2022年12月05日

2次ラウンドを前に

1. 最高の上下動
 ちょっと考えられない上下動を堪能している。
 ドイツ戦とスペイン戦は、先制を許し、しかも前半は思うようなキープもできない苦しい展開。それを凌いだところで、攻撃の切り札の伊東純也と三笘薫を起点にした少ない好機を、浅野拓磨や堂安律がゴラッソを決め逆転。その後はいかにも森保氏のチームらしい粘り強い守備で守り切る。コスタリカ戦は、最悪でも引き分けを狙った丁寧な展開で、ピンチらしいピンチもまったくない見事な試合を演じながら、ほんのちょっとのミスの連鎖で敗れる。
 戦ってみての、講釈師独自戦闘能力評価によると、ドイツとは10回戦えば、2回勝ち、2回引き分け、6回負けるくらいの戦闘能力差があったように思う。スペインとは2回勝ち、4回引き分け、4回負ける。コスタリカとは20回戦い、1回負ける、9回引き分ける、10回勝つくらいか。コスタリカに負けたのはそのくらい不運だったと思っている、おそらくコスタリカは大会直前の準備に何か障害があり、戦闘能力は決定的に弱かったのだろう。ドイツ対コスタリカについても、ドイツに最前線にもう少し落ち着いたタレントがいれば、スペイン戦的な大差がついてもおかしくなかった。ドイツの中盤は、(日本戦の前半を見た限りでは)ブラジルと並んで大会最強だったと思うが、最終ラインと最前線が今一歩だった。スペインは、中盤の組み立てから前線への崩しが十分に整理されていない印象があるが、彼らの本領発揮はこれからだろう、決勝での再戦も十分あり得るな、うん。
 サッカーに浸り切って半世紀。この3試合を振り返るだけで、友人からの「あなたは何のためにサッカーを見ているのか」との質問の答が容易に出てくる現況が幸せでならない。何としてもこの幸福の堪能を継続したい。あと4連勝で。

2. 不運な日本、それでも
 大会前から再三述べてきたように、今回の日本代表チームが史上最強の戦闘能力を持つことは間違いなかった。一方で、史上最悪の1次ラウンドの組み合わせだったのも間違いなかった。
 加えて、予期されたことではあるが、負傷者続出。これも大会前から予想されたことだが、欧州のシーズン真っ盛りで休養期間ほとんどない開催、中3日の試合でのリカバリの難しさが影響してのこと。もちろん、大会に入ってのタフな死闘による負傷発生は毎回のことだが、リカバリ期間の短さの影響は避け難い。
 こう言った負傷者について、運不運と言う視点では、出場32国で日本は最も不運な部類に入るはずだ。何故ならば、冨安健洋と言う我が国史上最高の選手を、今までスタメンに使えなかったのだから。
 このような難しい環境下、4年計画で作られたきたこのチームは、未だベストの姿を見せる機会なく、1次ラウンドを突破した。次は前回準優勝国、伝説的名手モドリッチを誇るクロアチアである。本大会のクロアチアとの戦いは3回目で最多国となる(今まで複数回戦ったのは、このクロアチアの他はベルギー、コロンビア)。今回は勝たせていただこうではないか。

3. ドイツ戦
 前半、ドイツのハイプレスが見事で、日本は後方からつなぐことがまったくできない。さらにドイツのMF達の技巧と位置取りが予想以上にすばらしかった。日本の選手が中盤でボールが取れそうな間合いで、身体の向きとは異なる方向の角度あるパスのタイミングと精度と速さがすばらしかった。押し込まれること事態は想定内だったが、日本がまったくキープできなかったのは大誤算だった。自陣のゴールキックからの展開は、ドイツのハイプレスでロングキックを余儀なくされる。ボールを奪っても押し込まれているためもあり、板倉滉も遠藤航も田中碧もよい体制でパスできないこともあり、鎌田大地も久保建英もキープが叶わない。
 それでも日本は吉田麻也を軸に粘り強く守り、PKの1失点に止めることができた。全員の献身の賜物と言えるだろう。ただ、アディショナルタイムに入り、オフサイドに救われた失点もどきは、残念だった。ドイツの後方でのボール回しと言う撒き餌に引き付けれられて裏を取られた訳で、大きな反省点だった。結果的に、この痛恨のミスがオフサイドで救われたことが、チームに反省材料を提供したと言うことを含め、今大会の一つ目の大きな分岐点になった。
 さすがに、森保氏は「この状況を放置できない」と考えたのだろう、久保に代えて冨安を起用し、後方での組み立ての人数を増やす改善を行う。結果ボールは回るようになり、前田大然に代えた浅野の強引な前進と合わせて好機を掴むことができるようにはなった。
 しかし、一方でこの3DFは練度が足りない。前線でつなぎ損なうと、主に右サイドから再三崩されかけた。一方で板倉が対人の強さを発揮、権田修一の再三のファインプレイなどで、何とかしのぐ。「後半立て直した」との評価が多いようだが、この後半の日本の守備はとてもではないが褒められたものではなかったことは明記しておきたい。
 さて逆転劇。三笘のドリブルはドイツは相当警戒していたようで、ドイツDFが2人がかりで守りに来る。そこで後方から長駆した南野が追い越し好クロス、そしてノイアー、堂安!この三笘を追い越すやり方は、森保氏が隠していた策だった訳だ。お見事でした。
 決勝点、浅野が抜け出し、私のいたゴール裏に向かって爆進してくる。「いいから、打て!」と絶叫したら、浅野は指示に従ってくれた。日本代表もベガルタ仙台も、いつもこうあって欲しいものだ。後から映像を見たら、ドイツの右DFがラインメークを完全ミスしたのね、一部報道では南野の空走りが奏功したとの由、これも森保氏の準備の賜物なのか。
 その後のドイツの攻撃は、やや上滑り気味。おそらく前半のハイペースがたたったのだろう。少々不思議なのだが、なぜドイツは前半あんなハイペースの猛攻を繰り出して来たのだろうか。そもそも日本の最終ラインはかなり強い(しかも本来ならば、他の誰より読みと1対1に優れた冨安が起用されていれば、前半で得点するのは一層容易ではなかったはず)。勝点勘定を考えても、90分丁寧に戦い、より確実に勝点3を取りにくるべきだったように思うのだが。いや、文句を言う筋合いではありません。
 私の世代にとっては、ドイツのサッカーとはあまりに特別な存在。故クラマー氏の薫陶、ベッケンバウア・Gミュラー・フォクツらの名手たち、そして奥寺康彦の奮闘。そのドイツにワールドカップで勝てたのだ。さらに1次ラウンドで蹴落とすことに成功したのだ。ドイツ戦直後の歓喜たるや人生第2位でしたな(1位はもちろんジョホールバル)。

4. コスタリカ戦
 勝点勘定からすれば、勝てれば御の字だが、負けないことが何より重要。日本はそのような試合を狙った。一方コスタリカは当然勝ちを狙って来る…と思ったら、完全に引いて来た。前半は互いに様子を見合い45分が経過した。
 後半、浅野を投入し、さらに両翼に伊東と三笘を並べて攻勢をとる。ただ、失点を防ぐために遠藤も守田英正を自重して押し上げないこともあり崩し切れない。そこで事故が起こった。その後も三笘が複数回突破を成功しかけるなど攻勢をとったが決めきれず。上記したが、20回戦って1回起こるかどうかと言う、受け入れ難い結果となってしまった。
 結論から言えば、コスタリカを過剰にリスペクトし過ぎた試合と言うことだろう。安全第一に引き分けでよい戦いをほぼ達成しながら、終盤敵が何も凄いことをしていないのに自滅。あの時間帯まで徹底したセーフティファーストでプレイしていた麻也に何が起こったのか。10分以上の残り時間があり、勝ちを急ぐ時間帯でもなかったのに。大会後、いずれかのメディアがあのプレイ選択を丁寧に麻也に取材することを期待したい。
 点がとれなかったのは残念だが、そもそも森保氏は点を取らせない狙いで戦ったのだからしかたがないところもある。ただ、ボール保持が圧倒的優位の相手に対してなので、三笘と伊東の両翼攻撃を行う際に、上田綺世を残す時間帯はあってよかったと思う。あるいは町野修斗を中央に入れるとか。あるいは、疲労気味の鎌田に代えて田中碧を入れるのも一手段に思えた。ただし、エースの風格が漂いつつある鎌田やドイツ戦大爆発した浅野に賭ける采配ももっともではある。ついていない試合とはそう言うものなのだろう。いかにもサッカーらしい切歯扼腕する試合となってしまった。正にサポータ冥利に尽きるではないか。
 年寄りの愚痴。私は失点の反対側のゴール裏にいたのだが、失点後多くの人が黙り込んでしまった。失点まではよく声が出ていたのに。ウルトラズの必死のリードは続いていたし、私含めた何人かはチャントを必死にコールしたのだが。苦境で応援止まるなんて、Jリーグでは考えられないことだ。もっとも、劣勢で黙ってしまうのは他の国のサポータも同じようなものなのだし、代表のサポータと言うものはクラブのサポータとは性格が異なるのかもしれない。あの「盛り上がった」と歴史的に語られる97年フランス予選でも、国立で韓国に逆転された以降の「シーン」とした雰囲気もそうだったしな。でも、結構な金額を支払ってここに来ているのだから、最後までもがくのは悪くないと思うのですけれど。とにかくクロアチア戦はがんばりましょう。

5. スペイン戦
 立ち上がり早々に失点。日本の左側から上がってくるガビの捕まえ方が決まる前に、モラタに板倉が出し抜かれてしまった。試合後に友人が映像見ていて発見したのだが、麻也が必死に板倉に「下がれ!」と指示していたのだが。板倉は出足の鋭さ、1対1の強さ、前線へのフィード、いずれも世界最高レベルまで来ていると思うが、まだ細かなポジション修正には課題があると言うことか。
 この左サイドの守備の修正は、私の眼前で行われた。外に引き出された長友佑都を軸に、後方の谷口彰悟、右斜め前の守田、前方の鎌田それぞれが、必死に会話を行いお互いの距離感を修正し合う。そうこうしているうちに、当方の守備は安定。スペインがボールを圧倒的に支配するが、崩される感じはあまりなくなってきた。ただし、ドイツ戦の前半同様ボールキープができず、ほとんど逆襲の機会もなく前半終了。ドイツ戦同様「1-0で終えられてよかった」と言う試合内容、さらに最後の数分で板倉、谷口、麻也が連続警告、暗雲漂うハーフタイムとなった。
 ところが後半、三笘と堂安の同時起用で状況は一変する。堂安の一撃を何と言ったらよいだろうか。眼前で、堂安独特のドリブル後シュート体制に入った瞬間に「決めてしまえ!」と絶叫したら、堂安も指示にしたがってくれた。コスタリカ戦先発起用され、思うようなボール保持ができず後半早々に交代になったのと同じ選手とはとても思えなかった。堂安よ、このようなプレイをもっともっと見せてくれ。
 そして2点目、同点とされたスペインの動揺もあったのか、右サイド伊東と碧がつなぎ堂安が左を警戒するDFの逆をとり右足で低いクロス、わずかに前田大然が合わせられず、と思ったら何かがその後方から進出し完璧な折り返し。眼前で碧が押し込んでくれた。何かようわからんかったが、三笘だったのね。それにしてもあの三笘の折り返しをどう理解したらよいのだろうか。トップスピードでゴールラインを割りそうなボールに飛び込み、GKがまったく取れない場所に浮き玉で折り返したのだ。グッと右足を踏み込み、左足インサイドで面を作りボールを捉える、その後少しだけ伸び切った足首を捻り浮き球にしたと推定するが、正に魔術のようなプレイではないか。あれがゴールラインを割ったかどうか、画像処理技術による判定に救われた訳だが、そのような高度な技術を擁した判定とはまったく関係なく、超人的な技術による折り返しとして、世界中の皆が記憶すべきプレイだった。
 以降、日本は前半同様引きこもる。ジョルディ•アルバの起用に合わせて冨安をサイドに起用すると言う驚きの采配で右を封鎖(「だったらスタメンで使えよ」と言いたくもなるが時間制限があったのかな)。もう少し、うまい速攻を仕掛けられればよかったが贅沢は言うまい。とは言え、三笘が脚力で左サイドを破り、浅野に合わせた場面は慌てず丁寧なサイドキックで合わせて欲しかったところ。終盤、中央を割られかけたが権田がよく防ぎ、日本の快勝とあいなった。試合終盤、ドイツが2点差とした情報が入り、ここで点をとられて29年前の再来にならないだろうか心配しながら、絶叫していたのはひみつだ。

6. クロアチア戦展望
 さて2次ラウンド、ノックアウトステージが始まる。
 まず前回準優勝国、巨人モドリッチが率いるクロアチア。難しい試合になるだろう。
 守備の最大のポイントは、ドイツ戦でもスペイン戦でも前半うまくできなかったボールキープ。いくら組織守備網を完璧に近く構成しても、あれだけ長時間継続キープを許せば、いつか崩れる恐れがでてくる。ポイントになるのは、鎌田、堂安、南野拓実と言った技巧に長けた攻撃的MFたちの持ち堪えとなるはず(久保は負傷で不在の模様)。また、冨安スタメン復帰の噂があるが、これにより先方のロングボールやクロスのはね返し、前線へのフィードは大幅に改善されるはず。まずはそこが最大のポイントとなる。
 そして攻撃だが、伊東と三笘の両翼をどの位置にいつ置くか。そして、そこに堂安をどう絡めるか。もちろん、守備面を考えたら大然のスタメンが有力だろうが、勝負所でトップに誰を起用するか。上田なり町野の使い所が重要になるかもしれない。

7. どんな難敵でも
 まだ3試合を戦っただけなのだ。改めて2次ラウンドの組み合わせ表を見て思う。ワールドカップの真髄はこれからなのだ。
 ただ、少しでも真髄を味わうためには、1試合ずつとてもつない壁を破らなければならない。
 29年前のこの街ドーハ。最初の壁を破り損ねた時、改めて「生涯で1度でよいから、本大会で日本を応援したい」と思ったものだった。しかし、日本サッカー界は年々充実するJリーグと共に想像以上のスピードで進歩してくれた。98年の初出場、02年の地元での2次ラウンド進出、06年で一度停滞するかと不安になったが、さらに新しい選手が継続して次々と出てきた。10年パラグアイにPK負けした時は、人材輩出はそろそろ頭打ちになるのではないか、こんなよい選手が次いつ揃うのかと心配になった。しかし代表はアジアを制するなど安定して機能、14年は大会前に敵地でベルギーを撃破するなど期待値は大きかったが惨敗、18年は監督人事の混乱はあったが、また新しい選手が登場しベスト8まで後一歩まで迫った。毎年毎年、よい選手が潤沢に出てくる土壌は完全に整っているのだ。
 そして今大会。冨安を筆頭に、かつてないほど欧州で成果を上げている選手が登場。選手層も格段に厚くなり、攻守共に切れるカードは無数にある。今、我々より豊富な選手を誇り、色々なタイプの選手を保有できる国が他にいくつあるだろうか。おそらく、ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、イングランドくらいではないか。ただし、我々にはまだ「勝利する」と言う経験が不足していた。
 でももう違う。我々はドイツとスペインを真剣勝負で打ち破ったのだ。どんな高い壁も打ち破る準備は整った。
 我慢する時は隙を見せず奪える時に敵に喰いつく、点が取れそうな時に全員が呼応して敵を喰い破る。簡単にクロアチアに勝てるとは思っていない。ここから4連勝するのは、どんなによい選手がいても、どんなによい経験を積んでも、決して簡単な道のりではない。でも、我々はドイツやスペインに勝ったのだ。どんな難敵でも打ち破る潜在力は持っているのだ。
 決勝までのコンディショナルチケットを片手に、愛する代表チームと共に戦う準備は整ったのだ。我ながら、めでたい人生である。
posted by 武藤文雄 at 03:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月23日

ドイツ戦を控えて

 さてドイツ戦。
 アジアカップで苦杯を喫したカタールがエクアドルに完敗。好敵手イランがイングランドにボコボコにされた。豪州もフランスに粉砕されている。一方で埼玉で軽くひねってやったサウジのアルゼンチンへの鮮やかな逆転勝利を機上で楽しむ空の旅の最中、この雑文を書いている。

 これまでになかったワールドカップだ。
 まず、大幅なルール変更。COVID-19対応として導入された5人交代制が完全に定着、各監督は従来とはまったく異なる采配を余儀なくされる。トラブルがなければ終盤相当数のフレッシュな選手を投入可能となるだけに、必ずしもスタメンがベストメンバではなくなりつつある。相手の分析、交代選手の予測など、いよいよ監督個人というよりは、監督が率いるマネージメントチームとしての総合力が問われることになる。また、画像処理によるオフサイド判定も勝負を左右しそう。特に後方にすり抜けるタイプのストライカは、自分の腕がDFより前方に出ているか否かなど、過去は意識していなかったはず。いきなりこのような新技術をワールドカップ本大会から導入するのはいかがかとは思うけれども。この僅かに腕や脚が出ているか否かの微妙な判定は、重要なところで勝負を左右しそうだ(実際、サウジに苦杯したアルゼンチンは、このルールがなければ前半で大差でリードし楽勝した可能性もあった)。
 次に、今大会独特のレギュレーション。まず、11月欧州シーズン真っ盛り、それもオフがほとんどない状態での大会。日本も多くの選手が負傷で体調が整わない状態での直前準備が進められた。負傷離脱はもちろんだが、各クラブから集まった選手の体調をそれぞれ揃えるだけでも大変なはずだ。加えて、中3日の試合間隔。いずれの国もターンオーバを採用するのだろうが、選手層の厚さが勝負を左右する。言い換えると相手のやり方や起用選手が読みづらく、分析も相当厄介となる。

 そのような条件で迎える初戦のドイツ戦。両国に上記の課題がのしかかる。
 こちらからすると、最強国への挑戦とわかりやすい構図なのだが。「守田の調整が遅れている」など報道が錯綜するが、森保氏が狙っていたベストメンバが組めるのかどうか。悪く考えればキリがなく、冨安、遠藤航、守田と言った換えの効かない選手の体調が揃うのかどうか。5人交代制や試合間隔が短い事については「ドイツ戦については行けるところまで行く」しかないので、森保氏も分析チームも仕事はそう難しくない。
 一方、先方は相当厄介だ。次戦にスペイン戦を控え、まずは初戦確実に勝点3を確保し、2次ラウンド進出に一歩踏み出したいところ。しかし、選手の体調問題、日本のメンバ予測が難しいなど、準備は容易ではない。イングランドがイランを屠ったように、攻撃連係がうまくはまり当方守備を圧倒できれば理想的だろうが、我々には冨安と遠藤航がいる(大丈夫だよね、ちゃんとスタメンで出てくれるよね)。一番理想は、日本に強引なプレスをさせ、うまく外して日本の守備が少人数のうちに攻め切る攻撃をねらう事だろう。ただ、ベストの前田大然と鎌田を外すのは容易ではないはず。などと、考えると、慎重にボールを回し個人能力差で1、2点確実に取る勝利を目指してくるのではないか。

 ワーストケース。前線守備が決まらず再三速攻を許し、セットプレイを含め早々に失点しまうこと。そうなると、落ち着いてボールを回され、速攻から複数失点で大敗のリスクが出てくる。この場合重要なことは2点目をやらないこと。サウジがアルゼンチンに逆転勝ちできたのは、前半の猛攻をとにかく1点にしのいだからだ(VARや画像処理判定に救われた感もあったけど)。
 ベストケース。組織守備を機能させ、好機を作らせない時間帯を継続する。そして、前田やドラミのような小柄で俊敏なFWがドイツDFを悩ませる。そうなれば、ドイツに分厚い速攻を許す頻度も少なくなるはず。そうこうしているうちに先制し、ドイツの無理攻めを待って追加点。
 たぶん、展開はその中間になるだろう。冨安を軸に丁寧に守っても、個人能力で崩されかける時もあるが、シュミット(いや権田でもよいですが)のファインセーブで防ぐ。一方当方も幾度か好機を掴むが、ノイアーを破り切るシュートを打てるまでの決定機は作れない。もしかして先制を許すかもしれないが、慌てず1点差で時計を進める。あるいは先制できても先方は慌てずヒタヒタと攻め込んでくる。おそらく、このような展開で先方が好機が多い試合になるのではないか。

 などと妄想を抱きながら、トランジットのアブダビで書き終えました。
 ドイツ人を黙らせる歓喜を期待しつつ。
 さあ、29年振りのドーハだ。
posted by 武藤文雄 at 06:18| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年11月10日

原口元気不選考を疑問視する

 カタールワールドカップメンバ発表。原口元気が外れた。
 過去7回のメンバ発表で、これほど驚いたことはない。まったくの想定外。本稿では、その驚きの背景、過去のメンバ発表との比較、そして原口不選考を選択した森保氏への前向きな期待を語ろうと思う。
 余談ながら。メンバ発表が、7回との歴史を数えたことは素直に嬉しい。若い頃、たったの1度でよいから、ワールドカップ本大会に出場したいと思っていた時のことを思えば…

 原口の不選考は、いくら考えてもまったく理解できない。
 日本の目標は、とりあえずはベスト8進出。そして、26人登録、5人交代制で行われるこの大会。我々のベスト8進出のために、原口はクローザとして不可欠の存在と思っていたからだ。
 ベスト8進出のために、日本が戦うのは、ドイツ、コスタリカ、スペイン、おそらくベルギーかクロアチア(カナダかモロッコの可能性もあるが)。この4つの難敵に対して、リードしているか同点で80分過ぎを迎えたとしよう。このままのスコアで試合を終わらせたいとした場合、前方で最も疲弊した選手に代えて起用する選手に、原口以上の選択肢は思いつかない。原口ならば、前方のいずれのポジションに起用されても、格段の集中力と判断力、持ち前の技巧、絶対に負けないと言う精神力、これらを発揮して日本の勝点獲得に献身してくれたはずだ。
 しかも、これまでの予選や強化試合の多くで、森保氏は原口を上記したクローザとして重要視してきた。そして、迎えるカタールでの戦いこそ、これまで全幅の信頼を置いてきた原口が活躍すべき舞台ではないか。そして予選以上に守備強度や経験が必要な本大会だ。実際、先日快勝したUSA戦で1-0で迎えた終盤、森保氏は鎌田大地に代えて原口を起用、原口は5DFの右サイドバックでクローザとして機能した。森保氏が原口に対して「予選では貴重なプレイだったが、本線では不要」と考えるとは、とてもではないが思えない。
 本件について「26人枠となったので、特定のポジションで機能を発揮するタレントが選考され、多くのポジションをこなせる原口は逆に割りを食ったのではないか」との意見があった。しかし、私はまったく逆に思う。原口の特長にユーティリティ性があるのは確かだが、このチームにおいて原口が重要なのはクローザとしての機能であり、ユーティリティ性は副次的な特長に過ぎない。23人枠の場合は、それぞれのポジションのレギュラとバックアップを選考するのが基本。だから、スタメン起用が考えづらい原口の選考はメンバ選びを窮屈にする恐れがあった(それでも私は原口を選ぶべきだとは思うが)。しかし、26人枠ならば、クローザ専業だとしても原口のような選手を選ぶのに躊躇ないはずだ。
 同様に従来の3人交代制だとしたら、原口のようなクローザは起用機会が訪れない可能性も高い。それまでの戦術的交代で、カードを切り終えてしまうかもしれないからだ。そうなるとクローザを期待される選手を最終選考するのには抵抗があるかもしれない(それでも私は原口を選ぶべきだとは思うが)。しかし5人交代制とすれば、最後の10分間まで交代カードを切り終えないケースが多い。「このまま試合を終わらせたい」と言う状況は相当な確率で訪れるはずだ。
 加えて、選考された前線のタレントで、原口の代わりができそうな選手は思い当たらない。例えば、水沼宏太ならば己の自己顕示欲をすべて捨てて、最前線で技巧を発揮しつつ、チーム全体の組織守備のために己を捨てて貢献してくれるだろう。例えば、武藤嘉紀ならば高度な戦術的要求を伝えれば、それをこなしくてくれる戦術的柔軟性と肉体的強さを持つ。例えば、菅原由勢ならば本来はDFの選手だが、オランダでFWでも使われてと言うから、若いが難しい戦術的要求をしっかりこなしてくれるかもしれない。しかし、森保氏が選んだ前線のタレントで、こう言った己の特長を殺してもチームのために貢献できる選手は見当たらない。強いて言えば、飽くなき運動量で奮闘する前田大然だが、前田はUSA戦を見た限りでは有力なスタメン候補、クローザとしてベンチに残っているかどうか疑問だ。
 なお、これまで予選突破に貢献してきた原口なのに、本大会に選考しなかった森保氏を非難する意見を目にした。私はこの意見には与しない。本大会のメンバは過去の貢献で選考されるべきではなく、本大会で最もよい成績を残す確率、つまり近未来の期待から決定されるべき。私がここまで原口不選考を疑問視するのは、日本がカタールで好成績を残すために、原口が26人のメンバに入っていた方が適切だと考えるからだ。何より「過去の貢献から原口を選ぶべき」との意見ほど、本大会でも十二分に活躍できる能力を持つ原口に対し失礼と言うものだ。
 以上、原口の不選考が大変な驚きで、合理的な理由が思い当たらない理由を述べてきた。

 もちろん、7回の歴史だ。過去にも選考、不選考のドラマは多かった。
 言うまでもなく、初出場98年、岡田氏の「外れるのはカズ、三浦カズ」は、永遠に日本サッカー史に残る大事件だった。ただし、フランス大会最終予選の最中、これまで絶対的な大エースだったカズが思うように活躍できなかったこと、直前の準備試合での出場頻度が少なかったことなどから、まったくの予想外ではなかった。個人的には、呂比須や岡野よりはカズだろうと言う思いはあったが、岡田氏が異なる判断をしたことを理解できなくはなかった。
 02年には中村俊輔が外れたのが話題になった。しかし、当時のトルシェ監督は、(よせばよいのに)再三俊輔批判を公言していたし、アレックスや小笠原など俊輔と異なる魅力あるタレントを選考するのは予想の範囲内だった(もっともメンバ選考後に、俊輔とポジションや機能がかぶる小野伸二が盲腸炎にかかるなどで、体調を崩したのは大誤算だっただろうが)。
 これらの事例は、ジャーナリスティック的には大きなニュースだったろうが、今回の原口ほどの驚きではなかった。
 以降も、メンバ発表時に悲喜こもごもの事態があった。06年の久保竜也、10年の田中達也、石川直宏、14年の中村憲剛、細川萌、18年の久保裕也など。ただ、これらのスター達が選考外になったのも、それぞれの監督が考えた理由は推察可能だった。
 強いて類似例を探せば、2004年アテネ五輪での鈴木啓太、2015年アジアカップの細貝の不選考だろうか。おっと、2012年ロンドン五輪でもサプライズ…いや、やめておこう、これらの例はそれぞれの不選考が、大会に入って痛手となったのだ。今回はそのような事態にはならないことを、サッカーの神様に祈るべき、縁起もないことを思い出すのはよくないな、うん。

 ただしだ。
 森保氏率いる日本代表チームが、過去栄華を極めたブラジル代表のように、すべてのタレントがチームのために献身する集団となれば、原口不在に対する私の不安は雲散霧消する。
 例えば、伝説の史上最強の1970年。神様ペレを輝かせるために、それぞれのチームで王様だった選手達は、本来と異なるポジションを担当した。トスタンは9番を付けCFとして敵CBを引き付けペレの前進のためのスペースを作る。リベリーノは11番を付けて左ウィングとしてサイドからの突破に専念。ゲルソンは8番を付けてボランチに下がり、クロドアウドのサポートを受け展開に専念。
 神話化している大昔はさておき。以降もセレソンは、多くの天才肌の選手に労働者としての責務を担当させて、歓喜を得てきた。例えば94年。ジーニョはサイドMFとして、正確なつなぎとサイド守備に自らのプレイを制限。ロマーリオとべベートに点を取らせ、自国の失点リスクを最小限にするタスクのみを淡々と行った。大会後、フリューゲルスの10番として来日したジーニョは、再三魔術師のような技巧を見せ、攻撃創造主としての能力を我々に披露してくれたが、94年はそれらを封印してセレソンに尽くし、世界王者の栄冠を得たのだ。
 例えば02年、エジウソンは起用されるや、右サイドのMFとして献身的な守備とボールキープで、ロナウド、リバウド、ロナウジーニョの3人を輝かせることに専念した。これは、レイソル時代のエジウソンの天上天下唯我独尊的なプレイからは信じ難いものだった。しかし、エジウソンにとって世界王者の一員となるためには、この検診は当然のことだったのだろう。同様に18年ブラジル大会、かつてJリーグであれだけ独善的なプレイしか見せなかったフッキが、ネイマールやオスカールのために献身的なプレイを継続したのも記憶に新しい。

 世界王者を目指すと言うのは、そう言うことなのだ。
 要は、たとえ原口がいないにしても、森保氏が選考した攻撃タレントのいずれかが、上記セレソンのスター達が過去見せてくれた献身性を持ってもらえば問題はなくなるはずだ。例えば南野拓実や浅野拓磨、20代後半となり相当な経験を詰んだこの2人が、独善的なプレイを打ち捨て、他の若い攻撃創造主たちのサポートに献身してくれれば。いや、彼ら2人とは限らない。森保氏が、選択した選手のいずれかに、信念を持って、そのような目的意識と指示を徹底してくれれば、歓喜は近づいてくる。
 それでも、私は大会終了後思うことだろう。「もし原口がいれば、もっとよい成績を収められたのではないか」と。森保氏には、私にそのような思いを一切抱かせない「もっとよい」などない成績を収めてもらうことを期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月06日

ブラジル戦前夜2022

 紆余曲折あったが、終わってみれば無事予選突破を決めた森保氏率いる日本代表。
 6月の準備試合シーズンが始まった。ただ、過去と比較して非常に窮屈な強化計画となっている。特に出場決定後、欧州遠征しての親善試合がかなり組みづらいのが苦しい。欧州ネーションズリーグが設立されてしまったためなのだが、何とか工夫して強化を進めたいところだ。日本で行う強化試合は、相手国がどの程度充実した選手を集め、どのくらい体調を整えてくるのか、まったく読めないのがつらいところだが。

 今回のパラグアイについては、選手のレベルはかなりのものだったが、体調は微妙なところ、連係はまったく整っていなかった。あれだけ守備ラインが揃っておらず、プレスの連係もなければ、堂安と鎌田と田中碧らの個人能力で簡単に崩せる。ただ、森保氏のチームの常として、最終ラインをいかに崩すかの連係は選手任せになっている。そのため、ペナルティエリアに入ったところですぐに崩し切れないと、敵の守備も戻ってくるから、ゴール前がゴチャゴチャになり、シュートに行き切れないことになる。久保のプレイがその典型。それでも、各選手の個人能力で4点取ったのだから結構な時代になったものだ。
 一方で守備面では「おいおい」という場面が多かった。失点場面もそうだが、マイボールで丁寧に回すべき場面でボールを奪われるケースが多かった。予選終盤はそのようなミスはほとんど見受けられなかった。そう考えると、この不首尾は、大差がついて若干弛緩があったこと、吉田麻也、遠藤航と言ったチームリーダが不在だったことなどが要因だろう。もっとも、本大会であんなミスをしたら、とんでもないことになる。大丈夫だよね、代表チームのみなさん。
 現実的に、今回の残り3試合で、日本にとって本当に負荷となる試合がいくつあるのかはわからない。ガーナとチュニジアはカタール本大会出場を決めているから、相当厳しい試合を経験できることを期待しているのだが。とは言え、明日のブラジルは世界最強国。日本代表にとって、格段の強化機会になることは間違いないだろう。
 そして、できる範囲でベストを尽くすのは当然のこと。パラグアイの連係不足による手応えのなさは残念だった。しかし、手薄だった中盤で鎌田大地と板倉が相応のプレイを見せた事、堂安が輝いた事、(堂安や鎌田らによる引き付けがあれば)三笘が相手に対して相当脅威になること、原口が気の利いたラストパスを連発したこと、売り出し中の伊藤洋輝が一番手薄な左DFで機能したことなど、明るい材料も多かった。一方で、もう本大会まではそう時間もないし、強化合宿も限られている。新しい選手を多数試す段階ではなく、有力な選手同士の連係練度をいかに高めるのが課題なのだが。

 さてブラジル戦。おそらく、森保氏は予選のベストメンバに近いメンバで、ブラジルを迎えるのだろう。GKは権田、右DFは山根、CBは吉田麻也と冨安、冨安の体調が悪ければ板倉、左DFは中山で来ると思うが、伊藤を抜擢するか。中盤は遠藤航、田中碧、守田、両翼は伊東純也と南野。CFはたぶん上田綺世(これはパラグアイ戦で起用されなかったことからの推測に過ぎませんが)。そして、ロースコアの勝負に持ち込み、終盤に堂安、鎌田、三笘らを起用し勝負に出たい。もしリードしたり同点で終盤を迎えられれば、原口や谷口を起用してのクローズのテストとなるが、そんな展開に持ち込めれば嬉しいな。
 実際、今回の予選のホーム中国戦、サウジ戦での守備組織、特に攻撃から守備への切り替えはすばらしいものがあった。本大会でドイツとスペインから勝ち点2以上を奪おうと言うのだ、まず堅牢な守備を磨くのが重要なことは言うまでもないだろう。そう言う意味では、韓国から5点を奪ったブラジルに対し、今の日本がどこまで粘れるかを見極めると言う意味で、とても大切な試合となる。
 ブラジルにボールを奪われた直後に、どれだけ早く切り替えられるのか。一方でボールを奪取した後に、どのくらい有効な攻撃がしかけられるのか。先方の世界最高峰の遅攻にどのくらい我慢できるのか。マイボールで守備を固められた時、どのくらい落ち着いてリズムを作れるのか。これらすべてが、我々がカタールでどこまで戦えるかの試金石となる試合となる。
 2017年11月、日本はアジア予選を勝ち抜いた直後、明日と類似の状況でブラジルと対戦した。当時のハリルホジッチ監督は、予選の埼玉豪州戦、長谷部、山口蛍、井手口と3人の守備の強い選手を組み合わせた4-3-3で完勝した。その試合とほぼ同じメンバで、このブラジル戦を行ったが、前半に3点とられる完敗。ミスが連発し、無理なパス回しからボールを奪われ、再三速攻に脅かされる。粘ることも何もできない完敗だった。以降、ハリルホジッチ氏はチームを立て直すことができず、数ヶ月後解任された。
 果たして、明日はどこまで戦えるか。

 今の日本のレベルは相当なところまで来ている。過去の代表チームにはない分厚い選手層も確保できている。我々は、過去にないほどの成績を収められる潜在力を持った代表チームを確保しつつあるのだ。我々の代表チームがどこまで戦い得るのか。明日のブラジル戦、その戦いを(声が出せないけれど)新国立で応援できる。本当に楽しみだ。
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2022年02月03日

完璧な180分間

 中国戦に続き、サウジ戦も2-0で完勝。
 この2試合180分間のの日本の組織守備のすばらしさを、どう表現したらよいのか。特にボールを奪われた直後の切り替えの早さと位置取りの修正は格段だった。出場全選手の献身に最大限の敬意と感謝を捧げたい。100年の歴史が育んだ知性と技巧とフィジカルに優れた我らのサッカーエリート達が、ここまで戦ってくれるとは。カタールでのベスト8はもちろん、生きているうちにベスト4も体験できるかもとすら思えてきた。
 過去日本代表が組織守備を十分に機能させた試合と言えば、やはり南アフリカワールドカップと言うことになるだろう。あれは見事な4試合だった。ただ、本大会は事前にフィジカルコンディションを整える合宿を行える。それに対し予選では欧州から帰国した選手と国内の選手を直前に集めて試合に臨むのだから、2試合続く予選で質の高い試合を見せるのは難しい。実際、ブラジル予選ではCBの弱さがチーム全体の課題となっていたし、ロシア予選では連戦2試合続けてよい試合を見せてくれることは少なかった。もちろん、この2試合はホーム連戦で調整がしやすかったのは確かなのだが。
 しかも、この中国戦とサウジ戦は、国内はオフでレギュラーのCB2人が不在。これだけ難しい状況だったのに180分間に渡り、組織守備を機能させたのだからすばらしい。ホーム豪州戦以降採用した遠藤航、守田、田中碧のトレスボランチがよく機能。谷口と板倉のCBの充実と合わせ、難敵サウジにも好機を与えなかった。しかも、速攻を許すようなリスク高いパスをほとんど使わず、田中碧の制度の高いパスと伊東格段の突破力を軸に、複数回崩し切り得点を重ねた。

 サウジは中国とは異なり、前線から厳しいプレスをかけてきた。しかし、日本も落ち着いてボールを回し不用意な取られ方はしない。ただ、田中碧が自由にボールを持たせてもらえないこともあり、どうしても前線へのフィードは甘くなり攻め切れない時間が続く。それでも25分過ぎあたり、伊東が敵DFを打ち破り低いクロスをGKが好セーブの好機をつかんだあたりから連続攻撃。そしてサウジが一度それをしのいだところで、ボールを奪った酒井が伊東に絶妙な縦パス。伊東が長駆で再度振り切り上げたボールを大迫がスルーし、南野が切り返しから左足で決めてくれた。
 日本の攻勢が続いたところで、サウジDFが深めに位置取りしているところで、前線の選手が中途半端に前に出てきたので、酒井が精度の高いボールを入れることができた。サウジは引き分け狙いだったのだろうが、あの場面はコンパクトで無くなっていた。この予選好調に首位を走るサウジが、精神的なスタミナが残っている前半からそのような不十分な意思統一を見せるとは少々驚きだった。サウジのホームでの勝利は、日本のミスからの自滅だったのだが、選手たちは「日本より強い」とでも錯覚したのだろうか。
 その後、やや日本のプレスが消極的になったこともあり、日本陣まで攻め込まれることもあり複数回CKを許す。ただ、そうなればサウジ後方のスペースを狙えるから、伊東のシュートをGKがブロック、田中碧がペナルティエリア内で倒された疑惑、遠藤航のフリーのミドルシュートが宇宙開発など、日本も好機を複数回つかむが決め切れず前半終了。
 後半立ち上がりから日本が積極的なプレスをかけ、サウジ陣でボールを狩れるようになる。そして50分、遠藤航のボール奪取から南野(だと思った)がつなぎ、左の長友に。長友が敵タックルをかわすように上げた逆サイドへのクロス(どの程度ねらったのかは少々微妙だったが)が伊東へ。球足の速いボールだったが、伊東は正確に右斜め前にボールを置き、超弩級の一撃を叩き込んでくれた。それにしても、伊東は正に大エースとしか言いようがない存在になってくれた。ボールの置き所の見事さ、突破をする時の精妙なボールタッチ、正確な技術とその使い所の的確な判断。大学までそれほど著名ではなかったこのタレントの格段の成長振りは本当にすばらしい。
 サウジとしては前半戦って「リードを許した以上は勝つのは相当難しい」と覚悟を決めていたはず。なので、1点差の時間を延ばし、僅かな交通事故に期待したいところだったろう。それを打ち砕く一撃を喰らい、オーロラビジョンに大映しになる各選手の絶望的な表情がうれしい。
 以降は、完全に日本ペース。交代出場した前田大然と浅野と伊東の3超高速トリオが、サウジDFの後方を再三付き複数回決定機をつかむが決め切れず、2-0で試合終了。点差以上の完勝だった。

 まあ、フィジカルコンディションのよい選手がそろい、選手選考を誤ったり、疲弊した選手の交代をしっかりしてくれれば、森保氏はすばらしい試合ができるのはわかっていたことだ。また、集まっては解散を繰り返す代表チームで、序盤自らの采配不備による勝ち点喪失という失態を行いながら、各選手たちを精神的にまとめ上げた手腕も恐れ入るものがある。しかも、今回の招集は精神的支柱の吉田麻也と、(おそらく)日本人選手で歴代市場価格ナンバーワンとなっている冨安が不在だったにもかかわらず。
 ただ相変わらずディテールについて、ネチネチ文句を言えるツッコミどころには事欠かないのは楽しい娯楽だ。勝った試合の後ならばだが。
 何回でも繰り返すが、トレスボランチ採用するのに、どうして守備の強い中盤のバックアップ呼んでないのだろうか。川辺や稲垣や橋本や松岡など有効な選手は多数いるはず。もし序盤に3人のうち誰かが負傷離脱したり、いやそれ以前にこの3人のうち誰かが自クラブで負傷し招集できないとしたら、森保氏はどうするつもりなのだろうか。もちろん、柴崎がロシアの輝きを取り戻すことを期待し、招集を継続するのを否定はしない。しかし、柴崎が現状のレギュラー3人組のように戦うことが難しいのは、先日の敵地オマーン戦でも示されたではないか(もちろん終盤何がしかの理由で試合がばたついた時などに柴崎を起用し、落ち着けることは今でも十分期待できるだろうが)。
 このMFのポジション以外は、このチームには多士済々のタレントが揃っている。今回の板倉、谷口がまったく不安ないプレイを披露してくれたのがその典型だ。左DFは少々手薄だが、長友と中山と2人は常時招集され、2人とも存分に機能することはわかっている。なのに、なぜここだけは手薄なままを放置するのだろうか。
 もう1つ。終盤遠藤航→原口の交代ちょっと前に、酒井宏樹が足をつり気味だったが、森保氏は交代しなかった。まだ交代枠が残っていたのだから、山根を投入するべきだろう。こう言う甘い采配するから、メモするのに忙しくて試合見ていないのではないか、と言いたくなるのだw。このような細部をおろそかにする采配で、本大会の2次ラウンドで本当に厳しい相手と戦えるだろうか。

 ともあれ、すばらしい180分間をたっぷり堪能することができた。
 敵地豪州戦を引き分ければ出場権が確定する。中盤の3人が負傷なく上々の体調で招集できれば、よほどのことがない限り、敵地とは言え勝ち点獲得は難しくないだろう(3人が揃わなければ、それはそれで心配だが上記の通り人材はいる、ベテランの山口蛍あたりに頼る手段もあるし)。3月24日の豪州か、よい季節だし行って歓喜を堪能したいなあ、疫病が忌々しい。
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2022年01月31日

サウジは無理をして来ない

 2022年1月27日 日本2-0中国 於埼玉スタジアム。
 個人的には、日本代表史に残る完璧な試合だったとは思う。「だったと思う」ではなくて「だったとは思う」だが。

 元々、戦闘能力で中国を圧していることは事前にわかっていた。ただ、戦闘能力が劣るチームに対し確実に勝ち点3を確保するのが、必ずしも容易ではないことは、サッカー狂ならば誰もが理解している。そして、本大会出場のために、この試合で勝ち点3をしっかり獲得すること、その確率を極力高めることが重要なこと、それぞれもサッカー狂ならば誰もが理解していたことだ。
 そして、この日、遠藤航とその仲間たちは、そのミッションをほぼ完璧に演じてくれた。この「ほぼ」の徹底ぶりは実に見事。
 開始早々から、ボールを奪われた直後の切り替えが格段(最近の流行り言葉では「ネガティブトランジション」)。そのため、中国はまともにつないでハーフウェイラインを越えられない。それならばとロングボールで前線をねらってくると、板倉と谷口がそれを冷静にはね返すので、中国はまったく前線で起点を作れない。そしてこの急造CBコンビは、後方に引いてくる田中碧と連携し、前線に次々と好パスを送り出す。
 それにしても、板倉の出足(その前提となる読みを含めて)はすばらしかった。ベガルタが天皇杯決勝で浦和に苦杯を喫したのは、この日と同じ競技場での3年前のことだった。あの試合、ベガルタの左CBとして起用された板倉、マークする相手に詰め切れない弱点を突かれ、幾度も裏への突破を許してしまった。欧州での3年の経験は、この若者をまったく質の異なる戦士に変えてくれた。板倉は、この中国戦でのプレイ振りで、完全に吉田麻也との定位置争いに名乗りを上げたことになるだろう。少しずつ、最高レベルのCBになりつつあるこの逸材と、1年間ともに戦えた幸せ、ベガルタサポータとして本当に嬉しい。
 攻撃には色々不満もあるが、このレベルの相手に、これだけ素早いネガティブトランジションを継続すれば、試合は一方的なものとなる。遠藤航と守田の切り替えは当然かもしれないが、3トップの切り替えの早さも格段。そして序盤に見事なパス回しで伊東純也の突破場面を作りPKで先制に成功。以降は、攻撃面で無理をするリスクを負わず、執拗に切り替え早さで守備を固める試合となった。この切り替え早さを90分間継続するのだから、「日本代表史に残る完璧な試合」と表現した次第。加えて、中国が田中碧をまったく押さえにこないので、一度日本がボールを奪うと、上記の通り2CBと田中碧を起点におもしろいようにボールを回すことができた。結果、90分間に渡り試合をコントロール。僅かなズレから許した数少ないCKや自陣のFKからシュートを許したものの、交通事故のリスクも最小限。まったくおもしろさはないかもしれないが、リアリズムと言う視点からは「完璧な試合」と言うしかないではないか。少なくとも、戦闘能力が明らかに落ちる中国に対し、勝ち点3を間違いなく獲得するという視点では、この試合はすばらしかった。
 もちろん不満もある。上記の通りボールをしっかり回すことはできたが、なかなか追加点を奪えなかったこと。これは開始早々に先制したこともあろうが、各選手が「悪い取られ方をしないこと」を徹底し、無理をしなかったためだった。正直言って勝ち点3を確保するのが最重要な試合だから、各選手の思いはわからないでもない。しかし、あれだけボールを奪われた直後の守備が機能していたのだ。最前線の選手は、もう少し無理をしてよかったはずだ。特に南野には不満がある。長友との連係を工夫したり、もう少し無理をしてもよかったのではないか。だから、冒頭で「だったとは思う」と微妙な表現をとった次第。贅沢なのかもしれないけれど。

 さてサウジ戦。
 中国と比較すれば、戦闘能力が格段に高いことは間違いない。しかし、落ち着いて考えてみよう。先般の敵地戦の苦杯だが、序盤のセットプレイから許したピンチ(権田が好フィスティングでしのいだ)を除くと、危ない場面は皆柴崎のミスによるものだった(それにしても、あの柴崎の完璧な敵へスルーパスには驚いたが)。どんな選手にも不調の時はある。にもかかわらず、柴崎を交代させなかった森保氏の問題なのだ。加えて、サウジは日本時間28日の未明にホームでオマーンと戦った後の来日となっている。それも極寒の日本に。コンディションがよいとはとても思えない。さらにサウジとの試合、日本はホームで過去勝ち点を失ったことはないはず、引き分けもなく常に勝っているはずだ(記憶違いだったらごめんなさい)。中国戦の守備強度を含め、常識的に考えれば、日本が圧倒的に優位なのだ。
 さらに各国の勝ち点勘定を考えると、サウジは出場権獲得をほぼ決めており、一方で豪州は相当追い込まれているのだ。
 1位 サウジ 勝ち点19 得失点差+7 残試合 A日本 A中国 H豪州
 2位 日本 勝ち点15 得失点差+4 残試合 Hサウジ A豪州 Hベトナム
 3位 豪州 勝ち点14 得失点差+9 残試合 Aオマーン H日本 Aサウジ
 4位 オマーン 勝ち点7 得失点差-2 H豪州 残試合 Aベトナム H中国
ベトナムと中国が圏外と考えると(いや、ベトナムは本大会出場可能性なくなっても最後まで相当な抵抗はしてくるだろうが)、サウジは次節の敵地中国戦に勝てば勝ち点は22確保できる。そうなると、日本と豪州は直接対決が残っているので、サウジは残る豪州と日本の直接対決に敗れたとしても、2位には入れるのだ。サウジにとっての唯一の悪夢は日本に2点差で敗れ、(可能性は低いが)中国に引き分け以下で終わり、日本が豪州に1点差で負けたケース。その場合以下となる。もし、火曜日に日本に負けたとしても0-1ならば、サウジが悪夢にはまっても得失点差で日本を2上回ることができる。そうなると日本はベトナムに大量点が必要になる。
 サウジ勝ち点20、得失点差+5 ホームとは言え豪州と直接対決
 豪州 勝ち点20、得失点差+10以上 敵地とは言えサウジと直接対決
 日本勝ち点18、得失点差+5 ベトナムに勝てば2位には入れる
 そうこう考えると、サウジにとって火曜日の日本戦は引き分けで十分、負けても1点差ならば問題ない試合なのだ。
 余談ながら、オマーンのホームゲーム豪州戦はすごい試合になるだろう。オマーンはこの豪州戦を勝てば、勝ち点16まで行ける可能性が出てくる。豪州が日本にもサウジにも勝てなければ、オマーンが3位になれる。

 以上考えると、サウジは絶対無理をして来ない。日本がリードしても、強引に同点をねらわず最小得点差を維持することを考えるはずだ。
 とすれば、日本は中国戦の守備強度を確保しながら、左右両翼から攻勢をかけるべきだろう。南野が強引に無理をしに行くのか、久保を左サイドに使い強引に行くのか、中山を起用し左オープンに開かせるのか、森保氏はいずれを選択するのか。冷静な采配で2点差以上の勝利を期待したい。
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2022年01月27日

CB2人不在だけれども

 Jリーグオフという厄介なタイミングで迎えるホームの中国戦、サウジ戦。この季節以外では、欧州でプレイする選手の体調は呼んでみなければわからず、国内の選手の体調は計算できるのが常。しかし、今回については国内の選手はみな体調があまりよくないことは自明(長いシーズンに向けたフィジカルトレーニングの最中だから)。で、さらにCOVID-19でのバブル対応がコンディショニングを難しくする。
 まあ、ずっと日本国内に滞在し移動がない有利さは格段だ。同じバブルでも、異国と母国ではまったく精神的負担は異なるはず。加えて、敵軍の戦闘能力との相対比較という意味では、両試合ともかなり有利なことは間違いない。
 中国の弱さは初戦で明らかになった。元々あまり機能していなかった帰化選手たちの去就も曖昧だ。中途半端に帰化選手に頼らず、真面目に強化を積んだらよかったのではないかとの上から目線も楽しい。それにしても、この国のサッカーはどうしてダメなのだろうか。合衆国が地味ながらワールドカップで好成績を収めているから、超大国がサッカーがダメという理屈はないはず。テレビで習近平氏(大変なサッカー好きとのことだが)のふんぞり返った態度を見る度に「いいから、サッカーが強くなってから偉そうにしてください」と、つぶやくのも楽しい。
 サウジは難敵で先日も苦杯を喫している(詳細は後述する)。しかし、2月の日本のナイトゲームの寒さは彼らには相当厳しいハンディキャップとなるだろう。いや、アラビア半島の湿度と高さと気温の高さのしんどさと言ったら形容し難いものがある。そのような地域で生まれ育った選手たちに、2月の日本の寒さは厳しい試練になることだろう。歴史的にもこのアジアの強国は日本で勝ち点を獲得したことはないと記憶している(間違っていたらごめんなさい)。そう考えると、日本との勝ち点差4を考えれば無理をしないはず、引き分ければ大成功と思っているはずだ。
 したがって、両軍とも完全な引き分け狙いで来る。落ち着いて90分で複数回崩し切る工夫をし、当方の豪華絢爛な我々のスター選手の誰かがゴールネットを揺らしてくれるはずだ。よほど妙なことが起こらない限り勝ち点6を確保の可能性は高い。

 と書いたわけだが、その「よほど妙なこと」を起こすのが、我らが森保監督。これまでの予選の2敗を振り返ってみよう。
 ホームオマーン戦では、CBと守備的MFの控えがいない異常事態にもかかわらず新しい選手を呼ばない謎対応。さらに疲弊したサイドバックを交代させず状況を放置。その結果、終了間際に遭えなく失点した。
 敵地サウジ戦では、再三ミスパスやボールロストを繰り返す柴崎を交代させず、そうこうしていたら柴崎の誰も予測できないようなミスパスから失点した。さらに、1点を取りに行く必要が出てきたので柴崎→田中碧の交代が妥当だったのだが、失点前に準備していた柴崎→守田の交代を変更せず、終盤の攻めあぐみを招いた。
 以前から幾度も書いてきたが、森保氏は決して悪い監督ではない。中心選手を固め、彼らに試合を委ねる。全員にハードワークを期待し、まず試合を無失点で終えることを目指す。そうこうしているうちに、かなりの確率で勝利を収めることができる。サンフレッチェでJを制覇した際も、佐藤寿人を軸にしたチームで丁寧に勝ち点を積み上げていった。アジアカップの準優勝や、先日の東京五輪での準決勝進出も、これらのチーム作りの成果と言えよう。
 しかし、これまた幾度もイヤミを語ってきたが、
選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。そして、五輪での最大の失敗である選手の消耗対応を反省していないこと。要は森保氏は、1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。
 その結果上記のホームオマーン戦や敵地サウジ戦で、非常識な采配を行い、後半煮詰まった時間帯にありえないような失点をしてしまい、そのまま敗北を喫してしまった。東京五輪でもチームの要である遠藤航と田中碧を酷使し消耗させ、結果メダルを逃したは記憶に新しい。

 そうこう考えていたら、なんとこの2試合、吉田麻也と冨安が欠場すると言う。さらに古橋亨と三笘薫まで。でもあまり不安はないのですがねw。
 散々イヤミを語っている敵地サウジ戦だが、柴崎がからんだ場面以外に敵に許した好機は序盤のFKからのみ。後はサウジの個人技による攻撃を、ことごとく冨安の1対1の強さと、麻也の老獪なカバーで防いでいた。前線からの組織守備と、遠藤航の協力な中盤デュエルにより、敵FWが加速して攻めてくる場面は非常に少なかったので危ない場面はほとんど作らせなかった。しつこいのは承知で繰り返すが、森保氏が適切な采配を振るっていれば、間違いなく勝ち点1を確保できていたことだろう。
 そう考えると、麻也と冨安の不在に不安感は高まる。おそらく、谷口と板倉が中央を固めることになるのだろうが、この2人にとっては代表定着の絶好機ということになる。フロンターレでの谷口の最終ラインでの安定感は相当なものだし、板倉の東京五輪での守備ぶりは中々で欧州での評価もかなり高い。そう考えると、この2人については、それほど心配する必要はないだろう。
 むしろ不安は守備的MFの控えの薄さではないか。おそらく、4-3-3のスタメンで、遠藤航、田中碧、守田が先発となるのだろうが、中盤後方のタレントの控えは柴崎しかいない。そうこう考えると、(森保氏が以前選考したことのある)稲垣祥や川辺駿あたりを呼べばよかったにと思うのは私だけだろうか。随分チーム運営が楽になると思うのだが。
 以前から何度か書いているが、30年前の森保一のような選手を、もっと呼べばよいと思うのだが。

 不安や不満を語り始めればキリがない。心配していない。中国とサウジを、圧倒的な戦闘能力で完全に殲滅すればよいのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:40| Comment(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月15日

スリルあふれる優雅な娯楽が継続(敵地オマーン戦前夜2021)

 ワールドカップ最終予選。敵地ベトナム戦に1-0で渋く勝ち切り、明日は最終予選の折り返し点を迎え、明日は初戦で苦杯を喫したオマーンとのアウェイゲーム。豪州、ベトナムに2連勝して勝ち点勘定は回復してきたわけだが、厄介な中東の敵地戦とは言え、2位以内を目指すためには勝ち点3が欲しいところ。不運な航空機トラブルなどに襲われたベトナム戦だが、そこからオマーンに移動し、選手達の体調をどのくらい整えられるのか。オマーンは、前節中国のホーム戦を疫病禍対応のため比較的近隣のUAEで行えたこともあり、体調管理は当方より有利だろうが、前回の吹田の失態を取り返せるか。

 以前述べたように、私は森保氏は日本代表監督に不適任だと確信している。
 東京五輪でいたずらに遠藤航と田中碧を消耗させ、Jリーグで猛威を奮っていた三笘や上田や前田を有効に機能させられなかった。加えて、リードしている試合での試合終盤の采配は稚拙そのものだった。
 改めて、W杯最終予選の序盤3試合を振り返っても、森保氏の不首尾が目立った。
 ホームオマーン戦、CBと守備的MFにバックアップ不在の状況を放置して試合に臨むと言う、いい加減な準備でホームで惨敗。疲弊したベテランサイドバックを交代させない消極的采配は論外だった。
 中立地中国戦、相手が弱かったこともあり内容は圧倒したが、試合終盤のクローズが適当でのかろうじての勝利。負傷者が出たところで、場当たり的な交代策を行い、フレッシュな選手を並べる努力を怠った。
 敵地サウジ戦、丁寧に守備的に戦ったことは悪くなかったが、体調が整わずミスを連発した柴崎を放置し、その柴崎の致命的なミスであり得ない失点を食らう。さらにその失点後の采配もおよそ非合理的だった。
 何度か嫌味を語ったが、森保氏は、1試合、1試合を勝ち切るために丹念に几帳面に工夫することができないのだ。選手の調子を見極めたり、試合の流れを読み選手交代を行うなど、柔軟な采配ができないのだ。サンフレッチェでの成果を含め、よい選手を呼び取捨選択を継続しチームを積み上げていくことについては、中々の手腕を見せているのだが。

 そして追い込まれた状態下、迎えた埼玉豪州戦。
 スタメンに驚いた。遠藤航、守田、田中碧の3人の守備的MFを並べてきたからだ。これまで、東京五輪でもW杯予選でも準備試合でも、執拗に4-2-3-1にこだわってきた森保氏に何が起こったのかと思った。ツッコミどころ満載のキックオフ前、「そういう事やれるならもっと早くやれよ」とか「中盤後方の控えがいないじゃないか」とか「結局田中碧をトップ下に使う4-2-3-1だったりして」とかw。
 キックオフ。どうやら、航がアンカーで碧と守田がインサイドMFの模様。ただし、碧は航と並んで後方に引くことが多く、守田が右サイドに張り出し気味。と思ったら、守田が左に回る時もある。前線も伊東純也は右前方に張り出すことが多いが、左の南野は中に絞り気味。トップの大迫が引き気味に位置取ることも多い。左右非対称でかなり流動的なやり方だった。
 序盤から幾度も好機をつかむ。これは布陣変更が奏功したと言うよりは、中盤にボールを刈り取れる選手、パスを出せる選手を3人並べたことで、前線によいパスが供給できるようになったことが大きかったように思える。そして、左サイドのうまい崩しから、田中碧が先制弾を決める。そもそも、Jで圧倒的な存在感を見せ、五輪代表でも格段のプレイを見せていた田中碧。最終予選4試合目にして、初めて起用されたところそのものが、森保氏の代表監督不適任を示す証左だろう。
 その後いくつも決定機を得ながら決めきれずにいたところで、後半速攻から左サイドを簡単に崩され直接FKから同点にされる。これは前線からの組織守備をかわされ、(日本から見て)左サイドに拠点を作られかけたところで、長友が意味不明の深追いを行うというミスからだった。長友は前半にも、麻也からのロングボールに安易に攻めかけ、同様に裏を突かれて豪州にポスト弾を許している。守田があちらこちらに出す変則守備網が災いしたこともあろうが、いずれもリードしている状況だっただけに、このベテランDFのミスは残念だった。
 最悪の事態も予想される中、麻也のロングボールを受けたジャガー浅野が強引なドリブルで崩し、自殺点を誘引。ヤレヤレ感満載の歓喜とあいなった。中々2点目をとれない攻撃組織の不備、長友の決定的ミスに代表される守備組織の曖昧さ。それでも、終盤までの戦いで豪州の守備陣は相当疲弊していたのだろう、麻也の性格だが常識的なロングボールを、浅野が正確な個人技で受けてターン、独特の加速ドリブルで振り切ると言う単純な攻撃で崩すことができた。各選手の圧倒的個人能力で、豪州に勝ち切ることができる時代が来たと言う意味でも感慨深い勝利だった。
 もっとも、これだけ個人能力の高い選手を揃えながら、勝ち点を揃えられないのだから、森保氏の監督継続は残念なのだが。

 そして一息ついたところで迎えたベトナム戦。
 引き続き採用した守田が左サイドに張り出す4-3-3。序盤に南野の個人技から伊東が決めて先制に成功。前半終了間際に、伊東がスーペルゴラッソとしか言いようがない一撃があったが、謎のVAR介入でノーゴール。後半も手変え品変え攻め込むが、どうしても2点目が奪えない。共通理解による攻撃の連動性が少ないこと、前線の選手が失点を怖がり強引な突破を自粛したこと、ベトナムの中盤選手が日本の起点となる田中碧や冨安からの展開を必死に押さえたことなど、要因は複数に渡るのだが。
 ただ、麻也と冨安が中央を固め、遠藤航がその前を見張り、前線の選手も攻撃から守備への切り替えが非常に早いので、危ない場面は皆無。終盤には、無理に2点をとりに行かず、田中碧→柴崎(短い時間ならば柴崎も守備で破綻はきたさない)、守田→原口と、経験豊富なベテランで守りを固め、堅実なクローズが行われた。東京五輪や最終予選序盤に、およそ非合理的な試合終盤の采配を連発した森保氏とは思えない丁寧な采配だった。
 もちろん、体調がよいとはとても思えない大迫や長友の拘泥など、いかにも森保氏らしい硬直采配も見受けられた。それでも、まったくベトナムに好機をつかませることなく重苦しい1-0での勝ち切り。疫病禍により満員とは言えなかったが、ベトナムのホームらしい熱狂下で、まったく危ない場面を作らせないのだから大したものだ。

 オマーン戦は守田が出場停止。最終予選序盤までの森保氏ならば、4-2-2-2に戻したり、守田の代わりに柴崎を起用したり、硬直した采配を見せていたことだろう。しかし、豪州戦の守備的MF3人起用や、ベトナム戦の終盤の堅実なクローズを見ていると、かたくなに学習を拒絶していた森保氏にも少し変化が見受けられる。野心あふれる若い前線の選手を多く選考した今回の遠征だが、森保氏がどこまで柔軟な采配を振るってくれるか。
 田嶋幸三会長が、日本代表の確実なワールドカップ出場、上位進出よりも、森保氏の代表監督留任に拘泥する理由はよくわからない。ともあれ、しばらく森保氏が代表監督を継続するのだろう。おかげでスリルあふれる優雅な娯楽が継続する。
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2021年09月10日

快勝だったが学ばない森保氏、やはり更迭が妥当

 森保氏は早々に更迭すべきと確信を持った中国戦の快勝劇だった。

 理由は明白、短期決戦の試合を勝ち抜くための采配が稚拙のみならず、直前の失敗の反省を織り込むことができないからだ。今のまま森保氏に代表を託したとしても、ワールドカップ出場権を獲得する可能性はそれなりに高いと思う。しかし、本大会で1次ラウンドを突破し1/16ファイナルを勝ちベスト8に進むことは、森保氏では極めて難しい。
 アジアカップの決勝進出、五輪のベスト4、森保氏の戦績は決して悪くない。内容面でも、五輪で見せてくれた守備網の堅牢さは中々のものだった。また能力の高い若い選手、Jリーグで台頭してきた選手を丹念に試し、おそらく史上最高レベルの選手層の厚いチームを作ったのも森保氏の功績だ。
 けれども、選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。要は1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。
 さらに悪いことに、失敗したことの反省が反映されていない。五輪での敗因は、選手選考段階のミスを含め、中心選手の消耗を放置したことにあった。オマーン戦は、選手の合流不可や負傷があったにもかかわらず試合前に対応せず、さらに雨中の試合で消耗した選手を交代させず終了間際の失態を招いた。中国戦は、敵の作戦ミスもあり前半先制に成功、後半攻めに切り替えてきた相手を冷静にいなしての完勝。けれども、交代策があまりに拙かった。危ない場面がなかったのは単に相手が弱かったからだ。
 五輪の失敗の反省が、最終予選の2試合で何も活かされなかったのだ。

 これまでも森保氏の采配に疑問は多かった。けれども、長期的に「何か」を考えているがための不可解さだと思っていた。たとえば、アジア選手権で韓国になすすべなく敗れたり、アジアU23選手権で無策のまま完敗を繰返したときは、腹がかなり立ったけれども、その「何か」を見極めたいと思っていた。
 しかし、五輪からこの最終予選の2連戦、長期的見解がどうあろうが、本腰を入れて勝負する試合でも、采配の稚拙さ、反省のなさが明らかになった。「何か」は幻だった。「何か」はないのだ。采配が稚拙で反省がないだけのことだったのだ。ワールドカップ本大会の采配を森保氏に託すのは、あり得ないことだ。

 中国戦については、詳細を論じる必要もない試合だった。単に中国が弱かったのだ。
 前半は、明らかな先方の自滅。5-4-1で守備を固める事自体は否定しないが、前線でのプレスもなく、両サイドの守備もいい加減。後方に引いて一切プレスをかけない1970年代風のサッカー。解説の岡田氏が外に開いた室屋や長友に対し、中盤の選手が当たりに行かずサイドバックが対応しているのを見て、激怒していたのには笑った。中国協会は今からでもよいので、岡田氏を監督にしたらよいのではないかw。
 それでも、日本はオマーン戦の衝撃が抜け切っていないのか、中々ギアが入らなかったが、あそこまで非組織的守備網ならばいつか崩れる。大迫がまったくのフリーでポストに当てた時はイヤな予感がしたが、伊東が持ち味の縦突破を見せ大迫が難しいシュートをキッチリ決めてくれた。
 これで本来のプレイを取り戻した日本。後半から帰化選手を大量に投入し前に出てきたところで、一切好機を作らせなかった落ち着いた試合運びは見事だった。

 ただし、追加点をとれなかったのは残念だった。
 要因の1つには、76分に起用された鎌田の調子が極端に悪かったことが挙げられる。落ち着いて中国をいなして好機すら許していない終盤、焦る相手を引き出して速攻をしかけてトドメを刺したい時間帯だったのだが。鎌田は、引き出しの動きが少ないのみならず、中途半端なドリブルで再三ボールを奪われてしまった。オマーン戦も残念なプレイ振りだったが、まだシーズン開幕直後で疲労がたまる時期でもないが、どうしたのだろうか。こののオフの移籍問題が尾を引いてでもいるのだろうか。もちろん、それを見極められず起用した森保氏の責任なのだが。
 さらにそのほかの交代策がひどかった。後半序盤に古橋が負傷し、交代の1枠を使っていたから後半の交代機会は残り2回。常識的には鎌田投入と同時に、もう1人(2人でも3人でもよいが)フレッシュな選手を入れるべきだろう。大迫に代えてオナイウ、久保に代えて堂安、柴崎に代えて守田などいくつも選択肢があったのだが。そして終盤長友の負傷時に佐々木を入れる時にも他の選手を代えることができたはずだ。
 現実的に後半の展開を見る限り、失点のリスクは非常に小さいものだった。しかし、その小さいリスクを几帳面に消すことが短期決戦での勝利の要諦なのだ。そして、森保氏は五輪と言う勝負どころで失敗した。さらに、その直後のワールドカップ最終予選の最初の2試合でその失敗の反省を活かせなかった。
 更迭が適切と言うものだろう。

 もちろん森保氏への不満はこれだけではない。
 特に攻撃面において、選手の特長を組み合わせた連係を作ろうとしないこと。森保氏のチームを見ていると、南野や久保のシュート能力を活かす、伊東の縦突破を活かす、古橋の裏抜けを活かす、オナイウのゴールエリアでの強さを活かす、このような各選手の特長を組み合わせる連係は、ほとんど見られない。両サイドにしても、サイドバックとサイドMFを有機的に組み合わせたインナーラップやダブルオーバラップなどの細工は見られない。ただ、4-2-3-1に選手をはめこんでいるだけだ。
 4-2-3-1と言う選手配置にこだわり、そこに選手を当てはめることしかしないのも不満だ。Jで猛威をふるっている三笘や前田大然を、五輪では4-2-3-1に無理矢理押し込みほとんど機能させられなかったことは記憶に新しい。
 けれども、こう言った不満は、ある意味で監督のスタイルと言えるかもしれないし、ワールドカップ本大会の重要な試合までカードを隠している可能性がある。もしかしたら、森保氏は本大会の1/16ファイナルや準々決勝で、南野と久保と堂安と鎌田を田中碧が鮮やかに操る、今まで見たことがない鮮やかな連係を見せてくれるのかもしれない。あるいは、突然に選手配置を4-3-3に切り替え三笘と伊東の両翼が強豪国の守備網を切り裂くのかもしれない。だから、文句は言い続けるだろうが、このような不満は勝負どころまで結論は断定できない。
 これらについては、まだわからない。

 けれども。
 1試合、1試合を勝ち切るために、丹念に几帳面に工夫することができないのは論外だ。
 序盤に述べたことを繰り返す。選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。そして、五輪での最大の失敗である選手の消耗対応を反省していないこと。要は森保氏は、1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。これは将来の改善は期待できない。
 これだけの選手を準備できたのだ。
 来年のカタールワールドカップ、私は森保氏に采配を委ねるべきではないと思う。ベスト8以上の成果を挙げる確率を少しでも上げるために。
 森保氏の更迭を望むものである。
posted by 武藤文雄 at 23:57| Comment(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月02日

森保さんさようなら

 昨晩、最終予選前夜だし、作文しようかなと思い立った。それで、あれこれ調べたらビックリ。昨日も散々愚痴を述べたが、守田と冨安が不在、板倉が負傷離脱とのこと。元々守備的MFを多数呼んでいなかったのだし、さっさと新しい選手を召集すればよいのに事態悪化を放置。昨日になって、ルヴァンカップにフル出場していた昌子を急遽招集。結果的に、後方中央は麻也、植田、航、柴崎の4人しかおらず、控えが実質不在。危機的状況である。
 しかし、今日の昼休みにもっとビックリした。昼食をとりながら、スマフォをいじったのだが、これだけの緊急事態なのに、それを騒いでいるマスコミやサッカーライターが見受けられないのだ。
 様々な媒体で、日本代表人気の落ち込みが報道されている。しかし、この緊急事態についての報道がほとんど見つからないのは、量の問題ではないだろう。単純に質の問題に尽きる。試合前に何が起こっているのか、練習を見たり、選手や監督を取材せずともわかるこの状況が報道されていない。しかも、森保監督は直前の五輪で中盤後方の選手の消耗を放置したことで敗退しているのだ。五輪での反省欠如どころか、不測の事態の放置。いかにも森保氏らしいと、おもしろがるか悲観するかはさておき、この試合の最大の注目点をほとんどのマスコミが気にしていない。Jリーグが開幕して約30年、7ワールドカップの年月が経った。多様なサッカー記事を楽しむことができている。しかし、今回は衝撃だった。当たり前のことを、当たり前に書く書き手が日本にほとんどいないことに。
 ピッチ上には無数に優秀な選手がいて、多くの個性的な指導者がいて、毎週楽しいトップリーグを楽しむことができる。我々のサッカー界は世界的にもトップに近い環境を獲得できたと思っていたのだが。もちろん、優秀なライターがJリーグの定期取材に回ってしまい、代表取材に回っていないなどの付帯状況には注意が必要だとは思うけれども。

 そして、この後方選手の層の薄さが直接的敗因となった。

 0-1で負けたことはしかたがない。しかし、あまりに負け方が不甲斐なかった。

 オマーンは1ヶ月合宿で調整していたと言うが各選手の体調はかなりよさそうだった。かつてイランを指導していたイヴァンコビッチ氏は、よく組織的なサッカーを叩き込んでおり、単純に選手の個人能力では突破できそうもなかった。また雨でかなり重馬場になったため、速いパスを回して敵を振り回して疲労を誘うのも簡単ではなかった。その結果、遠藤航も柴崎も後方に位置取り、まず守備の安定を図らざるを得なくなった。
 さらに悪いことに、つまらないミスが多い。オマーンは稠密な守備網を敷いている。そのため、軽いパスでは引っかけられてしまう、しかもオマーン各選手の意思統一は中々で、ボールを奪われた直後の動きが素早く、速攻に結びつけられるケースが多い。だから、各選手ともゆっくりでよいから丁寧にプレイをして、いつも慌てた速攻を狙うべきではなかった。むしろ、このようなチームはしっかりとキープすれば、食いついてくるので裏をねらえる機会も増えてくる。
 しかし、何か各選手にフワフワ感があり、ミスパスも減らず、決定機を演出する頻度もほとんどなく時計は進む。考えてみれば当たり前だ、次々と離脱する選手が出ているのに、監督は選手を補充しようとしない。監督のいい加減な試合に臨む姿勢が選手に伝播したのだ。

 そうこうして苦戦しているうちに、柴崎、酒井、長友の消耗が明らかになってきた。両サイドバックは大ベテランだし、柴崎は守備に相当振り回されていた。しかも上述のように柴崎の交代要員は不在。しかし、酒井と長友には山根、室屋、中山ら強力な交代選手がいたのだが、森保氏は動かない。
 前線の交代選手も機能しない。スコットランドで猛威をふるう古橋は前線でなく左サイドで孤立、堂安と久保は運動量が少なく、オマーンの集中守備を破れない。そして、彼らに有効なパスを出せる選手は、皆消耗している。
 失点時の左サイドの守備も残念だったが、クロスが上げられた瞬間に植田が出し抜かれてしまった。植田を攻めるのは酷と言うものだろう。元々空中戦の強さから、終盤の守備固めや、ここぞと言う時のセットプレイの強さを期待して選抜されている選手。離脱者が相次ぎ急遽先発起用されて、疲労した終盤のできごとだった。

 森保氏のこれまでの貢献に感謝したい。
 用兵面では多々不満の残る監督だったが、粘り強く選手を試し、史上最強感が漂う選手層のチームを作ってくれたのだから。
 けれども、選手が思うように集められないのに、何も手を打たなかったのはあり得ない。今日の重要な試合への真剣さが欠けていたのだ。結果として、そのいい加減な態度は、選手達にも伝播してしまった。

 とりあえず、ドーハでの中国戦は、反町技術委員長が務めればよいだろう。選手の能力は疑いないのだから、立て直しは容易だ。
 疫病禍のためとは言え、森保一氏最後の代表監督試合を生観戦できなかったことを、悔いるものである。
posted by 武藤文雄 at 23:51| Comment(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする