2004年02月18日

ありがとう久保

 久保が抜け出した瞬間、過去の幾多の試合を思い出した。優位が伝えられたチームが、無様な試合を演じ、苦杯を喫する際に、最後の最後に決定的チャンスを外す事が多い事を。

 ところが、私は間違えていた。久保のトラップが実に正確。私が見ている位置は、オマーンゴールの中心と背番号9を結んだ延長線上だった。久保が落ち着き払ってシュート。ボールのコースは正確無比にサイドネットに向かい、いかにも久保らしい振りの速いキックにGKがタイミングを取り損ねた事も見えた。もはや、遮るものがない事はわかっており、何があってもゴールになる事もわかっていた。しかし、サイドネットにボールが到達するまでは、本当に長かった。開始早々の柳沢のヘディングを好捕され、このロスタイムに至るまでの90分間が、アッと言う間に過ぎていったのとは、対照的だった。



 久保よ、本当に、本当に、本当に、ありがとう。

 

 それにしても酷い試合だった。(体調が悪かったと言う情報もあるが)山田が事実上プレイに参加しておらず、事実上10対11の試合。

 見るからにぶっつけ本番でコンディションが悪い海外から呼び戻したスターたち。海外組以上に運動量に乏しいトレーニングを積んだはずの国内組。上下動の連続がないため、1度ボールコントロールに手間取ると、パスの出し所がなくなり、日本得意の高速パスワークが回らない。

 それでも、個々の選手の技巧と判断能力で、好機を作れるのだから、話はややこしい。しかし、中村のPK失敗以降、選手達に相当なプレッシャがかかったのか、ラストパスとシュートの精度を欠き、決めきれない。

 そのまま、90分間が過ぎ去ろうとしていた時の、久保の一撃だった。

 

 考えてみれば、昨日「イライラを愉しみたい」などと、暴言を吐くから、サッカーの神様のお怒りに触れ、存分に愉しむ羽目に陥ったような気もしてきた。要はバチが当たったのである。それにしても、この90分間のフラストレーションの後の歓喜、もう最高ではないか。厳しい処罰を提供してくれたサッカーの神様に感謝。でも、しつこいと言われようが、それ以上に久保に感謝。
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2004年02月17日

4年サイクルを愉しむ

 細かな不安を書き始めるとキリがない。風邪がはやっているらしいとか、守備的MFの控えがいないとか、本当に明日の先発に使うメンバを発表したのかとか、帰国直後の選手の体調は大丈夫かとか、イラク戦でおかしかった坪井の調子は大丈夫かとか、いつもおかしいアレックスの守備を狙ってくるのだろうなとか、オマーンのエースは来日したのかしないのか、等々...

 まあ、事ここに至っては、グジャグジャ言っても始まるまい。選考された18人のほとんどの個人能力の高さは、日本サッカー史かってないほどのもの。しかも、かなりの選手達も相当な国際経験を積んでいる。選手たちの能力を信じて、明日は必死に応援しよう。



 74年ワールドカップあたりでサッカーにのめり込み、さらに85年の予選で完全に「はまった」以降は、人生を4年サイクルで歩んできた訳だ。そして、前回は予選を取り上げられただけに、今回は久々に予選を満喫できる。しかも、欧州、南米ばりに2年越しのホーム&アウェイが準備されたのだから、素晴らしい。じっくりと2年越しに予選を愉しみし、ドイツに備えたいものだ。もっとも、この「予選堪能モード」の大前提に「当然の予選突破」と言う自惚れがある訳だが。

 そして、「当然」と自惚れる一方で、ワールドカップを愉しむ事とは、思うように進まない自国の強化にイライラする事と同義にすら感じるのだ。

 若いタレントの充実&(性格に若干の問題はあったが)優秀な監督と言う状況が揃った前大会は、確かに相当しっかりした体制での準備が行えた。そして、地元とは言え本大会で素晴らしい成果を収める事ができた。ベルギー戦での怒り、ロシア戦、チュニジア戦の歓喜、トルコ戦の涙など、いずれも感動の想い出だ。しかし、一方で円滑に行われ過ぎた強化には、予選不在の寂しさと合わせて、ちょっと物足りなさも感じたのがホンネ。

 しかし、それより前のワールドカップ(予選)では、監督選考の混乱、準備時間の不足、ワールドカップよりも五輪を重視など、とても満足な準備がなされなかった事が多い。その度に、「もっと巧く強化が行われれば」とイライラを感じていた。しかし、そのイライラ感への愚痴を肴に友と語らい、ホームだろうがアウェイだろうが競技場で必死に応援し、出場に向けて一喜一憂する事そのものが、4年サイクルの愉しみだったのだ。フランスまでは、本当の歓喜を味わう事もなかった訳だが。

 そう考えてみると、今回の予選も「圧倒的強力な人材群」と「いい加減極まりない強化体制」を考慮しつつ、イライラを愉しむ事になるのだろう。



 明日の帰りの埼玉高速鉄道では、そのイライラの全てを忘却した歓喜を感じている事を期待しつつ。
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2004年02月14日

続 それでも私は日本代表を応援する

 精神論を継続する。

 

 8月11日の日記にて、「何があろうとも、私は日本代表を応援する。」と述べた。あの文章は、ナイジェリア戦に向けた、いい加減極まりない選手選考に怒りを感じつつ書いたものだ。

 私はあの時点で、ジーコ氏のダメさ加減にサジを投げていた。しかし、まだ今の精神状態には、ほど遠かった。まだ結果が出ていなかったからだ。

 そして、その後も日本代表は、ゆっくりとしたペースで前進を続ける。ナイジェリア3軍、セネガル、チュニジア、ルーマニア、カメルーンと、試合を重ね、着実にチームメート同士の相互理解が深まったように見えた。特に敵地で、チュニジアに競り勝ち、ルーマニアにも追いついて分けた試合などは、見事なものだった。中国戦の勝ち方など、むこう数年間は何があっても中国には負ける事がないと思わせてくれるくらい差を見せ付けた。

 しかし、香港戦でチームは馬鹿じゃなかった馬脚をあらわす。選手の能力を結合しただけのチームである事が表面化してしまったのだ。中国のように個対個で来てくれれば、各選手の判断能力の差が出せる。しかし、香港のように組織的に徹底して守られ、さらに監督が采配で自滅すると苦しい。韓国戦は、馬鹿大久保と監督の後先考えない采配により、後半は日韓戦史上に残るノーガードの殴り合い、見ている方としては面白かったが、当方にも再三決定機があったが、先方もそうだった事に目をつぶる訳にはいかない。

 そして、先般のイラク戦、選手たちが精神的に全く乗ってない状態では、何もしない監督のチームは実に悲惨な状態になる事を見せ付けてくれた。本当に酷い試合だった。「それでも勝った事を評価できる」と言う論理は間違っていない。しかし、それは圧倒的な戦闘能力差による得点(小笠原のスルーパスをなんと形容してよいのか、あの動けない中村の一仕事をどう表現すればよいのか)なり、楢崎の神がかりによるもの。「評価できる」のは、日本代表のチーム力ではなく、日本サッカー界の総合国力に過ぎない。



 かくも情けない試合を見せられた、多くのサポータが溜息をついているようだ。この週末で、いくつかのWEBサイトを覗いてみたが、脱力感を通り越し、忌避感すら感じられる。これは仕方が無いことだ。あそこまで「考えない」監督、放置する(いや最近再契約を結んだらしいが)協会、そしてイラク戦では最後の砦と思われた選手達の一部が「心のこもった」戦いを演じられなかった。

 しかし、そのように思う方々には大変失礼だが、やはり「若い」と言わざるを得ない。昨年、私は再三(日本代表と同じように愛するチームに対して)述べた事がある。「あきらめた時に負けが決まる」のだ。日本代表の歴史において、今より酷い状態など、いくらでもあった。

 協会首脳や監督を切り替えるのには大変な労力が必要だが、(素材として優秀な)選手に魂を吹き込むのは決して難しい事ではない。



 応援する事である。それも、ひたすら声を上げる事で。
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2004年02月13日

私がジーコ氏を嫌いな理由

2004年2月13日 (金) 私がジーコ氏を嫌いな理由

 さて、昨日は冷静すぎる議論を行ってしまった。あまりに冷たい人間と思われるのもイヤなので、少しは感情的な検討をしてみよう。



 何故、私はジーコ氏が嫌いなのだろうか。

 ジーコ氏への批判には、様々な切り口がある。以前言った事を平気でくつがえす嘘つきだ。ダイレクトプレイを軽視するサッカーは時代遅れだ。アントラーズの選手を身贔屓する(これは実績面から見れば偏見だと思うが)。コーチとしてのトレーニングを積んでいない。チームプレイを教え込む経験がない。目先の事ばかり考えている。具体的な指示ができない。欧州で活躍する選手をいつも呼ぶからその選手達が体調維持に苦労する。メンバを固定しすぎて控え選手が育たない。選手交代が下手だ。酷い出来の選手でもしつこく起用し続ける。思いつきのように守備ラインを総取替えする。出来が悪かった選手でも継続して使う。得失点差の計算ができない、あるいは得失点差と言う概念を理解していない。他にももっとあるかもしれないが、突っ込みどころ満載の監督である。



 しかし、私がジーコ氏を評価しない理由は、もっと違うところにある。それは、明らかに「考えていない」事だ。以前、ジーコ氏とトルシェ氏の相違を論じた(6月24日の日記)時も述べたが、ジーコ氏の采配には、考え抜いたと言う印象があまりに希薄なのだ。

 いくつか具体例を挙げてみたい。

 例えば、藤田の選考。藤田が日本屈指のMFである事は論を待たない。しかし、藤田がジーコ氏に招集されるようになったのは、ユトレヒトに加入後の事である。藤田のプレイの質がユトレヒト加入後に格段によくなったようには思えない。つまり、藤田が招集された理由は「欧州でプレイしているから」と言うだけの理由である。はっきり言って、藤田がオランダに行かなければ、代表には招集されなかった事だろう。

 例えば、コンフェデの交替拒絶劇。あの過酷な連戦下で、選手達を可能な限り消耗させまくった事。「同じ選手達の組み合わせを見たかった云々」の理屈では、説明できない異常さ。他の試合で、交替を使わないのは「同じメンバでチームプレイを成熟させたい」と言う理屈も通るが、あの灼熱のフランスで選手達を焼き上げたのは、何も考えていないからとしか言いようがない。また、あのコンフェデを見てしまうと、他の試合でも交替の消極的なのは、「交替策を考えるのが面倒くさいから」と考える方が自然である。

 例えば、マレーシア戦の集団総取替えによるメンバ交替。一説によると、交替の回数制限があったためだと言う。だったら、話は簡単だ。まとめて4DFを変えずに2人づつ変えれば問題なかったのだ。そうすれば、三浦や加地が宮本との連携を確認する事もできた。このようなきめ細かな、交替策はジーコ氏には無縁である。



 まあ、いいや、どうだって。オマーンに勝ってさえくれれば。
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2004年02月12日

落ち着け

 ひどい試合だった。

 ここまでモラルも質も低い日本代表の試合は、オフト氏就任より前に遡らなければならない。いや、あの頃も、どうしようもない監督に率いられていたのは確かだが、少なくとも選手達は戦う姿勢を持っていた。例え、訳のわからない采配下においても、有料のA代表マッチであのようなプレイをしてはいけない。



 しかし、冷静になってみよう。今目の前にある課題は「ワールドカップ本大会でトルコに勝つ」とか「ワールドカップ最終予選でソウルで韓国に勝つ」とか、高級なものではない。「ワールドカップ1次予選で満員のホームでオマーンに勝つ」と言う程度のものである。

 さらにイラクは2000年アジアカップの際も触れたが、歴史的にもアジア屈指の組み立て能力を誇る伝統を持つサッカー大国。たしかに、国内の情勢は悲惨で、トレーニングもままならないのかもしれないが、一方で選手達の資質は低い訳がなく、あれだけの質のサッカーをされても仕方が無い。最近のオマーンの試合を見ていないので、思い上りかもしれないが、イラクより強いチームが来るとは思えない。

 しかも、オマーン戦では中田が帰ってくる。「中田頼りとは情けない」とは、この際言うまい。フランス予選だって、中田と名波と井原が頼りだったのだ。エースとはそのようなもので、いるといないとは大違いなのだから。

 オマーンを軽視する気はないが、いくら今日の出来が悲惨なものでも、上記した課題をクリアする確率が相当高い事は間違いないのだ。皆、落ち着こうではないか。



 とは言え、サッカーは確率の闘い。あくまでも18日の試合で勝つための確率を高める必要がある。そのための具体策を検討するのは悪い事ではない。

 例えば、名波を呼び戻す、森島を呼び戻す、山田を外し加地を入れる、坪井の代わりに中澤を入れる(それにしても、12月の日韓戦で完璧に金度勲を押さえ込んだ坪井は、一体どうしてしまったのか)、アレックスを追放する、田中達也をA代表に入れる、名良橋を呼び戻す(笑)などが考えられる。しかし、川淵会長に提案したい最も適切な方策がある。言うまでもない。監督を代える事だ。



 もう少し具体的に考えてみよう。後任の監督は会長自らが「危機管理内閣」として、1試合を期限に就任する(そう宣言しないと居座るリスクがあるからではなく、あくまでも「暫定危機管理体制」を明言するためである、誤解なきよう)。とは言え、川淵氏も現場から離れて幾星霜、コーチとして現役に近い人が必要だろう。前ベガルタ監督清水氏なり、元ジュビロ監督鈴木氏なり、前アルディージャ監督(笑)清雲氏なり、とにかくトップリーグでまともな監督を務めた事がある人を選んで現場を任せる。松木氏以外なら誰でもいい。

 これは一石三鳥である。

 まず、監督が代わる事そのもの。次に選手達に緊張感が走り、イラク戦のような無様な真似ができなくなる事。そして、ミラン・マチャラが当方の先発メンバが全く読めなくなり、奇策を発揮しにくくなる事である。



 もっとも、監督を更迭するためには、契約問題があるのかもしれない。いや何、簡単な事だ。雇用者である会長自ら、監督を挑発すればよい。例えば(あくまでも例えばですよ)具体的にはこうしてみればよい。

「ああ、ジーコさん、会長命令です。オマーン戦ではアレックスを使わないように」

と指示をするのだ。真っ当な監督ならば、怒って辞表を突きつけるに決まっている。そうすれば、

「ハイ、契約放棄ね」

でクビにできるのではないか(いや、契約書の文面次第だが、ジーコ氏の弁護士対平田専務理事の知性対決だな、私は平田氏を信じたい)。もっとも、最初の会長指示に対して、監督が

「はい、わかりました」

と、言うかもしれない。そうしたら、もっと簡単だ。どんなペナルティを払っても、すぐに解任していい事が、判明するではないか。
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2004年02月10日

左足の詩人

 今日はイラク(何と団長があのラーマン・ナディとは)なり、ロシア(ああロシアA代表だぜ)について、論じようと思っていた。

 しかし、気が変わった。愛読書サッカーマガジンの名波インタビューである。

 

 先日来、大騒ぎしているWM74の中継。未だスカイパーフェクトには加入していないが、先日の予告放送は無事見る事ができた。愛読書の編集長も出席していたが、後藤、国吉のお二方に比べると、歴史観、知識いずれも相当見劣りして見ていて哀れだった。ただ、オヴェラートについて論じていた際に、「レフティー」の独自性について言及していたのは着目に値する。今思うと、もしかして、今日発売号の名波インタビューの宣伝だったりして。



 前振りが長くなり過ぎた。ともあれ、名波インタビューは本当に面白い。高校時代からの藤田との関係、後輩である中村と小野への辛辣かつ羨望かつ愛情あふれる想い、かつての僚友中田との信頼関係と今後の日本代表で中田が背負わなければならない艱難辛苦への助言、トルシェ氏への冷静な想い、ジーコ氏への冷めた態度、自らのような芸術家を支えるために「コマネズミ」なる下僕が必要である事へのこだわり、そして今後自分が演じていくべきドラマへの予告。さらに全編に通じて流れる「パス」と言う行為への責任感。

 サッカーと言う競技を勝敗と言う観点から捉えた時に、釜本も奥寺も井原も、名波以上の事を語る事ができるだろう。しかし、サッカーと言う競技を芸術と言う観点から捉えた時に、名波はこれらの大巨人以上の事を語り得るかもしれない。



 ここまで突き詰めた企画だけに、細かな部分での不満も大きい。商業誌ゆえのためか、妙につっけんどんな口調をしつこくテキスト化しようとしたため、名波の主張が曖昧になっている(例えば「ダイレ(クト)」なる表現に何の意味があるのか、インタビューアが「俺は名波と直接話ししたのだからね」と言う本質に全く無関係に自慢する態度が鼻につくだけだ)。

 さらに、このインタビューの最大の焦点である「小野、中村と自分の相違」の部分の突き詰めの甘さ。名波が語った「いいよ、いいよ」、「あー、そっちも見えていたんだ」の2つのセリフの主語、目的語、その2つのセリフにおける、名波、中村、小野の位置関係。それぞれを執拗に明確にしなければ、「3人の天才の本質」が存分に見えてこない。まして、名波が自らをマケレレとしている訳がないではないか。残念な事に、せっかく名波がここまでホンネに近い事を喋ってくれたのに、聞き手のレベルがついていけていないのだ。



 でも、名波は本質に近い事を語ってくれた。これは凄いインタビューである事は間違いない。

 このインタビューを頭に入れて、改めて「名波」を見に行こう。
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2004年02月09日

闘え高松!

 以前も述べたが、試合に集中すればアナウンサが何を喋ろうが気にならない。でも、右上に試合時間中赤面するようなコメントがずっと出ていること、カメラ手前のタッチライン沿いで攻防が行われている時に先々の放送の宣伝コメントが貼り付けられ試合の展開が見えないと腹が立つ。それでも、私のような世代の人間は、放送していただけるだけで幸せと感じてしまう。でも、きっとこの考えは古いのでしょうね。

 昨日も触れたが、やはり平山は本当に凄い。確かに多くのマスコミの気恥ずかしくなるような賛辞はピントがずれている。しかし、ピントがずれているのは確かだが、その画像の中心が平山である事は間違いない。あのヘディングへのアプローチ、イランの屈強なCBに苦しみながらもロスタイムにあの一発を放った事。自分が浮かれている事は冷静に認識しているし、しつこい事も理解しているが、もう釜本なりファン・バステンなりを想い出さずにはいられないのだよ。
 昨日は触れ忘れたが、もう1つ。エースの田中達也が、山瀬からのスルーパスを受けた際に、明らかに平山の頭をイメージした突破を見せた事は、別な意味で凄い。つまり先日来の合同トレーニングで、このJ屈指のFWであるエースから、平山は信頼を獲得する事に成功したのだから。

 と、浮かれている訳だが、ここで注目したいのは、言うまでもなく高松である。Jリーグで少しづつ実績を積み上げ、テストされた試合では存分な存在感を見せてきたポストプレイヤ、平山登場までは、定位置を確保した感すらあった売出し中の若者だ。つまらない想像だが、もし平山が、あのエジプト戦で得点を決め損ねていたり、あの四日市中央工業戦で苦杯を喫していたら、イラン戦では高松が当然のように起用された可能性が濃厚だった。
 特に空中戦やターゲットを武器にするストライカは、かつての原がそうであったように、堅実に努力を重ねるタイプの選手が多い。そして、高松の昨シーズンの成長振りは、いかにもそのような堅実型ストライカの成長パタンを感じるのだ。高松は平山に比べて格段の実績を持っているプロフェッショナル。イラン戦の平山の実績を認めつつも、必ずや逆襲の機会を狙っているに違いない。

 山本氏には、プロフェッショナルのコーチとして、高松のモチベーションを巧みに利用する事を期待したい。
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2004年02月07日

2つの小さな気がかり −マレーシア戦−

 開始早々のアレックスの珍技から始まったマレーシア戦。後半半ばまで、観戦する私の集中は継続した。

 先発メンバは、日韓戦後半の10人+山田卓。本山、藤田の引き出し上手に、遠藤、小笠原の配球、山田卓の前線進出と、非常にバランスが取れていた。よい出来の試合の後はメンバを変えない事は、1つのセオリ(笑)だから納得できるスタメンと言えるだろう。
 日韓戦では猛攻には成功したが、人数が少ない事、アレックスが休憩する事から、再三韓国の好カウンタアタックにさらされた。しかし、この日は、人数が同じ事、敵の戦闘能力が韓国ほどでない事(昔はマレーシアは日本より格上、韓国と同格だったのに...ちょっと寂しい)から、日本が圧倒的な攻勢に立つ。、
 マレーシアがボールをキープすると、日本は前線の強烈なプレスをスタートに、ハーフウェイライン近傍でボール奪取。ボールを奪うや否や、遠藤と小笠原が高速展開。マレーシアが苦し紛れのロングボールを蹴れば、余裕をもって宮本と坪井がカット。本山と藤田が面白いように前向きにボールを受け、マレーシア守備ラインをおびやかす。
 それでもマレーシア守備ラインは4DFが忠実に最終ラインを形成し、読みのよい2番のセンタバックを軸に最終ラインで粘る。久保が見るからに(体調を上げている最中で)重かった事もあり、崩し切る場面が少なかった。それでも、遠藤、小笠原の早さ(速さではない)からの先制(それにしてもあのゴールキーパは...)。残り3ゴールは、いずれも第2波、第3波からのもの。どの得点も評価されてよい。
 さらに海外組が戻る場合と戻らない場合のチームの切替の円滑化もよく進んでいる。最後尾で配球する小野と遠藤、後方から進出する稲本と山田卓、前線へのラストパスを狙う中村と小笠原、前線に進出する動きが巧みな中田と藤田、ボールの引き出しが巧い柳沢と本山、強さとシュート力が魅力の久保と高原。海外組がいる時、いない時のメンバの切替がイメージしやすい選手層も確保された。しかも、中田、小野、高原、柳沢らは、違った役割を演じる事もできる多様性。さらに、高さとシュート力の黒部、前線での突破に魅力がある大久保、MFのあらゆるポジションができる神出鬼没の奥、中盤から個人技で縦突破ができる石川、守備固めに有効で高さのある福西、と多彩な選手たち。

 と、せっかくまっとうな監督が采配していると仮定して褒めようと思っていた気持ち(いや、ホンネ言うと、思ってはいなかったですがね)が、一瞬に萎える交替劇であった。

 ただ交替の前と後に、小さいながら気になった事がそれぞれ1点ずつ。
 交替前。とにもかくにも、外をえぐるのに成功した時のクロスなりセンタリングの狙いが見えなかった事。3点目も4点目も、こぼれ球をよく拾ったものだが、そのこぼれる前が気に入らない。重いとは言え、ターゲットであるべき久保にしっかり合わせる質のボールが見られず、漫然とした逆サイド狙いばかりだった。まず、ニアに飛び込むエースを狙い、そこが防がれた後での逆サイド狙いが鉄則ではなかろうか。
 交替後。後から出てきたメンバの中で、もっとも重要な存在である三浦淳が、最近ヴェルディで見せる落ち着いた攻撃参加を忘れ、フリューゲルスの若い頃の悪癖を思い出したかのように、強引に内側に持ち出す場面が頻繁に見られた事。おい、おい、頼むぜ、もう若くないのだから。

 もっとも、あれだけの攻撃ラインがあり、中田が戻れば、監督が余計な事をしなければ、11日後に勝ち点3を確保する可能性は90%を超えている事を、改めて確信したのだが。
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2004年02月04日

準備試合をいかに使うか

 監督の選定、リーグ戦と代表強化のバランスなどについて、日本協会の最近の振る舞いには疑問が多い。しかしながら、日本サッカー界にとって2004年で最も重要な試合であろうホームのオマーン戦に向けて準備された国際試合のマッチメークは実に見事としか言いようがない。
 マレーシア、イラクと、かつては完全に格上であり、今なおアジアの中堅的存在(もっともイラクは、極めて特殊な国内情勢があるのだが)である2国。間違いなく守備を固めてくるであろうオマーンに対して、いかにアプローチするかの格好のテストケースとなる。

 仕方が無いことだが、中田、小野、高原らの招集はオマーン戦直前となる。中村、柳沢は使えない可能性も高い。そのあたりを考慮すると、この準備試合2試合でやるべき事は、ある意味明確になってくるのではないか。

(1)MFたちが久保にいかに点を取らせるか
 小野、中村のフル出場が難しそうな現状では、遠藤、小笠原、藤田のMFの連動が重要になる。そして、その連動の目的は、久保にいかに点を取らせるかとなる。この2試合でそのような好機を多数作り、そのいくつかを久保が決めてくれればありがたい。加えて、オマーン戦では、中田の登場でMFの彼らは一層楽にボールを持てるはずなのだから。
(2)チーム全体として黒部の働き場を見つけられるか
 おそらくオマーン戦は、久保、高原で臨む事になるだろう。局面により、どうしても点を取りたい場合(そのような状況が訪れない事を切に望むが、準備をしておくにこした事はない)に、FWを増やす選択肢は大いにあり得る。その場合ポイントは、チームメートが黒部の活かし方を存分に理解しておく事である。
(3)アレックス問題
 もはやアレックスは全盛期のアレックスではない。自らボールを持って突破を図る事は叶わなくなった。しかし、前方に向かって加速した状態でパスを受ければ、相当活躍できる可能性は残る。守備を固めた敵DFラインに対して、アレックスが自らの創意工夫で、前進加速するスペースを見つける事ができる事を切に期待する。でも三浦淳が結局プレイするのかな。

 これらの準備をした上で、中田たちの帰国を待つ事が、「人事を尽して天命を待つ」と言う事になるのではないか。
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2004年01月26日

中田に残された時間

 WM74の続きを書こうと思ってはいるのだが、昨晩の中田を見てしまっては、まずそちらに触れない訳にはいかない。オマーン戦まで、あと23日に迫ってきているのだし。WM74の方は、皆様が次々に、自分なりの想い出を掲示板には書いてくれるは、メールで妻の稟議を取るための妙案を提案してくれるは、感謝感激状態。明日以降に書きますので、しばらくお待ちください。



 で、中田。前半の深い位置からのスルーパスと、左に開いての腰の良く入った高精度のクロス。この日もいかにも中田らしい、射程距離の長い好パスを見せてくれた。試合そのものは、さすがにパルマにも意地があり、中田を目立たせてなるものかと、中盤で激しく2人絡みを見せ、中田を封鎖。中田以外に中盤で構成力を見せるタレントに欠けるボローニャだけに攻め手がなくなってしまった。もっとも、アウェイだけに、ボローニャも0−0で十分と考えた事もあるだろうが。

 しかし、移籍後3試合目で、中田には明確な課題が突きつけられた。特に後半、MFで敵2人に囲まれた場面で、再三ボールを奪われた事だ。日本代表の試合では、中田はここまで囲まれる場面は少ない。1つには、周囲に小野や中村のように中田と同等の技巧を発揮できるタレントがおり、敵が中田1人を囲む事は少ない事。もう1つには、中田が囲まれた事を察知するとさっさと戸田とか明神とか遠藤などの展開が速い選手にボールをさばいてしまうから(これにより中田を囲んだ選手は置いていかれてしまう)。ところが、ボローニャで周囲を固める選手は、いずれも日本代表選手たちよりも強いが、巧くも速くもない。

 この環境下で、中田がMFに君臨するためには、より一層ボールをもらう前に周囲を俯瞰し、より早くボールに寄り、より速く展開することを考える必要がある。そして、これは中田のプレイの幅を一層広げ、本当の意味で世界の超一流への道を広げるはずだ。



 思えば、中田がペルージャからローマに移籍して、丸4年が経った。この4年間、様々なチーム事情で、中田は思うようにその潜在力を伸ばす事ができなかった。先ほど述べたように、中田が完璧に「ワールドクラス」と呼ばれる存在になるためには、もうあまり時間はない。久々に中盤での総指揮権を入手できたボローニャでの残り数ヶ月は、中田のサッカー人生にとって、非常に重要なものとなるのではないか。



 とは言え、まずは頼むぞ。2月18日。思い起こせば、7年前の6月28日。1次予選の時点では、あんな素晴らしい2次予選が準備されるとは思ってもいなかった。そして、4年後に予選がないのは判明していた。とすれば、当時まだ2歳だった愚息は、10歳になるまで「ワールドカップ予選」を体験できないではないか。と、言う事で教育の目的で、当時2歳の愚息を連れて、私は豪雨の国立に向かった。ホームのオマーン戦だった。何もわからない愚息は、サッカー場と言うところは、大きな声で歌い騒ぐところと理解してくれた。そして、先制ゴールを決めたのは中田だった。

 レギュレーションが変わり、愚息は9歳で「ワールドカップ予選」を再体験する事になる。無事、チケットの抽選も当たり、我々は埼玉スタジアムに向かう事ができる。そして、その相手は再びオマーン。もっとも、試合結果が7年前と同じでは困るな。中田には、7年間の成長を見せてもらう事を期待したい。
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