2004年07月30日

シュート技術、4人への期待

 いや景気のよい勝利だった。この日今野が復帰しながらも再確認されてしまったのだが、「連携の熟成」は小野将軍の参戦以降とならざるを得ないようだ。2年近い年月の準備を重ねたチームの成否が、最後の2週間で決まると言うのも、いかにもサッカーらしくてよいのかもしれない。しかし、小野将軍の家来である前線のミサイル4人が、(陳腐な言葉だけれど)「個の力」を発揮して、景気のよい得点を決めてくれたのだから、愉しい試合だった。

 

 ところで、今日は生観戦を断念し、家でTV観戦を選択した。実は県の少年サッカーの大会があり、本業を休んで1日グラウンドを右往左往していて疲労困憊だったのだ。過去、サッカーを観るため(自分の愉しみのため)に年休を取った事は数え切れないほどあるが、コーチのために(ヒトの愉しみのため)に年休を取ったのは、サラリーマン生活も20年近くになるが初めての事だ。人間も40代半ばに近づくと、少しは高級になるというものか。



 まずポストを叩いた平山の一撃、ここ数ヶ月抱いていた平山への不安が少し晴れる一発だった。何回でも繰り返すが、当面平山はポストプレイ以外では、シュート以外のプレイをすべきではない。どうして外に開いてセンタリングを上げたり、他の選手を走らせるプレイをしようとするのだろうか。そのようなプレイをできる日本人はいくらでもいるが、平山ほどシュートに才覚を感じるタレントはほとんどいない。とにかく、平山はシュートを狙う事に専念すべきなのだ。

 平山が決めたヘディングシュートは、松井のクロス(これがまた素晴らしかったのだが)の直前にちょっと位置取りを替えることで、マーカに完全に振り切ったのが嬉しかった。この一撃で「シュータとしての本能」を思い出してくれればよいのだが。ポイントはあのポストを叩いた一撃のように、足のシュートの精度を磨く事ではないか。冗談や皮肉でなしに、釜本御大のマンツーマン教育など、この若者には最適だと思うのだが。



 高松のダイビングヘッドもよかった。左サイドを田中達也がえぐろうとした瞬間に、一瞬外に開いてマーカの視野から消えた。その上でクロスの弾道をよく読んで余裕を持ったダイブ。高松と言う選手は、小器用ではあるが、高さもありシュートも巧いのが魅力。しいて言えば高原に似ているタイプだが、高原よりも度胸が据わっているに思える。アテネでは、フィールド内外で様々な仕事を要求されるだろうが、それらをしっかりとこなす事がこの異能のストライカがドイツに近づく道なのではないか。



 大久保の先制ゴールは実に気持ちよかった。もちろん、その前の組立(闘莉王の前進、そして右への展開→その展開を受けた松井の一拍置いた後のラストパス)もよかった。しかし、抜け出したFWが、あれだけ強い一撃をネットに突き刺す事が素晴らしいではないか。大久保はもちろんドリブルでの単身突破も魅力的だが、このように質の高い走りこみでウラに抜けるのも滅法巧い。そして、いずれの手段にせよ、抜け出した後の強いシュートが魅力だ。この国内最後の準備試合で、抜け出してズドンに成功したのは大きい。「いかに大久保を抜け出させるか」は、小野将軍がこれから考えてくれるだろう。



 そして、嬉しかったのは、田中達也の最後の一発。高松へのアシスト以降、達也が「どうしても俺も点を取りたい」と言う気持ちが痛いほど伝わってきた。ところが、二度ほど掴んだ決定機のいずれもGKにぶつけてしまう。昨シーズン抜け出した後のシュートの精度が格段に進歩した達也だが、得意のアプローチは右サイドからのもの。ところがここのところ五輪代表では左サイドからの進出を要求されているのが、つらいところ。

 しかし、最後の一発は見事な開き直りによる賜物。「GKの位置取りをよく見てコースを狙う」と言うシュートの鉄則の逆を行き、「強いボールをゴールの端の方に蹴る」と言う意図での一発だった。長い距離を走った後、これだけ強く精度のあるボールを蹴られるFWはそうはいない。小野将軍からすれば、このシュート能力をいかに生かせるかが検討課題となろう。
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2004年07月25日

時間との戦い

 五輪準備試合、日本は豪州に対して押し込みながらも、攻撃の変化が足りず攻めあぐむ。そうこうしているうちに、あろう事か守備の中核でもある徳永の軽率なプレイでウラを取られ失点。あの時間帯、山本氏は徳永に替えて攻撃的な石川を投入し勝負に出ようとしていた。その場面で徳永の後方をつかれるとは。

 もっとも、徳永にとっては1つの経験だ。この逸材には、あの一瞬の位置取りの甘さを反省し、五輪に臨み、そしてA代表を目指して欲しい。



 大会直前のここに来て、なかなか点を取る事ができないのはつらい事だが、相手も相当レベルが高い事を考えれば仕方があるまい。まさか、準備試合として、歯ごたえのある強豪を準備してくれた日本協会のスタッフを恨む訳にはいかないし(とは言え、もう少しラクな相手との試合も検討されてもよかったかもしれないが)。



 しかし、仕方がないとは言っても、明らかにチーム作りは遅れている。ただでさえ、2次予選直前まで主力選手が明確でなかったこのチームだが、2次予選以降もテストを繰り返した弊害だろう。

 当然とは言え、田中投入後、相当攻めが厚くなった。現在日本を代表するFWである大久保と田中を併用しない手はない。既に田中はスーパーサブと言う格の選手ではないのだ。本大会で様々なメンバ変更はあるだろうが、ベースとなる布陣はこの2人の併用ではなかろうか。2次予選前の豊富な準備期間を通じて、この小柄な2人を2トップとして起用する方法を模索すべきだったが、もう時間はない。平山、高松のいずれかを併用しての3トップを攻撃布陣の基本とすべきだろう。

 しかし、この「最強ライン」を熟成すべき2次予選以降の準備試合も、「テスト」が優先されてしまい、貴重な時間が失われてしまった。それだけではない。最終メンバが固まったこの試合ですら「連携の熟成」よりも「テスト」が優先されている。ここまで煮詰まった段階で、森崎浩を攻撃的MFに「テスト」し、田中をベンチに置く意味があったのだろうか。さらに残念なのは、この2人と高松を併用した3トップ布陣が、未だ試されない事。猛暑の盛夏のギリシャで、平山にフル出場させるのは難しいと思うのだが。

 実際、連携の熟成はなされていない。田中投入後攻めは厚くはなったが、攻撃の精度が今一歩だった。ペナルティエリア外で、大久保なり田中が前を向いてボールを持てた時、相方に対して何をするのが最も有効か、あるいは相方が何を望んでいるのか、そのあたりの合意が2人の間にまだできていないのではなかろうか。加えて、2人とも平山へのフィードも雑だった。あと約2週間で、どこまで精度を高める事ができるだろうか。時間が欲しい。



 もちろん、この日は本大会のチームの中核2人(小野と今野)が不在だったのだから、この難敵に敗れたもの仕方が無いのかもしれない。小野がチームに短時間でなじむ事、今野が順調に回復する事、いずれも時間が欲しい。



 選手の質は十分に高い。大会出場国のギリシャ、マリ、チュニジア、韓国、豪州、いずれにも互角以上の内容を見せる事はできている。問題はチームとしての「連携の熟成」なのだ。初戦まであと20日足らず、時間との戦いは続く。
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2004年07月16日

ああ鈴木啓太

 以前よりこのチームには、ボランチ所謂守備的MFの候補選手は多数いて、主将を再三務めながらも鈴木啓太の地位は安定したものではなかった。元々のライバルである阿部、森崎和、青木らに加え、ユースから今野が昇格。それでも、啓太は豊富な運動量と闘う姿勢を武器にレギュラを確保し、(ミスパスが多いと言う欠点はあるものの)このチームにはかけがえの無い存在だった。しかし、オーバエージに小野が加わる事が判明した時点で、「啓太落選」を予想した人も多かったようだ。そして今日の発表。 

 

 私ならば、徳永は最終ラインで使うからDFを1枚減らし、啓太を残したであろう。しかし、山本氏はそうは考えなかったと言う事だ。山本氏の決定もそれなりに合理的だとは思う。

 しかし、繰り返すが、私は啓太は残すべきだったと思う。小野をトップ下に使おうとするとボランチの控えはいなくなってしまうし、消耗激しいMF控えの層が薄いのが気になるし、そして何より厳しいタイトルマッチで啓太の「ガンバリ」はとても貴重な戦力になるはずだから。ここまでのこのチームの一連の戦いの源泉は、今野と啓太のMFコンビにあったと言っても過言ではないとも思うし。

 加えて、このチームで啓太が決めた2つの得点が忘れ難いのだ。1つ目はアジア大会準決勝タイ戦の2点目の強烈なミドルシュート。もう1つは先日の最終予選UAEラウンド2戦目のレバノン戦での貴重な2点目。2つの得点とも、やや格下の相手に対し、先制後に突き放す事で勝負を決するものだった。後方からの攻め上がりを得意とする選手ではあるが、そう得点が多い選手ではない。しかし、厳しいタイトルマッチで守りを固めている格下相手に対して、ここぞと言う時間帯で勝負も得点も決める事ができるのは一種の天分ではなかろうか。



 山本氏はメンバ選考を説明する記者会見で、「啓太を落としたのはほんの僅かな差、ドイツでリベンジを」と言った趣旨の内容を語ったと言う。氏なりに、最後の最後のメンバ選考は苦しんだのだろう。それはわかる。

 しかし、ここでも山本氏の考えと私の意見は異なる。私は啓太がA代表に加入するためには、よほどパスの正確さを高めないと難しいと思う。それには相当の努力と時間が必要で、ドイツで活躍するには時間が足りな過ぎる。つまり私は(ここまで散々啓太を褒めておきながら何ではあるが)啓太のドイツでの活躍には懐疑的なのだ 

 けれども、啓太はアテネだったら間違いなく日の丸に貢献できる選手だとも思う。これはワールドカップと五輪のレベルの相違のためだ。このファイタは、まずは五輪に選ばなければならなかったのだ。



 山本氏の期待が叶い、私の懸念が完全に外れ、ドイツで啓太を応援できる事を望むものである。
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2004年07月14日

山本氏と歩んだ約2年

 アテネ五輪出場選手発表を間近に控えて行われたチュニジア戦。

 そもそも、先日来の強化試合で、おおむねのメンバ選考は終わったのかと思わせておいて、酷暑の石垣島に大量の候補選手をなお集めるところが凄い。そして、最後のサバイバルに向けた選手達は必死に戦ったが、試合そのものは凡戦だった。踊り子たちは必死だったが、演出家の山本氏が、いかにも彼らしい「テストごっこ」、「勝負への未執着」に専念してしまったから。



 GKで事実上選考される事が決まっている曽ヶ端起用はやや驚き。リザーブ候補2人を前後半試すのかと思っていたのだが。ところが、その曽ヶ端の信じ難いミスから失点するのだから、頭が痛い。闘莉王がしっかりと敵FWをブロックしていたのだが。

 それにしてもGKの控えは誰になるのか。この日の川島起用は、選考の伏線なのか。予選最中は、再三のミスにも関わらずGK林を辛抱強く起用し続け、その後の強化試合では黒河を中軸にしていた山本氏の胸のうちは不明だ。



 さらに前田のボランチ起用。確かにレバノン戦はいくばくか機能したかもしれないが、精強なチームが集まる五輪本大会で、小野を攻撃的MFに残した状態で、わざわざボランチを外して前田を起用するオプションが必要だろうか。同じジュビロのDF菊地を今野なり啓太なりと並ばせてボランチ起用のテストをするならば理解できるが。前田は昨シーズン半ばから今シーズンにかけてとても成長した選手だ。また様々なポジションができるが、もっとも得意とするポジションはジュビロでプレイしているFWだろう。ジュビロの名MFたちの好技による組み立てを受け、前を向いてボールをしっかり受けた時に彼の芸術は最大限に発揮される。しかし、このチームで前田はMFに起用されるか、トップに起用された時は上背を活かすポストプレイを期待された。長きに渡りこのチームに選考され続けたものの、ほとんど得意なポジションで起用されなかった前田は、最終メンバに残れるのだろうか。



 後半、石川を起用し駒野を左に回したやり方のテストは、本大会に向けてとても重要に思える。特に石川が前に出やすくなるために、左サイドの絞りがカギになるからだ。しかし、2人の間には本大会で起用されるだろう選手たち(那須、闘莉王、徳永、今野、そして小野)は誰も起用されていなかった。これではこの2人の連動テストにはならない。



 逆の見方もある。どうせ多数の選手を石垣島に収集し、この有料国際試合を「テスト」としたのだから、せめて北本や根本にもラストチャンスを与えてもよかったのではないか。既に空中戦問題が表面化しよほどのスクランブルでなければ実現の可能性が薄い(しかしMFとしてメンバ入りは確定している)阿部のCBテストが必要だったのか。さらには「テスト」の試合で終盤エースの田中達也を起用して点を取りに行く必要はあったのか。



 0−1とリードされた日本は、多くの選手がサバイバル中もあり、終盤猛攻をしかける。しかし、残念ながら中心選手のほとんど不在で、組み合わせがぶっつけ本番のため、攻撃は単調なものになり、平山のアタマが頼りの惨状だった。

 このチームは、準備試合ではいつも「テスト」「テスト」の連続で、腰を据えて攻撃的な展開をした試合はほとんどない。「理論的な」攻撃パタンは多数持っているし、セットプレイもキッカー、空中戦要員も豊富なので有効だ。しかし、先日の予選でも、守りを固める敵を、アイデアと技術で打ち破るの成功したのは、UAEでのレバノン戦、UAE戦と、わずかに2試合。東京での試合でセットプレイ以外からの得点はレバノン戦の大久保のヘディングだけだったのだ。

 そして、その課題は未だ解決されていない。もっとも、小野の補強が全てを解決する見込みである事も否定はしないけれど。



 山本氏は、約2年に渡り、壮大な時間と準備をかけて作り上げたチームで、アテネに向かおうとしている。その仕事振りは(どこかの代表監督などと比較するのも失礼なほど)真摯極まりないものだったし、優秀な選手を次々に発見した事、成長させた事も間違いない。そして、敵地でのUAE戦の勝利のように忘れ難い試合も見せてくれたのも確かだ。

 しかし、何か、何か、決定的に間違っているのではないかと思うのは私だけだろうか。



 私は自分が間違っている事を望んでいる。

 明後日発表される小野を加えた精鋭たちが、68年振りに五輪本大会でイタリアに対し川本泰三の無念の仇を討ってくれる事、36年振りにメダルを獲得してくれる事。そしてこの五輪チームの多くの選手が、近々アジアチャンピオンの座を防衛するジーコジャパンに合流し、2年後にドイツで我々に真の歓喜を提供してくれる事を期待してやまない。
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2004年06月15日

五輪代表オーバエージ

 イタリアが初戦にグダグタなのは、いい傾向なのではないか。何の根拠も無い経験則なのだが、序盤ダメダメのイタリアは来ます。最低、決勝進出だな。



 と、欧州を眺めているのは愉しいが、今日は五輪代表オーバエージについて語ってみたい。山本氏が、小野、高原、曽ヶ端を望んでいるとの報道が、先日来なされている。最初は冗談か所謂スポーツ誌報道のどちらかだと思っていた。しかし、今日発売のサッカーマガジンにも、そう書かれているところを見ると、どうやら氏のリクエストである事は事実らしい。



 全く、納得できない要求だ。

 以前、私はオーバエージとして、川口、服部公太、小笠原が適切ではないかと提案した。これは、アジアカップにはベストメンバで臨むべき、という前提から来ている。アジアカップは、ワールドカップの次に日本サッカー界が重視すべきタイトルだし、さらにここでチーム強化を固める事が、ワールドカップ予選の準備にとって重要だと思うからだ。

 しかし、日本協会首脳陣(川淵会長、田嶋氏、ジーコ氏、山本氏ら)が、アジアカップよりも五輪を重視する、と言うならば違う発想があるのは否定しない。しかし、もしそうだとしても、「小野、高原、曽ヶ端」はあまりに中途半端ではないか。

 小野は、言うまでも無く中田と並び、日本の文句ないトッププレイヤだ。小野を五輪に連れて行く発想は、

@五輪で必勝体制を組む

A五輪代表の若手が小野と共にタフな真剣勝負を戦う事で経験を積み、A代表につながる

と言う2点で、理解できる。

 しかし、だったら、高原、曽ヶ端はいかがか。

 高原は約1年前の時点では、文句無く日本最高のFWだった。しかし、昨シーズン終盤から明らかに調子を崩し、オマーン戦、シンガポール戦での不出来はもちろん、ハンブルガーSVでも誉められた出来ではなかった。さらに、先日の入院。どう考えても、現状今の瞬間は日本最高のFWではない(高原の速やかな回復を望んでいるのは言うまでもないが)。曽ヶ端も日本屈指のGKではあるが、現状では、日本最高のGKは楢崎である事は論を待つまい。



 つまり、山本氏が、小野のほかに、楢崎と(例えば)久保を要求するならば理解できる。いや、他のポジションでもいい。極論すれば、中田をリクエストしてもいい。どうして、病み上がりの高原なのか。どうして、楢崎ではなく曽ヶ端なのか。

 もちろん、選手選考の基準は、監督の発想に任されるべき事項なのは言うまでもない。しかし、アジアカップと言う重要なタイトルマッチが直前に開催され、秋口にワールドカップ予選が控える現状で、この中途半端なオーバエージ人選は納得ができないのだ。

 あまりにA代表と五輪代表に連係が無さ過ぎるのではなかろうか。
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2004年05月26日

動くな平山

 昨日、山本氏がこの期に及んでなお選手を召集し過ぎるのはいかがか、と皮肉った訳だが、今日の選手達の頑張りを見ていると、氏が正しいようにも思えてきた。特に当落線上の連中がよく頑張った。具体的には、黒河、森崎、高松、松井、駒野、前田、坂田。いずれの選手も、アテネに出たいと言う気持ちが前面に出ており、気持ちよかった。もっとも、(私は当落線上と思っている)茂庭にはもう一頑張り欲しかったが。

 一方で、阿部、今野そして負傷のためかごく短い登場だった石川以外の当確組(那須、徳永、大久保、平山)には、不満が残る。特にFWの2人については後述する。

 とは言え、嬉しかった事に、トルコ選抜が、戦闘能力もモチベーションも高く、非常に面白い試合になった。あれだけ強く巧い連中相手に、前半(まだ敵が疲労していないも関わらず)今野と阿部の展開は十分に通用したし、終盤やや非組織的な攻撃だったが、押し込む事ができていたし。準備試合としては最高と言える試合。日本協会のマッチメークを高く評価したい。

 ただし、山本さんよ、那須の左サイドバックはないんじゃないの。わざわざ阿部をセンタバックに下げてまでして。闘莉王交替で4DFならば、普通に那須、茂庭が中央で、徳永、駒野の両サイドバックでいいと思うのだが。



 と言う事で、大久保と平山に苦言を呈したい。

 まず大久保。あの今野のスルーパスで抜け出した場面のシュートの外し方はないだろう。TV桟敷で見ていても、何か気持ちが入っていないシュートだった。さらに、前線で1度もドリブルで突破できなかった事も大きな課題。このままズルズル行くと、達也の体調がベストならば、ベンチスタートすらあり得る。東京ラウンドで決定的な仕事を演じていた頃の姿勢が消えてしまった(もっとも、メンバ入り当確の身としては、準備試合にそこまで集中できないのかもしれないが)。

 そして平山。あのロスタイムは決めなければ。ここに来て、最大の特長であるシュートの巧さが、消えてしまっているのではないか。以前より懸念しているが、フィールドのあちらこちらに動き過ぎるのではないか。後方に引いてクサビとなるのは仕方が無いが、味方MFにボールを預けるや否や、最前線に飛び出し得点を狙うのが、平山の仕事のはず。ところが、フィールドのあちらこちらに顔を出し過ぎ、肝心の場面で集中し切れない事になっているのではないか。考え過ぎかもしれないが、黒崎(元アントラーズ)や服部(元フリューゲルス)らの二の舞を演じないかと不安なのだ。2人ともJリーグの中心選手までは成長したが、高校時代に期待された程にスーパースターにはなる事ができなかった。大人のチーム(黒崎はJSL本田技研、服部は筑波大)で、「幅を広げる」との名目でポストプレイ、サイドの突破、持ちこたえるキープなどをやらせれているうちに、肝心のシュート力が目立たなくなっていったのだ。平山にはこの日の2回の好機を活かせなかった事を猛省し、シュート能力を高める事に専念し、まずはトゥーロンでの大爆発を期待したい。
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2004年05月25日

五輪代表OA枠

 明日は五輪代表がトルコ選抜と戦う。OA枠を用いるとして、最終エントリーに残れるのは僅か15人。 ここまで煮詰まりながらも、多数の選手を競争させるのは、いかにも山本氏らしい。氏が一昨年まで仕えていた奇人?も確かに、メンバ同士の競争を好んではいたが、大会直前には、チームをまとめに入り、我々野次馬にもベストメンバが推定できる状態になっていたのだが。まあいいや。

 ともあれ、このサバイバル競争は、OA枠をどうするかが左右する。そこで、今日は私なりのOA枠利用案を述べて見たい。2月に韓国に完勝した時点での私の意見は、楢崎、服部公太、明神。それぞれ手薄なポジションを埋めようと言う考えだった。このうちGK(楢崎)と左サイド(服部公太)については意見は変わっていない。ただし、GKについては直前のアジアカップに楢崎を起用する考えもあろうから、川口(8年前に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたこの大会で復調して欲しいと言うのは、ノスタルジーだろうか)なり、曽ヶ端、土肥、都築、櫛野らJのトップGKを健闘する手もある。もっとも個人的にはだな。

 また、左サイドについては、服部公太が最適と言う考えに変わりはない。公太がチームに加われば、逆サイドの石川の攻撃がより円滑になるはずだ。と言うより、公太は明日の試合から起用を開始すればいいのに、ジーコ氏の選考対象外なのだから。

 しかし、ボランチについては考えが変わった。予選で期待通り今野が大活躍、本来であればA代表に昇格されるべきプレイを見せ、さらに啓太、阿部も上々の出来だった。ここに明神を加えても、決定的な戦力UPにはつながらない(名波を加えれば、大幅な戦力UPだが、残念ながら名波の膝は五輪の過酷な日程には耐えられまい)。

 とすれば、後1枠はどうするか。GKと左サイドは欠点是正のための補強だが、それ以外のポジションは頭抜けたタレントの増強枠と考えればよい。各ポジションごとに考えてみよう。

 まずセンタバック、宮本や中澤を加えれば戦力増強にはなろうが、ここは那須、闘莉王さらに徳永がおり、やはり大幅な戦力UPとは言い難い。右サイド、ここは石川、徳永、そして復調の駒野と、A代表を凌駕するようなタレント揃いで補強不要。FW、達也、大久保は既に実力はA代表レベル、また平山と言う素材もおり、久保を加えた方がよいのはわかっているが、若手の成長に期待したいところ(さらに高原、柳沢の不振により、久保抜きではアジアカップが相当厳しい事も予想されるし)。

 そう、補強すべきは攻撃的MFなのである。松井、山瀬、前田、いずれも好い選手だが、ここに彼らを凌駕する決定的なプレイができるスーパスターを補強するのだ。候補選手は6名。まず中田と小野。しかし、この2人はA代表の中核だし、アジアカップに不在ではワールドカップに向けての骨格を狂わす事になる。中村はまずフィジカルを含めての復調が前提条件、無理に五輪に出る必要性はなかろう。ベテランの藤田なり森島と言う手もある。2人とも、経験、リーダシップ申し分なし。

 しかし、ここで私は小笠原の起用を主張したい。小笠原は、同年代に中田、中村、小野と、強力なライバルがいる事もあり、過去もなかなかA代表で活躍する機会がなかった。しかし、一方で小笠原はここ数年、文句無いJ屈指のファンタジスタだ。小笠原に腕章を託し、アテネで金メダルを目指すと共に、彼自身の大化けを期待するのはいかがだろうか。ドイツに向けて。
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2004年05月03日

アテネでの左サイド

 サンフレッチェ−レッズは、お互い親会社が自動車メーカである点以外は、様々な面で対称的なチーム(もっとも、片方の親会社は大変な事になっているが)。この2チームが、がっぷり四つに、よい意味でも悪い意味でも持ち味を発揮した面白い試合だった。

 サンフレッチェは知将小野氏が創意工夫したシステマティックな攻守を見せ、試合の大半を支配した。後半こそ、疲労から何度かレッズに好機を作られたが、あれは彼我の個人能力差を考えると致し方なかろう。ただし、駒野、服部公の強力な両翼と森崎兄弟が再三の好機を作りつつも、敵陣に飛び込むのがチアゴ1人だけだったために、闘莉王、室井、坪井の強力レッズ守備陣を破りきれなかった。終盤、売出し中のストライカ田村を投入したが、もう少し早い時間帯での起用と言うギャンブルはできなかったか。

 一方のレッズだが、強力2トップは前進のスペースを消され、両翼は上記のサンフレッチェコンビに押し込まれ、攻め口をつかめない。しかも、展開の速さと2トップの追い越しなどを武器とする山瀬までがサンフレッチェの中盤のプレスに押し込まれ機能せず。これでは分厚い攻めは叶わない。ただし、復帰した闘莉王を含め個の力は強力で、幾度か好機を掴んだが、頻度が少なく攻め切れなかった。もっとも、このチームは中核の闘莉王が復帰したばかりであり、チーム作りはある意味でこれから。リーグ屈指の個人能力をブッフバルド氏とエンゲルス氏が戦闘能力にどう高めていくか愉しみなところだ。



 ただ、この両チームを見ていて考えたのが、アテネでの左サイドプレイヤが誰になるかと言う事。

 現在五輪代表の左サイドのレギュラはこの日サンフレッチェの攻撃的MFとして活躍した森崎浩。森崎浩は2次予選前に急遽このポジションで試され、これまでのレギュラ根本の不振と相まってレギュラを確保、左足のレンジの長さと組み立ての巧さで活躍した。しかし、反対サイドの石川が攻撃の中核のために後方に引いた難しい位置取りを要求され、さらにサイドのポジションは本職でない事もあって、ポジションが安泰とは言い難い。しかし、このポジションは、バックアップ的存在の典型的サイドプレイヤの根本の出来ももう1つで、五輪チームの課題と言っても過言ではない状態(山本氏は成岡の起用を示唆した事があるが1度も使われた事がない、成岡の存在は五輪チームの1つの謎であるが、今日はこれ以上は論じない)。

 では左サイドで森崎浩をおびやかす存在は誰か。まず最大の候補選手は、皮肉な事だが、この日サンフレッチェの右サイドで素晴らしい活躍を見せた駒野であろう。駒野は元々この五輪チームの原型となったユースチーム時代からサイドプレイヤとして左サイドでレギュラだったが、アジア大会あたりで根本が台頭しレギュラを譲った。それでも、常時五輪代表チームには選考されていたが、負傷で1年近く療養を余儀なくされた。右でも左でも強いボールを蹴る事ができ、守備のしつこさ、位置取りの巧みさ等、バランスの取れたサイドプレイヤ。この日も対面のプレイヤを押し込み、非常によい出来だった。次回の強化試合での再召集が予想される。

 このポジションにオーバエージを起用する手もある。その場合、まずA代表の選手が検討されるのだろうが、A代表不動のレギュラのアレックスは、かつての突破力を失い長きの不振を極めている。上記したようにこの日も駒野に押さえ込まれた。余程の事がない限り彼の選考はあり得まい。

 他のオーバエージ選手でこのポジションとなると、売出し中の村井、新井場。2人共よい選手だが攻撃面が魅力で、逆サイドの石川とのバランスに課題が残りそう(これはA代表の控えのベテラン三浦淳も同じだ)。守備について抜群のべテラン、ジュビロ服部だが、昨日のエスパルス戦の失点場面はちょっと気になる、何か脚力の衰えを感じたのだが(杞憂ならいいのですが)。

 となると着目されるのが、以前も述べたが、サンフレッチェの主将で左サイドを務める服部公太である。攻守ともに安定しており、4DFでも3DFでも問題なく、組立てでもウィングプレイでも機能する。



 1つのチームに、五輪代表の1つのポジション候補が多数いるのは中々面白い事だ。などと考えていると、ついついアテネ行きを本腰で考えたくなる。と、愉しい妄想を抱いていたら厳しい現実を思い出した。我が愛車は10年近くよく働いてくれているのだが、最近故障が増えてきて後継車の検討を余儀なくされているのだった。A代表チームの監督と違い、バックアップには多大な経済的負担がかかるのだ。ああ。
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2004年04月27日

アテネへの想い

 さて、鈴木啓太はパルテノン神殿に行く事はできたのだろうか(笑)。

 

 1953年、日本学生選抜チームが欧州遠征を行った。招待されたドイツでの世界学生選手権的な大会を中心に欧州各国を転戦したもの。選考された選手は、長沼、岡野、平木ら後の日本サッカー界を支える逸材たちだった。このチームを監督兼マネージャ的な立場で率いたのが、朝日新聞の記者だった故大谷四郎氏。大谷氏のサッカー論の素晴らしさは別な機会に譲るが、氏がこの大遠征の紀行文を70年代半ばのサッカーマガジンに連載したのは、今思っても大変貴重な文章だと思う。この連載で忘れ難いのは、チームがスイスに滞在した時のエピソード。氏は名勝のユングフラウを観光しようとしていたのだが、その予定日に地元のクラブチームから練習試合を申し込まれてしまった。氏は必死になってその申し出を断り、ユングフラウ行きの時間を確保したと言う。ご自身が観光したかった事を否定せずに一方で「前途有為な若者たちがこの景勝地を堪能するのは、将来の日本サッカーにとって大変重要」と書かれている。

 後日、長沼氏、岡野氏らが、日本のサッカー界の牽引者となったのはご存知の通り。彼らのリーダシップにユングフラウ観光がいかほど貢献したかは定かでないが、歴史的事実は残る。

 啓太対パルテノン神殿は結構重要なのではないか。

 

 と言うのも、私自身パルテノン神殿とオリンピック競技場を観光した事があるからだ。巧い日本語にならなくて申し訳ないが、パルテノン神殿には正直感激しました。何かこう、人間の能力の物凄さを感じるのだ。あの大昔に、ここまで美しい建造物をどうやって作ったのだろうかと。どうせギリシアまで前途有為な若者が行ったならば、あれは見るべきだ。

 ただし、私のアテネ滞在は超短時間だった。パルテノン神殿以外の観光はほんの僅か、オリンピック競技場に行って、実際にトラックを1周走って回っただけだ(笑)。と言うのも、本業の関係で別国(イスラエル)に行く時のトランジットだったから。早朝の6時にアテネに着き、昼過ぎのテルアビブ行きに乗るまでの僅かな時間での観光だったのだ(全くの余談:アテネ空港でテルアビブ行きの飛行機に乗るまでがまた愉しかったのだが、これは別な機会に)。

 パルテノン神殿からオリンピック競技場に向かって、私は石畳の上を必死に早足で歩いていた。時間が限られていたから。ところが周囲のレストランがいいんだこれが。メジャーな観光地独特の何とも言えない優雅さと言うか何と言うか。しかし、私にはそれらのレストランに寄る時間はなかった。あの地中海独特の黄金の日差しのレストランで葡萄酒を飲みながらサッカー談義をしたら最高だろうになと思ったけれど。

 だから私はアテネを再訪する事に決めている。アテネ五輪はそういう意味で最高の機会なのだ。

 

 ところが何と言う事か。アテネ五輪の日程が悪すぎる。欧州旅行シーズンも真っ盛りのタイミングなのだから。ここ2,3ヶ月あきらめきれずに色々と調べたが、もう飛行機代だけで絶望的。現地のホテルは何とかなりそうだが、飛行機だけはどうにもこうにもしようがない。ほんの数日の滞在でも、どうやっても50万円/人以上のコストが必要な模様。ましてアテネに自分1人で行くなどと、妻に言える訳ないではないか(笑)。他の競技はさておき「男女(ここで「女」と言えるのは嬉しいよね)のサッカーだけは、別な期間にやって下さい」と言いたいくらいだけれども。

 と、言う事で私はアテネ行きは完全にあきらめました。

 

 いや違う。言いたいのは自分の事ではなかった。啓太がパルテノン神殿に行かれたかどうかだった。
posted by 武藤文雄 at 23:12| Comment(4) | TrackBack(3) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月21日

北本と近藤

 ギリシャ五輪代表戦。試合や練習も大事だが、たしかにパルテノン神殿くらいは見せて上げたいと思うが、もちろんそれは本題ではない。

 確かに不満が多い試合だった。もちろんロスタイムでのやられ方は最悪。そして後半、何度かあった好機に、石川、松井、山瀬らが、しっかりとしたプレイが出来なかったのは残念。中でも石川のここぞと言う時の集中の欠如には失望した。「できない選手」ができないのは仕方が無いが、「できるはずの選手」ができないと腹が立つのだよ。

 ただ、私がこの試合で最も感銘を受けたのは、北本のプレイ振りだった。



 負傷とアジアチャンピオンズリーグのために、守備の中核である闘莉王、阿部、那須を連れてこられなかった山本氏は、最終ラインの構成に苦心。右から徳永、茂庭、北本と言う編成で来た。

 本来センタをすべきプレイヤは上記の3人なのだが、茂庭がよくこなした。相変わらず、つまらないミスも多いが、カバーリングにせよ、敵FWとの対応にせよ、よい出来だったと思う。後半腕章を託されたのも、この人気センタバックへの山本氏の期待の現れだろう。

 そして、この日の本題の北本。ヴィッセルでのプレイ振りで、十分に期待できる選手なのは、もちろん知っていた。しかし、感心したのは、ぶっつけ本番と行っても過言ではないこの日の3DFが、見事な連係守備を見せてくれた事だ。北本は昨年何度か山本氏に召集されたが起用されたのは僅かに3試合。徳永、茂庭とは初めての組み合わせ。さらに年初から行われた大量召集合宿には選考されなかった。それでも、北本は見事な連係を見せてくれた。

 ここで思い出したのが、国立でのレバノン戦の近藤である。近藤はユース代表組で、五輪チームには上記の合宿が初選考。イラン、ロシア、韓国などとの準備試合やバーレーンラウンドは不出場。同じユース組の菊地の離脱により日本ラウンドで急遽呼ばれた選手。そのような意味でほとんどぶっつけ本番だった近藤だが、レバノン戦では阿部、茂庭と見事な連係を見せた。

 結局、山本氏の「守備ライン連係指導」が見事だと考えるしかあるまい。一昨年のアジア大会以降、実に多数の選手がDFラインで起用されたが、いずれの組み合わせでも(青木が入った時以外は(笑))見事な組織守備を見せてくれている。巷で言われているように、山本氏が「ジーコ氏後任」として最適かどうかについては、私は疑問視している。しかし、氏の「守備ライン連係指導」力が間違いなく高い。



 もっとも、完璧への道はもちろん遠い。ロスタイムの失点は、茂庭が敵FWに競りかけているにも関わらず、北本も競りに行ってしまったため。つまりほとんどが北本の責任だった。

 そして、近藤にしてもあのレバノン戦。大久保がすぐに同点にしてくれたからよかったものの、あのまま1−1試合が終わっていたら、あのワンプレイで(まだまだ若い身空にも関わらず)選手生命を絶たれるところだったのだから。
posted by 武藤文雄 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(2) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする