2006年04月15日

この壁をいかに破るか

 横浜FCサポータに絶望感を味あわせ、それ以外の日本中のサッカー関係者に嘲笑のネタを提供した、J2開幕直後の横浜FCの監督交代劇。ところが、その交代劇が見事に的中。高木琢也氏率いるチームは連戦連勝、前節はトップを快走していたレイソルまで破る快進撃。しかも得点者が、カズと城と言うのだから(ああ、あの国立の熱狂のウズベキスタン戦から、8年半の歳月が経ったのか)。



 その絶好調の横浜FCを、ユアテックスタジアムに迎えたベガルタ。いくら、相手が好調とは言え、ホームグラウンドである。前節、ザスパに守り切られてしまったウップンを晴らしたいところだった。けれども、前節同様、押し込みながらも、ややゴリ押しの攻撃に終始し、幾度か決定機を掴んだものの、とうとう0−0の引き分けに終わってしまった。

 ベガルタとしては幾度となく好機を掴んだ試合だったし、守備もそれなりに堅実にまとめた試合。思うように勝ち切れてない状況ではあるが、ここ数試合無失点を継続しているのだから、チームのバランスは崩れていない。現状は第1クール後半とリーグ戦の序盤である事を考えれば、このペースで戦い続ければよいと言う事になる。けれども、私はそう楽観的には思えなかったのだ。



 確かにベガルタとすれば、前半の多くの時間帯、あるいは後半の終盤は、それなりに攻勢に立つ事ができていた。そして攻め込みながらも、横浜FCにうまく守られたようにも見えた。0−0の結果は、単にホームで勝ちきれなかったようにも見える。

 前半は後一歩で得点になりそうな好機が多かったし、試合終盤に、チアゴ・ネーヴィスのパスを受けた中田洋のシュート、終了間際にロペスのパスを受けた磯崎の好センタリングを萬代がヘディングで合わせた場面は、守りに入った敵守備陣を技巧と連携で見事に崩した場面だった。

 一方で、攻めあぐんで悪い体勢でボールを奪われ、再三逆襲速攻を許し危ない場面もあった。それでも、後半半ばに内田?のロングシュートへの詰めを誤りポストに当てられた場面や、前半終了間際のカズのオーバヘッドシュートを高桑が片手一本ではじき出した場面を除けば、落ち着いて守備をまとめた試合だった。ジョエル・サンタナ氏は、攻撃をブラジル人選手に託しつつも、守備をよく整備している。この日も上記した危ない場面もあったものの無失点。木谷とコンビを組む白井は、アトランタ五輪時代に「期待された通り」の冷静かつ強さを発揮したプレイを見せている。さらにこの日は梁の負傷により、菅井がMFに戻り、復帰した中田洋がサイドバックで精力的に上下動を繰り返した。ここ最近出場機会が得られなかった中田洋の好プレイを見ると、チームマネージメントがうまく機能している事もわかる。

 以上、まとめれば、守備は十分に計算できるレベルに到達している。サッカーは確率のゲーム。ベガルタサイドから見れば、この日の試合が0−0に終わったのは不運であり、通常であれば、結果に嘆く事なく次節以降を丁寧に戦えばいいように思える。



 しかし、そう素直には思えなかったのだ。

 それは、既に8試合を経過し、チーム全体の連携が出来上がるべき時期にも関わらず、攻撃の中核であるロペスとチアゴ・ネーヴィスが、相変わらずブラジルトリオに拘泥した攻撃ばかりを狙ったからだ。上記した試合終了直前のベガルタの決定機、いずれも中田洋、磯崎と言う両サイドバックを使ったがゆえの決定機だった。90分間常時、この2人のブラジル人MFが、このような広範な攻撃を指向した上での無得点ならば、これは不運と語る事もできる。しかし、この試合はそうではなかった。90分間の多くは、ロペスもチアゴ・ネーヴィスも、ひたすらボルジェスを含むブラジル人のみを狙った単調な攻撃を繰り返したが故での、無得点だったのだ。



 今のベガルタの状況は必ずしも悪くない。けれども、容易な状況でもないのだ。

 守備が整備され、計算されている以上、大崩れするリスクはほとんどなかろう。また、このままロペスもチアゴ・ネーヴィスも、無理攻めを繰り返したとしても、そこそこ得点を上げられるだろう。けれども、このままズルズルと試合を重ねた場合、いずれの試合でもベガルタは中盤を制圧し、そこそこ得点を上げ、それなりに失点を押さえ、それでも勝ち点を積上げられず上位に上がり切れない状況が続く恐れが多分にある。

 昨シーズン、あるいは一昨シーズンのように、チーム状態が悪いならば、「これはまずい」と、チーム全体が危機感を持つ事は容易だ(もっとも、昨シーズンの監督にそのような危機感があったのかどうかは、よくわからなかったが)。けれども、今シーズンのように、それなりにチームが機能している状態での、改善はかなり難しいのだ。

 この難しい状況を、ジョエル・サンタナ氏がいかに突破するか。これだけ経験豊富な監督である。期待して待ってもバチは当たるまい。
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2006年04月10日

遠藤のPK

 強豪同士のガップリ四つの戦いは中々面白かった。小笠原と遠藤の丁々発止、そして将来を嘱望される家長と内田の直接対決。もみ合いながらも、お互い得点を決められず終盤へ。敵地ゆえ引き分けでもよいはずのアントラーズだが、終盤に至っても消極的にならず、攻めかける。そこにガンバのカウンタ。見事な技巧で右サイドを破った二川が、中央やや左目に深いクロス、ピタリとフェルナンジーニョに合う。フェルナンジーニョは得意の深い切り返しで、マークしていた増田を抜き去ろうとする。たまらず増田はファウル、ロスタイムの痛恨のPKとなった。遠藤が冷静にPKを決めてガンバの辛勝。いい試合だった。



 さて、今日の本題は、その遠藤のPKについて。

 PKの巧さに定評のある遠藤だが、その蹴り方は独特のもの。ゆっくりボールに近づき、敵GKがヤマを賭けて飛んだのと逆の方向に、落ち着いて流し込む。

 PKの蹴り方は千差万別だが、普通の名手は強いボールを蹴りこむ(中村とかパサレラとか)か、丁寧にサイドに流し込む(プラティニとかジーコとか)パタンがほとんど。遠藤のように、敵GKが動くのを待って蹴るやり方は珍しい。

 ただ、不思議になる事がある。遠藤の蹴り方は、既にJのGKたちには周知のはず。野次馬から見ると、最後までGKが動かなければよいのではないかと思うが、ほとんどのGKが先に我慢できずに動いてしまい、遠藤にしてやられている。唯一、私が記憶している遠藤のPK失敗は、昨秋のナビスコ決勝、この時はジェフGK立石が最後まで動かず、見事に防いだ。けれども、これ以外のGKたちは、わかっているはずなのだが、魅入られたように皆遠藤の犠牲になっている。



 やはり、これは凄いことだと思う。遠藤がこのやり方に拘泥しつつ、いつも勝利を収める事ができるには理由があるはずだ。

 1つは遠藤の技術。敵GKが動いた瞬間に、逆を狙ってボールにミートできるのは、立ち足と蹴り足の微修正がよほど巧いと言うことなのだろう。面白いのは、普段のプレイで遠藤はそのような立ち足と蹴り足の微修正を用いたキックは、あまり使っていない。むしろ、堅実なサイドキックやインステップキックを中心にゲームを作っている(もっともゴール前の直接FKは、インフロントでカーブをかけて狙っているが)。

 そしてもう1つは、助走の変化のつけ方。TV桟敷で観た限り、遠藤の助走はボールに近づくにつれ、少しずつスピードが遅くなる。そのために、GKが我慢できなくなって先に倒れてしまう。このボールに近づいた時に、急にスローテンポになるは、遠藤の普段のプレイでもよく見られる独特のものだ。



 いつもクールな遠藤だが、さすがにロスタイムのホームゲームでの決勝PKは嬉しかったようで、派手なガッツポーズ。ガンバは貴重な勝ち点3を獲得した。



 結びに全くの余談、PKを蹴る前に遠藤の表情がTVに大映しになった。あのアゴヒゲはだらしなく見えるから止めた方がよいと思うのだが。
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2006年04月08日

名波空転

 ベガルタは引き分け。ザスパに退場者が出たらしいが、攻め切れなかったようだ。映像未見ゆえ、詳細は別な機会に譲るが、ここまでホーム3試合、アウェイ4試合で、勝ち点13。これはホーム全勝、アウェイ全引き分けで獲得できる勝ち点なのだから、上々の成績と言ってよいだろう。

 トップを快走していたレイソルが、好調横浜FCに苦杯を喫したとの事。しかも得点者がカズと城らしい。いきなりの監督交代劇で、失笑を買った横浜FCだが、ここまでの結果を見ると、あれは正しい判断だったのか。う〜ん。



 TVでFC東京−ジュビロを観た。ここまでのリーグ戦で、結果、内容ともに今一歩だったチーム同士の他一決だが、見事に明暗が分かれた。

 名波のボールを徳永が奪い(やや反則気味だったが)、速攻から栗澤のパスで抜け出したルーカスが決めてFC東京が先制。名誉挽回とばかりに名波の巧妙な崩しから、村井が詰めて同点(この場面の増嶋の淡白な守備は残念)。川口の好守で逸機した直後のCKから、再びルーカスが決めて再びリードを奪う。梶山のボールもルーカスの動き出しもよかったけれど、田中誠はあそこまで簡単に振り切られては拙かろう。ジュビロは後半に入り、ようやく負傷癒えた前田を投入するが、ペースが全く掴めない。一方FC東京は、後半半ばに見事なパスワークから今野が左サイドを突破し、栗澤が全くのフリーでスライディングシュート。その後もFC東京が余裕綽々ボールキープ、点差以上の完勝だった。



 FC東京はよかった。土肥、茂庭、今野で固める守備は元々計算できるが、今日は梶山を起点に、徳永と鈴木の両サイドバックが精力的に押し上げ、見事な攻撃的なサッカーを展開。ここまで今一歩の内容、結果が続いてきたようだが、新監督の戦術が浸透してきたと言う事か。



 一方のジュビロは深刻。

 終盤、名波が鬼気迫る表情で組み立てを図ろうとするが孤立。そもそも、名波は70分ころに成岡と交代させられそうになっていたのだが、交代直前に村井が足をつらせてしまい、最後の交代カードだったために、90分のお務めとなった。その名波が奮戦するのだが、周囲の選手に全く連動が見られない、と言うより連動しようとする工夫が見られない。アナウンサも、かつてのジュビロの輝きが消え去った事を散々嘆いていたが、名波が頑張れば頑張るほど、往時が思い起こされ悲惨な雰囲気が漂った。

 確かに名波を含め、当時のスターは皆ピークが過ぎてしまったのは確か。しかし、中堅、若手の前田も成岡も菊地も船谷も、ボールを持てば皆見事な技巧を発揮できる。しかし、彼らが全く連動しないのだ。これは、やはり監督の責任と言われても仕方がないのではないか。

 ハーフタイムにインタビューされた山本氏が「持ち味のシンプルなパス回しができていない」と語っていたが、氏の言うところの「シンプルなパス」って、一体どのようなパスなのだろうか。数年前輝いていた頃のジュビロの魅力は、名波を中心とした「こんな事もできるのか」と感じさせるようなパスワークだった。あれは、「シンプル」と言うよりは「複雑」と言う印象が強いのだが。氏のやりたいサッカーが実践面はおろか、構想面でもよくわからない。

 五輪代表、ジュビロと、ここまで采配の冴えを中々見せられていない山本氏だが、過去の実績にはそれなりのものがあったのだが。97年のマレーシアワールドユースでは、中村、宮本、明神、柳沢らを中心に見事にベスト8に進出している。02年のアジア大会でも、アテネ五輪チームの黎明期に(決勝はイランに苦杯を喫したものの)堂々の準優勝。こう言ったある程度の実績を積んだ監督だったのだが。



 名波浩と言う存在は、日本サッカー界にとって貴重な宝物。そして、年齢を考えれば、その宝物を堪能できる時間は、もうそうは長いものではないだろう。そう考えると、今のジュビロの惨状は、あまりに残念。
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2006年04月05日

関塚隆

 エルゴラッソ2006年4月5日号発売に掲載いただいた、関塚隆に関する文章です。

 本文にも書いていますが、もし全盛期と言っても過言ではなかった86年の重病による長期離脱がとても残念でした。当時の日本には珍しく、強さと速さと判断力のバランスが取れていたストライカでした。
(2007-9-27)



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2006年04月03日

健太と青山の若さ

 ガンバにとってはつらい試合だった。エクアドル戦にフル出場した宮本と加地のみならず、代表に召集され負傷が明確になった遠藤、前節の代表組不在時の試合で負傷した明神と、中心選手4名が離脱(もっとも、西野氏にとって宮本が中心選手かどうかは議論が分かれようが)。

 試合は苦しいメンバ構成のガンバに対し、エスパルスが攻勢を取るが、先制したのはガンバ。それも、非常に美しい得点だった。左サイドに進出した家長が中央を向いて、右サイドバックの森岡と正対。ボールを左右に揺さぶって森岡の体勢を崩した瞬間に、内側に走りこんできた二川に森岡の股間を通して正確なグラウンダのパス。二川は縦前方に抜け出すドリブルを見せた上で後方にヒールで落とす。そこに走りこんだ家長は右足で実に見事なトラップで自分の得意な左足で強シュートを打てる場所に正確に落とす、このトラップからの体重移動で家長は追いすがる森岡をブロックする。そして、渾身の強シュート。この右足トラップから左足のシュートには、かのラモン・ディアスを思い出したりして。

 その後も両チームが攻め合う面白い試合が継続。シジクレイがゴール前で全くのフリーになって、腰が砕けたキックで枠を外した場面は特に惜しかった。ところが、この前半、シジクレイはもっと散々な目に会うことになる。ロスタイム、逆襲から矢島に(シジクレイから見て)右サイドに引きずり出され完全に抜かれてセンタリングを許す。そのセンタリングに伊東、ツ宰榛が合わせ損なうが、逆サイドから長躯した3人目の兵働が左足で美しいミドルシュートを叩き込む。さらにその直後、エスパルスDFのクリアをツ宰榛がヘッドで流すと、シジクレイがコントロールミス、再び矢島に狙われる。慌てたシジクレイは無様に転倒、矢島はフリーで抜け出し、余裕綽々好GK藤ヶ谷の股間を抜いた。考えてみれば、来月34歳になるシジクレイにとって、ここまでの連戦のフル出場は相当厳しいはず。連戦続きだったここまでの日程を考慮すれば、このあたりで休養を取りたいところだが、ここまでのリーグ戦で休養十分な宮本はこの日、日本平には不在だった。



 青息吐息のシジクレイとガンバを救ったのは、エスパルス長谷川健太氏の采配だった。ロスタイムに猛威を振るった矢島をマルキーニョス交代させたのだ(エルゴラッソによれば、矢島が右肩を負傷していた故の交代らしいが、あのロスタイムの連続2得点を見せられた野次馬からすれば、素直には信じ難い報道だ)。矢島のアグレッシブな攻め込みに苦しんでいたシジクレイはこれで一息つく事ができた。

 さらにそのマルキーニョスが、前半のシジクレイを思い起こさせるシュートミスで逸機するのだから。元々シュートの巧さ、ゴール前の冷静さが身上のこのストライカのミスは、エスパルスに「いやな雰囲気」を感じさせるに十分。さらに前半からエスパルス攻勢を担っていた藤本、兵働の両サイドハーフが飛ばし過ぎか次第にガス切れしてくる(TV解説の原氏が、かつての日本鋼管のファイタだった藤本のお父上について言及、「この技術に父上のファイトが加われば本当にすばらしい選手になるはず」は、けだし名言、藤本はこの日のガス切れを恥ずるべし)。

 2点目は、ガス切れした藤本のサイドを、ガンバの青木に破られて好センタリングを上げられたのがきっかけ。藤本の交代選手を準備していた時点での失点となった。これは長谷川氏の采配が後手に回ったと言わざるを得ない。とは言え、この失点は青山の決定的ミス。後方にフェルナンジーニョが走りこんでいるにも関わらず、青木のクロスに触らず逆サイドに流してしまった。クリアさえしていれば、何も問題なかったのに。

 同点になり、ホームのエスパルスは前掛りになる。幾度か好機を掴むものの、一方でガンバの再三の逆襲にも脅かされる。交代出場した播戸の広範な動きがエスパルスを苦しめる。その苦しい時間帯をエスパルスのベテランボランチ伊東が支え、ガンバのカウンタの目を摘む。伊東が西野氏の前に立ち塞がるとなると、ついつい昔を思い出したりして愉しい。もう、あれから10年経ったのだ。



 二転三転する試合を決めたのは、西野氏の見事な采配。双方が攻撃的に戦い疲労困憊した終盤、右サイドに安田を起用した。おお、あのアジアユース1次予選北朝鮮戦で終盤起用され決勝点を決めた安田君ではないか。そして、安田は右サイドでよく粘り、青木の好センタリングにつながる好プレイ。青木のクロスを受けたマグノ・アウベス。見事な個人技でDFをかわし決勝ゴール。



 面白い試合だった。ガンバとしては苦しいメンバ構成ながら敵地で勝ち点3を獲得したのだから最高の結果だろう。一方、エスパルスにとってはショッキングな結果。

 しかし、先は長い。(負傷と言う情報もあるが)矢島の交代、藤本→高木純の交代遅れは、長谷川氏の采配ミス。しかし、今は我慢の時、長谷川氏は若手を大胆に抜擢し、天皇杯準優勝を含み、良好なサッカーを見せつつある。個別の戦術ミスは厳しく指摘されるべきだろうが、近い将来の期待は大きい。

 もう1つ。限り無い未来を持つ青山。2点目の軽率な判断、3点目のマグノ・アウベスとの駆け引き、いずれも猛省すべし。

 繰り返そう、「青山よ、君のせいで負けたのだ。」
posted by 武藤文雄 at 23:47| Comment(13) | TrackBack(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月26日

徳永の脚力とゴールポスト

 今週末は諸事多忙のため、ベガルタの試合を含めほとんどのJリーグの試合映像を観る事ができていない。唯一、FC東京−サンガ戦の後半を観る事ができたのみ。



 この後半の攻防はなかなか面白かった。ここまでの4節で思うように勝ち点を積み上げられていない両チームだけに一層目先の勝ち点を目指す戦いが白熱したのかもしれない。1−1の同点から、ホームで勝ちたい東京が押し込み、サンガが耐える展開。東京が最前線の3人を交代したのに対し、サンガは中盤を少しずつ守備的な選手に入れ替えて対抗した。

 終盤に阿部が左サイドで巧くボールを受けて、飛び込んだ今野がゴールネットを揺らすも、アシストをした阿部がボールを受けたところでオフサイドでノーゴール。その後も東京が幾度か好機を掴むも決めきれず、何となくサンガが守り切る雰囲気となった。

 それでも東京は猛攻を継続、最後の最後にCK崩れから徳永がいかにも彼らしい脚力を利したドリブルで縦に抜け出て、角度のないところから強烈なキック。グラウンダのボールはゴールラインとほぼ平行に飛ぶ。GK平井の二アサイドを破ったボールは反対サイドのゴールポストをたたき、再びゴールライン上を戻ってくる、セービングで倒れこんでいた平井が必死にかき出そうとしたが、球足はポストに当たった後も全く衰えずそのままゴールに転がり込んだ。



 なかなか面白い得点だった。

 まず、徳永はシュートの意図があったのかどうか。強引に縦に抜け出た勢いが強過ぎて、とにかく中央に強いボールを蹴ろうとしたところだけにも思えた。結果、狙い通り相当強いボールを蹴る事ができたのだが、徳永が意図した以上に絶好のコースに飛んだようにも見えたのだが。とは言え、この選手の魅力は、脚力を活かした突破の後でも、この場面のように身体を利かした次のプレイができる事。その素質をフルに活かしたプレイだった。

 次に二アサイドを破られた平井。徳永の突破後のセンタリングを押さえようとしたのか、ゴールラインから離れたところにポジションを取っており、反応が遅れて二アサイドを破られた。たとえ、どのような理由があろうとも、GKがニアを破られたてはいけない。もっとも、このGKは大変攻撃的な性格をしているおり、それが仇になったのか。

 また角度のないところから打たれたシュートが逆サイドのポストを叩き、そのままゴールライン上を戻るような軌跡を描くのを、トップレベルで観るのは結構珍しい。とは言え、徳永のキックの強さが格段で、平井はもちろん、カバーに入ろうとしたDFもほとんど反応できず、ボールをかき出す事はできなかった。



 今一歩調子に乗り切れなかったFC東京は、期待の新人選手の得点で中位に進出。素質豊かな若手を多数抱えるチームは、これで調子を上げて行くのか。

 一方のサンガは苦しい試合が続く。昨シーズンJ2を独走したチームに、ピンポイントの補強をして臨んだシーズン、チームの完成度は決して低くない状態で結果が出ないのつらいところ。柱谷幸一氏がどう立て直すか見守りたい。
posted by 武藤文雄 at 23:53| Comment(5) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月22日

胃の痛みを喜ぶ(嘆く)

 初戦に実に景気のよい勝ち方をした時は、このまま胃の痛みを感じることなく、J1昇格を決めてしまうのでないかと心配したが、残念ながら今年も愉しいシーズンを味わえそうな事だけはわかった試合だった。



 試合そのものは、両チームのセンタバックとCFの戦いで勝負が分かれた。

 

 ベルマーレのワントップ横山の動き出しの早さ、特にベルマーレボールになった瞬間にスッと動くタイミングが素晴らしかった。ベガルタのCB白井も木谷も一歩めで置いていかれるので、横山はいつもフリーでくさびを受けて精度の高いリターンを落とす。この攻撃にベガルタは苦しんだ。ベルマーレの得点は、直接FKを加藤望が短くつないだ後に佐藤がクロスを上げた間隙に、横山が見事な動きでフリーになり決めたもの。試合終盤も押し込もうとするベガルタに対し、横山は見事な引き出しで対抗し、逃げ切りに貢献した。

 横山の好調が継続するとなると、いずれのチームのCBも相当悩む事になるだろう。



 一方のベガルタのワントップボルジェス。敵のストッパに身体を預けられても、強引な反転で前を向くのが武器。けれども、当然ベルマーレのCBもその武器は読んでいる。この日、ベルマーレのCBは田村が執拗にボルジェスにまとわりつきインタセプトを狙い、ボルジェスが振向いたら城定も絡み、挟み込む。ボルジェスもその分厚い守備を幾度か打ち破って、好機を作ったのだが得点には至らなかった。

 試合終了後、MVP(賞金10万円だそうだ)として城定が表彰されていたが、得点を決めた横山や、中盤で素晴らしいインタセプトを見せたニヴァウドでなく、城定を選考したベルマーレ関係者に感心した。試合内容よりも、この選考をしてくる今シーズンのベルマーレは要警戒だ。



 ところで、ボルジェスとベルマーレの両CBの攻防を愉しみながら、2点考えた。

 1つ目。ベガルタの単調な攻撃。確かにボルディスが振り向く事ができれば、決定機になるが、敵だってそれは読んでいる。ボルジェスに当てる振りをして外を使うとか、ミドルシュートを狙ってボルジェスのマークを外すとか、工夫が全く見られなかったのが残念だった。特に菅井と梁がそのような判断ができないようでは、J1昇格はおぼつかない。2人は猛省すべし。

 2つ目。ボルジェスの突破は、今後審判を相当悩ます事になりそう。ボルジェスは反転しつつ強引に身体をこじ入れて突破を狙う。マーカも負けじと身体を当てる。それでもボルジェスは前進できる時もあるし、逆にボルジェスがマーカごとバランスを崩し他のDFがボールを奪う場面もあった。そのまま、プレイが流れると言う判断も成立するし、さらには以下2種類の反則があったとの解釈が成立する。

(1)マーカはボルジェスとぶつかり合った時に、ボールはDFのプレイングディスタンスを離れ、かつDFはボルジェスの前進を妨害している場合が多いから、オブストラクションあるいはチャージング。

(2)ボルジェスが身体をこじ入れた時に、結果的に手をつかってマーカを妨害するから、あるいは進路を妨害するDFを押し倒すから、ボルジェスのファウル。

 これらは、まさににケースバイケース。都度のタイミングで判断が分かれようが、非常に審判を悩ませる突破方法である事は間違いない。



 ベルマーレは強いチームだし、敵地で負けたのは仕方がない。開幕4節で、星勘定を嘆く意味もないし、内容を反省し改善していくのが重要だろう。

 とは言え、残念だった事。1つは上記の菅井と梁の単調な選択。

 そしてもう1つ。後半25分あたりに、ベガルタが猛攻を仕掛けた場面。村松を投入し両翼に2枚の選手を並べ、梁の配給を軸に押し込む。よい揺さぶりから幾度となく好機をつかんだ。一方ベルマーレ守備陣は我慢を重ねる。このような場面はいわゆる我慢比べ。たとえ遅攻になっても攻撃側は丹念に攻勢をとり続け、丹念に守り続ける守備を崩さねばならない、一種の我慢比べである。しかし、この場面で我慢し切れなかったのはベガルタのベテランCB白井だった。苦しい状況でベルマーレが横山?にくさびを入れて、何とか凌ごうとしたところで、白井が不用意極まりないファウル。白井は警告を食らったが、それ以上にそこでベガルタの猛攻が途切れたのが痛かった。ベテランがこのようなプレイをしてはいけない。

 今ベガルタが目指しているのは、単純なカウンタサッカーでは無く、敵が守備を固めても崩しきるだけのサッカーを作り上げる事のはず。あの場面の白井のプレイは、その自覚が欠けていたと、厳しい指摘を言わざるを得ない。



 長いシーズンは始まったばかり。昨シーズン、一昨シーズンに比べれば、格段によい立ち上がりなのだから、淡々と早い改善を望むばかり。
posted by 武藤文雄 at 23:52| Comment(3) | TrackBack(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月18日

2つの3−1 

 ベガルタについては、詳細は別途論じたい。強敵に対して、ホームとは言え、報復行為で退場者を出してしまっては苦しい。とは言え、「レイソルのラフプレイにより挑発されたチアゴ・ネーヴィスに同情する」と言う論調は間違い。あの程度の挑発に乗ってしまったチアゴ・ネーヴィスは論外にせよ、そのようなリスク対応ができていなかったベガルタが弱いのだ。ベガルタは弱いから負けたのだ。

 この失態がリーグ序盤で明確になった幸運に感謝し、早急に改善される事を期待する。次は平塚競技場でベルマーレ戦。私もようやく参戦できる。敵地での完璧な勝利を期待したい。



 と言う事でJ1。

 この日、3−1と言うスコアで終わった2試合の対比が面白かった。共に劣勢が予想されたアウェイチームが開始早々先制すると言う共通点もあったし。



 マリノスとセレッソ。いきなりセレッソが、森島の鮮やかなダイビングヘッドで先制。その後、マリノスがセレッソの名GK吉田のミスから追いつく。そのままマリノスが押し気味ながら、セレッソもよく守り前半は1−1で終了。今期初出場の期待の藤本が久保をよくマークしていたのは嬉しい。

 後半、マリノスが自慢のマルケスとドゥトラの左サイドの崩しから、後方から進出したマグロンが2点目を決める。この場面セレッソのCBが完全に久保に気を取られていた。

 その後、セレッソも散発ながら反撃、1度西澤が決定機を掴むものの逸機。一方のマリノスは、後半半ばにウィングバックに吉田孝行から田中隼磨に交代するなど、豪華絢爛な選手層を見せつける(この2人が代表の右サイドを争っても不思議でないと思うのだが)。

 そして、終了間際には、久保を軸にした完璧な組み立てからマルケスがとどめの3点目、勝負はついた。 



 ガンバとトリニータ。いきなりトリニータが、CKからオズマールの見事なヘディングで先制。その後、ガンバがやや怪しげなPKから追いつく。そのままガンバが押し気味ながら、トリニータもよく守り前半は1−1で終了。

 後半、トリニータが前半のCKと同じサイドのFKからオズマールが決め、再び突き放す。2回同じ形で決められてしまったのは、所謂「強い選手」がシジクレイ以外いないガンバの弱点か。

 その後、ガンバは播戸を起用しマグノ・アウベスとの2トップにし、フェルナンジーニョと二川が自由に動き回り猛攻を仕掛ける。フェルナンジーニョは好調だったが、左右のオープンに飛び出すので、逆に加地と家長が前進しずらなくなってしまったのは今後の課題か。それでも、セットプレイから家長?のヘディングがポストに当たる逸機があるも、トリニータの守備は崩れない。期待の若手福元が再三マグノ・アウベスとの1対1に勝つなど見どころはタップリ。

 そして、前掛りになったガンバ守備ラインの裏をついて見事な逆襲速攻。俊足の松橋が見事な突破から2点差となる得点を決め、勝負はついた。



 2試合とも前半が終わるところまではそっくりの展開。そして、2点目を先に取ったチームが、同点にされそうな危機を乗り切り、追加点を取って突き放した。日産スタジアムではホームチームが、万博競技場ではアウェイチームが、歓喜したところが違うけれど。勝負どころでどちらのシュートが入るかどうかの明暗、サッカーの魅力がよくでた2試合だった。
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2006年03月16日

大阪ダービーに見る補強論

 リーグ序盤戦に組まれた、昨シーズン終盤優勝を争った両チームのダービーマッチ、なかなか面白い試合だったが、大差がついてしまった。両監督の駆け引きを含めた攻防に、シーズンオフの「補強」の難しさ、面白さを感じる試合だった。



 開始早々、ガンバが先制。フェルナンジーニョが後方に下がり、右サイドの加地に低く強いパスを展開、加地は同じく低く強いパスを、二川(フェルナンジーニョが引く事でできたスペースに入り込んでいた)に通す。二川はトリッキーなヒールキックでそのボールを中央に流し込み、先ほど起点となっていたフェルナンジーニョに合わせる。この3人の組立で、フェルナンジーニョは前を向いてペナルティエリア近傍まで進出する事に成功した。

 もちろんブルーノ・クワドロスは、その攻撃を読んでおり、フェルナンジーニョに正対する。ここで、フェルナンジーニョは(自分から見て)左に出て行くフリをして、高速で右に切返す見事なフェイントで、ブルーノ・クワドロスを抜き去り、間髪入れず強シュートを名手吉田が守るゴールに突き刺した。1−0。

 完璧に抜かれてしまったブルーノ・クワドロスのショックはしばらく継続、その直後には斜めに走りこむマグノ・アウベスを3DF全員が見過ごすと言う決定的なミスを犯し決定機を提供するなど、不安定な守備が継続する。それでも我慢を重ねていくうちに、幾度かセレッソも好機を掴むようになる。

 そして、前半終了間際、森島との絶妙な縦の入れ替わりからペナルティエリア外に引いていた西澤の強烈そのもののミドルシュートで同点に追いつく。

 2つの見事な得点で1−1で迎える後半、ここまでの展開はある意味でセレッソペース。先制されたものの、粘って最小失点に押さえ、逆に同点に追いついてハーフタイムを迎えたのだから。後半も同じペースで守り続ければ、勝機は十分にあると思えた。

 56分、1点目にからむなど、この日も好機を演出していた加地が負傷。そのため、西野氏は宮本を投入、4DFから3DFに切替える(このあたりの宮本起用に関するゴタゴタについては、別な機会に触れたい)。この負傷と言う不運による交代劇が、結果論的には勝敗を分ける事になる。

 上記の交代直後、3DFになった事によって初動開始点を前方に移していた家長の前進に合わせて、二川が見事なパスを合わせる。スタートの時点で家長は、マークのピンゴを完全に振り切っており、余裕綽々の大きな切り返しから、正確なグラウンダのセンタリング。フェルナンジーニョが落ち着いて合わせて勝ち越す。

 ここまでであれば1点差であり、勝負はまだまだこれからと言う展開。

 けれども、セレッソのベテランDF柳本のミスから3−1、この1点はセレッソとしてはつらい失点。ここでホームの意地があるセレッソは、柿本、宮原、徳重を順次投入する(特に1点差の時点で柿本投入をしようとしていたにも関わらず、投入直前に2点差になってしまったのは誤算だったろう)。

 続くガンバの4点目は、そうそう見る事はできないビッグプレイ。逆襲から前線に飛び出したフェルナンジーニョが、後方からのグラウンダの低いフィードを、右前方外向きに(タッチライン方向を見て)受け、ノールックで中央にバックキック気味にループパス、ボールはセレッソの2人のDFのど真ん中、かつマグノ・アウベスが走りこんできたポイントにピタリと落ちた。そのままマグノ・アウベスはダイレクトで強シュートを叩き込む。TV解説の反町氏ともども、「とんでもないプレイを見せていただいた」とひたすら感激。

 リードしているチームが、「ミス」と「とんでもないプレイ」から、追加で2点取ってしまってはどうしようもない。それでも、ダービーマッチ。セレッソは攻め続けなければならず、ガンバの逆襲速攻の好餌となってしまった。



 ガンバは昨シーズン猛威を振るった大黒とアラウージョが退団。そこで、マグノ・アウベスと播戸を獲得した。これは「補強」とは言わない。マイナス分が非常に大きく、プラスを加えてもゼロになるかどうか。

 しかし、後方で加地と明神を獲得したのは、紛れもなく「補強」である。加地は、開幕のレッズ戦も、この日のセレッソ戦も、得点に絡んだ。そして明神。。この日、特に3−1になってからの、明神のプレイを何と語ればよいのだろう。古橋をしっかりとマークした上で、無理攻めをしかけるセレッソの宮原の強引な縦パスのほとんどを冷静にカットし、前線のいやらしいところにつなぐ。大差がついた最大の貢献者は明神だった。

 後方でのここまでの戦力アップに加えて、フェルナンジーニョとマグノ・アウベスが、あそこまで大当たりしては、セレッソもたまらなかったろう。



 補強と言う観点で見ると、セレッソは苦しい。昨シーズンからの上乗せが現時点では見えないからだ。

 まず、ファビーニョの穴が補強で全く埋まっていない。ジュビロから来た河村、新ブラジル人のビンゴ、2人とも現時点での機能を見る限り「ああ、ファビーニョはいい選手だったなあ」と言う比較対象でしかない。ヴェルディから獲得した山田は気になるし、昨シーズン終盤に見事なプレイを見せた藤本あたりの活躍も期待したいところだが。

 さらに、(大変悲しい事だが、現実を直視すれば)森島だって、少しずつ運動量や切れは落ちていくはず。ここの手当ては、セレッソ関係者からすれば、避けたい話題かもしれないが、いつか「その日」は来るのだ。そして、森島が安心して隠居生活を送るためにも、セレッソの若手の攻撃選手たちの奮闘を期待したい。

 加えて、黒部を放出した後釜が柿本では。柿本はいい選手だが、少なくとも昨シーズンまでは、J2の中堅チームのストライカに過ぎなかった。代表経験もある黒部と比較されては気の毒だろう。

 もっとも、今シーズンのセレッソは即戦力よりは、前途有為な若者を多数補強している。ユース代表の中核である若森島やセレッソユース出身の大器柿谷など。どちらかと言うと将来性を重視した補強に重点をおいたのだろうから、目先の敗戦にどうこう言う必要はないのかもしれない。



 つまり、現状のセレッソの苦戦は監督の問題ではないのだ。単に戦力補強がうまく行かなかったチームが、メンバが固まらず序盤戦に苦戦しているのに過ぎないのだ。まだリーグ戦は始まったばかり、上記の新加入選手をなじませ長いリーグ戦に向けて戦力を整える時期なのだから、今は我慢の時のはず。まして、小林氏には実績がある。昨シーズン終盤に、チームのバランスを見事に取り、優勝直前までチームを仕上げたのだから。



 確かにセレッソサポータから見れば、ガンバに1−6の敗戦が腹に据えかねるのは、よくわかる。それにしても、たったの2節で「小林監督更迭」と言う発想はどこから出てくるのだろうか。それとも、セレッソのフロントに絶大な信頼を持っており、イビチャ・オシム氏やジョゼ・モウリーニョ氏を連れてきてくれると信じているのだろうか。
posted by 武藤文雄 at 23:49| Comment(1) | TrackBack(2) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月12日

不慣れな体験

 開幕戦と言うものは大敗するもの、リーグ戦と言うものは低い順位から少しずつ上に向かって上がっていくもの、サッカーシーズンと言うものは常に胃の痛みと戦うものだと思い込んでいた。初戦に大勝してしまうと、これからどうしてよいのかわからない。



 それにしても、よい外国人補強をしたものだ。

 ボルジェスはエメルソン、ジュニーニョ級との噂があったが、なるほどスピードは凄い。ただスタイルはあの2人と少し違うように思えた。あの2人はピューッと走り抜けて抜け出してしまう印象があるが、ボルジェスは方向を変えながらの最初の一歩が速い。それにしても、トドメの4点目になる場面の切り返しには恐れ入った。

 ロペスは、正確なボールタッチと大柄な身体を活かした独特のドリブルがいい。しかも大きなストライドからタイミングのよいスルーパスもある。往時のトニーニョ・セレーゾを思わす強さ(と技巧)だ。さすがに本家に比べると、スピードは劣るかもしれないが。

 そして、チアゴ・ネーヴィスは、豊富な活動量で頻繁にボールに触る。膝をよく曲げて腰を落とすフォームのため小柄なのかと勘違いしたが、すっと立つと結構大柄な選手。まだ体調がベストではないようだったが、調子が上がるとどのようなプレイを見せてくれるのだろうか。 

 よくもまあ、これだけのレベルの選手を集めてきたものだ。新監督のサンタナ氏も関与したのだろうが、この補強の見事さは極めて高く評価されるべきだろう。それにしても、J2のクラブにこれだけの選手が来るのだから、改めてブラジルサッカーの奥深さには感心させられる。



 とりあえず、ロペスとチアゴ・ネーヴィスを攻撃的MFに置いていたが、この2人はより後方でもプレイできるだろう。まだまだ多数のオプションを作る事ができる選手たちだ。交代出場した中島や、この日ベンチにも入れなかったものの萬代や関口を組み合わせることで、いっそう破壊力を増せそうな陣容ではないか。

 このブラジル人3人の後方に、ベガルタが誇る菅井、梁勇基を配し、押し上げると共にこぼれ球を拾い、正確な展開でつなぐ。さらに、その大外に中田洋と村上が進出する。連携については改善の余地がありそうだったが、分厚い攻撃を可能とする見事な仕掛けだ。



 もっとも、守備面はまだまだ問題が多い。ボルジェス以外の各選手がよく敵ボールを追い掛け回し、相当前目でのカットを狙っていたが、チェックの連携はまだまだで、逆にプレスをかわされ逆襲を許していた。

 また、このチームの肝とも言うべき菅井と梁勇基が中に絞るため、どうしてもヴォルティスの下がり目のサイドプレイヤへのチェックが甘くなり、村上や中田洋の対応が遅れることでサイドの突破を許していた。



 控えの5人に、関口、萬代、熊林、村松らを差し置き、ジェフユース出身の金子が入っていたのもうれしい驚き。選手層が相当厚くなっているとの証左とも言える。



 文句のいいようのない開幕戦を終え、次節はホームにレイソルを迎える。先方も敵地でザスパを4−0で下すなど好調の模様。よい試合で今期ホーム初勝利を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 01:45| Comment(7) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする