2015年01月12日

アジアカップ2015に向けて

 この正月休みに一生懸命ブラジルワールドカップ総決算の作文を進めた。だいぶまとまってきたのだが、休み中には完成できなかった。高校選手権には、自分がプレイしていた30数年前以来久々に熱狂した。あのマイケルが静学戦で得点を決めてくれた瞬間を思い出すと、今でも目が潤んでくる。等と愉しい日々を過ごしているうちに、アジアカップが開幕してしまった。そして明日は日本対パレスチナ。
 色々書ききれてない事が多々あるのだが、まずはアジアカップの展望について、少し講釈を垂れておこう。

 日本の戦闘能力について、不安は細貝(あるいは田口)の未選考により中盤の守備的選手が長谷部と今野しかいない事と、内田の不在(さらにその交代選考がセンタバックの植田だった事)の2点。しかし、前者については、アギーレ氏が敢えて攻撃的選手を多数選考しているのだから、ここは氏を信頼するのが筋と言うものだろう。後者については、内田のようなトップ選手がいなくなる事そのものは、世界中どのような代表チームでもあり得る事で、そこをカバーできるかどうかがその国のサッカーの実力を示す。
 豪州も韓国もイラクもイランもウズベクも、皆相応に強いだろうが、「我々はそれ以上に強い」と各選手が誇りに満ちた戦いをして最高の結果を持ってきて欲しい。

 毎朝毎夕、駅の売店で見るスポーツ新聞の見出しは「アギーレ八百長」ばかり。
 本件については先日述べた通りで、誰が何を言おうと「推定無罪」がすべて。マスコミがどんなに足を引っ張ろうが、我々はアギーレ氏を支えればよい(もちろん、采配など監督稼業の本質で疑問があれば、アギーレ氏をどんどん批判するのだけれども)。
 期待するのは、日本が着々と勝ち進み、スポーツ新聞の論調が変わって行く事。ナポレオンのエルバ島脱出報道を目の当たりにできるのではないかと。

 元々、アジアカップはワールドカップの隔年に開催されていた。ジーコの2004年までは。ところが、ワールドカップの隔年は五輪とバッティングする事もあり、ワールドカップの翌年開催と変更になり、オシム爺さんの2007年大会からそうなったのは皆様ご存じの通り。この時はまだよかった。ところが、前回のカタールは夏場開催が不可能。だったら、2012年の1月にやればよいのに、2011年の1月に開催してしまった。結果、ワールドカップから僅か半年での開催となった。そして今回の豪州大会も同じ日程。愚の骨頂と言うべきだろう。繰り返すが、どうしても冬季に開催したいならば、何もワールドカップの翌年ではなく、五輪とはぶつからないので隔年に開催すればよい。このような愚行が、アジアのトップレベルのサッカーの強化も金儲けも阻害してしまっている。まあ、アジアサッカー連盟と言うのはそのような団体なのだ。ちょっと考えてくれれば、もっともっと愉しいアジアカップを見られるのだけれども。
 ついでに言えば、豪州サッカー界がラグビー等の競合競技とのバッティングを考慮し、夏季開催を要望した気持ちはわからぬでもない。けれども、日本、豪州、韓国などのアジアのトップ国の中心選手のほとんどが欧州でプレイしているのだから、本当に冬季に開催すべきだったのか。まあ、先方には先方の考えがあるのだろうけれど。
 と言った愚痴を言っても仕方がない。2回続けて、アジアカップはワールドカップの半年後に行われる。戦うしかない。

 散々文句を言ったけれど、4年前のカタール大会は愉しかったよね。カタール戦の退場劇の理不尽。韓国戦の意味不明のPK。アジアの混迷を存分に堪能し、それでも長谷部達は勝ってくれた。いや2006年の中国大会もヨルダンとのPK戦、バーレーン戦の延長の死闘も最高だった。
 当然ながら、今回も同じような感動を期待する事になる。いや、2000年レバノン大会のように堂々と勝ち進んでくれたもよいのだけれども。
 いつもいつも講釈を垂れているが、92年アジア初制覇を含め6回のアジアカップのうち、我々は4回を制覇している。我々はアジアカップに負ける事に慣れていないのだ。うん、このままずっと慣れずに行こうではないか。
posted by 武藤文雄 at 00:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月18日

日本サッカー史に残る不運、細貝萌

 少々後手を踏みましたが、アジアカップ選考メンバについて。

 愉しい話をする前に、アギーレ氏が八百長問題でスペイン検察当局から正式告発された件にも触れておこう。
 重要な事は「推定無罪」。現時点では、氏は告発されたに過ぎない。何も天地がひっくり返った訳ではないのだ。日本協会は、アギーレ氏を守り、アジアカップ連覇を狙う代表チームに最大限のサポートを継続すればよい。そして、「推定無罪」であるアギーレ氏を、しっかりとサポートする姿勢を崩さない事が、日本協会のみならず日本サッカー界の、世界中からの信用確保につながる。
 日本協会の現状の対応は、おおむね妥当だと思う。ただし、国によって法律、運用は異なる。スペイン現地の事情を正確に把握した上で、常に「最新状況」の発表継続をすべきだろう。説明責任は重要なのだ。
 現時点で考慮すべきは、アジアカップ最中の出頭義務(あるいは出頭拒絶がアギーレ氏に非常に不利になる事態)が生じるかどうか。関連報道を読む限りは、そのリスクはほとんどない模様。とすれば、上記説明責任を果たしつつも、現場を守りアジア制覇を淡々と目指せばよい事になる。
 もちろん、「推定無罪」ではなくなる「万が一」への準備は必要だが、これはアジアカップ以降の事。水面下で行っておけばよいのだ。

 と言う事で、愉しい話に戻ります。

 それにしても、細貝の不選考については、さすがに予想だにしていなかった。ブラジルワールドカップに続き、このアジアカップも不選考。ブンデスリーガで安定し格段の活躍を見せてくれる、脂の乗り切った28歳のこのタレント。実力と実績の割に、あまりに代表運がなさ過ぎる。過去の日本サッカー史を振り返っても、ここまで悲運な選手は珍しい。しいて言えば、ジーコ時代の明神智和だろうか。ただし、明神は不運極まりなかったが、ジーコはジーコなのだか「仕方がない」と言う考え方もある。それに対し、細貝の場合は、ザッケローニ氏と言い、アギーレ氏と言い、真っ当な監督である。しかも、両氏とも当たり前に準備試合で細貝を選考し、かつ細貝は良好なプレイを見せている。それでも、2大会とも細貝は選考外になってしまった。繰り返すが、日本代表史上でも屈指の不可思議かつ悲運と呼ぶべきだろう。
 実際、アジアカップ制覇に向けて、本当に細貝抜きで大丈夫なのだろうか。中盤は長谷部、今野、遠藤、柴崎、香川、清武。遠藤爺と柴崎は挙動開始点を後方に置くのは問題ないが、敵をつぶすのは本業ではない。とすれば、長谷部または今野が、負傷あるいは出場停止になった瞬間に、中盤選手選考の間口は非常に狭いものになってしまう。もちろん、森重と長友の中盤起用はあり得るのだろうが。
 さらに言えば、ここまでのアギーレ氏の采配を見てみると、中盤の選手の組み替えで戦い方を切替えようとしていた。先般のセレソン戦で、スタメンを田口、森岡、柴崎と言う冗談のような攻撃的布陣として、終盤には森重、細貝、田口と組み替えたのが典型的な事例である。ところが、中盤で守備にある程度以上の強さを発揮できそうなのは、長谷部と今野の2人だけ。
 細貝の不在に、不安は高まる一方である。

 さらに言えば、ここまで起用される度に、戦術的に非常に高度なプレイを見せていた田口も選考されなかった。私は長谷部、今野、細貝、遠藤、香川、柴崎の6人は決定だが、FWを1人減らして田口を起用するものと思い込んでいた。準備試合で、あそこまでややこしい仕事を要求され、それを的確にこなしていた以上、アギーレ氏にとって、田口は特別な存在と思い込んでしまったのだ。
 正確な技術、狡猾な位置取り、粘り強い守備、効果的な攻撃、これらのすべてを所有する田口泰士。今回の痛恨を、今後にどう活かしてくれるか。

 細貝と田口の不選考、清武と小林悠の選考。
 清武の実績と実力は疑いない。ただ、選ぶならば、もっと早く選考すべきだった。このあたりは、初戦に皆川や坂井を起用したアギーレ氏のミスとしか言いようがない。また、ここで清武を選んだ最大の理由は、不振が続く香川への刺激なのかもしれないが。
 さらに、最前線は岡崎、本田、武藤、トヨクバ、乾とタレントが揃っている中での、ストライカ小林悠選考。準備試合でも明確な活躍ができず、しかもリーグ終盤負傷に悩んだ小林悠。アギーレ氏が、細貝と田口を切っても、選考にこだわった事となる。これはとても愉しみ。アギーレ氏は何らかの意図を持って重要な場面で、この狡猾で知的なストライカを起用したいと思っているのだろう。

 いよいよアジアカップが近づいてきている。
 様々な思惑が錯綜するが、過去のアジアカップの愉しさを思い起こすと、ワクワクしてくる。うん、愉しみだ。
posted by 武藤文雄 at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月20日

遠藤爺不在でも

 正直言って、スタメンを知った時に「今野はどうなるのだ!」と憤りを感じました。今野は宮城県出身力士。残念ながら現時点ではベガルタとは縁がないが、宮城県のサッカー界で青春を送った身としては、やはり今野は特別な存在。「広義には俺の後輩」なのです。あくまでも「広義」にはですが(笑)。
 その今野が、後半から登場し、試合の流れを完全に変えて圧倒的攻勢の要因となったのみならず、得点を決めたのですから痛快な試合となりました。あのコロンビア戦の痛恨のPKの記憶を交えながら。

 日本は豪州に2対02対1で快勝。アジアカップに向けて、上々の試合となった。

 試合展開そのものは各方面で語られている通り。前半、ワンボランチの長谷部の左右を狙われ攻勢を許す。その左右のスペースは、本田と武藤が埋めなければならないが、完全に後手を踏んでしまった。武藤は若さを露呈し絞り過ぎる。本田はさすがに丹念に守るが、ボールを奪ってから無理につなごうとするので、再三ミスパスで豪州の好機を演出してしまった(後半の本田はすばらしかったが、前半の再三のミスパスに触れた報道がないのはどうした事か)。
 もう1つ、豪州のFWが引いて長谷部の左右を使っているのだから、CBが勇気を持って前に出てつぶせばちゃんと守れたはずだ。森重はさすがに対応していたが、麻也はこう言う前に出る守備は本当に苦手。いつもの事だが、腰が引けてしまっていた。麻也とこうやって悩みを共有し戦い続けるのは、それはそれで快感なのですがね。
 それでも決定機をほとんどつかませなかったのは上々だった。長谷部と4人のDFが粘り強く修正を繰り返した賜物だった。ただ、唯一許した決定機場面の酒井高徳の修正遅れはいただけなかったが。終盤、ケーヒルにやられた場面を含め、格守備選手に修正事項は多い。アジアカップ制覇のために、これらの修正はしっかりと行っていきたいものだ。

 アギーレ氏が遠藤を引かせて2ボランチに修正した以降は完全な日本ペース。
 そして、後半遠藤に代えて今野を起用したところで、豪州は抵抗の手段を失ってしまった。ここまでアギーレ氏は、1人ボランチの4-3-3(全くの余談:私の世代には4-1-4-1の方がなじむ、私の若い頃の4-3-3の両ウィングの守備責務は極めて小さいものだったから)を原則とし、中盤の「3」の登場人物を変える事で変化をつけようとしていた。しかし、この試合では戦っている11人は変えずに配置を変えて改善を実施、成果を出した。アギーレ氏が柔軟な間口を持っている人である事が確認された。
 さらに、後半の立ち上がりに、遠藤に代えて今野を起用し、そのまま2ボランチ。まあ4-1-4-1だろうが、4-2-3-1だろうが、試合中の流れで選手達がベンチで絶叫する監督と連携して自在に修正してくれれば問題はない。この日は、悪いなりに帳尻を何とか合わせ、配置修正で立て直し、とどめに選手交代で圧倒したのだから、満足すべきなのろう。

 そして、この日最も重要だったのは、上記した段取りの中で、遠藤爺不在の環境において、岡崎と本田と香川が、それぞれの職務を全うした事にある。
 遠藤爺に代えて今野を入れれば、中盤のプレスがより厳しくなるが、後方から出るパスの精度とタイミングの質が落ちるのは当然の事。その状況で、香川は中盤の将軍として前後左右自由に展開を重ねた。そして、香川の演出の下、岡崎は得点を、本田は突破とラストパスを、それぞれ狙い続けた。ホンジュラス戦での彼らの連係がより磨かれた訳だ。繰り返すが、遠藤爺抜きで。うん、すばらしい。

 岡崎、本田、香川。本来であれば5か月前のブラジルで燦然と輝くべきであったこの3人が、豪州で格段に光り輝く。それを、じっくりと堪能できるアジアカップ。うん、よい感じだ。そして、期待が高まれば高まるほど、ブラジルでの記憶が悔しくなる。それがまた愉しい。続きを読む
posted by 武藤文雄 at 01:35| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月16日

香川と本田の役割分担

 この0対6と言うスコアは大事件なはずだ。
 想像してみてください。日本代表が中南米でも欧州でもアフリカでもよいけれど、やや若手主体で遠征。欧州の2番手国あるいは中南米やアフリカのトップ国に、0対6で敗れたとしたら。どんな思いをするでしょうか。そして、どんな騒ぎになると思いますか。昨年、セルビアやベラルーシに敗れただけでも「この世の終わり」と唱えた方もいたが、それどころではないでしょうな(その割に本大会でコロンビアに1対4で完敗すると、「日本は元々弱かった」、「負けて当然」と、同じ人が唱えているように聞こえるのは、気のせいでしょうかね)。
 まあ、さておき。この試合は、ホンジュラスにとっては悲惨な試合となってしまった。日本国内の国際試合ではたまにこのような試合がある。2008年のエジプト戦とか、2009年のチリ戦とか、同じくベルギー戦とか。こういう試合は、敵方の悲嘆度合を想像すると愉しいのだな。ただ、6点差となると珍しい。と、言うより、日本代表が6点差以上つけるような試合は、アジアの公式戦で所謂弱小国と戦うケースくらいかもしれない。そうこう考えると、伝説のメキシコ五輪予選のフィリピン戦の映像が残っていない事を残念に思ったりして(そうは言っても、あの予選の日韓戦の映像も残っていないのですけれどもね)。
 6点差と言いうのは、それほどの大事件だと言う事です。

 で、日本代表について。 
 たとえホンジュラスが若手切替中だとか時差ボケだとか遠征疲労がたまっていたとか多数問題を抱えていたにしても、このクラスの相手に6対0で快勝した事そのものは素晴らしい。凄い大事件だと思う。いや、めでたい。つまらんと言えばつまらなかったけれど。
 と素晴らしかった訳だが、試合の評価そのものは、アジアカップへの準備の有効性から検討すべきだろう。もちろん、その視点からも結構な試合だった。

 この快勝で最も重要なのは、香川を中盤の組立に、本田を前線で突破と得点に、それぞれ役割を明確化しようとするアギーレ氏の構想が奏功した事にある。香川と本田をどのように並立させるべきかと言う問題は結構悩ましい問題だ。さらに、岡崎と言う、動く事で妙味を発揮する決定的ストライカがいるから、話が一層ややこしくなる。
 ザッケローニ氏は、前田をワントップに配し、その後方に右から岡崎、本田、香川と並べる事で見事な攻撃ラインを構成するのに成功した。前田が後方に下がる事で、岡崎の進出スペースを作り、そこに本田のキープ力と、香川の細工がはまり、遠藤の自在な展開を加え変化豊かな攻撃を作る事ができたのだ。ところが、後から登場した柿谷、大迫、そして大久保をどのように組み合わせるかで破綻。ブラジルでは、本田も香川も組立を忘れ、必死に得点を狙ってしまい、攻撃陣がバラバラになってしまった。
 このホンジュラス戦でアギーレ氏は、ジャマイカ戦同様、香川左サイド攻撃MF、本田右ウィング、岡崎CFと言う配置を行った。遠藤や内田の強力な右サイドと合わせ、このやり方が相当機能した。香川の格段の技巧による組立と、本田の強さによる突破がバランスよく機能したのだ。岡崎は得点こそなかったが、先制点は岡崎の鮮やかなニアへの飛び込みからだったし、乾の4点目は敵DFすべてが岡崎に引きつけられたが故のものだった。私は、ベネズエラ戦後に、岡崎を筆頭に多数の好ストライカがいるにもかかわらず、本田を前線に起用しようとするアギーレ氏に疑問を呈した訳だが、また私の先見性のなさが示されたと言う事か。
 内田、岡崎、本田、香川の4人は「欧州チャンピオンズリーグ上位進出は少々厳しいが」と言うクラブの中心選手、と言うよりは大黒柱。日本代表も、当然彼らを軸に戦う事となる。彼ら4人の適正配置を見出した事で、アジアカップの基本準備は整ったと言えるだろう。余談ながら、「大迫と柿谷に対して、ケルンとバーゼルで地位を完全に確立し本当の意味でのストライカに成長する時間を稼ぐ事ができた」とも言えるかもしれない。

 ただ、ブラジル大会出場選手のみの構成で、アジアカップを連覇できるかとなると、常識的には相当難しいはず。この手のタイトルマッチの勝利のためには「新しい戦力」が不可欠なのだ。これは4年後のロシア大会への準備とは別に、アジア大会制覇のためにも、チームの多様性なり、戦闘能力の積み上げなり、と言う視点から非常に重要な事となる。
 ところが、前半で3対0と大差がついてしまい、後半から登場した控え選手には少々気の毒な展開となってしまった。ホンジュラスは劣勢を挽回しようと無理攻めを狙い、一層守備網が混乱してしまっていた。そのため、攻撃陣は歯ごたえのない守備陣と対する事になってしまったからだ。とは言え、試合前に述べたように、アギーレ氏のチームにおける「新しい戦力」に、塩谷、太田、田口、柴崎、武藤の5人に加え、(決して若手ではないが)新たに豊田と乾が加わったのは結構な事だ。
 交代出場選手の中で、田口は敵が混乱している状況を冷静に判断し、よくボールを散らしよいプレイを見せてくれた。田口の台頭は、アジアカップに向けて非常に重要だ。おそらく中盤のスタメンは、細貝(長谷部)、遠藤(柴崎)、香川の組み合わせとなると思う。田口が使えれば、試合終盤リードしてクローズする際に、これを細貝、長谷部、田口と言う編成にするなどのオプションが飛躍的に広がるはずだ。
 さらにロシアに向けても、香川や柴崎を(知的で献身的でそれぞれタイプが異なる)細貝、田口、そして山口蛍が支える中盤は、相変わらず日本のストロングポイントとして機能して行きそうな目途が立ちつつあるのも嬉しい。もちろん、ここに大島や遠藤航や南野が絡んでくるのは当然の期待として。

 最終ラインについて。
 左バックは、アジアカップに関しては、長友の体調がどうなるかで対応が変わる。酒井高徳は相変わらず守備は微妙だが、よく押上げて、遠藤のあの美しい3点目の起点にもなっていた。豪州戦では太田が起用されるのではないかと思われるが、どちらをアギーレ氏が評価するか。もっとも、長友の体調が戻りスタメンを奪回した場合も、サイドバックの控えとして太田と(左右できる)高徳と2枚左をこなせる選手を置いておければ、長友を中盤に押し出すと言うオプションを作れるメリットもある。酒井宏樹はウルグアイ戦の大ミス以降呼ばれなくなってしまったが、元々内田と言う圧倒的存在とポジションがかぶるだけに、少々厳しくなってきたか。
 センタバックについては、元々タレントが不足している事もあり、森重、麻也が中心になるのだろうか。アジアにはドロクバはいないし(あ、ケーヒルはまだいるか)。塩谷はここまでの起用でよくやっているし、昌子はJでかなりのレベルのプレイを見せているだけに、豪州戦で試してほしいところだ。ここのポジションは、20代半ばから格段に向上する中澤のような事例もあり、よい選手に淡々と実力を上げて行ってもらうしかない。ロシアに向けては、五輪代表には好素材が多いようでもあるし、アジアカップ後も愉しみなポジションだ。
 ゴールキーパはよくわからない。先ほど述べたように、アギーレ氏はウルグアイ戦で大ミスをした酒井宏樹があれ以降呼んでいない。一方で、ベネズエラ戦で信じ難いミスをした川島には、今なお定位置を継続して提供している。川島は、自チームでも控えに回る事が多いと聞くが、ここは足技もよく安定感のある西川だと思うのだが(まあ、西川も信じがたい粗相を、先日のベガルタ戦で演じてくれた。しかし一方であれは、「あの西川が!」との表現で語られる事件だった。それに対して、川島のミスの頻度は相当多いように感じているのは私だけだろうか)。
 

 まあ、などと楽観論を語るのは愉しい。アジアカップも決勝だけ予約すれば十分な気がしてきたので、友人達とシドニー旅行を検討し始めたところだ。
 と、ここまで書いてきて、ふと気が付いた。アギーレさんは、今野をどこに使うのだろうか。まさか豪州戦でセンタバックに...?!
posted by 武藤文雄 at 17:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月14日

ホンジュラス戦前夜2014

 明日はホンジュラス戦。考えてみれば、アギーレ氏就任後これで5試合目、見事に中南米勢のみと戦っているのだなと考えると、面白い。あるいは、日本協会のマッチメークの苦労が偲ばれる。まあいいや。

 さて、アギーレ氏の帰国問題も色々議論になっている。そりゃ、日本代表サポータとしてはおもしろくない。また、アジアカップに向けて「選考」される立場の選手達も、モヤモヤを感じるであろう。アジアカップメンバに選ばれるかどうかは、Jでプレイする選手達にとってはオフなり来シーズンに向けての準備を大きく左右するし、欧州でプレイする選手達にとっては自チームを長期離脱するかどうか非常に微妙。現実的に、J組ならば西川、森重、武藤、たぶん柴崎、塩谷あたり、欧州組ならば岡崎、内田、本田、まあ香川、細貝あたりは、当選確実だろうが、それ以外の選手は、落ち着かない気持ちのはず。そう言う折の合宿に、監督不在と言うのは、チーム作りと言う意味では、結構なマイナスだろう。
 ただし、この手の離脱は契約条項で判断されるべきなので、どうこうは言いづらい。ただ、霜田強化担当技術委員長が、もっと明確に説明をしてくれればよかったとは思う。特に契約前からわかっていた了解済みでの事なのか、契約後のアギーレ氏の要望なのか、このあたりは、できるだけ正確な情報開示をする方がよいと思うのだが。代表チームにおいて「広報」の重要性は以前から主張している通り。霜田氏の地味な態度は、前任者とは対照的。まさか、前任者に遠慮しての事とは思わないけれど…

 確かに、アジアカップ前に残り2試合と思うと、細貝不在でどうやって連係を確認するのかとか、乾を呼ぶなら前回シリーズだろうとか、細かな疑問はある。特に細貝不在は、中盤の要不在と言う印象を与えてしまう。まあ、「アギーレ氏の自信の顕れ」とポジティブに評価しておく事にしようか。

 ともあれ、これまでのアギーレ氏の4試合を振り返ると、結構成果が上がっている事も確かなのだ。
 ほとんど代表経験がなかった選手として、塩谷、太田、田口、柴崎、武藤の5人が戦力になり得る事に目途が立ちつつあるからだ(この5人がそれぞれ異なるポジションの選手なのがまた嬉しい)。小林悠の離脱は残念だが、代わりに呼び戻された森岡に再度チャンスが与えられた事になる。また、前回負傷で事態した昌子が機能したら、大変愉快な事になる。
 遠藤、今野、トヨクバと言った呼び戻したベテランを含め、岡崎、内田ら既存のトップスタアが健在の状況で、上記の選手達が計算できるようになってきている。とすらば、ブラジル直前よりも分厚い選手層とも言えるではないか。
 加えて、ライバルとなる豪州(これは来週の手合せが愉しみ)、韓国も、ブラジル大会の様子を見た限りでは、決して状況はよくなかろう。ウズベキスタン、イラン、イラクあたりが気になるが、圧倒的優位とは言わないが、決定的劣勢とも思えない。
 しかも、岡崎がいるから、(多くの国が悩む)得点力も問題はない。

 そうこう考えると、アジアカップもある程度楽観してよいのではないか、と思えてくるではありませんか。「だから、ちゃんと細貝を呼んで、この2連戦はキッチリと勝つ練習をすればよかったのに」と、思わないでもないですが。
 こう言うと「武藤はもう22歳、若くはない」とか、「ベテラン呼び戻しは、若手育成の失敗」とか文句を言う人も多かろう。あるいは逆に「ロシアで好成績を収めればよいのだからベテランを呼び戻すな」とか、「ベテランを呼ぶと言う事は過去4試合の失敗だ」とか不満を述べる人もいるだろう。
 正解はわからない(私は、アギーレ氏の意図をそれなりに理解できているとは思っているが、「それが正しい理解なのか」と言う事を含めて、わからない。
 ただ何となくだが、アジアカップ本大会に入ってから、試行錯誤、紆余曲折しながら、相応に強力なチームが構成される事を期待できるとは、思っている。その最大の理由は、上記してきた人材発掘が、それなりにうまく進んでいるから。
 まずはホンジュラス戦。ある程度は組織的も機能するよい試合を期待したい。
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2014年11月07日

凡人にはつらい議論

 先日も述べたが、アギーレ氏の意表を突く選手選考と選手起用、それはそれで愉しい。

 遠藤爺、今野、長谷部、トヨクバの選考は、アジアカップに本腰を入れると言う視点ではわからなくはない。
 これまでの4試合とその準備合宿である程度の見極めを行い、そこに足りない要素として経験と実績豊富なヴェテランを復帰させる。元々、ワールドカップの半年後にアジアカップをする日程そのものが間違っているのだ。しかし、いくら間違っているとは言え、それに文句を言ってばかりいては、現実に目を背ける事になる。アジアカップは、何があっても優勝を目指す大会だ。そのためには、34歳になる遠藤翁を含め、総動員体制で臨む事に異議はない。そして、その選考は予想の範囲内だった。

 しかし、細貝の不選考と、乾の選考は予想外だった。
 アジアカップの前には、もうこの2試合しかない。遠藤爺らの呼び戻しを含め、レギュラ候補の選手との組み合わせを整理するのが、凡人の考えと言うもの。そう考えると、ここまでの4試合でコンスタントに使われ、チームの中核として機能した細貝の選考は必須と思っていた。特に前回のジャマイカ戦で(凡人が考えるに)チームの中核を担うべき香川が負傷離脱した事もあり、細貝と香川(そして柴崎)の中盤の組み合わせを整理するのは、この2試合の必須事項と思っていたので。その上で、遠藤爺、今野、長谷部を、どう組み合わせるかを検討するのが、(凡人にとっては)常識と言うものと思っていたので。
 FWは、岡崎、本田、そして武藤が軸になるのは、ここまでの試合でわかっていた事。香川の起用法と併せ、比較的潤沢に人材がいるポジションだ。ここに、彼らと個性が異なるトヨクバを選考するのは理解できる。しかし、ここでドイツでプレイする乾を加えるのには驚いた。以前酷評した事があるが、乾は日本代表で確固とした活躍をした実績はない。また、アイントラハト・フランクフルトでも昨シーズンは出場機会が激減していた。長谷部が同じクラブに移籍してきた事もあり、今シーズンは復調気味で起用機会が増えているとは聞いていたが、この状況で呼び戻すべきなのか。呼び戻すならば、もっと前の試合からだったのではないか。
 まあ、メンバを固定させれば、それだけで文句を言う人が多いのですがね。代表監督と言うのは因果な商売で、

 4年前。ザッケローニ氏との契約成立までに時間がかかり、氏に提供できた準備試合はたった2試合、埼玉アルゼンチン戦(感動の勝利)とソウル韓国戦(押し込みながらの引き分け)だけだった(原氏が采配を行ったパラグアイ戦とグアテマラ戦は視察はしてもらえたが)。ザッケローニ氏は、たったこれだけの準備で、アジアチャンピオンになってくれた。まあ、「終わりよければ全てよし」感覚からすれば、ザッケローニ氏と戦ったブラジルワールドカップは残念だったのは確かだ。でも、ザッケローニ氏はアジアチャンピオンの歓喜を提供してくれた。あの短い準備期間で。
 それと比較して、「アギーレ氏には6試合の準備試合を提供できる。ザッケローニ氏よりは、それなりに準備期間を提供できる。」と思っていた。しかし、ここまで前衛的(笑)なテストをしてくるとは。そして、少なくともここまでの4試合の選考と采配。今回の選考。いずれも(しつこいですけれども、凡人にとってはですがね)、アギーレ氏の構想が読めない。全く、理解できない。

 まあ、今回のように呼び戻しを含め招集の度に新しいメンバが選考され、その都度代表監督の意図を推察(いや邪推が正しい日本語だろうか)などしながら、「このオッサンは何を考えているのだ」と悩むのは、とても高級な愉しみなのですが。

 いや、いいんですけどね。アジアカップに優勝し、ワールドカップでベスト8以上に行ってくれれば。
posted by 武藤文雄 at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月17日

おぼろげに見えてきたアギーレ構想

 日本はブラジルに0対4、何とも味わい深い完敗でした。雑感をいくつか。

 スタメンを見た時に「おお、とうとう岡崎が腕章を巻くのか」と、ちょっと興奮した。しかし、腕章を巻いていたのは川島。ちょっとガッカリした。内部事情は知らないし、興味もない。ただ、必ずしも定位置を確保しているとは言えない川島と、完全なエースの岡崎。このあたりの主将の選考は、結構重要だと思うのだけれども。まあ、岡崎びいきの戯言として。

 なるほど、アギーレ氏が狙おうとしているサッカーが、おぼろげに見えてきたように思う。基本的には4-3-3(と言うより4-1-4-1)と選手を並べ、中盤の選手を組み替える事で、様々な戦い方をできるチームを作ろうと言うのだろう。実際ここまでの4試合のスタメンの中盤の3人は
ウルグアイ戦:森重、細貝、田中
ベネズエラ戦:森重、細貝、柴崎
ジャマイカ戦:細貝、柴崎、香川
セレソン戦 :田口、柴崎、森岡
 この4試合を見ても、常にタイプの異なる選手の組み合わせ。ここまでバラバラな事から、ようやくアギーレ氏の意図が忖度可能になってきた。セレソン戦の終盤の「森重、細貝、田口」と言う並びと、スタメンの「田口、柴崎、森岡」を比較するだけで、笑えてくるではないか。
 それにしても、田口、柴崎、森岡である。さすがにこの3人の構成でセレソンと戦おうとしているのには呆れた。3人ともJを代表するトップスタアだが、「これで守備が機能するのだろうか」と心配となる組み合わせ。ところが、田口をアンカーにしてそこそこにはバランスが取れた守備をしてくれた。攻撃時もこの3人らしいパス出しを岡崎が粘り強くキープする事で一応形を作れていた。失点時は、ジエゴ・タルデリが後方に引いた所に付ききれず完璧にやられたが、前半崩された回数はそうは多くなかった。細かな修正や、ボールを持った時の勇気に課題はあったが、これだけ国際試合未経験の選手達がぶっつけの布陣で相応に戦い、岡崎を軸に好機を複数回つかんだのだから、それはそれで評価すべきだろう。あくまでも相対評価ではあるが。
 そして前述した通り、交代を繰り返し、終盤に至り気が付いてみれば、森重、細貝、田口と言う並びになっていた。これはこれで、スタメンとは全く逆で、「どうやって攻めたらよいのだろうか」と心配になる組み合わせ。ところが、これはこれで、それなりに機能した。森重がディフェンススクリーンとして機能し、田口が丁寧に拾い、細貝がよく持ち出し、3人がそれぞれの個性を発揮して、本田、武藤、柿谷につないだのだ。まあ、0対4になってから、この布陣で戦う意味があるのかはさておき。
 やはり残念なのは香川の脳震盪。ジャマイカ戦の起用方法を見ても、中盤の「3」については、アギーレ氏としては香川を軸に考えているのだろう。その香川抜きで、セレソンと対峙する事になったのだから。え、「香川がシンガポールに帯同していても、本田や長友と同様にベンチだったろう」って!

 もちろん、ネイマールに対する守り方に疑問を感じたのは確かだ。前を向かさない事、視野から消えないように見張る事、最初に抜け出そうとする時身体を当てて加速させない事、前を向かれたらファウル覚悟で厳しく行く事、前を向いたネイマールにボールが出ないように厳しく自由を押さえる事。こう言った当たり前の事に厳しさが欠けていた事は否めない。
 ウルグアイ、ベネズエラン戦で凡ミスからの失点が続いた事と合わせ、アギーレ氏がこのあたりを、いかに修正していくのか。これはこれで愉しみにして行きましょう。

 色々な人が文句を言っている、「ジャマイカ戦で経験の浅い選手を試し、セレソンにはベストで戦うべきだったのではないか」について。うん、私もそう思う。
 おそらく、アギーレ氏は、日本のサッカーを過少評価しているのだ。あるいは気が弱いのだ。「就任以降、最初の2試合を1分け1敗で終えた。相当の幸運に恵まれない限り、ブラジルには勝てない。さすがに就任4試合で1勝もできないのはまずい。」と考え、考え得るベストの布陣で、ジャマイカ戦に臨んだのではないか。冴えない試合ではあったが、ジャマイカ戦は無事勝利。そして、その結果、ブラジル戦は経験の浅い選手を並べたテストが可能になった、と言う事ではないか。
 結果、田口、森岡、太田、小林は、日本代表初スタメンを、いきなりセレソン戦で体験できる事になった。森岡と小林には厳しい経験となったが、田口や太田は存在感を発揮できた。今後、このJのトップスタアである4人が代表に定着すれば、おそらくこのセレソン戦は「歴史的トライアル」と記憶に残る試合となるのだろう。そうならなかったら、それはそれ。「歴史的無駄遣い」も愉しいものだ。まあ、ネイマールの美しい4得点は、それはそれで歴史だな。
 いや、休暇をちゃんととって、シンガポールに行けばよかった、と悔しがっているだけです。

 同じフォーメーションで選手を代える事で戦い方を切り替える。大胆に実験(ラボ)を繰り返す。日本を過小評価(あるいは気が弱い)する。うん、懐かしいな。16年振りか。
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2014年10月14日

セレソン戦を前に2014

 ユース代表の日韓戦勝利については別途。本当によく闘った選手諸兄の奮闘に感謝すると共に、(本人たちもよくわかっているだろうが)「次に勝たなければこの勝利は何の意味もなくなってしまう」と言う当たり前の事を書き留めておく。
 今を去る事37年前、金田喜稔、木村和司、山本昌邦らを擁する日本ユース代表は、アジアユース大会準々決勝で韓国と対戦。0対0で延長を終えたPK戦で、GK柳楽雅幸(現台湾女子代表監督)の活躍で韓国を振り切った。しかし、続く準決勝、地元イランと対戦、木村が先制ゴールを決めたものの、PKで同点とされ、終了間際に決勝点を奪われて敗退。FIFA主催の第1回ワールドユースの出場権を逸している。全ては次戦にかかっている。ドーハの悲劇よりは、こっちを引用するのがよいかな、と思って。

 と言う事で、日本代表。
 ジャマイカ戦は何とも微妙な試合となった。
 確かに相応に皆がよかった。岡崎は相変わらず凄い。本田も(あのループシュート外しは感心しなかったが)精力的に戦った。香川は(試合中の接触で脳震盪との事だったが)ボールを持てば好パスを出していた。柴崎はすばらしい展開を演出。武藤は相変わらず強引に持ち出した。細貝は広範囲に動きアンカーとして機能。森重は無難に中央を固めた。塩谷はA代表デビューとしては出色の内容。長友は相変わらず能力の高さを発揮。酒井高徳も(少なくともこの試合ではおバカを見せず)良好なオーバラップを見せた。西川は活躍の機会はほとんどなかったが無難なプレイ。
 しかし、何かスッキリしない内容だった。単にシュートが決まらなかったと言う事だけには思えかった。大体、幾度も好機をつかみながら、中々点が入らないのは日本代表のスタンダード。それは見慣れた光景だ。だから、シュートが入らないからスッキリしなかった、と言う事ではないと思う。

 おそらく、アギーレ氏が「何をしたいのか、わからないから」なのだと思う。

 代表監督の意図を忖度するのはとても愉しい娯楽だ。オフト氏は固定メンバで丁寧に戦い、我々に明確な意図を示し、USAワールドカップに後一歩に迫った。ファルカン氏は、何をしたいかわからないままに去って行った。加茂氏は明言している「やろうとしている事」とピッチ上の具現が異なりながら、よいチームを作ったものの、ワールドカップ予選の重圧につぶれた。フィリップは序盤は「一体何をしたいのか?」と疑問を抱かせながら、任期中途には明確な意図を持ったチームを作り、2002年1次ラウンドを抜けてくれた。ジーコは「何も考えていないのではないか」と思わせながら、実際何も考えていなかった。オシム爺さんは...完成形を見たかった。岡田氏は、1回目、2回目、いずれも、やろうとした事は明らかで、実際本大会で「やれる事はほとんどやり尽くして」くれた。ザッケローニ氏は...これば近々別途述べます。
 ではアギーレ氏は何をしたいのか。今のところ、さっぱりわからない。

 皆川と坂井を起用したウルグアイ戦は、(少なくともアジアカップで優勝するための準備としては)全くの無駄だった。まあ、これもご愛嬌だろう。新任の外国人監督が率いるチームが、己の選考眼に自惚れすぎる事はよくある事だ。
 (ブラジルで日本選手の中で最高級の知性を発揮してくれた)内田の不選考も不思議だ。右サイドバックの候補としては、(先日致命的なミスをしたが)酒井宏樹も、(アギーレ氏選考以降はおバカをしていないが)酒井高徳も、(私から見れば)とてもではないが内田のレベルに到達していない。負傷上がりを考慮しているのだろうか。
 もし選手の現在の状況を考慮して選考しているとしたら、移籍したスペインのクラブで定位置を確保できず苦悩しているハーフナーを、このタイミングで呼んだのもよくわからない。豊富な攻撃陣のタレントを抱えているのだから、大迫や宇佐美を呼ぶのが普通と言うものだろう。

 まあ、アジアカップがワールドカップ直後にある事そのものがおかしいのであって、新任監督に文句を言う事は筋違いなような気もする。雇われている方ではなく、雇っている我々がおかしいのだ。

 そうこう考えながら、セレソンとの戦いに思いをはせる。このタイミングとしては相手が悪いな。手探りをしたい監督と、何のかの言って世界最強国。しかも、先般の失態を取り戻すべく呼ばれたのがドゥンガのオッサン。あまりチーム作りを推察する材料とはなりそうもない。ここは、我らのスタア選手たちが、いかほどの個人能力を見せて対抗してくれるかどうかを愉しみにすべきなのだろうな。
 でも、ザッケローニ氏はいきなりアルゼンチンに...
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2014年09月19日

焦ってはいけないが噛み合わない

 実は先週のベネズエラ戦当日は本業都合で異国に滞在していた。帰国は13日土曜日。つごう4日間、手練手管、創意工夫を駆使して、情報遮断に成功。100時間ほどの遅延映像を堪能した。その後、ベガルタの3連敗やら、見慣れた監督による若手代表チームの快勝と完敗やら、隣国の天才少年の鮮やかな舞いやら、女子代表の隔靴掻痒やらを満喫。それに我が少年団の子供達の奮闘がはさまり、肉体的には疲労困憊なものの、精神的にはバッチリの状態で、本業にいそしんでいる次第。見慣れた監督の1試合目を除くと、ロクな結果ではなかったが、我ながら幸せな人生である。

 と言う事で、今日はベネズエラ戦を軸に、新日本代表の雑感を。

 批判するのは簡単だ。
 少なくともこの2試合に関しては、伝統的な日本のストロングポイントを活かそうとはしてなかった。さらに、強力な前線のタレントを多数並べる工夫はなく、選手層の薄い後方の選手を多用とするやり方。正直、「いかがなものか」とは思う。しかし、新しい武器を作り上げようと言うアギーレ氏に、じっくり期待するのが適切と言うものだろう。と、言いつつ、幾つかイヤミを。

 それにしても前線は豪華だ。
 岡崎のここまでの成長をどう表現したらよいのだろうか。代表での約2試合あたり1得点の高効率は既に語り尽くされていようが、コロンビア戦の芸術的ダイビングヘッドのような得意技に加え、この日の2点目の力強い突破とラストパスの精度。1点目も、岡崎が敵DFにまともにヘディングさせなかった所が起点となった。釜本とも原ともカズとも久保とも異なるストライカとしての輝き。ブンデスリーガの得点王を狙ってほしいのだが。
 大迫の受けの見事さはわかっていた事だが、ベネズエラ戦ではターンも鋭かった。コートジボワール戦にしてもギリシャ戦にしても、大迫は粘り強く丁寧にボールを受け、(おそらくザッケローニ氏の指示通り)本田や香川に的確につないだ。それにも関わらず酷評された大迫はわかっているのだろう。いや、岡崎とブンデスリーガの得点王を争ってくださ...
 柿谷も守備のタスクを丹念にこなしていた。その上で、前線に飛び出して、しっかりと決定機を決めるのがこの男の持ち味なのだが、この日の前半は決め切れず。何かこの男については、つかんだ決定機は全部落ち着いて決めてくれるような錯覚があるから、シュートを決められないと、他の選手以上に悪印象が残るのは、誠に気の毒な事だ。
 ウルグアイ戦抜擢起用された皆川も悪くなかった。先日も講釈を垂れたが、「サンフレッチェの体格も技巧も優れたストライカ」と言うだけで、ワクワクしてきますよね。もちろん、「サンフレッチェの小柄ながら抜群に頭がよく瞬間加速が格段のストライカ」は最高ですけれども。
 もちろん、あのような得点を決めて、さらに柴崎の得点の起点となった武藤がすばらしかったのは言うまでもない。それにしても、同姓の選手を代表で応援できるなんて、これまた幸せ極まりない。もっとも、このように役に立つ武藤選手が登場すると、もう1人いつもいつも私を悩ましてくれる別な武藤選手が、格段に愛おしくなるのですが。2人の武藤を堪能できる我が身の幸せを感じつつ。
 
 ここに香川が加わる。原口も宇佐美も、そして大前もいる。
 それなのに、本田圭祐に腕章を託し、前線に起用するのが適切なのだろうか。本田は素晴らしい選手だが、色々な使い方が可能なはず。元々、身体の向きに課題があり、さらに突破のスピードも格段ではない。上記の通り、ミランと異なり(笑)、前線に幾多の魅力的タレントがいる以上、本田には後方からの展開をお願いする手段もあるやに思うのですが。

 最終ラインはもっと難しい。
 4人のDFを並べ、森重をアンカーに起用し、さらにMFの前目に細貝まで固定する。守備の安定を狙った布陣なのだろう。けれども、残念ながらチーム全体として、堅実な守備とは言えるような組織守備の妙は、ほとんど見受けられなかった。前線から各選手がよくボールを追い、その分で最終ラインの人数優位で相応に守ったのは確かだ。けれども、失点場面以外も結構崩されていた。選手の献身振りが、効率よく組織守備につながらなかったと言う事だな。まあ、たった2試合でどうこう言うのは適切でなかろうが。

 そして、いずれも明確な個人のミスから、2試合で4失点。自チームで定位置確保していない坂井のミスはご愛嬌。選考する方の問題である。しかし、その後の酒井宏樹、水本、川島、それぞれ経験が相応に豊富な選手たちが、有料国際Aマッチであそこまで無様で明確なミスをするのは、何なのだろうか。
 酒井。右サイドバックが左からのクロスを、あそこまで軽率に中にヘッドで返してはいけないのは、基本中の基本。ブンデスリーガで定位置をつかんでいる選手の所業とは思えない。
 水本。先制し、非常によいリズムでボールが回り攻勢を強めていた時間帯。そのような時間帯に、CBがボール回しに絡む際に、無理をする必要は一切なく、丁寧に単純にさばけばよいはず。さらに、ミスを犯した後、長駆した敵FWに必ずしも余裕がないにもかかわらず、強引なスライディングで、みすみすPKを提供してしまう。Jのチャンピオンクラブの大黒柱とは思えない。
 川島。GKを3人選考しながらも、2試合続けて定位置を提供された期待に対して、無自覚としか言いようのない凡庸なミス。
 経験豊富なタレントがあり得ないミスをしてしまったのは、(少なくともこの2試合に関しては)監督が選手達に的確なモチベーションを持たせ損ねたと言う事だろう。もちろん、準備期間がほとんどない状態で、新たな国に突然降り立っての2試合だったのだから、仕方がない。「イヤミは言うけれど、責める気はない」と言うところだな。また、ここ数年わかっていた事ではあるが、今の日本はCBにタレントを欠くと言う現実も、忘れてはいけないのだし。
 監督が変われば、突然守備が改善されるような、錯覚を持ってはいけないのだ。

 ともあれ、ベルマーレサポータの友人は、アギーレ氏を極めて高く評価していた。曰く、「あれは、森重をCBに下げ、アンカーに遠藤航が入るためのやり方だ!」
 だ、そうです。とにかく、決勝でイラクと再戦し、次こそは打ち破るのじゃ。
posted by 武藤文雄 at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月07日

アジアカップに間に合うのか

 コロンビア戦の崩壊の感動が、あまりに大きかった事を言い訳に作文をサボっていました。さすがに、監督が代わり、有料のA国際試合が行われているのに、これではまずいと反省しております。崩壊大感動についても鋭意作文準備中ですが、日々のあれこれも可能な限り、真面目に作文していこうと思います。

 と言う事で、ウルグアイ戦。
 ホームとは言え、先方はワールドカップ本大会から継続してきたチーム、当方は(是非はさておき)既存のチームを大幅に作り替えようとしている現況。ちょっと残念なミスからの2失点だったとは言え、負けた事は仕方がないだろう。また、アギーレ氏がこの試合のようなやり方を継続するかどうかもわからないので、今日の1試合で、どうこう語るべきでもないだろう。
 と言う事で、雑感を並べてみたい。

 パスの名手が起用されなかった。
 中盤の3人。アンカーは本来CBの森重(この日の使われ方はフォアリベロと言う見方もあるかもしれないが)、ボール奪取が長所の細貝(散らすのはうまいが)、後方から飛び出し強いシュートを放てる田中順也。ここ最近の日本代表は名波、中田、俊輔、小野、遠藤、憲剛と言った、精度とタイミングのよいパスを繰り出す事ができる名手が必ずいた。そして、そこが日本のストロングポイントだった。ところが、今日は強いて言えば本田がその系譜に当たるくらい。この日攻めが単調となるきらいがあったのも、こう言ったパスの名手不在のためだったと思う。岡崎がCKを蹴ると言う冗談みたいな光景を幾度も見る事ができたし。終盤の僅かな時間帯だが、森岡が起用されると、ちょっと変化が生まれたように思ったのは私だけか。もちろん、アギーレ氏は森岡も柴崎も選んでいるので、そのようなタレント不要とは思っていないだろうが。

 新しい選手が特長をよく出した。
 40年来の日本代表サポータ経験の中で、全くどのような選手なのかわからなかった代表選手は、今回の坂井が初めてのように思う。もちろん、私が歳をとり、国内のトップリーグを丹念に追いかける事ができなくなっているためかもしれないが、やはり相当なサプライズな事は間違いない。その坂井だが、致命的なミスを犯してしまったが、それ以外の場面では相応のプレイを見せてくれた。ラインコントロールをしながらウルグアイのフィードをしっかりはね返せていたし、選考理由と言われている左足のロングフィードにも積極的だった。また皆川も(いや、「サンフレッチェの技巧もしっかりした大型ストライカ」と聞くだけでワクワクしてくるのですが)、ゴディンに厳しくマークされながらも、よくボールに絡み前線で持ちこたえてくれた。岡崎のクロスに対し、敵CBの間に入ってフリーでヘディングした場面など中々のものだった(決めて欲しかったけれども)。武藤も(同姓の日本代表選手を応援できるとは、何とも言えない感慨)、FC東京で見せてくれている能動的なプレイをよく見せ、思い切りよいシュートをポストに当てた。新しい選手が、皆代表での初戦で堂々とプレイできたのは、Jリーグを頂点とする国内サッカーの質的向上によるものだろう。さらに、アギーレ氏の精神面での指導が適切な事が期待できると言う事かもしれない。

 岡崎と本田。
 冒頭に述べたように、パスで崩せるタレントがいなかった事もあり、攻撃はこの2人の個人技頼りのところがあった。そして、この2人はその期待によく応え、よいプレイを見せてくれた。当たり前と言えば当たり前なのだが。実際、2人共自分のクラブでも好調なプレイ振り。そうこう考えると、ほんの3か月前にこの2人の能力を的確に組み合わせ損ねた事が悔しくてならないのだが。その悔しさは、これからおいおい講釈を垂れていきます。

 アジアカップに間に合うのか。
 ここまで新しい選手、それも経験の浅い選手を多用し、チームを作り変えようとしているのを否定はしない。4年の月日は長いし、新しい選手の開拓はとても重要だ。しかし、4か月後にアジアカップがある事を考えると、「これでよいのか?」と言う気持ちも出てきてしまう。まあ、この手の冷や冷や感は、日本代表の応援で最も愉しい概念とも言えるのだが。いや何せ、「アジアカップで負ける」と言う概念に、我々は慣れていないと言う事なのだが。
posted by 武藤文雄 at 02:06| Comment(9) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする