2007年11月01日

五輪予選最終戦キックオフ時刻問題

 さて、悩める五輪代表。
 予選最終戦のキックオフ時刻調整がもめているようだ。
サウジアラビア戦(国立)と、同・カタール−ベトナム戦(カタール)の開始時刻を同一にするよう日本が求めている件で、日本は午後8時30分、カタールは午後10時30分(ともに日本時間、カタールはマイナス6時間)開始を主張していることが分かった。日本協会・小倉副会長が明かした。もし間を取って折り合えば、午後9時30分の開始になる。(敢えて後略)
確かにこれは厄介な問題だ。
 リーグ戦の最終戦を同一時刻キックオフにしないとマズイのは歴史が証明している(例えば78年のアルゼンチンとか82年のオーストリーとか。この2試合は同一時刻キックオフにしなければならないのだ。
 ドーハには14年前の10月下旬に行った事はあるが(笑...泣)、昼間の直射日光はとにかく暑い。確かに日本時間の10時半ならば、先方は午後4時半、これならば何とかなるように思える。しかし、当方の要望の先方現地時刻午後2時半は、サッカーがやるべき環境とはとても思えない。もっとも、我が国も8月の真っ盛りの昼間に散々各種大会を行っているし、94年ワールドカップのように欧州TV局都合による灼熱の大会は過去も開催されているのだが。ただ、14年前の記憶によると、アラビア半島の昼間の暑さは、これらの比較対象以上に「危ない何か」があったようにも思う。カタールサイドの気持ちも理解できるのだ。
 しかし、我々にしても午後10時半はマズイ。だって、帰れないのだもの。いや祝勝会を延々とやっても構わないけれどね(祝勝会だよね、そうだよね、間違いないよね、ね、ね、反町さん)。ただ、私は試合後祝勝会をやって、友人宅かカプセルホテルに泊まってもいいけど、ほとんどの方々はその選択肢は取らないだろうから、観客席は閑散としてしまいそう。さらに、午後10時半のキックオフだと、試合が最も盛り上がる後半終了間際は翌日になってしまっているのだが、国立競技場でその時間に大声援を送っても構わないのだろうか。いや、ダメって言われても大声援を送るけれど。
 そう考えてくると、上記引用の「間を取って午後9時30分」って最悪の選択肢だね。あっちは暑いままだし、こっちは帰れないし。

 それにしても厄介な問題だ。広過ぎるアジアがゆえの問題点だな。
 で、AFCに提案。最終節を2月か3月に延期したらどうだろう。当方は寒いの我慢するからさ。できたら午後7時キックオフ(日本時間)。これなら(たぶん)あちらも滅茶苦茶は暑くなくて、こちらも帰宅できる。え?新しい監督が準備する時間も...
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2007年10月18日

さすがにこの結末は予想していなかったが

(苦杯後、少し時間が経ち、冷静さを取り戻したので、追記をしました、別エントリにするより、この方がおもしろいかなと思ったもので 10月19日)

 高温多湿のアウェイゲームだけに、最終ラインで刈り取る戦術そのものは仕方が無かったと思う。ただ、審判のクセを考えず、無用なファウルを取られる事が気になってはいた(たとえば2失点直前の柏木と森島のファウルは微妙なものではあったが、今日の主審はこれらのプレイに対していつも笛を吹いていた)。また後半半ば以降明らかにカタールの疲労が顕著になったのだが、それでも最終ラインで敵を待ち構えるのは交通事故の危険があるのはいやだなと思っていた(たとえば、家長なり本田圭が敵陣でいったん突破ではなくキープをすれば、ラインが上げられたのだが)。
 また攻撃についても、後方に選手を残し、少ない人数でのカウンタ主体になるのはやむを得なかっただろう。ただ、中盤で崩してラストパスが出せる場面になっても、相変わらず出し手と受け手の呼吸が合わないのは気に入らなかった(このチームが結成されて1年になるが、センタリングに飛び込むとか、スルーパスに抜け出すとかの、高精度な連携が未だほとんど見られないのは何故なのだろうか)。さらに、本田圭や柏木が(角度が浅かったのは確かだが)GKと1対1になりながら、シュートを狙わず、パスを選択するのには不安も感じていた。アジアカップでA代表がサウジや韓国相手にシュートが少なかったのは不満だったが、あれは敵DFが固まっていたためであり(だからこそ、ミドルシュートを狙って敵DFを引き出して欲しかったのだが)、この日を含めた現五輪代表の多くのプレイで見受けられるシュートへの消極性とは異なる(さらに言えば、本田圭も柏木も自分のチームでは、もっと独善的にプレイしていると思うのだが)。
 また、疲労困憊になっても、カタール選手が少ない可能性に賭けて前進する事、いずれの選手もあきらめず中盤でファイトしていた事も確かで、大したものだと感心していた。

 しかし、そのような理屈を考えても、中盤で敵をフリーにさせずまともなラストパスを許さず、最終ラインでは強さも速さも勝っていたのだから、さすがにこのような結末を迎えるとは思いもしなかった。最後のPKにしても、いわゆる微妙な判定。この主審はカタールのラフプレイにカードを出すのが消極的だった事を除けば、それほどホーム寄りの判定ではなかっただけに、笛を吹いてPKスポットを指差した時はビックリした。サッカーの難しさと言うものだろうか。

 幸い、カタールは敵地のサウジ戦を残している。日本は楽ではないが後2連勝すれば、相当高い確率で五輪出場権を獲得できる事だろう。これまでの4試合で、選手の個人能力にしても、層の厚さにしても、圧倒的に日本が優位なのは判明している。
 上を向いて戦い続ける事だ。

(以下が10月19日に書いた追記になります)続きを読む
posted by 武藤文雄 at 03:28| Comment(20) | TrackBack(2) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月15日

五輪代表敵地カタール戦を前に

 敵地カタール戦が近づいてきた。ここまでガタガタ不平不満を羅列してきた反町氏のチーム作りだが、ここまで2勝1分け、確かに結果をしっかりと出している。そして、次の敵地カタール戦で勝てれば五輪出場は、ほぼ決定だろう。反町氏のチーム作りが正しいのか、単に選手の能力が高いが故なのか、相変わらず愉しい酒の肴ではある。

 次の試合はここまでほぼ固定して使われてきた(そして私が固定起用を疑問視してきた)本田拓也(退場による出場停止)、梶山(国立カタール戦で不運な負傷)のMF後方のコンビが不在なため、代わりに誰が選考されるかが注目を集めている。そして、反町氏は補充要員として枝村を選択した。今シーズンこそ、充実したエスパルスの中盤構成ゆえ控えに甘んずる事が多いが、後方から攻め上がっての得点力、正確な個人技によるアイデアのある組立で、Jでの実績は上記固定コンビを上回ると言っても過言ではないタレントだ(もっとも本田拓也は実績を比較しようのない立場だが...本田拓也はエスパルス入りするとの噂を聞いた事があるが、もしそうだとしたらこの2人の競争は今後も興味深い事になるな)。
 常識的に今度の試合は、しっかりと守備を固め0−0の引き分けで十分と言う試合なのだが、守備を期待できるタレントである谷口や小椋は選考外となった。
 そう考えると、中盤の構成、特に後方の2人に誰が起用されるかは非常に興味深いものがある。青山敏が中心となる事が予想されるが(練習試合で負傷したとの情報が気がかりだが)、枝村なり上田と組み合わせるのか、もう1つ前でプレイしている柏木なり本田圭が起用されるのか、逆に後方でプレイする事が多い伊野波なり細貝が使われるのか。優秀な選手が多数いるのだが、不可解なメンバ固定により、適切な組み合わせが見出されていない状況は困ったものだが、逆に言えば誰が起用されても個人能力の高さで何とかしてしまうような気もしてくる。これまでの試合でも、そうやって勝ってきたのだし。
 またやや人材不足気味だった攻撃ラインにしても、若森島、平山、李忠成、岡崎いずれも、しっかりとJで実績を残し始めている(岡崎が離脱したとの情報があり気がかりだが)。
 今回は西川が復活し、元々このチームの最大の持ち味と呼んでも過言ではない水本と青山直による中央の守りはさらに強化された(もっとも、あの国立カタール戦で、決定機を防いだ山本のプレイこそ、後から思えば「北京行きを決めたプレイ」と賞賛される事になるのかもしれないが)。水野、家長、本田圭、柏木と並ぶ攻撃的MF群は梅崎が割り込む隙が見当たらないほど豪華なものだ。

 と、こう考えてくると、チームとしての意思統一や連動には課題山積ながら、結局個人能力差でしっかりと引き分けるなり、小差で勝なりしてくるように思えてくる。特に内田の起用で4DFになった以降は、従来のチームで唯一の課題とも言えた水野や本田圭の押し込みと言う課題も解決された。そりゃサッカーだから、何が起こるかはわからない。しかし、敵から見ると個人能力に優れた選手の集団が、「型になっていない」サッカーをやってくるのだから、やりにくい事この上ないだろう。
 非公開の練習試合で韓国に3−0で快勝したと言うが、昨秋ホーム&アウェイで韓国と親善試合を行なった時の当方の2軍対応や、明らかに個人能力の低い選手への拘泥を思い起こせば、今回はベストに近いメンバを並べているのだから、これも当然のように思えてくる。

 そう考えると、ついつい楽観的に思う自分がいるのだ。エジプト戦に次ぐ深夜の歓喜を期待しよう。
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2007年09月11日

国立カタール戦前夜

 相変わらず五輪代表のチケットの売れ行きが悪いようだ。昨年の中国戦前にこの状況を憂えた訳だが、予選本番、それも最も重要に思えるホームゲームでの売れ行き不振だけに、事態は深刻と言えるだろう。最もこれまで前売りが不振でも、実際にはいずれの試合でも2万人程度の観衆は入ったから、明日もそのくらいの入場は見込めるだろう。平日の夜の五輪代表の集客能力はちょうどこのくらいなのだろう。まあ、レッズとアルビレックスには及ばないが、平日と言う事を考えれば他のJクラブに対しては互角以上に戦っていると考えれば、それでも「大したもの」と考えるべきなのかもしれない。もっとも雨が降ればその限りではないかもしれないが。まあ、それはそれとして。
 上記エントリでも述べたように、前売りの売れ行き不振にはいくつか要因があろう。多くのサッカー好きが「代表」から「単独クラブ」に軸足を移している事、協会会長の連続的な愚行に純粋に不快感を持っている人の増加など。いずれにしても、若年層代表チームの人気が相当落ちている事は間違いない。そして、人気が明らかに落ちているにも関わらずチケットを高額にしているのが一層売れ行きを落としていると言う指摘は正鵠を射ているように思える。さらに言えば、チケットが余っているのは自明なので、誰も無理して前売りは買わないと言う事になっているのだろう。私だってまだチケットは買っていない(もちろん観に行くけれど)。

 ただ、私は明日の試合は見世物としては大変面白いものだと思っている。
 「予選」と言う試合は「敗戦したら何も残らない」と言う恐怖感が、最大の興奮の源泉である。そのような意味では「入替戦」あるいは「残留、昇格、優勝を争うリーグ戦終盤」などが類似性のある試合かもしれない。しかし、「入替戦」に負けても、来年「下位リーグでのプレイ権」は存在する。ところが、「予選」で負けた場合「何も残らない」のである。
 そして、日本の代表チームはA代表、五輪代表、ユース代表については、ドーハの悲劇を最後に世界大会に向けた予選で「何も残らなかった」経験は皆無となっている。これは考えてみれば凄い事で、韓国でさえワールドユースの連続出場には失敗しているし、サウジに至っては五輪でよくドジを踏んでいる。そして、このような連続出場と言うものは「いつかは途切れる」ものなのだ。
 そう考えると今回の五輪予選には、
(1)同グループにサウジ、カタールと言う強豪がいる
(2)反町氏が意図不明の強化を続け、チーム作りが遅れている
など、「『いつか』がついに訪れるのではないか」と言う恐怖感が、現実的に漂っているのだ。
 実際、もしこの予選突破に失敗した場合、反町氏はJリーグを含め2度と監督を務める機会はないだろうし、選手達も「五輪に行かれなかった世代」と引退時まで揶揄される可能性すらある。そして、先日も述べたが我々も言いようのない寂しさを来年味わう事になるのだ。
 そして、ここまでの星勘定を考えると、明日のカタール戦は本予選の帰趨を大きく左右する試合である。これほど恐怖感を味わいながら、代表の公式戦を味わうのは(成功時の歓喜と価値は相当落ちるが)04年のドイツワールドカップ1次予選のマスカットオマーン戦以来だったりして。おお、そう言えばあの時も敗戦時のリスクを講釈したっけな。
 そう考えると、明日の試合が愉しみで仕方がない。これだけの試合を必死に応援しない手はないと思うのだが。

 と、日本協会も明日のカタール戦の訴求を行なえば、もう少しチケットも売れたのではないか。

 ともあれ、スイス戦に向けて寝よう。
posted by 武藤文雄 at 22:39| Comment(8) | TrackBack(1) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月10日

敵地サウジ戦無事に引き分け

 内容も結果も上々の試合だった。
 「勝ちにきていた」サウジに対し、強力な守備を前面に出した試合で無失点。サウジに退場者が出た後も、冷静に守備的に戦ったのもよかった。前半の水野、後半の家長のヘディングは決めておきたいところだったが、そりゃ贅沢と言うものだろう。

 それにしても水本の1対1の強さには恐れ入った。肉体能力に優れた青山直や伊野波でさえ苦労していたサウジFWの「速さ」だが、水本はほぼ完璧に止めていた。水本がここまでやれるならば、やはり青山直との2CBを見てみたくなる。一方、ここまで水本の守備能力を見てしまうと、水本をサイドに回すオプションがもったいなくなってくる。ただし、A代表ならば中澤と闘莉王が真ん中を固めている状況で、水本を左に使うのは有力な選択肢にも思えるが。
 若森島の起用(と言うか平山を控えに回した事)は以外だったが、ある意味で理にかなっている。平山は確かにヘディングは強いが、やや細身で後方からのボールのヘディングを取るよりは、横からのセンタリングを叩き込むスタイルの選手。その点、若森島は後方からのボールに対して敵DFに身体を当てに行くから、守備的に戦う時は、こちらの方が適切だ。この2人をトップに並べるのは、ツインタワーとしてではなく、ポストプレイヤとシューターの組み合わせと言う意味で面白いかもしれない。ただし、「試す時間」が全くないのだが。

 右サイドには内田を起用したのも当たった。元々、反町氏はこのポジションには中村北斗を起用しており、水野は「2軍」だった。ナビスコ決勝を含め、J屈指の攻撃タレントに成長した水野を「2軍」扱いする度胸も大したものだったが。「2軍」で対応した敵地韓国戦で水野が非常に冴えたプレイを見せたためか、その後の国立韓国戦では北斗と水野を縦に並べた4DFで臨んだ。ところがこの試合で北斗が重傷を負ってしまった。その後反町氏は、そのまま3DFで水野を右サイドにはめ込む。以降も3トップを試みて水野の前に蓋をするなど時間を浪費した。この日の内田の起用を見て、改めて反町氏の考えが理解できた。反町氏は北斗なり内田なり後方から長躯攻め上がるタレントを使うサッカーをしたいのだろう。逆サイドの本田圭は、長躯するタイプではないが、相当後方から高精度がロングボールを逆サイドに通す事ができる特異な才能を持っている。これならば、伊野波をCBに使う3DFも理解できる。
 内田の右サイドMFははまったが、一方で水野をどこに使うかどうかは、これからの検討事項になってしまった。前半、水野は決定的なヘディングを放ったし、よく前線から守備をしていた。しかし、彼の最大の魅力である右サイドからの崩しをほとんど見せる事なく、柏木と交代してしまった。このチームには水野、家長、本田圭、梶山、柏木、梅崎と言った想像的な中盤の選手が多い。皆を並べる訳にはいかないのだから、誰かを外す必要がある。水野を外す選択肢を全否定するものではないが、ここまで選手の最適配置検討を放棄しておいて、予選が煮詰まったこの時点で、このスター選手のポジションが見つかっていないのは結構な事態だとは思う。
 つまり、反町氏は「自分の狙いに合わせて選手を当てはめようとしている」のだ。アルビレックスの監督の意識から抜け出せていないのだろう。代表監督、特に若年層代表チームの監督の仕事は「優秀な選手の配置を考える事」だと思うのだが。

 まあ、好みの問題だが、ドイスボランチの梶山、本田拓の2人への拘泥はよくわからない。2人ともよい選手だが、このポジションにはあれだけ豪華絢爛な選手がいるにも関わらず、どうしてここまで固定するのか。梶山に代わり青山敏が入ってからの方が格段にリズムがよくなったと思う。また本田拓の軽率な守備もどうしても好きにはなれない。私が本田拓を批判すると、「本田拓はよいプレイを見せたではないか」とコメントを寄せて下さる方が結構いらっしゃる。それは否定しない。でも「本田拓がよいプレイを見せる」のと、「本田拓よりもよいプレイを見せられる選手がいる」のは別な問題ではないのか。梶山については先日述べた通り。

 では国立でカタールにどう勝つか。案外と選手の「素材」で勝ってくれそうな気もする。一方で先日のベトナム戦同様苦しい戦いになるかもしれない。その場合でも、水本、青山直に伊野波が加わる最終ラインの強さが、救いと言えば救い。しっかり守っているうちに、水野か柏木が問題解決をしてくれるように思う。
 ともあれ、私ができる事はただ1つ。声を張り上げて応援する事だけか。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(9) | TrackBack(1) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年09月06日

五輪代表予選サウジ戦逆説的展望

 この週末は、A代表の欧州遠征もあるが、やはり最も興味を引かれる、と言うか最も恐怖感を覚えるのは五輪代表のサウジ戦であろう。
 我々日本サイドは、反町ジャパンの迷走振りを目の当たりにしているから、「サウジにチンチンにやられるのではないか、五輪に出られるだろうか」と不安ばかりなのは確か。
 もしも、もしもですよ、五輪出場権を逸したときのショックはちょっと大きいよね。来夏マスコミが大騒ぎする異様な雰囲気の中、我々だけが蚊帳の外になる(もっとも70年代、80年代はそれが当然だったのだが、アトランタ以降は完全にサッカーが五輪のメインコンテンツの1つになっているのだし)。あの感動の96年のシャーラム以降、我々は「世界大会に出ない状態」を忘れてしまっているのだ(おっと、磯崎や澤は既に出場権を確保しているな)。
 以前から何度も語っているが、この五輪代表チームの完成度は低い。反町氏はこれまで、組み合わせに疑問が残る(もっとも「疑問」と言うのは単に私の主観に過ぎないけれど)メンバの半固定と、総取替えを併用。結果的に、選手の個人能力は非常に高いにも関わらず、連動性が不十分なチームしか準備できていない。ワールドユースメンバの組み入れも、時機を失した感がある。柏木なり内田なりJで圧倒的実績を残している選手を少しでも試しておけばよかったのだが。
 またこのチームは、同格以上の対戦経験が非常に少ない。昨年のアジア大会はその格好な機会だったが、意図不明の自主規制チーム(サンフレッチェ以外のチームからは1人ずつしか選考しなかった)で臨み、トーナメント進出前に北朝鮮に苦杯し「本当に強い敵」とは戦い損ねた。その他にも、同格以上の相手と戦った試合はいくつかあったのだが、昨年の敵地韓国戦は「2軍」対応、国立韓国戦には「明らかに質の低い選手に拘泥」、今年2月に組まれた合衆国戦は「機能しない事は自明な3トップ」、とことごとく貴重な機会を無駄にしてしまった。このサウジ戦は、その合衆国戦以来久々に、同格の相手と戦う試合なのだ。

 しかし、冷静に敵の立場で考えてみるといかがか。
 サウジ側から見れば、状況はより深刻であろう。敵地とは言え、カタールに初戦苦杯。完全にもう後がない。もし、このホームゲームで日本に敗れれば早くも剣が峰に追い込まれる。引き分けでも相当苦しくなる。このような時に「窮鼠猫を噛む」的な心配もあるが、サウジと日本は「鼠」と「猫」ほど実力差はない。ことサウジ戦に関して言えば、日本は厚く守備を固め、サウジが無理に出てくるのを待っていればよい。大体日本は引き分けで十分なのだから。
 さらにサウジサイドから見れば、日本の試合をスカウティングすればするほど、水野や本田圭祐や家長をどう止めたらよいのか、青山直と水本をどう破ったらよいのか、相当深刻に悩んでいるはずだ。「連携に課題はあるが、個人能力が高いチーム」相手の場合、守りを固める策は立てやすい。しかし、サウジは勝たなければならないのだ。サウジは90分間、サイドプレイヤは水野と本田圭を押し込むためにプレスをかけ続け、FWは水本と青山を崩すために横への動きを継続し、DFは梶山や本田圭から精度の高いボールが平山に入るのを注意し続け、ボランチは家長や柏木が前を向くのをケアし続けなければならないのだ(足元にボールを置いてから突破を図れる家長と、長い距離を走ってボールを受けられる柏木と2枚いるのは、変化と言う意味で非常に大きい)。90分間でった1度でも、そのようなチームディフェンスをさぼった瞬間、サウジは日本のカウンタアタックの危機に迫られる。既に1敗しているサウジの選手達は、監督からこれらの指示を聞くだけで、一層日本を怖れるはずだ。そしてこの国は伝統的に、単純に強さではね返す守備は得意だが、継続的でしつこい守備は不得手なのだ。
 また、先日の国立ベトナム戦では、本田圭の機能不全が顕著だった。ベトナムがワントップで来たために、左サイドバックに下がった事、応対するウィングが完全に引いているにも関わらず最終ラインを維持し続けた事、が問題だった。これは、反町氏の指示によるものだろう。しかし、本来完全に中心選手として機能しなければならない本田圭なのだから、過剰な守備重視の指示は無視して攻撃に加担して欲しかったのだが。一方で、この反町氏の腰が引けた采配は、サウジに対しては非常に有効だろう。何のかの言ってこのチームは結成以来有料試合で、12勝4分け2敗と圧倒的な勝率を確保しているのも、氏の「超安全第一」采配の賜物とも言えるのだし。

 事がここまで煮詰まってきている現時点で、反町氏のチーム作りを批判するのは、ほとんど意味がない事だろう。もうサウジ戦まであと僅かなのだし、今更修正もへったくれもないからだ。今はもう、「反町さん、ごめんなさい」と発言する事を待ち望むだけ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月22日

悩み深き五輪代表

 結構本気モードで来たブラックアフリカの雄に対し、中澤を軸に守りきったA代表については明日以降。まずは五輪代表について論ずるのが順番と言うものだろう。

 確かにベトナムの整然とした組織守備も見事だった。GKも大当たりだったし、最終ラインの選手は幾度と無く日本の決定的なシュートをかき出した。敵地ながら、90分間続く集中も大したものだった。
 それに対し、日本の選手達は真摯に90分間を戦い抜いた。ベトナムの分厚い守備にも慌てず、丁寧にボールをつないで左右からの切り崩しを狙い、時に中央突破を織り込み、状況に応じて平山の頭を使った崩しも混ぜ込んだ。しかしながら、日本はどうにもベトナム守備網を崩し切れない。前半終了間際に柏木が鮮やかにCKを青山直に合わせようやく先制するも、後半も攻め切れない。単調な攻撃に終始している訳でもないし、攻撃に連動性が無い訳でもないし(言い換えると各選手が独りよがりにプレイしている訳ではなかった)、疲労で極端に運動量が落ちた訳でもない。しかし、何か不足しているものがあり、攻撃に鋭さと言うか切れ味と言うかが欠けた印象で、ズルズルと時間が過ぎて行った。さらにあろう事か、85分以降は、何とか同点にしようと無理攻めに出てきたベトナムの勢いを止められず、FKから(この場面のGK山本のクロスと決めつける位置取りは酷かった)決定的なシュートを打たれるなど、危ない場面すら作られた。どうにも消化不良の試合だった。もっとも、得失点差を稼げはしなかったものの、勝ち点3と言う最低限の結果をしっかり残す事はできたのだが。
 一体このチームは、何が問題でここまで苦戦をつつけているのだろうか。

 まず反町氏が就任以降、常にチームの中核としてボランチを任されている梶山に問題があるのではないか。この選手の才能が素晴らしい事は疑いない。この日もちょっとしたボールタッチでベトナムDFを複数引きつけてから逆に展開するなど、敵を崩す発想と言うか想像力は、格段のものがある。
 しかし、この選手の展開は、全てが独善的なのだ。水野の突破力、本田圭の長いボール、平山のゴール前、このチームには様々な武器がある。したがって、この武器を活かすべく配球するのが梶山の役割、のはずである。しかし、梶山は「武器を活かす」と言う感覚が極めて希薄なのだ。都度、局面ごとに敵の意表を付く事に専心してしまっている。それでも、常にその判断と技巧で敵DFを崩してくれれば何も問題ないのだが、梶山が好む挙動開始点は中盤の後方なので、敵の意表を付く事に止まってしまう。
 この日の梶山は「大変大事な試合」ゆえ、相当意欲的にプレイしていた。悪癖だった守備のサボりもほとんど無く、軽率なパスミスも少なく、常に敵の意表を付く事を意識していた。だからこそ、現在の梶山の限界も見えた試合となった。梶山は強力なチームメートを駆使して敵陣を破る意図を作り出せないのだ。いわゆるトップ下に起用された柏木が再三再四素早い動き出しから前方へよい走り込みを見せていたが、梶山がそれに反応する事はなかったのが、現状の梶山の問題点を如実に表している(まさか、定位置争いのライバルとなる柏木に好機を提供しないためにパスをしなかった訳ではなかろうが(笑)...もしそうならば「梶山はそこまで時空間全てが見えている」と言う事で大変結構な事なのだが)。
 反町氏はこの選手の「素材」の使い方を根底から間違えているのではないか。

 次に反町氏がエースとして期待する平山周辺の話。以前問題だった体調も大分よくなったようで、1本も入らなかったのは残念だが、再三弾道の低いシュートを枠に飛ばしていた。
 しかし、どうにも周囲と連携が取れない。例えば、水野、本田圭と言った両翼がセンタリングを上げる場面で、ピタリと平山に合う頻度がどうにも少ないのだ。平山は水野や本田圭とはユース代表時代から一緒にプレイをしているはずなのだが。
 また、平山と李忠成の連携も相変わらずギクシャクしている。確かにレイソルで、李は強引なプレイをすれば、後はフランサが何とかしてくれるところはある。しかし、この2人は既に数試合一緒にプレイをしてきているのだ。
 とにかく、これだけの試合数を平山をFWの中軸に据えて戦って来ながら、どうにも連携が充実して来ないのは何故なのだろうか。おそらく、反町氏がそのような連携に気を使っていない事、平山自身が周囲に具体的な要求をしていない事の両面の問題があるように思える。そこを解決するのが監督の仕事のはずなのだが。
 反町氏はこの選手の「素材」をどう活かそうとしているのだろうか。

 そして反町氏の交代の遅さ。A代表が豪州、サウジ、韓国と言った難敵と戦う場合は、早過ぎる交代は裏目に出るリスク(逆にその交代につけ込まれて状態をより悪くするリスク)も考える必要があるので、交代が早ければよいと言うものではない。しかし、この日の相手はベトナムである。いささかベトナムには失礼な言い方になるが、日本のベンチにいる選手のいずれも個人的な戦闘能力では多くの面でベトナム選手を凌駕しているだろう。とすれば、この高温多湿下、後半に早めの交代を仕掛けても問題はないはずだ。むしろ、フレッシュな選手の積極投入は局面の打開につながるはず。
 家長と言う大駒を投入してもよい(結果的に柏木との交代となったが、李や梶山と代える手もあったろうし、この日もう1つボールを引き出せなかった本田圭に代えてウィングに起用するのも一手段だった...本田圭の「機能停止」については本人の問題、周囲の問題色々あると思うが別に考察したい)。終盤にようやく起用された岡崎を早々に投入してもよかった(瀋陽トーナメントでも岡崎と平山はそれなりに連携は取れていた)。内田、安田と言った新たにこのチームに加わった野心的なタレントを試すのもよい(そしてこの交代は本田圭や水野をより攻撃に専念させると言う利点もある)。梶山のところでボールが停滞するのだから上田を起用して早くボールを散らさせるのも一手段だ(この日、伊野波と青山敏と言う「展開」を武器にするタレントを2枚欠いていたのは、確かに反町氏にとって痛かっただろう)。
 いずれの交代を仕掛けても、日本のリスクが高くなったように思わない。ベトナムは10人で引いて守っており、日本陣は青山と水本の2人がガッチリと守っていたのだから。
 「交代をしない」と言うのは、ある意味で「このまま試合が展開すればよい」、「このままの結果で試合が終わってくれればよい」と言う監督のメッセージである。そして、この日反町氏は75分過ぎまで交代をしなかった。以前の試合でも感じた事なのだが、反町氏は「何とかこのメンバでチームが機能しないだろうか」と待ち続ける事で、貴重な時間を浪費しているように思えた。結果として得失点差を稼ぐ事も、新しいメンバを試す事もできずに、この試合を終えてしまった。

 豊富な運動量でボールを再三引き出し、巧みなドリブルから独特の角度をつけたパスを通した柏木のプレイ振りは素晴らしかった。また青山直と水本の強さは圧巻だった。水野のここぞと言う時の変幻あふれる突破も見事だった。パスを出した後止まってしまう本田拓の悪癖は随分と改善され、再三見事な前進を見せてくれた。細貝は後方のオールラウンダとして質の高いオーバラップと安定した守備を披露した。この日登場しなかったが、Jリーグで実績を上げている若者は幾多もいる。
 素材は過去にないくらい素晴らしいのだ。だからこそ、反町氏には奇をてらわず、各選手の特長を組み合わせて最大のチーム力となるように、当たり前の采配を振るってくれればと思うのだが。
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2007年08月21日

五輪代表最終予選初戦とA代表カメルーン戦前日

 いよいよ明日は、A代表カメルーン戦と、五輪最終予選の初戦ベトナム戦のバッティングの日。日程調整がまともに機能していれば、それぞれをじっくり愉しめたはずなのに。今のところは、国立に行ってカメルーン戦の映像を愉しんだ後(後半はダイジェスト放映と言うのがよくわからないが、五輪の選手達がアップする時だけはカメルーン戦映像を止めると言う事だろうか)、五輪代表の応援を行なおうと思っている。帰宅して、冷房の中でビールを飲みながら両方の映像を愉しむのも悪くないのだが、やはり重要な公式戦は真面目に応援するのが筋のように思うし。

 まず五輪代表。
 青山敏と伊野波が負傷離脱との事。補充メンバは上田と小林祐三。ここで小椋を指名する度胸は反町氏にはなかったと言う事か。ちょっと残念。
 それはさておき、伊野波の離脱は本当に痛い。これにより内田または安田(あるいはこの両方)をサイドDFに使う4DFが非常にやりづらくなってしまった。おそらくスタメンは、伊野波の代わりに細貝または小林祐三をDFに入れ、水本、青山直と3DFを組み、DFラインの前に本田拓を配する布陣を取るのだろう。後のMFはおなじみのメンバで平山の相方も奇をてらわずに李忠成で行くと思われる。最大の注目点は、MFとして従来通り梶山で行くか、柏木を起用するか。
 ただし、先々のサウジ、カタールとの戦いを考えると4DFのトライはどうしてもしておきたい。先を考えたならば、いきなりスタメンから4DFを試してもよいと思うのだが。

 そしてA代表。
 それにしても2002年のカメルーンは中津江村に着くまでに大変な紆余曲折があった訳だが、今回は予定通りにちゃんと大分に到着するのだから、我らが酒精メーカのギャラの威力も中々と言うところか。
 相変わらず爺さんの選手選考は人を食ったようなところがある。もはや恒例の感すらある、選手の分離発表。後から発表された攻撃ラインのタレント達の顔ぶれがまた愉しい。山瀬、達也、前田、高松ら以前よりオシム氏の選考対象に入っていた人材に加え、最近好調の大久保。それに常連の寿人と言う組み合わせだ。アジアカップのメンバからは、巻、羽生らのジェフ勢と出場機会がなかった太田が外れた。アジアカップ直前に離脱した播戸が召集されなかった事はやや驚きだったが、いずれにしてもこのメンバ構成は攻撃ラインに新しいメンバを試したいと言う爺さんの意図だろう。いずれの選手もJでは充実したプレイを見せており、ベストに近いメンバのカメルーンとの対決をじっくりと愉しめないのは、あまりにもったいない。

 それにしても、日本協会の五輪代表強化に対する体制は全く納得できない。
 まず、この集中しづらい異様な日程も酷い。しかし、それ以上に、先日も散々愚痴を垂れたしかし、花相撲であるオールスターや公式戦とは言えレベルの落ちるユニバーシアードを優先する決断は何なのだ。結果的に、ワールドユース組を加えたチームとしては、ぶっつけ本番で最終予選に臨む事になってしまった。酷い強化策である。これだけいい加減な直前の準備で臨む五輪予選は、68年のメキシコ五輪予選初めての事と言っても過言ではない。
 せめて8月上旬に「従来の固定メンバ+ユースからの昇格組+岡崎らの新しい選手達」の20数名を集めて選考+強化合宿を行い、Jクラブと練習試合を組んでいれば、状況は相当改善されていた事だろう。 
 誤解されては困るが、私はJリーグをないがしろにして五輪を強化せよなどとは言っていない。オールスターなどの非公式戦よりは、五輪の強化を優先させて考えてもよかろうと言っているだけだ。

 私は、アルビレックス時代の反町氏の手腕を高く評価しつつも、五輪代表監督就任以降の強化策を厳しく批判してきた。
 反町氏は、今回の日本協会の愚策に対しては、身体を張って戦うべきだったのではないか。少なくとも瀋陽には「ほぼベスト」の手駒を連れて行くべく、日本協会と戦うべきだった。氏は五輪で上位進出するための現場指揮を任されているのだから、それを阻害する理不尽な障害と戦う必要があるはずではないか。ここで「戦わなかった事」は、ある意味でここまでの強化策への疑問以上に、反町氏に失望した(我々の眼に触れないところで、反町氏は「戦った」のかもしれないが、それが公になっていない以上は「戦っていない」と言われても仕方があるまい)。
 もっとも一方で、氏はプロフェッショナルの監督なのだから、「与えられた条件で成果を出す」のが使命だ。そして、その使命の第一ステップは、言うまでも無くこの最終予選突破。現状の強化日程を受け入れた上での挑戦なのだから、結果が全てである。
 まずは明日のベトナム戦、残りのリーグ戦を優位に戦えるような大量得点の勝利を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:55| Comment(8) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月18日

五輪代表最終予選初戦メンバ発表

 五輪代表最終予選初戦の国立ベトナム戦のメンバが発表された。ここまでのチーム作りを考慮すれば、妥当なメンバ選考と言わざるを得ない現実的な編成となった。
 以前も述べたが、現在の五輪代表の基本メンバは固定されている。具体的には、西川−青山直、伊野波、水本−青山敏(本田拓)、梶山(上田)−水野、家長(増田)本田圭−平山、カレン(李忠成)と言った構成になる。もっとも、これだけ固定されていながら、よい内容だった試合が少ないのが残念なのだが。
 これらの固定メンバから、負傷の大黒柱西川、バックアップ的存在の上田、増田、レギュラ格だったカレンが外れた。先日のあの酷い瀋陽のローカル大会でも鮮やかなプレイを見せてくれた西川の離脱は痛いを通り越した大変な事態。早期に回復し、最終予選終盤には復帰する事を祈るのみである。そして、松井、林らの奮闘を期待したい。カレンらの離脱については、「新しいメンバを入れる以上は誰かが外れる」と言う事に尽きるのだろう。ただしここでカレンを外すのはちょっと残念。ここ最近ジュビロでの出場頻度が少なくなっており、五輪代表でも中々得点を決められていない現状からすればやむを得ないのだろうが、あの「戦う姿勢」はタイトルマッチでは重要だと思うのだが。
 そして、今回のメンバ選考の最大の特徴は、人材不足気味のサイドバックとして内田と安田が起用された事だろう。以前もサイドバック起用を試されている細貝と併せ、4DFを導入しようと言う反町氏の意図が理解できる。このチームの最大の魅力である水野、本田圭と言うサイドアタッカの大駒が、このカナダユースの2人のサイドバック起用により、従来より前方でプレイ可能になる。と言うか、両翼に攻撃的なタレントを抱えているチームなのに、どうしてこれまで4DFのテストを少ししか行わなかったのかと突っ込みたくなるが、「過去は取り返せない」のだからまあいいだろう。
 4DFと言う事になれば、CBは青山、水本で決まりだろうから(もっとも河本あたりが選考されていれば、水本を左に回す選択肢もあったように思うが)、これまで主将を任されていた伊野波の起用法が興味深い。控えに回るのか、青山敏と本田拓を差し置いて中盤の底でプレイするのか。
 さらにもう1枚のボランチ。ここは常に梶山が固定されて使われてきたが、ここにはJリーグでも活躍し、カナダで見事だった柏木が選考された。梶山も今シーズン序盤の不振は脱した感もあるが、反町氏がどのようにさばくか。個人的には柏木を推したいところだが。
 平山がFC東京で中々試合に出られず、上記の通りカレンが外れる状況で最も苦しいのはFW。平山のワントップ、あるいは家長あたりのFW起用があるのだろうか。カレンの代わりに選考されたのが、「3軍」で望んだ国立マレーシア戦、「2軍」で臨んだ先日の瀋陽国際大会、それぞれでファイトあふれるプレイを見せ、J1でもある程度の実績を残しつつある岡崎。反町氏としては、得点の匂いをカレン以上に評価したと言う事だろうか。ここには、ユースで活躍した若森島あるいは梅崎のFW起用もあり得るかと思ったが、1度に試せる選手の数の限界と選手のプレイスタイルのバランスを考慮したと言う事だろうか。確かに若森島は平山と、梅崎は家長とプレイスタイルがかぶる感もある。むしろ、今回のメンバ選考は、反町氏が「あくまでも平山に期待する」と言うメッセージとも読める。

 今週末のJ終了後に選手を集め、ほとんどぶっつけ本番でチームを立上げ直し、いきなり本番に臨む反町氏。今までの強化の失敗について、私は随分イヤミを述べてきたが、過去を今更どうこう言っても始まるまい。一部の協会首脳がチーム作りの遅れを懸念してJ1を阻害する長期合宿を提案してそうだが、それを蹴った意気も判断も適切だ。状況がかくなっている以上は、私は改めて反町氏の手腕と選手達の奮戦に期待する。さらに協会の愚行により、大事な五輪予選初戦がA代表戦とバッティングすると言う悲しい状況。世間の集中さえ得られづらい難しい状況での初戦となる。でも、事態がここまで煮詰まっている以上は、私にできる事は国立競技場で応援する事くらいなのだな。 
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月05日

う〜ん平山

 五輪代表はボツワナに惜敗。
 最終予選開始まであと2週間ちょっとしかない状態で、このメンバで戦っている事そのものが意味不明である事を、これ以上繰り返す必要もなかろう。
 たとえば、カレンは相変わらず(柳沢を彷彿させる)シュート運の無さを見せていた。しかし、彼の評価は水野、本田圭らと共存した際の引き出しやつぶれでなされるべきで、この日点が取れなかった事そのものは課題だが、決定的問題点とは言いようがない。
 梅崎が負傷で、上田がベンチスタートだった以上、この日のMFで攻撃に変化をつけられるのは枝村1人、枝村は必死の創意工夫でゲームを作ったがやや空回り気味だった。しかし、彼の評価は青山敏と家長の中間で今日のようなゲームメークを試みてなされるべきで、この日の組立が奏効しなかった事そのものは課題だが、決定的問題点とは言いようがない。
 結局、このような日程を編んだ日本協会が悪いのだ。本来瀋陽のピッチに立つべきだった選手の多くは、4日土曜日エコパの花相撲を選択させられた。日本協会は、このような時間の無駄をしておいて、どのような顔をして、Jの各クラブにシーズン再開後、各選手の合宿参加を依頼するのだろうか。

 とは言え、このような悲しいチーム構成下でも、評価可能な選手はいた。西川と平山である。この2人は他の選手と異なり、チーム内での役割は軸線である。回りの選手によってプレイの仕方を変えると言うよりは、彼らに合わせて周囲がプレイを変える存在なのだ。
 まず西川。さすがであった。北朝鮮戦にしても、中国戦にしても、分厚い主審のサポートによる敵の攻め込みによる決定機を再三再四見事なセービングで防いでくれた。トリニータでレギュラを奪われるなど不振が噂されていたが、すっかり復調したようだ。今大会出場した試合では腕章を巻いていたが、「本番」でも腕章を託せるタレントだと思う。中国戦、警告を食らったが、あの場面は、連発する中国のラフプレイの中でも、もっとも酷い場面だった。警告を食らった事は反省材料だろうが、主将として怒りを顕わにした事そのものは、決して間違っていなかったと思う。

 問題は平山だ。点を取れなかった事を攻めようとは思わない。チームメートのラストパスの精度やタイミングに課題があったかもしれないから。しかし、失望したのは、平山自らが「点を取れる場所」に進出する頻度があまりに少なかった事だ。
 とにかく平山は自ら点を取る事のみを考えればよいのだ。後方の選手からのフィードを受けるために後方に下がる事や、敵ボールをチェイシングする事や、自陣近くのセットプレイ時に守備に回るなど、チームとしての機能維持の義務を果たす事を別にすれば。味方が後方でボールをキープしている時は、最終的に自分がどこでボールを受けて点を取るかを考えて位置取りをすればよい。展開の流れから結果的に自分がボールを受けた場合、もし振り向ける余裕があるならば、たとえフィールド上のいずこにいようがまずシュートを考えればよい(たとえ、自陣にいようが、コーナフラッグ近傍だろうが)。そして、それが叶わぬ時に、初めて味方へのパスを考えればよい。そして、味方が敵陣近くにボールを運んだ時は、自分が点を取るストーリに基づき、ボールを要求すればよい。さらに、要求通りにボールが来ない場合は、「次は必ずよこせ」と要求すればよい。
 平山のような純正ストライカがそのようなプレイをする事で、周囲のチームメートには攻撃の筋道が明確になる。同時に平山は、味方に対し得点を取る事を約束する厳しさを身に付けられる。
 確かに終了間際に岡崎を抜け出させたパスなどは誠に見事なものだったが、それ以前にまず自ら得点を狙って欲しい(もっとも、あの岡崎のシュートは完全にゴールラインを越えていたから、正しい判定がなされていれば、あの試合は引き分けになり、最終的に日本が優勝していたのか?!)。
 FC東京ではチーム事情から出場機会が中々得られないようだがこれはもう仕方が無い。しかし、五輪代表では当面主軸として出場する事になろう。その際に、水野や本田圭や柏木からのボールを、とにかく敵陣に叩き込む意識で戦えるかどうか。思うようにチーム作りが進まない五輪代表の勝敗のカギを握るのは、やはり平山なのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする