2014年11月14日

ホンジュラス戦前夜2014

 明日はホンジュラス戦。考えてみれば、アギーレ氏就任後これで5試合目、見事に中南米勢のみと戦っているのだなと考えると、面白い。あるいは、日本協会のマッチメークの苦労が偲ばれる。まあいいや。

 さて、アギーレ氏の帰国問題も色々議論になっている。そりゃ、日本代表サポータとしてはおもしろくない。また、アジアカップに向けて「選考」される立場の選手達も、モヤモヤを感じるであろう。アジアカップメンバに選ばれるかどうかは、Jでプレイする選手達にとってはオフなり来シーズンに向けての準備を大きく左右するし、欧州でプレイする選手達にとっては自チームを長期離脱するかどうか非常に微妙。現実的に、J組ならば西川、森重、武藤、たぶん柴崎、塩谷あたり、欧州組ならば岡崎、内田、本田、まあ香川、細貝あたりは、当選確実だろうが、それ以外の選手は、落ち着かない気持ちのはず。そう言う折の合宿に、監督不在と言うのは、チーム作りと言う意味では、結構なマイナスだろう。
 ただし、この手の離脱は契約条項で判断されるべきなので、どうこうは言いづらい。ただ、霜田強化担当技術委員長が、もっと明確に説明をしてくれればよかったとは思う。特に契約前からわかっていた了解済みでの事なのか、契約後のアギーレ氏の要望なのか、このあたりは、できるだけ正確な情報開示をする方がよいと思うのだが。代表チームにおいて「広報」の重要性は以前から主張している通り。霜田氏の地味な態度は、前任者とは対照的。まさか、前任者に遠慮しての事とは思わないけれど…

 確かに、アジアカップ前に残り2試合と思うと、細貝不在でどうやって連係を確認するのかとか、乾を呼ぶなら前回シリーズだろうとか、細かな疑問はある。特に細貝不在は、中盤の要不在と言う印象を与えてしまう。まあ、「アギーレ氏の自信の顕れ」とポジティブに評価しておく事にしようか。

 ともあれ、これまでのアギーレ氏の4試合を振り返ると、結構成果が上がっている事も確かなのだ。
 ほとんど代表経験がなかった選手として、塩谷、太田、田口、柴崎、武藤の5人が戦力になり得る事に目途が立ちつつあるからだ(この5人がそれぞれ異なるポジションの選手なのがまた嬉しい)。小林悠の離脱は残念だが、代わりに呼び戻された森岡に再度チャンスが与えられた事になる。また、前回負傷で事態した昌子が機能したら、大変愉快な事になる。
 遠藤、今野、トヨクバと言った呼び戻したベテランを含め、岡崎、内田ら既存のトップスタアが健在の状況で、上記の選手達が計算できるようになってきている。とすらば、ブラジル直前よりも分厚い選手層とも言えるではないか。
 加えて、ライバルとなる豪州(これは来週の手合せが愉しみ)、韓国も、ブラジル大会の様子を見た限りでは、決して状況はよくなかろう。ウズベキスタン、イラン、イラクあたりが気になるが、圧倒的優位とは言わないが、決定的劣勢とも思えない。
 しかも、岡崎がいるから、(多くの国が悩む)得点力も問題はない。

 そうこう考えると、アジアカップもある程度楽観してよいのではないか、と思えてくるではありませんか。「だから、ちゃんと細貝を呼んで、この2連戦はキッチリと勝つ練習をすればよかったのに」と、思わないでもないですが。
 こう言うと「武藤はもう22歳、若くはない」とか、「ベテラン呼び戻しは、若手育成の失敗」とか文句を言う人も多かろう。あるいは逆に「ロシアで好成績を収めればよいのだからベテランを呼び戻すな」とか、「ベテランを呼ぶと言う事は過去4試合の失敗だ」とか不満を述べる人もいるだろう。
 正解はわからない(私は、アギーレ氏の意図をそれなりに理解できているとは思っているが、「それが正しい理解なのか」と言う事を含めて、わからない。
 ただ何となくだが、アジアカップ本大会に入ってから、試行錯誤、紆余曲折しながら、相応に強力なチームが構成される事を期待できるとは、思っている。その最大の理由は、上記してきた人材発掘が、それなりにうまく進んでいるから。
 まずはホンジュラス戦。ある程度は組織的も機能するよい試合を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 01:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年11月07日

凡人にはつらい議論

 先日も述べたが、アギーレ氏の意表を突く選手選考と選手起用、それはそれで愉しい。

 遠藤爺、今野、長谷部、トヨクバの選考は、アジアカップに本腰を入れると言う視点ではわからなくはない。
 これまでの4試合とその準備合宿である程度の見極めを行い、そこに足りない要素として経験と実績豊富なヴェテランを復帰させる。元々、ワールドカップの半年後にアジアカップをする日程そのものが間違っているのだ。しかし、いくら間違っているとは言え、それに文句を言ってばかりいては、現実に目を背ける事になる。アジアカップは、何があっても優勝を目指す大会だ。そのためには、34歳になる遠藤翁を含め、総動員体制で臨む事に異議はない。そして、その選考は予想の範囲内だった。

 しかし、細貝の不選考と、乾の選考は予想外だった。
 アジアカップの前には、もうこの2試合しかない。遠藤爺らの呼び戻しを含め、レギュラ候補の選手との組み合わせを整理するのが、凡人の考えと言うもの。そう考えると、ここまでの4試合でコンスタントに使われ、チームの中核として機能した細貝の選考は必須と思っていた。特に前回のジャマイカ戦で(凡人が考えるに)チームの中核を担うべき香川が負傷離脱した事もあり、細貝と香川(そして柴崎)の中盤の組み合わせを整理するのは、この2試合の必須事項と思っていたので。その上で、遠藤爺、今野、長谷部を、どう組み合わせるかを検討するのが、(凡人にとっては)常識と言うものと思っていたので。
 FWは、岡崎、本田、そして武藤が軸になるのは、ここまでの試合でわかっていた事。香川の起用法と併せ、比較的潤沢に人材がいるポジションだ。ここに、彼らと個性が異なるトヨクバを選考するのは理解できる。しかし、ここでドイツでプレイする乾を加えるのには驚いた。以前酷評した事があるが、乾は日本代表で確固とした活躍をした実績はない。また、アイントラハト・フランクフルトでも昨シーズンは出場機会が激減していた。長谷部が同じクラブに移籍してきた事もあり、今シーズンは復調気味で起用機会が増えているとは聞いていたが、この状況で呼び戻すべきなのか。呼び戻すならば、もっと前の試合からだったのではないか。
 まあ、メンバを固定させれば、それだけで文句を言う人が多いのですがね。代表監督と言うのは因果な商売で、

 4年前。ザッケローニ氏との契約成立までに時間がかかり、氏に提供できた準備試合はたった2試合、埼玉アルゼンチン戦(感動の勝利)とソウル韓国戦(押し込みながらの引き分け)だけだった(原氏が采配を行ったパラグアイ戦とグアテマラ戦は視察はしてもらえたが)。ザッケローニ氏は、たったこれだけの準備で、アジアチャンピオンになってくれた。まあ、「終わりよければ全てよし」感覚からすれば、ザッケローニ氏と戦ったブラジルワールドカップは残念だったのは確かだ。でも、ザッケローニ氏はアジアチャンピオンの歓喜を提供してくれた。あの短い準備期間で。
 それと比較して、「アギーレ氏には6試合の準備試合を提供できる。ザッケローニ氏よりは、それなりに準備期間を提供できる。」と思っていた。しかし、ここまで前衛的(笑)なテストをしてくるとは。そして、少なくともここまでの4試合の選考と采配。今回の選考。いずれも(しつこいですけれども、凡人にとってはですがね)、アギーレ氏の構想が読めない。全く、理解できない。

 まあ、今回のように呼び戻しを含め招集の度に新しいメンバが選考され、その都度代表監督の意図を推察(いや邪推が正しい日本語だろうか)などしながら、「このオッサンは何を考えているのだ」と悩むのは、とても高級な愉しみなのですが。

 いや、いいんですけどね。アジアカップに優勝し、ワールドカップでベスト8以上に行ってくれれば。
posted by 武藤文雄 at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月17日

おぼろげに見えてきたアギーレ構想

 日本はブラジルに0対4、何とも味わい深い完敗でした。雑感をいくつか。

 スタメンを見た時に「おお、とうとう岡崎が腕章を巻くのか」と、ちょっと興奮した。しかし、腕章を巻いていたのは川島。ちょっとガッカリした。内部事情は知らないし、興味もない。ただ、必ずしも定位置を確保しているとは言えない川島と、完全なエースの岡崎。このあたりの主将の選考は、結構重要だと思うのだけれども。まあ、岡崎びいきの戯言として。

 なるほど、アギーレ氏が狙おうとしているサッカーが、おぼろげに見えてきたように思う。基本的には4-3-3(と言うより4-1-4-1)と選手を並べ、中盤の選手を組み替える事で、様々な戦い方をできるチームを作ろうと言うのだろう。実際ここまでの4試合のスタメンの中盤の3人は
ウルグアイ戦:森重、細貝、田中
ベネズエラ戦:森重、細貝、柴崎
ジャマイカ戦:細貝、柴崎、香川
セレソン戦 :田口、柴崎、森岡
 この4試合を見ても、常にタイプの異なる選手の組み合わせ。ここまでバラバラな事から、ようやくアギーレ氏の意図が忖度可能になってきた。セレソン戦の終盤の「森重、細貝、田口」と言う並びと、スタメンの「田口、柴崎、森岡」を比較するだけで、笑えてくるではないか。
 それにしても、田口、柴崎、森岡である。さすがにこの3人の構成でセレソンと戦おうとしているのには呆れた。3人ともJを代表するトップスタアだが、「これで守備が機能するのだろうか」と心配となる組み合わせ。ところが、田口をアンカーにしてそこそこにはバランスが取れた守備をしてくれた。攻撃時もこの3人らしいパス出しを岡崎が粘り強くキープする事で一応形を作れていた。失点時は、ジエゴ・タルデリが後方に引いた所に付ききれず完璧にやられたが、前半崩された回数はそうは多くなかった。細かな修正や、ボールを持った時の勇気に課題はあったが、これだけ国際試合未経験の選手達がぶっつけの布陣で相応に戦い、岡崎を軸に好機を複数回つかんだのだから、それはそれで評価すべきだろう。あくまでも相対評価ではあるが。
 そして前述した通り、交代を繰り返し、終盤に至り気が付いてみれば、森重、細貝、田口と言う並びになっていた。これはこれで、スタメンとは全く逆で、「どうやって攻めたらよいのだろうか」と心配になる組み合わせ。ところが、これはこれで、それなりに機能した。森重がディフェンススクリーンとして機能し、田口が丁寧に拾い、細貝がよく持ち出し、3人がそれぞれの個性を発揮して、本田、武藤、柿谷につないだのだ。まあ、0対4になってから、この布陣で戦う意味があるのかはさておき。
 やはり残念なのは香川の脳震盪。ジャマイカ戦の起用方法を見ても、中盤の「3」については、アギーレ氏としては香川を軸に考えているのだろう。その香川抜きで、セレソンと対峙する事になったのだから。え、「香川がシンガポールに帯同していても、本田や長友と同様にベンチだったろう」って!

 もちろん、ネイマールに対する守り方に疑問を感じたのは確かだ。前を向かさない事、視野から消えないように見張る事、最初に抜け出そうとする時身体を当てて加速させない事、前を向かれたらファウル覚悟で厳しく行く事、前を向いたネイマールにボールが出ないように厳しく自由を押さえる事。こう言った当たり前の事に厳しさが欠けていた事は否めない。
 ウルグアイ、ベネズエラン戦で凡ミスからの失点が続いた事と合わせ、アギーレ氏がこのあたりを、いかに修正していくのか。これはこれで愉しみにして行きましょう。

 色々な人が文句を言っている、「ジャマイカ戦で経験の浅い選手を試し、セレソンにはベストで戦うべきだったのではないか」について。うん、私もそう思う。
 おそらく、アギーレ氏は、日本のサッカーを過少評価しているのだ。あるいは気が弱いのだ。「就任以降、最初の2試合を1分け1敗で終えた。相当の幸運に恵まれない限り、ブラジルには勝てない。さすがに就任4試合で1勝もできないのはまずい。」と考え、考え得るベストの布陣で、ジャマイカ戦に臨んだのではないか。冴えない試合ではあったが、ジャマイカ戦は無事勝利。そして、その結果、ブラジル戦は経験の浅い選手を並べたテストが可能になった、と言う事ではないか。
 結果、田口、森岡、太田、小林は、日本代表初スタメンを、いきなりセレソン戦で体験できる事になった。森岡と小林には厳しい経験となったが、田口や太田は存在感を発揮できた。今後、このJのトップスタアである4人が代表に定着すれば、おそらくこのセレソン戦は「歴史的トライアル」と記憶に残る試合となるのだろう。そうならなかったら、それはそれ。「歴史的無駄遣い」も愉しいものだ。まあ、ネイマールの美しい4得点は、それはそれで歴史だな。
 いや、休暇をちゃんととって、シンガポールに行けばよかった、と悔しがっているだけです。

 同じフォーメーションで選手を代える事で戦い方を切り替える。大胆に実験(ラボ)を繰り返す。日本を過小評価(あるいは気が弱い)する。うん、懐かしいな。16年振りか。
posted by 武藤文雄 at 00:49| Comment(5) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月14日

セレソン戦を前に2014

 ユース代表の日韓戦勝利については別途。本当によく闘った選手諸兄の奮闘に感謝すると共に、(本人たちもよくわかっているだろうが)「次に勝たなければこの勝利は何の意味もなくなってしまう」と言う当たり前の事を書き留めておく。
 今を去る事37年前、金田喜稔、木村和司、山本昌邦らを擁する日本ユース代表は、アジアユース大会準々決勝で韓国と対戦。0対0で延長を終えたPK戦で、GK柳楽雅幸(現台湾女子代表監督)の活躍で韓国を振り切った。しかし、続く準決勝、地元イランと対戦、木村が先制ゴールを決めたものの、PKで同点とされ、終了間際に決勝点を奪われて敗退。FIFA主催の第1回ワールドユースの出場権を逸している。全ては次戦にかかっている。ドーハの悲劇よりは、こっちを引用するのがよいかな、と思って。

 と言う事で、日本代表。
 ジャマイカ戦は何とも微妙な試合となった。
 確かに相応に皆がよかった。岡崎は相変わらず凄い。本田も(あのループシュート外しは感心しなかったが)精力的に戦った。香川は(試合中の接触で脳震盪との事だったが)ボールを持てば好パスを出していた。柴崎はすばらしい展開を演出。武藤は相変わらず強引に持ち出した。細貝は広範囲に動きアンカーとして機能。森重は無難に中央を固めた。塩谷はA代表デビューとしては出色の内容。長友は相変わらず能力の高さを発揮。酒井高徳も(少なくともこの試合ではおバカを見せず)良好なオーバラップを見せた。西川は活躍の機会はほとんどなかったが無難なプレイ。
 しかし、何かスッキリしない内容だった。単にシュートが決まらなかったと言う事だけには思えかった。大体、幾度も好機をつかみながら、中々点が入らないのは日本代表のスタンダード。それは見慣れた光景だ。だから、シュートが入らないからスッキリしなかった、と言う事ではないと思う。

 おそらく、アギーレ氏が「何をしたいのか、わからないから」なのだと思う。

 代表監督の意図を忖度するのはとても愉しい娯楽だ。オフト氏は固定メンバで丁寧に戦い、我々に明確な意図を示し、USAワールドカップに後一歩に迫った。ファルカン氏は、何をしたいかわからないままに去って行った。加茂氏は明言している「やろうとしている事」とピッチ上の具現が異なりながら、よいチームを作ったものの、ワールドカップ予選の重圧につぶれた。フィリップは序盤は「一体何をしたいのか?」と疑問を抱かせながら、任期中途には明確な意図を持ったチームを作り、2002年1次ラウンドを抜けてくれた。ジーコは「何も考えていないのではないか」と思わせながら、実際何も考えていなかった。オシム爺さんは...完成形を見たかった。岡田氏は、1回目、2回目、いずれも、やろうとした事は明らかで、実際本大会で「やれる事はほとんどやり尽くして」くれた。ザッケローニ氏は...これば近々別途述べます。
 ではアギーレ氏は何をしたいのか。今のところ、さっぱりわからない。

 皆川と坂井を起用したウルグアイ戦は、(少なくともアジアカップで優勝するための準備としては)全くの無駄だった。まあ、これもご愛嬌だろう。新任の外国人監督が率いるチームが、己の選考眼に自惚れすぎる事はよくある事だ。
 (ブラジルで日本選手の中で最高級の知性を発揮してくれた)内田の不選考も不思議だ。右サイドバックの候補としては、(先日致命的なミスをしたが)酒井宏樹も、(アギーレ氏選考以降はおバカをしていないが)酒井高徳も、(私から見れば)とてもではないが内田のレベルに到達していない。負傷上がりを考慮しているのだろうか。
 もし選手の現在の状況を考慮して選考しているとしたら、移籍したスペインのクラブで定位置を確保できず苦悩しているハーフナーを、このタイミングで呼んだのもよくわからない。豊富な攻撃陣のタレントを抱えているのだから、大迫や宇佐美を呼ぶのが普通と言うものだろう。

 まあ、アジアカップがワールドカップ直後にある事そのものがおかしいのであって、新任監督に文句を言う事は筋違いなような気もする。雇われている方ではなく、雇っている我々がおかしいのだ。

 そうこう考えながら、セレソンとの戦いに思いをはせる。このタイミングとしては相手が悪いな。手探りをしたい監督と、何のかの言って世界最強国。しかも、先般の失態を取り戻すべく呼ばれたのがドゥンガのオッサン。あまりチーム作りを推察する材料とはなりそうもない。ここは、我らのスタア選手たちが、いかほどの個人能力を見せて対抗してくれるかどうかを愉しみにすべきなのだろうな。
 でも、ザッケローニ氏はいきなりアルゼンチンに...
posted by 武藤文雄 at 08:10| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月19日

焦ってはいけないが噛み合わない

 実は先週のベネズエラ戦当日は本業都合で異国に滞在していた。帰国は13日土曜日。つごう4日間、手練手管、創意工夫を駆使して、情報遮断に成功。100時間ほどの遅延映像を堪能した。その後、ベガルタの3連敗やら、見慣れた監督による若手代表チームの快勝と完敗やら、隣国の天才少年の鮮やかな舞いやら、女子代表の隔靴掻痒やらを満喫。それに我が少年団の子供達の奮闘がはさまり、肉体的には疲労困憊なものの、精神的にはバッチリの状態で、本業にいそしんでいる次第。見慣れた監督の1試合目を除くと、ロクな結果ではなかったが、我ながら幸せな人生である。

 と言う事で、今日はベネズエラ戦を軸に、新日本代表の雑感を。

 批判するのは簡単だ。
 少なくともこの2試合に関しては、伝統的な日本のストロングポイントを活かそうとはしてなかった。さらに、強力な前線のタレントを多数並べる工夫はなく、選手層の薄い後方の選手を多用とするやり方。正直、「いかがなものか」とは思う。しかし、新しい武器を作り上げようと言うアギーレ氏に、じっくり期待するのが適切と言うものだろう。と、言いつつ、幾つかイヤミを。

 それにしても前線は豪華だ。
 岡崎のここまでの成長をどう表現したらよいのだろうか。代表での約2試合あたり1得点の高効率は既に語り尽くされていようが、コロンビア戦の芸術的ダイビングヘッドのような得意技に加え、この日の2点目の力強い突破とラストパスの精度。1点目も、岡崎が敵DFにまともにヘディングさせなかった所が起点となった。釜本とも原ともカズとも久保とも異なるストライカとしての輝き。ブンデスリーガの得点王を狙ってほしいのだが。
 大迫の受けの見事さはわかっていた事だが、ベネズエラ戦ではターンも鋭かった。コートジボワール戦にしてもギリシャ戦にしても、大迫は粘り強く丁寧にボールを受け、(おそらくザッケローニ氏の指示通り)本田や香川に的確につないだ。それにも関わらず酷評された大迫はわかっているのだろう。いや、岡崎とブンデスリーガの得点王を争ってくださ...
 柿谷も守備のタスクを丹念にこなしていた。その上で、前線に飛び出して、しっかりと決定機を決めるのがこの男の持ち味なのだが、この日の前半は決め切れず。何かこの男については、つかんだ決定機は全部落ち着いて決めてくれるような錯覚があるから、シュートを決められないと、他の選手以上に悪印象が残るのは、誠に気の毒な事だ。
 ウルグアイ戦抜擢起用された皆川も悪くなかった。先日も講釈を垂れたが、「サンフレッチェの体格も技巧も優れたストライカ」と言うだけで、ワクワクしてきますよね。もちろん、「サンフレッチェの小柄ながら抜群に頭がよく瞬間加速が格段のストライカ」は最高ですけれども。
 もちろん、あのような得点を決めて、さらに柴崎の得点の起点となった武藤がすばらしかったのは言うまでもない。それにしても、同姓の選手を代表で応援できるなんて、これまた幸せ極まりない。もっとも、このように役に立つ武藤選手が登場すると、もう1人いつもいつも私を悩ましてくれる別な武藤選手が、格段に愛おしくなるのですが。2人の武藤を堪能できる我が身の幸せを感じつつ。
 
 ここに香川が加わる。原口も宇佐美も、そして大前もいる。
 それなのに、本田圭祐に腕章を託し、前線に起用するのが適切なのだろうか。本田は素晴らしい選手だが、色々な使い方が可能なはず。元々、身体の向きに課題があり、さらに突破のスピードも格段ではない。上記の通り、ミランと異なり(笑)、前線に幾多の魅力的タレントがいる以上、本田には後方からの展開をお願いする手段もあるやに思うのですが。

 最終ラインはもっと難しい。
 4人のDFを並べ、森重をアンカーに起用し、さらにMFの前目に細貝まで固定する。守備の安定を狙った布陣なのだろう。けれども、残念ながらチーム全体として、堅実な守備とは言えるような組織守備の妙は、ほとんど見受けられなかった。前線から各選手がよくボールを追い、その分で最終ラインの人数優位で相応に守ったのは確かだ。けれども、失点場面以外も結構崩されていた。選手の献身振りが、効率よく組織守備につながらなかったと言う事だな。まあ、たった2試合でどうこう言うのは適切でなかろうが。

 そして、いずれも明確な個人のミスから、2試合で4失点。自チームで定位置確保していない坂井のミスはご愛嬌。選考する方の問題である。しかし、その後の酒井宏樹、水本、川島、それぞれ経験が相応に豊富な選手たちが、有料国際Aマッチであそこまで無様で明確なミスをするのは、何なのだろうか。
 酒井。右サイドバックが左からのクロスを、あそこまで軽率に中にヘッドで返してはいけないのは、基本中の基本。ブンデスリーガで定位置をつかんでいる選手の所業とは思えない。
 水本。先制し、非常によいリズムでボールが回り攻勢を強めていた時間帯。そのような時間帯に、CBがボール回しに絡む際に、無理をする必要は一切なく、丁寧に単純にさばけばよいはず。さらに、ミスを犯した後、長駆した敵FWに必ずしも余裕がないにもかかわらず、強引なスライディングで、みすみすPKを提供してしまう。Jのチャンピオンクラブの大黒柱とは思えない。
 川島。GKを3人選考しながらも、2試合続けて定位置を提供された期待に対して、無自覚としか言いようのない凡庸なミス。
 経験豊富なタレントがあり得ないミスをしてしまったのは、(少なくともこの2試合に関しては)監督が選手達に的確なモチベーションを持たせ損ねたと言う事だろう。もちろん、準備期間がほとんどない状態で、新たな国に突然降り立っての2試合だったのだから、仕方がない。「イヤミは言うけれど、責める気はない」と言うところだな。また、ここ数年わかっていた事ではあるが、今の日本はCBにタレントを欠くと言う現実も、忘れてはいけないのだし。
 監督が変われば、突然守備が改善されるような、錯覚を持ってはいけないのだ。

 ともあれ、ベルマーレサポータの友人は、アギーレ氏を極めて高く評価していた。曰く、「あれは、森重をCBに下げ、アンカーに遠藤航が入るためのやり方だ!」
 だ、そうです。とにかく、決勝でイラクと再戦し、次こそは打ち破るのじゃ。
posted by 武藤文雄 at 01:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月07日

アジアカップに間に合うのか

 コロンビア戦の崩壊の感動が、あまりに大きかった事を言い訳に作文をサボっていました。さすがに、監督が代わり、有料のA国際試合が行われているのに、これではまずいと反省しております。崩壊大感動についても鋭意作文準備中ですが、日々のあれこれも可能な限り、真面目に作文していこうと思います。

 と言う事で、ウルグアイ戦。
 ホームとは言え、先方はワールドカップ本大会から継続してきたチーム、当方は(是非はさておき)既存のチームを大幅に作り替えようとしている現況。ちょっと残念なミスからの2失点だったとは言え、負けた事は仕方がないだろう。また、アギーレ氏がこの試合のようなやり方を継続するかどうかもわからないので、今日の1試合で、どうこう語るべきでもないだろう。
 と言う事で、雑感を並べてみたい。

 パスの名手が起用されなかった。
 中盤の3人。アンカーは本来CBの森重(この日の使われ方はフォアリベロと言う見方もあるかもしれないが)、ボール奪取が長所の細貝(散らすのはうまいが)、後方から飛び出し強いシュートを放てる田中順也。ここ最近の日本代表は名波、中田、俊輔、小野、遠藤、憲剛と言った、精度とタイミングのよいパスを繰り出す事ができる名手が必ずいた。そして、そこが日本のストロングポイントだった。ところが、今日は強いて言えば本田がその系譜に当たるくらい。この日攻めが単調となるきらいがあったのも、こう言ったパスの名手不在のためだったと思う。岡崎がCKを蹴ると言う冗談みたいな光景を幾度も見る事ができたし。終盤の僅かな時間帯だが、森岡が起用されると、ちょっと変化が生まれたように思ったのは私だけか。もちろん、アギーレ氏は森岡も柴崎も選んでいるので、そのようなタレント不要とは思っていないだろうが。

 新しい選手が特長をよく出した。
 40年来の日本代表サポータ経験の中で、全くどのような選手なのかわからなかった代表選手は、今回の坂井が初めてのように思う。もちろん、私が歳をとり、国内のトップリーグを丹念に追いかける事ができなくなっているためかもしれないが、やはり相当なサプライズな事は間違いない。その坂井だが、致命的なミスを犯してしまったが、それ以外の場面では相応のプレイを見せてくれた。ラインコントロールをしながらウルグアイのフィードをしっかりはね返せていたし、選考理由と言われている左足のロングフィードにも積極的だった。また皆川も(いや、「サンフレッチェの技巧もしっかりした大型ストライカ」と聞くだけでワクワクしてくるのですが)、ゴディンに厳しくマークされながらも、よくボールに絡み前線で持ちこたえてくれた。岡崎のクロスに対し、敵CBの間に入ってフリーでヘディングした場面など中々のものだった(決めて欲しかったけれども)。武藤も(同姓の日本代表選手を応援できるとは、何とも言えない感慨)、FC東京で見せてくれている能動的なプレイをよく見せ、思い切りよいシュートをポストに当てた。新しい選手が、皆代表での初戦で堂々とプレイできたのは、Jリーグを頂点とする国内サッカーの質的向上によるものだろう。さらに、アギーレ氏の精神面での指導が適切な事が期待できると言う事かもしれない。

 岡崎と本田。
 冒頭に述べたように、パスで崩せるタレントがいなかった事もあり、攻撃はこの2人の個人技頼りのところがあった。そして、この2人はその期待によく応え、よいプレイを見せてくれた。当たり前と言えば当たり前なのだが。実際、2人共自分のクラブでも好調なプレイ振り。そうこう考えると、ほんの3か月前にこの2人の能力を的確に組み合わせ損ねた事が悔しくてならないのだが。その悔しさは、これからおいおい講釈を垂れていきます。

 アジアカップに間に合うのか。
 ここまで新しい選手、それも経験の浅い選手を多用し、チームを作り変えようとしているのを否定はしない。4年の月日は長いし、新しい選手の開拓はとても重要だ。しかし、4か月後にアジアカップがある事を考えると、「これでよいのか?」と言う気持ちも出てきてしまう。まあ、この手の冷や冷や感は、日本代表の応援で最も愉しい概念とも言えるのだが。いや何せ、「アジアカップで負ける」と言う概念に、我々は慣れていないと言う事なのだが。
posted by 武藤文雄 at 02:06| Comment(9) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月24日

究極の幸福

 他力本願なのは残念だが、コートジボワールが容易にはギリシャに勝てない事は間違いない。日本は淡々とコロンビアに2点差の勝利を狙うのみである。
 2006年と状況は全く異なる。当時は「優勝候補筆頭のブラジルに3点差で勝つ」と言う不可能に近いミッションだった。それに対して今回は24年振りに2次ラウンド進出を決めているコロンビアに2点差で勝つ事。現実性が全く異なるのは、言うまでもない。

 元々このチーム、ダメな時はとことんダメな試合をしてしまう傾向があった。昨年の東欧遠征の酷さは記憶に新しいし、3次予選ホームウズベキスタン戦など「ここまで情けない試合をしてくれるか」と嘆息したのは、懐かしい思い出だ。
 ただ、これらの凡戦は、選手達のコンディションが悪かった時であり、最後の総決算で中々思うに任せない試合を見せられるとは思わなかった。ギリシャ戦はだいぶ改善された感もあったが、コートジボワールの足の止まり方はとても残念だった。
 大体、この攻撃サッカーを志向し、DFも攻撃の起点となれる選手ばかりを選考し、攻撃も能動的な仕掛けをできる選手があり余っているこのチーム。このチームが2試合を終えて勝ち点1に止まってしまう事は予想の範囲内だったかもしれない。しかし、得点が1に止まっている事(失点も2に止まっている事含め)は、まったくの予想外だ。

 しかしこの隔靴掻痒、切歯扼腕こそが、サポータの醍醐味と言うもの。これだから、サッカー応援はやめられない。
 思うに任せぬ展開、踊らぬ自慢の踊り子たち、裏目にばかり出る監督の采配、夕刊紙やゴシップ誌が嬉しそうに語る内紛劇、敵ばかりが巧妙に思えてくる錯覚、ちょっと勝てないと手のひら返しで采配批判する自称サッカーライター達、自虐的に「日本は弱い」と楽な態度に逃げる見せかけの僚友。
 思うようにいかないから、サッカーは究極の娯楽なのだ。それがわかっている俺達だけが、勝利時に真の快感を味わう事ができる。

 日本代表選手各員は皆、激しくタフに戦ってくれる事だろう。勝負はいかに相手以上に頭を働かせる事ができるかどうかに尽きる。
 具体的には攻守両面での、勇気と我慢。
 守備面では、相変わらず自陣深くに入られながらもズルズルと引き過ぎる場面が散見されている。チームメートが素早く帰陣しているのだから、もっと厳しく敵に当たる勇気を持って欲しい。攻撃面、日本の持ち味は技巧的なパス交換だ、だからこそペナルティエリアに崩しに行く勇気が絶対に必要なはず。
 一方で敵に1度攻撃をはね返された直後に攻撃をルーズボールを確保するために、無理なファウルを冒さずに我慢ができるか。そして、敵が守備を固めてきた時に、いかに我慢して粘り強く敵の隙を突く事ができるか。我慢できなくなった時の典型的な選択が運を天に任せるアーリークロスだ。もう、そんな光景は見たくない。
 ここ2試合、この勇気と我慢を体現しているのが内田だ。ドログバをも臆せず鮮やかなスライディングタックルで止めるなど右サイド後方を固め、前線に出るや粘り強く組み立てに参加し、勝負どころで決定機を演出している。全選手が、内田のように頭を働かせ、勇気と我慢を発揮してくれれば。


 40余年日本代表を応援してきた。
 愛するチームが、ここまで追い込まれているからこそ、「ブラジルに来てよかった」と心底思う。この苦境下、選手達と戦えるかと思うと、心が震える。
 この難しい状況からのコロンビア戦以降の日本代表復活劇を共に戦う事ができる。これ程幸せな状況に身を置ける事の感謝しつつ。
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2014年06月19日

本田圭佑のはじまり

 ギリシャ戦。大変陳腐な言い方になってしまうが、鍵を握っているのは、本田圭佑のプレイにある事は間違いない。

 コートジボワール戦の先制点は、個人能力による得点という視点から言うと、日本代表史に残る一撃だった。スローインからの長友と香川の巧妙なつなぎを受け、非常に深い右足の持ち出しで、利き足の左足で強いインステップキックができるポイントに正確にボールを置く事に成功、一瞬バランスを崩しながらも強烈にゴールキーパのニアサイドを破った。本田と言う選手の、繊細な技巧と体幹の強さが、組み合わされた実に美しい得点だった。
 そもそも、過去の日本代表において、このような個人能力の冴えだけで、敵DFを粉砕し得点できるタレントは、過去もカミカゼ釜本とドラゴン久保しかいなかった。しかも本田は、この強烈な一撃を、よりによってワールドカップ本大会で決めてくれたのだから。

 いや、この時点で感じた未来への極めて明るい雰囲気は、中々よかったですよね。

 しかし、物事はそううまくは続かない。
 前半30分過ぎから、コートジボワールの攻勢に押し込まれる時間帯が続く。そして、この時間帯の本田のプレイ選択には疑問が残った。
 日本は、この日序盤から非常に慎重な対応で後方を厚くしていた。また、チームとして安全策を取るつもりだったのだろう、最終ラインから細かくつながず、前線へのロングボールを多用した。これは、初戦を大事に戦いたいと言う、ザッケローニ氏の意図だったのだろう。前線でのボールキープがうまい大迫をスタメン起用したのも、その現れだったと思う。実際、大迫は屈強なセンタバックにマークされながら、相応に空中戦を取りボールを収めた。
 それを受けた本田は、再三単身で突破を狙う。けれども、懐の深いコートジボワール選手を抜き切れず、逆にボールを奪われる事が多かった。そのため、日本は一層押し込まれてしまった。同点ゴールも、そうやって本田がボールを奪われたのが起点となったもの。この場面に限らず、本田はサポートして来る岡崎や長谷部を使い、チームとしてゆっくりしたボールキープを狙うべきだった。
 一方で、35分くらいだったか、本田が単身突破を成功しかけた場面は鮮やかだった。本田らしい技巧と強さを発揮して、単身中央突破、最後DFにブロックされたものの、素晴らしい前進だった。おそらく、本田は大事な大一番、押し込まれた苦境を、自らの能力で打開しようとしたのだと思う。そして、この場面に代表されるように、状況に恵まれれば、本田は1人で全ての問題を解決し得る能力を持っている。しかし、サッカーは90分間フルタイムで無理をし続ける競技ではない。時間帯によってはテンポを落とし、状況によっては我慢が必要だ。この日の本田のプレイは、決して悪い意味で独善的とは言わないが、過剰な責任感による無理のし過ぎに思えた。

 その他の場面でも、本田の無理し過ぎは散見された。
 後半立ち上がり、日本は久々に攻勢が取れた。本田を筆頭に大迫、岡崎がよいフォアチェック。日本らしいパス攻撃が奏功しかけた。さらに遠藤を投入、よい攻撃が続いた。ところが、この時間帯、本田が凝ったラストパスを狙い過ぎ、結果的に崩し切れなかった。これは以前から本田に見受けられる課題でもあるのだが。
 前半、麻也の判断よい前進から作られた攻撃、本田はちょっと溜めて進出してくる内田に渡し、その後の内田の個人技による決定機を演出した。このように、いつも凝った攻撃を選択せずに、ちょっと絡んで変化を付けるだけで、本田はもっと好機を演出できるはずだ。

 ドログバは登場した直後、日本の左サイドを強引に突破しようとした。それに対して本田は並走してショルダーチャージでドログバのバランスを崩し、自らの身体を入れる事で止めようとした。しかし、これは相手が悪く、逆に飛ばされ突破を許してしまった。結果的に日本の守備ラインはドログバの前進を恐れ引いてしまい、状況を一層悪いものにしてしまった。ドログバのような選手を止めるためには、まずよい体勢でボールを渡さない事、もしそれに失敗したら粘り強く複数の選手で押さえ込む事。だから、この場面も本田は1人で無理をせずに、後方からカバーする長友あたりと落ち着いて連係すべきだった(そう言う意味では、終盤逆襲から単身突破を狙ってきたドログバに対して、外側から並走しスライディングタックルで止めた内田は秀逸だった)。
 敵の大エースを自ら封じ込めようとした本田の意気は素晴らしかったのだが、ここはもう一段の冷静さが欲しかった。

 先制点なり、前半の突破の場面で見せてくれた本田の個人能力は格段のものだった。そして、こう言った鮮やかな場面を見せてくれながらも、この日の本田のプレイには、上記クドクドと講釈を垂れてきたように、不満も多かった。
 いつも無理をする必要はないのだ。常に頭を働かせ、チームメートと連係し、本当の勝負どころで格段の個人技発揮してくれればよいのだ。
 そして、本田はこのコートジボワール戦で学習したはずだ。過剰な責任感による無理のし過ぎではなく、適切な責任感による冷静な判断で、本田はもっともっと輝く事ができる。
 人間を最も成長させるのは失敗経験だ。そして、ワールドカップ本大会での手痛い失敗経験は、最大の糧となるはずだ。このコートジボワール戦の一連の失敗経験は、本田圭佑と言うインタナショナルクラスのスタア選手を、本当の意味でのワールドクラスのスーパースタアにするものだったのではないだろうか。

 ブラジルに向かう飛行機で、この雑文をしたためている。
 サッカー王国におけるワールドカップ。
 ギリシャ戦、そしてそれ以降。さらに大化けした本田圭佑が、私にかつてない歓喜を提供してくれる事を信じて疑わない。
posted by 武藤文雄 at 06:56| Comment(14) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月15日

自滅だから立て直しは容易だ

 思うに任せないからサッカーはおもしろい。ただ、ここまで思うに任せないサッカーを見せられるとは思ってもいなかった。
 初戦で負けたと言う結果はとても残念だ。しかし、結果以上に残念だったのは、この4年間継続して強化してきた、素早いパスを回すサッカーを放棄してしまった事だ。対戦相手のコートジボワールがよさを消してきた訳でもない。ただ、日本の各選手が、押上げを怠り、パスコースを作る努力をせず、自分たちが得意なサッカーをしようとしなかった。
 逆転を許した後、今こそ粘り強くボールを回していやらしく攻め込まなければならないのに、淡泊な縦パス主体の攻撃しか狙わない。さらに驚いたのは、終盤吉田麻也を前線に上げ、パワープレイに出た事。チーム全体が、得意なプレイを意図的に放置してしまったのだから、残念だった。
 
 そのような試合ができなかったのには2つの要因があると思う。
 1つはあまりに慎重過ぎた事。前半立ち上がりから裏を取られないためだろう、いつも以上にチーム全体が引いて戦っていた。まあ、初戦の序盤なので、わからなくもないし、まずは安全に試合に入るのは悪い事ではない。問題は、本田の妙技で先制した以降だ。先制直後の時間帯だけは、内田の押上げと岡崎の動き出しで右サイドを幾度か破りかけたが、ここではよいボール回しができていた。ところが、前半の終盤からは再び引き過ぎる展開になってしまった。元々、このチームの守備の大きな課題は、相手ボールになった時に、守備の人数が揃っているにもかかわらず、安全に行こうとして引いてしまい攻め込みを許す事が多い事だった。この時間帯、この欠点が完全に出てしまい、イヤな雰囲気となってしまった。先制点を安全に守ろうと言う、過剰な慎重感が、どんどん状況を悪くしていた。
 2つ目は体調の悪さ。特にリードを許した後、明らかに多くの選手の足が止まってしまった。準備試合、コスタリカ、ザンビア戦では体調がベストには思えなかったが(身体の利きがまだ不十分に見えた)、各選手は終盤までよく走っていた。ところが、この日はこれから逆転を目指して戦わなければならないのに、運動量が激減してしまった。この大事な試合にベストコンディションに仕上げられなかったのは、ショックだった。そのような準備のうまさは、日本のストロングポイントのはずなのに(まさか決勝に合せて、序盤落としてはいった訳ではないよね)。

 本田の先制点はすばらしい個人技によるものだった。最初の右足のファーストタッチで、得意の左足で強くボールを捕える事ができる場所に置いたところで勝負あり。敵陣近くのスローインで、僅かに敵の守備が甘くなった隙を見逃さなかったのもよかった。それまでチーム全体が慎重になり過ぎていただけに、ありがたい先制点だった。そして上記の通り、その直後はよい時間帯もあった。
 ところが、上記の通り前半終盤また引き過ぎる展開になってしまった。これは、本田の意欲が空回りした事も要因だった。一度、強引なドリブルで中央を破りかけた場面があったが、そのイメージが強過ぎたのだろうか。ハーフウェイラインあたりで大迫がボールを受け、本田に落とすのだが、本田がそのあたりで無理に突破を狙おうとしてキープできずに攻め返される事が続いた。元々ブラックアフリカの選手はふところが深く、抜ききれない事も多い。だから、中盤あたりで無理をするのは、逆襲を許す事になりかねず危険なのだ。これは香川も同じで、この2人の中盤でのキープし損ねが状況を一層苦しいものにしてしまった。引き過ぎて押し込まれていたのだから、落ち着いてボールを回し、時間を稼ぎたかったのだが。
 それでも森重が上々の位置取りで、コートジボワールの強引なクロス攻撃をよく防ぎ前半終了。

 後半、一拍おいて遠藤を起用。ようやくボールが回り始める。慎重過ぎる流れを打開する的確な交代だった。一方、コートジボワールはドログバを起用、ここで日本はドログバにボールを出させないように遠藤を軸にプレスを強めなければならなかったが、ドログバを警戒してまた引いてしまった。結果、一番の弱点の香川の守備のところから、連続失点。ドログバ起用前にせっかく遠藤を投入し、ボールが回るようになりかけていたのだから、そのまま攻撃的な守備に切り替えればよかったのだ。
 前半の慎重過ぎる内容と言い、そもそも引いて守ろうとするオプションを選択していないはずのチームが、どうして引いてしまったのだろうか。相当経験を積んだはずのチームなのだが、大会のプレッシャに押しつぶされたのだろうか。
 それでも逆転された時点で、25分以上時間は残っていた。慌てる必要もないし、落ち着いて押上げボールを回す攻撃をすればよかったのだが。

 敗因は、自らの長所であるボール回しを放棄した事にある。ボール回しが止められたのではなく、自滅だったのだ。
 だから、立て直しは容易なはずだ。リスクを恐れず、ボールを回す事だ。そこで中盤に差し掛かったところで、このチームの特長である「縦」へのボールを入れる。昨年のオランダ戦やベルギー戦、先日のコスタリカ戦やザンビア戦で、当たり前にやれていた事をやればよい。もちろん、そのためには適切なコンディショニングが必要、中4日で的確な準備を行い、体調を整え直す事が必須なのだが。
 元々このチームの目標はベスト8以上を目指す事。得意のプレイを見せて、いたずらに守備的にならない方が、このチームは守備も安定するはずだ。そして、ギリシャとコロンビアに2連勝すればよい。
 事態は決して深刻ではない。
posted by 武藤文雄 at 15:57| Comment(31) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月14日

コートジボワール戦前夜2014

 まだ出発していません。
 トーナメントの最後の最後まで付き合うために、初戦は回避したのです。ギリシャ戦からの参戦となります。

 もう半月も前の事だが、キプロス戦翌日に、某有名新聞社会面に登場させていただいた。記事全体は「50過ぎのサッカー狂が、強くなった代表チームに目を細めるさま」を描写しており、実物よりも随分と上品なおじさんとなっていた。不満はない。実際、私はこんなに立派なおじさんではないし、もっと下品な男なのだが。ただ、
「攻撃に才能あふれた選手が多い今回は歴代最強。ベスト4も夢じゃない」と声を弾ませた
は、いかがなものか。記者さんが「巷では『ベスト4の可能性もあるのではないか』と言われてますが、どう思いますか?」とおっしゃるので、「1次リーグ突破確率は70%、1/16ファイナル勝利は30%、イングランドならばある程度いけそうだが、ウルグアイはちょっと厳しい、準々決勝はブラジル来るから5%くらいでしょうか。すると0.7×0.3×0.05、準決勝進出の確率は1%!大会前の時点でベスト4確率1%も持っている国は、そうはないはずです。」と申し上げたのだが。確かにそれと別に、「これだけ攻撃ラインにこれだけタレントが揃うとは、俊輔、憲剛、豊田、原口と言った選手達を選考しないで済むのですから。」とも言ったな。確かに合わせると「攻撃に才能あふれた選手が多い今回は歴代最強。ベスト4も夢じゃない」になるか。恐れ入りました。

 確率は変動する。
 2002年、アルゼンチン、フランス、ウルグアイが予想外の事態で早期敗退。その結果1次リーグ終了時に、日本はトルコ、セネガル、スウェーデンのブロックを勝ち抜けば、ベスト4に進出できる事になった。今思えば、丁寧に戦えば、トルコ戦もセネガル戦も60%以上の確率で勝つ事ができたように思う。つまり、ベスト4進出確率は36%以上だった事になる。残念な事にフィリップが舞い上がってしまい、トルコに対し自滅的敗戦。あれはあれで、12年前の実力だったんだ。
 ここからは夢想の世界。もし、今大会に全盛期の井原、そこまで行かずとも全盛期の中澤がいれば。今回のチームの守備の強さは格段に違うはず。そうなれば、1次リーグ突破確率は80%、1/16ファイナル勝利は50%、準々決勝はブラジルが来ても20%になる、つまりベスト4進出確率は8%になる。いや、井原と中澤の2人がいて、さらに最前線に往時の釜本がいれば、1次リーグ突破確率は95%、1/16ファイナル勝利は80%、準々決勝はブラジルが来ても45%、ベスト4進出確率は34%、いや、今のチームにこの3人が加われば、冗談抜きでワールドカップ戴冠は現実のものとなる事だろう。「今のチームに井原、釜本、中澤が加わる」と言った瞬間に、夢物語になるのは間違いないが、これは大変な進歩なのだ。南アフリカ大会前に、日本代表の歴代ベスト11でワールドカップに臨むと言う夢想をしても、「優勝できるかも」等とは誰も言えなかったはず。歴代ベスト11をぶつければ、ワールドカップ優勝できるのではないか、と妄想できる国の数はそう多くないはずだ。この4年間の進歩は、ものすごく大きいのだ。

 強いチームが完成しつつある。
 現実的に攻撃力(能動的な仕掛けで敵を崩す能力)と言う視点では、もはや我々は世界屈指に近いものを持っている。昨年のオランダ戦、ベルギー戦。先日のコスタリカ戦、ザンビア戦。課題もなくはない。しかし、攻撃力と言う視点から考えると、敵がどのような守備を行おうが、我々の攻撃力を的確に止められるとは思えない。

 もちろん不安がない訳ではない。
 守備の不安定さ。これにはいくつも要因がある。第一に井原や中澤のような「格段の危機管理能力」を持ったタレントがいない事。第二に麻也や酒井高徳に代表される「おバカ」を相当頻度で演じるタレントの存在。そして、第三にボール奪取の球際の強さの欠如、確かに、第一、第二についてはそう簡単に改善できるものではない。しかし、第三は各選手の体調が整えば存分に改善できるはず。特に山口蛍がベストコンディションで機能すれば、不安な守備は相当なレベルで向上するはずだ。だからこそ、蛍の警告累積が心配になり、細貝不在が心配になる。でも、そんな事はザッケローニ氏は十分に承知しているはず、それでもエヒメッシをメンバに残したのだから、どんな秘密兵器構想があるのかワクワクもするのだが。
 攻撃力のレベルに不安はないが、どうしても敵堅守をこじ開けたい時はどうするのだろうか。絶対的エースの岡崎、経験豊富な大久保、シャープな技巧がパオロ・ロッシを思わせる柿谷、万能型として釜本を彷彿させる大迫。彼らを並べるためには、香川か本田をベンチに、あるいは後方に、下げなければならない。しかし、本田の体調が上がらなかったために、そのテストができていないのだ。いや、さっさと点を取ってリードし続ければよいのだが。

 ワールドカップが開幕して、4試合を見た。ブラジルもオランダもチリもメキシコもクロアチアも、大敗したスペインも、皆素敵だ。でも、日本の攻撃力は、彼らと遜色ない。いや、我々の攻撃力は他国とは全く異なる美しい彩りがある。世界中どこの誰にも自慢できる技巧と連係の冴えがある。そして、全選手の圧倒的な献身がある。
 4年前、ワールドカップ終了後、こんな文章を書いた。当時と比較して日本代表が格段の進歩を遂げた今でも、「ワールドカップとは必ず負ける大会である」と言う思いは変わっていない。ただ、「必ず負ける」と言う思いに、ほんのちょっとだが「悔しい思い」を感じられるようになってきた。ブラジルも、アルゼンチンも、ドイツも、ウルグアイも、皆我々よりも戦闘能力が高い事は認めなければならないだろう。
 でも、我々は彼らの喉笛に食いつき、僅かな隙を逃さなければ打ち破り得る戦闘能力を身につけた。本当の勝負は2次トーナメントなのだ。

 だからこそ。
 我々は1次リーグを抜け出さなければならない。そして、その確率は決して低くないと思っている。上記したように、私の予想では70%の確率で抜け出せると思っている。たとえ、ドログバやヤヤ・トゥーレがいても、まとわりつくような組織力で彼らを完封する事を。そして、我々の美しい攻撃力を見せつける事を。
 「必ず負けるワールドカップ」を満喫するためにも、まずはドログバに絶望を味合せなければならない。
posted by 武藤文雄 at 23:27| Comment(5) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする