2016年10月10日

我々の目標はワールドカップベスト8

 必死の絶叫は継続していたし、あきらめるなど考えてもいなかった。終盤のパワープレイには疑問で、違うやり方の方が得点の可能性は高いと思っていたのは確かだが。それでも、麻也が左サイド奥深くまでボールを追いファウルを奪った時には心底感動した。そしてフリーキック。そして蛍!!!
 さすがにイラクに同点とされ、その後攻めあぐんだ時は「ヤバイ」と思いましたよ。
 変に偉そうで凝った態度をとったり、卑屈で斜に構えた姿勢をとるつもりはまったくないが、これだけしびれる予選は久しぶりだな。そして、それがアジアのライバルのレベルアップによるものだから、決して悪いこととは思わない。UAEのサッカーは単純な逆襲速攻狙いから大きく進歩している。タイも局地戦重視からチーム全体でのボールキープができるようになっていた。イラクも持ち味の技巧と判断が終盤まで落ちなかった、終盤時間稼ぎに終始したのは残念だったが。
 我々の目標はワールドカップのベスト8以上。予選で厳しい戦いをつむことができるに越したことがないではないか。

 立ち上がりから、守備の不安定さが気になった。伝統的にイラクの選手が技巧に長けており、フィジカルも優れているのは当然のこと。このような難敵には、厳しく腰を入れて当たらないと、技巧で外されてしまう。一方でイラクの選手は、スクリーンはうまいので、悪い体勢で強く当たればファウルをとられてしまう。ボールを奪えないならば、ウェイティングとカバーリングが重要となる。ところが、そこが何か全体に甘い。特に柏木、両酒井のプレイは残念だった。
 開始早々にFKからヘディングシュートを許しポストに救われ、前半終了間際には押し込みかけながら攻めきれずボールを奪わ速攻を許し、西川のファインプレイに救われるなど、芳しい守備とは言えなかった。失点時のセットプレイも、「ここを我慢しきれないのか」と言いたくなった。
 ただ、すべてが悪かったわけではない。結果的に、押し込まれる時間帯が増えたが、麻也と森重、たびたび最終ラインまで引く長谷部はセーフティファーストの意識が格段で、いわゆる危ない場面は上記のように数えるほどだった。
 結局バランスなのだと思う。ザッケローニ氏の時代は、ファウルを恐れすぎて無理に当たらず結果的にCKを与えてしまい、そこから失点することが多かった。今回は軽率にかわされり、慌てて与えたファウルからの失点が多い。思うように集合練習ができず、各選手のコンディションが揃わない中、どのようにバランスをとり、チーム力を上げていくか。守備のバランスがよくなり、より前でボールを奪えるようになれば、先制点のような鮮やかな速攻の頻度も上がるはず。
 そう考えれば、上記の通りアジアのレベルが厳しいほど、本大会に向けた準備ができるというものだ。

 攻撃については、なぜ単純にもっともっと原口を使おうとしないのかが大きな不満だった。今の原口の縦に出る能力は格段のものがある。当然イラクDF陣もそこは警戒してくるが、そこを工夫して、最強兵器をいかに生かすかがチームと言うもの。ところが、柏木は原口とはレッズ時代チームメートだったのに右サイド重視の展開、清武もせっかく原口が縦に出ようとしたときに前のスペースを消してしまうことが再三、酒井高徳も外にボールを引き出したうえで単純に原口を使えばよいのに細かな崩しに拘泥。
 結果、必ずしも体調がよいように見えない本田にボールが集まり、本田が一人でキープできないため岡崎がサポートに回り、崩し切れない場面が多くなってしまった。狙うべきは逆だろう。岡崎の粘りと清武の技巧で、原口を前に向かせてボールを持たせ、左から主に崩して、そこを岡崎や本田がねらう方が、得点の確率は格段に高まるのではないか。清武もあれだけ鋭い切れ味を発揮できているのだ。もう一工夫してほしい。
 攻撃については、よい意味で選手層が厚過ぎることが、災いしているのかもしれない。原口と清武が定位置確保としても、他にも多士済々。交代で起用された浅野、小林悠のほかにも斉藤学も武藤ももいるし、大迫も最近絶好調だと言う。岡崎と本田の経験は格段だ。これらのタレントを、いかに交通整理して強力な攻撃陣を編成していくか。

 チームとしての完成度はまだまだで、同グループで日本以外で最も戦闘能力が高そうな豪州と敵地戦をむかえるのは絶妙なタイミングと言える。強敵との試合は、やり方を間違えなければ格段にチーム力を向上させるものだからだ。イラク戦のアディショナルタイムは、間違いなくチームの雰囲気を明るいものにしているはずだ。UAE戦よりタイ戦の方が内容がよかったのと同様に、豪州戦はイラク戦以上に質の高いサッカーを見せてくれることだろう。時差と気候を考えても、サウジ帰りの豪州より、我々の方がコンディション的にも有利なはずだ。よい結果を期待したい。
 監督交代劇や、岡崎と本田の輝きにより、新旧交代とチーム作りが遅れている問題はある。また最前線にくらべて最終ラインに新しい選手を試していないのが心配だ。しかし、ハリルホジッチ氏の実績にせよ、次々に登場するタレントにせよ、我々の潜在力は、やはり相当なレベルにあるはず。目標は本大会ベスト8であることを忘れずに、よいチームが作られることをじっくりと見守りたい。
posted by 武藤文雄 at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月05日

イラク戦を前に2016

 早々にUAEに敗れ、多くの選手が欧州の在籍クラブで控えに甘んじていることもあり、各種マスコミは悲観論が渦巻いている。まあ、負ければ「この世の終わり」、勝てば「ワールドカップ優勝」と、白か黒かのデジタル世界が、我が国のサッカーマスコミの論理なのだから、今さら始まったことではないのだが。
 思うようにならないから、サッカーと言う玩具は堪えられないくらいおもしろいと言うことを、多くのサッカーマスコミが理解する時代が来たとき、我々はワールドカップ制覇に大きく近づくことができるのだろう。その時代が、今56歳の私が生きているうちに訪れるのは、どうやら難しそうだけれども。

 ともあれ、何歳になっても、予選は愉しい。堪えられない人生の愉しみだな。

 もちろん、ハリルホジッチ氏に不安があることは否定しない。
 UAE戦については、逆襲速攻を受けづらい攻めを各選手に徹底しなかったことに失望した。しかし、それについては、タイ戦では明らかに改善が見られ、ボールを奪われた直後の守備はよくなった。「どうせだったら、最初からやれよ、本番のタイトルマッチだぞ」と、言いたくなるけれど。
 タイ戦、香川、長谷部、本田らが、疲労困憊にもかかわらず、交代が遅れたのにも失望した。西川のファインプレイがなければ、勝ち点を失う恐れすらあったのだ。おそらく、氏は、リードされると慌てるが、勝っているときは凍るタイプなのだろう。もちろん、UAE戦でひどかった香川をできるだけひっぱり、よい結果を出してもらい、自信を取り戻させることを狙ったのは理解できなくもない。けれども、それはまったくの裏目となり、香川は疲労困憊、自信喪失状態で、ドルトムントに帰ることになってしまった。
 裏目と言う意味では、UAE戦の交代もそうだった。宇佐美、浅野、原口、それぞれの投入は合理的なもので狙いもよくわかった。けれども、結果論としてはピッチを去った清武、岡崎、大島の不在が、投入された選手たちの活躍以上に、痛いものとなった。まあ、うまく行かないときはこういうものだな。
 また、明らかに欠点がある吉田麻也に拘泥し、新しい選手を試さないのも不安だ。麻也は決して悪い選手ではない。しかし、俊敏な選手との1対1で慌てる、たまに信じ難い大ポカをする、ゴール前の一番危ないところを読み切れないなどの欠点もある。年齢的にも決して若くないのだから、もう少し若い選手を試すのは一案だと思うのだが。果たして、タフな予選の戦いを継続しながら、氏がそのような英断をくだすことができるのかどうか。

 あれこれ、文句を並べたが、そもそも代表選手の責務は、「勝つこと」の次は「国民すべてから文句を言われること」なのだから。
 ただ、この監督は決して無能ではない。例えば、昨年の埼玉シンガポール戦は、トップ下の香川が強引にペナルティエリアに進出し、岡崎の妨害ばかりしていた。しかし、春の埼玉シリア戦では、香川が広範な動きを見せることで、岡崎と的確な連係を見せてくれた。少々時間はかかるが、選手の特長を組み合わせること、そのものはうまい監督なのだ。
 ただ、真剣勝負で細かな守備のディテールを徹底するとか、流れを読んで交代カードを切るのは、少々弱いのかもしれないけれどもね。

 冷静に考えれば、明るい話題は多数ある。
 まずは原口元気である。先日のタイ戦は、先制点はもちろん様々な面で格段の貢献だった。いわゆるウィングハーフとして起用された原口は、精力的にボールを引き出し、縦への突破を幾度も試みる。日本がボールを奪われた直後の守備への切替の早さも格段。
 タイ戦では、原口に引っ張られたかのように、酒井高徳、酒井宏樹の両サイドバックがすばらしかった。幾度も幾度も機会をもらいながら、代表で中々はっきりした活躍をしてくれなかった2人が、90分間安定したプレイを見せてくれたのだ。2人は欧州でも定位置を確保し、好調だと言う。
3人とも決して若いとは言えないが、いわゆるロンドン世代のタレントが、自クラブで中核として活躍し、代表で明確な地位を確保しつつあるのだから、結構なことではないか。
 大島、浅野、植田のリオ五輪メンバへの期待も大きい。大島はUAE戦で守備面でミスが出たが、中盤での展開は中々のものだった。もう少し、最前線に積極的に飛び出して欲しかった思いもあったけれども。浅野は、敵が厚い守備ラインを構成してきてもなお、後方を突くことができるストライカ。タイ戦で腰が引けてしまい、強引にゴールを目指さなかったは残念だったが、それでも点をとった。アーセナルと言うクラブへの選択は、過去ないがしろにされた選手たちを考えると、不安山積だけれども。植田はアントラーズで出場機会を得られていないと言うが、とにかく五輪での守備は見事だった。今の日本のセンタバック陣で、一番不満がある「とにかく敵のロングボールをはね返す能力」は格段のものがあるのだし。五輪の勢いで、一気に代表での定位置確保を目指して欲しいところなのだが。
 言い換えると、リオで示されたように、若く新しいタレントは続々と登場しているのだ。ハリルホジッチ氏は、(観察対象としては)興味深いところがあり、ベテランに拘泥するところもあるが、結構大胆に大島や浅野を抜擢するところもある。今後の氏の選手選択がどうなっていくのか、愉しく見守っていきたい。
 もちろん、自クラブでの出場機会が限られ、コンディションが不十分にせよ、岡崎と長谷部と本田が、常にギリギリまで戦ってくれるのは言うまでもない。

 イラクは、伝統的に判断力とボール扱いに優れた選手を輩出するが、国情からどうしても長期にわたる代表選手強化が難しい環境にある。だから、短期集中の大会は強いが、長期のホームアンドアウエー方式となると、力を発揮しづらい傾向がある。今回も、リオ五輪代表選手を多く含むかなり平均年齢の若いチームで来ているのも、その証左となっている。
 したがって、守備のミスを減らす試合運びを行い、丁寧に攻撃を仕掛ければ、相当高い確率で勝てるはずだ。
 その上で、次に控える敵地豪州戦に向けての準備はどうなっているのか。厳しいタイトルマッチでの勝ち点積み上げと、次に向かっての1つ1つの積み上げ。時にその積み上げがうまく行き、時に失敗する。
 その、あれこれを、たっぷり堪能できる。

 ワールドカップ予選は最高の娯楽なのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月05日

最高のエンタティンメント

 腹は立っている。
 しかし、このUAEに対する苦杯を反芻してみると、改めて、サッカーの奥深さを色鮮やかに感じることができ、ワールドカップと言う私の人生にとって最高のエンタティンメントを堪能することに、喜びを禁じ得ないのだ。

 UAEはよいチームだった。ちょっと前のこの国の代表チームは、かなりラフな反則を含め激しく守り、前線の選手の脚力に頼る速攻ばかりを狙う、発展性を感じさせないサッカーしか見せてくれなかった。90年イタリア大会に、このようなサッカーで出場権を得ていたのも、悪影響を与えていたのかもしれない。
 しかし、昨年のアジアカップにせよ、この試合にせよ、今のUAEは違う。悪辣なファウルもないし、単純に縦に行くだけではなく軽妙で精度の高いショートパスは鮮やかだ。
 このような状況での「上から目線」が失礼なのはわかる。でも、私は嬉しかった。「UAEが来てくれた」のだ。日本、韓国、豪州、イラン、イラク、ウズベキスタン、このグループに、完全にUAEは来てくれた。こうやって、アジアのレベルが上がることは、長期的に我々のレベルを上げることになる。毎年毎年の地域内のレベルの高いタイトルマッチが、代表チームのレベルを引き上げていくのだ。
 先日の欧州選手権の映像、単純にうらやましかったではないか。小国も大国も、持てる知性と技巧を丹念にぶつけ、それぞれのサポータ同士が愉しそうに応援し合っている。UAEの参戦は、あのような愉しそうな地域競争に、我々が一方近づく事ができた証左なのだ。
 アジアで簡単に勝てないことを嘆くのは完全にピントがずれている。我々が健全に戦えていると言う前提は必要だが、アジアでの戦いが難しくなればなるほど、我々のワールドカップ優勝への夢は近づいてくるのだ。 
 そして、腹は立っているが、このUAE戦、日本代表は健全に戦ってくれていた。

 だからと言って、腹が立って、腹が立って、腹が立って仕方がないが。
 まあ、「アジア予選で、ここまで不愉快な気持ちになることができる快感は格段なのものだ」と強気の態度を崩さずにおこう。

 で、本題に入る。

 結果は最悪のものだったが、試合内容は悪くなかった。
 この日の敗因は2点だ。

 1つ目は、酒井宏樹と長谷部が、ちょっとあり得ないミスをしたこと。その後、各選手がそれを丁寧にカバーしようとしたが、日本の守備の弱点が矢面に立ってしまった。
 1点目の酒井宏樹のミスを誘引したのは、大島のパスが弱かったこと。しかし、だからと言って、敵にボールを奪われそうなった酒井宏樹が、フィールド中央にグラウンダのキックをしたのにはあきれた。たまたま、そのボールが敵エースのオマールにピタリと合ってしまい、いきなり速攻を許してしまったのは結果論だが。そして、加速した敵FWへの対応は、吉田麻也が最も苦手とするところ。傍目に見ても慌てた対応となり、ファウルをとられてしまった。森重もカバーに入っており、落ち着いてコースを消せばよい場面だったのだが。FKそのものについては、敵が巧かった。ただ、左右のキッカーが揃っている状態で、蹴ったのは先に助走を始めた選手だった、とすれば、西川には、蹴るまでステップは踏まないで、我慢して欲しかったのだが。
 2点目の長谷部、代表100試合目で犯してしまった痛恨。そこからの展開、敵FWを3人で囲みながらも、囲んだのが少々守備が怪しい香川と大島だったこともあり、微妙なPKをとられてしまった。長谷部がミスしてしまってはどうしようもない。ただ、大島には言っておきたい。イニエスタやモドリッチの守備を学んでほしい。
 サッカーにミスはつきものだし、ミスが起こったら、周囲がカバーするのが肝要。そして、この試合、大きなミスが出た直後、各選手は丁寧にそれをカバーしようとしたのだが、それがたまたま弱点を突かれることになってしまった。

 敗因の2つ目は終盤に猛攻を仕掛けられなかったこと。
 リードを奪われたのは後半の序盤。たっぷり時間は残っていた。そして、日本はそこから次々と攻撃をしかけ、決定機を掴む。清武の空振り(あそこはアウトサイドでなく、インサイドで丁寧に狙えば、少なくとも空振りはなかったはず)、岡崎得意のニアからのヘディングがバーをたたく。前半粘り強く中盤で対応していたUAEだが、中盤で止め切れない場面も増えてきた。日本が、素早くボールを動かし、変化を交えた攻撃を継続すれば、あと2点とるのは難しくない状況だった。幸い、ベンチには多士済々の攻撃タレントもいるし。
 ところが、その交代策が様々な面で裏目となる。
 まず清武に代えて宇佐美。宇佐美は得意のドリブルで幾度か好機をつかみ、PKではないかと思える場面も作った(ただし、あの場面の倒れ方は感心しなかった、もう少し強引に前進すればよかったのではないか)。しかし一方で、清武がいなくなり、セットプレイの精度は落ちた感があった。
 次に岡崎に代えて浅野。浅野はゴールインしたのではないかと言うシュートを放ったし(ただし、あのシュートをちゃんとミートしていれば、GKを破ることができて、文句ない得点となったはずだ)、幾度も裏を突いてUAEに脅威を与えていた。しかし一方で、岡崎の不在は、両翼からのクロス攻撃において、敵への脅威を明らかに減らしてしまった。
 そして、最後の交代は、大島に代えて原口。1次ラウンドから、中盤後方に起用され中盤からの持ち上がりを期待されている原口は、再三長駆のドリブルから好機をつかみ、ミドルシュートを果敢に狙った(ただし、残念ながら枠には飛ばなかった)。しかし一方で、大島がやっていた左右への展開はなくなり、攻撃が単調になってしまった。
 そう、これらの「裏目」は結果論なのだ。交代で起用された選手は皆健全に戦い、特長を発揮し、必死に戦った。でも、傍で見ている限りは、何か交代策が裏目に出たようにも見えたのだ。ちゃんと逆転していれば、そんな印象は薄れたかもしれないがね。
 もちろん、ハリルホジッチ氏としては、このような交代策をとっていった最大の理由は、清武、岡崎、大島の役割を、香川がある程度カバーしてくれることを期待したからだと思う。しかし、残念ながら、終盤の香川は、焦りもあったのだろうが、慌てたプレイも目立ち、攻撃の変化や鮮やかな技巧は見せてくれなかった。
 清武を控えにおいていれば、香川と交代する手段もあったろうが、2人をスタメンに並べた以上、ハリルホジッチ氏としては香川を残すしかなかったのだろう。また、清武がスタメンにいたからこそ、本田の先制点が生まれたのも事実だし。
 難しいものだ。
 
 そうこう考えると不運な試合だった。
 ただし、私が嘆く不運は審判の判定ではない。ファウルかそうではないか、ボールがラインを越えたかどうか、これらに伴う運不運は、長い目で見れば公平に左右する。また、浅野のシュートの判定については、いわゆるゴールラインテクノロジー導入の健闘があるべきかもしれない(ただね、私はアジアのアウェイゲームで、「そのようなテクノロジーが正常に動作するのか?」と言う不安も感じるのですがね、まあそれはそれ)。
 私が述べたい不運は、ハリルホジッチ氏も、長谷部とその仲間達も、UAEを舐めていたわけではない。存分なリスペクトを持ち、丁寧に戦い、己の能力を発揮しようとしていた。そして、相応よい試合をしていたのだ。チームメートの大きなミスを丁寧にカバーしようとしていたし、リードを奪われても、執拗にあきらめることなく、それぞれの選手の特長を前面に出し得点も狙った。

 でも、それらが、すべて空回りした。
 まさにサッカーそのものではないか。
 西川、麻也、宏樹、香川、もちろん長谷部、それぞれには、相当厳しい批判を行った。でも、彼らは格段に経験を積んだ我々の英雄だ。もちろん、「もっとできるはずだ」との思いは強いが。

 今メンバに入っている選手達、彼らを逆転しようと虎視眈々と狙っている選手達、それらの選手の特長を最大限に融合し、厳しい予選を勝ち抜き、本大会に最強チームを送り込む。そして、ロシアで丁寧に戦い抜き、ベスト8以上を目指す。
 サポータ冥利につきる、最高のエンタティンメントが、今始まったのだ。
posted by 武藤文雄 at 01:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月01日

ロシアワールドカップ最終予選初戦前夜

 いよいよ最終予選が始まる。
 何歳になっても、ワールドカップ予選は、最高級のエンタティンメント。己が参戦したのは、86年大会が最初だった。そして、2002年大会を除くと、今度の予選体験は8回目。陳腐な言い方になるが、真剣勝負の愉しさは格段のものがある。

 ともあれ。
 正直言って、やはり楽観的な思いに支配されてしまう。今回のレギュレーションは、6チーム総当たりのホーム&アウェイの長期戦。このような総当たり戦で、チーム数が増えれば増えるほど、戦闘能力が高いチームが上位に上がっていく。たとえば、明日のUAE戦に苦杯したとしても、丁寧に勝ち点を積み上げればそれで上位に進んで行ける。一方で、UAEが日本から勝ち点をとれたとしても、残り試合で勝ち点を積み上げられるかどうかは別な話だ。
 たしかに、UAEはワールドユースで好成績を上げた世代だけに、相当な強化をしてきているらしい。報道によると、2ヶ月にわたる長期合宿を行ったとのこと、決して簡単な相手ではないだろう。

 何より岡崎がいる。この精力的なストライカは、2009年に代表の中核に定着以降、足かけ7年に渡り、我々に歓喜を提供し続けてくれた。昨年のアジアカップUAE戦苦杯。アギーレ氏が、負傷を抱えた岡崎を無理に1次ラウンドで引っ張り過ぎ、交代せざるを得なかったことが敗因となった。そして、昨シーズンは、とうとうプレミアリーグチャンピオンの一員となった。岡崎がいる限りにおいて、我々は得点力不足に悩むことはなかった。
 岡崎も30歳になった。このロシア予選、そして本大会が総決算となることだろう。

 もちろん、長谷部も、本田も、(このUAE戦は負傷で離脱してしまったが)長友もいる。みな、長期に渡り、欧州のトップクラブで実績を残してきた男たちだ。苦労を重ねながら、香川も清武も両酒井も、欧州で地位を確保してきた。さらに世代が下がり、武藤も宇佐美も、そして大島も浅野も遠藤航も、続こうとしている。西川、東口、森重、柏木、小林悠と言ったJのトップスタアが、格段の能力を誇ることは言うまでもない。

 攻撃ラインの整備はかなり進んできている。
 ハリルホジッチ氏の初戦のシンガポール戦。わざわざ、岡崎をトップに固定しながら、香川が前線に飛び出して、岡崎を妨害し、勝ち点を能動的に失ったのは記憶に新しい。たまたまハリルホジッチ氏が視察したJリーグで好プレイを見せた選手を、執拗に起用して強化試合を無駄に費やしたのも、愉しい思い出だ。
 しかし、そう言った問題は過去のものとなろうとしている。少なくとも、最近の試合では、岡崎、本田、香川の位置取りや関係性は整理されつつある。

 不安を語るのは愉しい。
 特に、シリア、ブルガリア、ボスニアヘルツェゴビナ、とここ3試合、安定して「ひどい守備」の試合を見せられている。シリア戦とブルガリア戦は、終盤に中盤や前線の選手の怠慢。ボスニア戦は、最終ラインのタレントの集中不足。異なるモードでの大失態だけに、一層悩ましさが増す。
 4年前の最終予選は、初戦のオマーン戦で、日本代表史に残るような完璧な試合を見せてくれた。しかしながら、本大会での悲しい結果が出た今となっては、ピークが早過ぎたようにも思えてくる。最終予選初戦の前夜は、このくらい不安感があったほうが、よいのかもしれないなと。

 などと、あれこれ考えることを堪能する、初戦前夜。これが愉しいのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月29日

シリア戦前夜2016

 明日はシリア戦。
 敵地で3対0で勝ったことと、先日のアフガニスタン戦は5対0で勝てたことなどにより、悲観論が大好きなマスコミを含め、およそ緊迫感のない前夜となっている。思えば、2次予選初戦で、シンガポールに味わい深い0対0の引き分けを演じ、東アジア選手権で苦戦を続けた頃の、重苦しい雰囲気が懐かしい。いや、敵地(おっと、実際には中立地のオマーンだったな)でのシリア戦の前半、コンディションが整わない選手達の醸し出す雰囲気も、陰々滅々、中々のものだったな。
 ただ、あの重苦しかった時代から、結果以外に何か好転したことがあるかと言われると、思いつかない。あのオマーンでのシリア戦は、後半岡崎と本田の個人能力で押し切った試合だった。そして、先日の埼玉のアフガニスタン戦。ただただ、岡崎が格段の存在であることを示す試合だった。そう、我が代表チームはこの半年、大した進歩はしていないのだ。
 もちろん、評価すべきは岡崎のみではなかった。森重がサボることなく、前線への正確なフィードを狙い続けたのはさすがだ。長谷部が1つ1つのプレイを丁寧に積み上げていたのも、矜持と言うものなのだろう。そして、何より金崎が執拗に得点を狙い続けたのはすばらしかった。しかし、その他の選手は感心しなかった。(アフガニスタンには失礼な言い方になるが)後半、アフガニスタンが疲弊した後に、得点を重ねても、どうこう評価できるものではあるまい。
 
 もっとも、焦る時期でないことも確かだ。
 ザッケローニ氏にしても、ピーキングが早すぎた。氏が見せてくれた試合で、最高の内容は2012年のオマーン戦だった。また、最高の結果は2013年のベルギー戦だった。ピークは2014年の6月に迎えるべきだったのだ。
 次第次第に、選手を厳選し、連係を高め、ロシアでベスト8以上を目指すのが、ハリルホジッチ氏のミッションなのだ。慌てる必要はない。このあたりから、次第にチーム力を上げていくことが肝要なのだ。

 だからこそ、必要なのは「意欲」だと思っている。
 アフガニスタン戦、金崎はすばらしかった。80分に小林悠と交替するまで、執拗にシュートを狙い続けた。ハーフナーの落としから、泥臭い5点目を決めた直後の、金崎の歓喜は、本当にうれしかった。もちろん、この試合は「岡崎の鮮やかな個人技による先制弾」として記憶される試合となる。けれども、それは岡崎がすごかったと言うこと。金崎が終始アフガニスタンゴールを狙い続け、最後に結果を出したことは、それはそれで見事なものだった。金崎の歓喜こそ、我々代表サポータの心を揺るがすものだ。ロシアでの歓喜のために必要なのは、金崎のように「ギラギラした選手」なのだ。
 シリア戦。岡崎と本田が並ぶのだろう。結果的に、この2人の圧倒的能力で、私たちは歓喜を味わうことになる可能性は高い。でも、新しい選手に期待したいのだ。金崎なのか、エヒメッシなのか、ハーフナーなのか、昌子なのか。

 代表チームの競争は厳しい。
 今回は久々の招集のため、欧州クラブ所属選手が中心となっている。しかし、国内のトッププレイヤの多くは牙を研いでいる。また、欧州遠征中の五輪代表選手の多くがロシアの主力になってくるだろう。
 だからこそ、各選手には、貴重な機会を理解し、「ギラギラとしたプレイ」を見せて欲しいのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月15日

呪縛から脱却したハリルホジッチ氏


 日本代表は、シンガポールに敵地で3対0で快勝。結果も内容も、そこそこ、まあまあだった。ともあれ、この試合は何よりハリルホジッチ氏が、埼玉シンガポール戦の呪縛から脱した試合として、今後の大きな分岐点となるのではないか。

 先般のシリア戦、結果的には3対0と快勝し、2次予選のトップ突破を事実上確定することができた。
 けれども、特に前半は、何とも重苦しい試合だった。中盤を制しながらも、崩し切れない展開。蒸し暑い気候の中、明らかに体調の悪い選手達。フィジカルに優れるシリアDF陣を振り切れない前線のタレント。そして、後方の選手の信じ難いミスにより、シリアに許す決定機。それでも、後半立ち上がりに岡崎が倒されてPKを奪った以降は、無事に戦闘能力差を発揮し、結果的には大差で勝利できた。
 ハリルホジッチ氏は、埼玉シンガポール戦の自からの油断と無策と知識不足による引き分けと、シリアがシンガポールに勝ったことで、勝ち点勘定的に2次予選突破に暗雲が漂うような錯覚にとらわれたのだろう。ために、先般のシリア戦は「安全」を考慮し、体調の必ずしもよくない岡崎、本田、香川を起用した。上記のように前半の試合内容は、何とも重苦しいものだったが、体調が悪いなりに勝負強さを発揮した岡崎のPK奪取を起点に快勝することができた。

 これで事実上、次のラウンド進出を決めたことで、氏はすっかり落ち着いたようだ。この敵地シンガポール戦では、体調のよい金崎、武藤、清武、柏木を起用した。さらに言えば、シンガポールが引いてくることが自明だったので、柏木がほとんどフリーでプレイできることも、埼玉の失敗を含めたスカウティングの成果だったのだろう。かくして、序盤から日本は次々と変化あふれる攻撃で好機を作り、前半半ばに2点を奪い勝負を決めてしまった。
 あのシリア戦の前半疲労が顕著な選手を無理に引っ張り苦闘した試合とは好対照。まずは、ハリルホジッチ氏が、自ら招いた呪縛から脱したことを、素直に喜ぼう。
 
 もちろん、細かな突っ込みどころは無数にある。
 長友と本田は明らかに重かったが、そこまでメンバを替えるのは冒険が過ぎると言うもの。それでも、長友は、カンボジア戦などで見受けられた、無意味で強引な前進がなくなり、落ち着いて左サイドの守備を固めてくれた。本田は、せっかく酒井宏樹が攻め上がっても使わない悪癖が見られたのはご愛嬌だが、しっかり得点にからんだのはさすが。後半、明らかに動けなくなり攻撃をギクシャクしたものにしてしまったが、これは素早い交代を行わなかったハリルホジッチ氏の責任だろう。
 ハリルホジッチ氏の交代策は、本田を引っ張った以外にも疑問は多かった。交代策はいずれも前線の選手、宇佐美、香川、原口だったが、後半攻撃が停滞した要因は、中盤での変化が不足したためだったのだから、あまり有効ではなかった。むしろ、山口蛍なり遠藤航を中盤に起用し活動量を増やして、上下の変化をつけるべきだったのではないか。

 ただロシアに向けて、攻撃はそれほど不安はない。年齢的に岡崎と本田が2人揃ってロシアを迎えることが可能かは微妙だが、後を継げる有為なタレントが多数いるからだ。最近の選考に、大迫も柿谷が漏れる事そのものが選手層の厚さを示している。一方で、後方は不安だ。最近登場したタレントは、遠藤航くらい(「遠藤が出て来ているのだから、文句を言うな」と言う向きがいるかもしれないが)。
 実際、このシンガポール戦でも、再三守備ラインがほころびかけた。吉田麻也は得点を決めたし、相変わらず後方からの攻撃の起点としては有効に機能した。しかし、突然見せるミスは相変わらず。前半、飛び出した西川と交錯した場面、不用意に敵にCKを与えたあたりは残念だった。森重は、ほぼ満足行くプレイを見せてくれたが、1回だけ敵セットプレイでマーク相手を見失った。
 最大の失望は酒井宏樹。若い頃は、右サイドからの強く踏み込んだクロスが最大の魅力だったのだが、この日はフリーで再三抜け出しながら、有効なクロスがほとんどなかった。丁寧な守備振りはよかったが、肝心なところで敵に出し抜かれてフリーでヘディングを許した。
 サッカーにミスは付き物だ。けれども、日本代表がロシアで好成績を収めようとするならば、丹念に小さなミスも見逃さない積み上げをしていく必要がある。残念ながら、現状は厳しい。新たなタレントの発掘と言う意味でも、既存の選手の安定感と言う意味でも。

 ともあれ。
 南アフリカの重苦しい惨敗後、我々はようやくロシアに向けて踏み出すことができた。アギーレ氏の弱気過ぎる采配が招いたアジアカップの早期敗退(せっかく短期間でよいチームを作ったのに)。そして、アギーレ氏との別れ。ハリルホジッチ氏の埼玉シンガポール戦の失態。そんなこんなを愉しんでわけだが、この敵地シンガポール戦で、私はロシアへの道筋をようやく見出すことができたように思う。
 まずは、道筋が明確に見えてきたことを素直に喜びたい。
posted by 武藤文雄 at 00:38| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月05日

ハリルホジッチさん、わかっているよね

 ハリルホジッチ氏はアジアを舐めている。
 シンガポール戦にせよ、この北朝鮮戦にせよ、相手の能力を軽視し、自分の都合だけで試合に臨んでいる。さらに、状況の悪さの修正を怠っている。
 誤解しないで欲しいが、私はアジアサッカーの特殊性を指摘しているのではない。むしろ、正反対だ。日本の戦闘能力はアジア屈指だから、シンガポールが守備を固めてくるのも、北朝鮮がシンプルだが高さを前面に押し立ててくるのも当然の話。これはレベルこそ違え、ドイツやアルゼンチンが各大陸の大会で苦労するのとまったく同じだ。それに対して、的確な準備をせずに試合に臨み、しかも試合中に修正ができていない。これだけ実績のある監督だけに、この2試合の失態は、氏が「アジアを舐めている」が故としか思えないのだ。

 開始早々、右サイドバックに起用された遠藤航の好クロスを、敵DFを振り切った武藤雄樹が押し込んだ。五輪代表の主将と、今シーズン「化けた」攻撃タレントが、それぞれ初代表で得点に絡んだのだから、誠にめでたい展開となった。もちろん、私の歓喜はそれに止まるものではないが。立ち上がりに失点した北朝鮮守備陣がやや腰が引けた事もあり、日本はその後もリズムよく攻める。しかし、2点目が決まらない。それにしても、川又の謎の反転、永井の逸機、いずれも柳沢クラスの味わい深さだったな。
 そうこうしているうちに、北朝鮮も攻め返してくる。単調ではあるが、ハイクロースをドガーンと上げ、複数の選手が飛び込んでくる、いかにも北朝鮮らしい攻撃だ。しかし、日本も森重が安定しており、落ち着いて北朝鮮の攻勢をはね返し好機を作らせない。ただ、問題は1度奪ったボールをキープできない事。せっかく森重や遠藤が敵のクロスをはね返しても、どの選手も前に前に急ぎ過ぎる。それでも、トップの川又がボールを収めてくれれば、早く前にボールを出した意味が出てくるが、川又はそのような選手ではない。そのため、簡単に北朝鮮にボールを奪われ、再度クロスが上がってくる。いかにも暑そうな天候なのだから、少しは楽をするためにゆっくりプレイをすべきだと思ったのだが。
 それにしても、(アルビレックス時代からわかっていたが)川又は、ボールを収めるのが不得手な選手だ。前半、中途半端にハーフウェイライン近傍に戻ってきて後方からのフィードを収めようとして、ダイレクトパスで北朝鮮MFに落とし、北朝鮮の逆襲の起点となった場面には笑った。毎週少年団で、CBをやっている子供達に、「フリーの味方を探しておいて、出足よく飛び出し、その味方にパスが出せれば最高」と指示しているのを思い出したりして。
 さらに永井の不振も残念だった。守備のために後方に下がった所で、味方からパスを受けても、どうしたらよいかわからないのだ。やはり、この選手はトップにおいて、元気にDFラインの裏を狙ってもらうのが適切に思えてくる。もっとも、この混乱はこの選手がグランパスと言うクラブ(潤沢な予算で常に強力なFWを多数所有している、だから永井を最前線ではなく、サイドで機能させようとする)を選択した事から始まっているのだが。

 後半序盤に、明らかに温存していた柴崎を起用。しかし、交替するのは機能せずもがいている永井や川又ではなく、宇佐美。まあ、確かに宇佐美の温存も必要ですがね。これによって急ぎ過ぎは改善されて試合は小康状態に。さらに、川又に代えて興梠が起用された頃には、後方の選手は皆相当疲弊してしまっていた。そうなると、もうラインを上げられなくなっており、北朝鮮としては後方からドガーンが増々やりやすくなっていた。だからと言って、あの2失点の無様さが割り引かれるものではないが。それにしても、あの時間帯までドガーンをちゃんとはね返していた森重は悔しかろうな。でも、これはCBと言うポジションの宿命なのだ。

 FIFAランクのような形骸的なランクに捉われなければ、北朝鮮と中立地で戦えば難しい試合になる事は自明の事だ。しかも、選手達は皆、先週土曜にJリーグで死闘を演じている。さらに、報道によると、現地の暑さは相当との事だ。とすれば、常識的に考えれば、できるだけスローテンポの展開にして、疲労を最小にする事が肝要。加えて、北朝鮮がドガーンしてくるのは予想できるので、ラインを上げられる戦いにする、などの策が適切なのは言うまでもない。
 しかし、スタメンそのものがおかしい。前の4人は、永井、川又、武藤雄樹、宇佐美。何と言うか、50年以上前に世界の主流だった4-2-4を思い起こすよね。前線の4枚に、持ちこたえたり、時間を稼いだりする選手が、誰もいない。私はどうしても武藤雄樹を中心に語るから、川又や永井でなく、丁寧に持ちこたえる興梠のようなタレントと併用して欲しかったと書く。一方で、川又や永井からすれば、「武藤雄樹ではなく興梠なり倉田と併用してもらえれば」との思いもある事だろう。要は各選手の特長を活かす起用となっていないのだ。この軽率なスタメン選択は、シンガポール戦直前のイラク戦で、攻撃ラインで最も立場を確保できていない香川の交代選手を試さず、総とっかえをした事で準備の好機を逸したのと同じだ。
 そして、上記の通り、試合展開が思わしくないのに修正を怠る。これも、シンガポール戦で、香川がフラフラと前線に位置取り岡崎の妨害をするのを放置したのと同じだ。
 ハリルホジッチ氏の実績を考慮すれば、的確なスタメン選考や交代選手準備、試合の流れからの修正が、しっかり行える監督なのは間違いないだろう(ね、そうですよね、大丈夫ですよね)。それを、公式戦で2度も無様にやり損ねるのだから、アジアを舐めているとしか思えないのだ。
 何となくだが、FIFAランキング、あのいいかげん極まりないFIFAランキングだけを見て、「この相手には楽に勝てる」と考え、試合に臨んでいるのではないかと思えてくる。10年ちょっと前に、大変愉しい思いをさせてくれたフランス人がいたけれど、この教条主義のところ、そっくりに思えて、何か嬉しい。いや、腹が立つ。うん、「だからサポータはやめらなれない」と言えば、それまでだけれどね。

 もちろん、氏が就任直後と言う事もあり、各選手が「この監督に対し、どこまで指示を忠実に守らなければならないのか」を計りかねている事もあるだろう。試合を観た限りでは、シンガポール戦では太田と酒井の両サイドバックは攻撃参加の自重を求められていたのだろうし、北朝鮮戦では「皆早く攻めろ」と指示をされていたのだろう。監督の指示に対して、いかに柔軟に対応するかは、選手の判断力の見せどころ。けれども、マスコミ報道を読む限り、「俺の言う事を聞かない奴はクビだ」的な発言もあるようだから(あれは対マスコミ、いや対スポーツ新聞へのリップサービスで、実際には違っていたら、ごめんなさい)、選手も判断に苦しんでいるのだろう。しかも、今回のチームは代表での実質的な実績、経験がある選手は、森重と蛍、それにまあ柴崎くらいしかいない。この3人が立場をよく理解し、ピッチ上でのリーダシップをとってくれれば嬉しいのだが。

 前期終了後、謎の1週休みの日程を組み、水曜の試合を2週入れたJリーグ首脳が愚かなの言うまでもない。日本代表の強化のみならず、各クラブの観客動員収入をも妨害する、歴史的愚策である。けれども、そう言う事は、大会前に大騒ぎする必要があるのだ。上記したフランス人のように。そのあたりも、ハリルホジッチ氏がアジアを舐めていると言う事なのかもしれない。

 まあ、いくら何でも韓国相手に、舐めた態度はとれないだろうから。うん、とにかく韓国に勝ってくれればいいよ。
 わかっているだろうな。おい。
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2015年06月17日

ハリルホジッチ氏、罠にはまる

 ひどい試合だった。
 正にサポータ冥利に尽きる試合だった。40年以上にも渡る己のサポータ人生でも忘れ難い、腹が立って仕方のない試合と語っても過言ではないな。ハリルホジッチのバカ野郎。

 前半、香川と本田の厳しいマークに岡崎は苦しんだ。本田が絞って入ってくるのは、このチームのやり方の1つなので、本田がマークを引き連れて岡崎の近傍に入ってくるのは一種の必要悪とも言える。実際、ペナルティエリア近傍で、本田がしっかりとキープしての好機は作れていたのだし。しかし、香川がズルズルと岡崎と同じラインでボールを待ち続けるのは不思議だった。確かに開始早々に、トップ近くで見事なターンから決定機を掴んだのは確かだが、それ以外の時間帯は最前線でほとんど消えていた。さらに悪い事に、各所で報道されたように、岡崎はハリルホジッチ氏に「最前線から動くな」と指示されていた模様で、普段ならば岡崎が作るスペースを活かしや、岡崎の飛び出しから作られる好機が生まれない。結果的に、バイタルエリア周辺で、敵のDF4人と香川と本田が、岡崎を厳しくマークする状況になり、長谷部も柴崎も、有効な縦パスが入らず、単調な攻撃に終始して45分が経過した。
 もう一つ悪い事に、審判の判定が日本向きではなかった。一昔前のJリーグの判定を思い出すような、選手が転んだらファウルと言う笛だったのだ。結果、相手に蹴られても持ちこたえる日本選手はファウルをとられず、簡単に転ぶシンガポールはファウルをもらう展開。それでも、審判の基準そのものは明確だっただから、学習して欲しかったのだが、麻也には。
 香川が前線に張り続けるのを放置したのだから、これはハリルホジッチ氏の作戦と理解するしかない45分間だった。ハーフタイムには、友人と「アルジェリアをあそこまで育てた監督だ、この45分間は後半への伏線に違いない(と、考える事にしよう)」と語り合った。

 後半立ち上がりから、香川は前線に張らず、中盤でプレイするようになった。改めて、ハーフタイムの友人との会話が誤りで、香川とハリルホジッチ氏の連係不足が45分間放置された事が理解できた。状況はたちまち改善し、岡崎へのマークが緩くなり、日本の攻撃がスムーズになる。10分、長谷部の展開からの太田のクロス、岡崎のヘディングはGKを破り、ゴールラインを越えたように私からは見えたのだが。まあ、このような判定は審判に任せるしかないが、その瞬間副審がゴールラインまで戻れていなかったのだけは、よく見る事ができた。
 60分過ぎに香川に替えて大迫。大迫の変化をつけた動きにより、岡崎もやりやすくなったのだろう。日本はさらに押し込み、好機を再三作れるようになる。
 問題は次の交代だった。何かきっかけを掴みたいところだったから、原口投入は妥当だろう。しかし、交代される選手が宇佐美ではなく、柴崎なのにビックリした。直後、原口の仕掛けから、ゴール前のFKを獲得。本田が直接狙うもポストに当たる。「さすが、このような狙いなのか」と友人と語り合ったが、原口が機能したのはこの場面が最後だった。以降、原口は中盤のバランスを取る事に終始し、攻撃にほとんど登場しなかった。
 原口にしても、両サイドバックの酒井にしても太田にしても、思い切りよく飛び出す場面は、ほとんど見られなかった。これは、ハリルホジッチ氏の指示だったと考えるしかあるまい。ハリルホジッチ氏は、敵の逆襲を警戒し、後方に人数をある程度残す事を厳しく指示したのだろう。そのため、日本の終盤の攻撃は迫力を欠く事になった。まあ、それも1つの考え方だろうが、だったら前半の香川に「不用意に前に行くな」と厳しく指示すれば、すべての問題は解決していたようにも思うのだが。さらに言えば、後半半ば過ぎから、シンガポールの各選手は疲労で青息吐息。とてもではないが、逆襲を心配する状況には見えなかったのだが。
 上がらない両サイドバックと、前線で効力を発揮するストライカ4人を抱え、長谷部が1人労苦を重ねたが、状況は打開されなかった。終盤には、酒井が再三ビックリするようなミスを連発し、攻撃ムードを阻害してしまった。こう言った状況下で、ベンチで長友は何を思ったのか。それにしても、長友の欠場には驚いた、よく言えば「トレーニングで充実していた太田を抜擢した」と言う事なのだろうか、いや、悪く言えば、ハリルホジッチ氏が自己顕示欲を発揮し過ぎて、奇策を当て損ねたようにも思えるが(それとも、長友は負傷だったのだろうか、でもメンバには入っていたし)。

 無様な試合だった。このような試合で勝ち切れない事も悔しいが、終盤のメンバ選定の誤りで、絨毯爆撃のような猛攻を仕掛けられなかったのが、また腹が立つ。思えば、イラク戦で香川のバックアップを試さず、総とっかえを選択したハリルホジッチ氏の油断。柴崎を残さず、原口を投入したハリルホジッチ氏の焦り。監督の油断と焦りが錯綜し、自ら勝ち点ロスに向かった無様な試合だったのだ。
 各地で鮮やかな実績を残してきた名監督ハリルホジッチ氏が、罠にはまった試合だったのだ。

 イライラ、怒り、不完全燃焼、正にサポータ冥利に尽きる試合だった。

 この時点では、よくある不出来な試合に過ぎなかった。このような怒りを、過去幾度味わってきた事か。
 しかし、今日はそれで終わらなかったのだ。試合終了と同時に競技場を飛び出した時は、雨は大したことなかった。ところが...
 埼玉スタジアムを出て、浦和美園に向かった瞬間、雨は半端ないものと変わった。ゲリラ豪雨である。スタジアムを出る時に、カッパを来たり、カバンをビニールで覆っていれば被害は少なかったのだが、その手当を怠っていた。腹が立っていて、冷静さを欠いていたのかもしれない。そして、1度競技場を出てしまうと、それを修正する場所がない。細い道に多数の観客が充満、大渋滞をお越し、どうしようもなくなってしまったのだ。かくして、傘でかろうじて身を守りながら、ゲリラ豪雨の中を、失意のサポータの皆様と、粛々と浦和美園まで行進する事と相成った。本当につらい行軍だった。

 八つ当たりである。
 本当に不愉快な一夜だった。油断と焦りから、次々と繰り返される監督の采配ミス。自ら失ってしまった貴重な勝ち点。これほど腹が立つ試合は珍しい。正にサポータ冥利に尽きる不快感。
 そこにゲリラ豪雨。

 繰り返すが、八つ当たりである。
 もう許せない。私はハリルホジッチ氏を許せない。
 いや、私は寛容だ。氏を許す事にしようと思う。ロシアでベスト8以上を獲得してくれるだろうから。
posted by 武藤文雄 at 02:08| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月13日

評価のしようがない試合が続く

 イラク戦。格段に素晴らしい試合でもなかったが、特別に悪い試合でもなかった。
 岡崎と本田の調子がよければ、どのようなチームから得点を奪う事は可能な事はわかっている事。長谷部のサポートを受けた柴崎が再三早いタイミングでよい縦パスを出した事、宇佐美が再三よい突破を見せた事、原口の得点も相応に見事だった事、よい事はたくさんあった。地味ながら、槇野が無茶な攻撃参加を控え冷静な守備を継続したと言う、嬉しい誤算もあった。後述するが、イラクの悪さを差し引かなかければならないのだが。
 しかし、守備はもう少し安定感が欲しかった。川島と麻也のドタバタを愉しんだ事は否定しないが、いつになったらこの2人は落ち着くのか。前半、酒井宏樹と本田の右サイドの守備に軽さも気になった。序盤に2点差としてしまい攻撃のペースが落ちたのは仕方がないが、それを活性化する采配をハリルホジッチ氏を採らなかったのも不満、攻撃ライン総とっかえをしては攻撃は機能しない。そのため、蛍によるクローズを除くと、メンバの組み合わせを広げるテストは、ほとんどできなかった。例えば、清武が離脱してしまっているのだし、後半総とっかえなどせずに、今一歩の出来だった香川のところに他選手を入れるテストをするのが常識と言うものだろう。
 巷で言われる「縦の意識の向上」だが、イラクが比較的ノーガードだったのだから、評価のしようがない。敵を自在に引出し、狙い澄まして素早い速攻を連発でもしてくれれば別だが。単にコンディションのよくないイラクに対し、立ち上がりにうまく点をとり、その後低調ながら押し切った試合に過ぎなかった。
 可もなし、不可もなし、評価のしようがない試合だったのだ。

 イラクは確かに残念な出来だった。キリンチャレンジにアジアの代表チームを招聘すると、どうしてもコンディショニングの差が出てしまい、一方的な試合となる傾向がある。とは言え、シンガポールとの初戦を前にしたA代表マッチデー。スポンサとの約束している国内での有料準備試合を行うには適切な日だし、その相手としてアジア最強(あるいはそれに準ずる)クラスのイラクを選考したのは、有効な選択だろう。本番のシンガポール戦を前に、ウルグアイやらベルギーを呼んでしまっては、何が本番かわからなくなってしまうではないか(もちろん、コパアメリカやら、ワールドカップ予選で、これらの列強を呼ぶことは不可能だったのだが)。
 もちろん、イラクには国内情勢から安定した長期の強化が難しい事情もある。ために、2007年のアジアカップ制覇、2004年のアテネ五輪ベスト4など、短期集中大会では見事な成績を収めるが、長期のホーム&アウェイには今一歩と言う傾向なのも確か。その上、イラクは16日のインドネシアとのアウェイゲームが、インドネシア協会の不祥事によりキャンセルになっていた。そう考えると、選手のモチベーションや準備を含め、イラクが残念な出来だったのは仕方がない事なのだ。

 シンガポールを軽視する気は毛頭ないが、日本での試合ならば10回試合して1回引き分けまで持ち込めるかどうかだろう。当然シンガポールは「その1回」を目指す事になる。しかし、今の日本は岡崎と本田を筆頭に、宇佐美、原口、武藤ら、得点能力の高い選手が前線に多く、リスクはほとんどないと考える。
 一方でこの2次予選グループの対戦相手は、その他にはシリア、カンボジア、アフガニスタン。シンガポールより歯応えがありそうなのはシリアくらい。来年春先(2018年への折り返し点あたり)まで、貴重なA代表試合日をこう言ったチームとの試合が続く訳で、、「強化」と言う視点からは感心しない状況が続く。しかし、アジア各国にとっては日本との公式試合は、単に代表チームに止まらず、その国のサッカー界の総合強化にも、最高の経験となる事だろう。だから、「困った事だ」と言ってはいけないし、長期的にはアジア全体の底上げがなければ、日本のワールドカップ制覇もない。ゆったりと、慌てず、進んでいく事が肝要なのだ。

 ハリルホジッチ氏はわかりやすい人だ。まずは過去を徹底的に否定し、うまく行った事を針小棒大に語り、自慢し、自分の実績と語る。このような外国人監督は、トルシェ氏、アギーレ氏と同じ系列で、安心して任せる事ができる1つのタイプだ。就任前から絶大な信頼をおけたオシム爺さんは別格として、何も考えていないジーコ氏、決して失言しないオフト氏よりは、その自慢話から状況を正確に推定する事が可能だからだ(ザッケローニ氏はオフト氏と同じく寡黙系だったが、就任早々のアジア制覇とアルゼンチンへの勝利と言う実績で、我々を納得させてしまったが)。また、そのハリルホジッチ氏の自慢話、景気のよい勝利、日本のサッカーマスコミの報道姿勢、いずれのマッチングのよさも中々だ。
 現実は現実ととらえ、じっくりとサポートしていきたい。3年後の歓喜を信じて。
posted by 武藤文雄 at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月03日

選手の個人能力で勝ち切った2連戦

 テレビ桟敷で堪能したチュニジア戦は素晴らしかった。ほとんど初顔合わせの意表を突いたスタメンながら、チュニジアにほとんど好機を作らせなかったからだ。前線からの精力的な守備は実に見事。冴え渡る長谷部と蛍には素直に感心しました。一方の攻撃、チュニジアのCBアブデヌールが素晴らしく、中々崩し切れなかったが、これは相手が凄過ぎたと考えるべきだろう。もっとも、後半になれば相手が消耗してくるのは、国内の親善試合の常、そこの時間帯に本田、香川、岡崎、宇佐美を投入する、非常に理に叶った采配で、キッチリと勝利した試合となった。もっとも、公式戦ではこのような采配は不可能なのだが。

 さて久々の代表生観戦となったウズベク戦。初戦のビックリスタメン、スタア交代劇を思い起こせば、初戦起用されなかった大迫、柴崎、太田らが起用されると思っていた。ところが、内田、本田、香川、岡崎の揃い踏み。こうなると「単に意表を突きたいだけなのではないか」とも思えてくるが。そして開始早々に、青山の超弩級弾で先制。5万大観衆の盛り上がりは最高潮に達する(余談、FC東京サポータと一緒に参戦していたのだが、「こんな満員になるなんて、同じ競技場とは思えない」と感動していた、もっとも私にとっては普段と異なる飛田給駅からの大混雑で中々競技場にたどり着けず「キックオフに間に合わないのでは」とオロオロ慌てた悪い記憶が残ったのだが)。
 ところが、その後がいけない。とにかく守備が緩いのだ。本田も香川もサボっている訳ではないが、切れがない。内田もとにかく重い(内田について、起用する意味があったのかが、そもそも疑問だが)。そして、今野が明らかに体調不十分。寄せが甘く中盤で敵を止められない。結果最終ラインでの戦いとなり、森重の奮戦でかろうじて凌ぐ展開となった。まあ、仕方がないよな。チュニジア戦で相応に仕事して安心した本田と香川に、この環境でタフファイトは望めない。終盤腕章を巻いた森重にも、とにかく敵をはね返す能力を見せた昌子にも、よい経験となったのだから、それはそれで結構な事だ。
 試合そのものは、岡崎が仕事して2点差としたところで実質的には勝負あり。国内親善試合の常で、ウズベクの動きが止まってしまった。その後のフエスタは愉しゅうございました。素直に喜ぼう。

 以下雑感を少し。

 ハリルホジッチ氏。実績面を考慮すれば、とてもよい人と契約できたものだと思う。ただ、この2試合については手腕云々を語るのは失礼と言うものだろう。ともあれ、おぼろげながら、幾つか。
 チュニジア戦、中盤に長谷部、蛍、永井、清武、武藤と、真面目な選手を並べて、相応の組織守備を見せてくれたのは間違いない。が、本田と香川が、敵が疲労したチュニジア戦終盤に機能し、敵が元気なウズベク戦序盤では機能しなかった。わかりやすいと言っていまえばそれまでだが、最初の2試合で非常に難しい問題が健在化したと言う事だ。もっとも、早々に問題を健在化する手腕が素晴らしいと言う見方もあろうが。
 水本アンカーが機能した。森重、昌子が後方から、水本が前方から、それぞれ敵2トップを挟み込んで止めて、それが速攻の起点となった。おそらく起用された水本自身が驚いた事だろう。とりあえずは「恐るべき眼力」と感心しておこうか、「相手をワナにはめた」ほど、うまく行ったとはとても言えないが、少なくとも守備は前半よりは安定した。もっとも、「体調が不十分な今野に無理をさせずに、前半からそうしろよ」との思いもあるが。いや、成功させたのですから、文句を言ってはいけませんね。
 このような知的遊戯が愉しめる監督は大好き。うん、期待したい。

 大迫と川又。大迫がピッチ沿いでスタンバイした時、誰もが「岡崎に代わってトップに入る」と思ったに違いない。ところが、交代は本田、そして大迫は不慣れな右サイドMFに、低調な出来だった。そして、その後岡崎に代わってトップに入った川又は得点も奪った。得意のポジションへの起用すらなく、川又や宇佐美に丁寧にパスをする大迫。2試合目にもチャンスをもらい、ものにした川又。うん、仕方がないな。いや、それだけ。うんや、頼むよ、大迫。

 柴崎。確かに3点目は鮮やかだった。でも、それだけ。もっとも、本来の中盤後方ではなく、トップ下に起用され、いかにも窮屈そうだった。今はとにかく、中盤の展開、タイミングと精度両面で格段のラストパス、そしてシュート精度、それぞれを淡々と磨いてほしい。とは言え、あの超ロングシュートを決めるよりも、UAE戦のフリーキックを決める事の方が、ずっと重要だったことを、改めて強調しておきたい。

 宇佐美。ウズベク戦の一撃は、この選手の潜在能力を示すものだった。あれだけ高速ドリブルで前進しながら、ファーサイドにあの速い球足の正確で低いシュートが打てるとは。あんなシュートを打てた日本人は、過去釜本と久保くらいだった。しかし、それだけの能力の持ち主である事は、わかっていた事。問題は、これをいかに継続できるのか。期待は大きいのだ。

 長谷部。素晴らしかった。そして、長谷部不在のウズベク戦の中盤守備の酷い事。改めて、この日本代表史屈指の主将が、負傷で、ブラジル大会にベストに持ってこれなかった不運を呪おうか。遠藤航にとって、極めてレベルの高いライバルがいる事が、これまためでたい。

 そして岡崎。恐れいりました。この2試合、いずれも「消えるプレイ」で隙を見つけ、しっかりと得点できる位置に進出できる能力に感嘆。このスタアを欠いて、アジアカップファイナルで敗退した要因がはっきりわかった。当面、岡崎が充実している間は、日本代表の攻撃の課題は「いかに、岡崎に点をとれせるか?」と言う事になる。その事実を、ハリフホジッチ氏が明確に理解できたのが、この2試合の最大の成果のようにも思える。

 組織云々以前に、個人能力の高さで完勝した訳だ。我々の素材は最高なのだ。だからこそ、新料理人ハリフホジッチ氏の今後の手腕に期待したい。
posted by 武藤文雄 at 02:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする