2017年08月04日

石川直樹との別れ

 石川直樹が、コンサドーレに完全移籍した。
 今シーズンに入り、スタメンの座を奪われていた石川。したがって、他クラブからオファーがあれば、石川が移籍の決断をするのは不思議ではない。ベガルタにとっては貴重な控え選手ゆえ、戦闘能力と言う意味でも痛いし、何より石川がいなくなると考えると寂しい。しかし、ここは快く送り出すしかない。そして、新たな環境での活躍を期待したい。ベガルタ戦以外でだが。
 それにしても、この4年半の貢献には感謝しても感謝しきれない。特に2014年シーズンに、我々がJ1に残留できたのは、石川の八面六臂の活躍があってのこと。あの難しい時期のベガルタを支えてくれた石川のプレイ振りを、私は忘れることができない。

 石川は、ベガルタにACLに出場したの2013年シーズンに、ベガルタに加入した。
 当時のベガルタは、菅井、梁、関口、富田と言った2000年代前半に加入した生え抜き選手に加え、J1再昇格の2010年シーズン前後に獲得した、林、鎌田、角田、太田、赤嶺、そしてウイルソン、さらには朴柱成と言った、移籍で獲得したタレントの個人能力を存分に発揮させることで輝いたチームだった。こう言ったピンポイントの移籍選手獲得の格段のうまさと、手倉森監督の格段の手腕により、我々はACL出場の栄冠をつかむことができた。
 けれども、そこには背反があった。それぞれの選手たちは、みな己の選手としてのピークを迎える年齢、つまり20代後半にベガルタにやってきた。そのため、2014年シーズンには一気に反動が来た。チームの老齢化が隠しようがなくなったのだ。
 その2014年シーズンに常時出場し、チームを支えたのが、石川だった。石川はベガルタの一番難しい時期を支えた存在だったのだ。そして、翌2015年シーズンより、ベガルタは奥埜に代表される自前の若手選手を次々に登場させ、新たなステージに移ることができた。

 石川はセンタバックもサイドバックもこなし、左足のキックが魅力。その左足は、センタバックでは高精度のロングフィードに、サイドバックでは好クロスに活かされる。左利きで、いずれの位置もこなせるタレントは日本では珍しい。私的には、日本のマルディーニなのだ。
 守備においては、いわゆるスピードは今一歩だが、敵の攻撃を読む能力に秀でている。ただし、昨シーズンあたりから、年齢的なこともあるだろうが、単純なスピード不足で敵のサイドプレイヤに突破を許す頻度が増えてきて、「そろそろサイドバックは難しいかな」と言う印象だった。
 そして、ベガルタが今シーズン3DFを採用したこともあり、石川はいわゆる左のセンタバックで起用された。ところが、そうなると局面によっては、サイドでの守備が必要となり、上記したスピード不足の課題を露呈することもあった。そのため、敵FWへの応対が丁寧な増嶋に定位置を奪われた格好となっていた。
 それでも、石川はルヴァンカップでは主将を務め、2次ラウンド進出を支え、ベガルタにとっては、貴重な貴重な控えの守備者った。そして、勤勉な石川のことだ。丁寧に自分の長所短所を整理し、レギュラ奪回を狙っていたはずだ。その奪回劇を堪能させてもらう前に、コンサドーレからのオファーが届いたと言うことだろう。

 石川の移籍が発表された日に行われたレイソル戦。同じポジションに椎橋慧也が抜擢された。椎橋は、落ち着いたポジション修正、敵の縦パスへのはね返し、正確なフィードを見せてくれた。そして見事なドリブルの攻め上がりから、石原に決定的なラストパスも通した。もちろん、加速したクリスティアーノや伊東に、後方を突かれるなど、肝心の守備はまだまだ課題は多い。それでも、椎橋のプレイは我々に大きな期待を抱かせるものだった。石川が去ることにより、椎橋は機会を得た。そして、椎橋と同年齢の小島や常田に機会が訪れる可能性があるだろう。さらには、3日には新しいブラジル人CBのヴィシニウスの獲得が発表された。去る者があれば、来る者もいるのだ。

 改めて、4年半の間、ベガルタのために粉骨砕身してくれた石川直樹に感謝したい。ありがとうございました。
posted by 武藤文雄 at 01:23| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月31日

蜂須賀孝治の充実と課題

 J1第19節、ベガルタ1-1レイソル。

 中断前3試合で、毎試合のように大量失点をして3連敗していたベガルタ。さすがに、この試合では守備を相当意識した試合を行った。蜂須賀と中野の両サイドMFが、素早く最終ラインに入り、3-4-3と言うよりは、5-4-1と言う並び。もちろん、ボールをしっかりとキープする狙いは変わっていないから、蜂須賀と中野は幾度も上下動を繰り返す必要があり、負担は非常に重い。
 そして、ベガルタの守備は非常によく機能。石原と西村が長い距離を走る逆襲速攻、蜂須賀の強引な右サイド持ち出しに大岩と西村がからむ右サイドからの崩しなど、上々の展開で後半半ばまで試合は進む。
 しかし後半半ば過ぎ、ベガルタはCKから先制を許す。その後、ベガルタは中々有効な攻め込みができない。クリスランと石原が、レイソルの中谷、中山の若きCBに押さえられ、結果両翼に起点を作れなかったのだ。中でも、シーズン当初より上半身が明らかにたくましくなった中谷は、忌々しい事この上なく、カバーリングの妙と、体幹の強さを存分に発揮されてしまった。
 それでも、アディショナルタイム、クリスランが狡猾な動きから、中野のスルーパスを呼び込み、左から抜け出し鋭く低いクロス、石原が見事なスクリーンプレイからボールを落とし、中野が叩き込んで同点。
 まずはやれやれである。この勝ち点1は、ベガルタにとっては、本当に貴重なものとなった。

 ともあれ。CKから奪われた失点は、ほろ苦いものだった。
 レイソルに分厚い攻めを仕掛けられたが、ベガルタ守備陣も丹念に対応。富田が実に見事なボール奪取を見せたものの、蜂須賀がクリアすればよいものの中途半端につなぎを狙い拾われ、シュートまで持ち込まれたのをブロックして許したCKからだった。
 そして、キッカーのクリスティアーノがファーサイドを狙ったボールに、見事な出足で飛び出した伊東に、蜂須賀の前でヘディングを許し、決められてしまった。
 つまり、蜂須賀が提供したCKの対応を、蜂須賀が誤まり、失点してしまったのだ。

 つらいことだが、中断前の3連敗、失点場面に幾度も蜂須賀はからんでいた。ガンバに許した決勝点は、ガンバのFKに一番ファーサイドにいた蜂須賀が対応できず、ファビオにヘディングシュートを許したものだった。ヴィッセルに許した先制点は、蜂須賀が不用意につなごうとしたボールを奪われたものだった。
 この日のレイソル戦の失点は、蜂須賀はつい最近行ったミスを再度犯してしまったために、許したものだったのだ。

 蜂須賀は2013年シーズン、仙台大から特別指定選手を経てベガルタに加入したサイドプレイヤ。180pの体躯、利き足は右だが左でもしっかりとクロスを蹴ることができ、縦への疾走を繰り返すことができる。しかし、中々定位置をつかむことができずに5シーズン目を迎えた。
 蜂須賀がレギュラに定着できなかった要因はいくつかある。元々、ベガルタの右サイドバックには、クラブのレジェンドでもある菅井直樹がいたこともあった。蜂須賀自身が、ベガルタ加入以降複数回下半身の大怪我をしたこともあった。ただ、それらに加えて、時々びっくりするようなミスをする悪癖があったのだ。中盤でパスをつないでいるときに、簡単な横パスを提供してしまう。逆サイドから攻め込まれているときに、敵に揺さぶられているわけものないのに、ボールウォッチャになってしまうなど。
 それでも今シーズンの蜂須賀は格段に成長している。幾度も上下動を行える脚力を活かし、いずれの試合でもスプリント数は格段の回数を誇る。縦に出た右クロスも、切り返した左クロスも、精度が向上した。敵サイドプレイヤに対する守備応対も随分と粘り強くなった。中盤でのつなぎも、逆サイドへの展開を含め、間違いなく上達した。
 渡邉監督が目指すサッカーでは、サイドMFの充実が何より重要。そして、左サイドで高い評価を得ていた新人永戸の負傷離脱はあまりに残念。しかし、その他のサイドMFとしては、ようやく負傷が癒えた中野、グランパスから獲得した古林、ベテランの菅井、若手の茂木、小島など候補選手は多い。しかし、蜂須賀には彼らライバルにはない、体格の強さ、空中戦の強さ、そして何より上下動をいとわない脚力がある。
 そして、我がクラブは、少々欠点がある選手を見捨てる贅沢は許されない。蜂須賀が己の長所を活かし、短所を改善することで、格段のサイドプレイヤに成長すること。それが、今シーズンの上位進出のカギを握るのだ。

 頑張ってくれ、蜂須賀よ。 
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2017年05月29日

渡邉監督、順調だからこそ柔軟な采配を

 イタリア戦の堂安の2発もすごかったが、昨日のアルビレックス戦ののクリスランの決勝弾も相当な難易度だった。テレビ桟敷とは言え、これだけ鮮やかな得点で幾度も歓喜することができたのだから、誠に結構な週末だった。

 ベガルタは、アルビレックスに2対1でかろうじて逆転勝利。敵地でエスパルスに3対0で快勝した以降、4試合ぶりの貴重な勝利となった。
 ちょっと過去3試合を振り返ってみる。
 まずホームのFC東京戦。前半CKのこぼれ球、ゾーンディフェンスがカバーできない地域に位置取りした大久保に、ペナルティエリア外側あたりから、地を這うような強烈な一撃を決められる(生観戦してたのですが、美しい弾道だった、くそぅ)。さらに後半、シュミットのミスを突かれ大久保にもう一発食らう。強引な攻めは森重に止められるため、三田を中心に丁寧に変化をつけた攻めを展開。しかし、どうしてもGK林を破ることはできなかった。大久保、森重、林と言った、個人能力の高い選手に敗れた試合だった。
 続く敵地の大宮戦。前半は完全に圧倒、敵DFの軽率なミスで得たPK崩れからクリスランが先制。その後も複数回好機をつかむ。ところが、後半CKからニアを固める(最近のはやり言葉ではストーン)クリスランが簡単に敵に前に入られフリックされて、ファーサイドフリーの山越に決められ同点を許す。これにより、連敗続きの大宮がホームの大声援の後押しで勢いを増す。特にFW瀬川の献身的なフォアチェックに苦戦。西村の軽率なボールロストからの速攻から、大前に鮮やかな個人技を発揮され決勝点を奪われた。ペースを奪われた時間帯に無理をしてしまい、悪い流れのまま無理をしてやられると言うもったいない試合だった。
 そして前節の敵地横浜戦。この試合も前半から敵を圧倒する。決定機は前節前半より多いくらいだったが決められない。選手達にも焦りがあったのか、フィニッシュに向けて、妙に凝ったパス回しを始める。イヤな予感がしていたら、案の定中盤のミスから速攻を食らい、前半アディショナルタイムに先制を許す最悪の展開。それでも後半もよいペースを維持、CKから大岩が同点弾を決め、その後も攻め込んだが、どうしても中澤を破れず、引き分けに終わった。フィニッシュには課題が残ったが、90分間攻勢をとれたのは明るい材料と思われた。

 そうこうして迎えたこの新潟戦。前節からの勢いをそのまま継続したように前半から攻勢をとる。しかし、フィニッシュに工夫が足りず決めることができない。特に高いクロスの多くを、新潟CB宋株熏にはね返されていたのだから、ラストパスにもう一工夫欲しいところだった。
 しかし、好事魔多し。後半立ち上がりに、中盤で簡単に奪われて、速攻から決定機を許すも、かろうじてしのぐ。そして、それ以降、押し込むことができなくなる。そして、無理に攻め込もうとしては中盤でボールを奪われ、さらに2度好機を許す。そして、60分過ぎ、前線で石原がうまいキープを見せるがフォローに入った梁?との連係ミスから簡単にボールを奪われ、またも速攻を許し、とうとう先制点を奪われてしまう。
 これは、渡邉監督の采配ミスだろう。後半立ち上がりから、思うような展開が叶わず、幾度も速攻から決定機を許していたのだから、何がしかの修正を行うべきだった。梁に代えて西村を入れて運動量を増やし敵DFを押し下げてもよかた。この日久々にベンチに入った野沢を起用して全体の展開をスローにする手段もあったはずだ。もちろん、中盤を構成する富田や三田に、ベンチから「無理して前ばかりいかず、ゆっくり展開せよ」と指示する手段もあった。しかし、後半立ち上がりの15分間、あれだけペースが悪くなっていたのに、渡邉氏は何も手を打たなかった。
 大宮戦もそうだが、敵がアグレッシブになることで、今までうまく行っていた展開が叶わなくなることはあるものだ。それに対して、無理にうまく行っていたときと同じやり方にこだわるのは、どうしても無理が生じてしまう。

 失点後、渡邉氏は果断な采配を振るう。クリスランと西村を同時投入、基本的に後半交代することが多い梁はさておき、今シーズン攻撃の要としてほぼフル出場していた石原を比較的早い時間帯に外したのは、相当な決断だった。
 この交代はうまく行った。いきなり西村が遠い距離からミドルシュートを放つなど、再三縦に出る勢いを見せ、新潟DFを押し下げることに成功したからだ。そして、ベガルタは再び攻勢をとると、少しずつ新潟の選手に疲労が目立ち始める。
 そして83分、西村との連係で抜け出そうとしたクリスランが倒されPK獲得し同点。さらにその直後、永戸が守備ラインとGKの間に見事なクロスを通す。そして、クリスランがものすごい得点を決めてくれた。左からのクロスをジャンプして左アウトで左前方にトラップ、それを左足のジャンプボレーで叩き込んだのだ。クリスランがトラップした瞬間、「ヘディングシュートを狙えよ」と文句を言ったのはひみつだ。
 その後は、一度ホニに抜け出されシュミットのファインプレイでしのいだ場面を除いては、丁寧に時計を進めタイムアップ、久々の勝利とあいなった。まずはやれやれである。

 勝ったのは嬉しい。しかも逆転劇の快感は格段だ。けれども、後半序盤の悪い時間帯に、しっかり修正できていれば、ああも易々と失点しなかったのではないか。そして、大宮戦に続き、悪い時間帯に修正し損ねたのは気になる。

 勝ち点は思うように伸びていないが、チーム作りは順調に進んでいるのは間違いない。
 今シーズンから始めた両翼を押し出す3DFの連係は、試合ごとによくなっている。開幕当初から、よく機能している左サイドの新人永戸は、この日もアシスト以外でも、工夫したクロスを再三上げている(同点直前、西村に合わせたグラウンダのクロスも見事だった)。加えて、ここ最近、右サイドの蜂須賀が、脚力と両足を扱える長所を活かせるようになってきた。今期の移籍組で最も期待された中野も復活してきたし、ここにはふてぶてしさが武器の茂木もいる。
 前線の選手層も相当なものだ。石原と梁の異なる知性、奥埜の献身と裏抜け、西村のアグレッシブさ、佐々木匠の技巧は間違いない、ルヴァンカップを見た限りではまだまだ野沢も元気だ。そしてクリスランのズドーン。これだけのタレントを、どう組み合わせるか。
 若い選手の台頭も多く、選手層も着実に厚くなっている。結構なことだ。ルヴァンカップを含め、西村、匠、椎橋と言ったタレントが存分に機能している。他クラブの関係者に笑われるだろうが、我がクラブが20歳そこそこのタレントを機能させられたのは、J2時代の菅井、関口、萬代ら以来なのだ。

 渡邉氏は、見事にチームを作ってきている。だからこそ、いっそう柔軟な采配を期待したいのだ。せっかく、ここまで質の高いサッカーの息吹が感じられるのだから、それを存分に活かしたいではないか。
 まあ、そうそう思うように行かないから、おもしろいのですがね。
posted by 武藤文雄 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月08日

取られも取られたり

 ベガルタはレッズに0対7で惨敗。
 1週間根を詰めて働いて迎える愉しい週末が、これで始まるのだから、サポータ稼業はやめられない。現地に行かれなかった己の情けなさを呪い、大差がつけられても奮戦してくれた選手たちを誇りに思い、現地で最後まで声援を送り続けた友人たちに感謝したい。

 まあ、言い古された話ではあるが、0対7で1試合負けるのは、0対1で7回負けるよりも格段にマシなのだ。今シーズンはルパンカップを含め7試合を行い、得点は3、失点はこのレッズ戦を含め17。それでも、リーグ戦で勝ち点9を確保しているのだから、最高の成果を挙げていると理解すべきだろうな。

 勝敗そのものも、大差がついてしまったことも、2点目が分岐点となった。得点力に乏しい我が軍は、西川や遠藤航が後方を固めるレッズから大量点をとるのは難しい。ために、2点差になった時点で、ベガルタの選手達の守備統率意識が崩れてしまった。一方で選手達の敢闘精神はすばらしかったのだけれども(終了間際の梁の逸機がその典型だった)。3点目はミスがらみだが、武藤へのアプローチに連動がなくズドーン。4点目のPK提供の平岡の宇賀神に対して無謀なタックル。5点目はレッズの速攻に対しラインが揃わない。
 選手1人1人が頑張っても、あれだけ守備組織がおかしくなると、レッズの攻撃は防げない。サッカーは頑張るだけでは勝てない。頭を丁寧にはたらかせて、相互が適正な連係をとらなければ。2点差、3点差にされても、落ち着いて頭をはたらかせて欲しかったのだけれども。もちろん、全選手が冷静な判断を失っていたわけではない、特に関は、あれだけ失点を重ねがらも、90分間を通し冷静な位置取りで的確なプレイを継続してくれた。
 まあしかし。レッズ相手に組織崩壊し、どんどんと点差を開かれても、いずれの選手も戦う気持ちは萎えてなかったのだから、それでよいのだろう。いや、今後のことを考えると、この展開では知性よりも精神力を見せてくれた方がよかったのかもしれない。

 元々この日は契約条項で石原が使えない。平山と西村は負傷離脱中、クリスランもフルタイムの出場は難しい。そのような状況で、渡邉監督は、奥埜と梁を2トップにした5-3-2を選択、まずは守備的に戦うことを選択したのだろう(野沢を前線に起用するやり方があったように思うが、体調がよくないのだろうか)。これはこれで、合理的な策ではあった。
 しかし、両翼の永戸が若さを露呈し絞り過ぎ、蜂須賀が駆け引きで興梠に完敗し、早々に失点。2点目は、中盤選手が引き過ぎて(この欠点は、ヴィッセル戦でも見られたことだ)、いわゆるバイタルを空けてしまい、そこから永戸が関根に出し抜かれた。
 特に永戸は同年代のトッププレイヤである関根に完敗したことそのものが、とてもよい経験になったはずだ。永戸は終盤茂木と交替させられた訳だが、経験と言うことを考えれば、最後までプレイさせたかった。交替に関しては、この展開だったのだから、菅井ではなく2年目の佐々木匠を使ってもよかったとも思う。これだけ状況が悪くなったのだから、若い永戸、茂木、匠らに託すのも一手段ではないか。
 まあ、渡邉監督はそう言う男なのだ。どのような状況になっても、若手だから優先するのではなく、いずれの選手にも公平に対応する。その生真面目さを、私はとても信頼している。

 冒頭にも述べたが、埼玉でのナイトゲームだけに、参戦する計画を立てていたのだが、本業都合でどうしてもかなわなかった。そんなことをやっているから、これだけ貴重な機会を逸してしまうのだ。考えてみれば、今シーズンはこのレッズ戦のほかにも、レイソル戦やルパンのFC東京戦など居住近隣地での観戦機会を逸しっぱなしだ。これではいけない。しっかりと、他のことを片付け、現場に通えるようにしなければと大いに反省した次第。
 幸い来週は所要があり帰仙するので、ユアテックアントラーズ戦には参戦できる。心を入れ替えて、ちゃんと応援しよう。
posted by 武藤文雄 at 14:39| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月05日

ベガルタ開幕2連勝

 ベガルタは、敵地でジュビロを下し開幕2連勝。2試合続けて、粘り強く戦い、終盤に1点を奪い、丁寧に守り切る、いわゆるウノゼロ、理想的なスタートダッシュと呼んでよいだろう。両試合とも、今シーズンから導入した3ー4ー2ー1が奏功、新加入の石原と永戸が組織的に機能するのみならず、中心選手として活躍したのだから、笑いが止まらない。

 ともあれ、ジュビロ戦。
 前半はあまりよくなかった。川又(必ずしもポストプレイがうまいとは言えない選手なのだが)に再三クサビを収められ、中村俊輔に自由を許す。結果、両翼の太田とアダイウトンが再三前を向いて前進、危ない場面を多数作られた。さらに押し込まれていると、川辺とムサエフの両ボランチに拾われる悪循環が続いた。
 もう1つ状況を悪くしたのは、個々の選手の軽率なミス。押し込まれているのだから、さっさとクリアして切ればよいのに、無理につなごうとして状況を悪化させてしまった。中でも、菅井は凝り過ぎたプレイで、再三危ない場面を作ってしまった(まあ、菅井らしいと、ポジティブに捉えればよいのかもしれないけれどもね)。
 それでも、前半をゼロで終えることができたのは、GK関がほぼ完璧なポジション取りで、敵クロスやDFラインの裏へのボールに対応したこと。3DFがあわてず粘り強い対応で、敵速攻の第一波を止めたこと。そして、最前線の石原を含め全選手の帰陣が早かったこと。このあたりは、流れが悪いなりに的確に対応できたと評価すべきなのかもしれない。

 後半、状況は改善された。
 まず、ボールを奪われた直後の切替と敵選手への対応が格段に改善された。中でも、川又への厳しいチェックは見事だった。結果的に、川又が焦りからか独善的なプレイが増え、俊輔が機能しなくなった。さらに、永戸と菅井の両翼への早めの展開が増え、後方から石川と大岩が押し上げることで、攻め込みの時間が増える。特に、左サイドの永戸が左利きを活かしたサイドチェンジをねらい、菅井がそれを受けることで、効果的な場面を再三作った。見事な修正だった。
 そして迎えた74分。右サイドからのFKを平岡が折り返し、混戦になったところで石原が見事な身のこなしから、後方で待機する奥埜に落とす。奥埜は、インフロントキックで狙い済ましたシュート、その軌道は完璧で、GKカミンスキーはブラインドで動けず、ゴールカバーのDFの頭上を越え、ポストの内側を叩いてネットを揺らした。好機を高頻度でつかんでいた時間帯に、しっかりと決め切ることができた。
 その後、攻撃の切り札として投入された高速ドリブラ松本への対応に、対面する菅井が苦労する局面はあったものの、丁寧な組織守備と、前掛かりのジュビロの裏を突く速攻の継続で、しっかりと逃げ切り、めでたく開幕2連勝とあいなった。

 後半の内容はとてもよく、三田、永戸のロングフィードでの大きな展開、石原(まちがいなくこの日のMVP)の再三の妙技による前線の溜めに奥埜と梁がからむ攻撃も整備されてきた。昨シーズンからの大きな課題だった速攻への対応も改善されてきた。各選手の体調が上がるのはこれからだろうから、一層の改善が期待できるだろう。
 もちろん、課題はまだまだ多い。上記した通り、前半再三速攻を許したのは大きな課題。また、終盤松本への対応に後手を踏んだのも感心しなかった。またセンタバックの層の薄さも気になる。この日の終盤に平岡が足がつるハプニングがあり、増島が投入されたが、いまベンチ外のCBは、2年目の常田しかいない。まあ、悪いことを考えてもしかたがないので、楽観的に考えることにしよう。
 さて、最大の難敵のDAZNくん。先週はライブ中継は楽しめず、番組冒頭からの映像を時間遅れで見ることになっていた。今週は一応ライブで見られたのだから、大きな改善だった。もっとも、前半画面が真っ暗になる事態が2回、特に前半終了間際は真っ黒になったまま、何も返ってこなくなり前半が終わってしまった。まあ、少しずつ改善しているようだから、気長に付き合っていこう。
posted by 武藤文雄 at 22:29| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月25日

まずは開幕勝利

 2017年シーズン開幕。ベガルタは、コンサドーレをユアテックに迎え、1対0の勝利。

 ベガルタは、三田を中心に丁寧にボールを回し、前後半を通じ、攻勢をとっていた。しかし、コンサドーレは、最終ラインを分厚く固め、一方攻撃から守備への切り替えも速い。時に、都倉とジュニーニョの個人能力による逆襲がいやらしい。結果、80分過ぎまで崩し切れずイヤな展開。
 そうして迎えた84分。交替出場して前線で再三コンサドーレに脅威を与えていた西村(昨年と比べ、上半身が格段にたくましくなっていたのが嬉しい)がうまい持ち出しで前進、後方から進出したフリーの三田につなぐ。三田の強烈なミドルシュートを、GKがファンブル、詰めていた石原直樹が落ち着いて流し込んで、ようやく決勝点を奪えた。
 石原はいわゆる2シャドーの前のワントップでの起用。左右両翼に開きつつ前線での引き出し、落ち着いた最前線でのキープ、最前線での激しいプレス、さらに時には敵DFの前線進出にもからむ、と鮮やかな活躍ぶりだった。そして、あと10分を切ったところで、渡邉監督は石原に代えて一発のある平山の起用を準備していた。そして、平山がタッチラインにスタンバイしていたその時、石原が決勝弾を決めたのだ。負傷もありレッズで活躍の機会が得られず苦しんでいた石原直樹が復活した瞬間だった。
 その後、渡邉監督は、平山の交代を中止。CB増島を起用、右から蜂須賀、大岩、増島、平岡、石川と、頑健なDFを5枚並べ、しっかりと逃げ切った(考えてみると、増島と平山が、我が愛するクラブで再会するなんて素敵だよね。そう考えると、水野も残っていて欲しかったなと)。

 正直言います。ここ2シーズン、レッズでほとんど活躍の機会を得ていなかった石原が、どこまで活躍できるか疑問視していました。ごめんなさい、石原さん。そして、ありがとう。丹念にコンディションを上げていき、シーズンフル出場をねらってください。でも平山も頼むぞ。

 コンサドーレ関係者には失礼な言い方になるが、ベガルタにとってコンサドーレは、J1で戦闘能力上互角以下と考えられる数少ないライバル。そのコンサドーレとのホームゲームは、是が非でも勝ち点3を獲得したい試合だった。その大事な試合が、十分にコンディションが揃っていない開幕戦に当たったのは、少々イヤな印象があった。
 この難しい試合に、ベガルタは新しいフォーメーション、3-4-3で臨み、上記した通り、三田を軸にした丁寧なボール回しでペースをつかんだ。コンサドーレの前線でのプレスをうまくかわし、中盤まで丁寧に持ち出すことができたのは、この新フォーメーションが奏功したと見る。まずは、スタートは上々と考えるべきだろう。他チームのスカウティングが充実してくる数節後、どのように対応するのかを待ちたい。
 さらに、スタメン出場した35歳の梁勇基と32歳の菅井直樹が元気だったのがまた嬉しかった。さすがに、勝ち切る必要があったこの試合、2人は途中交替を余儀なくされたのだが。まあ、ここは、2人の体調と言うよりは、チーム全体のフィジカルコンディションの問題と捉えるべきだろう。実際、チームとしては、体調のピーキングは随分と先に合わせているはず、厳しい鍛錬を通じ、慌てず調子を上げて行ってほしいものだ。

 もちろん、新人永戸の大活躍が嬉しかったのは言うまでもない。「左足のクロスがよい」とは聞いていたが、しつこいディフェンス、位置取りの適切さ、敵の対面マセードを完全に押し込んだ前進意欲、ロングスロー、さらには右足で狙った無回転シュート。いずれも上々だった。敵のスカウティングが充実してくると、まずは壁にぶつかるだろうが、伸び伸びと活躍して欲しいものだ。

 ただし、このやり方で、勝ち切る試合を増やすためには、もっともっと攻撃の変化が必要。この日は、終始攻勢をとることができたこともあり、80分以降に明らかな疲労から、コンサドーレの守備が甘くなった。交替出場した西村がその隙を突き、三田の前線進出をうながしたことが、この日の勝因となった。
 しかし、より強力なチームと戦う際は、三田が前線に進出するのは、そう簡単ではなくなる。となると、いわゆるバイタルエリアで、技術なり判断で変化をつけることが必要となる。そのためには、茂木や佐々木匠のような、技術的に優れた若いタレントに期待したくなる。頼むぞ。

  ともあれ、開幕戦で、苦労を重ねて勝ち点3を奪えた。いや、本当によかった。なかなか、現地に行くことが叶わない不良サポータ。DAZNには、心底苦しめられそうだが負けません。
posted by 武藤文雄 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ベガルタ2017年シーズン展望

 Jリーグが開幕する。

 先日、平山相太への怪しげな期待について、講釈を垂れた。では、肝心のベガルタ仙台の今シーズンはどうなるのか。以下、おめでたいサポータの楽観的な展望を。

 どうやら今期は、基本的な布陣を3-4-2-1とするらしい。選手の配置は必ずしも本質ではないけれど、ベガルタにとっては大きな変化点となる。。
 何のかの言って、2007年に望月達也氏が監督に就任以降、2008年から2013年までの手倉森政権、それを引き継いだ渡邊氏時代、基本的には、フラットな4-4-2の布陣で戦ってきた。2013年のACL長戦時に、手倉森氏が4-3-3にトライしたり、手倉森氏の後を引き継いだアーノルド氏が独自の守備方式を試みたことはあったけれど。(余談ながら、アーノルド氏の暗黒時代を、渡邉氏が引き継いだときの七転八倒は忘れ難い思い出ですな)。
 正直言って、布陣変更、それも本腰を入れた変更の報道を目にするまで、今シーズンの編成には不安があった。サイドバック、特に左サイドバックの層が非常に薄かったことだ。昨シーズン定位置を確保していた石川は、明らかにスピードに衰えが見られ、そろそろCBでプレイするべきに思えていた。その場合、左サイドバックは、負傷の多い蜂須賀と、新人の永戸のみになってしまう。
 なるほど、3DFで行くならば、ここに中野を持ってくるのは有効(この選手の獲得はヒットだ、レンタル獲得と言うところはちょっと気に入らないけれど)、あるいは茂木、藤村、佐々木匠などを使った変則布陣も可能となる。もっとも、この新布陣が効果を発揮したらの話ですがね。

 そして、今シーズンのベガルタの鍵は、若手の成長が握っている。具体的には、高卒3年目の茂木、西村、2年目の佐々木匠、小島、常田、椎橋、この6人が、どのくらいスタメンにからんでくるか(と言うか、匠と小島は、ワールドユースねらわなければいかんのだが)。
 もちろん、上記、平山に関するブログでも述べたとおり、ベガルタはトレードで受け入れた選手を、上手に鍛え直して戦力化して(言い換えると、やりくりして)成果を発揮してきた。これはこれで、誇るべきことだ。一方で、自前の若手選手が中々育ち切らないことが大きな悩みだった。
 しかし、奥埜(ベガルタユース → 仙台大、指定選手で継続育成 → ベガルタ加入、Vファーレンにレンタル → ベガルタで中核選手に)の育成成功は、我々の大きな自信となった。昨シーズン、高卒5年目の藤村が活躍したのも、明るい話題だ。だからこそ、彼らに続く、20代そこそこの6人の活躍は、とても重要なのだ。
 もちろん、上記した藤村に加え、シュミット(何かすごくワクワクするよね)、差波、中野、パブロ、クリスランと言った20代半ばのタレント達の活躍は当然として。

 渡邊監督も、4シーズン目を迎える。勝負の年となる。
 最初のシーズンは、スタメンのほとんどが30代と言うすごい試合を経験するなど、ACL戦士の老齢化に悩む日々だった。幾度も語ったが、連戦連敗のアーノルド氏のチームを引き継ぎ、J1残留を果たした手腕は、驚異的だった。2年目は新しい選手を大量に獲得し、己の意図を伝えることでそこそこの成果を挙げた。そして、昨シーズンは、チーム全体を相当攻撃的にシフトチェンジした、一方で敵速攻への対応は解決しきれなかったが。
 そして、4シーズン目。チームは上記の通り、新たなフォーメーションに挑戦し、また優秀な若手選手をたくさん抱えている、他クラブと比較して潤沢な戦闘能力とはとても呼べない。しかし、4年目を迎える渡邊氏の手腕、大いに期待している。決して裕福とは言えないクラブだからこそ、若いこれからの監督に長期政権を託すことが重要なのだ。
 
 Jリーグが開幕する。
 毎週末の絶望、悲嘆、嘆息、失望、そしてたまに訪れる絶対的な歓喜。少しずつの積み上げ、僅かな失態からの崩壊。
 1試合が終わり、それを反芻していると、すぐに次の試合が訪れる。
 幾度も幾度も語ってきたが、こんな素敵な玩具を手にできるなんて、若い頃は想像すらできなかった。うん。
 
 そして、ベガルタサポータにとっては、4年の歳月をかけて、じっくりと育ててきた監督の手腕を堪能するシーズンとなる。最高だ。
posted by 武藤文雄 at 01:50| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

平山相太と戦える喜び

 ベガルタサポータとして、平山相太と戦うことができるシーズンの開幕が近づいてきた。何かとても素敵なシーズンになりそうな予感がしている。

 私は、平山相太と言う選手が大好きだ。そして、若い頃から、その将来性を大いに期待していた。
 一方で、10年以上前、平山が若い頃から、周囲の指導者が、「平山の特長を誤って捉え、成長を阻害しているのではないか」と、憂う文章を随分書いたものだ(もっと読みたい方は、検索ウィンドウに「平山」と入力ください。そして、8年ほど前に、FC東京で中心選手として定着し始めた頃にも、「そのプレイスタイルは相変わらず平山の潜在力と一致していない」と、文句をつけたこともある。そして、翌年の平山A代表でのハットトリックには、随分興奮したものだ。
 しかし、残念ながら平山は、代表はおろか、FC東京の主軸にすら定着はできなかった。けれども、その得点能力は決して錆びついていない。FC東京での最終戦となった昨年末の天皇杯準々決勝フロンターレ戦の終了間際の一撃など、実に見事だった(もっとも、その一撃が遅すぎて、自軍の勝利につながらないあたりも、いかにも平山らしいのだが)。
 そして、平山はFC東京から、我らがベガルタ仙台に移籍してきた。

 平山は31歳。ここまで、平山が、大成しきれなかった要因はいくつかあるだろう。
 最大の要因は、負傷の多さだろう。2011年、12年、14年と骨折による長期離脱は、あまりに不運だった。また、上記したように、この選手の特長を見誤った使われ方が続いたのも、残念だった。もちろん、オランダ時代からよく取沙汰されるように、いわゆる「戦う気持ち」に課題があったのかもしれない。しかし、これらは皆過去のことだ。
 そして、上記したフロンターレ戦の一撃を見れば、平山はまだまだ存分な輝きを見せる能力を保持しているはずだ。いや、かつてないほどの輝きを見せてくれる可能性もあるように思うのは私だけか。
 もちろん、そのために解決すべき課題は無数にある。厳しい鍛錬により、コンディション調整をしっかりと行うこと。チームメートが、平山の特長をよく理解し、平山に点を取らせるサッカーを行うこと。そして何より、平山が己の特長を理解し、チームメートに適切な要求を行い、それに平山が応え、信頼を獲得すること。それらは、決して簡単な道ではないだろう。
 ただ、若くして格段の才能を発揮しながら、活躍しきれなかった選手が、ベガルタ仙台に加入し光彩を放った事例が無数にあるのだ。たとえば岩本輝雄、たとえば財前宣之、たとえば角田誠。もちろん、朴柱成もその系譜に加えてよいかもしれない。

 などと考えると、冒頭述べたように、「素敵なシーズン」と語りたくなる気持ちを、理解いただけるのではないか。うん、楽しみだ。
posted by 武藤文雄 at 23:53| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月03日

監督采配の差

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。すっかり更新頻度が落ちていますが、書ける範囲であれこれ書き続けたいと思っています。と言うことで、まずは天皇杯決勝戦から、今年の講釈を始めます。新年早々、イヤミを色々書きますが、よい試合でした。でも、憲剛の戴冠を見たかった...


 アントラーズ2-1(延長)フロンターレ。
 両チームが中盤で厳しく当たり合い、攻撃でも持ち味を出し合い、最終ラインも粘り強く守る好試合だった。何か終わってみれば、伝統と実績を誇るアントラーズがタイトルの数を増やし、勝ち切れないフロンターレが無冠を継続したような結果となった。けれども、私の見たところ、勝敗を分けたのは、歴史や伝統の相違でも、試合運びの巧拙でもなく、監督采配の差だった。このような大試合で、ここまで監督が無策で自滅するのは珍しい。

 後半半ば、アントラーズは非常に厳しい状況に追い込まれていた。
 前半終了間際にCKから先制したものの、ハーフタイムに、左DFの山本を負傷で黄錫鎬に交代。ところが、後半開始早々に、その黄錫鎬が小林悠に出し抜かれて同点弾を許す。その後も、三好、小林の両翼攻撃に押し込まれていた。たまらず、鈴木優磨を起用して押し返して小康状態としたものの、既に残りの攻撃カードは1枚のみ。元々12月は連戦に次ぐ連戦で各選手に疲労の色が濃いのに加え、スタミナに不安がある小笠原、体調不十分の西、遠藤を抱えていたのだから。一方のフロンターレは日程的には格段に有利だったし、交代カードは2枚残っていた。
 それでも石井氏は決断し、88分には小笠原に代えてファブリシオに代えた。後半終了間際に決定的な失点を防ぐとともに、延長の序盤から勝負をかける意図だったのだろう。他の選手が動けなくなってしまったら、その時はその時だ。結果的に、このリスク覚悟の果断が奏功したことになる。
 対して、風間氏は何もしなかった。延長序盤もフロンターレは漫然と入ってしまい、アントラーズに押し込まれる。CKからのニアに飛び込んだ西(に見えたのだが)のヘッドはバーに救われたが、そのクリアにDFラインが集中を欠いて上がれず、永木(に見えたのだが)のヘッドで流したボールのこぼれを、ファブリシオに押し込まれ、リードを許した。繰り返すが、アントラーズが延長序盤出てくるのは、見え見えだったのだが。
 リードを許した風間氏の采配は、さらに疑問。中盤を活性化させるための森谷起用は理解できるが、チームのバランスを保つためには欠かせない田坂との交代には驚いた。ボランチに森谷と大島を並べ、憲剛をトップ下に入れるが、リードして完全に後方に引いたアントラーズ、肝心の憲剛にボールが入らなくなり、延長前半はほとんど有効な攻撃ができず終了。
 延長後半、大島に代えて森本を起用。憲剛をボランチに戻す。しかし、この時間帯となると、大久保も小林悠も疲労困憊になっており、森本を含む3トップが前線待機状態となり、一層アントラーズゴール前は密集地域となりスペースがなくなる。、さらに焦るエウシーニョと車屋も前に張り出すもサポートが得られず、両翼をえぐれない。結果として、フロンターレのパスは、アントラーズの守備網に簡単に引っかかり、幾度もアントラーズの逆襲を許す。その度に、憲剛が最終ラインまで戻り、献身的にボール奪取のための努力を行い消耗していく本末転倒。延長後半もフロンターレがつかんだ好機は数えるほどだった。
 両チームの選手は、死力を尽くし、知恵の限りを尽くして戦った。しかしながら、監督采配でここまで差が出てしまうと、フロンターレの選手たちだけでは、どうしようもなかった。繰り返すが、勝負を分けたのは、風間氏の自滅だったのだ。

 石井正忠氏は現役時代、ジーコ、サントス、アルシンドらのパスワークに的確に参加する位置取り、落ち着いたシュートなど、知性あふれるものだった。チャンピオンシップ以降の采配振りは、試合への準備、選手起用の柔軟性、リスク覚悟の決断、いずれも知性あふれるなもので、現役時代を彷彿させた。

 風間氏は退任すると言う。
 まずは、中村憲剛と大久保嘉人と言う最高級のスタアが、本当に楽しそうにプレイする環境を揃えた風間氏の手腕を称えたい。また、小林悠と大島と言うタレントも存分に力を発揮するようになった(もっとも、風間氏就任初年度、ご子息2人を重要視し、J屈指の若手ストライカだった小林悠を起用しなかったのは不思議だったが)。また、そこに三好のような、さらに若いタレントまで機能させた。
 けれども、最後得点をとるところは各選手の感性に任せてしまっているように思えた。もちろん、多くの試合では、格段の能力を誇る選手たちが次々と得点を決めていた。しかし、この決勝のような厳しい試合になると、最後の最後で連携が合わないように思えたのだが。
 守備も同様で、鄭成龍、エドゥアルド、谷口、エドゥアルド・ネットと言ったタレントの対応能力、田坂や憲剛の判断力で守っているが、組織敵には几帳面さが不足していた。この決勝、前半終了間際、延長開始直後と言った重要な時間帯のコーナキックでの守備対応の甘さは、几帳面さの不足が如実にあらわされた場面だった。
 憲剛や大久保の能力を存分に発揮させながら、最後点をとるところの連係や、守備の几帳面さを、もっと作り込む采配は、もっと並立可能ではないかと思うのだが、それは贅沢と言うものなのだろうか。

 結びに余談。いつもいつも言っているが、天皇杯決勝を元日にやるのはやめた方がよい。最大の理由は、トーナメント戦の決勝をシーズン最後にすると、オフに入るタイミングがチームごとに異なり、に日程破綻が継続することにある。Jのクラブが、ACLで勝てない最大の要因は、日程の破綻にあるのは、過去から幾度も指摘してきた。その日程破綻の要因の1つが、天皇杯決勝の元日開催なのだ。
 それに加えて、年末年始の長期休暇は帰省する人が多くサッカー観戦にはあまり向かない(しかも組合せが決まるのが直前で予定が立てづらい)、元日はテレビは特別番組が多く優勝チームの露出が小さい、などの副次的問題も大きい。
 伝統だからとか、元日にこたつに入りながらテレビを見るのが楽しみだとか、と言う理由で元日決勝を継続することが、日本サッカーの発展を阻害してしまうと思うのだが。
posted by 武藤文雄 at 00:06| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月05日

2016年シーズン、年間チャンピオンシップの罠

 まずは、アントラーズを称えたい。大会前から決められたレギュレーションにのっとり、見事な勝利を収めたのだから。今シーズンのチャンピオンはアントラーズだ。小笠原とその仲間たちに祝福の言葉を贈るとともに、敬意を表したい。

 ただ、私はこのレッズの敗戦には考え込んでしまった。ただの不運とか、理不尽とかとは別なものを感じたのだ。

 今シーズン、ペトロビッチ氏が率いるレッズは化けた感があった。試合終了間際まで、丁寧に攻撃的サッカーを継続し、粘り強く勝ち点を拾う。往々にして試合終盤の詰めを過つ傾向がなくなったのだ。結果として、長期のリーグ戦で最後の詰めを過る過去から訣別した感があった。遠藤航の補強が奏功し、後方を遠藤に託すことができるようになった阿部が本来の持ち味である中盤での刈り取りを行うことで、敵速攻への対応が改善したことも大きかった。そして何より、敵が守備を厚く固めて来ても、ペトロビッチ氏が粗忽に動かず、執拗に両翼から攻め込み続けるようにもなったのも重要だった。
 結果として、ナビスコカップをPK戦で制した試合も見事だったし、フロンターレと一騎打ちになったリーグ戦を勝ち切ったのも鮮やかだった。 そして、このチャンピオンシップ、鹿島での初戦も、西川、遠藤、阿部の中央の強さを活かし、PKの1点を守り切った試合ぶりも大したものだった。
 この第2戦も、前半開始早々、スローインからアントラーズの僅かな隙を突き、関根の高速突破から、興梠が先制。完璧な立ち上がりだった。その後も、前に出てくるアントラーズの裏を突き、武藤が幾度も好機をつかむ(が、決められない。何かなあ、武藤雄樹、持ってないなあ、がんばれよ)。
 ここまでは完璧だったのだ。

 ところが、前半終盤、宇賀神が遠藤康に出し抜かれ、さらにカバーに入った槙野の詰めが甘く、簡単に狙い済ましたクロスを許し、金崎に同点弾を食らったあたりから、おかしくなってくる。
 アントラーズに「勢い」が出たこともある。また、アウェイゴールルールがあるため、結果的に興梠の先制点があってもなくても、同じになってしまうレギュレーションが、微妙なプレッシャとなったのだろうか。そのような流れの中で、ペトロビッチ氏が、昨シーズンまでのペトロビッチ氏に戻ってしまう。
 高木に代えての青木起用は、少々守備的に戦う狙いと考えればわからなくもなかった。しかし、続く関根と駒井の交代はよくわからない。関根は先制点のアシストを含め、幾度も好機にからみ、豊富な運動量による上下動で守備にも貢献していた。まだまだスタミナも残っているように見えたのだが。そして、何か慌てるように、興梠に代えてズラタン。前線で溜めを作れる興梠は、守備にも攻撃にも有用なのだが。
 そうこうしているうちに、槙野がやらかしてしまった。アントラーズの速攻に対し、鈴木優磨のフリーランに気がつかず突破を許す。この失態のみならず、あろうことか軽率なファウルでPKを提供。我慢して身体を寄せ、初戦も好捕を見せた西川に託すべきだったのではないか。余談ながら、槙野はキッカーの金崎に対し、恫喝まで行ったのは失望した。
 しかし、それでも、アントラーズが逆転した後も試合は10分以上残っていた。けれども、ペトロビッチ氏が切れてしまった。槙野を最前線に上げ、バランスを崩した時点で、試合は事実上終了してしまった。最前線に槙野が残っても、空中戦で圧倒できる訳でも、格段のシュート力を持っているわけではない。槙野は昌子に子供扱いされ、レッズは完全に攻めあぐむ。実際、一部報道によると、レッズベンチ内にはペトロビッチ氏に異論を唱える向きもおり、ベンチは大混乱だったと言う話もある。一方で、阿部と柏木が何とか状況を打開しようとする姿は美しかったのだが。
 ペトロビッチ氏が丹精込めて作り上げ、シーズンを通じて見事なサッカーを見せていたレッズは、最後に崩壊してしまった。それも、ペトロビッチ氏が自らの手で。

 先週、フロンターレがアントラーズに、山雅がファジアーノに、それぞれ苦杯した。この2つの試合から、改めて、長期のリーグ戦の結果が、一発勝負でくつがえる恐ろしさ、理不尽さを感じることとなった。それでも、これらの試合の敗者2クラブは、負けはしたものの、相応の強さを見せてくれた。
 しかし、レッズは違った。逆転された後、10分以上の時間があったのに、監督の判断ミスで、敵に恐怖すら与えることなく自滅してしまったのだ。互角どころか、敵を圧する戦闘能力を持っていたにもかかわらずだ。

 冒頭に述べたように、通期勝ち点が少なかったアントラーズがチャンピオンになったことは、それがレギュレーションと言うもの。シーズン前に決まっていたルールにのっとったのだから、「お見事」と語るしかない。
 しかし、最後の10分のレッズの崩壊劇は、やはりよくわからない。少なくとも、レギュラーシーズン中のペトロビッチ氏は、昨シーズンまでとは異なり、丁寧に慌てることのない采配を振るっていたのだ。いったい、あの瞬間、ペトロビッチ氏に何が起こったのだろうか。単純な前後期制でなく、中途半端に通期成績が重視されるレギュレーションの罠にはまってしまったと言うことなのだろうか。

 これもサッカーと言うことなのか。
 いずれにしても、私たちにできることはある。今シーズン、レギュラーシーズンでフロンターレとの競り合いを制したレッズ(そして敗れたフロンターレ)の見事なサッカー、チャンピオンシップで鮮やかな勝ち方を見せたアントラーズのしたたかなサッカー、それぞれを、しっかりと記憶していくことだ。
posted by 武藤文雄 at 00:30| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする