2007年05月04日

頼むぞ萬代

 悔しかったサンガ戦、生萬代を堪能したのは、今年僅か2度目。確かにこの男は着実に進歩している。間違いなく進歩はしているが、やはりまだ物足りないのも確かなのだが。

 進歩を確信したのは、角田とチアゴと言うJ1のセンタバックと比較して遜色ないコンビにはさまれても互角以上の戦いを見せてくれた事(角田と言う選手に対する期待は非常に大きかった、この日のセンタバック振りも悪くなかったが、一層の奮闘を期待したい、まだ若いのだし)。後半半ば、左サイドペナルティエリア近傍でチアゴに身体を入れられかけたところで、鮮やかな技巧でチアゴを抜き去った場面もよかった。

 そしてここまでできるようになったのだから要求も高くなる。
 まず、そのチアゴを抜き去った直後。そのままゴールラインと平行にゴールに向かいながら、シュートを打たずにマイナスのセンタリングを上げた選択は多いに不満。センタリングが誰にも合わずに逆サイドに抜けてしまった事が問題なのではない。あそこでシュートを狙わなかった事が不満なのだ。萬代はストライカなのだから。
 次に、シュート技術をいかに改善していくか。この日、3回あったヘディングの好機でコースをしっかりと狙い切れなかった事。また後半立ち上がり敵DFからボールを奪って放った左足のシュートが枠に行かなかった事。このあたりは反復練習の問題。今の萬代は1回1回のシュートの失敗をいかに反省し、次の成功につなげるかが重要。シュートまでは持ち込めるのだから、もう一越えなのだ。
 加えて前線での強さ。後方から少々精度の悪いボールが入っても、とにかく簡単に敵CBにはね返させてはいけない。自分でヘディングが取れなくとも、身体を当てて止めて欲しい。あの苦しい前半、中盤選手の選択判断が最大の問題ではあったが、萬代がもう少しチアゴと角田に身体を当ててマイボールとまでは行かずともルーズボールにできていれば、あそこまで劣勢にはならなかったはず。コースへの入りがあそこまでできるようになっているのだからできるはずだ。
 さらに接触プレイで倒される事が多いのも何とかして欲しい。少々ファウルされても、瞬間腰を落として逆に敵をはね返す事はできるはずだ。ユアテックスタジアムのサポータは萬代が倒される度に「レッツゴー萬代」と常にコールしてくれる。それは「今後は倒れるのではないぞ」と言う激励であり「倒されても頑張れ」ではない事は理解しているだろう。

 しかし、敵を突破してシュートまで持ち込め、シュートは必ず決めろ、少々悪い縦パスでも必ず絡め、簡単に倒れるな、と贅沢な要求だな。しかし、J2でそのクラスのプレイを見せてくれなければ、韓国やイランや豪州の屈強なセンタバックには勝てない。そして、来年北京のピッチに立つためには、この第2クールで上記を満たすほどの劇的な成果を残さなければならないのだ。
 萬代のライバルは、あり余る素質を持て余している平山だけではない。ジュビロの最前線で凄まじい活動量で攻撃をリードしているカレンであり、石崎監督の下で知力と献身の限りを尽くしている李と菅沼であり、みちのくのライバルでJ2各クラブのCBを悩ませている豊田である。いや、J1トップのクラブの攻撃の切り札である家長も、今やJ1屈指の攻撃創造主に成長しつつある水野もライバルなのだ。

 私が萬代に期待するのは、決してマイクラブの有力ストライカだからだけではない。これだけ万能な能力を持ちながら得点への意思を持つストライカは数少ないとの期待からだ。7ヵ月後にベガルタサポータの友人たちと「無事J1に上がれて、萬代をJ1の金満クラブに強奪されずに済んでよかった」と会話する事を愉しみにしている。
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2007年05月03日

ベガルタ、ホームで苦杯

 ベガルタは前半の失点を取り返せず、今期初黒星。やはり俺が見に来ると負けるのだろうか。

 ホームで負けた事は悔しいが、強い敵と丁々発止渡り合っての事でもあり仕方がない。
 結果と言う意味では、もつれたホームゲームで勝ち点1を拾い切れなかった事(それよりもJ1昇格争いのライバルに勝ち点3を献上した事)は、シーズン最後にボディブローのように利いてくるかもしれない。J1昇格争いの最大の強敵とも言えるサンガを勝ち点的にも生き返らせてしまった事も非常に痛い。
 けれども、結果以上に試合運びの稚拙さは残念だった。昨日講釈を垂れたが、サンガが立ち上がりから前掛りに来るのは当然予想された事ではないか。そして、あれだけ精力的に仕掛けてきたのだから、後半までは続かない事も理解できる事ではないか。したがって、まずは落ち着いてサンガの猛攻を受け止めて我慢すればよい事。それなのに、どうして少人数の無理攻めを行ってしまったのか。結果的に、危ない形でボールを奪われ逆襲を再三許したのみならず、攻め込まれる時間を増やしてしまった。
 これだけわかり切っている事を巧くこなせない事は大きな失望。これが若い選手ばかりのチームならば仕方がない。しかし、ベガルタの選手はある程度成熟した年齢の選手が多いのだ。既に第1クールが終わろうとしているこの時点で、このような軽率な試合をしてしまった事そのものについては猛省すべきだろう。

 もっとも、試合運びは稚拙だったが、内容面で見るべきものも多かった。と言うか、あの後半の猛攻には興奮したよね。
 長いシーズンを見据えると、サンガの運動量が落ちた後半に、ロペスを(おそらく負傷で)欠きながら、この難敵に対し猛攻を仕掛ける事ができたのはよかった。特に、関口をウィングバックに起用した3−5−2、さらに中原を投入した3−4−3がそれなりに機能したのも、先に向けてのオプションとして期待できる。
 ただ、中原を投入し下品なパワープレイで行くと望月監督が決断したのだから、もっと単純にパワープレイに専念してもよかったとは思う。そしてロスタイムには千葉か木谷かシュナイダーも上がるとか。

 何人かの選手について感想。
 チームの大黒柱として活躍しなければならない菅井の不振はどうした事か。開始早々軽率なミスでサンガに決定機を許した以降もピリッとしないプレイ振り。失点場面もラストパスを出した徳重へのマークが非常に甘かった。終盤の反撃タイミングで、(フォーメーションの切替はあったものの)交代させられた事そのものにも反省して欲しい。せっかく試合前に坊主に菅井Tシャツを買ってやったのに。
 梁もリードされていながら交代させられた事は強烈に反省して欲しい。個人的には、あの場面で永井を残し梁を外した望月采配には疑問が残った。結果論ではあるが、梁が残っていれば、2本あった敵ペナルティエリア前ので直接FKも一層期待ができたのだし。しかし望月監督は、終盤の力攻めにおける変化の付加は、梁よりも永井の方が巧いと考えたと言う事。梁がJ2の中で絶対的存在にならなければJ1昇格はないのだ、だからこそ繰り返すが強烈に反省して欲しい。もちろんこの日のプレイに不満も多かった。前半苦しい時間帯には、もう少し巧くボールを引き出しチーム全体での着実なキープに貢献して欲しかったところ。
 ミスも散見されたが、ジョニウソンは実によい選手だ。前半あれだけボールの奪われ方が悪く、サンガに好機を作られながら失点を1に押える事ができたのは、ジョニウソンが中盤でよく押えてくれたからだった。特にこの選手のよさは、中盤で敵に数的優位を作られかけた時のプレイ選択が的確な事。ここでどうしても止めなければならない時は反則覚悟で相手を押さえ込む(もし反則を取られても決して荒いプレイではないので警告を食らう可能性は低い)。逆に敵の前進を止める事ができる場合は、決して無理をせずコースを消して着実に時間を稼ぐ。さらに終盤は3DFの一角に入っていたにも関わらず、中原投入以降は望月監督の意をよく組み単純なロングボールをよく中原、萬代に当てていた。
 今期初めてスタメンに起用された丸山。よいプレイを見せてくれた。粘り強い守備で(失点場面以外は)パウリーニョをよく押えた。失点場面にしても、私の位置からはパウリーニョに押されたように見えたが、神経質極まりない笛を吹いていた岡田氏が笛を吹かなかったのだから仕方がないか。負傷の多い選手だが、個人的にはファウルの多い白井より有効だと思うのだが。
 萬代については別に。

 ともあれ、ユアテックスタジアムはいい。そして凄い。
 反省材料が浮き上がった試合ではあるが、既に今期のチームのバランスは、J1時代及びJ1昇格前を含めても、クラブ史上最高のレベル。愚痴をこぼしたように反省材料の多かった試合だが、修正点を丹念に追いかければ、戦闘能力的には紛れも無くJ2トップレベル。そして、ユアテックスタジアムのあの大観衆。
 やはりJ1に行くしかないではないか。
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2007年05月02日

明日はユアテックスタジアム2

 何とか暦通りの休暇を確保できた。と言う事で、この文章は仙台に向かう東北新幹線の中で書いている。そして、明日は約1年ぶりのユアテックスタジアム詣でとなる。何とも愉しみだ。黄金週間中の好カードのためか、前売り券の売れ行きもなかなか好調の模様。仙台に帰るのが確定できたのが先週末、チケットぴあの回線が来ているコンビニに行ったところ「ビジター自由席以外は売り切れ」と表示され少しく慌てた。オロオロと友人に電話をすると「ローソンならば大量のチケットが出ているはず」とありがたい助言。なるほど、ロッピーで無事「サポータ自由席」を購入できた。
 しかし、もし私がユアテックの「ビジター自由席」つまりベガルタの応援禁止の場所でベガルタを観戦すると、どう言う事になるのだろうか。私は日本代表なりベガルタがどんな無様な試合をしても、怒髪天を突きありとあらゆる罵詈雑言を吐くではあろうが、一方で精神的に耐え抜く自信はある(と言うか、しばしばそれをも喜ぶ神経を自慢しているのだが)。けれども、ベガルタが眼前で試合をしているのに「応援してはいけない」と拘束されたら、現実的には発狂してしまうように思える。私にとっても最も有効な拷問かもしれない。と、書いていたら妻に「係員や相手のサポータがどんなに阻止しても、勝手に応援するんじゃないの」と言われた。そうかもしれないな。すると強制退去させられるのだろうか。う〜ん。ともあれ、ちゃんとチケットが買えてよかった。

 さて、明日は早くも第1クール最終節。そして対戦相手は京都サンガ。まごう事無き、J1昇格争いのライバルとの直接対決である。現在、サンガは勝ち点17で6位。やや予想に反して中位に止まっていると言うところか。2部リーグに陥落したチームと言うのは、往々にして序盤はどうしてもチームのバランスが整わず、思うように勝ち切れないものだから、その事自体は不思議ではない。ただ、サンガとして痛かったのは、第1クール半ばに3連勝し順位を上げた以降、ここ最近の3節でザスパ(ホーム)、愛媛(アウェイ)、サガン(ホーム)と下位チームとの3連戦で、勝ち点を僅か2しか上げられなかった事。結果的に、トップのコンサドーレに7勝ち点差、我がベガルタに6勝ち点差と、おそらく彼らとしては不本意な成績に止まっている。
 サンガとしては、明日もし仙台に負けると勝ち点9差がついてしまう。第13節での勝ち点9差は、望ましくはないかもしれないが、まだまだ十分に逆転圏内ではある。けれども、他の上位クラブのうち、アビスパとモンテディオ(共に勝ち点21)もホームでの試合と言う事を考えると、もし明日ベガルタに負ける事になると最悪4つのの上位クラブと7以上の勝ち点差を付けられてしまう事になる。そう考えると、通常以上に「負けたくない」と言うよりは「敵地でも勝ちたい」と言う気持で入ってくるはずだ。
 ベガルタとしては、そのサンガの「追い込まれ感覚」を巧く突きたいところだ。たとえば、仙台の大観衆のプレッシャから、後方の選手が軽率な攻撃参加をしたり、じっくり回したい時間帯でも無理攻めを仕掛けてきたり、クリアでさっさとゲームを切ればよいところを無理につないできたり等々。そのようなサンガのミスを執拗に突く試合を期待したい。そして、我々サポータはサンガをそのように追い込むような応援をしたいところだ。終盤戦にはこのクラブは上がってくる可能性が高い、したがって調子が上がり切らない今こそ叩いておきたい。チーム全体として、冷静に激しく戦い、萬代が大爆発して完勝する試合を期待したい。

 実は明日は、某巨大ソーシャルネットワークシステムで知り合った友人から「特別に激しい場所」での応援を誘われている。さすがにこの年齢、もう飛び跳ねての応援は身体に危険なので遠慮するけれども。今を去る事15年前の広島でのアジアカップ準決勝中国戦(GK松永が軽率な反則で退場しその後2−2に追いつかれながら、試合終了間際の中山隊長の決勝点で突き放した試合)の試合終了直前に、酸欠で倒れそうになった以降、飛ぶのは自粛しているのです。とは言え、周囲の「激しい」方々に負けぬように、頑張って声だけは張り上げるようにしよう。そして、サンガを血祭りに上げるのだ。

余談:
 誘ってくれた友人から「試合終了後、(武藤が)大嫌いなシュナイダー劇場を堪能できますよ」と言われている。おー、これは愉しみだ。そのためにも何としてでも勝たなきゃいかん。
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2007年04月29日

不在の憲剛と消えていた水野と

 フロンターレ−ジェフを観に等々力まで足を伸ばした。絶好調のフロンターレと言うか憲剛、そして風格が感じられるようになってきた水野を、それぞれ愉しむつもりだったのだが。

 フロンターレのスタメン発表、MFとして河村が発表される。「あれ、今日は谷口がスタメンではないのかな?」と怪訝に思うと次に谷口の名前が。「え?!」と思っているうちに、マギヌンも登場。そして、憲剛を含まない11人の発表が終わってしまう。「疲労対策のために控えなのか?]と思ったが、控えにも入っていない。そして、私が気がついた限りでは場内のアナウンスでは、憲剛不在の情報は何も流れなかった。
 後述するように、中々愉しい試合だった。私はチケット代2500円+交通費+移動を含めた己の時間を、憲剛不在の試合に投資した事に不満はない。けれども、「Jリーグ最高の名手」と呼んでも過言ではない選手が、突然に何からの理由で有料試合に欠場する事になった事に関して、何かアナウンスくらいは欲しかった。
 と、書きつつも非常に難しい問題なのは理解している。と言うか、突然の負傷で離脱した選手がいる場合の適切なアナウンスは、Jリーグに限らず全てのプロフェッショナルなサッカーでの難しい問題なのだ。少なくとも、チームの現場としてはメンバ公表までは隠したいのは当然だし。また、憲剛不在を事前にリリースする事は、営業的にもうまくない(ただしこれは非常に微妙な問題な事は言うまでもない)。また、選手の突然の欠場は日常茶飯事なのだし、試合前にそれをアナウンスする習慣もほとんどないのは確かだし。
 しかし、繰り返すが憲剛の存在感はフロンターレと言うよりは日本サッカー界において、突出した存在になりつつあるのだ。フロンターレの営業、広報サイドには何か考えて欲しかったと思う。でも、難しいな。

 ともあれ、試合に移ろう。
 前半立ち上がりこそ、ジュニーニョとマギヌンの個人技でフロンターレが攻勢に立つ時間帯があった。しかし半ば過ぎからは、羽生と工藤のいやらしい動きからフロンターレ守備陣がラインを巧く作れない状況が再三起こり、再三ジェフのロングボールがフロンターレ守備陣の背後を襲う。しかし、微妙なところでそのロングボールの精度が悪く、ジェフは攻め切れない。フロンターレの球際の強さとプレスの厳しさが、起点となるパスの出し手にプレッシャをかけるのに成功したとも言えるかもしれない。ホームのフロンターレだが、突然?の憲剛の離脱を何とかしのいだと言う印象の前半だった。
 後半に入り、フロンターレは巻と羽生を3DFが受け渡しで見て、工藤は河村が担当すると役割を明確にしたように見えた。これが奏効したのか、谷口の押し上げが円滑になり前半よりは攻勢を取れるようになる。ここで不思議だったのはジェフの攻撃。巻と羽生が2人で右サイドに斜行して水野の前進に蓋をしてしまう。そして、左サイドを空けておいて山岸を前進させる攻撃を狙っていた。山岸の上下動そのものはもちろん魅力的だが、フロンターレが一番怖れていたのは水野の右サイドのえぐりだと思うのだが。
 そうこうしているうちにフロンターレが先制点を奪う。何がしかのクロスプレイのためだろう、水本が顔?を押えてピッチ中央で悶絶していた。その場面直後、ジェフはよい体勢でボールを奪い、左サイドを山岸が快走。対面の森を突破すれば決定機と言う場面となった。ここで森が素晴らしいプレイ、鮮やかなスタンディングタックルでボールを奪うや、逆にドリブルから攻め込む。ジェフの一部の選手は「プレイを止めてくれ」とアピールしていたが、これは無理と言うものだ。その森を起点にした攻撃を、ジェフはかろうじて自陣ゴールライン近くのスローインに切った。水本が立ち上がるまでプレイが止まった後のスローイン、いかにも集中が切れそうな場面で、森が見事な縦突破で下村を振り切りセンタリング、一番遠くにいた鄭大世が見事なヘディングで決めた。にんにく注射事件で得たチャンスを、この若者は見事に活かしつつある。
 点を取らなければならなくなったジェフは、疲労が見えてきた下村に代えて中島を投入。さらに、 朴宗真を右サイドに投入し、水野をトップ下に。加えて、巻に代えて(水野と相性がよいと判断されているのか)若手の技巧派青木も同時投入。さっそく水野の柔らかいパスを受けた中島が作った好機を山岸が惜しくも外す。続いてストヤノフの攻撃参加をマギヌンが荒っぽいファウルで止めた。この角度のない場所からのフリーキックを水野が直接ねじ込んだ。シュートが決まった瞬間の水野のガッツポーズには期待通り風格を感じる事ができた。やはり、もっと前で使って使うべきではないかと思うのだが。
 このプレイで負傷したストヤノフは足を引きずりながらしばらくプレイを続けたが、結局退場。最後10人となったジェフは、水野がボランチに下がり試合を1−1のままクローズ。

 こうなると欲が出る。是非次の千葉でのフロンターレ戦は水野をトップ下に起用してもらい、憲剛とのマッチアップを見たい。
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2007年04月28日

「組織」のジュビロ、「個」のサンフレッチェ

 サンフレッチェの勝ち点が伸びない。J屈指の強力な2トップと両サイド、青山敏、柏木の正に伸び盛りの中盤。もう少し上位をうかがう位置につけてもよいのではないかと思うが。と考えながら、テレビでジュビロ−サンフレッチェを観ていた。考えてみれば、テレビとは言えじっくりとサンフレッチェの試合を観るのは久しぶりだ。
 一方のジュビロ。すっかりと若返りに成功した感のあるこのクラブは、完全なエースに成長した前田が長期離脱と言う難しい状況。加えて数少ないベテランの生き残り組の田中誠、鈴木秀人も負傷中。しかし、ファブリシオに加えてマルキーニョス・パラナと言う実用的なブラジル人、ようやく?A代表候補に選考された充実している太田、一本立ちした感のある成岡、菊地、カレンと言ったユース代表上がりのエリート選手達、犬塚、上田、大井らの若手と、多士済々の面々。そして黄金時代からの唯一?の生き残りが中山隊長で、かろうじて世代をつなぐのが川口なのだから、何とも愉しいメンバ構成だ。全くの余談だが、カズはすっかり銀髪になってきたものの表情は若々しいままだが、隊長はすっかりと中年顔になってきたのが、いかにもこの2人らしい気がしたりして。

 いきなりジュビロが先制。上田?が左サイドをえぐりファーサイドに好クロス、中山隊長がお約束の飛び込みでつぶれ、裏に抜けたところでカレンが落ち着いて正確なミートで叩き込んだ。クロスも隊長の飛び込みもよかったが、カレンの位置取りが絶妙だった。ダバツの後方に入り込み完全に1度「消える」事に成功。その外側から絞る服部はふくらむカレンを捕まえられなかった。これはよい2トップだ。
 青山敏が出場停止のサンフレッチェは森崎浩を下げてボールを拾わせ、柏木が中盤を仕切る。この前途有為な若者には、適度な試練と言うところか。寿人の献身的な引き出しとウェズレイの老獪な技巧を組み合わせ、サンフレッチェは工夫をこらして攻撃を仕掛ける。しかし、ジュビロの1点目のようにサイドをえぐりきれず、どうしても崩せない。
 そうこうしているうちに、ジュビロはCKからダバツを振り切った大井が強烈なヘッドで2点差とする。得点力欠乏に悩んでいると言うジュビロとは思えない冴えた展開となる。

 後半に入り、「えぐれないならば」と考えたのか、駒野がピンポイントのアーリークロスをトップスピードで走りこむ寿人にピタリ、正にピタリと合わせ1点差に。この場面は、さすがに2人共A代表選手としか言いようのないものだった。そして、サンフレッチェはさらに攻め込みの頻度を増やす。
 しかし、逆襲にソツがないジュビロは、隊長交代直後、犬塚?のセンタリングをカレンが叩き込んで再び2点差に。この場面でも1点目同様、カレンは巧妙な動き、サンフレッチェのセンタバック森崎和と右MFの駒野の中間に入り込んでいた。
 その後、寿人が倒されたPKでウェズレイが1点差とするものの、無理攻めにサンフレッチェが出たところでジュビロが止めの4点目で勝負あり。

 両軍豊富な運動量で戦った好試合。サンフレッチェの「個の力」をジュビロの「組織力」が上回ると言う、かつての両軍からは考えられない展開となった。
 ジュビロは前田が復帰すれば、かなりよい所まで行けるのではなかろうか。前田とカレンの2トップで仕掛けておいて、終盤に隊長を起用する事ができれば。また村井が復調すれば、太田との両サイドと言う強力な武器になるし。
 対するサンフレッチェだが、やはり最終ラインを何とかしなければならないのではないか。名将の誉れ高いペトロビッチ氏は、森崎和−戸田−ダバツと、前線への展開力を意識した守備ラインを構成、さらに駒野、服部の両サイドを前に押し出した攻撃的サッカーを狙っている。しかし、この日のジュビロのように執拗にサイドを狙われると、この守備陣では厳しい。と言って、ここに槙野のような純然たる守備選手を起用したり、両サイドを後方に位置取りさせてしまうとチームコンセプトが崩れる(槙野が強さを残したまま展開力を身につけてくれるのは、北京いや南アフリカに向けて嬉しい期待だが)。これが代表チームならば、阿部や今野のような展開力を持ちながら守備能力まで具備した選手を探せるのだが、単独チームでの理想と現実の差と言うものなのか。
 ここは森崎和に期待したい。オシム氏の代表の中核を担っているのは、かつてアテネ五輪代表でボランチのポジションを争った阿部、啓太、今野らなのだ。彼らにはない独特のリズムのロングパスと言う武器を持つ森崎和、難しいポジションを要求されているが、A代表を狙う志を持って戦って欲しい。
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2007年04月26日

相対比較の難しさ

 友人に敵地であのを堪能してきた熱狂的フロンターレサポータがいる。まあ、一言で語れば「羨ましい限り」と言ったところ。正にこの世の春を謳歌している風情である。
 昨日の川崎全南戦よりも前に、私が「何と無く敵地でスコア上は完勝してしまうと、続くホームゲームって結構危ないんだよね。」とやっかみ半分でからかうと「そうなんですよね。リーグでレッズにも勝っちゃいましたし、何かゆるむもが怖いんですよ。」と余裕の態度で受け流されてしまった。
 で、受け流されたとおりに、またホームで完勝するのだから、恐れ入る。後から知ったが「にんにく注射我那覇出場自粛事件」のようなトラブル(本件に関しては、J当局の裁定が出た後に、フロンターレは明確な説明責任を果たす事が必要になろう)があって、代わりに起用された鄭大世が2点取るのだから、関塚氏も笑いが止まらないと言う事ところか。
 現実的にはフロンターレの2次トーナメント出場は、事実上決定したと言っても過言ではあるまい。大したものである。

 さて一方のレッズ。こちらも順調に勝ち点を伸ばしている。厄介なシドニー、上海の敵地で引き分け、埼玉スタジアムでは2連勝。教科書通りのホーム&アウェイでの戦果と言えよう。
 面白いのはこのグループのアウトサイダと予想され、初戦でレッズに完敗したインドネシアのペルシク・ケディリの大健闘。ホームで北京、シドニーに2連勝し、3位につけている。結果的に上海は、このホームでのレッズとの引き分けが初勝ち点と言う惨状振りだ。
 残り2試合を1勝1分けで乗り切れば、楽々2次トーナメント進出。毎期の事だが日程問題がネックになりそうだが、レッズにとって残り2試合での勝ち点4はほとんど問題にはなるまい。
 ところが、あるレッズサポータの友人が、この勝ち点勘定が不安で仕方がないと言っていた。

 確かに敵地でペルクシ・ケディリに負ける事があったら、自力進出がなくなってしまう。しかし、いくらホーム2連勝中のペルクシ・ケディリだとしても、レッズが負ける確率が相当低いことはどなたもご賛同いただけると思う。いや、勝つ確率が相当高い事も間違いないのだ。もちろん、日程問題や悪天候などマイナスの要素もあるだろうが、ホームとは言え、初戦3点差しかつけられなかった事で非難された事自体が記憶に新しいではないか。
 確かにペルクシ・ケディリと引き分け以下でシドニー戦を迎えた場合、シドニーに引き分けでダメになる可能性も低くない。けれども、元々この大会が始まる時点では、ホームの3連勝は必達と考えられていた事ではないか。また敵地で手合わせした印象からも、序盤こそレッズ守備陣がやや固くて連続2失点してしまったが、格段に強いチームと言う印象もなかったではないか。むしろ、現状は当初のリーグ戦への計画通りに話が進んでいると考えるべきだろう。
 もちろん、サッカーは何が起こるかわからない。再三繰り返すが、日程問題が足を引っ張る可能性も低くない。けれども、現実的に考えれば、レッズはここまで極めて順調に来ているのだ。何も慌てる必要も心配する必要もないと思う。
 ただ、くだんの友人は、たまたまフロンターレの勝ち点積み上げがよすぎて、相対的に不安を感じる事になってしまっていると言う事だろう。このあたりの「隣の芝」問題は、色々な面でサッカー観戦をより面白くするものだと思った次第。
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2007年04月24日

都並監督とセレッソ大阪

 前節コンサドーレがヴェルディとの乱戦を制しJ2のトップに躍り出た。ベガルタサポータとしては悔しい思いもあるけれど、大事な事は第52節終了時点での勝ち点。
 順位表を見ると、「いかにもなるほど」と言う雰囲気になっているのがリーグ戦の面白いところだ。アビスパ、サンガ、コンサドーレにベガルタまでの4クラブが上位に入るのは全くの予想の範囲内。序盤苦戦していたモンテディオとベルマーレが立て直ししてきたのは流石と言うところか。特に開幕戦でベガルタ相手に「大丈夫か」と言いたくなるような試合をしたベルマーレの復調は歓迎したい。そして、明日はみちのくダービー。せっかくの貴重な集客可能な試合を平日に行なわなければならないのは、いかがなものとは思うが、好調同士で戦うのは悪くない。ただいま異国におり、リアルタイムの観戦など夢の夢だが、敵地とは言え爆発するのだ萬代。
 余談ながら、ヴェルディについては、まあ予想の範囲内。もう少し上位に粘ってくるかもしれないが、このままならば大丈夫だろう。ただし、このクラブは「ある手段」を採った瞬間に大反転攻勢を取る事ができるのが強みなのだが、どうぞご自由にと言うところか。

 さて今日の本題は、一昨期にJ1優勝を僅かな差で逸し、昨期急転直下でJ2落ちしたセレッソ大阪。順位はヴェルディより下の8位、勝ち点10はトップのコンサドーレとは11差。セレッソ関係者としては多いに不満が残る状態だろう。ここで興味深いのは、セレッソの監督が都並氏と言う、我々ベガルタサポータにとって何とも微妙な男を監督に抱いている事なのだが。
 2部落ち決定以降、名波、西澤、ブルーノ・クアドロス、大久保、黒部、下村、河村、柿本、柳本、山田卓と、ほぼ1チーム分の優秀な選手が、セレッソサイドの意図の有無はさておきクラブを去った。それでも、森島と古橋は保持した上に、後方に藤本(この選手が本調子でなく五輪代表に入ってこないのは残念)、前田、江添、そして吉田ら実績ある優秀なタレントをズラリと揃え、さらに前線には苔口、若森島、そして柿谷と「天性の素質」については疑いない逸材を保有するこのクラブ。「これだけの人材がいたのに何故2部落ちなのか」と言う突っ込みはさておき。
 とは言え、このクラブの今シーズンの狙いは当然1部復帰。これはサポータを含む全てのチーム関係者が皆思っている事だろう。しかし、サッカーのリーグ戦と言うものは常に競争相手がいるだけに、決して容易ではない目標だ。
 しかもこのクラブの狙いはそれだけではない。森島が率先してプレイできるうちに、優秀な素材である柿谷、若森島、苔口、藤本らを1人前にしながらと言う難しい条件付である。そして、そのためにシーズンオフに、上記した中心選手の大量放出に踏み切ったのだろう。しかし、短期的な勝利と大幅な若返りの両立は非常に困難な目標なのだ。そしてその実現のためには最終的な結果はさておき、相当に粘り強い対応が必要になってくる。
 
 そう考えてくると、都並氏を監督に招聘したのは1つの選択だとは思う。
 ベガルタ時代の都並氏を振り返ってみる(ベガルタ監督時代の都並氏については幾度も書いたので興味がある方は左に検索窓に「都並」と入力ください)。第1クールのチームの入りは中心選手に負傷者が続出した事もあって実に酷かった。またかろうじて第2クールで持ち直したが、対戦が二巡し相互に相手の特徴を理解するようになった第3クールはボロボロ。それでも第4クールに恐るべき粘り強さで勝ち残り、あの運命の最終節を迎えるに至った訳だ。
 シーズン半ばまでの、ベガルタサポータからの都並氏への評価は最低最悪。幾度もバスを囲まれ、よせばいいのに一人でサポータ達の前に出て行き、売り言葉に買い言葉とは言え、「お前ら素人にサッカーの事がわかるか」との暴言まで吐いた。(サポータサイドにも問題はなかったとは言えないが)結果的に自業自得とは言え、仙台スタジアム内では四面楚歌状態。しかも、笛吹けど選手達は踊らず成果は上がらない(その責任が誰にあるのかは別にして)。
 あの苦しい状況。都並氏はご存知のように弁が立つ人材。無理に苦労多い監督など務めずにも、食っていく手段はいくらでもあったはず。いつ監督を辞任しても不思議ではない状況が1シーズン続いたのだ。

 しかし、それでも都並氏は投げ出さなかった。

 選手都並敏史は超一流の選手だった。そして、あれだけの実績を残すためには、天分の他に鋼のような精神力が必要だったはずだ。その鋼のような精神力は、引退後10年近い日々が経っても健在だったのだ。
 そして、最終節に世界サッカー史上にも稀な采配は見せたものの、後一歩で入替戦出場までチームを導いた。何と言う粘り強さだろうか。そして、その恐るべき粘り強さは、現在のセレッソに最も必要な要素ではないかと思ったりするのだ。

 もっとも、上記は必要条件に関する論説に過ぎないのだが。 
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2007年04月21日

レッズ敗れる

 すっかり「負けない」事が定着していたレッズが、ホームの埼玉スタジアムで敗れた。さすが昨シーズン2位で、共にアジアチャンピオンを争うフロンターレと言うところか。

 前半はレッズの猛攻。左サイドの小野、阿部のコンビ、右サイドの山田の前に長躯する長谷部。両翼に拠点を作り仕掛ける。長谷部が右サイドをえぐり、後方から進出するポンテにグラウンダのセンタリングを合わせた攻撃など、実に美しかった。フロンターレは、とにかく前半を川島を軸に防ぎきった。このGK補強は大正解(一方で、これだけのGKが何故わざわざ楢崎がいるチームに移籍して控えの座に甘んじる事を選択していたのかと言う疑問にもなるのだが)。

 そして後半。森が不在の関塚氏は、前半から本来左サイドの村上を右に回し、左サイドに黒津を起用していた。前半はフロンターレはすっかり押し込まれており、この起用を云々と言える状態ではなかった。ところが、いきなり後半序盤の1点目で黒津の起用が大当たりとなる。憲剛を軸にした巧いパス交換でレッズを押し込んだ時間帯、黒津は見事な技巧で、山田と長谷部を破り(長谷部を抜き去った際の肩の使い方の見事な事)グラウンダのセンタリング。それでもレッズの守備組織はさすがで阿部が一番危ないところに戻っていたのだが、クリアしようとした瞬間に我那覇がかっさらうように後ろから飛び出しシュートを決めた。我那覇がシュートを決めた時、ボールとほぼ同時に阿部の足を払った形になった。阿部は「後方からファウルされた」とアピールしたいかの表情。確かに微妙だったが、我那覇の動作は明らかにボールに触るためのもの、文句のない得点と言ってよいだろう。
 さらにその直後、フロンターレは全く異なる方法で左サイドを破るのに成功する。左サイドでジュニーニョがキープ。ジュニーニョの瞬間突破力を怖れ、対応した山田?がウェイティングした瞬間に、ジュニーニョは一度ストップしてタメを作る。前後して黒津が左サイドを駆け抜けてレッズ守備陣の注意を引いた瞬間、ジュニーニョは素早く左足でカーブのセンタリング。ボールは完璧なコースで都築と阿部と堀之内の中間点に飛び、そこにマギヌンが走り込んでいた。ここでの堀之内と阿部の位置取りには問題はなかったのだが、ジュニーニョのセンタリングが凄過ぎた。ジュニーニョはマギヌンが飛び込む事を信じて、あそこを狙ったのだろうか。
 いずれの得点も、よいサイド突破に対すると守備陣は自陣に向かっているだけに守るのは難しいと言う当たり前の事実を再確認させられるもの。阿部は位置取りは完璧だったのだけに悔しかろうな。いずれも闘莉王がいても防げなかったように思う。

 ここからは再びレッズ猛攻。
 CKの処理をあろう事か憲剛がミスし、永井がボールを奪い落ち浮いてセンタリング。ワシントンが合わせるもファーにこぼれ、堀之内が川島と交錯しながら(と言うか蹴られながらも)押し込む。堀之内の勇気には感嘆。
 以降もレッズが攻め込むが、フロンターレ守備陣が巧かったのはラインを浅めに人数を揃えた事。ここのところ充実している永井だが、敵との駆け引きでラインの裏を取るのはあまり巧くない。レッズがワシントンに何とかボールを収めても、そこから裏を突く事ができなかった。小野に代えて平川を入れて両翼から裏を狙ったのはよいやり方だったがやや芸が足りず。大変贅沢な話だが、田中達也と相馬が控えにいれば状況は違ったかもしれないが。

 まあ負ける時と言うのはこのようなものだろう。面白い試合だった。両軍はいかに切替えて翌水曜のアジアチャンピオンズリーグに臨むのだろうか。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月17日

代表選考あれこれ

 元ベガルタの森勇介が、代表候補合宿に選考された。ベガルタ時代より切れ味鋭い攻撃参加で愉しませてくれるタレント、一方で2〜3試合に1回出場停止になるのには辟易したが。紆余曲折を経て、J1屈指の強豪となったフロンターレの中心選手として活躍、ベガルタ時代よりは頻度が減ったようだが赤や黄色のご厄介になるのが多いのは御愛嬌か。
 オシム爺さんが、その森を代表候補に選考した。言われてみれば、脚力と前進意欲に満ち溢れた攻撃と運動能力を活かした守備は、いかにも爺さん好みの選手とも思える。
 けれども。
 正直言って私としては複雑な思いを感じずにはいられない。ベガルタ時代よりは落ち着いた感もあるが、相変わらず赤だ黄色だと、我々を愉しませて暮れる森は、代表候補として適切なのだろうか。私にはそうは思えない。森を「動くものは何でも蹴っ飛ばしても構わない」と考えている中国代表とぶつけてみるのは一興だが、当方のレベルを低いものに合わせる訳にもいくまい。正直言って森は国際試合で通用する精神的能力を持っているだろうか。おそらく、彼がシビアな国際試合に出場すれば、10分も持たずに日本は10人で戦う事になるかもしれない。
 私は懸念するのだ。日本代表のスタッフ達は、これまでの森の愉しい実績をしっかりとオシム爺さんに伝えていないのではないかと。逆に爺さんが「精神矯正教育」に意欲を持っておられるならばいいのだけれども。
 今回の選考には、加地が入っていない。たとえ、瞬間的な事象にしても、加地が不在で森が起用される代表候補合宿に、私は納得できないのだ。

 続いて内田と柏木の選考について。2人ともユース代表の超エリートで、将来代表の中核を担う期待もたっぷり。今期の活躍の実績と限りない未来を考えれば、選考そのものは意外ではない。
 けれども。
 もし、この2人を爺さんが「真のA代表候補」と捉えているならば、彼らは日本代表の合宿ではなくて、まずダマスカスでのシリア戦に出るべきではないのか。爺さんが選ぶA代表は、当然ながら五輪代表は格上の存在なのだ。もし、爺さんが内田と柏木を評価しているならば、反町氏はその爺さんの意向を最優先で考えるべきだろう。そして、その五輪代表に選考された選手の中で特に優秀な選手がA代表に選ばれるべきではないのか。A代表を筆頭に、そのような序列が明確に守られて初めてそれそれの代表の価値も明確になると思うのは私だけか。

 まあ、偏屈な見方を2件述べさせていただいたと言う事で。

 ついでに。
 水曜日にダマスカスシリア戦を戦う五輪代表。選ばれた選手達は、第6節のJを休む事になった。結果、ジェフ、エスパルス、サンフレッチェ、ガンバ、グランパス、レイソル。中心選手を反町氏に強制収用されたクラブは、思うように勝ち点を伸ばせなかった。共に中心選手を取られたトリニータとFC東京が痛み分け。カレンの穴を中山隊長が埋めたジュビロ、(横浜FCには失礼な言い方になるが)対戦相手に恵まれたアントラーズ、この2チームは何とか勝ち点3を獲得したようだが。反町氏から冷遇されている谷口が日本に残ったフロンターレが、エスパルスに勝ったのは何とも言えないな。
 ここまで歴然とした結果が出るのも珍しいが、言い換えるといかに反町氏が人材に恵まれているかの証左とも言えるか。
 とは言え、今回の強制収容は、たかが五輪1次予選(それも2次予選出場はほぼ確定済み)ではあるが、仕方がないように思っている。先週水曜日にアジアチャンピオンズリーグがあった以上、日曜日にJの試合が組まれるのはどうしようもない。その上で、シリアと言う遠距離への移動と選手たちの疲労を考えると、土日のリーグ戦への出場を禁止して早期に選手を集めるのはやむを得ないか。日曜にリーグ戦を戦って、シリアで水曜日に試合と言うのは確かに厳し過ぎる日程になるから。まさか、Jリーグの控え選手でチームを組むわけにはいかないだろうし(もっともAFCによるピッコリ度監査はさすがにないだろうが)。
 しかし、これだけの被害を単独チームに課したのだ。反町氏はダマスカスで見事なサッカーを見せる義務がある事だけは間違いない。期待して待とう。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(25) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月16日

「高さと前線からの守備が特長」だがそれだけでなく

 アルビレックスがホームでガンバを仕留めた試合及び矢野貴章について。
 多彩な攻撃を仕掛けるガンバに対し、組織的な守備で粘り一度逆襲に転ずるや豊富な活動量で連続攻撃を狙うアルビレックス。好プレイを見せていた両ゴールキーパが、前半終了間際にそれぞれ微妙なミスを犯し1対1で前半を終えた。
 今シーズンの西野氏は仕掛けが早い。後半、控えに置いていた播戸をCFに起用、両翼にマグノ・アウベス、バレーを置いた3トップで猛攻を仕掛ける。この場合のMFは、攻撃的MFにファンタジスタの二川、配給役にいわゆるゲームメーカの遠藤、拾い屋の知的労働者明神と絵に書いたような組み合わせになり、さらにスピードの加地と判断力の橋本が両サイドバックで押し上げる。あたかも、70年代の強豪チームを思わせる4−3−3で華麗に攻め込むガンバ。やはり遠藤は後方から展開する方が魅力的だし、播戸が入ると何かしら得点の匂いがしてくるから面白い。
 けれども、アルビレックスは、90年代に世界を席巻したボックス型MFの4−4−2で、実にしたたかに守る。シルビーニョと本間の忠実なチェックは遠藤と二川のパスコースをせばめ、超強力3トップに出るボールの精度を微妙に落とす。それでもガンバには明神がいるから、苦し紛れのアルビレックスのクリアを情け容赦なく拾いガンバは連続攻撃。しかし、それにもアルビレックスは対応。後半も半ばだったか、明神が見事な読みの良さで拾ったボールを展開したが、最前線から必死に戻った矢野がスライディングでカットした場面。「いやあ爺さんに選ばれるはずだ」と感心させられる献身振りだった。
 この矢野の献身に代表されるアルビレックスの粘りは攻撃にも発揮される。一度逆襲に転じるや、あれだけ押し込まれていたにも関わらず、マルシオ・リシャルデスと田中アドムじゃなかったアトムは、長い距離を平気で往復、さらに2ボランチと坂本の長躯も加わり分厚い攻撃を可能にする。矢野の決勝点は、アトムの巧みなCKを千代反田が折り返し、矢野が助走なしの垂直飛びで高々と飛び上がり雄大なヘッドを決めた。
 西野氏は疲労が見えるバレーに代えて、寺田を投入し右サイドからの攻めを厚くするが、すっかり守備のリズムを掴んだアルビレックスが大観衆と共に逃げ切った。

 「ガンバのような強豪クラブの責務の1つに、このように地方クラブに美しく敗れる事がある」と、最初は間抜けな感想を抱いた。しかし、考えてみればもうアルビレックスは単なる地方クラブではない。上位を伺う強豪候補だな。羨ましい限りだ。鈴木淳の出世を素直に喜ぶとするか。
 この日の西野氏を攻めても仕方があるまい。あのアルビレックスの攻撃を防ぐのは西野氏の仕事ではない。フロントがより強力なセンタバックを補強するかと言う問題だ。年齢から考えて、シジクレイが抜ける試合が増えてくると思うのだが。

 ともあれ、矢野貴章。NHKの選手紹介テロップに「高さと前線からの守備が特長」と出ていたが、正にその通りの活躍。あの決勝点の高さは凄かったし、上記の明神のパスをカットした場面も見事だった。ただ、最近思うのだけれども、この選手の魅力ってそれだけではないと思う。
 もう1つこの選手に限りない期待感を持つのは、あの強引極まりない前進する能力。それは体重と足の速さの両立(これによって敵DFを振り切ることができる)に加え、ドリブルのコース取りの巧さにあると思う。前者はいわゆる肉体能力だが、後者は技巧と判断力によるもの。ユース代表時代からポストプレイのみを期待されていた感がある逸材だが、まだまだ化ける潜在力を持っていると思う。まずは爺さんに継続して呼ばれる事だな。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(2) | TrackBack(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする