大事なことは所属チームで出ること。(抜ければ)もちろん痛いです。(招集は)ルールでそうなっているからしょうがないけれど、個人的にはサブなら連れていく必要はない。U−20の大会は世界的にはそれほどではないし、プレミアリーグの選手は(ほとんど)出ないし、スーパーの選手はいない。ルーニー(マンチェスターU)だって卒業していた。出ないなら、行かないほうがいい。快調にJ2首位を走る三浦氏としては、「とにかく藤田を取られるのは痛い」と言うのがホンネだろう。しかし、スポーツ新聞の報道ゆえ本当にこのような発言をしたかどうかは割り引いて考えなければならないだろうが、正直言って「知将三浦俊也」としては隙のあり過ぎる発言である。
いくつか揚足を取る。
「個人的にはサブならば連れていく必要はない」
この言葉をそのまま真に受ければ「レギュラの11人ならばJリーグから選手を連れて行ってもよいが、サブならばJでプレイする選手を連れて行くべきではない」と言う事になってしまう。論理的に分析すると、あまりに説得力のない発言となってしまっている。三浦氏としてはマスコミを用いて、吉田氏にプレッシャをかけたつもりなのかもしれないが。
「U−20の大会は世界的にはそれほどではないし...」
アルゼンチンが、過去誰をこの大会に出場させていたか知らない訳ではなかろうに。
「ルーニーだって卒業していた。」
あんた、藤田は日本のルーニーかい。札幌のルーニーかもしれないけれど。もっとも、ペトロビッチ氏が柏木に関して同じ発言をしたならば、結構迫力はあったかもしれない。ちなみに、小野、高原、遠藤、小笠原らでワールドユース準優勝を果たした時の1次リーグイングランド戦、敵にクラウチがいたな。
何より、この発言が公になった事で藤田本人が辛くなったな。コンサドーレユース出身ゆえコンサドーレへの愛着は人一倍だろうが、ようやく掴んだ日の丸のチャンス。ここで成果を発揮し、ワールドユースでも活躍すれば、一気に北京五輪代表、そして南アフリカへと野望が広がるはず。ところが、三浦氏の発言が藤田の耳に入れば、「もしかして代表に行ってしまったら、三浦さんには使ってもらえなくなるのだろうか」くらい思っても不思議ではなくなってしまう。
三浦氏はこう言うべきだったのではなかろうか。
78年地元ワールドカップで初優勝したアルゼンチン代表チームは、75年のトゥーロン国際大会からスタートを切ったと言う。この由緒ある大会の代表に、我がコンサドーレの藤田征也が選出された事を誇りに思う。藤田が代表に取られるのは本当に痛いが、トゥーロン、そしてカナダで藤田が活躍する事は、コンサドーレの財産そのものになる。吉田監督にお願いしたいのは、とにかく藤田をたくさん使ってもらう事。J1クラブに所属している他の誰にも負けない実力を持っているのだから、1分でも多く使って欲しい。もし、藤田の実力を見誤って、出場時間が短いようだったら、それは日本サッカー界にとって大損失だ...とか。
あるいは、「(ワールドユースはさておき)準備のための合宿や遠征は止めるべきだ」と、本質的な事に絞って発言した方がよかったかもしれない。これはこれで1つの卓見である。私は日本代表サポータではあるが、一方で若年層代表チームの強化は、あまりに単独チームの犠牲の上に成り立ち過ぎているのではないかと危惧している。たとえば、ワールドユース前にトゥーロンに行くよりは、各選手がJで戦う方がより強化には適切かもしれない。集まって強化するばかりが能でないのだから。
ともあれ、藤田はよい選手だ。トゥーロンでもカナダでも十分期待できる。毎週の厳しいJ2の試合と、今回の国際経験を巧く組み合わせ、この好機を活かして大いに成長して欲しいところだ。
より上位を快走する目の上のタンコブ、三浦氏のこの不用意かつ軽率な発言は、コンサドーレにとってマイナスにしかならなかったではないかと思ったりする。シメシメ。と最後にホンネ。