2008年05月09日

ガンバ、1次ラウンド突破

 早いもので、あれから3年近い月日が経ったスパチャラサイスタジアム。ガンバが、ACL敵地でのチョンブリとの殴り合いを制し、堂々と準々決勝を決めた。両軍とも技巧的で攻撃的な実に見事な試合だった。今思えば初戦にこのチョンブリに命からがら引き分けたために、全南でもメルボルンでも「引き分けではなく勝つ」事を目指すことになり成功した。初戦に勝っていれば、それらの試合に無理に勝ちには行かず、準々決勝進出は最終節までもつれていたかもしれないな。
 引き分けでも準々決勝進出だが、チョンブリの強さは上記試合で痛い程に把握済み、さらにガンバは連休の連戦の疲労が蓄積、遠藤の欠場と悪い条件が付加。しかも、テレビ映像で見てもわかる芝の悪さは、ガンバ特有の低くて強いパスが回しづらいコンディションだった。

 チョンブリはよくガンバの事を研究していた。中盤からパスで抜け出そうとすると、明神のところで多くの攻撃は引っ掛かってしまう。そのため、通常短いパスで組み立ててくる事が多いタイのチームにも関わらず、長くて斜めのボールを使って最終ライン勝負に持ち込み、トップのネイ・ファビアーノの巧妙なプレイで好機を作り出す。それでも、中澤は急いで当たりに行かずここぞと言う時に相当きついタックルを狙いよく守った。松代の好捕と、山口、橋本の粘り強いプレイは言うまでもなく。ちなみに中澤は終盤には敵陣前でラストパスを受け、またぐフェイントから超決定機を掴んだが、あのフェイントなどを見ていると、この選手が「打点の高さ」を評価されセンタバックを目指したのが正しかったのかと言う思いに捉われる。
 結果的に攻め合いになったこの試合。前半から両軍が再三好機を掴むが決めきれない展開が続いた。そして勝負を決めたのが、安田、復調した加地の西野氏自慢の両サイドバックのクロスだった。安田は決して足は早くないが加速後のボール扱いが抜群で、フェイントで敵を揺さぶって縦に抜け出す。一方の加地は突然の加速力が格段で、マーカの一瞬の隙を突いて前に抜け出す。この日は、正に2人の特長がそのまま出た得点。ニアに飛び込んだ交代直後の山崎、大外から入り込んだルーカスも秀逸だった。
 感動させられたのは2−0になってからのチョンブリの飽くなき闘志。強豪をホームに迎え「勝たなければならない試合」で2点差になり状況が絶望的になったにも関わらず、最後まであきらめる事なく猛攻をしかけてきた。本当によいチームだった。さらに素晴らしかったのはチョンブリのサポータ。テレビ映像は特に熱狂的な人たちを映している可能性もあり、割り引いて考えなければいけないかもしれないが、終始熱狂的にホームチームを支えていた。しかも試合後、多くのサポータがチョンブリの健闘を称えていた。実際見事な試合内容だったのだし。

 遠藤不在と言う事で、中盤は明神を配下に置いて、二川が差配した。通常は最前線でかき回しフィニッシュに絡む役どころだが、あれだけの技術を持つ男、展開力も抜群。二川も20代後半となり、以前にも増して多彩な仕事が可能になってきている。野次馬としては、遠藤と二川が異なるチームの指揮官として対決する試合を観てみたい気もするな。
 さらに見事だったのはルーカス。あの難しいダイレクトシュートも大したものだったが、中盤での妙技に感心したのだ。元々1.5列目(1.3列目くらいと言うのがいいのかな)で、中盤で1度ボールを触ってから前に出て行くタイプのストライカ。ところが、この日は二川のサポートの仕事を巧みにこなした。前を向いて仕掛けようとする二川が詰まると、スッと(二川の)横に引いてくる動きの的確な事。二川の展開はどうしても遠藤ほどの「緩」がなく時に単調になる事もあった(もちろん「急」の速さと言うメリットもあるのだが)が、そこでルーカスが二川のサポートに入ることで一拍置くのが非常に効果的だった。何とまあ、頭のよい選手だ。ルーカスはルーカスで、一皮剥けたプレイヤになったと高く評価すべきだろう。

 結びに、播戸のコメントをそのまま転載させていただく。この日は不運もあり得点できなかったが(しかも交代した山崎がその直後に大仕事をしたのだが)、この男はやはり何かがある。
クラブでアジアの大会に出てこうやって勝ちあがれて行けることは格別の喜びがある。G大阪に関係する選手、スタッフ、サポーター全員の力で勝ったと思います。決勝トーナメントは中東やウズベキスタンなどのチームが楽しみです。(サポーターの声は力になったか?)向こうのサポーターもいい応援をしてたし、 G大阪のサポーターも凄く応援してもらって凄く聞こえてたし、すごく力になった。これからどこと対戦するかわからないけど、ウズベキスタンとかは、なかなか行けない国なので行ってみたい国ではあります
(余談)
 先日FC東京サポータの友人と一杯やった時に「かつて非常に厳しく糾弾したルーカスについて、今ではどう思っているのだ?」と、鋭い指摘を受けた。それにお答えします。
「今でも私はルーカスを許すことはできません。でも、今のルーカスは、見ていて本当に愉しい素晴らしい選手です。」
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2008年04月23日

佳境のACL1次リーグ

 ガンバはこれ以上ないと言う完勝。
 序盤から山口と中澤が浅いラインを敷き、忠実なフォアチェックの併用で、メルボルンの縦狙いをことごとくオフサイドに仕留める。 中盤の底で明神と遠藤が縦の関係を維持して、遠藤ならではのスローテンポのゲームメークを起点に、次々と仕掛ける。ルーカスのドリブルシュート、遠藤から狭いスペースを通すスルーパスを受けた山崎のシュートは、それぞれ枠を僅かに外れる。
 そしてビューティフルゴール。敵陣のFKからのつなぎに対し、右サイド深めで遠藤がプレス、敵DFのフィードが狂い橋本がボールを奪い、遠藤に縦パスし前進、遠藤がヒールで外に走り抜ける橋本へ戻しターンして前進、橋本は中央で控えるバレーへ、バレーは既に守備ラインの裏を突きかけていた遠藤に落とす、フリーの遠藤はマイナス気味にニアにグラウンダのセンタリング、走りこんだ山崎が敵DFの寄せより早く身体をひねって低く強いシュートでGKを破った。実に見事な得点だった。
 その後、前掛かりに圧力を高めてきたメルボルンは、前半終了間際と後半立ち上がりに決定機をつかむが決めきれない。そして、遠藤のFKから山崎が追加点を決め勝負あり。その後はガンバは余裕綽々ゲームをコントロール。この2−0の完勝で準々決勝進出の可能性が相当高まった。
 初戦のチョンブリ戦の青息吐息の引き分けが、何か懐かしい気がしてくる。

 そのガンバと19日に死闘を演じたアントラーズ。こちらは非常に苦しい戦いを演じる事になった。
 とにかく映像が酷い。デジタル変換が巧く行ってない典型映像、あのサイコロ模様のノイズが度々発生し、見づらい事この上ない。最初はてっきり北京のテレビ局が悪いのだと思った。「こんな状態で、五輪が開けるのか」と文句を言っていたのだが、ハーフタイムのコマーシャルでも同じノイズが頻発。どうやら悪いのは、テレビ朝日か、当方が受信しているケーブルテレビ局のいずれからしい。北京や中国と言う事だけで、犯人扱いしてはいけないな。
 入場制限(大体、聖火リレーであるまいし、なぜ入場制限と言う事態になるのか、本当にこの国には困ったものだ)があったとの事だが、テレビで見る限りでは大量のサポータが入場、アントラーズサポータの声援も時によく聞こえた。北京国安の旗ではなく、中国国旗が大量に見受けられたのは時勢と言うものか。
 開始早々は北京が仕掛けてきて、落ち着かない展開、双方に決定機。しかし、その後はアントラーズがよくボールをキープし、試合は落ち着いてくる。幾度かミドルシュートの好機を掴むが決めきれず。中に絞った伊野波が右サイドに開いた本山に好パス、本山の狙い済ましたクロスを田代がトリッキーなシュートを放つが、惜しくもポスト(判定はオフサイドだったが、VTRを見る限りではオンサイドに見えたのだが)。
 そうこうしているうちに、北京はチアゴの強さを軸に攻め込みの頻度を高めてくる。チアゴとマルチネスは単調になりがちな中国チームに相当な変化をつけるアクセント、結果的に他の選手のスピードや強さも活きてくる。この2人が変化をつける分だけ、北京国安は中国代表より強いかもしれない。鹿島でのホームゲーム同様、チアゴの高さと懐の深さい岩政は大苦戦。
 そして、前半終了間際、アントラーズは信じ難いミスから失点してしまう。ハーフライン手前のFK、北京がロブで守備ラインの裏を狙うと、チアゴは全くのフリーで抜け出し、冷静にGKを破った。何と伊野波がCB2人がラインを上げたのに呼応せず残っていたのだ。敵の攻め込みをはね返した直後のラインを上げるべき時に、上がり損ねるミスはよく見かける。しかし、敵のFKでセンタバックが敵のエースを外してラインを上げている時にサイドバックが上がらないミスは、このクラスでは滅多に見る事ができない。とにかく大変残念な失点だった。
 もし0−1のまま終われば、両軍とも相星になるから、残り2試合全勝必須、得失点差の争いとなる。しかし、お互いにここから点を取られれば、事実上の敗退。と言う事で後半はお互い非常に戦いづらい状況となった。結果的にお互い分厚く守り、少人数での速攻を仕掛けるやり方となった。
 ところが、後半半ばからアントラーズの運動量がガクッと落ちる。土曜日にガンバと中々の試合をして、中3日で移動を含め調整と言うのは、やはり相当無理がかかったのだろう。不運にも、新井場、本山と2人も負傷による交代があり、アントラーズは一層苦しくなる。アントラーズは開幕からチーム全体のコンディションが非常によかったが、序盤の体調のピークを過ぎ、今は少々疲労が出やすいタイミングかもしれない。
 疲労し押し込まれているのだから、ゆっくりとプレイすればよいのだが、選手たちは同点にして楽になりたかったのか、縦を急いで状況を悪くしていた。たとえば、曽ヶ端はせっかく自分が確保したボールを、急いでロングキックして、逆に敵にボールを渡していた。近くの確実にキープできる選手につなげばよかったと思うのだが。さらに、事態を難しくしたのは、小笠原と主審の相性が悪かった事。どうも今日の主審は、「小笠原は汚いプレイを得意とするから、交錯で両者が倒れたら小笠原が悪いと判定しよう」と考えていたフシがあった。
 と言う事で終盤はノーガードの殴り合いに。双方が決定機を複数回掴むが決めきれず、そのまま試合終了。双方ともホームでの1−0の勝利。準々決勝進出争いは先送りされ、双方ともヤレヤレと言う試合か。アントラーズは北京に対し、今のところ得失点差で+10優位に立っているだけに、精神的には有利に立つ事ができるかもしれない。
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2008年04月10日

メルボルン−ガンバにおける既視感

 少々古新聞になってしまったが、ガンバがメルボルンとの殴り合いを制した試合について。
 このメルボルンのスタジアムは、オーストラリアンフットボール用の競技場らしい。何か、サッカー場より広いせいか、テレビ桟敷で見ていても違和感がある。ただ、テレビ映像を通して感じるこの違和感に、何かしら微妙な記憶があると思っていたのだが、前半半ばに思い出した。

 あの97年。ジョホールバルの後日談。
 我々が歓喜したと言う事は、敵は絶望に追い込まれたと言う事。ただし、イランにとって岡野のVゴールは最終通告ではなく、彼らには豪州とのプレイオフが残されていた。そして、そのプレイオフ第2戦が行われたのが、この競技場のはずだ(たぶん)。
 第1戦、あのアザディスタジアムで、イランはビドゥカとキューエルの連携から先に失点。マハダビキアとアジジのコンビで追いつき、猛攻を仕掛けたものの、ホームで1−1で試合を終えた。アウェイゴールルール下での、ホームで1失点の引き分けは辛いものがあった。
 そして、第2戦。イランは、24年ぶりの出場を狙う豪州の猛攻を食らう。後半立ち上がりまでに、ビドゥカとキューエルそれぞれの得点で2−0とリードを許す。ところが、後半半ばあたりから、豪州に攻め疲れが見え始め、イランペースに。そして、イランは、バゲリ、アジジの連続得点で2−2の同点に追いついてしまい、アウェイゴール数でワールドカップ出場を決めてしまった。
 そう、ガンバがメルボルンと戦った競技場は、10年半前にアジジが豪州の野望を断ったスタジアムだったのだ(と思う)。そして、ビドゥカやキューエルにとって、一昨年32年ぶりにドイツのピッチで(彼らの32年前の舞台も西ドイツだった!)戦う事の意味がどれだけ深かったかも、この試合を思い出すと感慨深い。何より、「『好敵手同士の死闘』の『高みの見物』」の記憶は(未曾有の歓喜の安堵感下だったと言う特殊事情を含め)甘美なものがあるな。

 そのような思い出の地(って言っても、自分で出向いた訳でも何でもないが)において、明神や安田が苦闘するのを見るのは、これまた中々の娯楽であった。この日のメルボルンはサポータも熱狂的な模様で、映像の音声にはメルボルンの応援がよく入っていた。
 
 試合そのものは、ガンバの「技巧」と「俊敏さ」、メルボルンの「強さ」が、それぞれ活かされると言う実に国際試合らしいものだった。
 ガンバの3失点はいずれも「強さ」にやられたもの。1点目は「強さ」で縦パスを流され、裏をつかれた。以前も述べたが、明神が関与できない攻撃(多くの場合、中盤を飛び越す強引な縦パス)への対応は、ガンバの大きな課題。そのための水本の補強だったのだが。その水本、3DFの左サイドに起用されたが、これが散々な出来だった。安田が上がった裏を敵の俊足FWが突いて来る。水本の守備範囲を考慮すれば、最初から安田の後方をカバーする位置取りをすればよいと思うのだが、妙に中央にポジションを取り続ける。そのため、敵FWへの対応が遅れ、再三ピンチを招いていた。さらに2点目時にはゴール前の「おしくらまんじゅう」に完敗し、遭えなく転倒し、マークしていた敵にフリーでヘディングシュートを許した。西野氏は後半立ち上がりから水本を外した4DFに方向転換。以降は、浅いラインで押し込む策が比較的奏功した。3点目は、やや偶然っぽい「強さ」にやられたもの。豪州のチームとやる時はこのくらいは織り込む必要があるのかな。
 敵の強さを警戒して守備ラインの数を増やすか、少なくして浅いラインで押し込む事を狙うか、先日のバーレーン戦を含め、知的興奮を満足させる酒の肴である。
 それにしても水本には困った。この壁を乗り越えての栄光と前向きに捉える事にしよう。
 
 ガンバの攻撃は、すっかり調子を取り戻した。
 決勝点の安田の突破だが、大柄な豪州選手がシャープな安田のドリブルに全く対応できないのが愉快だった。アジアのタイトルマッチで2試合続けて、敵地で決勝アシストを決めた安田の勝負強さも評価していいだろう。山崎も散々敵DFをチンチンにしていたが、この2人の突破は正に「技巧」と「俊敏さ」の賜物だった。
 セットプレイからガンバも2得点するが、ボールの精度と言う「技巧」とよい位置に入り込む「俊敏さ」で奪ったもの、この対比も面白かった。
 そして、二川の先制点。巧みにアウトサイドに引っ掛けた見事な変化球だった。流れの中からの、あの手のシュートとしては最高レベルに近い「技巧」だった。

 4つどもえの混戦グループだが、敵地での2連勝でガンバは勝ち点勘定的には圧倒的に有利になった。それにしても、3試合とも試合終盤に点を取っているのだから、勝負強いと言うのでしょうか。
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2008年03月21日

播戸と安田の「ハート」

 少々日が経ってしまったが、全南−ガンバ戦。
 それにしても、あのゴール裏で応援していたサポータの方々の幸せさに素直に羨望する。いや、J2クラブのサポータからすれば、上位クラブのサポータは皆羨ましいのですけれど、やはりあれだけの試合はそうは見る事ができないでしょう。しかも、いきなりの2失点と、後半の3発が自分達が応援していた眼前のゴールに飛び込んだのだから。決勝点なんて、安田のクロスが敵GKとDFを打ち破り、全くフリーの播戸が飛び込んだ訳だが、あの瞬間なんて典型的な「時間が止まる」場面。もう最高だったろうなと。

 水本を外した西野氏の判断は適切だったと思うが、あろう事か山口が不振。中澤も冴えが見られず、いきなりの2失点。明神を飛ばされて最終ライン勝負に持ち込まれると課題があるガンバ守備ラインの弱点をつかれた感もあった(水本獲得の狙いはその課題の解決にもあったと思うのだが難しいものだ、ところで福元はどうしているのだろうか)。
 ACL開始2試合目で「早くも敗退が決定的になるのか」と憂色が漂い始めた悪い流れが、見事な得点で断ち切られる。ルーカスが入れた低く強いボールを播戸が見事なスルー、走りこんだ二川が鮮やかなミドルシュートを決めた。ルーカスは得点能力も非常に高い選手だが、広範に動くのが特長。ルーカスが外に開いたスペースを(播戸の見事な判断を含め)二川が利用した得点は、今後のガンバにとって非常に重要なものになるように思えた。
 後半に入り、遠藤がやや引いた位置取りを取る事で、安田が前半にも増して前進するようになり、一層攻勢を取る。播戸のCKからの同点弾だが、そのCKを奪った播戸自身のシュートも非常によかった。そして、逸機の直後にも冷静にシュートを打てるのがこの男の強み。こうなるとガンバの勢いは止まらず、分厚い攻めから最後は安田が決めてとうとう逆転。この若者のボールを蹴る事に対する「ふてぶてしさ」が発揮された。
 ここは引き締めなければならないところだったが、全南は死力を振り絞って反撃、橋本がPKを提供してしまい、またも同点。そして、冒頭に述べた、安田の鮮やかな「またぎ」による突破からの播戸の決勝点と相成った。この2人はやはり「ハート」がある。岡田氏が選んだほかの選手もいいけれど、やはり播戸はバーレーンに連れて行くべきだったのではなかろうか。
 以降西野氏は巧みな交代で試合をクローズ。全南は3−3にまで追いつくのが精一杯だった。

 これでガンバは立ち直るのだろうな。
 遠藤は相変わらず本調子ではないが、明神は見事なプレイでボールを拾い勝利に貢献。バレーのシュートは中々入らないが、これはまあそのうち入るようになるだろう。それでも播戸がいるから、得点の心配はあまりない。ルーカスと二川の仕事が整理された事で、得点力は増していく事だろうし。加地の負傷が癒えて、水本が復調(反省)すれば最終ラインもより安定する。年齢的にも、ポジション的にも、非常にバランスの取れたタレントが揃い、攻撃を指向するこのクラブは、かつての日本サッカー界にはなかったスケールの大きなサッカーをしてくれる可能性もあるかもしれない。
 となると、そろそろ宿題(って自分に課しているだけですが)の西野監督論を書く必要があるのだろうなと。
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2008年03月19日

好調アントラーズ、あるいは周辺

 何とか時間をやりくりして、何とか明日のホーム開幕戦に参戦可能となった。ところが、愛読しているベガルタ関連BLOGを、今朝読んでみると「サポータ自由席売切れ、チケット残が僅少」との記述。「さすがホーム開幕、認識不足だった」と反省しつつ慌ててコンビニに向かう。が、「サポータ自由席」を無事購入できた。怪訝に思い、先程そのBLOGを再読すると「チケットまだある」と修正されていた(笑)。いや、不満がある訳でも、文句を言っている訳ではありません。参戦できると判明した時点でチケットを押えるのは、鉄則な事を再確認したと言う事。でも、ホーム開幕戦、私がチケットを確保できないほど、売れ行きがよければ万々歳なのだけれども。
 ともあれ、久々にユアスタで戦えると思うと、何とも愉しみ。敵は、リトバルスキ氏采配には疑問は多いがタレントは豊富なアビスパ。得点へのアプローチに課題が残るベガルタがどう修正してくるか、など考えるとむしょうに愉しい。やはり、リーグ戦はいい。

 で、アントラーズ−ナムディン。
 本山の鋭さは益々冴えている。若い頃ほどのカミソリドリブルはさすがに見られなくなったが、一瞬の前進の速さは相変わらず。そして、局面ごとの判断がすばらしい。同じポジションで山瀬が代表で見事な存在感を見せているが、本山もいいな。もう1つ前目の大久保と併せ、今まで人材不足気味だったポジションによい選手が並ぶのは嬉しい。
 ベトナムの選手は相変わらず、局面のアイデアや変化は秀逸。ただし、アントラーズの選手と比較すると、フィジカルの切れが物足りないので、崩し切れない。昨年のアジアカップ、今回のACL、コンスタントに国際試合で日本や韓国との戦いを継続できれば、次第にこの国のサッカーの質は上がってくることだろう。
 シーズン前に「アントラーズは、レッズ、ガンバと比較して選手層が薄く、ACLとJの二股は辛いのではないか」との予想があった。しかし、アントラーズの選手層は薄くはないな。各ポジションのバックアップに伊野波、中後、ダニーロ、増田、興梠、佐々木、確かにレギュラの選手たちに比べればいくばくか不満がある選手たちかもしれない。しかし、皆出てくれば「やれる」タレント達だ。いわゆる欧州チャンピオンズリーグのトップチームで見られる「ローテーション起用」とは違うが、先日も大岩、岩政不在時もしっかり乗り切った。柳沢の移籍は痛かったが、一方であれだけの実績ある選手をバックアップとして保持するのは難しい。むしろ、柳沢を放出し、後方のポジションのオールラウンダの伊野波獲得にこだわったアントラーズフロントの凄みを感じる。強いチームとの重要な試合で小笠原が離脱しなければ、今期のアントラーズは相当行くだろう。
 内田に苦言。終盤5−0の時点で敵選手が負傷で倒れている時に、それを認識しながらボールを出さずに攻め込みを狙った。TV桟敷からも「危ない!」と思ったが、案の定敵DFに削られてしまった。明らかな敵DFのファウルでだった(内田を削りに行った選手には当然警告が出た)が、内田も報復に近い行動をしていた。内田よ、あれだけ大差がついている試合で、あのようなプレイをする意味があったか?大差がついていたのだから、冷静に試合を切ってもよかっただろう。むしろ、カッとして報復したプレイで退場を食らうリスクがあった事、さらには敵の無謀なラフプレイで自らを負傷の危険に招き入れるリスクがあった事を理解しているのか?

 そして、全南−ガンバ。この感動的な試合については明日以降。
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2008年03月12日

猛省せよ水本!

 アジアチャンピオンズリーグが始まった。くしくも、アントラーズもガンバもタイのクラブと対戦。結果は明暗を分けたけれど。

 アントラーズはクルンタイバンクのオフサイドトラップのミスから田代が先制し、さらにCKから岩政が追加点。以降はやりたい放題となった。クルンタイバンクもホームと言う事もあり、完全に引く体制を取れず、小笠原を軸とするパスワークに抵抗できなかった。アントラーズの快勝そのものは嬉しいけれど、もう少し抵抗のしようがあるのではないかと思ったのだが。スカスカのスタジアム、もっと遅い時刻に開始すれば客は入ると思うのだがちょっと残念。とは言え、100人単位のアントラーズサポータが元気に声援を送っていたのは、(もうJのトップクラブとしては当たり前過ぎる話かもしれないが)やはり凄いなと。それにしても敵地で9−1ですか。

 一方のガンバ。エルゴラッソによると、チョンブリはまごう事なきタイチャンピオン、GKのコーシンや守備ラインのナッタポンやナタポーンは、先日の雪の埼玉スタジアムに登場した選手たちだ。ホームとは言え、決して楽な試合にならない事が予想された。
 実際、冷静に分厚い守備を固めるチョンブリに対し、攻め切れない展開が続いた。分厚い選手層のガンバだけに、明神に代え寺田、安田のところにミネイロなどローテーション的な起用も妥当、寺田もミネイロもいいプレイを見せるのだが、どうしても崩せない。それでも遠藤を軸に丁寧に攻め込み、前半の終盤には相当な圧力をかけるが、攻め切れずに前半終了。
 後半アタマから、佐々木に代えて山崎を投入、前線に人を増やし圧力を高める。後半開始早々、山崎がペナルティエリア内で転ばされた場面(主審はPK取らず)を皮切りに猛攻を仕掛ける。この序盤の攻撃は、バレイの強さ、ルーカスの技巧、山崎の強引、二川の神出鬼没、寺田とミネイロの両翼、遠藤の展開、とバランスが取れており、非常によかった。
 ところが、遠藤のミスパスから始まったチョンブリの逆襲(それでもチョンブリは2人、ガンバ守備は4人)に対し、水本が軽率にチョンブリのネイ・ファビアーノに突破を許す。橋本が驚異的な危機管理力でネイ・ファビアーノのシュートはブロックしたが、こぼれた所をアルチットに冷静に詰められた。まさかの失点で0−1。どうでもいいが、このアルチットと言う選手は、スローテンポのゲームメーク、のんびりとした走り、だらしないユニフォームの着方、そしてこのシュートの冷静さ、色々な意味で遠藤によく似ていたな。
 以降、ガンバは必死の猛攻。播戸、安田を投入し圧力を高める。決して悪い攻撃ではないのだが、GKコーシンの神がかりの大当たりもあり、どうしても崩せない。コーシンが凄かったのは、ガンバの第一波の攻撃を防いだ後、こぼれ球を拾われた後のシュートに的確に反応していた事。これだけGKが冴えていると苦しい。さらには、前半と後半2回あった遠藤の直接FK、これも見事に防がれたのは、先日の埼玉でやられたコーシンの意地の見せ所だったのかもしれない。
 結果論だが、このような苦しい展開になると、明神の不在が痛かった。明神がいれば、敵のボールを敵陣近くで奪って速攻を仕掛けられたかもしれない。しかし、上記した通りこれだけ過酷な日程なのだし、ベテランの大黒柱に休養を提供するのも仕方がないだろう。明神にはこの日の休養を、今後の糧として欲しいところだ。
 遠藤を軸に最後まで丁寧に(パワープレイに頼らず)攻め懸けた事が、ロスタイムの同点弾を生んだ。残念な試合だったが、あの粘りと奪った勝ち点1は後々非常に重要なものになるのではないかと思う。

 しかし、この試合のガンバの不運の全ては水本の責任である。上記した失点場面。チョンブリの攻撃は、ネイ・ファビアーノとアルチットの2人だけ。にも関わらず、水本はネイ・ファビアーノの仕掛けに乗せられ突破を許した。不愉快だ、不愉快極まりない。水本は己の立場を自覚していないのではないか。先日、鄭大世にやられた場面と言い、日本の守備の大黒柱にならなければいけない立場を理解していないとしか思えない。執拗に強調したい、水本はシーズン始まって僅かな期間中に、鄭大世とネイ・ファビアーノに2回も重要な場面でやられたのだ。もう1回言うよ。水本は己の立場を理解していないのではないか。

 明日のスポーツ誌の見出しが全て「水本の大バカ」で埋め尽くされればよいのだけれども...
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2008年02月11日

シーズン早々から破綻する日程に思う

 以前より再三述べてきた話だが、今日の日本サッカー界のトップレベルの日程は破綻状況にある。

 ようやくワールドカップ予選のタイ戦が終わったと思ったら、今度は東アジア選手権に突入である。韓国、北朝鮮は日本以上に寒い国であり、中国はだだっ広いがやはり寒冷地は多い。4国ともこの時期にタイトルマッチを戦う意味があまりあるとは思えない。ワールドカップ予選だけはAFC(なりFIFAなり)の共通日程だから、2月に試合をするのは仕方がないのだろうが、どうしてわざわざ東アジアのタイトルマッチを今の時期に行なうのだろうか。
 と、最初は考えていたのだが、冷静にJリーグや日本代表の日程を見直すと、「日程消化」と言う観点から考えると、2月の開催の意味が見えてきた。ここで「日程消化」をしておかないと、どの時期に開催しようが、結局Jリーグの日程にしわ寄せが行くだけなのだ。つまり、東アジア選手権に参加するためには、2回の週末を含めた10日+αが必要。もし、シーズン中に本選手権を持ってくると、Jリーグ2試合を水曜開催にしなければならなくなる。今ならば、各Jクラブの強化には大いなる阻害にはなるが、試合日程を過密にせずに日程は消化できるのだ。もちろん、これは日本の都合であり、他の国の事情は不明だが。
 こうなってくると、誰もが「もう東アジア選手権など参加しなくてもよいではないか」と言いたくなる。いや、日本が参加しなければタイトルマッチとして成立しないのだから、「実施しなくてもよいではないか」が正しいか。実際、他3国にしても「どうしても実施したい」と思っているようには見えないし。
 そう考えてくると、東アジア選手権は開催しない訳には行かない事情があるのだろうと推測できる。
 おそらく、アジアの他地域との相対発言力の確保なのではないか。アジアには東アジア選手権の他に、地域大会が4種類あるが(東南アジア、南アジア、西アジア、ガルフ)、東アジア連盟の大会が他地域と同様にコンスタントに(かつ熱狂的に)開かれる事が必要との判断があるのだろう。もし私の推測が正しいならば、これは少なくとも、欧州や南米などの他地域では全くない現象であり、ただでさえ日程問題が破綻している日本にとってはつらい事になる(いや、協会首脳の天下り先が必要だとか、2002年大会共同開催決定時の裏取引だとか、他の大会を含めたスポンサとの契約だとか、他の理由かもしれませんが)。
 私の推測がどの程度当たっているかどうかは知らないが、日本協会は東アジア選手権出場の意義をはっきりと考えるべきではないか。ガンバの西野監督が
北京五輪へのシミュレーションにもなるし、五輪代表が東アジア選手権へ行った方がよかったのでは
語ったと報道されたが、これなどは実に的確な意見だと思う。
 いや、私の推測が当たっておらず、真っ向から「東アジア一を決める事が決める事が日本あるいは東アジアサッカー界の強化に重要だ」と信念を持っているならば、もっとよい季節にやればよいのだ。

 さらに状況をややこしくしている事態が2点。五輪代表の米国遠征と、ガンバのパンパシフィック選手権出場だ。

 まず五輪代表。
 反町氏の気持は痛いほどわかる。本田と水野が欧州に行き、家長が重傷と言う事態。個の強さだけで予選を勝ち抜いたチームだけに、早い段階でチーム作りを進めたいのだろう。しかし、本大会では当然オーバエージを使うのだろうし、さらにレギュラ確定に近い水本、内田、柏木、さらに本田と水野を抜きに、急いで遠征をしても、それほど有効な強化になるとは思えない(それにしても、反町氏は本当に谷口の事が嫌いなのだなと)。
 反町氏は、岡田氏とじっくりと話し合い、オーバエージやA代表の選手を自由に選考できる期間を確保し、強化を図るべきだと思うのだが。「岡田さん、水本と内田を貸しますから、○月は憲剛と前田と...」と言う取引をする方が、よほどメダルに近づけると思うのだが。

 そして、ガンバのパンパシフィック選手権。
 西野氏だって愚痴は出るよな。これだけレギュラを抜かれてしまっては、このタイトルマッチはどのような意味があるのすら、わからないではないか。ただ、ガンバの今シーズンの補強は非常に実効的なので、残留メンバを並べても、藤ヶ谷、山口、福元、ミネイロ、佐々木、明神、二川、ルーカス、バレイと、9人までは知名度が高く優秀なタレントが揃うのだな。ガンバならば、残り2人は優秀なユース出身のタレントがしっかりと埋めて機能するように思える。
 サポティスタ(最近の煽り過ぎはいかがとは思うが)などで、代表とクラブの対立、クラブによる負担の相違などが、相当議論されている。ACL出場の3クラブを比較すると、確かにガンバの負担は酷い(不思議にガンバとレッズの比較のみ議論され、アントラーズとの比較がなされないのが興味深いが)。日本協会がいささかケアに欠けている(あるいは岡田氏や反町氏がガンバと西野氏に甘えている)感は否めない。
 ただ、(とりあえずレッズとガンバの比較に問題を卑近化するが)各選手の視点に立つと、違う絵も見えてくるように思う。坪井は「自らゲームを降りた」のだから例外事項。レッズで今回重慶に行かない高原、阿部、闘莉王の3人は、「今回辞退しても、次回必ず呼ばれる」と確信を持っているはず。一方、ガンバの選手はいかがか。遠藤は別格、加地も当確だが、他の橋本、播戸、水本、そして追加召集の安田は、A代表に僅かに出場する機会すら逃したくないと思っている事だろう(ちなみに五輪代表の寺田も細貝も同様に五輪代表での僅かな機会も逸したくないと思っている事と推定する)。
 リアリストの岡田氏は、チームの中核である中澤、啓太、遠藤、憲剛、駒野は連れて行けるのだから、後は当落線上の選手達を3試合で試すよい機会だと思っているのだろう。阿部の離脱は誤算だろうが、上記の5人さえ揃っていれば、バックアップを試すよい機会だと割り切れるはず。
 西野氏のつらさは、遠藤と加地以外は、配下のタレントが代表で地位を確保できていない事なのだ。いや、加地だって、内田の参入で...

 全く無関係なホンネ。パンパシフィックで、ベッカムを削る安田を見られなくて残念。
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2008年02月10日

福田健二の苦闘

 リーガエスパニョーラの2部のラスパルマスで活躍する福田健二を採り上げたテレビ番組「情熱大陸」を見た。
 昨シーズン、同じく2部のヌマンシアで10得点を上げた事が結構話題になった。つい先日には、宇都宮徹壱氏が福田のインタビューを行ない、その導入部で
いよいよ南アフリカへのチャレンジが始まる今年、まるで地下水脈がわき出るかのように、ファンの間で「福田健二待望論」が静かに、しかし確実に広がりつつあるように思えてならない。
とも述べている。個人的に、福田の代表入りの可能性などは考えていなかったし、そのような考えを持っている人がいるとの話も聞いた事がなかったが、「氏がそこまで言うならば、相当な活躍をしているのだろう」と期待して、テレビ桟敷に座った。
 しかし、そこに流れてきた映像は移籍後、負傷が続き、思うように活躍ができない福田健二の苦闘ぶりだった。ラスパルマス移籍後は僅か1得点、しかも負傷がちで出場もままならない。ちょうど映像に出てきた試合では後半から起用されながら、僅か8分で負傷交代。さらには番組のクライマックスとも言える最後の場面では試合終了間際に自ら倒されて得たPKを失敗。少なくともあの番組を見た限りでは、代表チーム入りの可能性など微塵も無いだろうし、このままでは来シーズン以降のプレイの場さえ危ぶまれる悲惨な状況だった。

 福田健二のデビューは鮮やかだった。96年シーズンに習志野高からグランパスに加入。小倉の負傷などもあり、いきなりJ開幕直前のゼロックススーパーカップで、ピクシーと2トップを組み、得点を決めている。98年にはシドニーを目指していた五輪代表にも選考される。この五輪代表のFWは、高原、柳沢、平瀬、それに吉原あたりが争う事になる訳だが、このチームの立上時においては、福田も相当高い評価を受けていたのだ。当時から福田の持ち味は、打点の高い空中戦と強いインステップキックのシュート。いわゆるストライカらしいストライカとして期待は大きかった。
 ただ、このあたりのチャンスを活かせるかどうかは、結構、運、不運が左右する。例えば、五輪最終予選の国立タイ戦。福田はスタメン起用されたが、守備を固めたタイを日本は攻めあぐむ。後半福田に代わって起用された俊足の平瀬が2得点を上げる活躍をするのだが、前半福田がガツガツ行って、敵の守備を消耗させた貢献などはどうしても目立たなくなっていた。そうこうしているうちに福田はトルシェ氏に選考されなくなってしまう。
 さらにグランパスも呂比須やウェズレイなど強力な選手を補強した事もあり、もう1つはっきりした活躍ができぬままにFC東京に移籍。そこでも今一歩で、当時J1残留にもがいていたベガルタに移籍。個人的には上記の経験もある福田が、我がベガルタで相当な活躍をしてくれないかと期待もした。
 けれどもそうはならず、福田はベガルタに保有権を残したまま、中南米、スペインのクラブを転々とする。冒頭に述べた通り、ヌマンシアで活躍した福田は相応の評価を得たのだろう。「情熱大陸」でも言及された通り、ラスパルマスは結構な移籍金を払って福田を獲得したとの由(つまりその移籍金はベガルタにも入ったのだろうが)。
 
 以上クドクドと書いてきた通り、私は福田と言う選手には結構期待してきた。各国転戦後は、映像を見る事も叶わないでいたので、この番組は貴重なものだった。内容は重苦しかったけれど。
 2部リーグのクラブが、他のクラブでそこそこ活躍した外国人ストライカを獲得する。しかし、そのストライカは怪我が多いは、PKは外すは、と言う状態。これは例えば、ベガルタが、昨シーズンホーリーホックで活躍したニュージーランド人のストライカを雇い、その選手がほとんど活躍できていないようなものだな(そう言えば、ラスパルマスのユニフォームはベガルタのそれに似ていたし)。これはさぞや居心地が悪いだろうな(さすがに仙台では、奥様や娘さんが周囲から「何やっているのよ」と非難はされないだろうが)。

 福田健二がこれからどのような活躍をしてくれるかはわからない。年齢的にも柳沢の同期にあたる福田(つまり中村よりも高原よりも年長)が、今後A代表に召集される可能性は極めて低いだろう。しかし、欧州の2部リーグでグレードアップを狙うストライカがいる事は、日本サッカー界をより分厚くする事だけは間違いない。何とか負傷を克服し、結果を出して欲しいものだ。
posted by 武藤文雄 at 23:59| Comment(3) | TrackBack(1) | 海外

2008年02月09日

プレミアの海外開催案について考える

 プレミアリーグが、日本を含む海外での公式戦開催を検討していると言う。これが実現すれば、ある意味で、ボスマン判決以上に世界のサッカーシーンを変える可能性がある案である。私が探した限りでは日本の報道ではもう1つ詳しい情報を見つける事ができなかった。そこで、自分が参照にしたのはこちらこちら、もし興味があれば。

 最初に私の考えを述べておく。私はこの案には感情的には99%反対である。そして、理性的には90%反対だが、10%程度迷いがある。以下理由を述べる。

 私の感覚が古いのかもしれないが、サッカーの基本は国内リーグの充実につきると思っている。原則ほぼ隔週で自分のクラブのホームゲームとアウェイゲームが交互に訪れるリーグ戦が、機能する事がその国のサッカーの健全な発展を支えるのだ。
 プレミアが、イングランド国内にとどまらず世界中を市場にして稼ごうとするのは、ビジネス的には不思議な事ではない。これまで、世界中に映像やロゴマークを販売する事で、ある程度その成果は出ていたのだろう。現実的に、英国のかつての植民地だった一部のアジアの国で、国内リーグが盛り上がらない理由の1つに、プレミアの人気が高過ぎるからと言う現象が起こっているとも言うし。つまり、映像を流布し、Tシャツを売るだけで、一部の国の国内リーグの活性化の阻害となっているのだ。そして、プレミアの今回の計画通りに、他国で試合などした日には、どんな混乱が起こるか。
 FIFAは「各国のサッカー界を健全に発達させる」と言う名目で各国のサッカー界を一元的にコントロールしてきた。サッカー協会を1国1つに制限しているのが、最も顕著な例である。同時今回のプレミア案のように、他国の「興行権」を守る事に神経を注いできた。(最近のFIFAがどの程度「大所高所」に立っているかどうかはさておき)少なくとも前のFIFA会長の時代までは、全ての国が独立して充実した国内リーグ戦を持つ事が世界のサッカーの発展につながると言うコンセプトで、世界のサッカー界が運営されていた(もちろん、スタンレー・ラウス氏時代までは純粋に「発展」が重視され、アベランジェ氏になってからは「経済利益のための発展」に置き換えられた印象もあるが、まあそれはさておき)。
 私は、このFIFAの発想は基本的には正しいと思っている。これが感情的に99%反対する理由だ。 
 もっとも、日本においてプレミア進出はそれほど深刻な事態にならないような気もする。現実的に日本でプレミアの試合が行われたとしても、Jリーグへの営業妨害につながる可能性は非常に少ないように思えるからだ。Jリーグのサポータと、日本でプレミアが開催された事を喜ぶセグメントは、ほとんど重なりがないのではないか。それと別に、自分自身も、日本代表とベガルタとその他のJリーグと少年団の行事と本業に重ならなければ、直接見に行ってみたい気持ちもあるしな。だから、感情的には1%は否定できないでいる。
 本件については、早々に日本協会も反対の意思表示をしたらしい(この意思表示についても、日本語の記事を見つける事ができていないのだが)。妥当な反論だと思う。
 
 一方で、プレミアの具体案には相当無理がある。さすがにホーム&アウェイの原則は崩せないので、通常の総当たりリーグ戦の他に全チーム1試合ずつ増やし、その試合を世界中で行おうと言う魂胆らしい。これでは、さすがに不公平だろう。総当たり2回戦の他に、抽選でもう1試合行う試合を決め、その試合を世界中の津々浦々で行う企画が正常とはとても思えない。と言って、海外開催でカネを稼ぎたい気持ちは山々でも、ホームゲームを減らしたら、本国で暴動が起こるだろうし。
 さらに実行面でも疑問は多い。上記したURLのIndependent誌によると、開催時期候補は1月、候補都市はシカゴ、ニューヨーク、ヨハネスブルグ、北京、そして東京などが挙げられている。この季節は、イングランドの各都市も寒いだろうけど、(ヨハネスブルグ以外の)これらの都市も相当寒いよ。いくら、金儲けのためとは言え、本国で試合をすれば楽なのに、わざわざ遠路はるばる旅をして公式試合をするのでしょうか。タイ代表のチャンウィット監督が聞いたら、呆れ果てる事だろう。
 そう考えると、これらの計画は実現性にも問題がある。このような無理を強行してロクな事はないのだ。だから、理性的にも90%はこの計画に対し反対。そして、実現も相当難しいだろうなと思う。

 ただし、理性的に考えると、10%程度考えてしまう事があるのだ。
 FIFAの各国保護行政は、本当に将来の世界サッカーの発展にとって正しいのだろうかと。
 少なくとも、通常の産業においては、何がしかの国家保護政策が行われる事は、長期的に見てロクな事はない。あまりあけすけに書く事ははばかられるが、現在の日本で青息吐息の企業の多くは、国が(短期的な視野や圧力団体におもねる事で)余計な保護(や干渉)を行い、結果的に競争力を失った場合が多い。そう考えると、迷ってしまうのだ。一切の保護が無い状態での競争こそ健全ではないかと。
 言い方を変えようか。たぶん、私が生きているうちは無理だと思うが、時間は多くの物事を変えるはずだ。22世紀も間近になった頃には、日本はブラジルやアルゼンチンと同格の世界屈指のサッカー強国になっているかもしれない。その時、世界最強クラブの1つのベガルタ仙台の公式試合を、ロンドンやマンチェスターやリバプールのサッカー好きが見たいと思うかもしれないではないか。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 海外

2007年12月23日

拡大トヨタカップ 2007年12月16日の満喫 その3 レッズサポータと共に

 レッズ−エトワール戦、私はレッズサポータの方々の真ん中で観戦する機会を得た。ご承知のようにトヨタカップのチケットは完全指定席方式。さすがのレッズサポータ諸兄も、まとまった席の確保は困難だったようで、ゴール裏2階席中央部に終結を試み、たまたまその一角の席の指定券を私が持っていたと言う事なのだが。
 キックオフ約15分前にゲートをくぐると、通路はレッズサポータ諸兄で満ち溢れている。その混乱を掻き分けて自分の席に行くと、赤い服を着たお嬢さんが荷物を置いている。
「すみません、ここは私の席だと思うのですが。」
と言うと、慌てて荷物をよける。どうやら、とりあえず空いている席を占拠していただけの事らしい。後から後から指定券を持った人間が来るたびに混乱が起きる。若い男性レッズサポータが
「すみません、悪いのは我々だと言うのはわかっています。拙ければすぐどきます。他にやりようがなくて...」
と言い訳していた。クソ真面目な考えからすれば「自分の席で応援する」と言うやりようはあるかもしれないが、私はそのような杓子定規な野暮は大嫌いだから、できる限り協力した。とにかく詰めて立って通路も使えば、座席数の倍以上の人数が収容できる。不平がありそうな方には
「彼らは決勝になればいなくなるのだし、大事なタイトルマッチなのだから、協力しましょうや。サッカーちゅうのはこう言うものですし。悪いのは日本協会ですから」
と、レッズに無関係そうな声の大きい中年男がなだめて周辺の整理を行なえば、少しはトラブルも小さくなると言うものだ。周辺にトラブルがあると、集中して観戦できないと言う切実な事情もあったのは認めるが。それにしても、他クラブのサポータから再三レッズサポータの量に任せた狼藉に対する不平をよく聞くが、この日に関しては私の周囲にいた皆さんは皆礼儀正しかった。
 この大会の日程が準備された時点で、レッズ(あるいはフロンターレ)がこの試合に登場する確率は決して低くはなかった。(地元枠と言う極めて恥ずかしい問題を抜きにしても)例えば1万人分とかの枠をACLの決勝終了後に売り出すだけで、状況は随分と改善されたと思うのだが。

 考えてみれば、他のクラブの応援振りを横から眺めるのは簡単だが、サポータの真っ只中で観戦すると言うのは得難い経験だ。
 この日私のスタンスは「結構熱心にレッズに勝って欲しい」と言うもの。それは以前から述べているように、私はベガルタのサポータであると同時に日本代表のサポータであり、世界の中の日本サッカー界のプレゼンスが向上するために、この大会における日本クラブの好成績は重要だと思うからだ。だから、ミラン戦では、レッズがよいプレイをすれば「持ち上がれ阿部!」とか「よっしゃ啓太!」と騒いでいたし、失点場面では「あいやー坪井!」とか「中央に2人目が来るぞ!」などど絶叫していた。
 しかし、レッズサポータに囲まれた状態は想定していなかった。と言って、一緒にコールしたり歌うのもねえ。少なくとも私の周囲のレッズサポータの方々ほど、心底勝利を祈っているかと言うと何とも言えないし。大体、「UuuuuhW! uWashington!」コールならさておき、心の中で、「Ah... I am not a member of REDS, but ... I sincerly hope REDS will win...」などと思いながら「We are REDS!」なんてコールするのは、やはりレッズ諸兄に失礼と言うものだろう。
 ともあれ、歌ったり踊ったりコールしたりを除いては、レッズサポータと呉越同舟(もっとも呉と越ほど敵対はしていないと思うが)しながら、ミラン戦同様、あらん限りの声で好き勝手な野次を飛ばし、坪井と都築のおバカに頭を抱え、ワシントンの得点に絶叫する事になった。PK戦後は横にいたおじさん(と言っても私よりは若かったな)に勧誘され肩を抱いて踊り狂う事になったのだが。
 他のクラブの応援振りを間近で見るのも、勉強になるものだな。大体、遠くで聞いていると、コールや歌は何を述べているのか聞き取れない事が多いのだが、さすがに間近で聞けば意味もよく理解できる。確かに「赤き血のイレブン」は格好いいし。ちなみに一緒に観戦していた友人が、「あの永井って言うのは、玉井真吾の息子なのか」と訳のわからない発言をしていたな。違うよ、大永井の息子はレイソルだって。

 1つだけ残念な事。試合終了後、レッズサポータ達が「We are DIAMONDS」を歌い始めた。あの「Sailing」の節のやつだ。普段レッズの試合後にこれを聞くのは忌々しい思いになる事も多いが、この日に関してはまあよいだろう。
 と思っていたら、主催側が信じ難い暴挙。サポータが朗々と勝利を愉しんでいる時に、突然Chemistryが現れて、歌い始めたのだ。当然、競技場中のスピーカから歌声が流れ始める。繰り返すが、これは許し難い暴挙だ。サッカー場はサッカー人のためにある。試合後、サポータは勝利を喜ぶ権利がある。それを土足で踏みにじるような行為である。加えて、この時点で決勝のキックオフまで1時間以上時間があった。ほんの数分くらい待てば問題なかったのに。つまり、最初の台本がヘマだったのだ
 これは、Chemistyはもちろん(と言うか、あれだけのミュージシャンがあのような悪い雰囲気で歌わざるを得なかったのは気の毒だ)、仕切った広告代理店が悪いのではない。悪いのは日本サッカー協会だ。あのようなイベントでは、台本製作前にサッカーサイドが「サッカーの都合」を適切に伝えておかなければならない。もっとも、当日の進行現場側も柔軟な進行をもう少し考えてもよかったとも思うが。Chmistryのスケジュールの都合だろうか。
 まあ、レッズサポータ達もさすがで、全く妨害を気にせず朗々と歌っていたけどね。

 終盤ボロボロになっていたレッズについては過日述べた通り。心底「どうしてこの男達は戦い続けられるのだろうか」と思った。そして、それに対する推論を少し。
 上記の私の疑問に対し、「レッズサポ」さんが「客席にいたなら、わかるでしょ?」とコメントして下さった。おそらく「レッズサポ」さんは「自分達の壮大な応援が選手達を支えたのだ」と言いたいのだろう。
 しかし、それは違うと思う。もちろん、応援が勝たせる試合と言うものは結構ある。しかし、応援でいつも勝てるならば、レッズはJリーグ黎明期からトップを走っていただろうし、ベガルタだってすぐにJ1に昇格している(泣)。
 この日参戦できたレッズサポータの方々の見事な応援は実感したが、個別のサポータの応援そのものはどこのクラブでもそう変わるものではない。レッズ応援席の真ん中にいたベガルタのサポータがそう実感したのだ。いや、他クラブのサポータの方々だって、そう考える事だろう。
 しかし、レッズサポータが他クラブより優れている事がある。あの多人数のサポータの整然とした応援だ。言うまでもなく、まず人数が違う。さらに、その人数にも関わらず、声が揃っているとか、ブーイングのタイミングがよい、とかの応援技術も相当なものだ。さらに加えて、入場時の見事な自主規制とか、チケット確保の手練手管など、競技場周辺でのスキルも大したものだ。レッズサポータの凄さと言うのは、そのような総合力なのだ。無論、時にその凄さが他クラブのサポータに大いなる不快感を与える事例も見聞きするのだが、それはこの日の本題ではない。
 しかし、この日は上記した日本協会のチケット販売の段取り悪さもあり、これらのレッズサポータの利点を思うように活かせない試合だった。そう、この日のレッズは上記「レッズサポ」さんがおっしゃってくれた「客席にいたなら、わかるでしょ?」が、通常通りに機能しない日だったのだ。極端な事を言えば、この日のレッズイレブン(正にイレブンだよな、オジェク氏は交代すら使わないのだから)にとっては、この日本協会の段取り悪さに始まるサポータの少なさも、苦闘の要因と言えたかもしれない(誤解されては困るが、私の周囲のレッズサポータの方々は大したものでしたよ)。
 それでは彼らは勝ち抜いた。だから感心したのだ。「どうしてこの男達は戦い続けられるのだろうか」と。

 おそらく、累積値なのだと思う。
 今年の天皇杯決勝で、私はブッフバルド氏がレッズに叩き込んだ「勝利のメンタリティ」に感心した。そして、その「勝利のメンタリティ」は今シーズンを通してさらにレッズの中で研ぎ澄まされたのだろう。選手のプロフェッショナルな姿勢と、(あの非交代策、ターンオーバの否定により私はオジェク氏をあまり評価していないが)オジェク氏を初めとするコーチ陣の指導と、阿部の補強に代表されるフロントの手腕と、そして過去から綿々と続けられてきたサポータの応援と、それぞれが累積し、この日の信じ難い勝負強さになったのではないか。
 あの苦しい後半戦、2−1に突き放したきっかけは啓太の「ここしかない」と言う場面での前進だった。同点となった終盤、これまでフラフラボロボロだった若い細貝の攻め上がりから決定機を掴んだ。彼らのあの信じ難いガンバリは、過去のレッズの累積値が作り上げたものだったのだ。

 今シーズンは、フロンターレの凄絶なPK負けと、レッズの信じ難いPK勝ちを体験できた。この2試合共にJリーグ15年の集大成とも言うべき試合だったのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(16) | TrackBack(0) | 海外