2005年02月27日

ジーコ氏の進歩、川淵会長の歓喜

 昨日のゼロックス。前半半ばに、相馬が仕掛け隼磨を見事なフェイントで抜き去った場面直後、映像には貴賓席のジーコ氏。眉間に皺を寄せながらペンを走らせていた。私は嬉しかった。



 拙稿を読み続けている方はご承知だろうが、私は日本代表監督としてのジーコ氏は大嫌いだ(憎さ余って可愛さ百倍として、面白がっているのも否定しませんが)。もっとも、選手ジーコの現役時代、丁寧なインサイドキックで30m前方に走りこむ味方へのスルーパス(一体いつそのスペースを見つけたのか!)は本当に凄かったと思っている。さらに、住金、アントラーズに降り立った以降の選手兼実質監督のジーコは尊敬しているし、感謝もしている。

 大嫌いが故の偏見は多々あるのは承知しているが、ここまでのジーコ氏のチーム作り(「作り」と言う日本語が妥当かどうかはさておき)には多々疑問があった。それらの疑問の大きなものに「ジーコ氏がしっかりとJリーグを見ているのか」と言うものがあった。氏が丁寧にJを視察し、有為な候補選手を探索していなかったように思い、非常にイライラしていたのだ。

 しかし、少なくとも昨日、隼磨も相馬もジーコ氏の認識には入ったはずだ。認識に入った上での不選考ならば、それは氏のサッカー観の問題。それならば納得できる。もっとも、ジーコ氏の千里眼は、我々凡人を越えたところにある。「テヘラン行きのメンバに小林大悟が選ばれたりして」などと想像するのもまた愉しいのだが。

 そう思っていたら、再びジーコ氏が帰国したらしい。今回は腹が立たない、3月5日より前に再来日してれるならばね。



 今晩、TVで川淵会長の特集番組をやっていた。古河電工のサラリーマン時代からの糟糠の奥様とのエピソード、2050年日本の単独開催ワールドカップで優勝を狙う将来構想(おいおい、俺に90歳まで長生きしろと言うのかよ)、女子代表宮本からの出産を連絡する電話への対応など、一般視聴者が喜びそうなエピソードが多数紹介された。いい番組だった。

 でも、私が一番笑ったのは全く異なるエピソード。川淵会長の私室に、幾多の思い出の品や写真が飾られていた。その中で一際目立つ大きなパネル、川淵会長とジーコ氏が満面の笑顔で握手しているもの。川淵会長は嬉しそうに語ってくれた。

「先日の敵地オマーン戦に勝った時の写真だよ。本当に嬉しかったよ。」



 そーですか。お2人とも、そんなに嬉しかったのですか。

 こう考えると「隼磨と相馬を、ジーコ氏が認識している事」を確認しただけで嬉しくなる俺の方が、トクな人生を歩んでいるな。
posted by 武藤文雄 at 23:08| Comment(10) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月21日

ペルシャへの憧憬

 敵地イラン戦のツアーが大人気らしい。 

 中でも驚かされたのは所謂「弾丸ツアー」。イラン戦は25日金曜日の日本時間の夜間。それを前日の木曜の晩に、羽田発のチャータ便を飛ばし、試合を見終わったら、Uターンし(日本時間の)土曜日中に帰着すると言うプラン。これならば、金曜日に休みさえとれば行って帰って来られる。この弾丸ツアーが大人気で、もはやキャンセル待ち状態の由。

 2時間の至福体験のために、ここまで過酷な日程と費用負担を堂々と選択する同胞が多数いる事に、感心すると共に喜びも感じる。これぞ、まさに我が国の「サッカー力」ではなかろうか。

 さすがに私はこの歳でもありそのような過激な日程では厳しいし、何よりどうせイランに行くならば、あの歴史あふれる国を少しでも愉しみたいので、本業サイドに無理をお願いして休暇をもらい、ゆったりした日程を選択した。



 個人的な戯言だが「イランとのワールドカップ予選のアウェイゲームを観戦する」と言うのは、人生の夢の1つだった。



 74年のテヘランで行われたアジア大会。イスラム革命前のパハレビ国王が国力を賭けて行った大イベント。満員の大観衆の中で行われた決勝戦のイラン−イスラエル!!!戦。TV映像から流れてきたイランの勝利の瞬間のスタジアムの雰囲気は、数ヶ月前の西ドイツのスタジアムの雰囲気と、そう違うものには思えなかった。「そうか、アジアでもあのような盛り上がったスタジアムがあるのだ」と、当時中学2年生だった私は感動した。

 93年春先に国立競技場で行われた、アジアカップウィナーズカップ決勝、日産−ピルズィ戦。上野界隈?から多数流れてきたイラン人サポータの野太い大声援の迫力の凄い事。あのような連中が10万人入る競技場で、アウェイサポータとして熱狂できれば、最高だろうなと。



 そして、イランと言う国の歴史。

 学生時代からペルセポリスは1度は是非に訪ねたいと想っていた都市だ。紀元前より発達したペルシャ帝国の栄華を想像し、エスカンダリアンやフォヌニザデガンやマンスリアンやアリ・ダエイに想いを馳せたいから。ダリウス1世が何故にあそこまで先進的な国を作る事ができたのか。アレクサンドロス大王がアケメネス朝を殲滅した時の想いは。そして、ローマ帝国に痛恨の一撃を食らわしたシャプール1世の才覚は。



 何かこう、1ヶ月後を想うと気もそぞろなのです。

 まあ、とにかく皆さん、一緒にテヘランで熱狂いたしましょう。
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2005年02月17日

アジア予選次節の星勘定(下)

 まずイランから考えてみよう。

 イランは第4、5節にホームでの連戦があり、ここで勝ち点6はある程度計算できる、と言って前半の3試合で積んだ勝ち点が2や3では、最終節の敵地日本戦で勝ち点確保が必要になる。とすれば、この第2、3節で勝ち点を3か4は、やはり取りたい(つまり最低1勝)。勝ち点2(つまり2引き分け)では、いささか足りない。

 ただしもう1つ、イランはホームで日本に負ける事だけは避けたいと言う事情もある。もし、ここで日本に負けると、前半3節で日本が勝ち点9で独走体勢に入ってしまう可能性が出てしまう。イランはこうなると(8年前の日本と韓国を想い出せばわかりやすい)下手をすると混戦に巻き込まれてしまう。

 そう考えてくると、ホームの日本戦の序盤は攻撃的に来て先行逃げ切りを狙い、もし攻めあぐみ同点のまま後半半ばになれば、無理をしなくなると予測する。何故ならば、(北朝鮮の守備力を考えれば)攻撃力に自信のあるイランとしては、ホームで日本に無理攻めして勝ちに行く(同時に中田、小野、中村らによるカウンタのリスクにさらされる)よりは、引き分けておいてアウェイの北朝鮮戦の勝利を狙う方が現実と考えると想うから。



 次に北朝鮮。

 こちらは極めてわかりやすい。2位になるためには、第2、3節のホーム連戦は勝ち点6、最悪でも勝ち点4が必須だろう。ここで勝ち点3以下だと相当厳しい事態になる。北朝鮮にとっては、まずバーレーン戦は必勝の試合なのだ。

 一方、バーレーン。

 こちらも北朝鮮戦はやはり必勝、引き分けすら避けたい試合となる。と言うのは、もし北朝鮮と引き分けると、さらに埼玉で日本相手に引き分けられたとしても(ここで日本に勝つのは不可能とは言わないが、極めて可能性が低いのは言うまでもない)、勝ち点10ラインまでには、残り3節で勝ち点7が必要になる。アウェイのイラン戦とホームとは言え日本戦を含めての3試合でこれは相当厳しい。初戦でいくら相手がイランとは言え、ホームで引き分けた事は状況を相当厳しくしているのだ。

 平壌の北朝鮮−バーレーン戦は、双方が勝ち点3を目指す相当激しい試合になるのではないか。



 ちなみに、バーレーンが北朝鮮に敗れると、次の日本戦は「窮鼠猫を噛む」ような相当激しいサッカーをしてくる事が予想される。これは避けたい。いや、見たい気もするな。
posted by 武藤文雄 at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月16日

アジア予選次節の星勘定(上)

 面白いもので先日のアジア予選第1節は、両グループともにシード順が高い国がホームの場合は勝利を収め(日本、韓国)、アウェイの場合は引き分けた(イラン、サウジ)。つまりランキングが高い4チームが満足できる勝ち点を取れたと言う事だ。無論、終了間際までリードしていたサウジはロスタイムに追いつかれたらしく残念な結果と言えるだろうが。

 4チーム、ホーム&アウェイ総当りで、2位抜けなのだから、目標勝ち点ラインは10、2勝4分け、3勝1分け2敗あたりだろう。そのような見地から、日本のグループ各チームの星勘定を検討してみた。



         第1節     第2節  第3節   第4節  第5節   第6節

日本(J)    K H 勝  I AF B H   B AF K AN  I H

イラン(I)   B AN分  J H  K AF  K H  B H   J AF

バーレ−ン(B) I H 分  K AF J AF  J H  I AN  K H

北朝鮮(K)   J AN負  B H  I H   I AF J H   B AF



  Hはホーム、ANはアウェイで比較的自国から近い場所、AFはアウェイで遠い場所





 上表に各節の試合をまとめてみた。こうした上で各チームごとに組み合わせを整理してみる。

 まず日本。初戦と最終戦がホームなのは有利、試合が続く2,3節、4,5節が共に遠方への遠征とホームあるいは近隣のアウェイが組み合わさっている。連戦のコンディショニングが課題。

 イラン。前半戦は厳しい組み合わせ、唯一のホームは難敵日本だし、ただし4,5節にホームゲーム連戦があり勝ち点6が計算可能。序盤戦は我慢が必要。

 バーレーン。日本同様、初戦と最終戦がホームなのは有利、2,3節に遠方のアウェイが連続でこれはキツイが、それが終われば後半戦は全て中東での試合。もっとも中東を動かなくてよい4,5節は、アウェイのイランとホームの日本で勝ち点計算はラクではないが。

 北朝鮮。後半戦は非常に厳しい。遠方でのアウェイ2試合とホームでは難敵日本。序盤である程度勝ち点を稼がないと相当苦しい。



 と、各チームの概要を見据えた上で、第2節、第3節を展望してみる。

 

 まず日本から。日本にとって重要なのは、テヘランのイラン戦ではなく、埼玉のバーレーン戦で確実に勝ち点3を取る事だろう。もし、イランに敗れたとしても、バーレーンに勝てば勝ち点は6。その後、日程的には厳しいが敵地の2連戦で1勝1分けで勝ち点10に到達する。もし、この連戦が2分けに終わっても、最終戦がある。敵地でイランに勝つ事は中々厄介だが、ホームでバーレーンに勝つ事は苦労はするだろうが確率は格段に高いはず。言い換えれば、この予選で最も重要な試合はこの第3戦のように思える。

 こう考えると、テヘランでのアウェイゲームは、「じっくり守る」から入ればいい事が改めて確認される。



 では他の3チームはいかがか。続きます。
posted by 武藤文雄 at 22:25| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月15日

北朝鮮戦を振り返って −その6−

 さすがに北朝鮮戦ネタも尽き始めてきたが、もう一発。今日は小笠原の今後を考察したい。

 

 試合前からジーコ氏が先発を明言した事もあり、小笠原のプレイ振りは期待と共に注目された。そして、開始早々の強烈なフリーキック。完璧な立ち上がり。元々この選手はアントラーズのビッグゲームで直接FKを決めた経験は豊富。正確な技術とふてぶてしい度胸の両立の賜物だろう。

 この一撃で勢いに乗るかと期待された小笠原であり、日本だったが、そうはならなかった。それについては、今までも散々愚痴を垂れたが、チーム全体の慎重策がネックになったためと見る。ただし、小笠原への要求水準は高いだけに「それでも何とかして欲しかった」とも想うけれども。



 さて、中村が投入された後は、小笠原も再覚醒。中村と適切な距離をとり、次々に攻勢をかける。中村の活躍が派手すぎて、目立たなかったが小笠原の技巧は実に利いていた。決勝ゴールも小笠原のクロスを起点にしたものだったし、中村の好パスを受けてのドリブル突破からの左足ミドルシュートは実に惜しかった(このミドルシュートが何故敵GKに防がれてしまったかは小笠原にとって結構重要かも、持ち出しからシュートまでの流れのどこかで、一瞬でよいからテンポを変える事ができていれば)。

 考えてみると、小笠原が活きるのは、MFにもう1枚芸術家がいる時ではないか。この日の中村、アントラーズでは以前はビスマルク、最近は本山、かつてのワールドユースでは小野。どちらが主役と言うのではなく、強力なパートナと適切な距離を取りながら仕掛る時にその力を存分に発揮している(無論、一昨年の東アジア選手権中国戦のように攻撃的MF1枚で小笠原が大活躍した試合もあったけれども)。

 今後の日本代表のメンバ構成を考えると、中田、中村と強力な「創造型攻撃的MF」が2枚いるので、小笠原はどうしても3番手と言う事になる。このままでは2人のバックアップの地位から脱するのは難しいかもしれない。しかし、北朝鮮戦で中村と巧く距離をとって見せてくれたプレイは、小笠原が代表でより強固な地位を確保するためのヒントとなるように想えた。



 81年トヨタカップ、ジーコ率いるフラメンゴは見事な攻撃的サッカーで、当時欧州を席捲していたリバプールを粉砕した。この時、ジーコの横で8番をつけていたアジリオと言うMFは、技巧的で判断が非常によい選手だった。アジリオは実に見事な位置取りでリバプールMFのマークをひきつけジーコをフリーにさせ、時にジーコにマークが集中した時は見事なパスとドリブルでリバプール守備陣を悩ませた。

 以前も述べた事があるが、私は小笠原のプレイを見ていると、このアジリオを想い出すのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月14日

北朝鮮戦を振り返って −その5−

 実は大黒について書こうと想っていたのだが、日本サッカー最高の語り部が取り上げられたので自粛。この方にこんな事書かれてしまうと、我々野次馬ライタはつらい。でも、「ゲルト・ミュラー」がかぶったのは嬉しい。



 と言う事で今日のお題はアレックス。

 

 それにしても、つなぎに入った時のアレックスは酷かった。再三のミスパスでチームのリズムを崩す。アレックスがもう少し丁寧なプレイを心がけていれば、ずっと楽な試合になったはずだ。前半李漢宰にフリーでヘディングを許した場面も、このようなビッグゲームでは考えられない集中力の欠如。

 一方で小笠原の先制弾を生んだドリブル突破(もっとも、あの場面はああも簡単に転倒するでなく、ころばぬように粘って欲しかったのだが)は見事だったし、後半にも何本か好クロス(中でも高原にピタリと合わせたのは見事)を上げた。

 以前も触れたが、この選手はいずれの試合でも、出来不出来の差が極端に出る「安定して『不安定』」なのだ。言い方を変えれば、長所も素晴らしいが、短所も顕著。

 考えてみれば、ネルソン吉村、ラモス、呂比須、かつてブラジルから帰化した代表選手も皆、長所と短所が明確だった。別な機会に検討してみたいが、中途半端に安定した選手よりは、長所短所がはっきりした選手の方が、役に立つもの。このあたりにも、ブラジルと日本の「選手育成パワー」の差を見る事ができるのかもしれない。



 アレックスが出場停止になるイラン戦、三浦淳の起用をジーコ氏は明言したようだ。

 元々このポジションはリーグでも決定的な選手は少ない。私が再三推す服部公太はいささか地味なタレント、村井、新井場は攻撃力は存分にあるが守備については課題がある、先般天皇杯で大暴れした相馬は有力だが、まだ長きに渡りJで大活躍してはいない。テヘランのアウェイゲームでいきなりこれらの初代表の選手を起用するのは相当な冒険。ここはベテランの三浦淳(もっとも、三浦は試合出場の機会がないままにジーコ氏に呼び続けられているうちに、相馬にポジションを奪われてしまったのだが)の起用が無難と言う事か。



 アレックスは今後ジーコジャパンでどのような位置を占めていくのだろうか。私は「このままズルズルとジーコ氏が「レギュラ確定」を継続する事で、ますますアレックスがダメになっていくのではないか」と懸念する。氏が頑なにアレックスをレギュラで使い続ける事について議論するのにはもう飽きた。しかし、「確定」による安心感、慢心が、アレックスから「不出来についての反省」を忘れさせ、結果的にそのプレイを低調なものにしているように想えてならないのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:27| Comment(4) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月13日

北朝鮮戦を振り返って −その4−

 この北朝鮮戦のようなタフな試合は、選手を大いに成長させる糧ともなるはず。経験と言う側面から、「微妙」な出来だった4選手について考察する。

 

 玉田は裏に抜け出す速さは抜群で、北朝鮮DFを再三振り切った。けれども、主審との相性が悪く、振り切ろうとする瞬間に「手」で敵DFを押さえているという判断で、反則を何回も取られた。反則を取られる事自体は仕方が無いが、複数回取られたのはとても残念。玉田自身は明らかに判定に不満の態度を見せていたが、地頭には勝てないのだから対処を考えるべきなのだ。敵DFとの間合いを極端に短く取って抜け出すのが玉田のスタイルだが、振り切った瞬間のドリブルのコースをもう少し工夫すれば上半身の交錯は防げたはず、そうすればあの主審とて反則は取らなかったのではないか。

 この北朝鮮戦での経験を活かして、どう化けるのか注目したい。

 

 ここ数日で何回か述べたが、遠藤には試合全体をもっと読んで欲しい。立ち上がり、北朝鮮がオロオロしている時間帯は、もっと攻め込むべきだった。試合半ば、お互いが攻め合いになった時間帯は、リードしていたのだから、もっとスローテンポに試合を落ち着けるべきだった。

 これは経験とか判断力の問題だが、むしろ遠藤に欲しいのはチームの中核であると言う自覚ではないか。たしかに中田なり小野がいる時は、そのような仕事は彼らの担当となろう。しかし、この2人が不在の時は、そのような試合全体の展開を指揮するのは遠藤の仕事ではないか。

 まずはガンバで完璧な将軍振りを見せて欲しい。



 失点場面の川口のポジショニング。直前のファインプレイが印象的だったので、一層落差を感じた。昔から川口は敵の攻撃を決め打ちをしてしまい、この手のミスを時々してしまう。もうよい年齢なのだから、そろそろこの手のミスは勘弁して欲しいのだが。

 もっとも、この自己顕示欲の強さが、ヨルダンとのPK戦での神技にもつながる訳で、なかなか難しいところ。(不在の中田を除けば)現在の代表選手で8年前の予選を経験した唯一の存在であり、「経験」を期待される存在ではある。一方でGKとしてはまだ発展途上の年齢でもある。

 Jリーグに復帰し、約4年振りにリーグ戦でフル出場が可能な環境に身をおける。北朝鮮戦で見せた明暗を含め、日本のゴールキーパ史の最高峰を目指して欲しいところだ。



 福西の不振は心配だ。前半30分のミスは論外だし、決定機を再三外した。考え過ぎかもしれないが、約1ヶ月前の天皇杯決勝での決定的なミスを含め、小野(あるいは遠藤)の横でプレイする選手に一番要求される守備能力が落ちているのではないか。これは深刻な問題に思える。福西については「経験」云々では無く、「能力」の問題に想える。

 ここのポジションは、稲本、中田浩の他、阿部もいるし、今野、明神と言ったタレントもいる。中田をここに使う手もある。「得点力」と言う福西の魅力は間違いないが、この日の調子では代表チームに呼ばれる事も難しくなるのではないか。

 まずは、ジュビロで猛威を振るい、私の懸念を吹き飛ばして欲しい。

 

 イラン戦、バーレーン戦の前に、各選手は自分のクラブで、まずはJの開幕を迎える。このタフな極上のエンタティンメントにおいて積まれた経験により、各選手が一段上がったプレイを見せてくれる事を期待したい。ところで、ジーコ氏はJの開幕には来日するのだろうか、まさか欧州合宿で合流なんて。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(12) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月12日

北朝鮮戦を振り返って −その3−

 いくつかまだ述べていなかった感想を。



 1年前に同じスタジアムでオマーン相手に七転八倒し、ロスタイムで突き放した試合。同じロスタイムの歓喜でも随分違った。1年前は、全く動かない選手が起用されていたし(後から高熱のため、「動かない」ではなく「動けない」だった事が判明したが)、直前に帰国した選手たちは相互に何をしたいか理解できていなかったし、本当に無様な試合だった。つまりチームになっていなかったのだ。

 しかし、この北朝鮮戦は違った。確かに試合半ばにバタバタしてペースを握られ同点を許したのは拙かった、不適切な判断を再三再四行った選手もいた、決定機にことごとく枠を外した選手もいた、しかしこの北朝鮮戦はいずれの選手もギリギリまで頑張ったし、相互の連携(それも事前約束系のものも、即興系のものも、どちらも見られた)も、見る事ができた。そして、終盤の猛攻は空回りや思慮不足も若干感じられたが、選手1人1人が創意工夫し戦う姿勢もひしひしと伝わってきた。不満は多いが(いや、不満を抱く事に快感を味わっている事も否定しませんが)、選手たちは存分に戦ってくれた。

 だったら、我々は応援するしかないではないか。



 最後の決勝ゴールは、敵GKのミスから。

 同点となってから、あれだけ押し込んで再三好機を掴めば、いつかは入る。大黒の決勝ゴールにしても、GKのパンチミスは確かだが、あのロスタイム北朝鮮守備陣は相当疲労していた。その疲労はそこまでの90分間で、日本が手換え品換えして押し込んだが故の賜物。堂々たる決勝ゴールである。昨日も述べたが、あれだけ押し込んで、あれだけ好機を掴めばいつかは崩れる。たまたま崩し切った場面は、敵GKのミスからだったと言う事だ。

 この決勝ゴールは「幸運」ではない、「必然」だったのだ。



 一方で、ジーコ氏の「無思想」振りは相変わらずだったのもまた事実。早速試合終了翌日に帰国されたのはさておき(と言うか、もう評論のしようがない)、アレックス、福西の2人があそこまで酷いのに、修正できなかった事は歴然。先日からかったが舌禍振りもいつもの事。

 けれども、この勝負強さは何なのだろうか。あれだけの猛攻、日本に決勝点が入る事自体は不思議ではない。しかし、どうしてロスタイムになるまで入らないのだろうか、逆にロスタイムになると入るのだろうか。これを悪運とか偶然で片付けてしまっては、思考停止に陥ってしまう。何か、何か、ジーコのひみつがあるのだ。最近本件の探索が中断しているが、改めてこの何度目かの「ロスタイムの歓喜」を切り口に、考察を進めていこうと想っている。もう少し時間下さい。
posted by 武藤文雄 at 23:35| Comment(8) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年02月11日

北朝鮮戦を振り返って −その2−

 2月10日の続きです。実はこの3連休の間、温泉で休養しておりまして、更新できないでいました。



 皮肉な事に、同点になれば、ジーコ氏も采配で悩む必要がなくなる。点を取らなければならないのだから、当然のように高原と中村を投入。シリア戦で準備済みの4−4−2へ切替える。ところで、この交替の時間差の理由はいくら考えてもわからない。戦っている選手の多くは、同点にするために「中村」の投入を期待していたと想うので、あまり巧い順番ではなかったのではないか。

 ともあれ、冴え渡る中村が見事にボールを引き出し、抜群のキープ力で好機を演出。あのバタバタしていた日本が、中村がいるだけで落ち着く。しかも、敵DFが引いている状況ゆえ、無理に長いボールを使わず、丹念なドリブルと短いつなぎでゲームを作る芸の細かさ。想うようにボールが来なくてもがいていた小笠原の動きも再活性化。そして猛攻。



 この猛攻と北朝鮮の必死の守備は、まさに最高のエンタティンメント。もはや味わえないかと懸念していた(笑)胃の痛みを存分に味わう事ができた。

 玉田の突破から高原が抜け出す。逆サイドの中村がフリーにも関わらず、高原は強引な切返しからシュートを狙いブロックされる。中村は不満そうだが、高原はストライカなのだ、狙うのはOKだろう。次は頼むぞ。まだまだ時間はたっぷりある。

 中村の巧技からアレックスがフリーとなり絶妙なクロスを高原に合わせた場面は完璧だったが入らない。よし、いよいよ崩れ始めた。

 続いて、中村のFKからのこぼれ球を拾ったアレックスが落ち着き払って狙うがGKが好捕。う〜ん、まあいいや。揺さ振り続け敵の疲労を誘うのだ。

 中村、遠藤と流れるようなパス交換で、左から右に高速展開、加地のクロスのこぼれ球から、高原が無人のゴールを狙うがミスキック。ん、ここまで決定機を活かせないとまずいな。いや、大丈夫だ。

 またも中村のFKから混戦。左サイド全くフリーの福西が、クロスなのかシュートなのか中途半端なキック、ボールは弱々しく逆サイドに流れ逸機。このあたりから、あの懐かしい「ビリビリ感」が。ああ、胃が痛い。何と言う快感だろうか。

 それにしても、シュートを打つ巡り合せがことごとく、高原と福西とアレックスに行く。そして、3人が次々にシュートを外しまくる(どうでもいいが、この3人のシュートは1回も枠に飛ばなかったな)。頼む、他の選手に決定機が訪れてくれ。



 敵クリアを驚異的な反応と判断で中村がボレーで落としたのを受けて抜け出しかけた大黒の突破(中村は大黒の特長を知っていたのか、大黒は中村のプレイイングディスタンスを理解していたのか)。中村のキープから抜け出した小笠原の左足のミドル(横に芸術家がいる時、小笠原は一層輝くのだ!)。この2つは「決まった」と確信したのだけれども入らない。この2つの決定機の合間には、金永峻の直接FKが川口を襲ったりして、恐怖感も堪能。このあたりから、胃の痛みに加え、心臓の鼓動も聞こえてくる。熱烈な応援により、酸素が足りない。



 それにしても、この苦しい状況にも関わらず、安易なロングボールに頼らず外からの攻撃を中心に組み立てた中村と小笠原の冷静さは実に見事。

 そして、決勝ゴール。小笠原のクロスはGKとDFの間を狙ういやらしいボール、こぼれたところをこの日何度となくミスを繰り返した福西が落ち着いてつなぎ、そして大黒!!!!!!!

 ゴール前の位置取りが巧く、小さいスペースでシュートに持ち込める大黒の投入は、この苦しい時間帯では妥当だったのだろう。でもねえ「ここで使うならばもっと前から試しておけよ」と想いつつ、絶叫していたのだ。ここは北朝鮮サイドに大黒の存在を隠すためのジーコ氏の謀略が当たったと語っておこう(笑)。

 とは言え、この大黒の反転振りにゲルト・ミュラーを想い出したのは私だけだろうか。

 

 リードした後の1分間の日本には大きな不満。

 (フリーで抜け出して、不要な切返しで敵にボールをプレゼントしたアレックスは論外として)チーム全体がしっかりとボールを回して時計を進めればよいのに、中村を含めて何か落ち着きの無い展開となった。



 ともあれ、試合終了。

 小笠原の一撃に熱狂し、オロオロする敵を押し込まない判断の悪さに切歯扼腕し、落ち着けばよい場面で攻め合いする若さに苛立ち、見事な攻撃と川口の軽率さに天を仰ぎ、その後の猛攻と枠に飛ばないシュートに引きつり、最後の最後に歓喜した。

 私は麻薬中毒者なのだ、これを最高の試合と言わずして何としよう。
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2005年02月10日

北朝鮮戦を振り返って −その1−

 昨日の試合は面白いもので、大きく3つの時間帯に分けられる。前半30分まで、前半30分過ぎから後半の失点まで、そして後半の失点以降。



 まず前半、いきなりの小笠原の一発で幕を開ける。

 この一撃は先方には相当ショッキングだった模様、GKにせよDFにせよ、オロオロしているのがよくわかった。もし、ここで畳み掛ける事ができたら、あんな快感を味わう事はできなかったと言う事になる。

 畳み掛けられなかった理由は2点。1つ目、日本も相当慎重に戦ったから。おそらく、ジーコ氏は前半は慎重に戦う指示をしていたのだろう(いや、ジーコ氏以外の人の判断、指示かもしれないが)。そして、鮮やかな先制、動揺する敵、と言う状況は想定外だったらしく、無理に前に行かなかったと言う事か。ここで中田でも小野でもいれば、一気に前掛りを狙い前半で勝負をつけてしまったかもしれない。2つ目、アレックスの不振。北朝鮮がメンバ交替で修正するまでは、日本のドイスボランチを巧く捉まえる事ができず、再三遠藤と小笠原が両翼に展開。加地は強引な前進を狙い好機を演出したが、アレックスはボールをもらう位置が悪いのみならず、再三のミスパスでリズムを崩した。アレックスのミスパスは技術の問題ではなく判断の問題、言い換えると下手だからではなくて頭が悪いから。アレックスがもう少し丁寧に考えたプレイをしていれば、状況は相当変わっていただろう。

 とは言え、ここまでは北朝鮮が腰が引けているのに対し、日本が慎重に構える展開。いささか日本は消極的だったが、大事なタイトルマッチ、丁寧にボールを回し敵を疲労させ追加点を狙うと言う展開だった。



 ところが前半30分頃から状況は変わり始める。北朝鮮は負傷気味と言うエース格の金映水を投入。そしてその直後、福西が信じ難いミス。自陣やや左寄り(以降、左右は全て日本から見て)で軽率にボールを奪われかけ、さらに競り合いにも肩の入れ方が甘く振り切られ、敵に好機を許す。この福西のプレイは、この重要な試合には考えられないミス。

 面白いもので、このあたりから北朝鮮が積極的に押し上げ始め、何度か好機をつかまれる。洪映早に中澤が振り切られかける(この選手の一発の速さには驚き、J各クラブは狙い目ではないか、しかしエメルソンすら押さえ込む中澤が苦戦したのはどう言う事か)。右サイドからのクロスに、アレックスが左から進出した李漢宰をマークせずヘディングを許す(中澤の素晴らしい判断で、かろうじてフリーにさせず)。エースの投入と決定機の獲得が、チームに自信を植え付けたのだろう。

 しかし、敵が出てくれば日本も裏を取れる。玉田が再三裏を狙い、加地が何度も倒される。遠藤の見事なインタセプトからアレックスがフリーになり強シュート。小笠原のセットプレイが何度となくゴールを襲う。しかし、突き放せず前半終了。

 後半立ち上がりも同様に攻め合いとなる。後半開始早々にはアレックスのクロスから2度ほど好機を掴む。そして、昨日も述べたFKからの北朝鮮の決定機(川口好捕、それにしてもこの判定は全くわからない、今日VTRを見直したが田中誠のスライディングはボールを捉えていたし、後方では無く横からのタックルだった)。そして、この時間帯から攻め合いがさらに顕著になる。

 ここまで落ち着かなくなると、リードしていてホームグラウンドで格上(のはず)の日本にとっては望ましくない状況。何とか試合を落ち着けたいところとなる。

 昨日も述べたが、まだ遠藤にはそこまでは荷が重かったと言う事だろう。また、玉田ももう少し落ち着いて突破を狙って欲しかった。審判の偏向振りは前半で明らかだったのだから、そこまで織り込んだプレイができるはずだ。さらに福西の運動量が少なく、攻め込んでも2次攻撃が薄くなる。

 となると、選手交替と言う事になるのだが、元々ジーコ氏はスコア的に優位に立っている時は、「動かない」と決まっている(笑)。しかも、替えるとしたら不振のアレックス(もっともジーコ氏はどんなに酷くてもアレックスは替えないだろうが)か福西だが、ベンチの切り札である中村と高原を、リードしている時間帯にこの2人と替える訳にはいかないし。

 そして失点。
posted by 武藤文雄 at 23:03| Comment(16) | TrackBack(2) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする