その絶好調の横浜FCを、ユアテックスタジアムに迎えたベガルタ。いくら、相手が好調とは言え、ホームグラウンドである。前節、ザスパに守り切られてしまったウップンを晴らしたいところだった。けれども、前節同様、押し込みながらも、ややゴリ押しの攻撃に終始し、幾度か決定機を掴んだものの、とうとう0−0の引き分けに終わってしまった。
ベガルタとしては幾度となく好機を掴んだ試合だったし、守備もそれなりに堅実にまとめた試合。思うように勝ち切れてない状況ではあるが、ここ数試合無失点を継続しているのだから、チームのバランスは崩れていない。現状は第1クール後半とリーグ戦の序盤である事を考えれば、このペースで戦い続ければよいと言う事になる。けれども、私はそう楽観的には思えなかったのだ。
確かにベガルタとすれば、前半の多くの時間帯、あるいは後半の終盤は、それなりに攻勢に立つ事ができていた。そして攻め込みながらも、横浜FCにうまく守られたようにも見えた。0−0の結果は、単にホームで勝ちきれなかったようにも見える。
前半は後一歩で得点になりそうな好機が多かったし、試合終盤に、チアゴ・ネーヴィスのパスを受けた中田洋のシュート、終了間際にロペスのパスを受けた磯崎の好センタリングを萬代がヘディングで合わせた場面は、守りに入った敵守備陣を技巧と連携で見事に崩した場面だった。
一方で、攻めあぐんで悪い体勢でボールを奪われ、再三逆襲速攻を許し危ない場面もあった。それでも、後半半ばに内田?のロングシュートへの詰めを誤りポストに当てられた場面や、前半終了間際のカズのオーバヘッドシュートを高桑が片手一本ではじき出した場面を除けば、落ち着いて守備をまとめた試合だった。ジョエル・サンタナ氏は、攻撃をブラジル人選手に託しつつも、守備をよく整備している。この日も上記した危ない場面もあったものの無失点。木谷とコンビを組む白井は、アトランタ五輪時代に「期待された通り」の冷静かつ強さを発揮したプレイを見せている。さらにこの日は梁の負傷により、菅井がMFに戻り、復帰した中田洋がサイドバックで精力的に上下動を繰り返した。ここ最近出場機会が得られなかった中田洋の好プレイを見ると、チームマネージメントがうまく機能している事もわかる。
以上、まとめれば、守備は十分に計算できるレベルに到達している。サッカーは確率のゲーム。ベガルタサイドから見れば、この日の試合が0−0に終わったのは不運であり、通常であれば、結果に嘆く事なく次節以降を丁寧に戦えばいいように思える。
しかし、そう素直には思えなかったのだ。
それは、既に8試合を経過し、チーム全体の連携が出来上がるべき時期にも関わらず、攻撃の中核であるロペスとチアゴ・ネーヴィスが、相変わらずブラジルトリオに拘泥した攻撃ばかりを狙ったからだ。上記した試合終了直前のベガルタの決定機、いずれも中田洋、磯崎と言う両サイドバックを使ったがゆえの決定機だった。90分間常時、この2人のブラジル人MFが、このような広範な攻撃を指向した上での無得点ならば、これは不運と語る事もできる。しかし、この試合はそうではなかった。90分間の多くは、ロペスもチアゴ・ネーヴィスも、ひたすらボルジェスを含むブラジル人のみを狙った単調な攻撃を繰り返したが故での、無得点だったのだ。
今のベガルタの状況は必ずしも悪くない。けれども、容易な状況でもないのだ。
守備が整備され、計算されている以上、大崩れするリスクはほとんどなかろう。また、このままロペスもチアゴ・ネーヴィスも、無理攻めを繰り返したとしても、そこそこ得点を上げられるだろう。けれども、このままズルズルと試合を重ねた場合、いずれの試合でもベガルタは中盤を制圧し、そこそこ得点を上げ、それなりに失点を押さえ、それでも勝ち点を積上げられず上位に上がり切れない状況が続く恐れが多分にある。
昨シーズン、あるいは一昨シーズンのように、チーム状態が悪いならば、「これはまずい」と、チーム全体が危機感を持つ事は容易だ(もっとも、昨シーズンの監督にそのような危機感があったのかどうかは、よくわからなかったが)。けれども、今シーズンのように、それなりにチームが機能している状態での、改善はかなり難しいのだ。
この難しい状況を、ジョエル・サンタナ氏がいかに突破するか。これだけ経験豊富な監督である。期待して待ってもバチは当たるまい。








