日本にとって幸運な事に、バーレーンがマレーシアに2連勝し、勝ち点6を積み上げて来た。そして、次節のバーレーン対シリアはバーレーンホームだ。手合わせした実感からすれば、アルサリフとアルスマの2枚看板がいるシリアが戦闘能力で上回るかもしれないが、現実的にシリアが勝ち点3を取れるかは微妙ではないか。バーレーンはとにかくこの試合に勝てば、プレイオフ以上の可能性が出てくるのだし、必死に戦うだろうし。とすれば、日本がマレーシアに勝てれば、俄然有利になる。それでも、シリアが勝った場合は、確かにお互いが最後の試合でどれだけ得失点差を積み上げられるかとなる。その場合、時差の関係から試合開始時間調整が問題になるが、幸いシリアは湾岸ではないので、3月ならばそう暑くはないはずで、日本協会が適切に交渉すれば同時刻キックオフに持ち込めるだろうから、そう極端に不利になるものでもない。
そう考えると、マレーシア戦はある程度差をつけたいが、まずは確実に(と、偉そうに言ってよいのかは、わからんが)勝ち点3を取る事が重要となる。
そして、今のチームは、とにかく中盤で急ぎ過ぎさえしなければ、酒井の前を塞ぎさえしなければ、格段に状況を改善できるのだから(つまり欠点が明々白々なのだから)、相当な伸び代を持っていると言う事になるし。まあ、そう考えると、一部報道であったように「宇佐美だ、大津だ」は違うように思う。やはり、「柴崎だ、茨田だ」の方が正しいような。あと、苦しい時間帯のために「大前だ、青木だ」と言いたくなるけれど。
まあ、善処を期待しよう。
ちょっとこのチームのこれまでを振り返ってみる。
このチームの出足はすばらしく、いきなりアジア大会優勝からスタートした。しかも、この時はリーグ終盤に当たっていたために、Jリーグで主軸だった選手を選考できない状況だったにもかかわらずだ。したがって、関塚氏の手腕も評価されたし(いや他人事のように言ってはいけません、私も絶賛しましたから)、皆がこのチームの将来に明るい希望を抱いたものだった。それが、どうしてこんな事に、なっちゃったのだろう。
アジア大会決勝と先日の中立地シリア戦のメンバを比較してみると、ちょっとビックリ、メンバがほとんど変わっていないのだ。変わったのは、GKが安藤→権田、右DFが實藤→酒井、センタバックが薗田→濱田、そしてMFで水沼→山田。権田、酒井、山田の3人はA代表招集経験がある選手で(しかし3人が3人とも、思うようにこのチームでは機能していないのは、深刻な悩みなのだが)、センタバックはたまたまこの世代で一番人材が乏しいところ。そう考えると、この4人の交代は、ある意味で当然とも言える。また、このチームで、これ以外のタレントで戦力化されている選手は、大迫、清武、扇原、吉田くらい。
そう考えてみると、関塚氏はアジア大会時点で既にチームの骨格を決めていたと言う事になる。そして幾度も指摘してきたが、別格の香川、あるいは宇佐美や大津のように海外でプレイする選手を除いても、この年代は既にJで相当の実績を挙げているものの、選ばれていない選手は類挙に暇ない。そして、これまた上記したように、このチームは課題は明白。そして、その課題を解決するのも、ちょっとメンバを代えたり、約束事を徹底すれば、それほど難しい事ではないはずなのだ。
何も遠藤や憲剛のように、知性あふれるボール回しをしろと言っているのではない。たまに急がずゆっくりとボールを回せばよいのだ。何も長谷部や岡崎のように精緻に内田を前進させるような動きをしろと言っているのではない。酒井が前進してクロスを入れやすいように、右サイドは塞がずスペースを空ければよいのだ。うん、大丈夫、改善できるはずだ。できるよね。
まして、この手痛い敗戦だ。もう、これからは、どの選手も、ちゃんと敵をリスペクトしてくれる事だろう。
ともあれ、原博実氏の決断は、関塚監督留任と言う事だ。
原氏なり、ザッケローニ氏が、これらの明白な課題に気がついていない訳がない。色々と思うところはあるが、私は原氏を信頼している。