2005年02月20日

下手クソのモデル

 今日、少年団のコーチ同士の宴会コーチ会議が行われた。そこで、議論された本質的な話題について。



 日本協会が準備している少年指導ガイダンス各種が話題になった。

 普段は偉そうに、日本協会批判をしている面々ではあるが、いざ指導の話になると、皆「学ぶ立場」。私を含めて、結構しおらしいもので、これらの文献は「(いささかキレイ事が多いきらいもあるが)丁寧に読むと、とても勉強になる。」と見解が一致した。各年代の子どもに対して、「このように指導しよう」、「ここまで教えよう」と言うのが、かなり具体的に説明されており、これらのガイダンスに従えば、それなりの少年指導は可能になるのだ。

 しかし、一方で一連の映像教材については皆が疑問符を投げかけた。理由は簡単、映像に登場する少年たちが、あまりに巧すぎるのだ。例えば、ボールリフティング、映像に登場する少年たちの巧い事には感心する。比較対象として質が低過ぎるのは否定しないが、過去30年以上に渡るサッカー経験がある私よりも格段に上手な子ども達が、実に見事なボールリフティングをしてくれる。「上手な見本」として、子ども達に参考になる事は否定しない。しかし、現場で指導している立場からすれば。「こんなに上手な子ども達なら苦労しないよ」と言うのが、本音のところ。大体、ボールリフティングは、10回程度確実につけるようになるまでが大変なのだ。我が少年団の精鋭?の多くは、そこに至るまでに数ヶ月、いや下手すれば年単位の歳月を要している。

 したがって、日本協会がもし映像教材を作ってくれるのならば、「巧緻性も敏捷性も平衡感覚も足りない子どもに対して、いかに短い期間でボール扱いを教えるかの実例」を望みたいのが、本音なのだ。「巧い子どものボール扱い」は指導の参考にはなり難いのだ。



 と、盛り上がっているところで、我が少年団の代表の方(実に40年に渡り、少年サッカーの普及に努めている)が、ニヤリと笑ってコメントを下さった。

「皆さんの言っている事はわかるんですよ。でもねえ、『下手な子どもの実例』については、モデルが見つけられないのですよねえ」



 全く、おっしゃる通り。「自分が映っている映像教材」で「下手な実例」と紹介されたりでもしたら、その子のサッカー人生はその瞬間に終わってしまう。

 全く、世の中と言うものは難しいものだと、飲みながらも想った次第。 
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2005年01月30日

日本代表戦以上の歓喜

 実は昨日、カザフ戦の玉田のビューティフルゴール以上の歓喜を体験した。

 

 少年団の練習試合、約1年前に取り上げた教え子のSが、初得点を決めてくれたのだ。

 1年前のSは、敵のドリブルに闘志満面で向かうもののフェイントに一発で引っ掛かり簡単に抜かれてしまう、自分の前に転がってきたボールをトーキックとインステップキックの中間で思い切り蹴り返す、こう言ったプレイしかできなかった。しかし、皆と一緒にボールを追い掛け回しているうちに、Sは着実に成長した。敵のドリブルにはしっかりウェイティングできるようになった、自分のプレイイングディスタンスにボールが来れば落ち着いてトラップした上でルックアップしてサイドキックで味方につなげるようになった、自分でもドリブルで持ち上がり角度のあるキックでセンタリングも上げられるようになった。足が速いわけでも俊敏でもないが、着実にサッカー選手として「計算」できるプレイを見せてくれるようになっていた。

 この日の1試合目、右サイドのFWに起用されたSは、エースストライカに鮮やかなセンタリングを通しアシストを記録した。エース君は「S!サンキュー」と声をかけ、Sも満足そうな笑顔。この時点で予感はあった。

 そして、2試合目、強引に敵ペナルティエリアに進出したSはドリブル突破を狙うも敵DFにはね返される、そのこぼれ球が再びSの前にこぼれる、Sは思い切りよくインステップでシュート!ボールは見事に敵ゴールネットを揺らした。

 S本人は飛び上がって喜ぶ、チームメートたちも皆がSに駆け寄る。たまたま応援に来ていたSのお母上も大喜び。私だって本当に嬉しかったよ。逆サイドのタッチライン沿いで副審をしているコーチ仲間と40m越しのアイコンタクトでガッツポーズ。

 

 何かこう、巧い日本語にならなくて申し訳ないが、本当に「子ども達とサッカーをやっていてよかった」と想いました。



 ようこそ、S。これで君は齢10歳で、サッカーと言う麻薬に取り付かれたはず。一生をサッカーで持ち崩して遊んでください。
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2004年12月19日

子ども達の得難い体験

 昨日我が少年団の5年生、4年生は、得難い体験をした。

 県の郡市代表が出場できる5年生以下の8人制の大会に、地域代表として出場したのだ。

 元々、5年生が3人しかいないため、ピッチに登場する5人は4年生。相手チームのほとんどは全員が5年生。それでも幸運にも恵まれて、地域予選に優勝し、県大会に進出できたのだから、本当によくやってくれたと思う。

 そして迎えた県大会は、3チームないし4チームずつのグループリーグでトップのチームが2次ラウンドに出場する仕組み。3チームのグループは2回戦総当り、4チームのグループは1回戦総当り、各試合は6分ハーフ(ハーフタイム無し)、8人制だから60m×40mと言う狭いピッチで行われる。そして何と我がチームは、Jリーグチャンピオンチームのプライマリチームと同じグループになってしまったのだ。



 結果は実力どおり、Jプライマリには、0−5、0−3、さらにもう1つのチームに0−1、0−1、と1点も奪えず4連敗で大会を終えた。

 Jプライマリとの初戦。大会そのものの初戦で、子ども達はよい緊張感で臨んでくれた。しかし、開始早々、我がチームの強気でならす右DF(4年生)が、マークしていた敵FWと共に逆サイドを眺めていた瞬間、そのFWが視線後方にバックステップし、彼の視界から消えてしまう。その後消えたFWが突然自らの後方から走り込み、パスを受け慌ててカバーに入ったセンタバックを見事なテクニックで抜き去りラストパス。敢え無く失点してしまった。

 所謂FWの「消える動き」だが、くだんの右DF君は同年代の子どもにこんな突破をされた経験は無い。何が起こったか理解できなかったらしく、パニック状態に陥ってしまった。パニックはチーム全体に広がり、普段ならば問題なくできるトラップやキックにミスが連続、たった12分間で5失点。ハーフタイムが無いので、修正する指示ができなかった事も被害(笑)を大きくした。

 その後の試合は、そこそこ落ち着いてプレイできたが、実力差が出て1勝もできなかったと言う事。さすがにJプライマリには、ほとんど好機は作れなかったが、5年生のエースの子のドリブルは通用したし、直接FKから敵GKがセービングで逃れる場面くらいは作れた。もう1つのチームとの試合は、好機は敵の方が多かったが、当方も何度か決定機を掴めた。ただ、皆シュートが上ずってしまったのは、4年生がゆえのフィジカルの弱さか。

 ともあれ、トップレベルの同年代の少年に挑戦できるなど、子ども達にとっては本当によい経験になった1日だった。

 

 どうでもいいが、Jプライマリチームのユニフォームだが、完全に大人のチームと同じなのは面白かった。胸には自動車メーカ、背中には運輸会社(我々サッカー狂には暗い思い出を提供してくれた会社だが)それぞれのロゴがついていたりして。
posted by 武藤文雄 at 23:20| Comment(1) | TrackBack(0) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年11月21日

底辺の快楽

 ベルデニック氏とベガルタの現在と未来については別にまとめたい。また、レッズの優勝についても少しまとまった文章を書こうと思っている。



 別に現実逃避をする気はないが、そのような頂点とは全く関係ない底辺について。サッカーの愉しさを、改めて堪能する1日だったもので。

 

 実は今日、我が少年団は大事な大会があった。地域の全少年団(と言っても5チームだけだが)が集まって、抽選で決まった2試合を戦い、勝ち点を多く獲得した上位2チームが決勝を戦うレギュレーションだ。我が地域は、この手の大会が年3回行われ、過去にも再三レポート(笑)してきた。今日もその大会が行われた訳。



 まず初戦。5チーム中最強と目されている相手との試合。このチームは強力な2トップがここ1年急速に成長し、ここ最近全く勝てなくなっていた。我が子ども達も、今日だけは負けたくないと思ったようで、序盤から激しい戦いになった。前半はお互いのエース同士が得点を決め1−1で終了。後半の半ばに、逆襲速攻から見事なシュートを決められリードを許す。さらにあと残り3分で、我がチームの主将が負傷退場。もうダメだと思われたが、ロスタイム直前好守両面に頑張っていたボランチがミドルシュート、敵GKがこぼす所を坊主が詰めて劇的な同点劇。

 第2戦。我がチームがこの試合を戦う前に、別なチーム(同僚が監督している)が2連勝で決勝進出を決定。先に引き分けたチームはその後1勝し、勝ち点4、得失点差+2で日程終了。したがって、我がチームは3点差以上の勝利が必要になった。前の試合が「死闘」になってしまい、控えの子ども何人かを出場させ損ねていたため、ちょっと力の落ちる子を何人か起用する。しかし、どの子どもも本当によくやった。開始早々から大量点を狙って猛攻をしかける。前半で3点を奪い、さらに後半も得点を重ね、7−1と大差の勝利で決勝進出を決めた。

 かくして決勝、ところが日程の都合で、先の第2戦が予選グループの最終戦となり、インターバルは僅か5分。開始早々から身体が重い。それでも、守備陣が粘っていたが、前半のうちに先制される。後半、守備ラインを押し上げて攻勢を取るが、逆襲速攻から失点し2点差に。しかし、残り10分から猛攻。1点差にして、さらに何度と無く好機を掴むが決めきれず、敗戦。終了間際、当方のエースがフリーで抜け出しながら敵GKの正面にシュートを打ってしまった瞬間、敵ベンチの同僚と思わず目が合い、先方は高笑い、当方は苦笑い。



 どんな勝負も、負けたら悔しくて仕方がない。しかし、子ども達が死力を尽くして戦ってくれただけで、本当に愉しかった。決勝敗戦後の、子ども達の悔しさを隠さない中にも、戦い抜いた男だけに顕れる満足そうな表情を見て、何とも嬉しかった。



 このようなタフな試合の監督をできた事を誇りに思う。自分が、カルロス・ビラルドになったかのような錯覚も味わえたし。
posted by 武藤文雄 at 23:34| Comment(1) | TrackBack(0) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月27日

素人コーチの悩み

 少年サッカーのコーチをするのは、とにかく愉しい。馬鹿餓鬼どもと遊ぶ(いや、当方が遊んでもらっているのだな)だけでも面白いが、子どもたちが少しずつでも巧くなってくれるのを見るのも最高だ。

 しかし、逆に唯一残念な事もある。それは子どもが「サッカー少年団」を辞めてしまう事だ。もちろん転校なり塾通いなどの物理的都合?により、チームを離れる場合は仕方がない。残念なのは、そのような事情ではなく「あまり上手ではない子が、付いて行かれずに辞めてしまう」場合だ。

 先日も教え子の1人が辞めてしまった。そこそこ足も速く、運動神経もある子だった。ただ、とてもおとなしい子で、こちらから思い切り目線を下げて「よお」と声をかけないと、返事もできないような子だった。そのためか、試合(対外試合でも、チーム内の紅白戦でも)になると、能動的にプレイを開始できない。だから、そこそこドリブルもボールキープもトラップもできるようになっているにも関わらず、ボールをもらおうとする事ができない。結果的に、試合中は自分のところに来たボールを処理するのが精一杯と言う感じだった。

 とは言え、練習の出席率も高かったし、年少の弟も小学校に入学するや否や我が少年団に加入するくらいだったから、それなりにサッカー少年団は愉しんでくれていたようだったのだが。話を聞くと、「テニスを始める事にした」との事。上記のように運動神経は悪くない子だし、サッカーのような「格闘性」のある競技よりは、テニスのような「敵との接触がない」競技に向いているかもしれない。また、サッカーを通じて身体を動かす愉しさを知ってくれたから、「他のスポーツに行こう」と思ってくれたのかもしれないし、彼とサッカーの出会いは、決して無意味ではなかったのかもしれない。



 しかし、「サッカーと言う世界で最も魅惑的な玩具」にせっかく触れてもらいながら、その本当の愉しさを味あわせる事ができなかったと思うと、己の指導能力の不足を呪いたくなる。無論、小学生の事であり、また別な機会にサッカーに触れ、戻ってきてくれる可能性もあるだろうけれど。

 ただ、自分の力不足に悩みつつも、比較的早期に辞めてしまう子どもに共通点があるのに、最近気が付き始めた。どうも、運動神経とか足の速さとかの問題ではなく、おとなしい子、自己主張の苦手な子の離脱が多いように思えてきたのだ。逆に少々反応が鈍かったり、足が遅くても、闘争心のある子、負けず嫌いの子は、下手でも離脱しない。むしろ、下手なりにも、試合でちゃんと役に立ち、段々とサッカーそのものが面白く感じてくる傾向も感じる。そのようなものなのだろうか。



 日本協会の偉い人に伺いたい。ゴールデンエージ云々もエリート教育も結構だ。ただ、併せて上記のような「おとなしい性格の子ども」、「自己主張の苦手な子ども」にも、サッカーの愉しさを味あわせる事のできるノウハウを教示してもらえないだろうか。
posted by 武藤文雄 at 23:17| Comment(6) | TrackBack(0) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月24日

ベルマーレ招待U−10サッカー大会

 関係各位のご好意で、我が少年団の4年生チームが、首記の大会に招待された。ベルマーレはもちろん、マリノスやアントラーズのジュニアの選手たちと同じ大会に参加できるのだから、本当に光栄な事だ。もっとも、当の参加する子どもたちには、その光栄さが中々伝わらないのだが。

 ところで、この大会はGKを含めた5人制のミニサッカーで行われた。元々、子どもにとって11人制よりも少人数の試合の方が望ましいと言うのは、様々な方面で語られている定説だが、この大会に参加して改めてその定説が正しい事を確認した。



 少人数サッカーのメリットは多数語られている。しかし、私は巷で語られているメリットよりも格段によいと感じた理由が1つある。それは「少人数の試合だと下手な子でも頻繁にプレイに参加し、活躍できる事」だ。大体、(少なくとも私が教えているレベルでの)下手な子と言うのは、技術が足りないとかそのようなレベル以前に、運動能力が低く思うように試合に参加できないのが最大の問題なのだ。自分で能動的にパスを呼べる子は、基本的に問題ない。ところが、自分が担当しているポジションにボールが来たのに対して、何とかトラップをして味方につなぐのが精一杯の子もいるのだ。それでも、そのような子でも毎週ちゃんと練習していると、スクリーンしてのキープはそこそこできるようになるし、ルックアップしてパスも出せるようになる。しかし、その子は着実に上達しても、周りの上手な子は同じ時間でもっと上達する。すると、11人制の試合では上達した子のレベルのテンポで試合は行われ、ますます下手な子は試合に「参加」できなくなる。

 ところが、5人制だと頻繁に自分のところにボールが来る。もちろん、ミスをする事もあるし、抜かれる事もある。その方が多いかもしれない。しかし、よいタイミングでインタセプトして、チームメートにラストパスを通す機会も出てくるのだ。自分のミスで複数失点しても、自分のプレイで味方が得点すれば、子どもにとっては自信になる。そのような積上げによる「サッカーをプレイする愉しさ」を体得してくれれば、もう私の仕事はオシマイ。サッカー狂の出来上がりだ。



 チームの練習では、再三少人数のサッカーを取り入れている。しかし、今回のように、招待サッカーと言う形態で、多くのチームと対外試合の形態で少人数サッカーの試合をできると、選手の緊張感もなかなかで、上記のような経験が積む事ができ、間違いなく子ども達は成長できたと思う。

 このような切り口での少年強化を、微力ながら継続したいと思った次第。
posted by 武藤文雄 at 23:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年10月08日

ペナルティキックの蹴り方

 ペナルティキックと言っても、先日のユースの歓喜と痛恨の連戦のPK合戦とは全く関係ない話。

 私が密かにWEBコンサルタントとして利用させていただいているUGさん(実は、WEB運営上で色々とご助言いただいているのだが、何せ弟子の出来が悪く、ほとんど改善がなされないのが問題なのだが)のサイトで、抱腹絶倒ものPK映像を見た。UGさんはわざわざ後藤氏と並べて私の名前を出して、「さすがに見ていないだろう」と挑発(笑)してくれている。

 そりゃ、見たことないですよ。あんなもの。一体どのレベルの試合での事件なのかわからないけれど、興味深いのはあのPK後、両チームが笑わずにプレイできたかどうかですな。それにしても、UGさんはどうやって、あんな映像を見つけてくるのだろうか。



 と、映像を見ていて思い出したのは、昨日も触れた審判講習会でのテスト。

 実はこのような問題があったのだ。

「PKで前方にパスを出して、後方から走りこんだ選手がシュートを決めた場合、得点は認められるか?」

正解は「認められる」なんですね。私は間違ってしまったのだけれども。

 PKと言うのは、ルール上(1)キッカーは前方に蹴る(2)他の競技者が触るまでキック後キッカーはボールに触れない(3)ボールが動いたらインプレイ、なので上記の問題の場合は(1)〜(3)を満たしているので、得点は認められる訳。私は何となくPKはシュートでなければならないと言う思い込みがあったので、間違ってしまった。

 まあ、他にもルールブックを読んでいると、色々な発見がある。例えば、ゴールキックやフリーキック(直接、間接問わず)を自陣に蹴り込んでも、得点(失点?)にはならないとか。もっとも、笑えるのはこれらに併せて、コーナキック!を直接自陣に蹴り込んでも同様に得点にならないと言う記載がある事。まあ、ルールブックなので、あり得ない事でも想定しなければならないのかもしれないが、それがテストに出たりすると、ちょっと違うのではないかとも思えてくる。まあ、いいけれど。



 で、ちょっと妄想。例の映像の試合。もし、あのキッカーのチームメートが、私と同じテストを受けた事があれば、あの場面でも精神的な準備ができていて、後方から走りこんで鮮やかに得点を決めたのではないか、と。
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2004年10月07日

4級審判資格更新 −5級審判制度の提案(笑)−

 先日、地域協会が主催する4級審判更新のための講習会に参加した。

 年間10試合以上の審判(公式戦でなくてもよいし、子供の試合でもOK)を行い、この講習会を受講し、さらに講習会半ばで行われるペーパーテスト(100点満点)で80点を取れば、4級審判資格が更新される(無事、更新されました!ヤレヤレ)。

 少年団のコーチの重要責務に大会での他チーム同士の試合の審判を務める事があり、資格更新はコーチ生命に関わる重要事項である。もっとも、コーチ生命と言うよりは、父親としてのアイデンティティ確保と言う感もあるが。実際、受講者の7〜8割は少年団のコーチ仲間(さらに具体的に言えば、父親が行きがかり上少年団のコーチをしている人々がほとんど)。ほとんどが知り合い同士、父親参観日後の懇親会的なノンビリとした雰囲気の中、講習会は行われた。

 ところが、カリキュラムは「通常の大人の審判をする人」を意識してのもの。講師の先生が「ルールの変更点で、重要です」とおっしゃるから集中して聞くと「人工芝も公式戦で使えるようになった」とか「どのような試合でも交替は最大6人まで」(これは、欧州の代表チームの親善試合で、金満単独チームから『長時間うちの選手を使うな』と言われた某国の監督が、全後半で全メンバを入れ替えてしまい、試合への興味が著しく損なわれたための対策)。

 しかしねえ、小学生の審判には、そんな事はどうでもいいのだよ。通常の試合は、天然芝も人工芝も関係無い土のグラウンドだし、FIFAが何を言おうが20人近い子どもたち全員を試合に出す事(そして、できれば試合に勝つ事)が、コーチの最大の責務の1つなのだから。

 

 大体、小学生の審判なのだから、複雑なルール変更も、FWのダイビングへの対応も、レッドカードの出し方も、微妙なオフサイド判定も、はっきり言って関係ない。小学生の試合の審判で、一番難しいのは、「意図的」の解釈なのだ。自陣向きに走った子どもがたまたま自分の前に転がってきたボールを特に狙い無く思い切り蹴ったら、自陣に向かって飛んでしまい味方のキーパが思わずキャッチしてしまったのを、意図的なバックパスと判定すべきか。オフサイドの意味もわからず、ボーッとオフサイドポジションに立っている子どもがいて、偶然その子の方向にキックが飛んだものの、その子は全くボールに触らず(触れず)、裏からオンサイドポジションの子が走りこんで来た子がシュートを決めた場合、オフサイドと判定すべきか。等々。

 もちろん、そのような悩みに対する回答が準備され得ない事は理解しているが。

 

 日本協会に提案。少年サッカーのみに審判する資格となる「5級審判」と言う制度を作りませんか。もっと言えばその資格は「副審のみ」でもいい。そして、「5級審判」の仕事は、「『オフサイドポジションにいる子』に『意図的風のパス』が味方から出た時は、旗を上げる」くらいにしておく。そして、上記した「微妙なオフサイド問題」主審が判断する。

 少年団の現場でウロウロしている身からすれば、私のような「サッカー経験者の父兄」以外のお父さんでもお母さんでもいいから、できれば審判資格を取って欲しい。それだけで、コーチの負荷は減り、試合運営が楽になり、1人でも多くの子どもがサッカーを愉しむ事ができるようになるのだから。
posted by 武藤文雄 at 23:40| Comment(2) | TrackBack(1) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月02日

底辺から上を垣間見る

 先週金曜日は、県の選抜少年サッカー大会があった。市、郡別に地域の優秀な子供を集めたチームを作り、トーナメントで争う趣向。私はコーチとしてその大会に参加した。

 開会式の大会関係者の挨拶にまず感心。抜粋すると「もうすぐアテネ五輪だが、この選抜大会の経験者としては、那須、茂庭、石川、さらにバックアップの坂田がいる、皆も彼らに続くべく頑張れ。」これは説得力ありますよね。当然子供たちも目をキラキラさせていた。

 次に教え子たちの試合。単独チームならば、毎週一緒に練習をしている子供たちゆえ、指示も円滑に行く。しかし、選抜チームゆえ、複数のチームから集まった子供たちに、「戦術的指示」を徹底できなかった。元々レベルが高い地域でもない事もあり、これでは勝ち目がない。ただ、とかく同地域同士でしか試合できない子供たちには、他地域の「上手な同級生」を多数見られたのはよい刺激になったようで、翌日以降の練習での目の輝きが違っていたのは嬉しいところ。

 ちなみに他のチームにJクラブジュニア所属のストライカで凄い選手がいた。足も速いがトップスピードのドリブル中に何度もボールに触り方向を修正できる。ボールの受け方も柔らかく、難しいセンタリングも丁寧なアプローチで見事に合わせて得点を決めていた。この選手は大柄ゆえ早熟の強みもあるのかもしれないが、どのように成長していくのだろうか。

 他チームのコーチの方々の質の高さも勉強になった。子供たちにわかりやすく指示をするのが巧い方が多いのには感心。中でも上記の「凄い選手」の対戦チームの指導振りは実に見事。試合序盤は「凄い選手」に振り回され失点を重ねた。しかし、前半からベンチの指導者は「身体を寄せろ」、「蹴って逃げずにつなげ」と具体的な指示を続け、とうとう後半にはセンタバックは何とか「凄い選手」への対応ができるようになり、こぼれ球を拾った他選手は前線に正確につなげるようになった。

 審判でもよい経験をした。公式戦ゆえ、主審は主催者側が準備し、副審は参加チームから。私が副審をした試合の主審は、弱冠20歳の大学生で「審判として大成」を狙っている若者だった。「今年中に2級に上がれるかが勝負です」との事。以前も書いた事があるが、「巧い主審」の配下だと不思議な事に自分も巧く副審ができる。この日も、彼の明確な笛にリードされ、納得いく旗振りができた。

 ちなみに彼はプレッシャに震えていた。なんと、我々が審判をした試合に、某一流レフェリ氏のご子息が出場、一流氏がVTRを抱えて観戦していたのだ。「ヘマはできません」と緊張する彼に「いや何、親は皆馬鹿だから自分の息子しか見ていないよ、審判なんて気にしないさ」と喉元で出かけたが、せっかくよいプレッシャに張り切っている若者に水を差すのもなんだなと思いやめておいた。
posted by 武藤文雄 at 23:28| Comment(3) | TrackBack(0) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月20日

灼熱からの帰還後の愚痴

 今日も朝から少年団の大会に帯同。朝8時前から夕刻5時過ぎまで、灼熱のグラウンドで動き回っていた。30人以上もの大の大人がこれだけの時間、無償で働き回るのだから、ある意味感動的である。おそらく、日本中津々浦々で、このようなローコストの少年サッカー大会が開催され、今日の日本代表チームの分厚い選手層を生み出しているのであろう。大層疲れたが、結構な事である。潤沢な費用を使い放題の日本協会のお偉方が、このような実態を正確に把握されている事を切に希望する。



 ともあれ、今日に関しては徒労感もやや大きかった。理由は2つある。

 1つ目。残念な事に、我がチームの成績があまりよくなかったから。組合せの不運もあったし、灼熱環境下で選手たちが消耗しきってしまった事もあった。しかし、本質的には私の采配の不備や日頃の指導の拙さが主因であり、ちょっと悔しい。高々小学4年のチームの試合など、勝敗そのものは本質ではないだろうが、子供たちが勝つ事を目指す事には少々拘りを持つべきだとも思うので。ともあれ、ごめんよ、勝たせる事ができなくって。



 2つ目は、全く違う次元の話。少々長くなります。

 たまたま副審をしていた試合。タッチライン際で明らかにボールを出した子供が「マイボール」とアピールした。ちょうどその直後給水タイムとなった事もあり、私はその子に笑いながら「お前なあ、そう言うアピールすると下手すると警告食らうし、トクはないぞ」と語りかけた。ほんのたわいないやり取りでそれっきりその事すら忘れていた。おそらくその子も、副審の腹の出たオッサンが注意しろと言ってたな程度の記憶だろう。そのような大きなお世話を、いかに積み上げて自らのサッカー財産としていくかどうかは、彼の問題である。

 試合終了後、主審(兼我が地域の少年団の統括をしている方)が私に注意してきた。「武藤さん、あのような注意を副審はしてはいけない。主審の仕事なのだから」と。私はいささか驚いた。「でも、子供へのちょっとした指導じゃないですか」と言ったところ、「審判は全て中立、指導とは切り離さなければいけない」と切返してきた。喉元まで強烈な反撃が出かけた(笑)が、私は大人だから、その場は引っ込んだ。

 考えれば考えるほど、腹が立つ。私は別に下手糞な子供の審判などしたくてしている訳ではない。何故灼熱のグラウンドで1日中無償で駆けずり回るかと言うと、私をここまで育ててくれたサッカーへの少しながらの恩返しの気持ちがあるからだ。坊主がサッカーを愉しむ以上は、その恩返しを具体的な形で見せたいと思うから、毎週毎週無償労働している訳、結構愉しいんだけどね。しかし、そうである以上は、私なりにサッカーに対するフィードバックはさせて欲しいのだよ(笑)。アホなプレイしたガキには、たとえ自分のチームでなかろうが、経験から指導はさせていただく。それがダメと言うならば、サッカー親父は誰も少年の指導などしようとはしない(笑)。

 もっとも、ルールブック上は主審氏の方が正しいのかもしれない。ただ、申し訳ないが、私のサイトを読んでいる方はご存知だろうが、私の性格上、私がルールブックなのだよ(笑)。と、言いつつ、彼自身は、ピントはずれているし、実は周囲の関係者は皆顰蹙しているのだけれども、長年地域のサッカー界を支えてきたのは事実なのだ。私も普段からその言動には疑問を多々抱いているけれど、尊敬もしている。

 でも腹が立ったのだ。精神衛生上黙っていたくないので、グダグダ書き連ねた訳。いやまあ、それだけ。



 そう思いつつ帰宅して、オランダ−チェコを堪能。ちょっと形容し難い試合ですな。オランダの2点目の美しさなど語りようがない。世界最高クラスのストライカ(ファン・ニステルロイ)とボランチ(ダビッツ)を抱え、見事な2得点でリードし、その後も再三再四決定機を掴み、でも負ける。まあ、ネドベドも凄いんだけど、ここまで来ると、監督の采配やら勝負の綾やらの問題ではなく、何がしかの神の意思なんでしょうな。

 絶対味わいたいとは思わないけれど、オランダのサポータの衝撃にちょっと羨望。
posted by 武藤文雄 at 23:52| Comment(4) | TrackBack(2) | 底辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする