2015年06月17日

ハリルホジッチ氏、罠にはまる

 ひどい試合だった。
 正にサポータ冥利に尽きる試合だった。40年以上にも渡る己のサポータ人生でも忘れ難い、腹が立って仕方のない試合と語っても過言ではないな。ハリルホジッチのバカ野郎。

 前半、香川と本田の厳しいマークに岡崎は苦しんだ。本田が絞って入ってくるのは、このチームのやり方の1つなので、本田がマークを引き連れて岡崎の近傍に入ってくるのは一種の必要悪とも言える。実際、ペナルティエリア近傍で、本田がしっかりとキープしての好機は作れていたのだし。しかし、香川がズルズルと岡崎と同じラインでボールを待ち続けるのは不思議だった。確かに開始早々に、トップ近くで見事なターンから決定機を掴んだのは確かだが、それ以外の時間帯は最前線でほとんど消えていた。さらに悪い事に、各所で報道されたように、岡崎はハリルホジッチ氏に「最前線から動くな」と指示されていた模様で、普段ならば岡崎が作るスペースを活かしや、岡崎の飛び出しから作られる好機が生まれない。結果的に、バイタルエリア周辺で、敵のDF4人と香川と本田が、岡崎を厳しくマークする状況になり、長谷部も柴崎も、有効な縦パスが入らず、単調な攻撃に終始して45分が経過した。
 もう一つ悪い事に、審判の判定が日本向きではなかった。一昔前のJリーグの判定を思い出すような、選手が転んだらファウルと言う笛だったのだ。結果、相手に蹴られても持ちこたえる日本選手はファウルをとられず、簡単に転ぶシンガポールはファウルをもらう展開。それでも、審判の基準そのものは明確だっただから、学習して欲しかったのだが、麻也には。
 香川が前線に張り続けるのを放置したのだから、これはハリルホジッチ氏の作戦と理解するしかない45分間だった。ハーフタイムには、友人と「アルジェリアをあそこまで育てた監督だ、この45分間は後半への伏線に違いない(と、考える事にしよう)」と語り合った。

 後半立ち上がりから、香川は前線に張らず、中盤でプレイするようになった。改めて、ハーフタイムの友人との会話が誤りで、香川とハリルホジッチ氏の連係不足が45分間放置された事が理解できた。状況はたちまち改善し、岡崎へのマークが緩くなり、日本の攻撃がスムーズになる。10分、長谷部の展開からの太田のクロス、岡崎のヘディングはGKを破り、ゴールラインを越えたように私からは見えたのだが。まあ、このような判定は審判に任せるしかないが、その瞬間副審がゴールラインまで戻れていなかったのだけは、よく見る事ができた。
 60分過ぎに香川に替えて大迫。大迫の変化をつけた動きにより、岡崎もやりやすくなったのだろう。日本はさらに押し込み、好機を再三作れるようになる。
 問題は次の交代だった。何かきっかけを掴みたいところだったから、原口投入は妥当だろう。しかし、交代される選手が宇佐美ではなく、柴崎なのにビックリした。直後、原口の仕掛けから、ゴール前のFKを獲得。本田が直接狙うもポストに当たる。「さすが、このような狙いなのか」と友人と語り合ったが、原口が機能したのはこの場面が最後だった。以降、原口は中盤のバランスを取る事に終始し、攻撃にほとんど登場しなかった。
 原口にしても、両サイドバックの酒井にしても太田にしても、思い切りよく飛び出す場面は、ほとんど見られなかった。これは、ハリルホジッチ氏の指示だったと考えるしかあるまい。ハリルホジッチ氏は、敵の逆襲を警戒し、後方に人数をある程度残す事を厳しく指示したのだろう。そのため、日本の終盤の攻撃は迫力を欠く事になった。まあ、それも1つの考え方だろうが、だったら前半の香川に「不用意に前に行くな」と厳しく指示すれば、すべての問題は解決していたようにも思うのだが。さらに言えば、後半半ば過ぎから、シンガポールの各選手は疲労で青息吐息。とてもではないが、逆襲を心配する状況には見えなかったのだが。
 上がらない両サイドバックと、前線で効力を発揮するストライカ4人を抱え、長谷部が1人労苦を重ねたが、状況は打開されなかった。終盤には、酒井が再三ビックリするようなミスを連発し、攻撃ムードを阻害してしまった。こう言った状況下で、ベンチで長友は何を思ったのか。それにしても、長友の欠場には驚いた、よく言えば「トレーニングで充実していた太田を抜擢した」と言う事なのだろうか、いや、悪く言えば、ハリルホジッチ氏が自己顕示欲を発揮し過ぎて、奇策を当て損ねたようにも思えるが(それとも、長友は負傷だったのだろうか、でもメンバには入っていたし)。

 無様な試合だった。このような試合で勝ち切れない事も悔しいが、終盤のメンバ選定の誤りで、絨毯爆撃のような猛攻を仕掛けられなかったのが、また腹が立つ。思えば、イラク戦で香川のバックアップを試さず、総とっかえを選択したハリルホジッチ氏の油断。柴崎を残さず、原口を投入したハリルホジッチ氏の焦り。監督の油断と焦りが錯綜し、自ら勝ち点ロスに向かった無様な試合だったのだ。
 各地で鮮やかな実績を残してきた名監督ハリルホジッチ氏が、罠にはまった試合だったのだ。

 イライラ、怒り、不完全燃焼、正にサポータ冥利に尽きる試合だった。

 この時点では、よくある不出来な試合に過ぎなかった。このような怒りを、過去幾度味わってきた事か。
 しかし、今日はそれで終わらなかったのだ。試合終了と同時に競技場を飛び出した時は、雨は大したことなかった。ところが...
 埼玉スタジアムを出て、浦和美園に向かった瞬間、雨は半端ないものと変わった。ゲリラ豪雨である。スタジアムを出る時に、カッパを来たり、カバンをビニールで覆っていれば被害は少なかったのだが、その手当を怠っていた。腹が立っていて、冷静さを欠いていたのかもしれない。そして、1度競技場を出てしまうと、それを修正する場所がない。細い道に多数の観客が充満、大渋滞をお越し、どうしようもなくなってしまったのだ。かくして、傘でかろうじて身を守りながら、ゲリラ豪雨の中を、失意のサポータの皆様と、粛々と浦和美園まで行進する事と相成った。本当につらい行軍だった。

 八つ当たりである。
 本当に不愉快な一夜だった。油断と焦りから、次々と繰り返される監督の采配ミス。自ら失ってしまった貴重な勝ち点。これほど腹が立つ試合は珍しい。正にサポータ冥利に尽きる不快感。
 そこにゲリラ豪雨。

 繰り返すが、八つ当たりである。
 もう許せない。私はハリルホジッチ氏を許せない。
 いや、私は寛容だ。氏を許す事にしようと思う。ロシアでベスト8以上を獲得してくれるだろうから。
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2015年06月13日

評価のしようがない試合が続く

 イラク戦。格段に素晴らしい試合でもなかったが、特別に悪い試合でもなかった。
 岡崎と本田の調子がよければ、どのようなチームから得点を奪う事は可能な事はわかっている事。長谷部のサポートを受けた柴崎が再三早いタイミングでよい縦パスを出した事、宇佐美が再三よい突破を見せた事、原口の得点も相応に見事だった事、よい事はたくさんあった。地味ながら、槇野が無茶な攻撃参加を控え冷静な守備を継続したと言う、嬉しい誤算もあった。後述するが、イラクの悪さを差し引かなかければならないのだが。
 しかし、守備はもう少し安定感が欲しかった。川島と麻也のドタバタを愉しんだ事は否定しないが、いつになったらこの2人は落ち着くのか。前半、酒井宏樹と本田の右サイドの守備に軽さも気になった。序盤に2点差としてしまい攻撃のペースが落ちたのは仕方がないが、それを活性化する采配をハリルホジッチ氏を採らなかったのも不満、攻撃ライン総とっかえをしては攻撃は機能しない。そのため、蛍によるクローズを除くと、メンバの組み合わせを広げるテストは、ほとんどできなかった。例えば、清武が離脱してしまっているのだし、後半総とっかえなどせずに、今一歩の出来だった香川のところに他選手を入れるテストをするのが常識と言うものだろう。
 巷で言われる「縦の意識の向上」だが、イラクが比較的ノーガードだったのだから、評価のしようがない。敵を自在に引出し、狙い澄まして素早い速攻を連発でもしてくれれば別だが。単にコンディションのよくないイラクに対し、立ち上がりにうまく点をとり、その後低調ながら押し切った試合に過ぎなかった。
 可もなし、不可もなし、評価のしようがない試合だったのだ。

 イラクは確かに残念な出来だった。キリンチャレンジにアジアの代表チームを招聘すると、どうしてもコンディショニングの差が出てしまい、一方的な試合となる傾向がある。とは言え、シンガポールとの初戦を前にしたA代表マッチデー。スポンサとの約束している国内での有料準備試合を行うには適切な日だし、その相手としてアジア最強(あるいはそれに準ずる)クラスのイラクを選考したのは、有効な選択だろう。本番のシンガポール戦を前に、ウルグアイやらベルギーを呼んでしまっては、何が本番かわからなくなってしまうではないか(もちろん、コパアメリカやら、ワールドカップ予選で、これらの列強を呼ぶことは不可能だったのだが)。
 もちろん、イラクには国内情勢から安定した長期の強化が難しい事情もある。ために、2007年のアジアカップ制覇、2004年のアテネ五輪ベスト4など、短期集中大会では見事な成績を収めるが、長期のホーム&アウェイには今一歩と言う傾向なのも確か。その上、イラクは16日のインドネシアとのアウェイゲームが、インドネシア協会の不祥事によりキャンセルになっていた。そう考えると、選手のモチベーションや準備を含め、イラクが残念な出来だったのは仕方がない事なのだ。

 シンガポールを軽視する気は毛頭ないが、日本での試合ならば10回試合して1回引き分けまで持ち込めるかどうかだろう。当然シンガポールは「その1回」を目指す事になる。しかし、今の日本は岡崎と本田を筆頭に、宇佐美、原口、武藤ら、得点能力の高い選手が前線に多く、リスクはほとんどないと考える。
 一方でこの2次予選グループの対戦相手は、その他にはシリア、カンボジア、アフガニスタン。シンガポールより歯応えがありそうなのはシリアくらい。来年春先(2018年への折り返し点あたり)まで、貴重なA代表試合日をこう言ったチームとの試合が続く訳で、、「強化」と言う視点からは感心しない状況が続く。しかし、アジア各国にとっては日本との公式試合は、単に代表チームに止まらず、その国のサッカー界の総合強化にも、最高の経験となる事だろう。だから、「困った事だ」と言ってはいけないし、長期的にはアジア全体の底上げがなければ、日本のワールドカップ制覇もない。ゆったりと、慌てず、進んでいく事が肝要なのだ。

 ハリルホジッチ氏はわかりやすい人だ。まずは過去を徹底的に否定し、うまく行った事を針小棒大に語り、自慢し、自分の実績と語る。このような外国人監督は、トルシェ氏、アギーレ氏と同じ系列で、安心して任せる事ができる1つのタイプだ。就任前から絶大な信頼をおけたオシム爺さんは別格として、何も考えていないジーコ氏、決して失言しないオフト氏よりは、その自慢話から状況を正確に推定する事が可能だからだ(ザッケローニ氏はオフト氏と同じく寡黙系だったが、就任早々のアジア制覇とアルゼンチンへの勝利と言う実績で、我々を納得させてしまったが)。また、そのハリルホジッチ氏の自慢話、景気のよい勝利、日本のサッカーマスコミの報道姿勢、いずれのマッチングのよさも中々だ。
 現実は現実ととらえ、じっくりとサポートしていきたい。3年後の歓喜を信じて。
posted by 武藤文雄 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月03日

選手の個人能力で勝ち切った2連戦

 テレビ桟敷で堪能したチュニジア戦は素晴らしかった。ほとんど初顔合わせの意表を突いたスタメンながら、チュニジアにほとんど好機を作らせなかったからだ。前線からの精力的な守備は実に見事。冴え渡る長谷部と蛍には素直に感心しました。一方の攻撃、チュニジアのCBアブデヌールが素晴らしく、中々崩し切れなかったが、これは相手が凄過ぎたと考えるべきだろう。もっとも、後半になれば相手が消耗してくるのは、国内の親善試合の常、そこの時間帯に本田、香川、岡崎、宇佐美を投入する、非常に理に叶った采配で、キッチリと勝利した試合となった。もっとも、公式戦ではこのような采配は不可能なのだが。

 さて久々の代表生観戦となったウズベク戦。初戦のビックリスタメン、スタア交代劇を思い起こせば、初戦起用されなかった大迫、柴崎、太田らが起用されると思っていた。ところが、内田、本田、香川、岡崎の揃い踏み。こうなると「単に意表を突きたいだけなのではないか」とも思えてくるが。そして開始早々に、青山の超弩級弾で先制。5万大観衆の盛り上がりは最高潮に達する(余談、FC東京サポータと一緒に参戦していたのだが、「こんな満員になるなんて、同じ競技場とは思えない」と感動していた、もっとも私にとっては普段と異なる飛田給駅からの大混雑で中々競技場にたどり着けず「キックオフに間に合わないのでは」とオロオロ慌てた悪い記憶が残ったのだが)。
 ところが、その後がいけない。とにかく守備が緩いのだ。本田も香川もサボっている訳ではないが、切れがない。内田もとにかく重い(内田について、起用する意味があったのかが、そもそも疑問だが)。そして、今野が明らかに体調不十分。寄せが甘く中盤で敵を止められない。結果最終ラインでの戦いとなり、森重の奮戦でかろうじて凌ぐ展開となった。まあ、仕方がないよな。チュニジア戦で相応に仕事して安心した本田と香川に、この環境でタフファイトは望めない。終盤腕章を巻いた森重にも、とにかく敵をはね返す能力を見せた昌子にも、よい経験となったのだから、それはそれで結構な事だ。
 試合そのものは、岡崎が仕事して2点差としたところで実質的には勝負あり。国内親善試合の常で、ウズベクの動きが止まってしまった。その後のフエスタは愉しゅうございました。素直に喜ぼう。

 以下雑感を少し。

 ハリルホジッチ氏。実績面を考慮すれば、とてもよい人と契約できたものだと思う。ただ、この2試合については手腕云々を語るのは失礼と言うものだろう。ともあれ、おぼろげながら、幾つか。
 チュニジア戦、中盤に長谷部、蛍、永井、清武、武藤と、真面目な選手を並べて、相応の組織守備を見せてくれたのは間違いない。が、本田と香川が、敵が疲労したチュニジア戦終盤に機能し、敵が元気なウズベク戦序盤では機能しなかった。わかりやすいと言っていまえばそれまでだが、最初の2試合で非常に難しい問題が健在化したと言う事だ。もっとも、早々に問題を健在化する手腕が素晴らしいと言う見方もあろうが。
 水本アンカーが機能した。森重、昌子が後方から、水本が前方から、それぞれ敵2トップを挟み込んで止めて、それが速攻の起点となった。おそらく起用された水本自身が驚いた事だろう。とりあえずは「恐るべき眼力」と感心しておこうか、「相手をワナにはめた」ほど、うまく行ったとはとても言えないが、少なくとも守備は前半よりは安定した。もっとも、「体調が不十分な今野に無理をさせずに、前半からそうしろよ」との思いもあるが。いや、成功させたのですから、文句を言ってはいけませんね。
 このような知的遊戯が愉しめる監督は大好き。うん、期待したい。

 大迫と川又。大迫がピッチ沿いでスタンバイした時、誰もが「岡崎に代わってトップに入る」と思ったに違いない。ところが、交代は本田、そして大迫は不慣れな右サイドMFに、低調な出来だった。そして、その後岡崎に代わってトップに入った川又は得点も奪った。得意のポジションへの起用すらなく、川又や宇佐美に丁寧にパスをする大迫。2試合目にもチャンスをもらい、ものにした川又。うん、仕方がないな。いや、それだけ。うんや、頼むよ、大迫。

 柴崎。確かに3点目は鮮やかだった。でも、それだけ。もっとも、本来の中盤後方ではなく、トップ下に起用され、いかにも窮屈そうだった。今はとにかく、中盤の展開、タイミングと精度両面で格段のラストパス、そしてシュート精度、それぞれを淡々と磨いてほしい。とは言え、あの超ロングシュートを決めるよりも、UAE戦のフリーキックを決める事の方が、ずっと重要だったことを、改めて強調しておきたい。

 宇佐美。ウズベク戦の一撃は、この選手の潜在能力を示すものだった。あれだけ高速ドリブルで前進しながら、ファーサイドにあの速い球足の正確で低いシュートが打てるとは。あんなシュートを打てた日本人は、過去釜本と久保くらいだった。しかし、それだけの能力の持ち主である事は、わかっていた事。問題は、これをいかに継続できるのか。期待は大きいのだ。

 長谷部。素晴らしかった。そして、長谷部不在のウズベク戦の中盤守備の酷い事。改めて、この日本代表史屈指の主将が、負傷で、ブラジル大会にベストに持ってこれなかった不運を呪おうか。遠藤航にとって、極めてレベルの高いライバルがいる事が、これまためでたい。

 そして岡崎。恐れいりました。この2試合、いずれも「消えるプレイ」で隙を見つけ、しっかりと得点できる位置に進出できる能力に感嘆。このスタアを欠いて、アジアカップファイナルで敗退した要因がはっきりわかった。当面、岡崎が充実している間は、日本代表の攻撃の課題は「いかに、岡崎に点をとれせるか?」と言う事になる。その事実を、ハリフホジッチ氏が明確に理解できたのが、この2試合の最大の成果のようにも思える。

 組織云々以前に、個人能力の高さで完勝した訳だ。我々の素材は最高なのだ。だからこそ、新料理人ハリフホジッチ氏の今後の手腕に期待したい。
posted by 武藤文雄 at 02:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月05日

さようなら、アギーレさん

 短いお付き合いだった。
 「采配を除いて」非常によい監督である事が明確に判明していただけに残念だ。あれだけ、気が弱く采配面で課題が多いにもかかわらず、見事なチームを作りかけたアギーレ氏。ロシア大会で上位進出を目指す日本代表の基盤作りに最適な監督に、せっかく出会う事ができたのに。

 個人的には「推定無罪」原則を、日本協会が貫かなかった事は、いかがかと思う。事前には検討のしようがない今回の八百長騒動。残念ではあるが、しっかりと契約を結んだ仲間に降りかかった疑惑。事実はどうあろうが、「推定無罪」原則を日本協会が丁寧に主張し続ける矜持を持ち続ければ、サッカーに限らず日本史に残る快挙になると期待していたのだが。
 告発が受理されて強化云々がと言うが、大仁会長もいい加減、面倒くさくなったのだと思う。足を引っ張るマスコミ、我々はそのレベルの代表チームしか所有できないのだ、と諦める事も一つの経験だろう。

 アギーレさん、ありがとう、そしてさようなら。

 で、後任について。
 巷で「日本人監督を」と言う意見を述べるジャーナリストの方々が多いが、いかがだろうか。
 南アフリカ大会前に繰り返された岡田氏へのバッシング、と言うよりは誹謗中傷の嵐を考えると、日本代表監督の基本要件に「日本語が読めない事」を挙げた方がよいと思うのだが。

 ただし思考実験として、日本人監督を検討するのは、酒の肴としてはとても愉しい。実際、日本人を暫定監督として起用する可能性もなくはないだろうし。
 過去、幾度も講釈を垂れてきたが、「戦闘能力の低いチームをそこそこ勝たせる」能力と「戦闘能力がそれなりのチームを勝ち切らせる」能力は異なる能力なのではないかと思っている。日本人監督として、前者の代表が小林伸二氏、石崎氏、反町氏、城福氏あたり。後者で実績あるのが、西野氏、森保氏、長谷川健太氏。前者と後者の中間的存在が、関塚氏と我らが手倉森氏。ついでに言うと、後者で別格の実績があるのが、岡田氏と佐々木則夫氏。
 そして、日本代表監督に要求されるのは後者なのだ。反町氏の北京五輪代表での失敗、関塚氏のロンドン五輪でのそこそこの成功も、それを示唆している(まあ、2人とも予選の戦いぶりは本当にひどかったけれどね)。そして、上記にリストアップした日本人監督たちで、現在フリーなのは城福氏のみ。氏のヴァンフォーレでの成功と、FC東京での失敗を考えると、「やはり違うな」と考えてしまう。もっとも、このような評価は、甚だ主観的と言うか、好みの問題なのですがね。成功しようが失敗しようが、小林伸二氏に日本代表選手全てを手渡して、どのような鮮やかな采配を振るってくれるのだろうかと、思いをはせたい気持ちもあるんですよね。

 では外国人監督。こちらが、スポーツ新聞辞令をリスト化してくれている。もっとも、このリストで、真面目に検討されるべきは、オリベイラ氏くらいだろう。ただ、氏は既に64歳。この激務を託すには少々お年を召し過ぎた感もある。そこをどう判断するか。
 そして、この中途半端な時期ゆえ、フリーで良好な監督が市場にそうはいないだろう。

 ここは慌てるべきではないだろう。ワールドカップ1次予選で何かしらトラブルが起こる事はあり得ない。暫定監督として原専務理事または城福氏を指名する。戸塚哲也氏でもいいけれど。そして、半年先を目途に外国人監督を探す。城福氏なり戸塚氏を暫定監督とした場合は、彼らは当然本格監督を目指すだろうから、それはそれで成果を期待し、候補に加えればよい。

 サッカーに堪能し、40余年が経った。日本代表監督について、このような経験が積めるとは思いもしなかった。これはこれで、サッカーの魅力なのだろうな。たとえば2025年あたりに、今回のアギーレ氏退任劇を振り返った際に、どのような評価となるか。愉しみに10年後を待とうか。
posted by 武藤文雄 at 00:29| Comment(11) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月29日

この悔しさを再度語ります

 繰り返すが、UAE戦の敗戦。初めての経験だった。
 先日も講釈を垂れたけれど、選手達が健全に戦い、圧倒的に攻勢をとり、幾度も決定機を掴み、いくつかのハプニングもあり勝ち切れず、よりによって本田と香川がPK失敗、ベンチで憮然と敗戦を見る岡崎と遠藤。そして悔やんでも悔やみきれない序盤の軽率さ。これほどの悔しさを味わえるなんて。
 少々思い上がっているのは否定しない。でも先日講釈を垂れたように、気分はもう74年のオランダ人、あるいは82年のブラジル人。こんな無常観を、味わえるなんて、思ってもいなかった。いや、アルゼンチン人は、ワールドカップの度に、こんな思いを味わっているのだろうな。だから、彼らは「変化をつけよう」等と考え、南アフリカ大会では冗談のような監督人事ができた訳だ。これはこれで、究極の屈折。とても、我々に叶わない次元の高級さだな。

 ちょっと振り返ってみよう。こう俯瞰すると、いかに我々が幸せか、わかってくるではないか。
2010年、
  持てる能力を最大限に発揮し、最後は痛恨の涙。
2011年、
  持てる能力を最大限に発揮し、最後は堂々たる歓喜。
2014年、
  持てる能力を何ら発揮する事なく、4年間の積み上げが一気に崩壊。
2015年、
  持てる能力を監督が無駄使いし自滅、無常観を存分に味わう。

 腹は立つし、悔しくて悔しくて仕方がないけれど、こんな素晴らしい敗戦、そうは味わえない。日本代表は、ここまで来たのだ。
 本田と香川がPKを外したけれど、本田と香川がいなければ、こんな魅力的なサッカーはできない。この2人がPKを外した事そのものが、幸せだったのだ。
 「点を取る」と言うサッカーで一番厄介な問題を簡単に解決してくれる岡崎は大会途中で負傷、それを無理して起用し続けて壊してしまったアギーレ氏。老獪で勝負所で一番頼りになる遠藤爺をヨルダン戦でも酷使し、肝心の2次ラウンドで長い時間使えなかったアギーレ氏。いずれにしても、氏の間抜け振りは相当なものだ。
 ブラジルで常に冷静に戦い、守備を引き締め、攻め上がっては勝負ところを見極め決定機を幾度も演出した内田が不在。内田がいれば、岡崎には低く速いクロスを、豊田には高く裏を狙うクロスを、それぞれ的確に判断して、上げてくれただろうな、と。ラームがいないドイツ代表。あるいはフォクツがいない西ドイツ代表みたいなものだ。酒井高徳はよく頑張ったし、成長の跡を見せてくれたが、まだまだ内田との比較をするレベルではない。
 全くの余談。そう考えると、ジョルジーニョがいなくても、カフーがいた94年のブラジルは凄いな。

 と、徒然に講釈を垂れてきたが、改めて語りたい。このような試合を体験するのは、やはり初めてだった。こんな悔しさを味わえるなんて。やはりサッカー。UAEに負けた、アジアで優勝できなかった、下手くそな韓国や豪州がアジアチャンピオンになる、監督の采配がどう考えても間抜けだ、このような悔しさの羅列を堪能できるのだから、幸せなものだ。
 (ついでに暴言)こう言う試合を体験して、「若年層育成が云々」、「アジアで勝てなくなる」などと、考える人を、心底お気の毒に思います。

 もっとも。
 本質的にはインテリジェンスの不足と言う問題が、再度顕在化したのだけれども、これは別に作文します。
posted by 武藤文雄 at 00:47| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月25日

敗因はアギーレ氏にあるが、アギーレ氏はよい監督だ、任せよう

 悔しい。

 日本代表を応援して40余年。重要な大会で、組織的に整然と攻撃を繰り返し、精神的に崩れずに戦い抜き、相手を圧倒しながら、堂々と敗れ去るのを見る事ができたのは初めてだった。また新たなサッカーの魅力を経験する事ができた。昨年のブラジルとは異なるサポータ冥利に尽きる敗退。現地に行かなかった己の愚かさを呪うと共に、見事な試合を見せてくれた両チーム関係者と審判団に感謝したい。
 過去のアジアカップ、96年のクウェート戦にしても07年のサウジ戦にしても、チームが機能不全に陥り、好機もあまり作れずに敗れ去った(92年の初優勝前は、まともにアジアカップに参加すらしていなかった)。ワールドカップを思い起こしても、予選を含めた敗退劇のいずれも、敵を圧倒できた事などなかった。
 つまりだ、私は74年のオランダ、82年のブラジル、毎回毎回のアルゼンチン、そこまでは行かないが、それに近い無常観を味わる事ができたのだ。日本サッカーはここまで来たのだ。過去幾度も幾度も、悔しくて悔しくて悔しくて仕方がない思いを味わってきたが、また異なる悔しさを堪能できた。ありがたい事だ。

 敗因の多くは、現場責任者のアギーレ氏にあった。
 まず何より、ヨルダン戦で主力を引っ張り岡崎と遠藤を消耗させてしまった事が問題だった。特にあれだけシュートを打ちながら1点しか取れなかった訳だが、「点を取る」と言うサッカーで最も悩ましい問題の多くを解決できる岡崎をヨルダン戦で無理に引っ張ったのは、あまりに愚かしかった。負傷で選手が離脱するのは運不運だが、長い大会を見据えて負傷したエースを大事に使うのは、当たり前の事なのだが。さらに言えば、ヨルダン戦で岡崎に代えて豊田をつかっておけば、周囲の選手も豊田との連係をより磨く事もできていたはずだ。
 交代を早く行い過ぎた事も問題だった。負けていたし、前半から好機を生かせぬイヤな展開だったのは確かだ。けれども、幾度も崩す事には成功していたし、UAEが相当な運動量で無理をしていたのは自明だった。少なくとも、54分に2枚目のカードを切る試合ではなかった。結果論だが、負傷を抱えていた岡崎を交代させるために、65分に最後のカードを切る事となってしまった。交代出場した武藤と柴崎が上々のプレイを見せてくれたのも結果論に過ぎない。乾も遠藤も決して悪いプレイ振りではなかったのだから。もっと我慢していれば、じわじわと締め上げるように猛攻をかけた終盤に交代策を使えたのだ。負けている事で焦り、早々に交代を使ってしまっのだろう。
 延長に入り、長友が故障したにもかかわらず、ポジション変更を怠り貴重な延長前半を無駄にした事も残念だった。延長後半、柴崎をサイドバックに下げ酒井を左に回すポジション修正を実施した以降は、再度猛攻できたのだから、延長前半の無策は本当に痛かった。
 再三ここまで愚痴を垂れてきたが、準備試合で坂井や皆川を選考し時間を無駄にした事。細貝なり田口なり(他の選手でもよいが)守備ができる中盤選手の3人目を豪州に連れた来なかった事、大会前の準備の拙さも、アギーレ氏の責任である事は言うまでもない。
 もちろん、決定機をことごとく決めきれなかった事、軽率な守備で失点した事など、多くの問題は、選手に起因する。また、UAEの工夫を凝らした戦いぶりもまた見事だった。敗戦の要因すべてがアギーレ氏によるものではないのは言うまでもない。けれども、上記のように、あれだけ監督が不首尾を重ねてしまっては、勝利の確率が大きく減ってしまった事は間違いない。繰り返そう、この悔しくて悔しくて悔しくて仕方がない敗戦の責任の多くはアギーレ氏の采配にあったのだ。過去も幾度か講釈を垂れたが、アギーレ氏は気が弱く、近視眼的に采配を誤る事も多い。そう言う監督なのだ。

 一方で。ここまで監督が采配に失敗しながら、UAEが組織的によく守っていたにもかかわらず、選手たちは整然と戦い、幾度も決定機を作った。これは、日本代表の選手たちの能力の高さと、アギーレ氏のチーム作りの適切さが、いかに素晴らしかったかの証左である。さらに選手たちがこの難しい試合で、粘り強く戦ってくれたのは、現場の責任者であるアギーレ氏のリーダシップが並々ならぬ事を示している。
 我々は「采配を除いて」非常に優秀な監督を獲得したのだ。これはよい。ワールドカップ本大会で好成績を得ようとするために必要なのは、まずはチームの基盤を適切に作れるかどうかが重要だ。うん、まずはアギーレ氏に任せるべきだ。ただし、上記のような采配の拙さが継続するとしたならば、ロシア本大会前に人事は考える必要があるかもしれないがこれは別な話(この「別な話」をどうすべきかは、酒の肴としては最高ですね)。あるいは選手たちが一層成熟し、アギーレ氏の拙さをカバーしてくれれば最高だし。

 もう1つ。UAEの戦い振りは見事だった。過去の同国に見受けられた(当方選手が深刻な重傷を負いそうな)危ないファウルも、見苦しい時間稼ぎもなかった。全選手が丁寧にボールを保持する事を基盤に、分厚く守備を固め、丹念に戦ってきた。そして、後半終盤以降にほとんどの選手が動けなくなってしまったが、粘り切られてしまった。悔しいけれど、彼らの見事な戦い振りに感心した。90年に名将マリオ・ザガロ氏に率いられワールドカップに出場し、90年代はアジアカップでも上位の常連だったが、最近は目立った成果は見受けられなかった。今後非常に厄介な存在になっていくのだろうか、これはこれで愉しみな事だ。

 冒頭に嘆息したように、このような敗戦は、日本サッカー界にとっても初めての経験だ。選手達の思いはいかばかりだろうか。それぞれが何とも言えない思いで自分のクラブに戻る。今回の苦渋の経験をさらに活かして成長して欲しい。これが一層の日本サッカーの発展につながる。
 選手達に対する思いも多々あるが、やはり柴崎に言及したい。同点弾も見事だったし、丁寧な組み立てを見せ、PKも冷静に決め、なるほど遠藤の後継者になり得るプレイを見せてくれた。けれども、結果は結果だ。私はこの試合を「柴崎が延長最後のフリーキックを枠に飛ばせかった試合」と記憶していく。あの痛恨を忘れないで欲しいから。
posted by 武藤文雄 at 19:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月21日

余裕のなさが不安(ヨルダン戦)

 日本はヨルダンに2対0で快勝、3試合を無失点で問題なくトップで準々決勝進出を決めた。もちろん、嬉しいし、日本の強さも間違いないのだが、「相当強いのだからこど、もっと余裕を持って戦ったよいのに」と思うのは、私だけだろうか。

 1点目は今大会の強みが存分に発揮された。長谷部の精度が高く速いボールが乾に入り、乾のちょっとした溜めから岡崎が抜け出し強烈なシュート、こぼれを全くフリーの本田が押し込んだ。本田が飛び込んだ時、「またポストに当てるのではないか」と思ったのは秘密だ(そしたら、終了間際、また当ててましたな)。
 2点目は前掛かりのヨルダンの裏を突き、交代出場直後の武藤が清武のパスから抜け出す。よくルックアップして低く強いクロス。香川が鋭く決めた(もっとも、香川のシュートはサイドキックで狙った割にはGKシャフィの正面に飛んだ、これを名手シャフィがこぼしてしまったのだからご愛嬌かもしれないが)。
 文句を言うとキリがないが、いずれもよい崩しからの得点だった。
 90分間のほとんどを日本ペースで戦いながら、ヨルダンが失点を恐れ後方に人数を残していた事もあり、速攻がそれほど機能せず決定機の数は少なかった。けれども、イラク戦に続き組織守備がよく機能、危ない場面はほとんどなく、上記のようにきれいな2得点。
 この3試合で、敵にほとんど決定機を与えず、当方は変化あふれる攻撃を幾度も見せ続けたのだから、結構な事この上ない。現実的に日本の戦闘能力がトップな事は確かだ。

 しかしながら、ここまで1次ラウンドで、無理をする必要があったのだろうか。日程的には一番苦しいグループであり、いかに選手を休ませるか、比較的経験の浅い選手を1次ラウンドで試しておくかが重要なはず。それなのに、アギーレ氏は「一戦必勝主義」を通してしまった。
 そもそも、スタメンを1、2戦と同じにする意味はあったのか。柴崎を起用し乱戦に慣らしておく、太田を使って(右に長友を移し)両翼攻撃を試しておく、豊田によるシンプルな攻撃を他国に見せておく、等色々な手立てはあったはず。もちろん、武藤をスタメンにして強引に突破を狙わせてもよかった。現実的に、そのようなスタメンにしても、ヨルダンに苦戦していたとは思えない。
 さらに試合が進み(内容的にも圧倒し)、ヨルダンのかなりラフなプレイ、イルマトフ氏の退場者を出さない配慮によるヨルダンへの甘い判定、後半開始早々の岡崎に警告を出すと言う氏としては珍しいミスジャッジ等が錯綜した試合で、岡崎(イラク戦で負傷していたと聞く)も遠藤爺も終盤まで引っ張る必要があったのだろうか。よほどの不運に遭遇しなければ、この2人がピッチから去っても、ヨルダンに点を奪われるリスクはなかっただろう。それよりは上記したような控え選手をどんどん起用して2次ラウンドに備えると共に、レギュラを休ませればよかったはずだ。まして、1枚目の交代カードで、清武を起用し(過去2試合途中交代していて消耗も少ない)乾を交代させる意味があったのだろうか。

 余談ながら、ヨルダン選手がラフプレイでファウルを取られる度に不満そうな表情をするのには失望した。4年前のアジアカップで健闘した以降、ワールドカップ予選でも日本に相応の抵抗を見せ、順調に強化が継続してきたはず。この日も気合が入っており、日本に対して激しいプレイを見せたのは結構な事だ。しかし、明らかなラフプレイで笛を吹かれたにもかかわらず、名主審のイルマトフ氏に不満を見せているようでは進歩はない。往年のイングランドの名手、レイ・ウィルキンス氏がせっかく指導しているのだから、選手達にはもっと矜持をを見せて欲しかったのだが。
 さらに余談ですが、アギーレ氏とウィルキンス氏は現役時代、戦った事があるのだろうか。誰か詳しい人がいたら、教えてください。。

 さらに今野がイラク戦の終盤負傷したと言う。恐れていた事態が現実になってしまった。この日、長谷部はかなりラフなタックルで削られてしまった。また、森重が敵との交錯で一時ピッチ外で治療を余儀なくされた。現実的に長谷部が壊されたら、代わりにCBを起用し、森重をアンカーに上げるのだろうか。ところが、その森重も壊れかけたのだ。
 過去も散々愚痴を語ったが、細貝も田口も選考しなかったリスクが顕在化してしまった。いや、別にこの2人でなくてもよい。ベテランの阿部勇樹でもいいし、高橋秀人と言う手段もあったはず。若手の遠藤航もアジア大会でこのポジションで頑張っていた。とにかく3枚目の守備的中盤選手を選んでおきたかった。
 このチームはCBのバックアップは昌子、塩谷、植田と3枚もいる。またFWの控えでは清武、武藤、豊田より序列が低いように思える小林悠もいる。けれども、これまでのアギーレ采配を見る限り、この4人が起用される可能性は、負傷者が出ない限りは非常に少ないと見る。
 そう考えると、「やはりもう1枚守備的中盤選手が欲しかったな」と、今さら無い物ねだり。

 案外と。
 アギーレ氏は、顔に似合わず、小心者なのだろう。1対0でリードし、あれだけペースを握りながらも、遠藤爺や岡崎の交代に躊躇するくらいなのだから。
 この小心振りが、ロシアでプラス方向に働く事を祈るばかりである。

 と、まあ色々文句を語ったが、日本が優勝候補最右翼である事は間違いない。韓国も豪州も、日本よりもっと余裕のない戦いを余儀なくされ消耗している。ある意味で一番厄介なウズベクは、中国に苦杯し別ブロックとなっている。
 文句を言い続けながらも、着々と日本は勝ち進むのだろうな。
posted by 武藤文雄 at 01:20| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月18日

贅沢言ってはいかんのですが(イラク戦完勝)

 日本は1対0と最少得点差ながら、イラクを圧倒。順調に2連勝。

 最後尾中央に引いてくる長谷部の展開から、麻也、森重の2人のCBが両翼に高精度のロングパスを出して押し込むのが攻撃の基盤。両翼に対するマークが厳しい、あるいはCBへのプレスが厳しい時は、サイドバックを使って丁寧にボールを回し、前進した長谷部が岡崎や本田に低く速いパスを通して局面打開を狙う。一度押し込んで、突破を狙った局面では、ボールを奪われた直後から厳しいプレスを仕掛ける。「経験豊富な選手が多いから」と言ってしまえばそれまでだが、個人能力の高い選手達が整然と組織的に戦うのだから、若いイラクとしてはどうしようもなかっただろう。
 ただし、これだけの展開を90分間継続するのは難しい。しかも現地は真夏で気温が相当高いと言う。実際、後半の序盤は、長友と酒井高徳が前半ほど前線進出できなくなり、イラクの攻勢を許す時間帯となった。特にマハムードのタイミング、強さ、正確さ全てが格段の落としが素晴らしい。岡崎は現在アジア最高のFWだと思っているが、この落としの見事さだけは、マハムードが上だな。
 しかし、50分にマハムードがピッチを去った事で、イラクの攻めは鋭さを失った(マハムードは現在所属なしとの事だが、よいトレーニングが積めていないのだろう、その事そのものがアジアのサッカーレベル向上を阻害しているのかと思うと口惜しい)。それでも、若いイラクは幾度か日本DFラインの裏を突こうとしてきた。しかし、60分、アギーレ氏は的確な交代劇でイラクの攻勢を止める事に成功した。遠藤に代えて今野を起用して中盤のボール奪取力を増強し、さらに清武を乾に代え、前線の流動性を加えたのだ。4-3-3(あるいは長谷部を最終ラインと考えれば3-6-1)から、4-2-3-1(岡崎の流動性を加味すれば4-2-4と呼ぶ方が妥当か)に切り替えたのだ。以降の時間帯は、再度日本が圧倒的な攻勢をとり、危うい場面はほとんどなかった。

 しかし、あれだけ攻勢をとり、危ない場面も少なかったにもかかわらず、スコアは1対0。強豪イラクとは言え、今回のチームは平均年齢が低く従来大会ほど「精強」とは言えなかった。1次ラウンドで内容のある試合ができたのだから結構な事だが、検討の余地があるのも確か。

 問題は2点目が取れなかった事。
 まず本田が、ゴールエリア内で全くフリーのシュートを2本ポストに当てたのがあり得ない事態。いずれも、敵のマークは全くなかったのだから、言い訳の余地はない。まあ、それでも大事なPKをしっかりと決め、終盤交代するまで攻撃はもちろん、守備も粘り強く行っていたのだから、さすがと言えばさすがなのだが。ともあれ、「何故あれをポストに当ててしまったか」は猛省して欲しい。
 香川のシュートが入らなくなっているのも悩ましい。10分過ぎだったか、本田のスルーパスを受けDFラインの裏に抜け出しながら、ファーサイドを狙った一撃は枠を捉えられず。さらにPK獲得の直前に乾のクロスからのシュートをGKにぶつけてしまった。2010年から12年にかけてドルトムントで猛威をふるってきた香川の狭い地域でのシュートの巧さは、失われてしまったのだろうか。
 しかし、このアジアカップに関しては、この問題の解決策はそれほど難しいとは思っていない。全選手が、まず「岡崎に点を取らせる」と考えればよい。そうすればそうするほど、敵のDFはみな岡崎に集中する。たとえば、終盤に香川が右サイドから岡崎にクロスを合わせた場面が典型だが、あんなダイビングヘッドはDFにとっては悪夢としか言いようがない。そこで、変化をつけて他の選手に合わせれば、それはそれで決定機となる。序盤の本田のポスト弾はその典型だった、要はあのような攻撃頻度を増やせばよいのだ。

 遠藤と今野を代える事で守備を固めるやり方は確かに有効だ。しかし、長谷部と今野のバックアップが不在なのはとても気になる。今野が(香川と清武の軽率のボールロストが要因だったが)つまらないイエローを食らってしまったが、この2人は大会を通してフルに戦い続ける事ができるのだろうか。幾度も幾度も語ってきたが、細貝なり田口をメンバに加えておけばとの思いは消えない。
 また、イラクが攻勢をとってきた時間帯、上記したようにマハムードの受けの巧さから、脚力と技巧を持つ選手が再三日本長友と酒井の裏を狙ってきた。2人とも丁寧のその攻撃をつぶしてくれたが、本当であればCBが両翼をしっかりとカバーして、火がつかないうちにさっさと止めてしまいたいところなのだが。麻也にそれを期待するのはもう無理なのはわかっているが、森重はそろそろそのような感覚を見せてくれないだろうか。いつまでも、井原や中澤を懐かしがるのは、そろそろ卒業したいのだが。

 まあ贅沢を言ってはいかんな。大会は長い、決勝戦でベストに到達すればよいのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月13日

無難な初戦、アジアカップ始まる

 アジアカップ初戦、日本はパレスチナを4対0で破り、無難なスタートを切る事に成功した。

 前半立ち上がりから、長谷部が後方に引き、森重、麻也の3人が高精度のロングボールを入れ、パレスチナ守備ラインを押し下げる。右サイドは本田と酒井、左サイドは長友と乾が開き、4-3-3と言うよりは3-6-1と言う配置。思惑通り、パレスチナが引き過ぎたため、日本は個人能力の差をそのまま出す事ができた。
 遠藤爺の一撃はその典型、日本の揺さ振りにより、この大ベテランは全くのフリーとなっていた。2点目も長友に森重(だと思った)が長いボールを通した時点で、香川が飛び込むバイタルは無人状態。それにしても、遠藤と岡崎のシュートは凄かったけれども。
 パレスチナの経験不足も大きかった。PK時の香川押しつぶし等は日本のトップレベルのユース選手でも絶対にやらないミス、さらにそのPKで本田が蹴る前にあれだけGKが前に出てしまっては。4点目にしても、香川の技巧は鮮やかだったが、あれだけで最長身の麻也を見失ってしまっていた。その後も、武藤や香川に一発レッドが妥当なファウルを連発、意欲の空回りとでも言おうか。

 ともあれ、難しい初戦で50分で4対0としたのだから、大変よろしかった。ただ、遠藤爺が退いた以降は感心しない展開。
 香川も清武も2人の連係に個人技突破を交え、局面を打開しようとするが、もう一つ機能し切れなかった。この日香川は後方から30〜40mのサイドチェンジにトライしていたが、もう一つ精度を欠いていた。20代半ばとなったのだから、このような中盤の展開を身に着けて欲しいところ、この大会での成功をその転身のきっかけにして欲しいのだが。一方の清武は、自分で仕掛けるのとパスを狙うのと、敵に読まれない工夫が欲しい。バイタルでフリーでミドルシュートを狙い枠に行かなかった場面は猛省が必要。あと、本田に遠慮せず、ゴール狙えるFKは蹴れよ、どうせ本田のは滅多に枠に飛ばないのだから(笑)。香川、清武と来れば乾なのだが。早々に清武と交代させられた事に危機感を持ってほしいのだが。前半の猛攻時にも、ボールに触る頻度が少なかった。あの独特のキープを活かすためには、もっともっと局面局面に参加してくれなくては。
 後半の停滞については、残念ながら武藤への失望も語らなければならない。何かしら消極的だったのが気にいらない。強引にドリブルでシュートに持ち込むのが持ち味の若者が、その一番得意なプレイを狙わないのは残念だった。勘違いしていなければよいのだが。宇佐美も原口も大前も、そしてエヒメッシもいるのだよ。
 こうなると外からの展開に期待したくなるが、結果的に内田不在の不安を感じる事になってしまった。酒井高徳はよく前進してクロスを狙うが、タイミング、コースの選択、精度それぞれに課題を露呈、さらに中に切り込んでのミドルも枠に飛ばず。ただし、かつての軽率さは相当改善され、敵エースのヌーマンにも慎重に対処し丁寧に守ってくれた。岡崎、豊田と言う秀でた点取り屋と共にプレイできるこのアジアカップで化けて欲しいところだ。
 流れが悪いと把握した長谷部が前進して、変化をつけようとするのだが、もう一つ機能しなかった。点差が開いた夏の試合と言う事もあり、岡崎も本田も前半ほど無理をしなくなっていたため、効果が中々でなかったのだ。しかし、大会後半に入れば、岡崎も本田も真剣にフリーランを繰り返す事となる。その時に、遠藤爺の展開とは異なるリズムの、長谷部の変化が機能すれば嬉しいのだが。うん、これはこれで愉しみ。

 と、のんびり文句を言えるのは悪くない。初戦完勝のおかげだな。
 次はイラク。アジアにおいて、ボールキープや変化と言うサッカーの本質において、(ウズベキスタンと並び)日本と同等に戦い得る数少ない難敵だ。イラクは今日もヨルダンと火が噴くような試合で競り勝った、見事な試合だった。
 そして、アジア制覇が目的の我々としては、非常にありがたい試合順だと思う。まずは経験不足のパレスティナから勝ち点3を獲得、続いて優勝候補のライバルのイラクと戦う事で現状把握が可能になるはず。決勝での再戦まで意識した丁寧な試合を期待したい。

 パレスティナも、試合半ばまでは経験不足を露呈していた。しかし、終盤には日本のテクニックや変化にだいぶ慣れたようで、身体を張ってよく守ってきた。最後の5分間の我々の猛攻を防いだパレスティナの守備は見事だったではないか。
 我々との戦いの経験を活かし?イラク、ヨルダンを悩ましてください。
posted by 武藤文雄 at 00:01| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月12日

アジアカップ2015に向けて

 この正月休みに一生懸命ブラジルワールドカップ総決算の作文を進めた。だいぶまとまってきたのだが、休み中には完成できなかった。高校選手権には、自分がプレイしていた30数年前以来久々に熱狂した。あのマイケルが静学戦で得点を決めてくれた瞬間を思い出すと、今でも目が潤んでくる。等と愉しい日々を過ごしているうちに、アジアカップが開幕してしまった。そして明日は日本対パレスチナ。
 色々書ききれてない事が多々あるのだが、まずはアジアカップの展望について、少し講釈を垂れておこう。

 日本の戦闘能力について、不安は細貝(あるいは田口)の未選考により中盤の守備的選手が長谷部と今野しかいない事と、内田の不在(さらにその交代選考がセンタバックの植田だった事)の2点。しかし、前者については、アギーレ氏が敢えて攻撃的選手を多数選考しているのだから、ここは氏を信頼するのが筋と言うものだろう。後者については、内田のようなトップ選手がいなくなる事そのものは、世界中どのような代表チームでもあり得る事で、そこをカバーできるかどうかがその国のサッカーの実力を示す。
 豪州も韓国もイラクもイランもウズベクも、皆相応に強いだろうが、「我々はそれ以上に強い」と各選手が誇りに満ちた戦いをして最高の結果を持ってきて欲しい。

 毎朝毎夕、駅の売店で見るスポーツ新聞の見出しは「アギーレ八百長」ばかり。
 本件については先日述べた通りで、誰が何を言おうと「推定無罪」がすべて。マスコミがどんなに足を引っ張ろうが、我々はアギーレ氏を支えればよい(もちろん、采配など監督稼業の本質で疑問があれば、アギーレ氏をどんどん批判するのだけれども)。
 期待するのは、日本が着々と勝ち進み、スポーツ新聞の論調が変わって行く事。ナポレオンのエルバ島脱出報道を目の当たりにできるのではないかと。

 元々、アジアカップはワールドカップの隔年に開催されていた。ジーコの2004年までは。ところが、ワールドカップの隔年は五輪とバッティングする事もあり、ワールドカップの翌年開催と変更になり、オシム爺さんの2007年大会からそうなったのは皆様ご存じの通り。この時はまだよかった。ところが、前回のカタールは夏場開催が不可能。だったら、2012年の1月にやればよいのに、2011年の1月に開催してしまった。結果、ワールドカップから僅か半年での開催となった。そして今回の豪州大会も同じ日程。愚の骨頂と言うべきだろう。繰り返すが、どうしても冬季に開催したいならば、何もワールドカップの翌年ではなく、五輪とはぶつからないので隔年に開催すればよい。このような愚行が、アジアのトップレベルのサッカーの強化も金儲けも阻害してしまっている。まあ、アジアサッカー連盟と言うのはそのような団体なのだ。ちょっと考えてくれれば、もっともっと愉しいアジアカップを見られるのだけれども。
 ついでに言えば、豪州サッカー界がラグビー等の競合競技とのバッティングを考慮し、夏季開催を要望した気持ちはわからぬでもない。けれども、日本、豪州、韓国などのアジアのトップ国の中心選手のほとんどが欧州でプレイしているのだから、本当に冬季に開催すべきだったのか。まあ、先方には先方の考えがあるのだろうけれど。
 と言った愚痴を言っても仕方がない。2回続けて、アジアカップはワールドカップの半年後に行われる。戦うしかない。

 散々文句を言ったけれど、4年前のカタール大会は愉しかったよね。カタール戦の退場劇の理不尽。韓国戦の意味不明のPK。アジアの混迷を存分に堪能し、それでも長谷部達は勝ってくれた。いや2006年の中国大会もヨルダンとのPK戦、バーレーン戦の延長の死闘も最高だった。
 当然ながら、今回も同じような感動を期待する事になる。いや、2000年レバノン大会のように堂々と勝ち進んでくれたもよいのだけれども。
 いつもいつも講釈を垂れているが、92年アジア初制覇を含め6回のアジアカップのうち、我々は4回を制覇している。我々はアジアカップに負ける事に慣れていないのだ。うん、このままずっと慣れずに行こうではないか。
posted by 武藤文雄 at 00:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする