2004年06月07日

今度は大丈夫なのだろうけれども

 2日後に迫ったインド戦。

 オマーン戦、シンガポール戦でのいい加減としか思えない準備と、思考拒絶としているのかと言うメンバ選考とは対照的に、今回はしっかりと合宿をこなしているようでやれやれ。今日は、高校生と練習試合をして大勝したとの事。いくら何でも、今度こそスッキリ勝ちを収めてくれるだろうと期待は高まる。

 インドには大変失礼な物言いとなるが、明後日はリアリズムの観点からも大勝が望まれる試合なのだ。おそらく、1次予選でのライバルとなろうオマーンが、インドのホームで4点差の大勝をしているのだから、当方もこのホームゲームで大量点を奪い、得失点差を優位にする必要がある。

 そのような観点からは、ジーコ氏には「油断する事なく、準備怠りなく」と伝えたいが、どうにもメンバ構成には疑問がいくつか。



 中田浩二の招集は納得。長きの負傷に苦しんだタレントがようやく復活。稲本負傷とあらば、ここは呼び戻すべきだろう。小野とはユース以来の僚友で、トルシェ氏時代は2人で左サイドを固めた。遠藤よりは、小野のスタイルと合う可能性が高い。いざとなればDFでも使えるし、アレックスの替わりも務まる(もっとも、ジーコ氏はアレックスは何があっても替えない主義らしいが)。ジーコジャパンにおいては、昨年5月の東京での韓国戦、動けない稲本と動かないアレックスと2枚穴が開いたMFで、献身的に日本を支えたプレイは今も目に焼きついて離れない(その偉大な貢献者に対する、アルゼンチン戦以降のジーコ氏の仕打ちも不愉快極まりなくて忘れられないが)。

 最大の不安は久保のバックアップ。負傷がちとの事だが、高校生相手の試合に出場できるのだから、スタメンから行けるのだろう。ただ、試合中に壊れた時が問題。もちろん、鈴木はFWの控えとしては問題ないが、ストライカの控えとしては不安が残る。と言って本山では線が細過ぎる。2人共ストライカと言うよりはチャンスメーカなのだ。と言う事で、ここは大久保をメンバに入れておくべきだったのではないかと思うのだ。未だA代表では点を取ってはいない大久保だが、先日のマリ戦を見てもこの男は得点する雰囲気を感じさせてくれる。そして、玉田はさておき、鈴木からはその匂いが感じられないのだ(現状の柳沢は論外とした)。

 今更言っても詮無き事だが、両翼の人材不足も嘆かわしい。これと言うのも、ジーコ氏が朱印状をごく限られた人材(それも、必ずしも決定的でない人材)にしか提供して来なかったから。左サイドは特別枠なのだろうから、もはやどうこう言わない(言うのに疲れた)が、右サイドは西が離脱したのだから、バックアップを考えてもいいはず。具体的には石川を呼び戻せばよかった。もちろん、藤田が完調ならば、問題はないのだが。



 と、不安を色々述べたが、今度は大丈夫だろう。熱が出ていて動けない選手を起用したり、飛行機での長距離移動でヘトヘトの選手たちを複数同時起用するなどの、思考停止采配は見なくて済むのだろうから。スッキリと大量点での勝利を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:20| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月06日

ワールドカップ予選、大番狂わせ

 ワールドカップ予選のオセアニア地区で、大番狂わせ。ニュージーランドが2次予選で敗退してしまった。2次予選は豪州で6チームがセントラル方式のリーグ戦を行い、上位2チームがホーム&アウェイの3次予選を行う方式(その3次予選に勝ち残ってなお、南米チームとのプレイオフと言うのだから、ワールドカップへの道は遠い)。常識的に考えて、豪州とニュージーランドの2国が順当に3次予選に残るものと予想された。ところが、この時点でニュージーランドが敗退してしまい、ソロモン諸島が勝ち抜いたのだ。

星勘定は試合結果星取表ご参照。ニュージーランドは、ソロモン諸島に3−0で勝ち、タヒチに10点差をつけ得失点差でも優位に立ちながら、(タヒチにも敗れた)バヌアツに2−4で敗れたのが痛恨。それでも、最終戦で豪州がソロモン諸島を破ればニュージーランドが2位となれたのだが、豪州はベストメンバを組まず、退場者も出たようで、2−2の引き分けに終わり、万事休す。そもそも、3次予選を見据えたら、最終戦で豪州が頑張る道理はないわな。もっとも、豪州はこれで極めてぬるい3次予選を戦う事になりそうで、南米とのプレイオフは相当厳しいものになるように思える。ビドゥカとキューエルが元気なうちに、1度は本選復帰を狙いたいところだと思うのだが。

 ニュージーランドと言えば、ちょうど1年前コンフェデで戦い、中田、中村の大活躍で完勝したのが記憶に新しい。創造的とは言い難いが、頑健で鍛えられたチームだった。

 先日韓国がモルジブに引き分けたのもビックリだったが、今回のニュージーランドは完全な予選落ちだからインパクトはより強い。いやあ、予選と言うのは本当に恐ろしいものなのだな、と改めて感じ入った。



 と言う事で、「9日のインド戦は油断なく」と言う大変月並みな話につながるのだが。考えてみれば、ニュージーランドは82年のワールドカップに堂々と出場し、ジーコを軸にしたブラジルに0−4で敗れたのだったな(ニュージーランドの関係者はこの敗戦を「誇りに思う」と言っていたが、確かに大健闘だった)。などと、本質には全く関係ない記憶を呼び戻しつつ、気持ちは3日後の埼玉に向かうのであった。

 頼むぞ、久保。
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2004年06月03日

アジアカップと五輪

 トルコ選抜戦と言い、マリ五輪戦と言い、大変面白い試合だった。先方は先方でいずれも相当戦闘能力が高かったし、当方は当方で選手達が生き残りを賭けて必死だったし。そして、この強化試合シリーズを終え、来週には組み合わせ抽選。そしていよいよ、オーバエージを含めた最終メンバ選考が近づいてきた。



 今回の五輪の特徴は、オーバエージを含めた選考メンバは直前のアジアカップに出場できない事。常識的にはアジアカップ最優先でメンバを組めばよいのだが、ジーコ氏が五輪優先を許諾する発言をするものだから、事態は混迷してきている。しかし、私はアジアカップ最優先でメンバを組むべきだと思う。理由は

@アジアカップは日本代表が目指す事ができるワールドカップに次ぐタイトルマッチ(コンフェデのような怪しいタイトルマッチ、コパアメリカのような他大陸からの招待タイトルマッチを除く)

A(以前よりジーコ氏が言い訳のように唱えているが)アジアカップは、ある程度の期間代表選手を集中的に強化可能なので、ドイツ五輪に向けてチームの軸線を固めるよい機会となる

などが挙げられるからだ。

 なるほど五輪の方がマスコミ受けするタイトルマッチだろうが、サッカーとしての本質的なタイトルマッチはアジアカップにある事は間違いないのだから。

 したがって、最近一部報道で取り沙汰されているA代表の大黒柱の小野を、オーバエージとして五輪に選考するような事はやめた方がよい。アジアカップは今回の欧州遠征のメンバに中田を加え、楢崎、中澤、小野、中田、久保、と縦のラインをガッチリ固めて優勝を狙うべきである。U23には相当数のA代表昇格候補がひしめくが、アジアカップはU23の参入前のメンバの総ざらえの意味を持たせる事も可能になる。



 一方の五輪メンバだが、アジアカップ優先としても、巧くOAを選べば、存分にメダルを狙えると思う。OA選手については以前述べた通り、川口、服部公太、小笠原。そして残りメンバは、黒河、闘莉王、那須、徳永、北本、今野、啓太、阿部、駒野、石川、松井、大久保、達也、平山、高松、と言ったところか。控えGKは色々迷ったが、Jの出場経験が多い黒河に期待したい。センタバックも、茂庭は愉しい選手(マリ戦での転倒など絶品、受けようとしてやっても、あそこまで面白い演劇はなかなか難しい)だが、北本の守備能力を選択。左は公太に任せ、バックアップは駒野だから、森崎浩は涙を飲んでもらった。坂田は素晴らしいFWだが、同じ小柄なFWに大久保と達也がいる以上、よほど超人的な活躍をしないと難しい。



 これだけ強いチームを複数持てるのだから、本当によい時代になったものだ。
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2004年06月02日

まだベルドンしません

 最初にお断りしておくが、私はしつこいと言われようが、ジーコ氏は退任すべきと言う考えは変わっていない。理由はチェコ戦後に述べた通りで、ジーコ氏率いる日本代表は過去何度かよい試合をしたにも関わらず、肝心のオマーン戦のみならずシンガポール戦まで無様な出来だった事、その際のメンバ選考が余りに「思考を拒絶したもの」であり「真剣に監督に取り組んでいるのか」疑わしいものだった事、があるからだ。つまり、よい試合を見せられても、また酷い試合を見せられるのではないか、と言う不安を感じずにはいられないからだ。

 おそらく、アジアカップで内容も結果も良好で、ワールドカップ1次予選の残り試合を納得できるメンバ選考でキッチリと勝ち、2次予選と本大会へのチームの軸線が確立するまでは同じ事を言い続けるだろう。



 そのような偏屈なジーコ氏嫌いではあるが、前回と今回の欧州遠征が(稲本の悲運を除いては)大変実りあるもので、日本代表史に残るものだった事は断言できる。具体的には、長きに渡り(そして将来を含めて)代表の中核だった(であろう)中田が負傷欠場したにも関わらず、小野、久保と言う日本サッカー史に残る2大タレントを中心に、欧州の列強−チェコとイングランド−と見事な戦いを演じたのだから。

 小野はイングランド戦で41試合目のA代表試合だがチェコ戦以降ほど君臨も統治も行った事はなかった。久保も24試合目だが、このシリーズほど圧倒的な得点能力を見せ付けた事はなかった。そして、何のかの言って、この2人が適切に働けるように、他の9人を並べて、相応の試合を演出したのは、間違いなくジーコ氏だ(個人的にはその並べ方はまだベストにほど遠いとは思うが)。遅まきながら、ドイツ大会ベスト8以上を目指すチームが軌道に乗り始めたのだ。



 このイングランド戦については、スタメンの選考、各選手のタスク(特に昨日愚痴を述べた稲本の位置取りやアレックスの動きが、アイスランド戦よりは改善されていた、あくまでも比較級ではあるが)などジーコ采配は納得できるものだった。特に感心したのは交替劇。

 人間贅沢なもので、後半同点に追いついて、なお押し気味の展開を見せられると、一気に逆転しアウェイでの歓喜を期待したくなるものだ。私は久保と玉田の交替の瞬間には一瞬「何故だ」と不満を持った。しかし、後から冷静に考えてみれば、これはジーコ氏が正解。この世界屈指の強豪に敵地で同点の試合をしている訳で、しかも1週後にワールドカップ予選を控えているのだから、負傷気味のレギュラ2トップの交替は妥当。ここで、がんばりの利く鈴木の起用で守備を強化するのは適切だし、不振を極める柳沢をインド戦前にもう1回試すのもまあ仕方がないだろう(このテストは「柳沢NG」と言う結果となったが)。

 さらに稲本の悲劇の直後、ほんの僅かな時間だが、福西を起用したのも、ちょっと驚き。今までのジーコ氏だったら、ステレオタイプに「ボランチ3番手」の遠藤を起用していただろうが。

 交替劇以外でも、不振の中村をしつこく起用し、(まだまだ魔術師度は物足りないが)得点に絡む活躍をさせて自信を回復させるのに成功したのも評価される。加えて、アイスランド戦にしても、後半は全く異なるやり方でのテストも実施し、なお勝利を収めたのも大したものだ。

 まあ、偏屈男としては「何だ、(やる気になれば)やれるんじゃないか」と一言つくのではあるが。



 なお蛇足ながら強調しておきたい。私は冒頭に述べた通り、相変わらずジーコ氏退任論者である。しかし、以前から述べているように、「何が起こってもジーコ氏が悪い」と言う理論には賛成しかねる。例えば、「この引き分けはイングランドが手を抜いたからだ」とか「本番?のインド戦前だからイングランド戦はテストに専念すべきだった」とか「稲本の負傷は交替させなかったからだ」とか「使わないなら呼ぶな」とか「トルシェ氏の遺産で戦っている」とか。各論の是非はさておき、このような感情的な反論(「じゃあ、お前はどうなんだ」と言われるかもしれないが(笑))は、かえって議論をおかしくすると思う。イングランドは十分強かったし、イングランドとやるからにはできれば勝ちたいし、中心選手の稲本は可能ならば最後まで引っ張りたいし、単独チームには悪いが2試合する遠征には2チーム分相当の選手はできれば召集したいし、今の日本サッカーの繁栄はトルシェ氏1人の功績ではない。



 それにしても、美しい得点だった。中村がフリーになる前の稲本、久保、加地の高速パスワーク、中村が久々に見せてくれたスルーパス。使い手が冴えていれば有効なアレックスの前進、久保の陽動動作、そして小野!!!

 まあ、悲嘆にくれているイングランドの関係者の方々には、「あれだけの得点を奪われるのも1つの経験だよ、ユーロではあそこまでキレイなパスワークをするチームはそうないだろうからね」と、思い切り不遜な態度を取る事にしようか。
posted by 武藤文雄 at 23:44| Comment(0) | TrackBack(4) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年06月01日

続 日本代表4人の名手への注文

 マリ戦は、本番まで2ヶ月の今、本当によい経験になった好試合だったが、イングランド戦に備えて寝るので、詳細は別途。でも、今野あそこのCKで振り切られちゃいかんぞ。まあ、同点の起点となってので、特別許す。それにしても、松井、大久保、ようやった。



 と言う事で昨日の続き。

 

 そしてアレックス。

 以前少し褒めたが、「世界が自分を中心に回っている錯覚」は悪い事ではない。しかし、一方で自分の能力を客観的に見据える事も必要なのではないか。

 前半左サイドを抜け出しかけた場面で、中央久保がフリーになったにも関わらず、得意の自己満足フェイントモードに入りクロスを上げる機を逸した場面には、本当に失望した。根底から考え違いをしているのだ。チームと言うのは、(現状の日本代表で言えば)久保と小野のようなスーパースターに、いかに力を発揮させるかをまず考えるのが基盤となるはず。子供ではないのだから、自分の役割を認識して欲しい。

 加えて、毎試合見せられる守備時に敵FWと正対しクロスが上がりそうな時に尻を向けて逃げる場面。本来のポジションではないので同情するが、既にサイドバックとして10試合以上A代表試合を経験しているのだから、何とかして欲しい。

 あの2〜3年前の切れ味鋭いドリブルは、もう還ってこないのだろうか。

 

 最後に稲本。

 ある意味でこの選手が最大の問題かもしれない。他の3人は問題がある事は(ジーコ氏以外の)誰にでも明らかだが、稲本の課題は明確には見えてこない事だから。そして、その課題は彼のプレイの根底にも関わるものだけに根が深い。それは以前からも述べている小野との並立問題だ。小野が現状のように所謂ゲームメーカとして機能する以上は、稲本の業務は小野に対する献身であるはず。しかし、現状の稲本からはその姿勢はうかがえない。

 逆にかつての名波のように雑仕事と展開の全てを小野が行い、稲本が傍若無人にフィールドを駆け回ると言う選択肢もあろうが...ただその際は名波の補助をする明神(あるいは今野)が必要に思える。しかし、現状の小野にそこまでの負担を求めるのは時期尚早であろう。。

 稲本は(エネルギー切れしたシンガポール戦は論外として)チェコ戦でも昨日のアイスランド戦でも、いずれでもない中途半端なプレイに終始した。これでは、チームに軸線ができない。代表チームにおける稲本は、当面小野(そして、久保、中田)のための献身に専念すべきである。

 小野たちと、真剣に一度議論すべきではなかろうか(いや、「久保と打ち合わせろ」とは言いませんが)。

 

 以上、偏見に満ちた期待の選手たちへの愚痴を羅列した。別に自分の観点が全て当たっているとまで不遜には思わないが、監督はこのあたりの課題をどう選手と議論しているのだろうか。彼らにどのような働き場を準備して、その能力を発揮させようとしているのだろうか。と、いつもの皮肉で終わるのがやりきれないのだが。

 まあいいや、どのようなメンバで臨むかは不明だが、選手の質は高い。イングランドに一矢報いるのだ!
posted by 武藤文雄 at 21:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月31日

日本代表4人の名手への注文

 シルビーニョの重傷情報が気になるが、これは日を改めて講釈する事として、今日はやはり日本代表を考察したい。昨日は久保と小野を絶賛した訳だが、今日は課題山積の4選手への注文について語ろう。言うまでもなく、柳沢、中村、アレックス、そして稲本である。



 まず柳沢。

 シュートを外した後の、アルカイックスマイルは本当に気をつけたほうがよい。あれだけ見事に挙動を開始し、好機を掴んでいるのだから、本人自身が相当頑張っているのはわかる。しかし、あれだけ見事にシュートを外された後、歯を見せられると、本当に腹が立つのだよ。

 まあ、チュニジア戦ルーマニア戦で、化けたかと思わせておいて、結局シンガポール戦の発熱で、セネガル戦の恐怖感すら抱かせる柳沢に復活したと言う事か。あのチュニジア戦とルーマニア戦が幻だったのだろうか。現在の久保に、あの時の柳沢が組めば、世界のどこにでも通用する2トップにすらなり得ると思うのだが。

 ただし、シュートを外すのは仕様なり天性のものとするとしても、思い切りの悪さにはガッカリ。後半半ばに逆襲からドリブル突破、右サイドフリーの小笠原の方を一度向いてDFを寄せた後、切返しで抜き去る。「おおシュートか、ルーマニア柳沢が帰って来た」とぬか喜びさせておいて、左サイドを走りこんだ(小笠原より体勢の悪い)鈴木にパスした場面は、本当に失望した。

 以前から何回も言っているが、「いいから前に出るのだ!!!」



 次に中村。

 技術が落ちている。昨日も直接FKが全く枠に飛ばなかったし、後方から狙う3〜40mのパスも精度を欠いた。中村と言う選手はボール扱いに対する抜群の自信から冷静にプレイするのが身上。しかし、本人もその自信を失っているのではないか。昨シーズンコンフェデのNZ戦の開始早々抜け出して角度の全くないところから精度とタイミングの絶妙な得点を決めたような、「技術への自信」が失われている。

 この選手には、「やれ守備をしろ」とか「フリーランニングが足りない」とか「ボールをもらう動きに工夫がない」とか、本質的ではない要求をする方々が多い。それらを全ては否定しないが、それ以前の問題として、「ボールを持った時の魔術師度」が落ちているのが問題。昨シーズン比較的好調な時にも述べたが、余計な事は考えず、信じ難い技巧を発揮するのが、何よりも肝要なはず。



 2人の復活を待ちたい。



 アレックスと稲本については、また明日。
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2004年05月30日

アイスランド戦雑感

 わかりやすい試合だった。

 

 まず攻撃。

 前半の2得点はいずれも、圧倒的な小野のパス能力と久保のシュート能力の賜物。これだけ個人能力が高い選手がいれば点は入る。後半のPKを奪った鈴木の突破も小野の好パスからだったし(小野→鈴木ラインと言うと、あのベルギー戦の同点ゴールを思い出し感慨深いが)、敵のグジョンセンと言う選手もなかなかのものだったが、当方は出し手と受け手の2枚いるからね。久保の成長により、日本代表チームは、こと攻撃に関しては、中田、小野、久保と、3人のスーパースターへ有効なサポートをする選手を招集すれば相当に期待できるレベルとなった(インド戦の中田欠場は不可解だが、これについては別な機会に)。ただし、周囲に誰をどう置いてお互いの個性を引き立てるかについて、ジーコ氏は何の回答も生み出していないのは残念だが。



 そして守備。

 2失点とも、セットプレイで宮本が頑健な敵FWに打ち負かされた失点。不思議なのは、あの頑健なワントップ(まともに競り合って中澤が苦戦するくらいの選手だった)にいずれの場面も宮本がつく形になった事。中澤、稲本、久保、福西、鈴木と、頑健さに関しては欧州勢と互角以上に戦える選手がいたのに(彼らはグジョンセン+攻撃参加のDFについていたのだろうか)。

 あの手のボディコンタクトは宮本がもっとも苦手とするものであり、アジアであそこまで頑健な選手はいないだろうからワールドカップ予選と言う意味では問題ないとも言えようが、やはり同じような失点を2発食らうのはまずかろう。



 イングランド戦を中一日に控えるだけに、これ以上チームとしては論評しかねる。

 また、イングランド戦後に「本番」としてインドと戦う訳だが、この2つの対戦国は、サッカーのレベルも、チームコンセプトも全く異なる(考えてみれば、この歴史的に非常に深い関係のある両国だが、サッカーの内容は正反対に異なるのは面白いな、欧州とアジアのレベルという問題を超越して)。したがって、この日のアイスランド戦にせよ、イングランド戦にせよ、チームとしてのテーマが非常に絞りつらく、やるほうも大変だろうが、野次馬の方も論評が難しい。

 ジーコ氏は今回の遠征2試合は、全選手に出場機会を与える考えだとの報道を目にしていた。そのため、私は、アイスランド戦は久保や小野は休養かと予想していたので、2人のスタメンは以外だった。しかし、あれだけ見事な久保の得点を2発見られたのだから、不満を言ってはいけないのだろう。(久保の体調がインド戦でベストであればだが)。おそらく、体調がベストとは言えない久保を、インド戦前に小野と合わせておきたいがために、より楽な相手であるアイスランド戦で起用したと言う事ではないか。

 したがって、久保は欠場するであろうイングランド戦では、個々の選手たちの能力が、いかほどイングランドに通用するかに注目すべきなのだろう。
posted by 武藤文雄 at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月20日

審判の判定

 Jリーグ第10節。審判の判定が勝負を左右したかに見える試合が複数あり、物議をかもしているようだ。中でも、レッズ−ジェフ戦の試合終了間際のPK判定と、グランパス−ヴェルディ戦の直接FK時のオンサイド判定が槍玉に上がっている。

 ところが、この2つの場面は「審判の判定」を酒の肴にする時に、非常に対照的に思えるのだ。この2つの場面について、均等に問題として取り扱うのはおかしいのではなかろうか。

 

 まず前者のレッズの失点。レッズ鈴木啓太がペナルティエリア近傍でPKを提供した場面。映像を見る限り、私にはペナルティエリア外側に思えた。そのような意味ではミスジャッジだと思う。

 しかし、一方であの場面啓太は、明らかにファウルを犯している。それも突破された後で無理に止めに行った意図的なファウルにも見えた。あの煮詰まった試合終了の場面で、ペナルティエリア近傍で見え見えの反則をすれば、主審が見誤った場合(たとえ誤審だとしても)、PKのリスクは大きい。さらにそれがプロフェッショナルファウルと主審が認識すれば、より判定は厳しい方向に振れる可能性が高まる。

 ついでに言えば、自陣左サイドと言うのは対角審判法では主審が離れた位置から見張る事になる場所だけに、このような不運が起こり易い場所である。

 レッズにとっては不運なミスジャッジだと思うが、恨むべきは主審ではなく、まず啓太である。

 さらに余談だが、驚いた事に、啓太は「ペナルティエリア外だったからファウルで止めた」と発言もしているらしい。何と軽率な発言だろうか。真実でも語っていけない事があるのだ。五輪代表の主将を務め、A代表をも狙おうかと言うタレントが、このような軽率な発言をマスコミに掲載されてはいけない。彼への期待は大きいのだ。



 一方のグランパスの失点。三浦アツがFKが直接ゴールネットを揺らした時に、GK楢崎の眼前に飛び込んだウベダがオフサイドポジションいたが、ボールには触らなかったために、「プレイに関与せず」との判断で、得点が認められたもの。選手がオフサイドポジションにいたとしても、その選手がプレイに関与していたかどうかは、主審に最終判断が委ねられる以上、これはミスジャッジと言う言葉は使えない。

 しかし、私にはあの場面、「ウベダがプレイに関与していない」とはとても思えなかった。この「オフサイドポジションの選手のプレイ関与」については、以前にベガルタがそれにより不利な判定を受けた際の愚痴としてまとめた事がある。今回のウベダは、あの時の久保以上にプレイに関与していると思うのだ。あそこで、「ウベダ関与せず」と判断する人間は、サッカーの本質を理解していないのではないか、と非難したくなる。

 繰り返すが、これはミスジャッジではない。しかし、私は主審の判断は間違っていたと思う。グランパスは、ひたすら不運だが、天を恨むしかあるまい。



 かように審判の判定問題は難しい。そして、この2例に限らず、最近のJは審判の判定に関する問題が多数発生している。乱暴にくくれば、その多くは、日本の審判の多くが、杓子定規にルールを適用する事が要因になっているように思える。しかし、アジアのタイトルマッチで日の丸選手達が、敵に蹴られたり押されたりしても審判が反則を取らない時、Jリーグの杓子定規な判定が懐かしくなったりもするものだ。

 とにもかくにもサッカーは難しい。
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2004年05月13日

西方より巨人復活

 アジアチャンピオンズリーグもJリーグも語りたい事は多数あるが、今日はやはりイラクの五輪出場権獲得だろう。サッカー狂としては、このアジア西方の巨人が復活を遂げた事はアジア全体のレベルアップのためには非常に喜ばしい事だと思う。一方で、日本代表のサポータとしては、ドイツ予選で何とも厄介な大敵が登場したものだと頭が痛い。  



 今のアジアでホーム&アウェイのリーグ方式で行われる2次予選で、まともな強化が行われた日本(「まともな強化」が行われていない現状は悩みなのだが)より上位に立つ可能性があるのは、韓国、イランくらいだろう。韓国は永遠の宿敵で、お互い勝ち切るのは困難を極める(ここで「お互い」と言えるようになったのは、ほんのここ10年ほどなのだが)。そして、イランはマハダビキアを筆頭に、爆発的な能力を持つ選手を何人か持つ(ただし、イランは試合運びや安定感に欠けるが)。  

 では他の国はいかがか。サウジは能力の高い選手はいるがアジア内でも守備を固めたサッカーを行うためか、個々の選手の判断能力はそれほど高くなく、日本は滅法相性がよい。かつてのアル・トゥナヤンやアミンのような知的なタレントが最近出ていないのもつらい。中国は、いつでも頑健な選手を選考するためか、勝負どころの見極めがなく、やはり日本は滅法相性がよい(一昨年五輪代表がアジア大会前の練習試合で敗れた時、後半から登場した小柄でスピードのある名手は、今どこにいるのだろう、あのようなタレントが潜在的にいるのだろうに惜しい)。他の中東諸国は、守備が強く勝ちづらいかもしれないが、攻守のバランスや選手の個性を考慮すれば、一発勝負ならさておき、リーグ戦でしてやられる相手とは思えない(先日の五輪予選のホームバーレーン戦やレバノン戦の失点のように、極めて不運な事態が2度も起こっても、最後予選を堂々と突破したのは、この楽観論の1つの証左となろう)。  



 しかし、ここにイラクが復活してきた訳だ。元々、イラクはビルドアップから攻撃的なサッカーをする強国。86年ワールドカップに出場した際も、イランイラク戦争でホームゲームができない状況で、堂々と西アジアの予選を勝ち抜いた。あのドーハの最後のイラク戦、劇的な結末があまりに印象的だったが、後半立ち上がり。まともに攻撃をビルドアップして中盤を完全に制圧されたのは恐ろしかった。「オフト」以降、短い時間帯とは言え、アジアのチームにあそこまで日本が中盤を奪われて押し込まれたのは、あの試合だけではなかろうか。先日の国立での試合でも(日本の出来も無様だったのだが)見事な技巧と戦術能力の片鱗を見せてくれたのも記憶に新しい。  



 今回のイラク五輪チームが、アテネ本大会で経験を積み、適切な強化が継続されれば、ドイツワールドカップ出場の有力候補となるだろう。ワールドカップ予選で、同スタイルのビルドアップ系のチームと虚々実々の戦いを見るのは、娯楽としては最高だが、精神衛生上はよろしくないだろうなと思う。ただ、ドイツ本大会で我々が好成績を収めるためには、そのような経験は大きなプラスにはなるだろう。  

 いずれにせよ、西方の巨人は復活した。アジアのパワーバランスは大きく変化したのである。
posted by 武藤文雄 at 22:08| Comment(0) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月30日

ジーコとFKと壁

 まだチェコ戦前の時点の話。

 先日帰国の飛行機で読んだスポーツ新聞。タダだと思えば手も伸びる(笑)。一面にデカデカと「不満爆発ジーコ、日本は甘い」との見出しが出ていた。「ダメなサッカーをする代表監督をクビにしない日本は甘い」とジーコ氏が語ったのかと一瞬ビックリしたが、もちろんそんな事はなかった。

 どうやら「FKでハンガリーの壁が下がらないのに蹴ってしまった選手(三浦淳の事かな)が甘い」、「東アジア選手権で日本に厳しい判定をするような主審を連れてくる日本協会が甘い」と言う趣旨の事を発言したらしい。

 確かにもっともな話で、このような所謂「マリーシア」は日本のサッカー界の課題だろう。もっとも、あの大久保の退場は妥当な判定だと思うが。

 しかし、そのような甘さを解決する事が、日本代表監督ジーコ氏の仕事ではなかろうか。問題提起するならば素人でもできる。問題を解決するのが玄人なのだ。彼は自分が何をして多額の収入を得ているのかを、正確に自覚しているのだろうか。余談ながら先日感動した素人玄人との大きな差を実例として挙げておこう(笑)。

 

 ただ、このジーコ氏発言で、「氏の自覚問題」以上に面白いと思ったのは「FKと壁の距離問題」だ。氏は「自分だったら壁が規定の距離まで下がるまで、絶対にボールを蹴らなかった」とかおっしゃったらしい。これは昔の事を思い出し、ちょっと意外な印象を持った。

 思い出したのは82年ワールドカップのブラジル−イタリア戦。圧倒的優位が予想された「黄金の4人」がMFを務めるブラジルだったが、イタリアの悪辣極まる守備とこの日大爆発したストライカのパオロ・ロッシの大爆発ハットトリックにより、2−3と敗れた歴史的試合だ。

 この日のイタリアの守備は実に見事で、マンツーマンとゾーンの併用、イタリア独特の敵への粘着、時間稼ぎ、反則技など、ありとあらゆる術策を弄して最強ブラジルを2点に押さえ込んだ(もっともそのブラジルの2得点は、美しさを極めたものだったが)。ジーコをマークしたイタリアのハードマーカのジェンチーレは、今日のサッカーではすぐに退場になるであろうラフプレイを連発。ジーコはシャツを破られながら奮戦したが実らなかった。

 そこでポイントとなったのがゴール前の直接FK。当時ブラジルは、右利きの技巧派ジーコと、左利きのパワーシュータエデルと、2枚の超越キッカーがおり、このイタリア戦までは敵が苦し紛れの反則で止めてきた際に猛威を振るっていた。ところが、このイタリア戦はどうにもFKが決まらなかった事が、ブラジルが涙を飲む主因の1つになった。TVで見る限り、私はイタリアの壁の距離が相当近いように思え、うまうまとジーコはその謀略にはまったのかと思ったのだが。当時は何とも悪辣と言うか知的と言うかのイタリアの守備戦術に感心したものだった。一方であの美しいブラジルの敗戦に、審判技術の何がしかの改善が必要なのではないかとも思ったものだった。

 と、言う事で、あのイタリア戦の壁問題について、マスコミ関係者のどなたか、ジーコ氏に質問してもらえないだろうか。氏が日本にいるうちに。
posted by 武藤文雄 at 22:37| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする