2007年04月19日

メッシ

 まあ、何と言ったらいいのか。

http://www.youtube.com/watch?v=YDoHBK2NFsA

 講釈のしようがないと言うか。

 ただ、あきれるのは、最後GKを抜いて身体が外に向いた状態で、敵DFのスライディングを読んで(あるいは見て?)利き足でない右でシュートを浮かす事ができると言う事。

 ディエゴと比較すると
(1)ワールドカップの準々決勝と言う場の重さ
   加えて66年以降因縁があったイングランド戦
   と言う事、さらにその直前の1点目の「神の手」
   対して、こちらは一介のリーグ戦の1試合
(2)ディエゴのドリブルがワンタッチずつ加減速が
   入るようなステップに対し、敵がいない時の
   メッシのドリブルはひたすら速い。
   が、一本調子になったと思わせて、敵が立ち塞がった
   瞬間に変化が生まれる。
   ディエゴにやられた守備者は「何が起こったかわからない」
   だったろうが、メッシにやられた守備者は
   「わかっていてもやられる」と言う印象か。

 まあ、それにしても恐れいりました。
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2007年04月12日

積年の恨み

 1985年11月3日、ソウルは蚕室オリンピックスタジアム。1週間前に国立競技場で1−2で敗れていた日本は、敵地で韓国に苦戦していた。2点を取らなければならないので、「攻撃的」に戦うために、西村昭宏を外し中盤に木村和司とジョージ与那城を並べたために、逆にボールが拾えなくなり韓国に攻勢を許したのだ。それでも圧倒的にボールを回されながらも、加藤久と宮内聡を軸に丹念に守り続け、前半を終了した。試合展開としては苦しいが、何とかこのまま守りのペースを掴み、木村のセットプレイから点を取りたい流れだった。
 ハーフタイムに攻勢の韓国は中盤のトップの選手を代えてきた。これまでトップ下を務めていた李泰昊は、小柄で非常に質のよい動きをする選手で、国立でも逆襲速攻から鮮やかな2点目を決められている。しかし、必ずしも技巧的な選手ではなく、この日は宮内がスペースを消す事でよく押えていた。その代わりに17番をつけたしなやかな選手が出てきたのだ。この選手が巧い、巧みなドリブルで宮内を引き出し、ペナルティエリア前にスペースを作るのだ。「誰だ、あの17番は?」私が騒ぐと、後ろで観戦していた韓国人(日本語ができる人だった)が教えてくれた。「許丁茂です。」「あの許丁茂ですか、オランダから帰ってきた。」

 70年代半ば、毎回毎回やられていた頃の韓国の攻撃ライン。スピードも技巧も抜群の車範恨、悪辣な駆け引きで知られた金鎮国、トリッキーな技巧の李栄武、そして彼らと共にしなやかなドリブルで我々を悩ませていたのが許丁茂だった。
 80年代に入り、「どうも最近見かけなくなったなあ」と思っていたら、オランダのプロリーグで活躍しているとの報道を目にした。当時欧州で通用した韓国人選手は車範恨だけではなかった訳だ。その許丁茂が帰国して代表にも復帰したとの報道は目にしていたが、国立には登場しなかった(負傷で間に合わなかったらしい)ので、すっかりその存在を忘れていた。ところが、この苦しい局面で、再びその悪魔のようなドリブルを見せてきたのだ。

 許丁茂の登場で日本はますます劣勢になる。そして、負傷した石神良訓の代わりに起用された越田剛史のミスから、崔淳鍋が強烈なシュート、ポストに跳ね返ったボールを冷静に詰めたのは許丁茂だった。
 本当に、本当に、本当に、忌々しい選手だった。

 以下引用(J's Goalより)
完全に負けました。サイドからの攻撃が悪かった。内容が悪く完全に負けました。最初は3バックだったのですが、後半から4バックに変えましたがこれも良くなかった。キム・チウがいなかったのが悪かった。
25日に向けて特別に何かをすることはありません。国内での戦いもありますので。国内に向けて練習したい。ベスト8には上がれないと思います。国内のタイトルを狙います。

 あの許丁茂にここまで言わせたのだ。憲剛とその仲間達、いや全てのフロンターレ関係者、特にホームチームを完全に圧倒したサポータ達に多謝。
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2007年04月06日

隣国のホテルにて

 本業都合で隣国にいる。
 たいていのホテルにはケーブルテレビがあり、夜時間をつぶすためにサッカー観戦と相成る。例えば先日のブラジル−ガーナあたりを堪能する事ができた。が、どうでもいいけれど、今回ちょっと困った事があった。。
 ご承知のように、隣国の言葉と言うのは、実に見事な記号体系で構成されている。さすがに喋れないけれど、一種のローマ字みたいなものだから、何回も訪問していれば、そこそこ読む事ができるようになる。これは、この国を旅する時には重要。1人で街をウロウロして飯を食う時に、その店が私の好きな「スンドゥプ(柔らかい豆腐と卵が辛くて熱々の魚介スープに入っている)」とか「サンギョプサル(豚の焼肉、脂分を焼きながら落として塩ダレで食べる)」を出してくれる店なのかを確認するために必要な能力だ。ただ何せ記号を頭の中で変換するものだから、少々時間がかかる。言い換えると、その店が「サンギョプサル」を出す店なのか「サンゲタン(もち米や朝鮮人参が鳥の腹に詰められて煮込んだスープ)」なのかは、「サン」から始まる3文字をジーッと眺めて、「サンG...」と言うペースで読んだ後、おもむろにいずれかを判断する程度の、トロトロ読みしかできないと言う事。
 で、テレビでサッカーを見ていると、当然選手名やチーム名が出てくるのだけれど、上記のペースでトロトロ読みをするのだが、読みきれずにテロップが消えてしまうと、結構ストレスがたまるのだ。まあ、こちらが悪いのだけれども。で、昨日偶然見る事ができたのが、上記ブラジル−ガーナの他にアジアフットボールショー。
 これが、先日のレッズがシドニーと引き分けた日のアジアチャンピオンズリーグの特集だった。で、画面の表記は英語ではなくて、現地対応になっているものだから、上記のトロトロ読みをしていた。シドニー−レッズ後のペルシク・ケディリ−上海申花あたりは、チーム名がある程度頭に入っていたから、ちゃあんとテロップが消える前に読めた。それにしてもペルシク・ケディリが奪った1点は見事だったな。
 ところが...舞台が西アジアに移ると私は恐慌に陥った。ほとんどのチームが「アル」と言う一文字から始まるのだ。トロトロ読みで「アル...」と読み始め、次の言葉に移って変換しているうちに、テロップが消えてしまう。そうわかっていても、「アル」を飛ばして2文字目から読むほどの能力はない。かくして、登場しているクラブが「アル・ヒラール」なのか「アル・アイン」なのか「アル・イテハド」なのか「アルメニア・ビーレフェルト」なのか「アルゼンチン代表」なのか「アルビレックス新潟」なのか、判別できないうちに、映像が進むものだからもう大変。映像を愉しむよりも、これは一体何と言うクラブなのだと悩む事になってしまった。後から冷静に考えれば、別に中東のクラブ名がわからなくても、どうせゴール場面を中心にしたダイジェストなのだから、それだけを愉しめば別によかったのだけれども。いやそれだけなのですが。
 ちなみにフロンターレがバンコク大学にしてやられた試合は、映像がなく結果だけでした。理由不明。
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2007年03月30日

拡大トヨタカップ地元開催枠を嘆く

 大変残念なニュースだ。拡大トヨタカップに地元枠が設けられてしまったらしい。何とか、今からでも地元枠を無くせないものだろうか。
 私が地元枠に反対する理由は以下の2つ。

 まず1つ目。これにより恒久的な日本開催の可能性が格段に低くなってしまったと言う事だ。1981年以降、28回に渡り我々はトヨタと言うこの大会のスポンサ企業がいたおかげで、この素晴らしい大会を体験する事ができてきた。そして拡大トヨタカップになってからも少なくとも3シーズンは、この恩恵にこうむれると言うところまではわかっている。しかし、地元枠が登場した事により、これは同時に開催国恒久化は否定されたと考えるべきであろう。もちろん、地元枠がなくとも、開催国が変わっていく可能性はあったかもしれない。けれども、地元枠が設定された以上、そうなる確率は高まったと考えざるを得まい。
 逆の目もあり。もし地元枠が設定されてもなお、日本開催が継続したら(と言うより地元枠が設定された以降も日本協会が本大会を招致するとすれば)、これは以前も述べたが、日本サッカー界は極めて格好悪い状況に置かれる事になる。これはこれで、日本のサッカー人として他国のサッカー人に対して非常に恥ずかしい事だからやめて欲しい。
 
 2つ目の理由。この大会は「出場するのが極めて困難な大会」だからこそ存在感があると言う事に、地元枠は矛盾するからだ。ワールドカップを初めとして、他の全てのFIFA主催大会には地元枠が存在する。しかし、ワールドカップに出場する事と、拡大トヨタカップに出場する事の困難さは格段に異なる。ワールドカップは国単位の大会であり、その国のサッカー力がある程度高ければ、4年に1回とは言え、それなりに出場機会は得られる。けれども、拡大トヨタカップは異なる。自国のタイトルマッチを獲得し(あるいは上位に進出し)、さらに厳しい大陸の大会で優勝しなければ出場権は得られない(ワールドカップと異なり毎年開催されるが、それが頻度面でワールドカップ以上のものにはならないのは言うまでもなかろう)。自国がワールドカップに出る事のできる確率と比較して、自分のクラブが拡大トヨタカップに出る事のできる確率は格段に低いのだ。
 過去日本で同等の権利を獲得したクラブは(前身のアジアチャンピオンズカップ時代を含めて)古河電工、読売クラブ、そしてジュビロ磐田の3つしかない。過去アジアチャンピオンズカップあるいはリーグは26回行われており、その間日本のクラブが3回しかアジアチャンピオンになれていないのは、やや少なすぎる感もあるけれど、一方ではそのくらい希少なものと言う事がわかるだろう。
 現在大会が佳境の欧州チャンピオンズリーグはベスト8までチームが決まっているが、金満の名門がズラリと並ぶこの8強の中でも、ローマ、チェルシー、バレンシアの3クラブは過去この栄誉を獲得していない。さらに欧州の名門中の名門であるバルセロナやマンチェスター・ユナイテッドやインテルでさえも、この栄誉の獲得は2回のみである。
 この大会への出場権と言うものは、そのくらい尊いものなのだ。希少なものは、希少な状況に保たれるからこそ価値がある。
 類似のチーム数の大会としてコンフェデレーションカップがあるが、この大会は地元国が出場したりいかにも曖昧なレギュレーションのせいもあり、世界的にはそれほど重要な大会とは認識されていないのは、皆さんご存知の通りである。

 もっとも、この手の世界大会を、日本で独占しようと言うさもしい根性がいけないと言う考え方もあるな。まあ、観客動員促進の目的で出場権のある6クラブの所属国で大会を実施するならば、仕方がないとも思うだろうが。大体、この大会は今日本で開催されているから、(悔しいけれど)地元枠と言っても世界サッカー界から誤差で片付けられるのだ。もし、イタリアやスペインで開かれた場合はどうするつもりなのか。

 救いは今のところ本件に関しては(私が調べた限りでは)、日本協会からは協会会長恒例の能天気なコメント付のリリースが流れてはいるものの、FIFAからは明確なニュースリリースが流れていない事か。
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2007年03月25日

フリオ・セサル・ウリベ氏に思う

 昨日日本と対戦したペルー代表の監督は、フリオ・セサル・ウリベ氏。この人は82年スペインワールドカップでペルーの攻撃ラインのエースとしてプレイした選手だ。
 ペルー代表はこの82年以来、ワールドカップには出場していない。しかし、70年代は70年大会、78年大会それぞれに出場し、共にベスト8入りを果たしている。この2つの大会では、テオフィロ・クビジャス(90年イタリア大会中、このスーパースターに出会った私は記念写真を撮ったのじゃ)、エクトル・チュンピタスと言ったスーパースターが活躍、いかにも南米風の高度な個人技を軸にした美しいサッカーを見せていた。面白いのは70年大会では準々決勝でブラジルに、78年大会では2次リーグでブラジルとアルゼンチンにそれぞれ完敗して引導を渡されている事。つまり、南米の大会で南米の強豪に敗れているのだ。特に78年大会では、2次リーグ方式でブラジルとアルゼンチンが同勝ち点で並ぶのだが、リーグ最終戦でアルゼンチンがペルーに6−0で完勝して、その得失点差で地元アルゼンチンが決勝進出すると言う、いかにも怪しげな敗戦劇を演じている。
 70年代に強豪だった国は、私のような年齢の人間には鮮烈な印象として残っているのだ。ポーランドもそうだな。
 残念ながらウリベが若きエースとして期待された82年大会は、カメルーン、イタリアと引き分けたものの、ボニエク率いるポーランドに完敗し、1次リーグ敗退。余談ながら、このグループはこのポーランド−ペルー戦以外の5試合は全て引き分け、イタリアとカメルーンは勝ち点3で並ぶも、総得点でイタリアが2次リーグ進出と言う際どさだった。このようなすり抜けをする時のイタリアは順調な訳で、2次リーグ以降アルゼンチン、ブラジルを連覇し優勝に向かうのだが。
 以降、ペルーはワールドカップに出場できていない。南米においては、アルゼンチン、ブラジルの2強が他を圧しているが、他国はほぼ横一線。その中でもウルグアイ、パラグアイのように強固な守備、チリのサモラノ、コロンビアのバルでラマのような化け物、エクアドル、ボリビアのような高地(笑)などの決定的な武器を持たないペルーは、どうしてもあの激烈な南米予選を勝ち抜けていないと言うところだろうか。

 話は戻って選手ウリベ。82年大会前は、若きペルーのエースと期待されたのだが、これがすっかり期待はずれで上記のように1次リーグ敗退となった。そして、ウリベはワールドカップで復讐戦を演じる事なく、世界の舞台には再登場しなかった。大会前に騒がれ、期待はずれと言うと、78年大会のジーコもそうだった。けれども、ジーコは82年大会、4年前の屈辱を晴らす大活躍を見せた。

 と言う事で、中村俊輔よ。ウリベではなく、ジーコを目指してくれ。あ、監督としてではもちろんないです、選手としてですよ。
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2007年02月02日

史上最高の9番

 先日のベッカムに続き、ロナウドまでがレアル・マドリーを去る事になった。一連の「銀河系政策」が終わりを告げたと言う事だろう。50年前とは時代が異なっていたのか、人材選考が悪かったのかはさておき、長期的観点からは「正常化」と言う言葉でくくられるのだろうか。私は過去も述べたが、「銀河系政策」には否定的な論陣を張ってきた。もっとも「銀河系政策」に関しては、2002年12月のトヨタカップで少々食あたりを起こしそうな脂っこさではあったが、非常に美しいパスワークを堪能できたのだから文句を言ってはバチがあたるかもしれないが。 

 ともあれ、ロナウドはサンチャゴ・ベルベナウを去り、サン・シーロに復帰する。今度は青黒ではなく、赤黒になるのだが。



 で、今日の本題はロナウドについて。 私は、「この選手は史上最高のセンタフォワードではないか」と思ったりするのだ。

 あの98年の爆発的なドリブルシュート。力強さ、スピード、技巧が全てバランスが取れた美しさ。そして、その爆発ドリブルで抜け出し、シュートを打つ直前の丁寧で正確極まりないボール扱い、強く低くゴールに流し込まれる軌道の見事さ(準決勝で、その若きロナウドを阻止したダヴィッツの歴史的なスライディングタックルも忘れ難いが)。そして、謎の決勝直前の体調不順。

 続く02年、1次リーグの序盤のグダグダ振り。1/16ファイナルのベルギー戦、狙い通りの見事なサッカーを見せるベルギー(あの神戸の試合、私はこのままベルギーが押し切ってブラジルが脱落すれば、「日本が決勝進出できる可能性が格段に高まる!!!!」と興奮を禁じ得なかったのだが(笑))に苦戦するブラジル。しかし、リバウドの信じ難いバックボレー。そして、ロナウドの冷静な一撃。そこから、フェリペブラジルの快進撃が始まる。イングランドをリバウド、ロナウジーニョの2得点で下して迎えた準決勝。トルコの分厚い守備に苦戦するブラジル、そして速攻から「左」サイドをロナウドが突破する、しかしロナウドに対峙するのは、この日(と8日前の日本戦で)大当たりしていたトルコGKリュストゥ。切り返して得意の右に持ち帰るスペースはトルコ守備陣が与えてくれていない。一方、不得手な左足でのシュートでは、リュストゥを破るのは難しそう。と、トルコゴール裏で見ていた私が考えた瞬間、ロナウドは信じ難いアイデアを発揮した。ドリブルで持ち上がりながら、利き足の右でトーキックでシュートしたのだ。全くタイミングを逸したリュストゥには防ぎようがなかった。何と言うアイデアなのだ。その後の決勝、ロナウドは(この決勝戦に進出するまで完璧なセービングを見せていた)名GKカーンの信じ難いファンブルを詰める事で、母国に5度目の栄冠を提供し、得点王も獲得する。同じ年の12月に再びトヨタカップで来日、先制点を決めた時のボール扱いの正確さも凄かった。

 加えて、今回の06年。ロナウドは「太ってしまってダメだ」「アドリアーノとロビーニョの2トップが最も有効」など、多くの意見が飛び交った。その意見にしたがって、日本戦にはロナウドを外してくれればよかったのに。日本が1−0とリードしていた前半終了間際、ロナウジーニョが(日本から見て)左サイドに進出してきたシシーニョに鮮やかなクロスパス。ロナウドをマークしていた中澤が、一瞬(そう、ほんの一瞬だった)シシーニョの方を向いた瞬間、ロナウドは1、2歩後方に下がり、フリーになる。中澤が振り向いた時は遅かった。あの試合のハーフタイム、幾度と無くドルトムントのオーロラビジョンに流されたあの同点劇、「しまった、やられた!」と言う中澤の悔しそうな表情が忘れられない。続く1/16ファイナルのガーナ戦。開始早々にオフサイドトラップを破り抜け出した際も心憎いばかりのボール扱いで「ワールドカップ最多得点」を決めた(この日の前半、全く同じように抜け出したアドリアーノが僅かなボール扱いのブレにより得点を決められなかったのが印象的だった)。



 色々なパタンで点を取る事のできる能力も見事だが、長きに渡って活躍してきたところも凄い。94年のワールドカップの時はまだ見習い。96年のアトランタ五輪で交代出場してきた「ロナウジーニョ」時代は、松田直樹と互角の戦いを演じていた。しかし、それ以降ガガーンと凄い選手になり、97年のロマーリオとのコンビが確立した頃には、早くも「世界最高」の雰囲気を漂わせていた。その時以降10年近くの長きに渡り、ロナウドは「世界最高」のストライカだったのだ。ゲルト・ミュラーも、パオロ・ロッシも、ガリー・リネカーも、ティエリ・アンリも、そしてマルコ・ファン・バステンも、ここまで長期に渡って活躍を継続できなかった。それぞれ負傷あり、八百長事件の連座疑惑あり、疲労による引退表明あり、など事情はまちまちだったのだが。しいて言えば、ガブリエル・バティストゥータが近い印象があるかな。

 ただ個人的には、ロナウドよりはバティストゥータの方がずっと好きなのだけれども(あのトゥルーズで川口がやられたチップキックをどう文章化すればよいのか)、でもワールドカップの「ここぞ」と言う場面で、得点を決めているロナウドの「怪物」振りは認めざるを得ないかなと。



 だけどさ、中村俊輔よ。あのドルトムントの悔しさを、ここで晴らさずにどうするよ。
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2007年01月16日

歴史は繰り返す

 ベッカムが「来シーズンに合衆国MLSのロサンゼルス・ギャラクシーに加入する事が決まった」と報道されている。5年契約で総額2億5千万ドルと言う、およそ我々の常識からは程遠い金額で。

 案の定、レアル監督カペロ氏は「ケッ、そんな話が決まったらやってられるかよ、もうベッカムは飼い殺しにしてやる(意訳はもちろん武藤です)。」と発言。英国の大衆紙が「引退興行」と揶揄するなど、もうボロクソに言われてるらしい。



 ベッカムと言う選手は本当に不思議な選手だ。紛れも無いイングランドサッカー史に残る名手。デビュー当時から、悪魔のように曲がる右足クロスは注目されてきた。98年フランスにおけるアルゼンチン戦の退場劇、99年マンチェスターユナイテッドのチャンピオンズリーグ決勝での奇跡の大逆転劇の2本のコーナキック。02年大会の出場を決めた予選のギリシャ戦の鮮やかなFK。02年本大会での、4年前の悔しさを果たすかのような「強い」PK。ベッカムに加え、ジェラード、ランパードを揃え強力そのもののMF陣で臨んだ06年にしても、イングランドがベスト8に至るまでに刻んだ得点の多くはベッカムを起点にしたものだった。

 イングランドが本腰でワールドカップを戦うようになった60年代以降を振り返っても、ボビー・ムーア、ボビー・チャールトン、ゴードン・バンクスの優勝時の偉大な3人、さらにはケビン・キーガン、ガリー・リネカーと並ぶスーパースターと呼ばれるべきであろう。

 が、どうにもこの選手を素直に飲み込む事はできない。ベッカムの存在そのものに、どうにも違和感を感じるのだ。ベッカムがレアル・マドリーに移籍した頃から、この違和感がどんどん大きくなっていった。結局、歌手だった美人の夫人と共に、サッカー以外の露出があまりに多過ぎたと言う事だろうか。ベッカム周辺の大騒ぎを見ると、日本国内のスター偏重問題など、足元にも及ばない(もっとも、ベッカム自身の実力も日本の「スター」よりも格段に高いのだけれども)。

 90年代半ば以降、欧州のサッカーシーンに大量のキャッシュが流れ込み、サッカー界の様相は一転した。現状が未来永劫続くのかどうかはよくわからない。しかし、将来この時代のサッカーを振り返った時に、ベッカムが「キャッシュ流入時代の象徴」と語られる事だけは間違いなかろう。



 しかし、2億5千万ドル/5年は凄いね。これまで、あれだけ稼ぎ続けて、さらにこれだけの収入。これを払う合衆国の金回りがまず凄い。先日の野球の松坂の移籍に払われた金額にもビックリしたが、今回のベッカムはそれを軽く凌駕している。ロスアンゼルス・ギャラクシーが、いかなる回収作戦を考えているからは、私などには想像できない。さらに、それ以上に「ベッカムサイドはこれだけ稼いで一体何に使うのだろうか」と言う気になってくる。



 もっとも、今回の騒動で一番笑ったのは、ベッカムの「報酬が魅力で行くのではない。米国のサッカーを発展させるために決断した」と言うコメント。これは約30年前、1度ブラジルはサントスを引退したペレが、事業の失敗による借金を返すために、当時のNASL(North American Soccer League)のニューヨーク・コスモスに移籍する事が決まった時のセリフと完全に一致している。確か当時のペレに対する契約金が、当時の日本円換算で20億円くらいだったと記憶している(当時のレートはよくわからないが、1ドル=200円くらいとすると(70年代半ばのドル、円換算はそんなもの)1千万ドル相当になるか。ベッカムのコストが、いくら時代が異なるとは言え、ペレのそれと比較して20倍以上と言うのだから凄い。

 ともあれ、合衆国に行くスターが語るコメントは皆そうなのだろうなと。もっとも、住金に移籍するジーコや、グランパスに来訪したリネカーも、きっと同じセリフを吐いたのだろうなと思うと、複雑な気持になるけれど。
posted by 武藤文雄 at 23:23| Comment(5) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月27日

拡大トヨタカップ

 すっかり更新をサボってしまい申し訳ありません。色々ありまして。とりあえず復帰いたします。すっかりタイミングを逃した感がありますが、まずは拡大トヨタカップ総評から。



 すばらしい大会だった。唯一悔いが残るのはいくつかの事情で3位決定戦を見られずアル・アハリを見損ねた事。大会前から都合でインテルナショナルの準決勝観戦はあきらめていたのだが、チケットを持ちながらの3決回避は今でも悔しい。

 しかし、そのような無念さを完全に吹き飛ばすような、実に見事な決勝戦だった。さらに、その決勝戦は試合そのものもトヨタカップの中でも高いレベルにあったのみならず、準決勝でのバルセロナの大爆発と言う伏線を見る事ができたので、一層色鮮やかなものになった。



 決勝のインテルナショナル。3FWのバルセロナに対して、4番のエレールを余らせて4DFでマンマーク。さらに所謂ブラジル風のドイスボランチの4MFが、左右にスライドしながらバルセロナMFにまとわり付く。ロナウジーニョについていた2番のセアラが攻め上がると、必ず8番のエジーニョが守備ラインに引き自陣の数的優位を崩さない。さらにザンブロッタが上がってくると、ジュリについていた15番(左バック)のカルドーソが巧みに3番のインディオにジュリを任せ自分がザンブロッタを押さえに行く(同時に中央と右サイドのDFが全体にずれてマークは崩れない)。この時カルドーソが、受け渡し直前にインディオに対し片手を上げてタイミングを取る仕草が何とも美しい。

 しかもインテルナショナルは、ただ守りを固めている訳ではない。ボールをよい位置で奪うや、2トップにもう1人が必ず絡み鋭いカウンタを狙う。常にカウンタを狙う事で、バルセロナが2CBとボランチのモッタが前進しづらくする事に成功した。ただし、インテルナショナルの逆襲で面白いのは後方に必ず人数を最低6人は残す事、結果的に間延びしたラインになり、悪い位置でボールを奪われると逆にバルセロナの速攻に脅かされる事になった。しかし、どうやらそのリスクは覚悟の上だったようだ。それでも最終ラインに人数を残し、自陣前で跳ね返す事に専念する守備を選択すると決めていたのだろう。実際、ギリギリのところで守備は崩れなかった。

 この鮮やかな守備と、執拗なカウンタを継続する試合を観て、つくづく「ブラジルは凄い」と改めて思った。ブラジルのトッププレイヤの多くは海外でプレイしている。ロナウジーニョやロナウドのような超トップクラスはもちろん、Jリーグで戦っているブラジル人選手のレベルも相当なものだ。けれども、あれだけの人材を輸出しながらも、国内のクラブにはこれだけ質の高いサッカーができる選手が十分いるのだ。それでも、去年のサンパウロは、まだシシーニョとかジュニオールとかアモローゾとか、私でも知っている人材がいたのだが、今大会のインテルナショナルで知っている選手はほとんどいない。試合後、イアルレイを思い出したくらいだ。



 一方のバルセロナ。

 準決勝は凄かった。幸運にも、後半大差がついてロナウジーニョとデコを中心に、バルセロナが奔放な攻撃を見せた側のゴール裏で観戦していた。もうバルセロナの3点目(ジュリが完全にフリーから打ったのをGKがこぼしたのを例のロナウジーニョのアレ)、4点目(抜き損ねたロナウジーニョが方針を変更して後ろを向いてデコに渡し、同時にシュートコースを空けて決めさせたヤツ)、以降ロナウジーニョがトップに残り、デコと共に、仲間を使いながら次々に見せてくれた芸術。「駆け引きがどうだ」とか「勝負のアヤがどうだ」と、普段講釈を垂れている事のむなしさを感じさせてくれる美しさ。サッカーの必勝法は巧いヤツを集める事がまず第一歩と言う当たり前の事を認識させてくれた。

 毎週、バルセロナの攻撃はTV映像で愉しむ事ができる。しかし、ゴール裏であの猛攻を生観戦すると改めて発見できる事が多数ある。中でも感心したのはロナウジーニョのDFの足先ギリギリを通すパスの巧さ。巧みなドリブルでDFの動かして、狙っている足に体重ががかかった瞬間にその横を通すのだろうが、ここまで理屈どおりに巧くやれるのだから恐れいる。

 ロナウジーニョとデコと言う大駒2人の周りを、技巧的で勤勉な選手が動き回っての美しいサッカーを堪能できた(もっとも、あれにメッシとエトーが加わるのが本来の姿なのだな)。試合後、一緒に観戦した少年チームのコーチ仲間の友人と「いや、よいものを見せてもらった。子ども達も連れてきたかったな」と試合を振り返るのがまた愉しい試合だった。



 そして決勝のバルセロナ。

 インテルナショナルの分厚い守りに悩まされながらも、幾度か好機を掴むが崩しきれずに前半を終える。ライカールト氏としては、どこかで無理をして攻めかけたいところだったのだろう。そして、そのタイミングが後半開始早々が一番よいように思っていた。ところが、何とした事か、ザンブロッタが負傷すると言う不運、ハーフタイムに守備ラインで交代を1枚使う事になってしまった。これにより、後半開始早々も落ち着いた入りをせざるを得なくなった。

 後半も押し気味に進めるバルセロナだが、インテルナショナルの守備は相当厚く、どうしても崩しきれない。後半半ばにシャビをを起用するも、結果的にはイニエスタが中盤の最後尾に下がってしまい、飛び出す手数が減ってしまった感もあった。さらに結果的にデコも前掛りになってしまい、よい体勢で前向きにボールを受ける場面が少なくなったように思えた。加えて、やや焦れてきたか、ロナウジーニョが引き気味の位置取りになってしまい、攻めあぐねが継続する。

 そして、そうこうしているうちに、鮮やかな逆襲速攻からやられてしまった。しかし、あの場面のプジョルはないだろう。2対2、さらに敵が1枚後方からフォローしてきている状態で、守備者が先に仕掛けてしまっては話にならない。イアルレイもアドリアーノ3号も素晴らしかったが、やはりあれはプジョルの自滅と記憶すべきゴールと言うべきではないか。非常に乱暴な感想だが、あのプジョルのプレイを見て、スペインがどうしてもワールドカップで上位に進めない要因を見たか感すらある。

 非常に苦しくなったバルセロナだが、まだ時間は10分あった。延長を考えて残しておいた「最後の交代カード」を切り、捨て身の猛攻に出るべきなのだが、何か落ち着かない。エスケーロが投入されのは、失点後6分も経ってからだったし、選手達も焦りから上滑りのプレイが続いた。インテルナショナルがいやらしくタッチ沿いでキープしているプレイに、あれだけ苛立ってつまらないファウルをする事などは、「もはや、あきらめてしまったのか」と思わせる程、トッププロとは信じ難い場面だった。

 ベンチのライカールト氏もニースケンス氏も、なすすべなし。ここでピッチ上に必要だったのは、現役時代の2人のように、冷静にあきらめず卓越したフィジカルで身を粉にしてクライフやファン・バステンに尽くすために戦い続けるプレイだったはずなのだ。しかし、この日2人が選択したプレイヤのいずれも、そのような発想でロナウジーニョに尽くすプレイはしてくれなかった。ここでもザンブロッタの負傷退場が痛かったと言う事か。



 まあ、そうは言っても、称えるべきはインテルナショナルの90分間継続した完璧な守備である事は言うまでもない。試合後、一緒に観戦した少年チームのコーチ仲間の友人と「いや、よいものを見せてもらった。子ども達には全く理解できないだろうけれど」と試合を振り返るのがまた愉しい試合だった。



 拡大トヨタカップに関して、私は完全な野次馬である。野次馬である以上は、サッカーがサッカーとして愉しめればそれでよい。たとえTV中継の演出が酷かろうが、バカな実況にフィルタリングをする事くらいは朝飯前だし、よい映像が流れてくればそれで十分だ(いつか、ベガルタが登場し、野次馬で無くなる日を心底愉しみにしているが)。

 よい大会だった。巷にこの拡大トヨタカップの改善案を検討する動きがあるようだ。私はそうは思わない。もう、これ以上の大会形式は考えられないように思う。欧州を含め、世界中試合の日程はもうこれ以上試合数が増やせない程になっている。その状況で、この大会の出場チーム数を8に増やすなど愚の骨頂だ。またオセアニアのレベルがいかに低かろうが、世界中のクラブがこの大会につながらなければ意味がない。予備予選にしたって、もし日本のトップクラブがそれに対応しようとした瞬間の日程破綻を考えればあり得ない選択だろう。地元枠が論外なのは言うまでもない。とすれば、現状の開催方法は現時点では最適と言えるだろう。唯一の問題は、チケットの異様な高値だけである。

 トヨタと言う世界的企業のおかげで我々は過去30年近く、クラブの世界一決定戦を生で堪能し続けてきた。そして、美しいバルセロナと、完全にインテルナショナルにしてやられるバルセロナの両方を堪能してしまった以上、トヨタカップの拡大は大成功だったと言わざるを得ない。いくらブラッターと川淵が嫌いでも、この2試合を堪能できて文句を言う筋合いは一切ない。昨年より拡大したこの大会が、未来も生で堪能できればこれほど嬉しい事はない。しかし、この大会が他国に行ってしまったら、それはそれで仕方が無い事だ。新たな開催国の、私のようなサッカー狂が堪能するだけの事だろう。
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2006年12月12日

存在そのものが難しい大会だが

 試合は期待通り面白かった。

 いかにもメキシコの選手らしいバネの利いたパスワーク。アメリカの3トップは、左からクラウディオ・ロペス、カバニャス、ブランコと名の知れた各国の代表選手が並び、3人のスタイルがそれぞれ異なるから面白い。左のC・ロペスが常に張り出し、カバニャスとブランコの2人が左右の関係を維持しながら上下の位置を切替えてスペースを作りながら好機を演出する。そうこうして右サイドからブランコが狙い済ましたカーブのクロスを入れて、C・ロペスがフリーで抜け出しながらヒール気味のシュートを浮かせてしまった場面。MFのファビアーノ・ペレイラのヒールキックから右バックのカストロがオーバラップ、カストロがカバジャスとのワンツーを狙ったところで、カバジャスがさらに大外に上がってきた(この攻撃の起点だった)F・ペレイラを使い全くのフリーにした場面(F・ペレイラのシュートはニアの枠外へ)。いずれも見事な攻撃。

 対して韓国は崔眞xを軸に中央の4人が、いかにも韓国らしく粘り強くよく守る。C・ロペスはお年のせいか、やや切れがなくなったようにも見えたが、ギリギリで身体を寄せてくる全北守備陣が最後で自由にさせなかったとも見えた。ちなみに守備的MFの金鉉洙は、この試合のCBを務めていた金鉉洙と同一人物なのだろうか。詳しい人いたら教えてください。そして全北の攻撃は、大柄で突破力のあるゼ・カルロスをトップにおき、空中戦の強い王淨鉉(しかし前半で交代してしまった)、その代わりに出てきたちょっとしたタメの巧いボティ、セットプレイでカーブのかかった強いボールを蹴る事ができる金炯犯などが、よいプレイを見せる。アメリカに比べると不正確だが長いボールを使い、受け手が強引に前に持ち出して攻め込むあたりも韓国らしい。

 かくして、ややアメリカが優勢だが、両軍ともシュートがほとんど枠に行かず、後半も半ばを過ぎ延長の風情も高まってきた。「寒いけれど面白い試合だから延長も悪くないか」と、坊主と話していたら、とうとうアメリカが先制した。セットプレイ崩れからアメリカが攻め直す、中盤から深いクロスが右に開いていたカバジャスに出る間、攻撃に参加しそのまま残っていたCBロハスは全北のDFと凄まじい位置取りの争いをしていた。カバジャスが持ち出したところで、この位置取りに勝ちかけたロハス、しかしDF(右バックの田廣煥だったと思うが確認し損ねた)もよく身体を寄せていた。ここで、カバジャスは意表をついて低く強いセンタリング、そのため意表をつかれたDFは完全にバランスを崩し身体を離してしまう。ロハスはそのため、完全に一歩前に出る事ができ、足が絡まりながらもボールになだれ込んで押し込むのに成功した。終盤の好機に勇気を持って敵陣に居座り続け得点を狙ったロハスの執念と、カバジャスの見事なアイデアが結実した得点だった。

 ガンバが全北に負けた試合は映像でも見ていないが、この日の試合を見た限りでは全北の代わりにJ1の強豪クラブが出ていても、十分にやれたと思う。これはこれで、このような悔しさは持ち続けるべきなのだろう。



 と言う事で中々愉しめた試合。

 先日述べたように、坊主と私は「今後の活動に向けた研修の場」と言う事で無料の観戦(研修観戦は本人の他に同伴者1名も無料観戦が可能)。周囲にも「いかにもサッカーのコーチをしています」と言う雰囲気の中年のオッサンと、グラウンドコートを着ている少年の組み合わせが多数いた。私同様毎週末サッカーと子ども達に遊んでもらっている父親が、研修観戦を堪能したと言う事か。ありがたい事だ。

 けれども、やはり本当にこれでよいのかとなると疑問。今日、青山門で研修観戦案内ハガキを提示してもらったチケットは何とカテゴリー2。バックスタンド、ゴールラインやや後ろの5000円の席だ。当然、2000円のゴール裏だと思っていたのに。まあ、TV映りを考えて、バックスタンドの空いているあたりの席を、招待席にしたのだろう。

 いや、悪くない席で親子で無料でタフな国際試合を堪能させていただいた訳です。文句を言ったらバチがあたるのは、よくわかっています。

 けれども、このような不自然な方策は長く続かないように思える。この試合の前売券を事前に購入していた方がどのようなお考えだったのかは全く想像できないが、やはり商売としては拙いのではないか。

 結局チケットの売れ行きと言う問題に帰着し、この大会の存在意義にまで話は遡るのだろう。元々、不定期開催を余儀なくされていたワールドクラブカップが、トヨタがスポンサになった事で日本での一発勝負となり、世界に定着した経緯を思い出してみよう。今ほど世界のサッカーが過密日程で悩んでいなかった70年代ですら、既に南米チャンピオンと欧州チャンピオンはH&Aで戦う日程を確保するのが難しかったのだ(ご承知のように不定期開催だったのは、日程調整問題以外にも多数の問題があったのだが、それはまた別途)。

 まして、今日これ以上大会期間を長くする事(あるいは欧州チャンピオンを長く拘束する事)が現実的とは思えない。その中で、ベガルタ仙台に「いつか世界一を目指す」と言う目的意識を持たせてくれるこの貴重な大会をいかに育てていくか。中々妙案が出ないものだ。

 とりあえずは、坊主と2人で無料観戦させていただいた事が、結果論としてプラスにはたらく事を望むものである。
posted by 武藤文雄 at 23:10| Comment(5) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月07日

研修観戦招待受領の件

 一昨日帰宅すると、日本協会からハガキが来ていた。もちろん、協会会長に対する名誉毀損に関する内容証明付き郵便ではなかった。来週行われる拡大トヨタカップの1回戦の全北現代対アメリカ戦及び、5,6位決定戦への招待状。曰く
世界最高峰の本大会において、今後の活動に向けた研修の場として、開催地の近隣県の登録審判員や指導者の皆様に、無料でご観戦頂く機会を提供させて頂くことと致しました(一部意訳)。
との事だ。

 まあ、この大会のチケットの売れ行きについて云々言うのは野暮と言うものだろう。実際、決勝戦にしても、ロナウジーニョ出場が確定している準決勝にしても(怪我さえなければだが)、現時点でまだチケットが余っていると言うが、あの価格設定では仕方がないだろう。ただ、この件について日本協会を揶揄する気は無い。どうやら価格設定は胴元のFIFAの判断らしいからだ。そして、毎年日本開催を継続したい日本協会としては、タダ券を配ってもスタンドを埋めて、「大会成功」をアピールしたいのだろう。日本協会もつらい。ここは私も協力したい、と言う事で月曜定時退社を目指すのだが。

 もっとも、決勝チケットが売り切れになるのかどうかは興味深い。広告代理店は叡智を振り絞ってこれからの完売を目指すのだろうが、もし決勝スタンドがガラガラになったらどうなるか。来年の拡大トヨタカップは敢え無く他国に取られてしまうのか、それとも来年のチケット代が適正に下がるのか。後者だったら嬉しい事この上ないが、前者はとても残念。

 考えてみれば面白い、4年前のワールドカップでは全試合チケット売り切れになったのだが、同じ日本で行われるクラブの世界大会ではチケットは余るんだな。これが正しいか、おかしいかについては、何とも言えないが。もっとも4年前のワールドカップでチケットが余っていた国もあったけれど。

 とは言え、冷静に考えてみれば、「全北対アメリカが『タダ』で見られる」って言うのは凄い贅沢な娯楽だ。韓国とメキシコのトップクラブが本気で戦う試合って、相当面白いと思うのだが。拡大トヨタカップの1回戦は、アジア、アフリカ、北アメリカ、オセアニアの4クラブの戦いとなる。オセアニアのクラブの力が格段に落ちるのは明らか(昨シーズンのカズとヨークの奮戦は面白かったが、チームとしての戦闘能力には、明らかに限界があった)。とすれば、オセアニアが絡まない1回戦が注目の的になる。ところが、たまたま去年はアラブ同士のアル・アハリとアル・イテハドと言うやや似たタイプのチームとなってしまったので、興味としては今一歩だった(もちろん、このアラブの2強国のサッカースタイルの相違は、それはそれで愉しめたのだが)。全北対アメリカは、サッカースタイルが全く異なる国同士の対戦。正に国際試合と言う面白さが堪能できそうではないか。しかも「ああ、どうして日本のクラブがここにいないのだ」と言う悔しさをチクチクと感じながら。

 98年フランス、あのトゥルーズのアルゼンチン戦を前日に控えた異様高揚感を味わいながら、リヨンで見た韓国−メキシコを思い出したりして。河錫舟の直接FKと直後の退場、後半1人少ないのに無理して勝ちに行った車範恨氏の自滅。



 と、ここまで書いてきてふと思った。

 いっそ、この試合は全北のホームタウンでやったらどうだろう(そうなるとこの試合が観られなくて困るけれど)。不利になるアメリカ側は怒るだろうけれど、それはまあ入場料収入増大の分を回せば落としどころは見つかるだろうし。前もってこの試合のチケットを買っていた人が何人いるかは知らないが(チケット発売は全北の出場が決まるよりもずっと前だった)、払い戻しさえすればさほど問題にならないのでないか。

 でもなあ、Kリーグの観客動員を考ると、まだ国立でやった方が客が入るのかもしれないな。鄭夢周氏もそのあたりわかっていて、こっちに押し付けているのかもしれないな。

 まあいいや、指導者、審判の皆様、月曜日の国立で会いましょう。
posted by 武藤文雄 at 22:10| Comment(5) | TrackBack(1) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする