2005年06月08日

あれから20年

 あのジョホールバルのバックスタンドで味わった未曾有の歓喜、今でもあの瞬間を思い起こすと目頭が熱くなる。あれから8年の歳月が経った。

 あのドーハのゴール裏で味わった未曾有の驚愕、今でもあの瞬間を思い起こすと奥歯を噛み締めたくなる。あれから12年の歳月が経った。

 12年前も8年前も、チームの戦闘能力と言う意味ではアジア最高レベルだった。しかし、タイトルマッチ独特の厳しさの中、七転八倒の苦闘を余儀なくされ、12年前は沈み、8年前は浮沈を繰り返した後に最後の最後に浮上した。



 この日の北朝鮮戦、前半の落ち着いた展開はなかなか。

 そして後半、日本は淡々と時計を進めるのに成功。ドイツが近づくにつれ、微妙な寂しさと、しかし何とも言えない感慨がヒタヒタと押し寄せてきた。



 落ち着き払った選手達は冷静にボールを回す。両サイドを広く使ったボール回し、無理をせずに丹念に時計を進める。高温多湿の環境、ボールを確保している時間が短い北朝鮮の疲労が次第に顕著になってくる。そして日本は、ゆっくりとボールをキープしながらも、時折柳沢と大黒が、北朝鮮守備網の裏を突き得点を狙う。小笠原の妙技と稲本の押し上げによる後方支援。大黒が精力的にボールを引き出すのは当然として、柳沢が大黒に誘引されたのか強引にシュートを狙い出したのが嬉しい。難しい試合での完璧なゲームコントロール。見事なサッカー、完璧な試合展開。

 そして74分。稲本が上げたロビング風のフィード、大黒の飛び出しに北朝鮮CBがかろうじてヘッドでクリア。そこに、いつになく積極的になった柳沢が飛び込んだ。1−0。いよいよドイツが近づく。引き分けでよい試合で丹念にボールをつなぎ、敵の疲労を待ち、トドメを刺しに行く冷徹さ。

 さらに89分。やむを得ずに前に出てくる北朝鮮守備ラインの裏側を、田中誠と大黒が完璧に突いた。大黒がドリブルで抜け出し、余裕を持ってGKをかわし、全くのフリーになって左足で決めるまでのプロセスを、興奮しながら見守る快感たるやなかった。



 戦闘能力で劣る相手に対し、引き分けでよい試合で、冷静極まりないプレイを見せ、注文通りに完璧な勝利を収める。これ以上望むべくもない勝利。ここまでの安定感。ワールドカップ出場を決める試合で、ヒヤヒヤドキドキを味わう事ができない感慨、そして寂しさ。

 私の代表チームは、大事なタイトルマッチで淡々と90分を進める能力まで確保してくれたのだ。言葉にならない歓喜を味わいつつ、過去のような不運はもう味わえないのかなと思うと、それはそれで寂しい。繰り返そう、寂しさと感慨と。

 

 しかも、中田も小野も中村も、そして久保もいなかったのだ!!!

 しかも、予選勝ち抜き世界初と言うオプションまで付いて来た。何と誇らしい成績だろう。



 そしてあのソウルオリンピックスタジアムのメインスタジアムで味わった未曾有の絶望、今でもあの瞬間を思い起こすと気が遠くなる。「いつかアジアで勝てる時代が来るのだろうか」と。あれから20年の歳月が経った。そして、我々はアジア最強国となった。あれから20年間、日本代表と共に人生を歩んで来た事を誇りに思う。
posted by 武藤文雄 at 23:36| Comment(44) | TrackBack(5) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月07日

中田浩二のプライド



 不動の左サイドアレックスの出場停止に伴い、中田浩二の起用が噂されている。従来サイドプレイヤ不在時は三浦淳の起用が定着していたのだが、この勝負どころでの中田浩二の起用は大変興味深い。元々、現在の日本代表は豊富なMF陣を抱え、ポジションがバッティングするのだから、コンバートを試す事は大変意味がある(アレックスを4DFの左サイドバックに試したのも、アイデアとしては面白かったと思う、もっとも、成功と思える試合をほとんど見る事なく、2年の歳月に渡りテストが継続している訳だが)。

 中田浩二とアレックスと言うと、私はジーコジャパンの初期の国立で行われた日韓戦を思い出さずにいられない、4−4−2の左MFで起用されたアレックスは、武器であるはずのドリブル突破以前の問題として全くボールを止める事すら叶わず再三敵にボールを渡し、日本の敗戦の主要因となった。つけ加えると、ボランチで起用された稲本も悲惨な出来で、後半からは疲労で動作停止。つまり、フィールドプレイヤ2人が事実上不在の状態となった。結果的に0−1で敗れた日本だが、アレックス、稲本が事実上ピッチから消失した11対9の状況が継続した試合で、破綻を決然として防いでくれたのが中田浩二だった。中田浩二の奮闘がなければ、どんな悲惨な点差がついた事か。

 ところが、その試合後に日本代表選手としての中田浩二とアレックスは全く異なる道を歩む事になる。件の日韓戦後に行われた長居競技場でのアルゼンチン戦の惨劇以降、アレックスは代表のレギュラに定着し、中田浩二は遠藤の台頭もあり「召集はされるもののほとんど出場できない」状況となった。私がジーコ氏率いる日本代表を見て苛立つ事の1つに、このように「出来がよくても評価されない選手がいたり、出来が酷くても起用が継続される選手がいる」事がある。

 そしてアレックスのその後は、日本代表史研究家に対する興味深い研究課題である。

 一方で中田浩二は膝の負傷による長期離脱まで味わう。それでも代表チームにおいて出場機会に恵まれると、相応の成果を発揮している。例えば、アジアカップ。準決勝では中村のCKから見事な同点ゴールを決め、玉田の逆転ゴールを導く見事なロングパスを通す。決勝では「疑惑の得点」も決めている。しかし、ジーコ氏は中田浩二の優先度を上げる事はなかった。

 しばしば、ジーコ氏はかつて所属したアントラーズの選手を、代表チームで偏重するとの論評を見るが、中田浩二への仕打ちを見る限り、その見方は当たらないと思うのだが。

 それでも中田浩二はJのトッププレイヤとしての活躍を継続。そして、トラブルに見舞われながらも、トルシェ氏に招聘される形で欧州への移籍に成功。しかし、思うように活躍できずシーズンオフを迎え、来シーズン以降どこでプレイするのかも明確ではない。



 ともあれ、何があってもアレックスは起用され、中田浩二は起用されずに来た。そして、ドイツ行きを決めるべき大一番で、ジーコ氏は過去の方針を突然変更?し、サイドに中田浩二を起用する(らしい)。

 ここは中田浩二のプライドに期待したい。ドイツ行きを決めた試合で中田浩二が大活躍し、来年に向けそのまま左サイドに定着すれば、我々のフラストレーションも格段に小さくなる事だろうし。



 小野と久保が負傷で離脱している代表チーム。中田と中村が出場停止。さらにここに来て、中澤の体調も芳しくないと言う。核となるトッププレイヤが5人欠場すると言う非常事態。そのような非常事態だからこそ、それに続く選手達のプライドに期待したい。そして、我々はそれだけの豊富な選手を抱えているはずだ。

 明日はその圧倒的な戦闘能力をアジアに見せ付ける日となるはずだ。8年前の興奮とはまた異なる感慨を満喫できる事だろう。
posted by 武藤文雄 at 23:43| Comment(4) | TrackBack(3) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月06日

小笠原と稲本の相互作用

 小笠原の決勝ゴール。

 中田が柳沢のリターンを受け、いかにも中田らしい強く正確なグラウンダのボールを中村に入れる。中村がこれまたいかにも中村らしいトリッキーなヒールで落とす。ペナルティエリア直前で前を向く事ができた小笠原、右前方にリターンを落とした中村、左側方には後方から長躯した柳沢が、それぞれ走り込み、複数の敵DFを引き付ける。ここで小笠原は1度GKを含めた周囲をルックアップ、自らのシュートを選択。中村のパスを受けた体勢がやや左向きだったのを利用し、右に切り返し気味のフェイントで抜け出す。ここで、改めてGKを見て(試合後のコメントによると「GKの位置が右寄りだったので、左を狙った」との事、DFを抜く動きでGKまで釣りさらにそれを冷静に見抜いたと言う事だ)、落ち着いてシュート。小笠原の事だ、GKの前でバウンドするのも狙い通りだったのだろう。実に美しい得点だった。

 この完璧な決勝ゴール以外でも小笠原のプレイは輝いていた。中村と微妙な距離を取りながら、見事なパス交換を見せる。以前も述べたが、小笠原と言う選手は、横にもう1枚芸術家がいると冴える。これは人を使う事も巧いが、人に使われる事も巧いと言う、小笠原の特質によるもの。それが遺憾なく発揮された一戦と言えよう。相方が中村だろうが、小野だろうが、中田だろうが、「芸術家の真横で能力を発揮できる芸術家」としての能力は、小笠原は他を圧しているやに思えてならない。

 本題からは外れるが、いくつかの報道でこの日の中村への評価が今一歩なのは不思議に思えた。実に見事なボールキープを見せ(バーレーンの守備網が中村を全く捕まえられないのは面白かった)、攻撃の起点となっていたと思うのだが。中村と言う選手は、信じ難い技巧による得点やアシストがないと評価されないのだろうか。あるいは中田が凄すぎたので相対論で損をしたのか。



 と言う事で、バンコク北朝鮮戦。中田も小野も中村も不在。小笠原は真横の芸術家を持たずに全国民にドイツ出場の歓喜を提供する難しい仕事に直面している。

 ここでポイントとなるのは、(久々のスタメンが予想されている)稲本だと思う。稲本が小笠原に距離をおかずに適切にサポートする事で、お互いの良さが引き出される可能性は十分にあると見る。無論、バーレーン戦同様、福西に守備への専心を改めて頼む必要はあるのだが(ドイスボランチとしての福西と稲本との並列が難しい事は、3年前にトルシェ氏が散々試して、巧く機能してなかった事で証明済み、2人とも「後方からの前進」が特色で同タイプのためだろう)。ここのところ(と言うか、あのロシア戦以降ずっと)代表チームで明確な活躍をしていない稲本である(おっと、不運にも負傷したイングランド戦は悪くなかったな)、しかしその潜在能力の高さは格段なものがある。

 稲本がこの機会を利して、小笠原と見事な相互作用を見せてくれる事を期待してやまない。そして、「ドイツ出場を決めた試合は稲本が復活した試合でもあった」と記憶される事を。
posted by 武藤文雄 at 23:41| Comment(3) | TrackBack(2) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月04日

続 格の違い

 まだ日本は甘い。中村にせよ、中田にせよ、何故につまらない警告を受けてしまったのか(もっとも中村が何ゆえ警告を食らってしまったのかは、映像を観る限り全く理解できなかったが)。本当に強いチームと言うのは、そこまで見越しての戦いをしなければ。



 ともあれ、昨年の敵地オマーン戦同様、完全に格の違いを見せ付ける試合となった。開始早々に、中田がハーフウェイライン手前の右サイドから、左サイドのアレックスに見事なロングパスを通した場面。この時点で、選手の個人能力に決定的な差がある事が見て取れた。一体、日本中、バーレーンの何を怖れていたのだろうか。

 そして、中田と福西のボランチラインで、バーレーンの攻撃はほとんど止まる。2列目から遊弋する中村、小笠原を、バーレーン守備陣が捕まえられない。さらに、バーレーン全体が引いているために、ロングボールを入れられても、楽にこぼれ球を拾える。前半無理をせずに引いて、後半押し込んでくるのかとも思ったが、60分からの10分程度押し込まれたが、7人の守備ラインが崩れるものではなかった。 危ない場面も、アレックスのミスを拾われたロングシュートがポストを叩いた場面、後半終盤に左サイドのFKを川口が触れなかった場面くらい。

 主審もホーム&アウェイの原則をよく理解したホームタウンデシジョンの原則に則っており、散々何の事はない競り合いに対して、日本のファウルをよく取っていた。しかし、日本選手は冷静に戦い抜いた。

 バーレーンとしては、何がしかのゲームプランは持っていたのだろうが、全くそれが発揮できぬうちに90分が経過した。

 つまり、完璧に戦闘能力で敵を圧倒したと言う事だ。

 

 日本選手の緊張感が、画面から存分に伝わってくる実にタフで面白い、いかにもタイトルマッチと言う雰囲気の素晴らしい試合だった。そして、当たり前のように勝つ事ができた。



 マナマで歓喜した皆様に羨望。いいなあ。
posted by 武藤文雄 at 04:23| Comment(27) | TrackBack(5) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月02日

小野去れども

 ちょっと本業の愚痴を語らせてください。ここ数日トラブルの連続、朝からその対応でバタバタして、キーボードを叩き、動かぬ部下を怒鳴りつけ、電話に向かって吠える、と相も変わらず混乱を愉しんでいた。ところが今日は特別で、さらに大トラブルが発生、ついに自分でパートナ企業を訪問し善後策を検討する事になった。その対応が終わると、もう18時近い。このまま直帰したかったが、まだまだ宿題が残っており、事務所に向かう新幹線に飛び乗った。席についたとたん、電光掲示板(と言うのだろうか、あの新幹線のドアの上についているあの文字盤)から、今日一日の疲労が百倍化するニュースが飛び込んできた。

「日本代表の小野伸二選手が骨折、バーレーン戦絶望...」



 これはサッカーの神が小野に下さった休養なのだ。バーレーンや北朝鮮ごときに、小野の力は必要ない。他の選手で十二分にお釣りが来る。小野の目標、勝負どころはマナマではない、来年のドイツで世界の名手と伍しながら、いかに日本の上位進出を図るかなのだから。

 それにしても、それにしても、何と負傷に悩まされる選手なのだろうか。あのフィリピン戦以降、彼の運命は狂ってしまったのだろうか。今回の負傷が、彼にとって最後の重傷となる事を望む。



 もう小野はいない。嘆いても始まらない。

 

 まず先発が予想されている柳沢。あのイラン戦、私が観戦していたゴール前、中田が上げた難しいクロス、何とか競り勝てぬものかとの願いを込め「ヤナギサワ!勝て〜〜」と騒いだその直後、君は身体を敵DFに預けながら、とにかく頭にボールを捕らえてくれた、君の後方から物凄いスピードで進出してきた福西の強烈な一撃。泣いたよ。私達の柳沢が帰ってきたと思ったよ。もう最高だったよ。あのボールを奪われる場面までは。

 もういい。悪い事は忘れよう。大事な事はあの見事な空中戦、さらに再三見せてくれた裏への飛び出し。君のFWとしての潜在力は、久保と並んで国内最高レベルなのだ。イタリアでの苦しみと経験を活かし、このバーレーン戦以降は潜在力ではなくて能力を語れる存在になってくれ。あの3年前のベルギー戦、ハーフウェイライン近傍から強引に見せてくれたあの突破。あれを幾度と無く再現してくれれば、それでいいのだよ。頼むぜ。



 小野の代わりに起用が噂される小笠原。そろそろ代表でハッキリ活躍してくれよ。確かに埼玉北朝鮮戦のフリーキックは素晴らしかった。しかし、その後の数十分間、横に中村が登場するまでの君はもう1つだった。イラン戦、終盤の勝負どころで「小野の代わりに」起用された際も、大した輝きを見せてくれなかった。

 しかし、君はJリーグ最高のミッドフィルダなのだ。日の丸を付けて、もっともっと輝かしいプレイを見せてくれなければ困るのだ。君だってこのままで終わるつもりはないだろう。Jリーグで見せるあの知的で冷静で悪辣なあのプレイ。それを、アジアの難敵相手に見せてくれるだけでよいのだ。君だって、日本屈指のMF程度で終わるつもりはないだろう。狙っているのは世界なのだろう。マナマ決戦が、「君が国際試合でも化けた日」と記憶される事を。



 いや、彼らだけではない。私は過去、散々日本代表選手たちをからかってきた。将来もからかい続けるだろう。しかし、彼らは選ばれし民なのだ。ここぞと言う時に物凄いプレイができる男達なのだ。彼らのうち、ジーコ氏が選んだ11人、交替で登場するあと何人か、それぞれが己のサッカー人生を賭け全知全霊を尽くしたプレイを見せ、バーレーンに対して格の違いを見せつける事を。そして日本時間6月4日の3時20分頃には、日本中で歓喜の乾杯が。
posted by 武藤文雄 at 23:57| Comment(2) | TrackBack(4) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月01日

ジーコジャパンの守備問題(下)

 次にUAE戦の失点について。非常にわかり易い失点なので時系列で復習。

(1)MFのムバラクにほとんどノーチェックでフィードを入れられる(福西が淡白なプレイ)

(2)ワントップのハリルへののマークが緩く、容易に高精度のリターンを許す(坪井と田中誠の間でどちらかが当たりに行くべきか迷いも見受けられた)

(3)フィードを入れたムバラクがさらに前進しリターンを受け、再びノーチェックで、(1)と(2)の時点でムバラクの横から挙動を開始したアル・アリに好スルーパス(再び福西が淡白なプレイ、と言うかこれは前進時に付いて行かなければ話にならない)

(4)アル・アリをマークしていた小野は、より後方にいた坪井にマークを受け渡す。ところが、反転に手間取った坪井は、アル・アリに裏を取られ、スライディングする間も無くシュートを許す

 日本守備陣に4回ミスが連発したと言う事だ。これだけミスがつづけば、失点しても不思議ではない。この失点の要因は、カウンタアタックへの対処云々ではないのだ。この失点はまずい。



 (4)については、昨日述べたペルー戦と同様なので割愛。

 問題はまず(2)。UAE戦ではこの場面に限らず、ワントップに対する3DFの対応が巧く決まらなかった印象があった。空中戦の多くは中澤に任せればよいのだが、ディフェンスリーダの宮本には開き直りを期待したい。敵のFWが1人だろうが2人だろうが3人だろうが、ラインの高さと左右のバランスを見ながら、時に自らが競り勝てばよいではないか。すさまじい気迫で我々に歓喜を提供してくれたあの3年前のロシア戦を再現してくれればよいのだ。当時のベスチャスニフより空中戦に優れたFWがバーレーンにいる訳ではないのだから。

 次に問題になるのは(1)と(3)。福西が敵MFへのチェックに行かなかった事。先日も述べたが、元々福西と言う選手は「守備の人」ではなく「後方から前進する攻撃の人」なのだ。そのようなスタイルの選手が、時に守備面で「抜けた」プレイをしてしまうのは、やむを得ない事なのかもしれない。小野をボランチに使うならば、相方のボランチは福西、稲本らではなく、明神や今野のようなスタイルの選手が適切に思うが、今更騒いでも仕方が無い。ここは、福西は、昨年の敵地オマーン戦のように「守備に専心」する意識があれば堅実に守ってくれるのではないかと期待したい。ただし、過去の例を見ると、ジーコ氏は「守れ」と言う指示はするようだが、その方法論については選手の自主的判断に任す傾向がある模様。それが吉とでる事を期待しよう。



 とまあ、グダグダと講釈を垂れて来た訳だが、先に失点する可能性があるとしたら、セットプレイではないかと心配している。昨年アジアを席巻した感があった当方のセットプレイだが、どうにも今年に入ってからは切れ味が今一歩。おそらく、ジーコ氏も中村も中澤も福西も、今までと異なった切り口でセットプレイを活かそうと、知恵を絞っている事だろう(事実、決まらなかったがキリンカップでは様々なパタンを試みていた)。それはそれで素晴らしいのだが、そういう時はついつい守備へのケアがおろそかになりがち。川口と宮本がしっかりしているから、大丈夫だとは思うけれども。
posted by 武藤文雄 at 22:45| Comment(12) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月31日

ジーコジャパンの守備問題(上)

 様々な楽観論をぶち上げてはいるものの、少しはクールにキリンカップを振り返り、マナマ決戦を展望するのも一興かなと。



 マナマでは負けなければよい。と言う事で失点をゼロにすれるのが1つの目標となる。所詮サッカーであり、100%確実に失点をゼロにするなどはあり得る訳はないが、ゼロに押さえる可能性を少しでも高くする事を検討するのは、それはそれで愉しい。

 ちなみに、キリンカップでの2失点に関して、「日本の欠点はカウンタ対策」と言う報道には嘆息してしまう。世界中どのようなサッカーチームでも、同じ悩みを持っているのだ。「逆襲速攻への備えは万全だが、遅攻への対応に課題がある」と言う守備ラインがあるならば、見せてもらいたいものだ。

 とアホな事を考えていたら、アブダビからまた愉しい話題が聞こえてきた。あくまでも夕刊誌経由の情報だけに割り引いて考える必要はあるだろうが、この通訳鈴木氏のセリフは(もし事実ならば)感動的だ。思わず「うむうむ」と頷かされてしまった。鈴木氏の軽さに対して、田嶋氏の小役人的な発言がまた味わい深い。信憑性はさておき、これほど充実した新聞記事は極めて珍しい。



 などと、ふざけている場合ではないのだ。3日深夜の決戦に向けて、キリンカップの2失点を振り返ってみる事にする。

 

 まず、ペルー戦の失点。

 0−0で迎えたホームゲーム。終盤に前掛りになるのは仕方が無い事。起点となったのは、稲本が空中戦で敗れた事だが、元々この選手は強引に持ち出そうとして、しばしば入れ替わられてピンチを招く欠点があった。ちょっと形は違うが、それの再現のようなものか。ただ、稲本に同情はできなくもない、代表でレギュラを奪い返すために、「攻撃面での結果」が欲しい気持ちは痛いほどわかるからだ。

 激しい競り合いの中で、半ば偶然にクリアのヘディングが巧くつながってしまい、結果的に生まれた3対3の状況。ああなった状況で、ああも見事に坪井が振り切られ、そこにピタリとスルーパスを通されてしまっては、話にならない。



 ここには2つの切り口がある。

 まず1つ目として、あのような数的優位を作らせない事。このれは月並みな対応が必要。各選手に真面目に相互の位置取りを確認し、極端な前掛りにならないようにする事。さらに、上がった選手は元のポジションに修正してから休む事。強いチームと言うのは、大事な試合でそのような当たり前の事を、サボらずにできるチームなのだ。マナマ決戦で日本代表選手がそのようなサボリをするとは考えられないので、そう心配はしていないのだが。

 2つ目は、これまた月並み。敵FWには個人能力で振り切られてはいけないと言う話。坪井はその後のUAE戦でも振り切られて失点しまう訳だが、いずれの失点場面でも挙動開始の遅れが痛かった。元々、坪井の特長はあのような場面での、スピードにあるのだが、スタートが遅れてはその俊足は活きない。長い負傷療養でそのスタートの判断が鈍ってしまったのだろうか。まずは試合勘の回復を待とう、ドイツまではまだ時間がある。そして、マナマではここに中澤が入るのだから、問題は解決してしまう。

 

(続く)
posted by 武藤文雄 at 23:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月29日

鈴木隆行の不振

 一部報道によると、UAE戦終了後の記者会見で、「鈴木の不振」について質問が出た際に、会場の一部から「鈴木を揶揄する雰囲気の失笑」があり、ジーコ氏が激怒し「今までの鈴木の貢献を忘れてはいけない」と言う趣旨の発言を行ったらしい。今までも再三ジーコ氏の言動に疑問を呈してきた私だが(一方、怖いもの見たさで面白がっていた事もあるのだけれども)、少なくとも今回のジーコ氏の発言には賛同したい。鈴木の代表チームへの幾多の貢献は本当に素晴らしいものがある。

 もちろん、この選手は時々目を覆わんばかりのミスをする事があるのは否定しない。しかし、アジアカップでの献身的なポストプレイにせよ、敵地オマーン戦での決勝ゴールにせよ、戦いが厳しくなればなるほど、我々に歓喜を提供してきてくれた事は間違いないのだ。そして何より、あの3年前のベルギー戦。ヴィルモッツのオーバヘッドに先制された直後に、あの鈴木の足を伸ばし切った鮮やかな同点ゴールがなければ、我々は一体どのような地元ワールドカップを体験する事になっていたものか。先日のテヘランイラン戦、負傷で鈴木が不在の状況でFWがほとんどまともなキープができず、押し切られた試合後に鈴木の存在価値の高さを思わずにはいられなかった。

 鈴木は、日本代表史における2000年代前半を代表するFWと呼んでも過言ではない実績を上げているのだ。



 だからこそ、ここ2試合の元気の無さが気になるのは事実。たとえ無細工でも、強引に身体を張ってのボールキープが、あまり見られなかった。特にUAE戦では、見事な動き出しで再三ボールを引き出す大黒の影に隠れ、あの独特のポストプレイがあまり活きなかった。

 しかしこれは懸念であろう。淡々と体調を整える鈴木の事だ、来週の高温高湿の2連戦に向けて、フィジカルを鍛え疲労のピークにあったのだろう。マナマのバーレーン戦では鬼気迫るプレイで敵DFを2,3枚まとめてなぎ倒し、中村や小野の鋭いラストパスを大黒が叩き込むのをサポートしてくれるに違いない。あるいはそのこぼれ球を、敵DFごとゴールに押し込んでくれるに違いない。彼の今までの実績を鑑みれば、そうなるに決まっている。

 紛れも無く鈴木隆行は、我が国が他国に誇り得る戦士中の戦士なのだから。
posted by 武藤文雄 at 23:16| Comment(13) | TrackBack(4) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月27日

大丈夫だ

 下を向くんじゃない。大丈夫だ。



 よい材料もあったではないか。今日の小野は実に精力的にチームを引っ張り、幾度も好機を演出したではないか。大黒は期待通り実に見事なボールの引き出しを見せたではないか。来週は中村も中澤も、そして苦しい状況下で過去幾度と無く我々に歓喜を提供してくれた最近試合には出ていないけれど中田も帰って来る。当方の上積みは相当大きいのだ。

 所詮準備試合なのだよ。来週マナマで勝てばよいのだ。引き分けでも構わないのだ。そう落ち込む必要はないのだ。

 大体、ペルー戦にせよUAE戦にせよ、いずれの失点も中澤がいれば防げていた可能性は高い。中澤ならば、ああも簡単に敵FWに裏を付かれはしないだろうし、容易にポストプレイを許す訳がない。

 また中村が復帰すれば得点力は格段に上がるのも証明済みだ。小野と中村と起点が2つになれば、大黒の早い動き出しは一層活きるだろう。



 悩ましい問題がある事は否定しない。

 大黒は素晴らしかったが、鈴木、玉田の調子は芳しくない。自分のクラブではそこそこの活躍をしながら、代表に呼ばれる度に戦犯的な不振を継続している高原は負傷中(これは幸運と言う気もしなくはないが...一日も早い復調を望む)。スペインで冴え始めた大久保は不選考。テヘランイラン戦で福西に見事なアシストしながら、勝負どころで不甲斐なく敵DFにボールを奪われ決勝ゴールの起点となった柳沢が追加選考されたが、イタリアでは非常に短い時間しか使われていない(中田よりは出場時間は長いようだが)。特にここまでジーコジャパンを支えてきた鈴木の不出来は心配。ただし、鈴木と言う男は経験豊富な選手であり、苦しい本番の度に結果を出してきた。さらに、このポジションに(ぶっつけ本番と言う不安は残るが)中田を起用すると言う奥の手もあるし...

 小野のボランチのパートナ問題も片付いていない。福西はよい選手だが、自らがつぶれてパートナにスペースを提供するタイプの選手ではなく、挙動開始を後方として前進した時に能力を発揮する選手。この日の失点場面も、ラストパスを出した選手をマークしきれていなかった。ジュビロ好調時も、服部や名波らが巧みに福西前進後の後方をカバーしていたのを忘れてはいけない。そして、このままだとその仕事を小野が務める事になるのだが、これは本末転倒である。さらに福西のリザーブとなっている稲本もスタイルは全く同等。ボランチ小野のパートナには、明神なり今野のような献身的な選手が必要だと思うのだが。現状のメンバでそのような小野のサポートに専心できる選手とすれば、2人の中田だろうが、いくら経験豊富な彼らでも、最初のトライを難しいアウェイゲームでするのは...

 苦しい状況下で両サイドの選手があまり機能しないのも今に始まった事ではない。思い切り良く前進する判断が適切な加地は残念ながらクロスの精度は今一歩。判断力に欠けるアレックスは、時に素晴らしいクロスを上げるが、多くの場面でミスパスをしたり強引な突破を読まれる傾向がある。2人とも悪い選手ではないが、今日も終盤ほとんど機能しなかった。しかもこのポジションは常時不動で層が薄い。唯一バックアップと言える三浦淳は、ペルー戦の前半はそこそこのプレイを見せたが、イラン戦は不用意な前進から決勝ゴールを誘引する置いてきぼりを食ってしまっている。小野や中村の好展開を受けて突破し精度の高いクロスが上げられ、さらに逆襲速攻に対しても粘り強い守備ができるサイドプレイヤ候補は、相当数Jにいるのだけれども。まさか、いきなり中田浩二と稲本を両サイドで試す訳にもいかないだろうし...

 フランス予選あたりから、アジアの大会のたびに日本を際立たせていたコンディショニングのよさ。試合終盤になればなるほど、敵は疲労から動けなくなり、体調が優れた日本が有利になっていく快感。しかし、不思議な事にジーコ氏が監督になってからの日本代表は、その良さが失われている。1次予選の敵地シンガポール戦や、アジアカップのオマーン戦、ヨルダン戦などでの終盤の失速振り。高温高湿が予想されるマナマ、バンコクでの連戦、コンディショニングは大丈夫だろうか。今の代表選手たちのほとんどは、10代の頃からアジア中でタフな国際試合を戦い抜いてきているので、信頼してよいようにも思えるのだが...



 しかし、6月3日に戦うのはブラジルでもアルゼンチンでもイタリアでもオランダでもないのだ。(いささか失礼な言い方だが)バーレーンなのだ。たとえキリンカップで無様でも、上記の諸問題に解決のメドが立っていなくても、(監督の意図通り?)個人能力を前面に押し出す事で、勝てるはずだ。不運が錯綜しても、引き分ける事が難しいとは思えない。

 以前の出来と比較して、この2試合の出来が格段に悪いならば心配する必要もあろうが、現監督が就任して以降、この程度の試合は散々見てきたではないか。そして、このような苦しい状況に追い込まれるたびに、我らが誇る代表選手たちは堂々とその苦難を乗り切ってきたではないか。大丈夫だ。私は私の選手達を信頼している。
posted by 武藤文雄 at 22:40| Comment(2) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月25日

難しい時代の代表監督

 まあ色々言いたい事もあるけれど、多忙ゆえ、想う様に時間が避けない。ともあれ、ちょっと異なる切り口で考えてみた。

 

 ジーコ氏の謎のチーム作りに関しては、今後も愉しみながら検討していきたい。マナマで負けたりした場合に、「愉しめる」と書ききれるほど、自分が修行を積んでいるかどうかはさておき(とは言え、結構楽観的なのだけれどもね)。

 過去から再三繰り返しているが、アジアカップ準々決勝、準決勝と埼玉北朝鮮戦での信じ難い勝負強さ、アジアカップ決勝と敵地オマーン戦のしたたかさ等、ジーコ氏率いる日本代表には「何か」がある。そして、それを率いるジーコ氏の指導術には、大変興味深い「何か」があるはずだ。

 一方で、ジーコ氏のチーム作りには、全く理解できない疑問も多々ある。どうにも理解不能な事を羅列してみても

1)何回も不出来なプレイをしても、一部の選手はレギュラを確約される

2)選手の長所短所を組み合わせた起用をしない

3)勝負所で選手の個人能力に期待するサッカーの割には、リーグで好調の選手を選考しない

4)重要なタイトルマッチなのに、試合の何日も前にスタメンを発表する。

これらの疑問点に関しては、今後も個別に検討していくつもりだ。



 確かに、無残な結果ではあった。しかし、相手は2軍レベルとは言え、さらにはホームとは言え、ペルーである。日本にせよ、ペルーにせよ、「予選を勝ち抜いた上で(先方は相当苦戦しているがまだ存分に可能性はある)、本大会で1次リーグを何とか突破し、さらに2次トーナメントでもう1勝したい」と言うレベルの国(この南米の古豪と同格と断言できる時代になった事を素直に喜ぼう)。

 大体代表チームの2軍の構成員は、1軍の構成員の中下位の構成員のレベルとそうは違わないものだ。決定的に違うのは1軍にいて全軍を仕切るようなスーパースターがいるかどうか、あるいは長年の経験で勝負どころを見極められるベテランがいるかどうか、くらいだろう。

 具体例を考えてみる。もし、日本代表監督が交替し、南米遠征を実施しリマでペルーと対戦。先方は欧州で活躍するトップスターに加え、国内でプレイする守備の要が不在。対する日本は、櫛野、隼磨、闘莉王、水本、相馬、今野、阿部、長谷部、中村(直)、達也、幡戸(主将)と言ったスタメンで戦い、押され気味の試合を展開。終了間際に交替出場した中村(憲)のパスから、同じく交替で起用された坂田が決勝点を奪って勝利したとしよう。我々日本人からは、奇跡でも何でもなく「まあまあの試合」と評価されるのではないか。下手をしたら「ベストとは言えないペルーに中盤であそこまで劣勢に立たされたのが問題」と評論されるやもしれない。

 まあ、この敗戦は(腹立たしい事この上ないが)そんなものである。ビートルズではないが「彼らにも失敗する権利はある」のだ(いくらなんでも古いか)。

 え、内容?忘れた。



 と、愚にもつかぬ事を考えているうちに、改めて痛感。本当に今の日本代表のチーム作りは難しい。チームの中核である中田、小野、中村が欧州でプレイしている。さらに、アジア予選の日程と彼らのプレイするリーグ戦の日程のマッチングは悪い。加えて、彼らのうち何人かは、必ずしもフル出場できない状況にある。しかも、欧州組のポジションが中盤に偏在している。

 このような難しいチーム作りをする監督は大変だ。日本中を飛び回るのみならず、欧州も再三訪問し、各選手とコミュニケーションを取る必要がある。「レギュラのDFが出場停止の次の試合にどのようなやり方をするのか」、「負傷で長期欠場している中心選手が復帰した場合、どのように使うのか」、「欧州から帰国する選手の体調が整わない時に、どのようなメンバ構成をとるか」...このような厄介な問題を、各選手に事前に説明して納得させなければならない。



 かくも難しい時代の代表監督。せめて現任者にはその難しさの自覚を願いたい。しかしもはやそんな事はどうでもよいのだよな。何がどうあろうとも、マナマとバンコクで勝ち点4を確保されん事を。

 



余談:決勝戦予想

 ミランの守備陣って凄い。マルディニ、ネスタ、スタム、カフー。両サイドに至っては、世界サッカー史のベスト11候補選手だ。そして、36歳、29歳、32歳、34歳。この年齢の守備陣が欧州を制する事ができるとは思えない。

 リバプール1−0ミラン、と予想します。

 もっとも、俺の予想は当たった試しはないのだけれども。 
posted by 武藤文雄 at 23:18| Comment(7) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする