果、両翼の太田とアダイウトンが再三前を向いて前進、危ない場面を多数作られた。さらに押し込まれていると、川辺とムサエフの両ボランチに拾われる悪循環が続いた。
 もう1つ状況を悪くしたのは、個々の選手の軽率なミス。押し込まれているのだから、さっさとクリアして切ればよいのに、無理につなごうとして状況を悪化させてしまった。中でも、菅井は凝り過ぎたプレイで、再三危ない場面を作ってしまった(まあ、菅井らしいと、ポジティブに捉えればよいのかもしれないけれどもね)。
 それでも、前半をゼロで終えることができたのは、GK関がほぼ完璧なポジション取りで、敵クロスやDFラインの裏へのボールに対応したこと。3DFがあわてず粘り強い対応で、敵速攻の第一波を止めたこと。そして、最前線の石原を含め全選手の帰陣が早かったこと。このあたりは、流れが悪いなりに的確に対応できたと評価すべきなのかもしれない。

 後半、状況は改善された。
 まず、ボールを奪われた直後の切替と敵選手への対応が格段に改善された。中でも、川又への厳しいチェックは見事だった。結果的に、川又が焦りからか独善的なプレイが増え、俊輔が機能しなくなった。さらに、永戸と菅井の両翼への早めの展開が増え、後方から石川と大岩が押し上げることで、攻め込みの時間が増える。特に、左サイドの永戸が左利きを活かしたサイドチェンジをねらい、菅井がそれを受けることで、効果的な場面を再三作った。見事な修正だった。
 そして迎えた74分。右サイドからのFKを平岡が折り返し、混戦になったところで石原が見事な身のこなしから、後方で待機する奥埜に落とす。奥埜は、インフロントキックで狙い済ましたシュート、その軌道は完璧で、GKカミンスキーはブラインドで動けず、ゴールカバーのDFの頭上を越え、ポストの内側を叩いてネットを揺らした。好機を高頻度でつかんでいた時間帯に、しっかりと決め切ることができた。
 その後、攻撃の切り札として投入された高速ドリブラ松本への対応に、対面する菅井が苦労する局面はあったものの、丁寧な組織守備と、前掛かりのジュビロの裏を突く速攻の継続で、しっかりと逃げ切り、めでたく開幕2連勝とあいなった。

 後半の内容はとてもよく、三田、永戸のロングフィードでの大きな展開、石原(まちがいなくこの日のMVP)の再三の妙技による前線の溜めに奥埜と梁がからむ攻撃も整備されてきた。昨シーズンからの大きな課題だった速攻への対応も改善されてきた。各選手の体調が上がるのはこれからだろうから、一層の改善が期待できるだろう。
 もちろん、課題はまだまだ多い。上記した通り、前半再三速攻を許したのは大きな課題。また、終盤松本への対応に後手を踏んだのも感心しなかった。またセンタバックの層の薄さも気になる。この日の終盤に平岡が足がつるハプニングがあり、増島が投入されたが、いまベンチ外のCBは、2年目の常田しかいない。まあ、悪いことを考えてもしかたがないので、楽観的に考えることにしよう。
 さて、最大の難敵のDAZNくん。先週はライブ中継は楽しめず、番組冒頭からの映像を時間遅れで見ることになっていた。今週は一応ライブで見られたのだから、大きな改善だった。もっとも、前半画面が真っ暗になる事態が2回、特に前半終了間際は真っ黒になったまま、何も返ってこなくなり前半が終わってしまった。まあ、少しずつ改善しているようだから、気長に付き合っていこう。
posted by 武藤文雄 at 22:29| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月25日

まずは開幕勝利

 2017年シーズン開幕。ベガルタは、コンサドーレをユアテックに迎え、1対0の勝利。

 ベガルタは、三田を中心に丁寧にボールを回し、前後半を通じ、攻勢をとっていた。しかし、コンサドーレは、最終ラインを分厚く固め、一方攻撃から守備への切り替えも速い。時に、都倉とジュニーニョの個人能力による逆襲がいやらしい。結果、80分過ぎまで崩し切れずイヤな展開。
 そうして迎えた84分。交替出場して前線で再三コンサドーレに脅威を与えていた西村(昨年と比べ、上半身が格段にたくましくなっていたのが嬉しい)がうまい持ち出しで前進、後方から進出したフリーの三田につなぐ。三田の強烈なミドルシュートを、GKがファンブル、詰めていた石原直樹が落ち着いて流し込んで、ようやく決勝点を奪えた。
 石原はいわゆる2シャドーの前のワントップでの起用。左右両翼に開きつつ前線での引き出し、落ち着いた最前線でのキープ、最前線での激しいプレス、さらに時には敵DFの前線進出にもからむ、と鮮やかな活躍ぶりだった。そして、あと10分を切ったところで、渡邉監督は石原に代えて一発のある平山の起用を準備していた。そして、平山がタッチラインにスタンバイしていたその時、石原が決勝弾を決めたのだ。負傷もありレッズで活躍の機会が得られず苦しんでいた石原直樹が復活した瞬間だった。
 その後、渡邉監督は、平山の交代を中止。CB増島を起用、右から蜂須賀、大岩、増島、平岡、石川と、頑健なDFを5枚並べ、しっかりと逃げ切った(考えてみると、増島と平山が、我が愛するクラブで再会するなんて素敵だよね。そう考えると、水野も残っていて欲しかったなと)。

 正直言います。ここ2シーズン、レッズでほとんど活躍の機会を得ていなかった石原が、どこまで活躍できるか疑問視していました。ごめんなさい、石原さん。そして、ありがとう。丹念にコンディションを上げていき、シーズンフル出場をねらってください。でも平山も頼むぞ。

 コンサドーレ関係者には失礼な言い方になるが、ベガルタにとってコンサドーレは、J1で戦闘能力上互角以下と考えられる数少ないライバル。そのコンサドーレとのホームゲームは、是が非でも勝ち点3を獲得したい試合だった。その大事な試合が、十分にコンディションが揃っていない開幕戦に当たったのは、少々イヤな印象があった。
 この難しい試合に、ベガルタは新しいフォーメーション、3-4-3で臨み、上記した通り、三田を軸にした丁寧なボール回しでペースをつかんだ。コンサドーレの前線でのプレスをうまくかわし、中盤まで丁寧に持ち出すことができたのは、この新フォーメーションが奏功したと見る。まずは、スタートは上々と考えるべきだろう。他チームのスカウティングが充実してくる数節後、どのように対応するのかを待ちたい。
 さらに、スタメン出場した35歳の梁勇基と32歳の菅井直樹が元気だったのがまた嬉しかった。さすがに、勝ち切る必要があったこの試合、2人は途中交替を余儀なくされたのだが。まあ、ここは、2人の体調と言うよりは、チーム全体のフィジカルコンディションの問題と捉えるべきだろう。実際、チームとしては、体調のピーキングは随分と先に合わせているはず、厳しい鍛錬を通じ、慌てず調子を上げて行ってほしいものだ。

 もちろん、新人永戸の大活躍が嬉しかったのは言うまでもない。「左足のクロスがよい」とは聞いていたが、しつこいディフェンス、位置取りの適切さ、敵の対面マセードを完全に押し込んだ前進意欲、ロングスロー、さらには右足で狙った無回転シュート。いずれも上々だった。敵のスカウティングが充実してくると、まずは壁にぶつかるだろうが、伸び伸びと活躍して欲しいものだ。

 ただし、このやり方で、勝ち切る試合を増やすためには、もっともっと攻撃の変化が必要。この日は、終始攻勢をとることができたこともあり、80分以降に明らかな疲労から、コンサドーレの守備が甘くなった。交替出場した西村がその隙を突き、三田の前線進出をうながしたことが、この日の勝因となった。
 しかし、より強力なチームと戦う際は、三田が前線に進出するのは、そう簡単ではなくなる。となると、いわゆるバイタルエリアで、技術なり判断で変化をつけることが必要となる。そのためには、茂木や佐々木匠のような、技術的に優れた若いタレントに期待したくなる。頼むぞ。

  ともあれ、開幕戦で、苦労を重ねて勝ち点3を奪えた。いや、本当によかった。なかなか、現地に行くことが叶わない不良サポータ。DAZNには、心底苦しめられそうだが負けません。
posted by 武藤文雄 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベガルタ2017年シーズン展望

 Jリーグが開幕する。

 先日、平山相太への怪しげな期待について、講釈を垂れた。では、肝心のベガルタ仙台の今シーズンはどうなるのか。以下、おめでたいサポータの楽観的な展望を。

 どうやら今期は、基本的な布陣を3-4-2-1とするらしい。選手の配置は必ずしも本質ではないけれど、ベガルタにとっては大きな変化点となる。。
 何のかの言って、2007年に望月達也氏が監督に就任以降、2008年から2013年までの手倉森政権、それを引き継いだ渡邊氏時代、基本的には、フラットな4-4-2の布陣で戦ってきた。2013年のACL長戦時に、手倉森氏が4-3-3にトライしたり、手倉森氏の後を引き継いだアーノルド氏が独自の守備方式を試みたことはあったけれど。(余談ながら、アーノルド氏の暗黒時代を、渡邉氏が引き継いだときの七転八倒は忘れ難い思い出ですな)。
 正直言って、布陣変更、それも本腰を入れた変更の報道を目にするまで、今シーズンの編成には不安があった。サイドバック、特に左サイドバックの層が非常に薄かったことだ。昨シーズン定位置を確保していた石川は、明らかにスピードに衰えが見られ、そろそろCBでプレイするべきに思えていた。その場合、左サイドバックは、負傷の多い蜂須賀と、新人の永戸のみになってしまう。
 なるほど、3DFで行くならば、ここに中野を持ってくるのは有効(この選手の獲得はヒットだ、レンタル獲得と言うところはちょっと気に入らないけれど)、あるいは茂木、藤村、佐々木匠などを使った変則布陣も可能となる。もっとも、この新布陣が効果を発揮したらの話ですがね。

 そして、今シーズンのベガルタの鍵は、若手の成長が握っている。具体的には、高卒3年目の茂木、西村、2年目の佐々木匠、小島、常田、椎橋、この6人が、どのくらいスタメンにからんでくるか(と言うか、匠と小島は、ワールドユースねらわなければいかんのだが)。
 もちろん、上記、平山に関するブログでも述べたとおり、ベガルタはトレードで受け入れた選手を、上手に鍛え直して戦力化して(言い換えると、やりくりして)成果を発揮してきた。これはこれで、誇るべきことだ。一方で、自前の若手選手が中々育ち切らないことが大きな悩みだった。
 しかし、奥埜(ベガルタユース → 仙台大、指定選手で継続育成 → ベガルタ加入、Vファーレンにレンタル → ベガルタで中核選手に)の育成成功は、我々の大きな自信となった。昨シーズン、高卒5年目の藤村が活躍したのも、明るい話題だ。だからこそ、彼らに続く、20代そこそこの6人の活躍は、とても重要なのだ。
 もちろん、上記した藤村に加え、シュミット(何かすごくワクワクするよね)、差波、中野、パブロ、クリスランと言った20代半ばのタレント達の活躍は当然として。

 渡邊監督も、4シーズン目を迎える。勝負の年となる。
 最初のシーズンは、スタメンのほとんどが30代と言うすごい試合を経験するなど、ACL戦士の老齢化に悩む日々だった。幾度も語ったが、連戦連敗のアーノルド氏のチームを引き継ぎ、J1残留を果たした手腕は、驚異的だった。2年目は新しい選手を大量に獲得し、己の意図を伝えることでそこそこの成果を挙げた。そして、昨シーズンは、チーム全体を相当攻撃的にシフトチェンジした、一方で敵速攻への対応は解決しきれなかったが。
 そして、4シーズン目。チームは上記の通り、新たなフォーメーションに挑戦し、また優秀な若手選手をたくさん抱えている、他クラブと比較して潤沢な戦闘能力とはとても呼べない。しかし、4年目を迎える渡邊氏の手腕、大いに期待している。決して裕福とは言えないクラブだからこそ、若いこれからの監督に長期政権を託すことが重要なのだ。
 
 Jリーグが開幕する。
 毎週末の絶望、悲嘆、嘆息、失望、そしてたまに訪れる絶対的な歓喜。少しずつの積み上げ、僅かな失態からの崩壊。
 1試合が終わり、それを反芻していると、すぐに次の試合が訪れる。
 幾度も幾度も語ってきたが、こんな素敵な玩具を手にできるなんて、若い頃は想像すらできなかった。うん。
 
 そして、ベガルタサポータにとっては、4年の歳月をかけて、じっくりと育ててきた監督の手腕を堪能するシーズンとなる。最高だ。
posted by 武藤文雄 at 01:50| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

平山相太と戦える喜び

 ベガルタサポータとして、平山相太と戦うことができるシーズンの開幕が近づいてきた。何かとても素敵なシーズンになりそうな予感がしている。

 私は、平山相太と言う選手が大好きだ。そして、若い頃から、その将来性を大いに期待していた。
 一方で、10年以上前、平山が若い頃から、周囲の指導者が、「平山の特長を誤って捉え、成長を阻害しているのではないか」と、憂う文章を随分書いたものだ(もっと読みたい方は、検索ウィンドウに「平山」と入力ください。そして、8年ほど前に、FC東京で中心選手として定着し始めた頃にも、「そのプレイスタイルは相変わらず平山の潜在力と一致していない」と、文句をつけたこともある。そして、翌年の平山A代表でのハットトリックには、随分興奮したものだ。
 しかし、残念ながら平山は、代表はおろか、FC東京の主軸にすら定着はできなかった。けれども、その得点能力は決して錆びついていない。FC東京での最終戦となった昨年末の天皇杯準々決勝フロンターレ戦の終了間際の一撃など、実に見事だった(もっとも、その一撃が遅すぎて、自軍の勝利につながらないあたりも、いかにも平山らしいのだが)。
 そして、平山はFC東京から、我らがベガルタ仙台に移籍してきた。

 平山は31歳。ここまで、平山が、大成しきれなかった要因はいくつかあるだろう。
 最大の要因は、負傷の多さだろう。2011年、12年、14年と骨折による長期離脱は、あまりに不運だった。また、上記したように、この選手の特長を見誤った使われ方が続いたのも、残念だった。もちろん、オランダ時代からよく取沙汰されるように、いわゆる「戦う気持ち」に課題があったのかもしれない。しかし、これらは皆過去のことだ。
 そして、上記したフロンターレ戦の一撃を見れば、平山はまだまだ存分な輝きを見せる能力を保持しているはずだ。いや、かつてないほどの輝きを見せてくれる可能性もあるように思うのは私だけか。
 もちろん、そのために解決すべき課題は無数にある。厳しい鍛錬により、コンディション調整をしっかりと行うこと。チームメートが、平山の特長をよく理解し、平山に点を取らせるサッカーを行うこと。そして何より、平山が己の特長を理解し、チームメートに適切な要求を行い、それに平山が応え、信頼を獲得すること。それらは、決して簡単な道ではないだろう。
 ただ、若くして格段の才能を発揮しながら、活躍しきれなかった選手が、ベガルタ仙台に加入し光彩を放った事例が無数にあるのだ。たとえば岩本輝雄、たとえば財前宣之、たとえば角田誠。もちろん、朴柱成もその系譜に加えてよいかもしれない。

 などと考えると、冒頭述べたように、「素敵なシーズン」と語りたくなる気持ちを、理解いただけるのではないか。うん、楽しみだ。
posted by 武藤文雄 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月03日

監督采配の差

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。すっかり更新頻度が落ちていますが、書ける範囲であれこれ書き続けたいと思っています。と言うことで、まずは天皇杯決勝戦から、今年の講釈を始めます。新年早々、イヤミを色々書きますが、よい試合でした。でも、憲剛の戴冠を見たかった...


 アントラーズ2-1(延長)フロンターレ。
 両チームが中盤で厳しく当たり合い、攻撃でも持ち味を出し合い、最終ラインも粘り強く守る好試合だった。何か終わってみれば、伝統と実績を誇るアントラーズがタイトルの数を増やし、勝ち切れないフロンターレが無冠を継続したような結果となった。けれども、私の見たところ、勝敗を分けたのは、歴史や伝統の相違でも、試合運びの巧拙でもなく、監督采配の差だった。このような大試合で、ここまで監督が無策で自滅するのは珍しい。

 後半半ば、アントラーズは非常に厳しい状況に追い込まれていた。
 前半終了間際にCKから先制したものの、ハーフタイムに、左DFの山本を負傷で黄錫鎬に交代。ところが、後半開始早々に、その黄錫鎬が小林悠に出し抜かれて同点弾を許す。その後も、三好、小林の両翼攻撃に押し込まれていた。たまらず、鈴木優磨を起用して押し返して小康状態としたものの、既に残りの攻撃カードは1枚のみ。元々12月は連戦に次ぐ連戦で各選手に疲労の色が濃いのに加え、スタミナに不安がある小笠原、体調不十分の西、遠藤を抱えていたのだから。一方のフロンターレは日程的には格段に有利だったし、交代カードは2枚残っていた。
 それでも石井氏は決断し、88分には小笠原に代えてファブリシオに代えた。後半終了間際に決定的な失点を防ぐとともに、延長の序盤から勝負をかける意図だったのだろう。他の選手が動けなくなってしまったら、その時はその時だ。結果的に、このリスク覚悟の果断が奏功したことになる。
 対して、風間氏は何もしなかった。延長序盤もフロンターレは漫然と入ってしまい、アントラーズに押し込まれる。CKからのニアに飛び込んだ西(に見えたのだが)のヘッドはバーに救われたが、そのクリアにDFラインが集中を欠いて上がれず、永木(に見えたのだが)のヘッドで流したボールのこぼれを、ファブリシオに押し込まれ、リードを許した。繰り返すが、アントラーズが延長序盤出てくるのは、見え見えだったのだが。
 リードを許した風間氏の采配は、さらに疑問。中盤を活性化させるための森谷起用は理解できるが、チームのバランスを保つためには欠かせない田坂との交代には驚いた。ボランチに森谷と大島を並べ、憲剛をトップ下に入れるが、リードして完全に後方に引いたアントラーズ、肝心の憲剛にボールが入らなくなり、延長前半はほとんど有効な攻撃ができず終了。
 延長後半、大島に代えて森本を起用。憲剛をボランチに戻す。しかし、この時間帯となると、大久保も小林悠も疲労困憊になっており、森本を含む3トップが前線待機状態となり、一層アントラーズゴール前は密集地域となりスペースがなくなる。、さらに焦るエウシーニョと車屋も前に張り出すもサポートが得られず、両翼をえぐれない。結果として、フロンターレのパスは、アントラーズの守備網に簡単に引っかかり、幾度もアントラーズの逆襲を許す。その度に、憲剛が最終ラインまで戻り、献身的にボール奪取のための努力を行い消耗していく本末転倒。延長後半もフロンターレがつかんだ好機は数えるほどだった。
 両チームの選手は、死力を尽くし、知恵の限りを尽くして戦った。しかしながら、監督采配でここまで差が出てしまうと、フロンターレの選手たちだけでは、どうしようもなかった。繰り返すが、勝負を分けたのは、風間氏の自滅だったのだ。

 石井正忠氏は現役時代、ジーコ、サントス、アルシンドらのパスワークに的確に参加する位置取り、落ち着いたシュートなど、知性あふれるものだった。チャンピオンシップ以降の采配振りは、試合への準備、選手起用の柔軟性、リスク覚悟の決断、いずれも知性あふれるなもので、現役時代を彷彿させた。

 風間氏は退任すると言う。
 まずは、中村憲剛と大久保嘉人と言う最高級のスタアが、本当に楽しそうにプレイする環境を揃えた風間氏の手腕を称えたい。また、小林悠と大島と言うタレントも存分に力を発揮するようになった(もっとも、風間氏就任初年度、ご子息2人を重要視し、J屈指の若手ストライカだった小林悠を起用しなかったのは不思議だったが)。また、そこに三好のような、さらに若いタレントまで機能させた。
 けれども、最後得点をとるところは各選手の感性に任せてしまっているように思えた。もちろん、多くの試合では、格段の能力を誇る選手たちが次々と得点を決めていた。しかし、この決勝のような厳しい試合になると、最後の最後で連携が合わないように思えたのだが。
 守備も同様で、鄭成龍、エドゥアルド、谷口、エドゥアルド・ネットと言ったタレントの対応能力、田坂や憲剛の判断力で守っているが、組織敵には几帳面さが不足していた。この決勝、前半終了間際、延長開始直後と言った重要な時間帯のコーナキックでの守備対応の甘さは、几帳面さの不足が如実にあらわされた場面だった。
 憲剛や大久保の能力を存分に発揮させながら、最後点をとるところの連係や、守備の几帳面さを、もっと作り込む采配は、もっと並立可能ではないかと思うのだが、それは贅沢と言うものなのだろうか。

 結びに余談。いつもいつも言っているが、天皇杯決勝を元日にやるのはやめた方がよい。最大の理由は、トーナメント戦の決勝をシーズン最後にすると、オフに入るタイミングがチームごとに異なり、に日程破綻が継続することにある。Jのクラブが、ACLで勝てない最大の要因は、日程の破綻にあるのは、過去から幾度も指摘してきた。その日程破綻の要因の1つが、天皇杯決勝の元日開催なのだ。
 それに加えて、年末年始の長期休暇は帰省する人が多くサッカー観戦にはあまり向かない(しかも組合せが決まるのが直前で予定が立てづらい)、元日はテレビは特別番組が多く優勝チームの露出が小さい、などの副次的問題も大きい。
 伝統だからとか、元日にこたつに入りながらテレビを見るのが楽しみだとか、と言う理由で元日決勝を継続することが、日本サッカーの発展を阻害してしまうと思うのだが。
posted by 武藤文雄 at 00:06| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月05日

2016年シーズン、年間チャンピオンシップの罠

 まずは、アントラーズを称えたい。大会前から決められたレギュレーションにのっとり、見事な勝利を収めたのだから。今シーズンのチャンピオンはアントラーズだ。小笠原とその仲間たちに祝福の言葉を贈るとともに、敬意を表したい。

 ただ、私はこのレッズの敗戦には考え込んでしまった。ただの不運とか、理不尽とかとは別なものを感じたのだ。

 今シーズン、ペトロビッチ氏が率いるレッズは化けた感があった。試合終了間際まで、丁寧に攻撃的サッカーを継続し、粘り強く勝ち点を拾う。往々にして試合終盤の詰めを過つ傾向がなくなったのだ。結果として、長期のリーグ戦で最後の詰めを過る過去から訣別した感があった。遠藤航の補強が奏功し、後方を遠藤に託すことができるようになった阿部が本来の持ち味である中盤での刈り取りを行うことで、敵速攻への対応が改善したことも大きかった。そして何より、敵が守備を厚く固めて来ても、ペトロビッチ氏が粗忽に動かず、執拗に両翼から攻め込み続けるようにもなったのも重要だった。
 結果として、ナビスコカップをPK戦で制した試合も見事だったし、フロンターレと一騎打ちになったリーグ戦を勝ち切ったのも鮮やかだった。 そして、このチャンピオンシップ、鹿島での初戦も、西川、遠藤、阿部の中央の強さを活かし、PKの1点を守り切った試合ぶりも大したものだった。
 この第2戦も、前半開始早々、スローインからアントラーズの僅かな隙を突き、関根の高速突破から、興梠が先制。完璧な立ち上がりだった。その後も、前に出てくるアントラーズの裏を突き、武藤が幾度も好機をつかむ(が、決められない。何かなあ、武藤雄樹、持ってないなあ、がんばれよ)。
 ここまでは完璧だったのだ。

 ところが、前半終盤、宇賀神が遠藤康に出し抜かれ、さらにカバーに入った槙野の詰めが甘く、簡単に狙い済ましたクロスを許し、金崎に同点弾を食らったあたりから、おかしくなってくる。
 アントラーズに「勢い」が出たこともある。また、アウェイゴールルールがあるため、結果的に興梠の先制点があってもなくても、同じになってしまうレギュレーションが、微妙なプレッシャとなったのだろうか。そのような流れの中で、ペトロビッチ氏が、昨シーズンまでのペトロビッチ氏に戻ってしまう。
 高木に代えての青木起用は、少々守備的に戦う狙いと考えればわからなくもなかった。しかし、続く関根と駒井の交代はよくわからない。関根は先制点のアシストを含め、幾度も好機にからみ、豊富な運動量による上下動で守備にも貢献していた。まだまだスタミナも残っているように見えたのだが。そして、何か慌てるように、興梠に代えてズラタン。前線で溜めを作れる興梠は、守備にも攻撃にも有用なのだが。
 そうこうしているうちに、槙野がやらかしてしまった。アントラーズの速攻に対し、鈴木優磨のフリーランに気がつかず突破を許す。この失態のみならず、あろうことか軽率なファウルでPKを提供。我慢して身体を寄せ、初戦も好捕を見せた西川に託すべきだったのではないか。余談ながら、槙野はキッカーの金崎に対し、恫喝まで行ったのは失望した。
 しかし、それでも、アントラーズが逆転した後も試合は10分以上残っていた。けれども、ペトロビッチ氏が切れてしまった。槙野を最前線に上げ、バランスを崩した時点で、試合は事実上終了してしまった。最前線に槙野が残っても、空中戦で圧倒できる訳でも、格段のシュート力を持っているわけではない。槙野は昌子に子供扱いされ、レッズは完全に攻めあぐむ。実際、一部報道によると、レッズベンチ内にはペトロビッチ氏に異論を唱える向きもおり、ベンチは大混乱だったと言う話もある。一方で、阿部と柏木が何とか状況を打開しようとする姿は美しかったのだが。
 ペトロビッチ氏が丹精込めて作り上げ、シーズンを通じて見事なサッカーを見せていたレッズは、最後に崩壊してしまった。それも、ペトロビッチ氏が自らの手で。

 先週、フロンターレがアントラーズに、山雅がファジアーノに、それぞれ苦杯した。この2つの試合から、改めて、長期のリーグ戦の結果が、一発勝負でくつがえる恐ろしさ、理不尽さを感じることとなった。それでも、これらの試合の敗者2クラブは、負けはしたものの、相応の強さを見せてくれた。
 しかし、レッズは違った。逆転された後、10分以上の時間があったのに、監督の判断ミスで、敵に恐怖すら与えることなく自滅してしまったのだ。互角どころか、敵を圧する戦闘能力を持っていたにもかかわらずだ。

 冒頭に述べたように、通期勝ち点が少なかったアントラーズがチャンピオンになったことは、それがレギュレーションと言うもの。シーズン前に決まっていたルールにのっとったのだから、「お見事」と語るしかない。
 しかし、最後の10分のレッズの崩壊劇は、やはりよくわからない。少なくとも、レギュラーシーズン中のペトロビッチ氏は、昨シーズンまでとは異なり、丁寧に慌てることのない采配を振るっていたのだ。いったい、あの瞬間、ペトロビッチ氏に何が起こったのだろうか。単純な前後期制でなく、中途半端に通期成績が重視されるレギュレーションの罠にはまってしまったと言うことなのだろうか。

 これもサッカーと言うことなのか。
 いずれにしても、私たちにできることはある。今シーズン、レギュラーシーズンでフロンターレとの競り合いを制したレッズ(そして敗れたフロンターレ)の見事なサッカー、チャンピオンシップで鮮やかな勝ち方を見せたアントラーズのしたたかなサッカー、それぞれを、しっかりと記憶していくことだ。
posted by 武藤文雄 at 00:30| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月29日

プレイオフはやめよう

 J1昇格決定戦。準決勝の時点で2試合ともすばらしいドラマを見せていただいた。
 映像観戦は、セレッソ対サンガを選択。経営規模も比較的大きなクラブだけに、両チームにJ1レベルのスタアも多く、とてもおもしろい試合となった。
 柿谷の妙技からセレッソが先制。ソウザのミドルシュートを、サンガの名手菅野がキャッチしきれず、そこを鋭く詰めた得点だったが、飛び出しが格段の菅野の上を行くロブの鮮やかなこと。その後の時間帯も、蛍、ソウザの鋭い押し上げから、両翼の清原と杉本が精力的な上下動と個人技を発揮し、セレッソペースで試合は進む。しかし、終盤チームはガス切れ、これは柿谷の負傷などもあり、1年間をかけたチーム作りがうまく進まず、存分な組織力を持つまで強化できなかったと言うことだろう。本来であれば独走で首位を走ってもおかしくない戦闘能力を誇る(いや、そもそもJ1陥落そのものが考えづらい)クラブなのだが、監督のめぐり合わせが悪いのか、チームとしての強化が進まない。もっとも、終盤戦に向けて連勝し、このJ1昇格プレイオフにあわせてきたのはさすが。考えてみれば、昨シーズンもベテラン選手を組み合わせ、アビスパとすばらしい試合を演じてくれたっけな。ただ、チーム全体の組織力が不十分なだけに、どうしてもこのような消耗戦では、終盤エネルギー切れを起こしてしまう。ただ、このクラブには山口蛍がいた。この強力なMFの帰国には、様々な論評が渦巻くが、90分間を通し、「なるほど、代表の定位置を確保している選手は違うものだ」と、感心したものだ。
 サンガの不運は、堀米をスタメンから使えなかったことだろう(体調不良とのことだが)。ために、エスクデロが1人最前線で奮闘するが、山下、藤本のベテランCBコンビに抑えられてしまう。しかし、後半堀米が起用され、再三左サイドから見事なえぐりを見せると、エスクデロへのマークも分散。幾度も好機をつかんだが、その度にセレッソの守護神金鎭鉉が立ち塞がった。それでも、最終盤にパワープレイから1点を奪い、「あわや」と言う場面も作ったがここまで。パワープレイそのものの選択は否定しないが、もう少し堀米、エスクデロの個人技を活かす算段をすべきにも思ったのだが。

 こうして「いや、よいものを見せていただきました」と感心していたのだが、「裏番組」ではとんでもないことが起こっていた。アディショナルタイムに、ファジアーノが赤嶺の一撃で、山雅を振り切ったというのだから。繰り返すが、赤嶺の一撃で。
 山雅は、今シーズン常時安定した成績で、終盤まで2位をキープし続けてきた。首位を走るコンサドーレが失速しかけたため、じりじりと差をつめ、一時は逆転優勝でJ1昇格に花を添えるのではないかとすら思われた。ところが、終盤、ゼルビアに苦杯。名将小林伸二氏が、すさまじい勢いとチーム完成度で仕上げてきたエスパルスにひっくり返されての3位に終わり、プレイオフに回ることになった。しかし、安定した戦い振りと、反町氏の用意周到な采配を考えると、最後のJ1昇格チケットを獲得するのは、山雅が本命と考えていたのだが。
 繰り返すが、正にストライカとしか言いようのない赤嶺の一撃。名将反町氏の憮然とした表情。そして、両軍サポータの天国と地獄。この表裏一体となったドラマは今年始まったわけではない。過去も幾度幾度も堪能させていただいた。

 熊田達規氏の「マネーフットボール」、主人公が自らの将来と恋人との幸せを賭け、プレイオフ出場権を目指すストーリは感動的だった。このマンガは大好きだし、リアルな世界でも上記のように様々な講釈を垂れたように幾度も興奮させていただいた。そして、この2試合もすばらしい経験となった。


 けれども。 

 やはり、J1昇格プレイオフはやめるべきだと思う。


 長期のリーグ戦の成績をあまりに無視し過ぎているからだ。幾度も触れるが赤嶺の一撃は最高だ。けれども、サッカーと言う競技は、1試合で評価するには、あまりに偶然が左右し、理不尽なのだ。理不尽が故に最高の愉しさを提供してくれるサッカーではある。そして、その理不尽さを回避するために、長期のリーグ戦が必要なのだ。それなのに、上位リーグへの昇格を理不尽にゆだねてよいものだろうか。

 チャンピオンシップが不適切なことは過去述べたとおりだ。しかし、金儲けのためと考えれば、それはそれで1つの理屈である。
 今シーズンのJ1。レッズの粘り強さが、フロンターレを上回った。技巧的でよいチームを作る能力には疑いないペトロビッチ氏が、過去の弱点と言われた、詰めの甘さ、リードされると慌てる悪癖をよく修正。さらに、遠藤航の獲得による守備の安定もあり、とうとう年間のリーグ戦を制したシーズンだった。一方で、中村堅剛と大久保嘉人が、小林悠と大島僚太と言う配下を得て見せてくれた技巧的なサッカーも中々だった。もちろん、前期シーズンを制したアントラーズの集中力も見事だった。
 明日から始まるレッズとアントラーズの戦いは愉しみだし、どのような結果になるかはわからない。しかし、どのような結果になろうとも、今シーズンは上記の記憶を愉しむシーズンとなるのだ。アントラーズがチャンピオンズシップを制したとしても、今シーズンのレッズとフロンターレの輝きが、損なわれるものではない。繰り替えすが、今シーズンのリーグ戦を制したのは浦和レッズだ。チャンピオンシップの結果がどうあれ、これは変わらない。皆がその記憶を語り合っていけばよいのだ。

 しかしだ。
 J1昇格決定戦は違う。たとえ、山雅が長期のリーグで3位を獲得しても、そしてその戦い振りを記憶しようとしても、そこには涙しかない。より上位リーグでの戦いを目指す人々にとっては、記憶は何のなぐさめにもならない。結果がすべてなのだ。
 確かにプレイオフはおもしろい。何度でも語るが、赤嶺の一撃は最高だ。上記したように過去幾度も興奮させていただいた。しかし、そのような刺激が、いかにおもしろいとは言え、劇薬に頼るエンタティンメントが健全ではない。エンタティンメントを求めるならば、入替戦を復活させればよいだろう。中位クラブに、終盤まで上位進出の希望を持たせるために、長期リーグの結果を軽視するのは、本末転倒なのは言うまでもない。
 上位リーグとの入替は、年間の通算勝ち点で評価するべきなのだ。
posted by 武藤文雄 at 01:30| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月06日

レジェンドへの処遇

 マリノスが、中澤に大幅な減俸を提示したと言う。あくまでも、この報道が事実としてだが、何とも複雑な思いにとらわれる。

 まず今シーズンの中澤は、マリノスのまごうことなき大黒柱だった。いや、今シーズンに限らず、ここ10数年ずっとですが。ともあれ、今シーズンのマリノスが、中澤の格段の守備能力に支えられていたのは間違いない。
 そして、敵にするとこれほど忌々しい男もいない。先日のユアテックで0対1でベガルタがやられた試合。栗原のミスを拾ったウイルソンが落ち着いてフリーのハモンにラストパス、しかしハモンはドタドタと寄せる中澤に魅入られたかのように左外に持ち出し過ぎ、シュートはあえなく枠を外れた。中澤の寄せのタイミング、位置取りのうまさ、事前研究によるハモンのドリブルとシュートの癖の理解、いずれも完璧な守備ぶりだった。中澤とハモンを比較し、「格の違い」と言ってしまえばそれまでかもしれないが、あの中澤の守備は本当にすばらしかった。考えてみれば、この悔しさを味わえないのだから、マリノスのサポータの方々はお気の毒だな(と、負け犬の遠吠え)。
 南アフリカでのカメルーン戦、試合終盤に、闘莉王のおバカにより「うわあぁぁぁぁぁあ」と悲鳴を上げた直後に、中澤が例のドタドタ寄せで見事にカバーリングしてくれた場面を思い出した。38歳になった今でもなお、その守備能力は、衰えを見せていないのだ。しかも、中澤は、この3シーズンフル出場だと言う。CBでのこの偉業は、万全な体調維持、警告を食らわない読みの深さによるものだ。大したものである。

 これだけの減俸を提示すると言うことは、マリノスフロントは「来シーズン、中澤は不要」と判断していることとなる。とすれば、その後継者候補を見つける自信があるのかもしれない。確かに、マリノスには、資金潤沢の出資団体がいるらしいので。確かに世界に目を広げれば、中澤よりすぐれたセンタバックはいるだろう。ただし、そのような選手は、皆欧州の超一流クラブに雇用されており、今シーズンの中澤と同等の年俸で雇えるとはとても思えないのだが。 
 もちろん、マリノスには朴正洙、ファビオなどのよいタレントがいるので、周辺のポジションでよい選手を補強して、強力な守備網を構築する構想があるのかもしれない。このあたりは、毎試合マリノスの試合を追いかけているわけではない野次馬には、わかりかねるところがある。しかし、マリノスは、J屈指の右サイドバックである小林祐三と契約更新しないことが、公表されており、謎は深まるばかりである。
 少なくとも、野次馬が見る限り、中澤と小林が2人ともマリノスを去るとすれば、マリノスは来シーズン、まったく新しいチームとして再構築が必要になるように思う。これは、随分思い切った判断に思える。

 もっとも。
 マリノスと言うクラブは、中澤のほかに、同じ38歳の中村俊輔と言う、超弩級のレジェンドを抱えている(一部報道によると、その俊輔にも他クラブからの強力なオファーがあるとのことだが)。そして、2人のプレイが格段であるだけに、チームの若返りが難しいと言う状況がある。さらに、この2人には相当レベルの高給が支払われていることだろう。そして、どんなに節制を重ねても、30代半ば以降、多くの選手は負傷のリスクを抱えることになる。実際、今年、中澤はフル出場したが、俊輔は負傷がちのシーズンを送った。高給で年長の選手は、その選手がどれほど偉大な存在でも、クラブにとって、リスクとなり得るものだ。まして、こう言ったレジェンドに対するサポータの崇拝は格段のものがある。このような選手への待遇は、とても微妙なものなのだ。
 そもそも、マリノスと言うクラブは、歴史的にも、。中澤、俊輔以前にも、木村和司と井原正巳と言う、日本サッカー史に輝くレジェンドを輩出している。そういう意味では、レジェンドの扱いの経験は豊富なはずなのだが、何かねえ、木村も井原も、このクラブとは微妙な別れ方をしている印象が強いのですよね。
 ともあれ、レジェンドを所有できるのは、クラブにとって、とても幸せなことだ。しかし、そのレジェンドたちを適切に処遇するのは、案外に難しい。そして、同世代のレジェンドを2人抱えるマリノスフロントの悩みは、わからなくもない。

 まあ、そんなこんなを考えても、マリノスの今回の中澤への対応は、あまり上手とは言えない。
 個人的には賛成しかねるが、この大ベテランを戦力外と判断するにしても、高給を負担しても雇いたいと考えるクラブが他にもあるはず。そのようなクラブへの移籍を花道として準備する手段もあったはず。
 それとも、まさかこの偉大な選手を、ディスカウントで雇用しようとは思っていないですよね。
posted by 武藤文雄 at 00:23| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月03日

ホーム最終戦を前に2016

 早いもので、2016年シーズンも最終節。今シーズンは、ベガルタはホームにジュビロを迎えて戦う。そして、残念ながら天皇杯で苦杯を喫していることもあり、このジュビロ戦が、今シーズンのまごうことなき最終戦となる。ただでさえ、ホーム最終戦は胸高まるものがあるのだが、このメンバで戦う最後の試合と思うと気持ちは高まる。考えてみれば、リーグ最終盤よりかなり早くJ1残留を決めたシーズンは珍しい。勝とうが負けようが、大勢に影響のない最終戦。だからこそ、純粋に「勝ちたい」と言う思いが高まる。さらに、敵方のジュビロが追い込まれていると言うスパイスも加わっている。そしてウイルソン

 11月上旬にシーズンが終わってしまうことの愚かさを、いまさら語ろうとは思わない。少なくとも、Jリーグ当局は、「過ちては改むるに憚ること勿れ」と言う概念は理解しており、残念な方式は今年で打ち止めになるのだし。ただ、レッズとフロンターレによる1年を費やしたすばらしい戦いが明日完了するにもかかわらず、最終的な結果が別オプションとなる間抜けさは強調しておくべきだとは思うが。

 ともあれ。
 上記のとおり、ワクワクする最終戦である。いや、それだけではない。今シーズンベガルタが早々に、J1残留を決めることができたのは、、渡邉監督が組み上げてきた攻撃的サッカー志向の賜物だ。ハモンの大化け、奥埜の充実、三田の展開力、そして藤村、西村、茂木と言った自前の若手選手たち、これらの明らかなプラスを軸に、貪欲に攻め切ろうとするサッカーが結実しつつある。
 ただ、守備は難題だった。とくに、敵の速攻への対応は、なかなか修正されなかった。それでも、今シーズン加入した平岡と大岩の、個人能力の高さが、昨シーズンと比較すると、改善点にはなっていたが。
 しかし、ようやくこの終盤戦、敵速攻への対応が改善されてきた。前々節のヴィッセル戦の組織守備は中々よかった。前節のFC東京戦、充実した中島に切り崩された失点場面はさておき、後半幾度も迎えた東京の速攻への対応が、格段に充実していたのは嬉しかった。
 明日は、これらの集大成を見たい。今シーズン格段に改善された攻撃力と、終盤に向上してきた守備力。それらが、しっかりとバランスがとられた試合を見たいのだ。その、すばらしい組織戦を見ることができると期待したい。

 もちろん。
 ジュビロにとっては、とても大切な試合となった。「引き分ければ大丈夫」ではなく「大差で負けなければたぶん大丈夫」と言う試合は、入り方がとても難しい。かつて、アジアを制覇した名門クラブ、その制覇時の大黒柱だった名波監督が、選手達をどのようにモチベートしてくるか。
 そして、ジュビロは、典型的な「先方は特にそう思ってはいないが、当方は忘れられない」クラブなのだ。ベガルタのクラブ史においてとても重要な存在だった太田吉彰が敵方にいるのも、何とも言えない思いがある。
 ベガルタとしては、この尊敬すべき友人を粉砕することが、最大限の敬意となるのは言うまでもない。

 報道によると、ピッチで舞うウイルソンを堪能するのは難しそうだ。佐々木匠が起用される可能性もあると言う。どのような布陣で、どのような戦い方をするのか。上記したとおり、今シーズン、このメンバでの、集大成を愉しみたい。
posted by 武藤文雄 at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月23日

ありがとう、ウイルソン

 ベガルタが、ウイルソンとの契約満了を発表した。
 31歳で、3シーズン続けて再三負傷での離脱が続き、年俸も決して安いとは言えないストライカとの再契約が、難しいのは予想していた。そして、その予想どおりとなったわけだ。クラブの経営と言う視点からは妥当な結論だ。
 また、あと2節を残しての発表そのものも、これだけ貢献してくれた選手との別れの機会を、我々サポータに提供してくれたクラブの判断に敬意を表したい。

 と、クラブの判断は適切だとは思うが、むしょうに寂しいのは言うまでもない。感情と言うものは、理屈では語り切れないのだ。
 ベガルタサポータとって、ウイルソンはあまりに大切な選手だった。今思い起こしても夢だったのではないかと感じるACL出場への貢献は格段だった。
 冷静な判断からの落ち着いたシュート。しっかりした前線でのボールキープ。広範な視野から速攻の起点となる。単身でも強引にシュートに持ち込み敵DFに与えるプレッシャ。そのような天才肌のストライカにもかかわらず、攻守両面の献身。
 最前線にウイルソンがいるだけで、ベガルタのサッカーはまったく異なるものとなった。そして、今シーズンも、復帰したアルビレックス戦やベルマーレ戦で、正にスーペルゴラッソとしか言いようのない美しい得点を決めてくれた。「まだまだやれる」と言う強い思いもあるのだ。

 監督就任後、実質3年目となる渡邉氏だが、この3シーズン、エースと期待され、実績も豊富なウイルソンがの体調が、シーズンを通してそろうことはなかった。それでも、コンディションさえ整えば、ウイルソンが一番頼りになるストライカだったことは間違いない。
 その中で、渡邉氏は丁寧にチーム強化を継続。特に今シーズンは、氏が監督に就任した14年シーズンに途中加入したハモン・ロペスが完全に「化けた」感がある。昨シーズンまで、左足の一撃は強烈だが、そこに持ち込むことができず、敵DFにつぶされていたばかりのハモン。しかし、今シーズン、後方からのボールをしっかりと収められるようになり、クロスに合せる呼吸が格段に上達したのだ。ベガルタのフロントが、「ウイルソンに頼らずとも」と、判断したのも理解できる。もっとも、このハモンに他クラブからのオファーが集まっているとの報道があるが、それはそれと言うものだろう。
 
 ウイルソンについて美しいな思い出は幾多もある。しかし、最も甘く苦い思い出はこれに尽きる。ウイルソンと世界屈指の名審判の、日本最高のスタジアムでの邂逅の悲劇。このような感情を味合わせてくれただけで、ウイルソンには感謝の言葉もない。

 来シーズン、ウイルソンはどこに行くのだろうか。負傷が続いた中で、ブラジルに帰るのか。アジアの他国にプレイ機会を求めるのか。それとも他のJクラブか。大好きなこのストライカのプレイを見続けたい思いは強いが、ベガルタゴールドとは異なるジャージを身に着けたウイルソンを見たくない思いもある。
 いや、ここはつまらない思いは捨てよう。ウイルソンの次の人生での幸運を祈りたい。ブランメルから始まり、ベガルタと言うクラブは、ようやく22年間と言う歴史を積み上げてきた。22年と言う歴史は、決して長くもないが、短くもない。その歴史を、ウイルソンは鮮やかに彩ってくれた。
 マルコスも、シルビーニョも、朴柱成も、幾多の歓喜を我々に提供し、母国に帰って行った。

 あと2試合ある。
 ウイルソン。さよなら、そしてありがとう。
posted by 武藤文雄 at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする