2014年09月07日

アジアカップに間に合うのか

 コロンビア戦の崩壊の感動が、あまりに大きかった事を言い訳に作文をサボっていました。さすがに、監督が代わり、有料のA国際試合が行われているのに、これではまずいと反省しております。崩壊大感動についても鋭意作文準備中ですが、日々のあれこれも可能な限り、真面目に作文していこうと思います。

 と言う事で、ウルグアイ戦。
 ホームとは言え、先方はワールドカップ本大会から継続してきたチーム、当方は(是非はさておき)既存のチームを大幅に作り替えようとしている現況。ちょっと残念なミスからの2失点だったとは言え、負けた事は仕方がないだろう。また、アギーレ氏がこの試合のようなやり方を継続するかどうかもわからないので、今日の1試合で、どうこう語るべきでもないだろう。
 と言う事で、雑感を並べてみたい。

 パスの名手が起用されなかった。
 中盤の3人。アンカーは本来CBの森重(この日の使われ方はフォアリベロと言う見方もあるかもしれないが)、ボール奪取が長所の細貝(散らすのはうまいが)、後方から飛び出し強いシュートを放てる田中順也。ここ最近の日本代表は名波、中田、俊輔、小野、遠藤、憲剛と言った、精度とタイミングのよいパスを繰り出す事ができる名手が必ずいた。そして、そこが日本のストロングポイントだった。ところが、今日は強いて言えば本田がその系譜に当たるくらい。この日攻めが単調となるきらいがあったのも、こう言ったパスの名手不在のためだったと思う。岡崎がCKを蹴ると言う冗談みたいな光景を幾度も見る事ができたし。終盤の僅かな時間帯だが、森岡が起用されると、ちょっと変化が生まれたように思ったのは私だけか。もちろん、アギーレ氏は森岡も柴崎も選んでいるので、そのようなタレント不要とは思っていないだろうが。

 新しい選手が特長をよく出した。
 40年来の日本代表サポータ経験の中で、全くどのような選手なのかわからなかった代表選手は、今回の坂井が初めてのように思う。もちろん、私が歳をとり、国内のトップリーグを丹念に追いかける事ができなくなっているためかもしれないが、やはり相当なサプライズな事は間違いない。その坂井だが、致命的なミスを犯してしまったが、それ以外の場面では相応のプレイを見せてくれた。ラインコントロールをしながらウルグアイのフィードをしっかりはね返せていたし、選考理由と言われている左足のロングフィードにも積極的だった。また皆川も(いや、「サンフレッチェの技巧もしっかりした大型ストライカ」と聞くだけでワクワクしてくるのですが)、ゴディンに厳しくマークされながらも、よくボールに絡み前線で持ちこたえてくれた。岡崎のクロスに対し、敵CBの間に入ってフリーでヘディングした場面など中々のものだった(決めて欲しかったけれども)。武藤も(同姓の日本代表選手を応援できるとは、何とも言えない感慨)、FC東京で見せてくれている能動的なプレイをよく見せ、思い切りよいシュートをポストに当てた。新しい選手が、皆代表での初戦で堂々とプレイできたのは、Jリーグを頂点とする国内サッカーの質的向上によるものだろう。さらに、アギーレ氏の精神面での指導が適切な事が期待できると言う事かもしれない。

 岡崎と本田。
 冒頭に述べたように、パスで崩せるタレントがいなかった事もあり、攻撃はこの2人の個人技頼りのところがあった。そして、この2人はその期待によく応え、よいプレイを見せてくれた。当たり前と言えば当たり前なのだが。実際、2人共自分のクラブでも好調なプレイ振り。そうこう考えると、ほんの3か月前にこの2人の能力を的確に組み合わせ損ねた事が悔しくてならないのだが。その悔しさは、これからおいおい講釈を垂れていきます。

 アジアカップに間に合うのか。
 ここまで新しい選手、それも経験の浅い選手を多用し、チームを作り変えようとしているのを否定はしない。4年の月日は長いし、新しい選手の開拓はとても重要だ。しかし、4か月後にアジアカップがある事を考えると、「これでよいのか?」と言う気持ちも出てきてしまう。まあ、この手の冷や冷や感は、日本代表の応援で最も愉しい概念とも言えるのだが。いや何せ、「アジアカップで負ける」と言う概念に、我々は慣れていないと言う事なのだが。
posted by 武藤文雄 at 02:06| Comment(9) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月24日

究極の幸福

 他力本願なのは残念だが、コートジボワールが容易にはギリシャに勝てない事は間違いない。日本は淡々とコロンビアに2点差の勝利を狙うのみである。
 2006年と状況は全く異なる。当時は「優勝候補筆頭のブラジルに3点差で勝つ」と言う不可能に近いミッションだった。それに対して今回は24年振りに2次ラウンド進出を決めているコロンビアに2点差で勝つ事。現実性が全く異なるのは、言うまでもない。

 元々このチーム、ダメな時はとことんダメな試合をしてしまう傾向があった。昨年の東欧遠征の酷さは記憶に新しいし、3次予選ホームウズベキスタン戦など「ここまで情けない試合をしてくれるか」と嘆息したのは、懐かしい思い出だ。
 ただ、これらの凡戦は、選手達のコンディションが悪かった時であり、最後の総決算で中々思うに任せない試合を見せられるとは思わなかった。ギリシャ戦はだいぶ改善された感もあったが、コートジボワールの足の止まり方はとても残念だった。
 大体、この攻撃サッカーを志向し、DFも攻撃の起点となれる選手ばかりを選考し、攻撃も能動的な仕掛けをできる選手があり余っているこのチーム。このチームが2試合を終えて勝ち点1に止まってしまう事は予想の範囲内だったかもしれない。しかし、得点が1に止まっている事(失点も2に止まっている事含め)は、まったくの予想外だ。

 しかしこの隔靴掻痒、切歯扼腕こそが、サポータの醍醐味と言うもの。これだから、サッカー応援はやめられない。
 思うに任せぬ展開、踊らぬ自慢の踊り子たち、裏目にばかり出る監督の采配、夕刊紙やゴシップ誌が嬉しそうに語る内紛劇、敵ばかりが巧妙に思えてくる錯覚、ちょっと勝てないと手のひら返しで采配批判する自称サッカーライター達、自虐的に「日本は弱い」と楽な態度に逃げる見せかけの僚友。
 思うようにいかないから、サッカーは究極の娯楽なのだ。それがわかっている俺達だけが、勝利時に真の快感を味わう事ができる。

 日本代表選手各員は皆、激しくタフに戦ってくれる事だろう。勝負はいかに相手以上に頭を働かせる事ができるかどうかに尽きる。
 具体的には攻守両面での、勇気と我慢。
 守備面では、相変わらず自陣深くに入られながらもズルズルと引き過ぎる場面が散見されている。チームメートが素早く帰陣しているのだから、もっと厳しく敵に当たる勇気を持って欲しい。攻撃面、日本の持ち味は技巧的なパス交換だ、だからこそペナルティエリアに崩しに行く勇気が絶対に必要なはず。
 一方で敵に1度攻撃をはね返された直後に攻撃をルーズボールを確保するために、無理なファウルを冒さずに我慢ができるか。そして、敵が守備を固めてきた時に、いかに我慢して粘り強く敵の隙を突く事ができるか。我慢できなくなった時の典型的な選択が運を天に任せるアーリークロスだ。もう、そんな光景は見たくない。
 ここ2試合、この勇気と我慢を体現しているのが内田だ。ドログバをも臆せず鮮やかなスライディングタックルで止めるなど右サイド後方を固め、前線に出るや粘り強く組み立てに参加し、勝負どころで決定機を演出している。全選手が、内田のように頭を働かせ、勇気と我慢を発揮してくれれば。


 40余年日本代表を応援してきた。
 愛するチームが、ここまで追い込まれているからこそ、「ブラジルに来てよかった」と心底思う。この苦境下、選手達と戦えるかと思うと、心が震える。
 この難しい状況からのコロンビア戦以降の日本代表復活劇を共に戦う事ができる。これ程幸せな状況に身を置ける事の感謝しつつ。
posted by 武藤文雄 at 07:16| Comment(26) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月19日

本田圭佑のはじまり

 ギリシャ戦。大変陳腐な言い方になってしまうが、鍵を握っているのは、本田圭佑のプレイにある事は間違いない。

 コートジボワール戦の先制点は、個人能力による得点という視点から言うと、日本代表史に残る一撃だった。スローインからの長友と香川の巧妙なつなぎを受け、非常に深い右足の持ち出しで、利き足の左足で強いインステップキックができるポイントに正確にボールを置く事に成功、一瞬バランスを崩しながらも強烈にゴールキーパのニアサイドを破った。本田と言う選手の、繊細な技巧と体幹の強さが、組み合わされた実に美しい得点だった。
 そもそも、過去の日本代表において、このような個人能力の冴えだけで、敵DFを粉砕し得点できるタレントは、過去もカミカゼ釜本とドラゴン久保しかいなかった。しかも本田は、この強烈な一撃を、よりによってワールドカップ本大会で決めてくれたのだから。

 いや、この時点で感じた未来への極めて明るい雰囲気は、中々よかったですよね。

 しかし、物事はそううまくは続かない。
 前半30分過ぎから、コートジボワールの攻勢に押し込まれる時間帯が続く。そして、この時間帯の本田のプレイ選択には疑問が残った。
 日本は、この日序盤から非常に慎重な対応で後方を厚くしていた。また、チームとして安全策を取るつもりだったのだろう、最終ラインから細かくつながず、前線へのロングボールを多用した。これは、初戦を大事に戦いたいと言う、ザッケローニ氏の意図だったのだろう。前線でのボールキープがうまい大迫をスタメン起用したのも、その現れだったと思う。実際、大迫は屈強なセンタバックにマークされながら、相応に空中戦を取りボールを収めた。
 それを受けた本田は、再三単身で突破を狙う。けれども、懐の深いコートジボワール選手を抜き切れず、逆にボールを奪われる事が多かった。そのため、日本は一層押し込まれてしまった。同点ゴールも、そうやって本田がボールを奪われたのが起点となったもの。この場面に限らず、本田はサポートして来る岡崎や長谷部を使い、チームとしてゆっくりしたボールキープを狙うべきだった。
 一方で、35分くらいだったか、本田が単身突破を成功しかけた場面は鮮やかだった。本田らしい技巧と強さを発揮して、単身中央突破、最後DFにブロックされたものの、素晴らしい前進だった。おそらく、本田は大事な大一番、押し込まれた苦境を、自らの能力で打開しようとしたのだと思う。そして、この場面に代表されるように、状況に恵まれれば、本田は1人で全ての問題を解決し得る能力を持っている。しかし、サッカーは90分間フルタイムで無理をし続ける競技ではない。時間帯によってはテンポを落とし、状況によっては我慢が必要だ。この日の本田のプレイは、決して悪い意味で独善的とは言わないが、過剰な責任感による無理のし過ぎに思えた。

 その他の場面でも、本田の無理し過ぎは散見された。
 後半立ち上がり、日本は久々に攻勢が取れた。本田を筆頭に大迫、岡崎がよいフォアチェック。日本らしいパス攻撃が奏功しかけた。さらに遠藤を投入、よい攻撃が続いた。ところが、この時間帯、本田が凝ったラストパスを狙い過ぎ、結果的に崩し切れなかった。これは以前から本田に見受けられる課題でもあるのだが。
 前半、麻也の判断よい前進から作られた攻撃、本田はちょっと溜めて進出してくる内田に渡し、その後の内田の個人技による決定機を演出した。このように、いつも凝った攻撃を選択せずに、ちょっと絡んで変化を付けるだけで、本田はもっと好機を演出できるはずだ。

 ドログバは登場した直後、日本の左サイドを強引に突破しようとした。それに対して本田は並走してショルダーチャージでドログバのバランスを崩し、自らの身体を入れる事で止めようとした。しかし、これは相手が悪く、逆に飛ばされ突破を許してしまった。結果的に日本の守備ラインはドログバの前進を恐れ引いてしまい、状況を一層悪いものにしてしまった。ドログバのような選手を止めるためには、まずよい体勢でボールを渡さない事、もしそれに失敗したら粘り強く複数の選手で押さえ込む事。だから、この場面も本田は1人で無理をせずに、後方からカバーする長友あたりと落ち着いて連係すべきだった(そう言う意味では、終盤逆襲から単身突破を狙ってきたドログバに対して、外側から並走しスライディングタックルで止めた内田は秀逸だった)。
 敵の大エースを自ら封じ込めようとした本田の意気は素晴らしかったのだが、ここはもう一段の冷静さが欲しかった。

 先制点なり、前半の突破の場面で見せてくれた本田の個人能力は格段のものだった。そして、こう言った鮮やかな場面を見せてくれながらも、この日の本田のプレイには、上記クドクドと講釈を垂れてきたように、不満も多かった。
 いつも無理をする必要はないのだ。常に頭を働かせ、チームメートと連係し、本当の勝負どころで格段の個人技発揮してくれればよいのだ。
 そして、本田はこのコートジボワール戦で学習したはずだ。過剰な責任感による無理のし過ぎではなく、適切な責任感による冷静な判断で、本田はもっともっと輝く事ができる。
 人間を最も成長させるのは失敗経験だ。そして、ワールドカップ本大会での手痛い失敗経験は、最大の糧となるはずだ。このコートジボワール戦の一連の失敗経験は、本田圭佑と言うインタナショナルクラスのスタア選手を、本当の意味でのワールドクラスのスーパースタアにするものだったのではないだろうか。

 ブラジルに向かう飛行機で、この雑文をしたためている。
 サッカー王国におけるワールドカップ。
 ギリシャ戦、そしてそれ以降。さらに大化けした本田圭佑が、私にかつてない歓喜を提供してくれる事を信じて疑わない。
posted by 武藤文雄 at 06:56| Comment(14) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月15日

自滅だから立て直しは容易だ

 思うに任せないからサッカーはおもしろい。ただ、ここまで思うに任せないサッカーを見せられるとは思ってもいなかった。
 初戦で負けたと言う結果はとても残念だ。しかし、結果以上に残念だったのは、この4年間継続して強化してきた、素早いパスを回すサッカーを放棄してしまった事だ。対戦相手のコートジボワールがよさを消してきた訳でもない。ただ、日本の各選手が、押上げを怠り、パスコースを作る努力をせず、自分たちが得意なサッカーをしようとしなかった。
 逆転を許した後、今こそ粘り強くボールを回していやらしく攻め込まなければならないのに、淡泊な縦パス主体の攻撃しか狙わない。さらに驚いたのは、終盤吉田麻也を前線に上げ、パワープレイに出た事。チーム全体が、得意なプレイを意図的に放置してしまったのだから、残念だった。
 
 そのような試合ができなかったのには2つの要因があると思う。
 1つはあまりに慎重過ぎた事。前半立ち上がりから裏を取られないためだろう、いつも以上にチーム全体が引いて戦っていた。まあ、初戦の序盤なので、わからなくもないし、まずは安全に試合に入るのは悪い事ではない。問題は、本田の妙技で先制した以降だ。先制直後の時間帯だけは、内田の押上げと岡崎の動き出しで右サイドを幾度か破りかけたが、ここではよいボール回しができていた。ところが、前半の終盤からは再び引き過ぎる展開になってしまった。元々、このチームの守備の大きな課題は、相手ボールになった時に、守備の人数が揃っているにもかかわらず、安全に行こうとして引いてしまい攻め込みを許す事が多い事だった。この時間帯、この欠点が完全に出てしまい、イヤな雰囲気となってしまった。先制点を安全に守ろうと言う、過剰な慎重感が、どんどん状況を悪くしていた。
 2つ目は体調の悪さ。特にリードを許した後、明らかに多くの選手の足が止まってしまった。準備試合、コスタリカ、ザンビア戦では体調がベストには思えなかったが(身体の利きがまだ不十分に見えた)、各選手は終盤までよく走っていた。ところが、この日はこれから逆転を目指して戦わなければならないのに、運動量が激減してしまった。この大事な試合にベストコンディションに仕上げられなかったのは、ショックだった。そのような準備のうまさは、日本のストロングポイントのはずなのに(まさか決勝に合せて、序盤落としてはいった訳ではないよね)。

 本田の先制点はすばらしい個人技によるものだった。最初の右足のファーストタッチで、得意の左足で強くボールを捕える事ができる場所に置いたところで勝負あり。敵陣近くのスローインで、僅かに敵の守備が甘くなった隙を見逃さなかったのもよかった。それまでチーム全体が慎重になり過ぎていただけに、ありがたい先制点だった。そして上記の通り、その直後はよい時間帯もあった。
 ところが、上記の通り前半終盤また引き過ぎる展開になってしまった。これは、本田の意欲が空回りした事も要因だった。一度、強引なドリブルで中央を破りかけた場面があったが、そのイメージが強過ぎたのだろうか。ハーフウェイラインあたりで大迫がボールを受け、本田に落とすのだが、本田がそのあたりで無理に突破を狙おうとしてキープできずに攻め返される事が続いた。元々ブラックアフリカの選手はふところが深く、抜ききれない事も多い。だから、中盤あたりで無理をするのは、逆襲を許す事になりかねず危険なのだ。これは香川も同じで、この2人の中盤でのキープし損ねが状況を一層苦しいものにしてしまった。引き過ぎて押し込まれていたのだから、落ち着いてボールを回し、時間を稼ぎたかったのだが。
 それでも森重が上々の位置取りで、コートジボワールの強引なクロス攻撃をよく防ぎ前半終了。

 後半、一拍おいて遠藤を起用。ようやくボールが回り始める。慎重過ぎる流れを打開する的確な交代だった。一方、コートジボワールはドログバを起用、ここで日本はドログバにボールを出させないように遠藤を軸にプレスを強めなければならなかったが、ドログバを警戒してまた引いてしまった。結果、一番の弱点の香川の守備のところから、連続失点。ドログバ起用前にせっかく遠藤を投入し、ボールが回るようになりかけていたのだから、そのまま攻撃的な守備に切り替えればよかったのだ。
 前半の慎重過ぎる内容と言い、そもそも引いて守ろうとするオプションを選択していないはずのチームが、どうして引いてしまったのだろうか。相当経験を積んだはずのチームなのだが、大会のプレッシャに押しつぶされたのだろうか。
 それでも逆転された時点で、25分以上時間は残っていた。慌てる必要もないし、落ち着いて押上げボールを回す攻撃をすればよかったのだが。

 敗因は、自らの長所であるボール回しを放棄した事にある。ボール回しが止められたのではなく、自滅だったのだ。
 だから、立て直しは容易なはずだ。リスクを恐れず、ボールを回す事だ。そこで中盤に差し掛かったところで、このチームの特長である「縦」へのボールを入れる。昨年のオランダ戦やベルギー戦、先日のコスタリカ戦やザンビア戦で、当たり前にやれていた事をやればよい。もちろん、そのためには適切なコンディショニングが必要、中4日で的確な準備を行い、体調を整え直す事が必須なのだが。
 元々このチームの目標はベスト8以上を目指す事。得意のプレイを見せて、いたずらに守備的にならない方が、このチームは守備も安定するはずだ。そして、ギリシャとコロンビアに2連勝すればよい。
 事態は決して深刻ではない。
posted by 武藤文雄 at 15:57| Comment(31) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月14日

コートジボワール戦前夜2014

 まだ出発していません。
 トーナメントの最後の最後まで付き合うために、初戦は回避したのです。ギリシャ戦からの参戦となります。

 もう半月も前の事だが、キプロス戦翌日に、某有名新聞社会面に登場させていただいた。記事全体は「50過ぎのサッカー狂が、強くなった代表チームに目を細めるさま」を描写しており、実物よりも随分と上品なおじさんとなっていた。不満はない。実際、私はこんなに立派なおじさんではないし、もっと下品な男なのだが。ただ、
「攻撃に才能あふれた選手が多い今回は歴代最強。ベスト4も夢じゃない」と声を弾ませた
は、いかがなものか。記者さんが「巷では『ベスト4の可能性もあるのではないか』と言われてますが、どう思いますか?」とおっしゃるので、「1次リーグ突破確率は70%、1/16ファイナル勝利は30%、イングランドならばある程度いけそうだが、ウルグアイはちょっと厳しい、準々決勝はブラジル来るから5%くらいでしょうか。すると0.7×0.3×0.05、準決勝進出の確率は1%!大会前の時点でベスト4確率1%も持っている国は、そうはないはずです。」と申し上げたのだが。確かにそれと別に、「これだけ攻撃ラインにこれだけタレントが揃うとは、俊輔、憲剛、豊田、原口と言った選手達を選考しないで済むのですから。」とも言ったな。確かに合わせると「攻撃に才能あふれた選手が多い今回は歴代最強。ベスト4も夢じゃない」になるか。恐れ入りました。

 確率は変動する。
 2002年、アルゼンチン、フランス、ウルグアイが予想外の事態で早期敗退。その結果1次リーグ終了時に、日本はトルコ、セネガル、スウェーデンのブロックを勝ち抜けば、ベスト4に進出できる事になった。今思えば、丁寧に戦えば、トルコ戦もセネガル戦も60%以上の確率で勝つ事ができたように思う。つまり、ベスト4進出確率は36%以上だった事になる。残念な事にフィリップが舞い上がってしまい、トルコに対し自滅的敗戦。あれはあれで、12年前の実力だったんだ。
 ここからは夢想の世界。もし、今大会に全盛期の井原、そこまで行かずとも全盛期の中澤がいれば。今回のチームの守備の強さは格段に違うはず。そうなれば、1次リーグ突破確率は80%、1/16ファイナル勝利は50%、準々決勝はブラジルが来ても20%になる、つまりベスト4進出確率は8%になる。いや、井原と中澤の2人がいて、さらに最前線に往時の釜本がいれば、1次リーグ突破確率は95%、1/16ファイナル勝利は80%、準々決勝はブラジルが来ても45%、ベスト4進出確率は34%、いや、今のチームにこの3人が加われば、冗談抜きでワールドカップ戴冠は現実のものとなる事だろう。「今のチームに井原、釜本、中澤が加わる」と言った瞬間に、夢物語になるのは間違いないが、これは大変な進歩なのだ。南アフリカ大会前に、日本代表の歴代ベスト11でワールドカップに臨むと言う夢想をしても、「優勝できるかも」等とは誰も言えなかったはず。歴代ベスト11をぶつければ、ワールドカップ優勝できるのではないか、と妄想できる国の数はそう多くないはずだ。この4年間の進歩は、ものすごく大きいのだ。

 強いチームが完成しつつある。
 現実的に攻撃力(能動的な仕掛けで敵を崩す能力)と言う視点では、もはや我々は世界屈指に近いものを持っている。昨年のオランダ戦、ベルギー戦。先日のコスタリカ戦、ザンビア戦。課題もなくはない。しかし、攻撃力と言う視点から考えると、敵がどのような守備を行おうが、我々の攻撃力を的確に止められるとは思えない。

 もちろん不安がない訳ではない。
 守備の不安定さ。これにはいくつも要因がある。第一に井原や中澤のような「格段の危機管理能力」を持ったタレントがいない事。第二に麻也や酒井高徳に代表される「おバカ」を相当頻度で演じるタレントの存在。そして、第三にボール奪取の球際の強さの欠如、確かに、第一、第二についてはそう簡単に改善できるものではない。しかし、第三は各選手の体調が整えば存分に改善できるはず。特に山口蛍がベストコンディションで機能すれば、不安な守備は相当なレベルで向上するはずだ。だからこそ、蛍の警告累積が心配になり、細貝不在が心配になる。でも、そんな事はザッケローニ氏は十分に承知しているはず、それでもエヒメッシをメンバに残したのだから、どんな秘密兵器構想があるのかワクワクもするのだが。
 攻撃力のレベルに不安はないが、どうしても敵堅守をこじ開けたい時はどうするのだろうか。絶対的エースの岡崎、経験豊富な大久保、シャープな技巧がパオロ・ロッシを思わせる柿谷、万能型として釜本を彷彿させる大迫。彼らを並べるためには、香川か本田をベンチに、あるいは後方に、下げなければならない。しかし、本田の体調が上がらなかったために、そのテストができていないのだ。いや、さっさと点を取ってリードし続ければよいのだが。

 ワールドカップが開幕して、4試合を見た。ブラジルもオランダもチリもメキシコもクロアチアも、大敗したスペインも、皆素敵だ。でも、日本の攻撃力は、彼らと遜色ない。いや、我々の攻撃力は他国とは全く異なる美しい彩りがある。世界中どこの誰にも自慢できる技巧と連係の冴えがある。そして、全選手の圧倒的な献身がある。
 4年前、ワールドカップ終了後、こんな文章を書いた。当時と比較して日本代表が格段の進歩を遂げた今でも、「ワールドカップとは必ず負ける大会である」と言う思いは変わっていない。ただ、「必ず負ける」と言う思いに、ほんのちょっとだが「悔しい思い」を感じられるようになってきた。ブラジルも、アルゼンチンも、ドイツも、ウルグアイも、皆我々よりも戦闘能力が高い事は認めなければならないだろう。
 でも、我々は彼らの喉笛に食いつき、僅かな隙を逃さなければ打ち破り得る戦闘能力を身につけた。本当の勝負は2次トーナメントなのだ。

 だからこそ。
 我々は1次リーグを抜け出さなければならない。そして、その確率は決して低くないと思っている。上記したように、私の予想では70%の確率で抜け出せると思っている。たとえ、ドログバやヤヤ・トゥーレがいても、まとわりつくような組織力で彼らを完封する事を。そして、我々の美しい攻撃力を見せつける事を。
 「必ず負けるワールドカップ」を満喫するためにも、まずはドログバに絶望を味合せなければならない。
posted by 武藤文雄 at 23:27| Comment(5) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月08日

憲剛と寿人のために

 ザンビア戦、3対3になる同点弾を食らった直後、何とも言えない「ああ、またか」的な重苦しい雰囲気が漂った。
 そこからのキックオフ。遠藤爺と交代した青山の「一発やってやろう」と言う表情は、中々のものだった。そして、キックオフ直後の、青山得意の鋭く深い縦パス、大久保の完璧なトラップからの一撃。凄い得点だった。もうあれを見てしまうと「守備がどうのこうの」と言った議論は飛び去ってしまったのは、1つ前のエントリで講釈を垂れた通り(まあ、ひどい守備だったけれどもねえ)。

 ともあれ。

 あの青山の高精度縦パスにせよ、大久保の超弩級弾にせよ、それぞれJで見慣れた光景ではあった。青山の速射砲の受け手は佐藤寿人、大久保へのセンチメータパスの出し手は中村憲剛と言う違いはあるものの。そして、(前回も述べたが)あのような攻撃を防ぐ手段はカンナヴァーロしかないのだ。
 青山、大久保が共にプレイするのは、今回の代表チームが初めてのはず。この短い準備期間で、2人がこれだけ鮮やかな連係を作りこむ事ができた事は素晴らしい事だ。そして、青山は寿人、大久保は憲剛と言う、それぞれブラジルに行く23人と遜色ない(いや実績や個人能力からすれば勝っている)最高のチームメートを所有している事が、この短期の連係構築成功につながった事は間違いない。
 憲剛と寿人はブラジルには行かない。しかし、憲剛と寿人がいなければ、この得点はなかった。憲剛と寿人がいなければ、ここまで強力なチームを作る事はできなかった。

 これが日本代表チームだ。

 代表チームと言うものは、「最高最強の23人」が選考されるものではない。
 強化の総責任者(今回は原博実氏)が選考した、現場の総責任者である監督(今回はザッケローニ氏)が、「目標に実現に最適なチームを構成できると判断した23人」が選考されるものなのだ。そして、ザッケローニ氏は、この日の4点目でその眼力の鋭さを改めて証明してくれた事になる。
 その格段の眼力を誇るザッケローニ氏が、「この組み合わせが最もよい結果を生む確率が高い」と熟慮した決定したのが、ブラジルに到着した23人だ。だからこそ、すべての選手が、それを誇りに戦ってくれれば。

 例えば、ワントップの位置を大久保と争う柿谷曜一郎と大迫勇也。柿谷と大迫のの個人能力の高さは言うまでもない。それぞれの特長を最大限に発揮すれば、世界中どんなセンタバックをも破り得点できる能力を所有している。しかし、ここ一連の準備試合のこの2人のプレイを見る限り、決して悪いプレイとは言わないが、周囲の本田や香川に妙な遠慮が見受けられる。
 改めて、この2人に期待したいのだ。ザッケローニ氏に選考されたと言う誇りと自信を胸に、己の能力を最大限に発揮して欲しい。もちろん、それは単に得点を狙うと言う事にとどまらず、味方への献身だったり、敵を惑わす空動きだったり、様々な切り口がある。ただ、柿谷にしても大迫にしても、単に本田と香川と大久保に合わせるのではなく、彼らに己のプレイに合させるようなアプローチをもっとしてくれれば。
 香川と大久保が精妙なパス回しで柿谷を抜け出させてもよい。柿谷と香川があり得ないような技巧で敵を打ち破り本田に強烈な一撃を打たせてもよい。大迫と本田が2人で敵DF4人を引き連れてつぶれ岡崎をフリーにしてもよい。岡崎と大久保の瞬発力で敵DFを振り切り最後に大迫が強烈な一撃をネットに突き刺してもよい。
 柿谷と大迫が、もっともっとザッケローニ氏が期待するようなよい意味での自己主張をすれば、ただでさえ強力な攻撃を、もっともっと豪華絢爛なものにする事ができるはずだ。

 中村憲剛も佐藤寿人もそれを願っている。
posted by 武藤文雄 at 21:10| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月07日

素敵なおもちゃ箱

 ひどい試合だった。 

 この日、日本が繰り返した失点は、既視感の連続。
 敵の攻め込みをはね返し損ね、押し込まれた形でボールを回され、DF、MFのほとんどが中央に集まってしまい、逆のサイドを使われ、そのクロスを押し込まれた1点目。ファウルを怖れて敵のボール保持者への対応が遅れ、簡単にサイドに展開され、ライン際の選手をフリーにしてしまう。幾度、このような失点を見せられた事か。ああも遅攻からのサイドチェンジに簡単にやられ続けると、「サンフレッチェに練習試合をしてもらって対策を練りなさい!」と怒鳴りつけたくなるではないか。サンフレッチェの両翼に開くパスワークを止めるために、Jの各チームが青山や森崎和に厳しいプレスをかける工夫を、少しくらい学んで欲しい。うん、先日の我がベガルタのように。
 2点目も、おなじみの光景だった。押し込まれて、ボール保持者への対応が遅れて、深く攻め込まれてCKを与え、そこから失点。セットプレイからの失点が多いから、無理なボール奪取を怖れ、そのためゴールライン近くまでの攻め込みを許し、結局CKを提供する悪循環。セットプレイからの失点は、防ぎようないところもあるが、ゴール前のゴチャゴチャでの粘り強い守備対応をやり損ねるのを修正できずに、とうとう本大会を迎える事になった。
 前線でボールを奪われ、あるいは集中守備をかわされ、速攻を許す。何とか人数が足りているのだが、寄せやタックルが甘く失点を許した3点目。これまた、何度も繰り返された失点パタンだった。前線のせまいところで人を集中させるのは、日本の攻撃のストロングポイントの1つだから、このような速攻を許すのは表裏一体。しかし、そこからの切り替えが遅れるのみならず、当たる事を躊躇し、突破やシュートを許す頻度が多いのは、何とかならないものか。

 こう言った守備の課題は、ずっとわかっていた事だ。そして、それが修正されていない。おそらく、本大会でも同じ光景を幾度か目にする事だろう。
 何故ならば、このような守備の課題を解決する手段は、一種の天性の守備感覚(言わば危機管理能力)で敵を止める選手の存在しかないからだ。過去を思い出してほしい。井原や中澤がいた時は、最後の最後、理屈抜きに一番危ない所を予期してつぶしに言ってくれたではないか。これはもう素質の問題だ。
 そして、今そのようなセンタバックを我々は所有していない。森重や今野よりも危機管理能力に優れるセンタバックは、どこを探してもいない。せいぜい、思い当たるのは中澤と闘莉王くらいだろう。そして、この2人が中4日の試合を5試合以上戦い抜く事は相当難しい。ここはむしろ「過去、井原や中澤のようなセンタバックを所有できた事が幸せだった」と考えるべきなのだろう。あのクラスのセンタバックをコンスタントに供給可能な国は、ワールドカップ優勝経験のあるほんの限られた国しか過ぎない。そう考えれば、これは今の我々の限界なのだ。

 しかし、改善の余地はいくらでもある。
 各選手の体調はまだまだベストにほど遠かったからだ。だから、出足の一歩目が遅れ、普通なら確保できるボールが競り合いになる。競り合いになっても、身体の利きが悪いので、瞬発力が高くプレイイングディスタンスが大きいザンビア選手に当たられて、粘り切れずキープできない。それがわかっているから、腰が引けた当たりになってしまう。だから、各選手の体調がベストになれば、状況は飛躍的に改善されるはずだ。各選手が、勝負どころでしっかりボールを奪いに行く勇気を持ち、実際に厳しく当たってくれれば。相応に強力な守備網を構築できるはずだ。
 もう1つ。この日失点の最終場面に絡んだのは内田と蛍。これは偶然ではない。この2人はセンタバックではないが、今の代表チームで、上記の危機管理能力を最も所有している選手だ。だから、一番危ない場面に絡む事となる。内田が絡む失点が多いのは、内田が振り切られずに、敵の攻撃の一番危ないところを予測してそこに位置取りするからだ。ただ、体勢の悪さと体幹の弱さでやられてしまう。体調が整っていれば、あそこで粘り強く止め切ってくれるはずだ。3点目の山口も(その直前に同様にミドルシュートを許した場面も)身体の利きが悪く、寄せきれなかった。これも体調がよければ、詰め切れたはずだ。そして、蛍自身、ブラックアフリカの大人のチームとの対戦経験は、昨年のガーナ戦くらいのものではないか。そのような意味では今日の失敗経験は、コートジボワール戦に向け、恰好のものとなったはずだ。

 などと、「ああでもない、こうでもない」と、思うに任せない現実を憂慮するのは、とても愉しい事だ。

 しかし、今私はそのような愉しみを、格段に超えた愉しみを保有している。
 この私の豪華絢爛な攻撃陣は、どんな相手をも崩し切り、どんな相手からも大量点を奪う事ができる。分厚い守備で中南米予選を戦い抜いたコスタリカ相手でも、組織的な攻守を展開した(しかもよく日本を研究していた)ザンビア相手でも、終盤に至り自在にボールを回せるようになり、守備網を完全に粉砕する事に成功した。我々の攻撃を止める唯一の手段は、守備ラインにカンナヴァーロを装備する事くらいだろう。
 このような美しい代表チームを世界中の人々に見せびらかす事ができるのだ。これ以上の喜びがあろうか。

 確かに守備は甘い、本大会で、その甘さに涙する事もあるかもしれない。しかし、それがどうしたと言うのだ。82年のセレソンだってそうだった。そして、あの「組織化された混乱」による攻撃は、32年の月日が経った今なお、我々に甘美な記憶を提供してくれているではないか。
 我々は世界中の人々に美を提供できるチームを所有するに至ったのだ。

 齢53歳で、とうとう、こんな素敵なおもちゃ箱を入手できました。ありがとう、ザッケローニ。ありがとう、原博実
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2014年03月05日

ニュージーランド戦前夜2014

 明日はニュージーランド戦。ベガルタサポータとしては、マグリンティの代表でのプレイ振りが最大の注目となるが、ここは代表サポータとして講釈を垂れる事とする。

 昨年、日本代表は、本大会出場確定後、コンフェデ、地元でのウルグアイ戦、欧州での強豪国戦と、豪華絢爛かつ効果抜群の準備試合をたっぷりと行う事ができた。ところが、本大会のある今年は打って変わって、確定しているのは地元でのニュージーランド戦とキプロス戦のみ。現実的にはブラジル入りしてから、強豪国と複数試合を組むのだろうが、随分と地味な準備状況となっている。
 遠路はるばるの国を迎えるよりは確実にベストメンバで来日してくれる国を選考した、やや戦闘能力は劣るが仮想ギリシャとしての準備ができる、ほぼ固まった来ているチーム作りの最終確認には(少々失礼な言い方になるが)やや戦闘能力の落ちる国との試合が適切、など熟考熟慮の末のマッチメークなのだろう。そうに決まっている。うん、そうだよね。もっともニュージーランドは南アフリカ大会唯一負けなかった国なのだから、失礼な事を言ってはバチが当たるな。遥か去る事30年前のロサンゼルス五輪予選ではホーム&アウェイで2敗したっけな。

 さて、昨日はストライカを捨て得る権利について散々思考実験を愉しんだ訳だが、今日は悲観的見地となりがちのポジション、センタバックについて講釈を垂れようと思う。
 多くの方が同意されると思うが、今のチームで不安が最もあるのはセンタバックだろう。それ以外のポジションは、いずれも選手層も分厚く、南アフリカ大会のメンバを凌駕している感がある。けれども、現時点と言う事になるが、センタバックだけは4年前の方が安心感があった。
 吉田麻也は、再三代表チームであり得ない軽率なミスから失点に貢献してきている。今野は最も安定感があるが、常に高さに不安を抱える(そう言う意味で、長身選手を軸とするニュージーランド、キプロスと言う相手と試合を組むのが大事だったのかしら)。森重はとてもよい選手だが代表でも自クラブでも時々決定的ミスをする。伊野波は昨シーズンのジュビロでのプレイは必ずしも格段のものではなかった。
 思い起こせば、4年前。中澤と闘莉王の2人は完全確定していたが、中々バックアップが定まらなかった。バックアップが定まらない事で岡田氏をさんざん批判した向きが多かったが、今回はレギュラさえ怪しいがそのような批判が起こらないのも、中々興味深い。
 個人的には闘莉王の呼び戻しに期待していたが、ここまで招集しないと言う事は、やはりザッケローニ氏の構想外と言う事なのだろうか。

 そうなると、やはり期待は麻也と言う事になる。
 今シーズンはサウサンプトンでも中々起用される事がなく心配されたが、ここに来て定位置を獲得しつつあると言う。上記したように、時々おバカはするが、単純な高さ、大柄な割には横への動きもそう悪くない事、フィードの精度など、潜在能力は非常に高いものがある。おバカも問題だが、もう1つの不安は、危機察知能力。例えばガーナ戦、セルビア戦など、敵攻撃が精度を欠き混戦模様になった時に、なすすべもなくそのまま失点するケースがままある。往時の井原や中澤がいた時代は、そのような混戦状態になっても、最後には一番危ないところを彼らが押さえる事で失点を回避していた。しかし、現時点での麻也はそのような危機察知能力をまだ持っていないようだ。余談ながら、今の日本守備陣で「その感覚」を一番持っているのは内田だと思う。混戦状態から敵が決定機をつかみかける場面で内田がアプローチするのを幾度も観た事がある。ただし、内田は体幹の強さに欠ける。代表チームで、最後内田が身体を張りながら止め切れないための失点を幾度観てきた事か。
 地位が人を作る。闘莉王も昔はひどかった。しかし、南アフリカ予選の敵地カタール戦、中澤が欠場した試合で守備をまとめる役割を負った事で、大化けした。そう考えると、麻也もそろそろ大化けしてよい頃だ、期待したい。

 昨秋から何回「国立最後の」試合が行われてきた事か。そして、明日はいよいよ日本代表の国立競技場最後の試合となる。実際、私にとっても最後の国立競技場詣でになるような気がする。
 思い起こせば、1976年高校1年生の時だった。ペレが在籍していたニューヨークコスモス対日本選抜(監督は当時の代表監督二宮氏が務めたが、日程の都合で代表ではなく選抜チームが戦った)を観戦するために上京したのが、最初の国立体験だった。奥寺と碓井の得点に興奮したのは、つい昨日のようにすら思える。あれから38年が経過したのか。
 天気予報は雨だと言う。氷雨に打たれながら、38年間を反芻するのも悪くないかもしれないな。
posted by 武藤文雄 at 02:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月04日

ストライカを捨てる贅沢

 明後日はニュージーランド戦。

 「パオロ・ロッシ以来の技巧とタイミングで得点を多産し得る」柿谷の離脱は残念だが、1860ミュンヘンで好調に得点を重ねている「釜本以来の万能型ストライカ候補」大迫、Jのピッチで「日本サッカー初の肉体的強さで他を圧倒する」豊田に期待できるのだから、ありがたい事だ。

 正直言って、ブラジル大会での結果はさておき、「どのストライカを捨てるべきか?」と言う身分になれた事だけで満足している自分がいる。
 経験豊富な前田もいる。色々な使い方が可能な工藤もいる。存在感が格段な川又もいる。もちろん、南アフリカで捨て石となる厄介な仕事を貫徹し一方で過去の経歴で最高の得点力を見せてくれた大久保もいる。
そして、とにかく寿人。
 さらに言えば、彼らよりも格段の実績を持つ岡崎。

 点を取る事に悩まないのは、サポータとして格段に贅沢な事なのは言うまでもない。しかし繰り返すが、現実はもっと良好だ。捨てる選択肢を悩むのだから。

 あ、無事チケットも当選しました。日本が決勝まで残っても大丈夫です。
posted by 武藤文雄 at 00:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月10日

上々の抽選

 抽選終了から丸2日経ち、冷静さを取り戻すと、コスタリカが無性に羨ましくなってきた。ねえ。

 ともあれ、上々の抽選だった。
 簡単な話だ。他のアジア、北中米各国と、日本を置き換えてみればよい。「このグループより楽かな?」と思えるのは、E組(スイス、エクアドル、フランス)、H組(ベルギー、アルジェリア、ロシア…何かちょっと酸っぱい記憶が、これで隣国が負けたら…)くらいか。
 F組(アルゼンチン、ボスニアヘルツェゴビナ、ナイジェリア)とA組(ブラジル、クロアチア、カメルーン)は、C組と比較して、欧州国は同等、アフリカ国はやや楽、と言う印象だが、南米の2巨人とは引き分けに持ち込むのは相当厳しい。いくらなんでも、コロンビアの方が、この2巨人よりは勝ち点をとれる可能性は高いと言うもの。この2グループのように、「1強」がいると、残り3国で「1枠」を争う必要があり、相当シンドイ事になる。それに比べると、我がC組は4国で2枠を争うことできる。2/4,50%の方が、1/3,33.3%よりも格段に確率が高いのは言うまでもない。
 そして残り3組。それぞれ、冗談のようなグループだ。B組(スペイン、オランダ、チリ)、D組(ウルグアイ、イングランド、イタリア)、G組(ドイツ、ポルトガル、ガーナ)。冒頭に「コスタリカが羨ましい」と講釈を垂れたが、より丁寧に組み合わせを見てみると、D組のコスタリカの方が、B組の豪州やG組の合衆国よりはましに思えてくる。まあ、いいや。我々はC組なのだから。

 さらに言うと、C組を勝ち抜いたとしての1/16ファイナル。D組のウルグアイ、イングランド、イタリア、そしてコスタリカのいずれかが来る(北中米トップで抜けたコスタリカが来る可能性も、相応にあると見ているのだが)。もちろん、彼らは激烈グループを抜け出すのに全精力を使い切っているはず。これは、ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、スペインが来るよりずっとよい。つまり、D組抜けのいずれの強豪国がきても、超最強国は来ないのだ。もちろん、1/16ファイナルで、イタリアに楽に勝てるとは思っていない。でも、ブラジルやドイツよりは、やりようがあるはずだ。つまり、ベスト8までの道は開かれたのだ。

 ちょっと悔しいけれど、我々にとって重要な事は、まずは1次ラウンドを着実に抜け出す事、そして1/16ファイナルを勝ち抜く事だ。7試合を粘り強く戦い抜き、最高の成績を収める事は、我々にとって「夢」なのだが、残念ながら、それは現実的な目標ではない。まずは、4試合ををしっかりと勝ち抜く事が肝要だ。
 そう考えると、上々の組み合わせではないか。唯一贅沢を言えば、アフリカポッドからは、もう少し楽そうな相手を引きたかったくらいか。
 そして、ワールドカップを勝ち抜くと言う経験については、我々は同組の3国を上回る。コロンビアが前回ベスト16に入ったのは、90年大会。あの1/16ファイナル、その試合、彼らしいは名GKイギータの考えられないミスから、カメルーンの老ミラにしてやられ敗戦した。コロンビアについては、あれ以降の1次リーグ抜け狙いとなる。もう23年前なのだ。そして、コートジボワールとギリシャの、経験不足は言うに及ばない。彼らはワールドカップで1次ラウンドを抜け出した経験すらないのだ。我々は過去3大会で、2回グループリーグを抜けるのに成功している。この差は大きい。
 過度に楽観する事も、過度に悲観する事もなく、同グループの3国を軽んじる事もなく、尊重し過ぎる事もなく。そうすれば、存分に結果はついてくるのではないか。2次ラウンド進出以降も。
 丁寧な準備でベストの試合を演じてくれる事を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 01:27| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする