私が記憶する限りにおいて、全ての年齢層においても、日本とオランダの代表チームが公式戦を戦うのは、これが初めてではなかろうか。クライフ世代の私である、まずは我が青い軍団が、あのオレンジ色と戦うだけで嬉しくなってしまった。
最近のオランダと言えば強力な両ウィングを前線に押し立てての4−3−3。その対策として、大熊氏は4DFを採用、両サイドバックには既にJリーグの自クラブで中心選手とも言うべき能力を発揮している中村北斗と水本を起用した。しかし、オランダの左ウィングクインシーは、まあ何と言うか、もうどうしようもない化け物だった。あそこまで中村北斗がやられてしまうとは。
試合は開始早々からこの左ウィング対策のために、守備陣が引きずられ、思うようにボールを保持できずに圧倒された。ただし、オランダMFはパス回しが巧い選手は揃っていたが、緩急をつけてくるタレントがいなかったのが救い。早々に2点差とされた以降は、曲りなりにもスピードに対応できるようになり、何とかそのままで試合を進めるのに成功。
後半はオランダもオーバペースが祟ったのだろうか、日本もそれなりにキープできるようになる。そして、水野のFKから平山が見事なヘディングシュートで同点に。このヘディングは平山の得意な形で、高さで散々敵DFを悩ましておいて、たまに低めのボールに対して走りこんで敵DFを振り切る形。
終盤、平山の空中戦から、何回か決定機を掴むも決めきれず、追いつく事はできなかった。まあ、あれだけ猛攻を許しては、負けもいたしかなないだろう。贅沢を言えば、オランダのプレッシャが一段落した後半こそ、水野、本田、家永、あるいは梶山や船谷などの「技巧派」を複数起用し、日本らしい変化のある攻めを見たかったが(言い換えれば、彼らの技巧がオランダの守備陣に通用するか見たかったが)、あれだけ前半押し込まれての対応を余儀なくされたのだから、いたしかたあるまい。耐えに耐えて勝負に持ち込んだ事を高く評価すべき試合だった。
ワールドユースの最大目的は、将来のワールドカップに向けた経験。そのような観点からすれば、最高の試合だった。1次リーグ残り2試合で、この失敗経験を取り返して、経験蓄積が継続する事に期待したい。
色々と考えさせられる試合だったが、やはりクインシーに対する驚きにつきるか。。
クインシーのような選手は、「育てる」のは難しく「育つ」ものだと思うが、日本はどうすれば、そのような「育つ」環境を作れるのか(福島に優秀な中学生を集めるのが有効で無い事は確かだと思うけれど)。
クインシーのプレイそのものを思い起こすのも愉しい。彼のドリブルは、ボール扱いの正確さ(特に足の裏を使ってのタメから、足の他の部分への切替の巧い事)、腕を含めた身体、特に上半身の使い方、加速の速さ等、様々な要因が重なり合ってのもの。今大会、より厳しい戦いになった時に(その戦いの相手が再度日本だと、なお嬉しいのだが)、そのドリブルはどのように猛威を振るうのか。
さらに彼が今後どのような選手に育っていくのか(もし、クインシーが順調に育った場合、代表チームには同じポジションに、それほど年齢の違わない凄いライバルがいるのだし)も、興味深い。この手の爆発的ドリブラがどう完成していくのだろう。
さらに日本の同世代の選手達との比較も愉しい。例えば、加速してからの足の速さは苔口だって相当だし、瞬間のスピードは前田俊介もなかなか、森本のドリブルからシュートへの円滑さは見事なものがある。せっかく、厳しいタイトルマッチを戦ったのだから、日本の若者達にはこの素晴らしい刺激を活かして一層の成長を期待したい。
それにしても、大人の代表チーム同士が試合してもこのような展開になるのではないかと思わせる試合だったな。何となく来年の今頃、お手合わせする機会があるのではないかと。
2005年06月12日
2005年03月08日
遂行されそうな愚行
以前も厳しく批判したが、どうやら日本協会は冗談ではなく、過去30年間で最悪の愚行を実施しようとしているようだ。この施策がいかに拙いものかは、以前のエントリで書いたので、ここでは少しシミュレーションをしてみる事にする。
この愚策が具体化し始める。そのうちU−1Xの代表に、そのチーム?から選手が選ばれる。他チームから「その選考が疑問だ」とクレームがついたら、日本協会はどう釈明するのか。現実的に、各年齢層の代表に選ばれる事は、その選手の市場価値を上げるのみならず、所属クラブの市場価値も高める。つまり誰が選ばれるかについては、選手もクラブもカネがかかっている問題なのだ。しかし、従来誰も文句を言わなかった(言わなかったのではないな、表ざたにあまりならなかっただけだな)のは、選考する日本協会が一応「客観的」な立場にあったからだ。しかし、その日本協会が自ら「単独クラブ」に出資していては、客観性もへったくれもあったものではないではないか。この愚策実施以降は「表ざたにならない」訳がない、どこかで誰かがプッツンくれば、もうマスコミが大騒ぎするのは間違いないではないか。
元々、代表選手の選考基準と言うものは、極めて主観的なものである。よほど優れた人材ならばどの監督でも選ぶだろうが、当落線上の選手どう選考するかは監督の好み(好みと言う表現が悪ければ、識見と言う言葉を使ってもいいが)と言う事になる。また若年層の場合は、将来の伸び代をどう読むかと言う、これまた非常に定量化しづらい基準も入ってくる。
この問題は、各県の国体代表選手を選考する際には、常に問題になる事であり、ここ何年も各県協会が非常に神経を使って運営してきた事だ。つまり、日本協会だって、若年層の選抜がいかに神経を使うものか、理解しているはずなのだが。
誤解されては困るが、私はこう言った代表、選抜選考が、「公平」、「客観的」に従来行われてきた、今後行われて欲しい、などと、単純なキレイ事を言う気はない。上記したように、「公平」、「客観的」に行われる事自体が、非常に難しい話なのだし。
しかし、誰もが「公平でない」、「客観的でない」と言う仕組みになるのは、拙いと言っているのだ。
加えて、以前のエントリでも述べたように、この愚策で本当によい選手の育成が成功するとも思っていないのも確かだが。
スポーツ新聞ならさておき、サッカー商業誌は、何故この愚策の実施を批判しないのだろうか。
頼むよ、エル・ゴラッソ!
この愚策が具体化し始める。そのうちU−1Xの代表に、そのチーム?から選手が選ばれる。他チームから「その選考が疑問だ」とクレームがついたら、日本協会はどう釈明するのか。現実的に、各年齢層の代表に選ばれる事は、その選手の市場価値を上げるのみならず、所属クラブの市場価値も高める。つまり誰が選ばれるかについては、選手もクラブもカネがかかっている問題なのだ。しかし、従来誰も文句を言わなかった(言わなかったのではないな、表ざたにあまりならなかっただけだな)のは、選考する日本協会が一応「客観的」な立場にあったからだ。しかし、その日本協会が自ら「単独クラブ」に出資していては、客観性もへったくれもあったものではないではないか。この愚策実施以降は「表ざたにならない」訳がない、どこかで誰かがプッツンくれば、もうマスコミが大騒ぎするのは間違いないではないか。
元々、代表選手の選考基準と言うものは、極めて主観的なものである。よほど優れた人材ならばどの監督でも選ぶだろうが、当落線上の選手どう選考するかは監督の好み(好みと言う表現が悪ければ、識見と言う言葉を使ってもいいが)と言う事になる。また若年層の場合は、将来の伸び代をどう読むかと言う、これまた非常に定量化しづらい基準も入ってくる。
この問題は、各県の国体代表選手を選考する際には、常に問題になる事であり、ここ何年も各県協会が非常に神経を使って運営してきた事だ。つまり、日本協会だって、若年層の選抜がいかに神経を使うものか、理解しているはずなのだが。
誤解されては困るが、私はこう言った代表、選抜選考が、「公平」、「客観的」に従来行われてきた、今後行われて欲しい、などと、単純なキレイ事を言う気はない。上記したように、「公平」、「客観的」に行われる事自体が、非常に難しい話なのだし。
しかし、誰もが「公平でない」、「客観的でない」と言う仕組みになるのは、拙いと言っているのだ。
加えて、以前のエントリでも述べたように、この愚策で本当によい選手の育成が成功するとも思っていないのも確かだが。
スポーツ新聞ならさておき、サッカー商業誌は、何故この愚策の実施を批判しないのだろうか。
頼むよ、エル・ゴラッソ!
2005年03月07日
オランダとの対戦
ワールドユースの組み分けが発表された。日本は地元オランダと共に豪州、ベナンと同じグループとなった。16/24が2次トーナメント進出と言う94年ワールドカップまでのレギュレーションだから、まずは1勝以上するのが最低条件、試合経験と言う意味でも、この組み合わせは悪くないと思う。
豪州のユースと言うと、4年前のアルゼンチン大会で完敗した記憶が何ともいやらしい。A代表(01年コンフェデの雨中の死闘は記憶に新しい)含め、世界サッカー界での存在を上げていこうと言うライバル国。この国に勝てるかどうかは、どの年代別チームでも、完成度を測定する1つのバロメータとも言えると思うだけに、対戦が愉しみ。
ベナンという国はほとんど知らない。確か98年だか02年だかのワールドカップ開催国の1次募集?に立候補したのではないかと記憶している。その時調べたからだと思うのだが、ナイジェリアの隣と言う事くらいの認識があるくらい。おそらくブラックアフリカ独特の個人運動能力の高さが特長か。とすらば、若い選手にとっては、格好の経験となるだろう。
そして、地元オランダ。考えてみると、オランダサッカー界と日本は色々なつながりがある。代表チーム含めて幾多のクラブで指揮を執り業績を上げたオフト氏から我々は幾多の事を学んだ。単独チームの外国人監督としてはおそらく日本初だったバルコム氏(JSL2部時代の読売)もオランダ人。欧州のゴールキーパの凄みをまざまざと見せてくれたディド・ハーフナも、オランダ出身(彼の息子が日の丸を付ける可能性があると聞くだけで嬉しくなる)。さらに、望月達也(前ベルマーレ監督)、小倉、小野、藤田、戸田ら、オランダリーグでプレイした日本人も多数。
ところが、その割にこの国との対戦は、今までA代表ではなかった。今回、ユースとは言え、あのオレンジ色のユニフォームと対戦できる事はそれだけで愉しみ。欧州ではユースの試合は着目されづらいというが、地元大会の開幕戦だけに、それなりに観客も入り、日本選手は敵地で難敵と戦う経験も積めるかもしれない。
いずれの敵も、大柄な選手が多い国。アジアユースでは、飽きる事無く平山の頭をめがけてフィードし続けた選手たちも、違うやり方を試みるはず。質の高いサッカーで上位進出する事を期待しよう。
豪州のユースと言うと、4年前のアルゼンチン大会で完敗した記憶が何ともいやらしい。A代表(01年コンフェデの雨中の死闘は記憶に新しい)含め、世界サッカー界での存在を上げていこうと言うライバル国。この国に勝てるかどうかは、どの年代別チームでも、完成度を測定する1つのバロメータとも言えると思うだけに、対戦が愉しみ。
ベナンという国はほとんど知らない。確か98年だか02年だかのワールドカップ開催国の1次募集?に立候補したのではないかと記憶している。その時調べたからだと思うのだが、ナイジェリアの隣と言う事くらいの認識があるくらい。おそらくブラックアフリカ独特の個人運動能力の高さが特長か。とすらば、若い選手にとっては、格好の経験となるだろう。
そして、地元オランダ。考えてみると、オランダサッカー界と日本は色々なつながりがある。代表チーム含めて幾多のクラブで指揮を執り業績を上げたオフト氏から我々は幾多の事を学んだ。単独チームの外国人監督としてはおそらく日本初だったバルコム氏(JSL2部時代の読売)もオランダ人。欧州のゴールキーパの凄みをまざまざと見せてくれたディド・ハーフナも、オランダ出身(彼の息子が日の丸を付ける可能性があると聞くだけで嬉しくなる)。さらに、望月達也(前ベルマーレ監督)、小倉、小野、藤田、戸田ら、オランダリーグでプレイした日本人も多数。
ところが、その割にこの国との対戦は、今までA代表ではなかった。今回、ユースとは言え、あのオレンジ色のユニフォームと対戦できる事はそれだけで愉しみ。欧州ではユースの試合は着目されづらいというが、地元大会の開幕戦だけに、それなりに観客も入り、日本選手は敵地で難敵と戦う経験も積めるかもしれない。
いずれの敵も、大柄な選手が多い国。アジアユースでは、飽きる事無く平山の頭をめがけてフィードし続けた選手たちも、違うやり方を試みるはず。質の高いサッカーで上位進出する事を期待しよう。
2005年01月10日
松澤先生の涙
2チームのプレイ振りの対比が面白かった。
市立船橋の各選手の能力は「対敵動作の速さ」に現れる。攻めに転じた市船の各選手のボールキープとつなぎは、絶えず敵DFとの相対位置関係を最適に修正する速さが見事。また守備ラインの各選手も、ボールを持つ敵と自分とカバーする味方について同様の配慮が働いている。いわゆる「ボディシェープ」(数年前に日本協会が普及させようとした言葉、どこまで定着しているのか)が常時最適化されているのだ。
そして、周囲の相対関係を適切に理解している故だろう、状況変化が起こった直後の修正の速い事。鹿実の2度の決定機を防いだ場面の見事さ。
この市船の各選手の能力は、布先生時代からの伝統だが、石渡先生に替わってからその良さは益々洗練されているように思える。石渡先生の方が年長と言う事を含め、私はこの2人の凄さを感じずにはいられない。自分の転身にあたって見事な後継者を見出した眼力、それを受け従来に勝るとも劣らない成果を上げる指導力。
もっとも、これだけやれる選手が多いのだから、時間帯によってはより攻撃的に戦ってもよいではないかと思うのだが、「まず守る」と言う考えから入っているのだろう。伝統的に各選手に「イタリアの血」が流れているのか(笑)。
今日の試合を見ていて、日本サッカーにおける市船の重要性を再認識した。あれだけ「対敵動作の速さ」が高い守備ラインを破るべく、鹿実、国見、静学、サンフレッチェ、ガンバ、ジュビロらが(いや、他の全てのチームが)努力している事だけで、日本サッカーのレベルは上昇しているように思える。
一方の鹿児島実業。こちらの各選手の能力は「自分の得意に持ち込む速さ」。素早い出足でボールを奪うや、周囲が一気に押し上げて展開、受けた選手は自分のよい体勢に持ち込んでの前進を狙う。守備でも敵の攻撃を読んでおいて、自分の得意な体勢で当たりボールを奪うなりはね返す。
後半半ば以降、この「速さ」で完全に市船を押し込む事に成功した。しかし「速さ」のみが前面に出てしまい、「溜め」が無くなったのが、市船に守りきられた要因に思える。
ただし、このチームは過去再三「溜められる」選手を生んでいる。前園、遠藤、松井...こう考えると、卒業後に化けるべく選手を育成している感もあるのが、松澤先生の凄みに思えてくる。GKからFWまで満遍なく各ポジションに日本のトッププレイヤを輩出してきたこの偉大な指導者の。
実は、この日大活躍したGK片渕選手のお父上と、先日一杯やる機会があった。したがって、この数日間は、苦しい場面で堅実なセービングを見せる(顔がお父上そっくりの)片渕を応援していたのだ。素晴らしいGKではないか。
そして、この日も何度と無く好セーブ。最後のPK戦に至り、私の興奮も最高潮に達した。そして、片渕の見事な反応もあり、鹿実がリードし、最後の1人が決めれば「鹿実初めての単独優勝」と言う場面。
TVが映し出した松澤先生の表情。「何としても勝ちたい、そしてあと1人で勝てる」と言う期待を噛み締めた素晴らしい表情。そして勝利直後の涙。
今大会は「鹿実のための大会」で、よかったのではないかと。
そして、渡邉広大よ、ベガルタで復讐戦を。
市立船橋の各選手の能力は「対敵動作の速さ」に現れる。攻めに転じた市船の各選手のボールキープとつなぎは、絶えず敵DFとの相対位置関係を最適に修正する速さが見事。また守備ラインの各選手も、ボールを持つ敵と自分とカバーする味方について同様の配慮が働いている。いわゆる「ボディシェープ」(数年前に日本協会が普及させようとした言葉、どこまで定着しているのか)が常時最適化されているのだ。
そして、周囲の相対関係を適切に理解している故だろう、状況変化が起こった直後の修正の速い事。鹿実の2度の決定機を防いだ場面の見事さ。
この市船の各選手の能力は、布先生時代からの伝統だが、石渡先生に替わってからその良さは益々洗練されているように思える。石渡先生の方が年長と言う事を含め、私はこの2人の凄さを感じずにはいられない。自分の転身にあたって見事な後継者を見出した眼力、それを受け従来に勝るとも劣らない成果を上げる指導力。
もっとも、これだけやれる選手が多いのだから、時間帯によってはより攻撃的に戦ってもよいではないかと思うのだが、「まず守る」と言う考えから入っているのだろう。伝統的に各選手に「イタリアの血」が流れているのか(笑)。
今日の試合を見ていて、日本サッカーにおける市船の重要性を再認識した。あれだけ「対敵動作の速さ」が高い守備ラインを破るべく、鹿実、国見、静学、サンフレッチェ、ガンバ、ジュビロらが(いや、他の全てのチームが)努力している事だけで、日本サッカーのレベルは上昇しているように思える。
一方の鹿児島実業。こちらの各選手の能力は「自分の得意に持ち込む速さ」。素早い出足でボールを奪うや、周囲が一気に押し上げて展開、受けた選手は自分のよい体勢に持ち込んでの前進を狙う。守備でも敵の攻撃を読んでおいて、自分の得意な体勢で当たりボールを奪うなりはね返す。
後半半ば以降、この「速さ」で完全に市船を押し込む事に成功した。しかし「速さ」のみが前面に出てしまい、「溜め」が無くなったのが、市船に守りきられた要因に思える。
ただし、このチームは過去再三「溜められる」選手を生んでいる。前園、遠藤、松井...こう考えると、卒業後に化けるべく選手を育成している感もあるのが、松澤先生の凄みに思えてくる。GKからFWまで満遍なく各ポジションに日本のトッププレイヤを輩出してきたこの偉大な指導者の。
実は、この日大活躍したGK片渕選手のお父上と、先日一杯やる機会があった。したがって、この数日間は、苦しい場面で堅実なセービングを見せる(顔がお父上そっくりの)片渕を応援していたのだ。素晴らしいGKではないか。
そして、この日も何度と無く好セーブ。最後のPK戦に至り、私の興奮も最高潮に達した。そして、片渕の見事な反応もあり、鹿実がリードし、最後の1人が決めれば「鹿実初めての単独優勝」と言う場面。
TVが映し出した松澤先生の表情。「何としても勝ちたい、そしてあと1人で勝てる」と言う期待を噛み締めた素晴らしい表情。そして勝利直後の涙。
今大会は「鹿実のための大会」で、よかったのではないかと。
そして、渡邉広大よ、ベガルタで復讐戦を。
2004年10月09日
う〜ん、平山
3試合連続PK戦とはご苦労な事だ。微妙に順番やキッカーを変えたのは韓国戦の反省か。ただ、寺田の一本目はやはりゴールキーパの勝ちなのではないかと思ったが、シリア関係者は腹が立っているだろうな。
ともあれ、大会終了。内容や戦い方に不満は残るし、何より韓国に負けるのは悔しいが、
(1)ワールドユース出場権を確保した
(2)若い選手が厳しい試合経験を積めた
(3)韓国に負けると言う失敗経験も積めた
と言う意味では、日本にとってよい大会だったとも言えるだろう。
さて、カタール戦、韓国戦それぞれの私の文章に対して、相当多くの方が様々な意見を言って下さった事に感謝します。ありがとうございました。そして、それらに対して回答できなくてごめんなさい。以前も言い訳したが、皆様のご意見に丁寧に回答する、精神的及び時間的余裕がとても取れないのです。
ともあれ、色々な意見をいただいた。お互いに敬意を持ちながら、自説に確信を持って「俺はこう思う」を言い合うから、サッカーは最高の酒の肴なのだ。もし、私の雑文がそのような適切な議論のきっかけになったのならば、幸いなのだが。
ただ、私の考えは変わっていない。カタール戦にせよ、韓国戦にせよ、DFやボランチが横に展開する時間的余裕がある時も平山を狙うロングボールを多用した事、そのような状況下でにも関わらず苔口や中村の前進が遅れた事、いずれも大熊氏の試合前の指示が「引く事、平山を狙う事」だったと推定する証左だと思う。無論、選手個々の判断力の問題もあり、大熊氏が「押し上げるべし」と考えた時も選手たちが、「単調な方の選択肢」に走ってしまった事もあったろう。しかし、あの2試合を見る限り、判断力も技巧も肉体能力も、極端に日本が劣っているようにはとても見えなかったのだから、やはり「監督の初期指示」に疑問が残るのだ。
そして、今日のシリア戦。前2試合よりも敵からのプレッシャも、精神的なプレッシャもそれぞれ弱かったため、圧倒的な攻勢を取れた事、それにも関わらず、決定機をそれほど作れなかった事、その2点から、より重要だった過去の2試合に対し、大熊氏が極端な守備的なやり方で臨んだ気持ちが理解はできた。
「とにかく、ワールドユースには出なければならない」と言う凄まじいプレッシャ(考えてみれば、6回連続出場って凄いよね、でも我々からすれば、出場権獲得ならずと言うのは想像の外だな、もはや)。一方で、大熊氏は前線の攻撃力に不安があったのだろう。自らの出身チーム所属の切り札的存在の梶山の不在も大きかったかもしれない。そこで、あそこまで極端な「引く指示」をしたのではないか。
私はその「引き過ぎ」が、逆に苦戦を招いたと言う説。逆に「引いた事」と「選手たちが精神的プレッシャをプラスに転じてPKでカタールを振り切った」と捉える考え方もあるかもしれないが。
さて、ワールドユースに向けて。
まだ国内には梶山も増田も萬代もいるし、今のJリーグならば続々と新しいタレントも出てくるだろう。今大会大熊氏を批判したが、彼は紛れも無く「闘う術」を知っている監督だと思う。おそらく、オランダまでには帳尻を合わせてくれるのではないか。
しかし、平山の不振は本当に心配だ。後方からの単調なクロスに競り勝てない事が心配なのではない。大体、韓国戦の2点目、サイドから入ったここぞと言うクロスには完璧に勝っていたし。問題は、以前から不安視してきた事、「自らの仕事を『得点する事』と認識しているのか」と言う事だ。
この日も、せっかくペナルティエリア直前で前を向きながら、他の選手にパスを出す場面が散見された。また、確かに平山の「高さ」は魅力的だ。でも、「高い」だけだったら、過去にも同等の能力を持つ選手はいた(例えば原とか)、しかし昨年のワールドユースや今年の高校選手権で見せたような、シュートの巧い選手は、滅多に登場しないのだ。とにかく、この男は自ら得点を狙うべきなのだ。
ともあれ、大会終了。内容や戦い方に不満は残るし、何より韓国に負けるのは悔しいが、
(1)ワールドユース出場権を確保した
(2)若い選手が厳しい試合経験を積めた
(3)韓国に負けると言う失敗経験も積めた
と言う意味では、日本にとってよい大会だったとも言えるだろう。
さて、カタール戦、韓国戦それぞれの私の文章に対して、相当多くの方が様々な意見を言って下さった事に感謝します。ありがとうございました。そして、それらに対して回答できなくてごめんなさい。以前も言い訳したが、皆様のご意見に丁寧に回答する、精神的及び時間的余裕がとても取れないのです。
ともあれ、色々な意見をいただいた。お互いに敬意を持ちながら、自説に確信を持って「俺はこう思う」を言い合うから、サッカーは最高の酒の肴なのだ。もし、私の雑文がそのような適切な議論のきっかけになったのならば、幸いなのだが。
ただ、私の考えは変わっていない。カタール戦にせよ、韓国戦にせよ、DFやボランチが横に展開する時間的余裕がある時も平山を狙うロングボールを多用した事、そのような状況下でにも関わらず苔口や中村の前進が遅れた事、いずれも大熊氏の試合前の指示が「引く事、平山を狙う事」だったと推定する証左だと思う。無論、選手個々の判断力の問題もあり、大熊氏が「押し上げるべし」と考えた時も選手たちが、「単調な方の選択肢」に走ってしまった事もあったろう。しかし、あの2試合を見る限り、判断力も技巧も肉体能力も、極端に日本が劣っているようにはとても見えなかったのだから、やはり「監督の初期指示」に疑問が残るのだ。
そして、今日のシリア戦。前2試合よりも敵からのプレッシャも、精神的なプレッシャもそれぞれ弱かったため、圧倒的な攻勢を取れた事、それにも関わらず、決定機をそれほど作れなかった事、その2点から、より重要だった過去の2試合に対し、大熊氏が極端な守備的なやり方で臨んだ気持ちが理解はできた。
「とにかく、ワールドユースには出なければならない」と言う凄まじいプレッシャ(考えてみれば、6回連続出場って凄いよね、でも我々からすれば、出場権獲得ならずと言うのは想像の外だな、もはや)。一方で、大熊氏は前線の攻撃力に不安があったのだろう。自らの出身チーム所属の切り札的存在の梶山の不在も大きかったかもしれない。そこで、あそこまで極端な「引く指示」をしたのではないか。
私はその「引き過ぎ」が、逆に苦戦を招いたと言う説。逆に「引いた事」と「選手たちが精神的プレッシャをプラスに転じてPKでカタールを振り切った」と捉える考え方もあるかもしれないが。
さて、ワールドユースに向けて。
まだ国内には梶山も増田も萬代もいるし、今のJリーグならば続々と新しいタレントも出てくるだろう。今大会大熊氏を批判したが、彼は紛れも無く「闘う術」を知っている監督だと思う。おそらく、オランダまでには帳尻を合わせてくれるのではないか。
しかし、平山の不振は本当に心配だ。後方からの単調なクロスに競り勝てない事が心配なのではない。大体、韓国戦の2点目、サイドから入ったここぞと言うクロスには完璧に勝っていたし。問題は、以前から不安視してきた事、「自らの仕事を『得点する事』と認識しているのか」と言う事だ。
この日も、せっかくペナルティエリア直前で前を向きながら、他の選手にパスを出す場面が散見された。また、確かに平山の「高さ」は魅力的だ。でも、「高い」だけだったら、過去にも同等の能力を持つ選手はいた(例えば原とか)、しかし昨年のワールドユースや今年の高校選手権で見せたような、シュートの巧い選手は、滅多に登場しないのだ。とにかく、この男は自ら得点を狙うべきなのだ。
2004年10月06日
勝とうが負けようがどうでもいい試合なのだけど
悔しい、悔しい、とにかく悔しい。
でも、いいんだ。この試合はどうでもいい試合なんだ。勝とうが負けようが違わないじゃない。前回同様、アジアで負けても、ワールドユースで勝ってやればいいさ。いや、もっと年齢が上になってからが勝負なのだし、いいのさ。若い選手達は悔しいだろうけど、いい経験を積んだのだし。いいの、いいの。
くそ〜〜〜〜〜〜...
1度ならず2度までも本当のギリギリに追いつく。深夜ながら、思わず絶叫させていただいた。これは選手達が、存分に戦う気持ちを持っていたからだろう。そして、個の能力では負けていなかったからだろう。しかし、気持ちは存分に伝わってきたし、各選手の能力の高さも理解できたが、あまりにやり方が稚拙だった。
それにしても酷い内容の前半。相変わらず平山に不正確なロングボールを入れ、偶然に頼る攻撃が主体。たまに幸運にサイドにこぼれても、最強兵器の(はずの)苔口は完全に引いているため、前向きの突破の形は作れない。逆サイドの中村は、孤立して突破しきれない(周囲のフォローが無い事も問題だし、孤立しているに単身突破を狙う中村の判断も問題だ)。
失点場面も悲しい。得点した敵MFの走り込みを、高柳?が追い切れず、フリーでペナルティエリア進出を許した。押し込まれた中よく守っていた日本の3DFだが、あそこに走りこまれては守り切れない。あの場面の小林の奮闘は見事ではあったが(あの場面の対応を反省するだけで、小林は一段高い守備者になれるのではなかろうか)。
後半に入り、日本はペースをある程度取り戻す事に成功した。原因の1つは、前半の猛ペースのために韓国の運動量が落ちてきた事。2つ目はMFに投入された船谷が落ち着いたボールキープと展開を見せ、他の選手が押し上げる時間を稼いだ事。ただ、最後の突破にあまりにアイデアがない。特に苔口(と周囲の選手)には失望、あの足の速さは敵陣を突破するのに使うべきなのだが、どうして苔口の前に入り込んでしまうのか。そして、苔口は何故彼らに「どけ」と言わないのか。
後半も終盤になると、韓国は完全に疲れてしまい、日本がルーズボールを支配する。ところが、ここぞと言う場面で、後方の選手は平山を狙ってしまう。そして、平山が全く空中戦に勝てずに韓国にボールを奪われると言う繰り返し。
延長に至っては、韓国の選手はまともに動けなくなっていた。日本も後半終盤の無理攻めのために、相当無理なメンバ構成にはなっていたが、船谷、兵頭をドイスボランチにした4−2−4(笑)は、それなりにバランスは取れていたのだから、苦しいが全体に押し上げれば、完全に押し込む事はできたはず。しかも、最終ラインで水本が韓国の攻撃を端からはね返していたのだから。しかし、中村と苔口はすっかり引いてしまい、カレンの孤軍奮闘のみが続いた(「いささか頑張りが利かないタイプ」と思われていたカレンの今大会の「頑張り」にはビックリ、これは相当期待できるタレントかもしれない)。また後半から起用された渡辺と森本の2人が(年齢的に若いと言う問題はあるにせよ)、延長でほとんど動けず消極的なプレイに終始したのも痛かった。平山については、最後の同点ゴール以外は触れないのが、最大限の好意。本人はよくわかっているだろう。
結局、引き過ぎる事が全てなのだ。
TV局におもねったのだろうか。「絶対に負けられない戦い」だからと言って、引いてしまっては、局面を苦しくするだけなのではないか。目的は「勝つ事」なのだから。今回の日本ユースは「負けたくない」から引いて、自らを「負けやすく」してしまった。
いや、引いたっていいよ。だったら、もっとしたたかにやってくれ。敵のCBが読んでいるように平山にぶつけるだけの単調な攻撃は仕掛けるな。敵DF相互の間隔が開くまで冷静につなげ。
PK戦は仕方が無い。前の試合でのPK戦でのキックを各選手が気にし過ぎた。PK戦が続くと、敵GKに得意のキックなり方向がばれているだけに、蹴り手はつらいものだ。中2日あったのだから、キッカを変えるとか、いやせめて順番を変えるとか、ベンチサイドの責任は重いが。
ともあれ、人材は豊富だ。
西川、水本、小林、船谷、カレンの5人は素晴らしかった。体調のせいか、使われ方のせいかは不明だが、非常に出来が悪かったが、平山、苔口、森本の3人は、アジアユースより格段にレベルの高いJや五輪代表で実績を残している。
「どうでもいい試合」にPK負けしたからと言って嘆く必要などないのだ。
.....くそぅ.....
でも、いいんだ。この試合はどうでもいい試合なんだ。勝とうが負けようが違わないじゃない。前回同様、アジアで負けても、ワールドユースで勝ってやればいいさ。いや、もっと年齢が上になってからが勝負なのだし、いいのさ。若い選手達は悔しいだろうけど、いい経験を積んだのだし。いいの、いいの。
くそ〜〜〜〜〜〜...
1度ならず2度までも本当のギリギリに追いつく。深夜ながら、思わず絶叫させていただいた。これは選手達が、存分に戦う気持ちを持っていたからだろう。そして、個の能力では負けていなかったからだろう。しかし、気持ちは存分に伝わってきたし、各選手の能力の高さも理解できたが、あまりにやり方が稚拙だった。
それにしても酷い内容の前半。相変わらず平山に不正確なロングボールを入れ、偶然に頼る攻撃が主体。たまに幸運にサイドにこぼれても、最強兵器の(はずの)苔口は完全に引いているため、前向きの突破の形は作れない。逆サイドの中村は、孤立して突破しきれない(周囲のフォローが無い事も問題だし、孤立しているに単身突破を狙う中村の判断も問題だ)。
失点場面も悲しい。得点した敵MFの走り込みを、高柳?が追い切れず、フリーでペナルティエリア進出を許した。押し込まれた中よく守っていた日本の3DFだが、あそこに走りこまれては守り切れない。あの場面の小林の奮闘は見事ではあったが(あの場面の対応を反省するだけで、小林は一段高い守備者になれるのではなかろうか)。
後半に入り、日本はペースをある程度取り戻す事に成功した。原因の1つは、前半の猛ペースのために韓国の運動量が落ちてきた事。2つ目はMFに投入された船谷が落ち着いたボールキープと展開を見せ、他の選手が押し上げる時間を稼いだ事。ただ、最後の突破にあまりにアイデアがない。特に苔口(と周囲の選手)には失望、あの足の速さは敵陣を突破するのに使うべきなのだが、どうして苔口の前に入り込んでしまうのか。そして、苔口は何故彼らに「どけ」と言わないのか。
後半も終盤になると、韓国は完全に疲れてしまい、日本がルーズボールを支配する。ところが、ここぞと言う場面で、後方の選手は平山を狙ってしまう。そして、平山が全く空中戦に勝てずに韓国にボールを奪われると言う繰り返し。
延長に至っては、韓国の選手はまともに動けなくなっていた。日本も後半終盤の無理攻めのために、相当無理なメンバ構成にはなっていたが、船谷、兵頭をドイスボランチにした4−2−4(笑)は、それなりにバランスは取れていたのだから、苦しいが全体に押し上げれば、完全に押し込む事はできたはず。しかも、最終ラインで水本が韓国の攻撃を端からはね返していたのだから。しかし、中村と苔口はすっかり引いてしまい、カレンの孤軍奮闘のみが続いた(「いささか頑張りが利かないタイプ」と思われていたカレンの今大会の「頑張り」にはビックリ、これは相当期待できるタレントかもしれない)。また後半から起用された渡辺と森本の2人が(年齢的に若いと言う問題はあるにせよ)、延長でほとんど動けず消極的なプレイに終始したのも痛かった。平山については、最後の同点ゴール以外は触れないのが、最大限の好意。本人はよくわかっているだろう。
結局、引き過ぎる事が全てなのだ。
TV局におもねったのだろうか。「絶対に負けられない戦い」だからと言って、引いてしまっては、局面を苦しくするだけなのではないか。目的は「勝つ事」なのだから。今回の日本ユースは「負けたくない」から引いて、自らを「負けやすく」してしまった。
いや、引いたっていいよ。だったら、もっとしたたかにやってくれ。敵のCBが読んでいるように平山にぶつけるだけの単調な攻撃は仕掛けるな。敵DF相互の間隔が開くまで冷静につなげ。
PK戦は仕方が無い。前の試合でのPK戦でのキックを各選手が気にし過ぎた。PK戦が続くと、敵GKに得意のキックなり方向がばれているだけに、蹴り手はつらいものだ。中2日あったのだから、キッカを変えるとか、いやせめて順番を変えるとか、ベンチサイドの責任は重いが。
ともあれ、人材は豊富だ。
西川、水本、小林、船谷、カレンの5人は素晴らしかった。体調のせいか、使われ方のせいかは不明だが、非常に出来が悪かったが、平山、苔口、森本の3人は、アジアユースより格段にレベルの高いJや五輪代表で実績を残している。
「どうでもいい試合」にPK負けしたからと言って嘆く必要などないのだ。
.....くそぅ.....
2004年10月03日
大熊さん、何をお考えなのですか?
PK戦の勝利には本当に興奮させられる。3時間近い難行苦行のすえの歓喜、再三好守を見せていたGK西川の完璧なセービング、そして心憎いばかりの日本選手の冷静なキック。
おそらくカタールは日本に勝つことを目標としていた、一方日本はワールドユース出場を目標としていた。この差がPK戦で出たのではないか。
でもねえ。
通常ならば、このような日は愚痴は後回しにして、歓喜の酒を愉しみたい。例えば、あの日もそうだった。しかし、あれはA代表と言う「その瞬間、あるいはごく近々を愉しむべきチーム」だからの事。さすがにユースだと「結果」も重要だが「内容」を無視して酔いどれるのは容易ではない。飲めば飲むほど、PK合戦以外の無様な内容に腹が立ってくるのだ。
ハーフタイムにセルジオ越後氏が「どうして、あんなに引いているのだ、こっちの方が強いのだから腰が引けて、相手の良さを出してどうする」と言う趣旨の事を語っていたが、苦戦の直接要因は、それが全てだろう。どうして、この相手にあそこまで引く必要があるのか。深く引いて、MFの運動量が上がらず、押し込まれる。最終ラインでDFが粘り、いや止めきれずGKの再三のファインプレイに安堵する。
PK戦の歓喜のみならず、これはアジアカップのジーコジャパンではないか。「そうかそうか、いよいよA代表と若年層代表のコンセプトが一致してきたか、結構な事だ」と安堵する訳ないだろう。と言うか、少なくともこの日の日本ユース代表のサッカーの質と言うか狙いは、アジアカップのグダグダA代表よりも悪い。と、言うのは最終ラインの3DFとボランチが、苦しくなると前線へのフィードしかしないからだ。
確かにトップに平山はいる。しかし、後方からのロングボールに全部勝てる訳がない。敵DFだってわかっているのだから。それとも、あれらのフィードがカタール守備陣の浅いラインの後方を狙ったものだったのか。しかし平山は抜け出すタイプのストライカではない。結果として、守備範囲の広い敵GKがそのフィードを拾うだけの事となった。
センタバックの増嶋、ボランチの高柳、高萩、あるいは後半から起用された中山、いずれも技巧と判断力に富んだ選手のはず。彼らが外でフリーの中村なり苔口(もっとも、2人ともどうして挙動開始点をあそこまで後方にしていたのか)に展開すれば、この試合はもっと楽になったはずなのだ。1度外で拠点さえ作れればDFラインも押し上げられて、押し込めるのだが彼らが散らさないために苦戦が継続した。かくして、日本の最も強力な攻撃兵器の苔口は、左サイドの守備に120分間終始し、この試合を終える事になる。
私が見る限り、カタールのプレッシャがきついから縦に逃げたようには思えなかった。最初から、常時前線狙いのフィードを狙っていたように見えた。となれば、それは監督の指示としか思えない。
私は問いたい。過去あれほど見事な実績を上げてきた大熊氏が、どうしてかような見苦しいサッカーを指向してしまったのか。どうして中央の選手に散らす事を徹底しなかったのか、どうして苔口を前がかりにするための手段を講じなかったのか。
まあ、いいだろう、とにかく、ワールドユースの出場権は獲得したのだから。大熊氏には、幾多の疑問を、準決勝の日韓戦の完璧な勝利と言う形態で、回答してくれる事を期待しよう。議論はそれから。
おそらくカタールは日本に勝つことを目標としていた、一方日本はワールドユース出場を目標としていた。この差がPK戦で出たのではないか。
でもねえ。
通常ならば、このような日は愚痴は後回しにして、歓喜の酒を愉しみたい。例えば、あの日もそうだった。しかし、あれはA代表と言う「その瞬間、あるいはごく近々を愉しむべきチーム」だからの事。さすがにユースだと「結果」も重要だが「内容」を無視して酔いどれるのは容易ではない。飲めば飲むほど、PK合戦以外の無様な内容に腹が立ってくるのだ。
ハーフタイムにセルジオ越後氏が「どうして、あんなに引いているのだ、こっちの方が強いのだから腰が引けて、相手の良さを出してどうする」と言う趣旨の事を語っていたが、苦戦の直接要因は、それが全てだろう。どうして、この相手にあそこまで引く必要があるのか。深く引いて、MFの運動量が上がらず、押し込まれる。最終ラインでDFが粘り、いや止めきれずGKの再三のファインプレイに安堵する。
PK戦の歓喜のみならず、これはアジアカップのジーコジャパンではないか。「そうかそうか、いよいよA代表と若年層代表のコンセプトが一致してきたか、結構な事だ」と安堵する訳ないだろう。と言うか、少なくともこの日の日本ユース代表のサッカーの質と言うか狙いは、アジアカップのグダグダA代表よりも悪い。と、言うのは最終ラインの3DFとボランチが、苦しくなると前線へのフィードしかしないからだ。
確かにトップに平山はいる。しかし、後方からのロングボールに全部勝てる訳がない。敵DFだってわかっているのだから。それとも、あれらのフィードがカタール守備陣の浅いラインの後方を狙ったものだったのか。しかし平山は抜け出すタイプのストライカではない。結果として、守備範囲の広い敵GKがそのフィードを拾うだけの事となった。
センタバックの増嶋、ボランチの高柳、高萩、あるいは後半から起用された中山、いずれも技巧と判断力に富んだ選手のはず。彼らが外でフリーの中村なり苔口(もっとも、2人ともどうして挙動開始点をあそこまで後方にしていたのか)に展開すれば、この試合はもっと楽になったはずなのだ。1度外で拠点さえ作れればDFラインも押し上げられて、押し込めるのだが彼らが散らさないために苦戦が継続した。かくして、日本の最も強力な攻撃兵器の苔口は、左サイドの守備に120分間終始し、この試合を終える事になる。
私が見る限り、カタールのプレッシャがきついから縦に逃げたようには思えなかった。最初から、常時前線狙いのフィードを狙っていたように見えた。となれば、それは監督の指示としか思えない。
私は問いたい。過去あれほど見事な実績を上げてきた大熊氏が、どうしてかような見苦しいサッカーを指向してしまったのか。どうして中央の選手に散らす事を徹底しなかったのか、どうして苔口を前がかりにするための手段を講じなかったのか。
まあ、いいだろう、とにかく、ワールドユースの出場権は獲得したのだから。大熊氏には、幾多の疑問を、準決勝の日韓戦の完璧な勝利と言う形態で、回答してくれる事を期待しよう。議論はそれから。
2004年09月29日
前代未聞の愚行
30年以上日本代表チームを愉しませてもらってきた。その間、幾多の歓喜も味わったが、一方でとんでもない監督に悩まされた時もあったし、献身的な努力で戦いつつも他国と比べて能力が低い選手と悔し涙にくれた事もあった(いや、歓喜はここ10年ちょっとばかりだけれども)。色々な想い出は多々あるものの、日本協会が取ってきた施策の多くは無難で妥当なものだった。
しかし、今回報道された施策がもし事実で、実現化されたとしたら、過去30年間の日本サッカー史における最大の愚行となるであろう。
理由を書くのも馬鹿らしく不愉快。しかし、まあ怒りの勢いで書き始めたの訳だから、いくつか書きます。
第一にこのような仕事は、日本協会が直接携わる仕事ではない。日本協会傘下の各クラブ(学校チームを含む)が行うべき仕事である。胴元は胴元の仕事に専念すべきなのだ。日本協会が行うべきは、他先進国の実例などを調べたメニューの提示と、各世代の「日の丸」チームの運営までであるべきだ。
理由は明白で、強力な代表チームを作るには、20人強力な選手がいるのでは足りないのだ。100人いや数百人のトッププレイヤのストックが必要なのだ。それほど多数の選手を、協会が直接育成できる訳ないではないか。現在の日本のユース指導体制は、Jクラブユース、高校、一般クラブなど百花繚乱で競い合っている。そこから次々と好素材が生まれている。どうして、巧く行っている方法を否定するのだろうか。
おそらく、この猿知恵を考えた輩は、フランスのクレールフォンティーヌの育成センタを真似ているつもりだろうが、フランス協会は平行して、各クラブにも同様の育成センタを作っている。発想はおよそ中央集権とはほど遠いものだ(もっとも、これらの育成センタの功績は、各クラブが競って、過去の植民地から若い好素材をかき集めるようになったから、と言う邪説もあるが...)。
大体、J各クラブは日本協会からの行政指導を受け「ユース育成」を義務付けられている。今回の計画はそれを妨害する事になる。どこかのクラブに営業妨害で訴訟でも起こされたらどうするつもりなのか(笑)。
同じ若年層強化でも、私企業のこのようなトライアルは(成功するか多々疑問ではあるが)、1つのアプローチだろうが。
ちなみに、この手の強化が得意な国の代表チームを我々は散々子ども扱いしている。どうして、弱者の真似をするのだ。
さらに、少数のエリートを集中強化するのでは真の強化につながらない事は、メキシコ五輪以降の苦戦と言う学習を、既に日本サッカー界は行っているのだが。
加えていくつか愚行たる理由を重ねる。2つ目。、サッカーのような知的な複合競技において、中学入学時代に「本当に伸びる」素材を選べる訳がないではないか。相当な確率でドロップアウトする生徒が出るのは間違いない。そのような生徒をどう扱うつもりなのか(最初から「脱落者は退学させる」と宣言するのならば、それはそれで一興だが、さすがに10代前半の若者にそれはいかがなものか)。
さらに3つ目の問題。指導者。最高の素材を集める(つもりならば)としたら、最高の指導者が必要。「プロチームの監督に必要な『公認S級コーチ』の資格と教員免許を併せ持つコーチ」を準備すると言うが、(例えば)小嶺、大滝、井田、古沼各氏と言った偉人以上のコーチを、連れてくる自信があるのだろうか。先日も、相当なコストをかけて強化したチームが、指導者の力不足で苦杯を喫するのを経験したではないか。ペケルマン氏でもは連れてくるならば別だが、氏は最近別なチームに取られてしまったしな。
しかし、今回報道された施策がもし事実で、実現化されたとしたら、過去30年間の日本サッカー史における最大の愚行となるであろう。
理由を書くのも馬鹿らしく不愉快。しかし、まあ怒りの勢いで書き始めたの訳だから、いくつか書きます。
第一にこのような仕事は、日本協会が直接携わる仕事ではない。日本協会傘下の各クラブ(学校チームを含む)が行うべき仕事である。胴元は胴元の仕事に専念すべきなのだ。日本協会が行うべきは、他先進国の実例などを調べたメニューの提示と、各世代の「日の丸」チームの運営までであるべきだ。
理由は明白で、強力な代表チームを作るには、20人強力な選手がいるのでは足りないのだ。100人いや数百人のトッププレイヤのストックが必要なのだ。それほど多数の選手を、協会が直接育成できる訳ないではないか。現在の日本のユース指導体制は、Jクラブユース、高校、一般クラブなど百花繚乱で競い合っている。そこから次々と好素材が生まれている。どうして、巧く行っている方法を否定するのだろうか。
おそらく、この猿知恵を考えた輩は、フランスのクレールフォンティーヌの育成センタを真似ているつもりだろうが、フランス協会は平行して、各クラブにも同様の育成センタを作っている。発想はおよそ中央集権とはほど遠いものだ(もっとも、これらの育成センタの功績は、各クラブが競って、過去の植民地から若い好素材をかき集めるようになったから、と言う邪説もあるが...)。
大体、J各クラブは日本協会からの行政指導を受け「ユース育成」を義務付けられている。今回の計画はそれを妨害する事になる。どこかのクラブに営業妨害で訴訟でも起こされたらどうするつもりなのか(笑)。
同じ若年層強化でも、私企業のこのようなトライアルは(成功するか多々疑問ではあるが)、1つのアプローチだろうが。
ちなみに、この手の強化が得意な国の代表チームを我々は散々子ども扱いしている。どうして、弱者の真似をするのだ。
さらに、少数のエリートを集中強化するのでは真の強化につながらない事は、メキシコ五輪以降の苦戦と言う学習を、既に日本サッカー界は行っているのだが。
加えていくつか愚行たる理由を重ねる。2つ目。、サッカーのような知的な複合競技において、中学入学時代に「本当に伸びる」素材を選べる訳がないではないか。相当な確率でドロップアウトする生徒が出るのは間違いない。そのような生徒をどう扱うつもりなのか(最初から「脱落者は退学させる」と宣言するのならば、それはそれで一興だが、さすがに10代前半の若者にそれはいかがなものか)。
さらに3つ目の問題。指導者。最高の素材を集める(つもりならば)としたら、最高の指導者が必要。「プロチームの監督に必要な『公認S級コーチ』の資格と教員免許を併せ持つコーチ」を準備すると言うが、(例えば)小嶺、大滝、井田、古沼各氏と言った偉人以上のコーチを、連れてくる自信があるのだろうか。先日も、相当なコストをかけて強化したチームが、指導者の力不足で苦杯を喫するのを経験したではないか。ペケルマン氏でもは連れてくるならば別だが、氏は最近別なチームに取られてしまったしな。
2004年09月27日
ユースの快勝に3つの不満
地元マレーシアの綿密な大会プランに感心した。日本のグループリーグは随分ラクな相手が多いなと不思議だったのだが、要はマレーシアがワールドユースに出場するために、準備されたグループな訳だ。マレーシアは中央アジアのネパール、同じ東南アジアのベトナムには勝利を計算、準々決勝(つまりワールドユース出場権獲得戦)では絶対に最強日本には当たらない訳だ。日本としては、不満は一切ないので文句を言う気はないが、よくまあ他国がこれを飲んだもんだと感心する次第。
と言う事で、マレーシア−日本。開始早々に1点取ってしまったところで、事実上の勝負あり。技巧とフィジカルで圧倒し、前半終盤に加点。後半も何度か決定機を掴み、(このチームでは)最も若い森本の追加点で3−0と快勝した。
この大会は、極端な言い方をすれば準々決勝の重みのみが強過ぎる。そのような意味では、1次リーグをキッチリ無失点で2連勝したのだから、文句を言ってはいけないのかもしれない。しかし、3点ほど不満を述べたい。
1つ目。エース平山の活かし方、どう平山に点を取らせるか、が不明確。いくら平山が空中戦に強くても、敵DFからみて「よし、クロスが来るな」と言う状況では、余裕を持ったヘディングは簡単ではない。2点目のように、敵DFのクリアがたまたま平山近傍に来れば、圧倒的な高さを活かせるのだが。したがって、クロスを上げるにしても、平山のウラを狙うとか、平山がファーなりニアに動いてそこに合わせるなどの仕掛けが必要だと思うのだが。さらに平山の魅力として、胸トラップで持ち出しての両足での低いシュートもあるのだが、周囲がそれを狙っていないのも不思議。兵頭、中村と言った、国見でのチームメートもいるのに。それとも勝負どころまで、隠しているのだろうか。
2つ目。どうして、スピードだけで突破しようとするのか。苔口、中村の両翼の速さは抜群で、正対すれば敵DFは止めようがなかった。しかし、あそこまでチーム全体で速さで突破しようとすれば、さすがに読まれる。とすれば、まず一旦スローテンポにして敵を引き出す工夫が必要なはず。梶山の負傷離脱は痛いのかもしれないが、中山のように独特の「溜め」を武器にできる選手もいるのだが。「単純な速さ」による突破には限界があるはず、大事なのは「緩急」による突破だと思うのだが。まあ、せわしない攻めも日本の特長もとへ特徴なのかもしれないが。
3つ目。2−0あるいは3−0になり、事実上勝負はついていた。先の試合もある。とすれば、一番大事なのは追加点ではなく、警告を食らったり負傷をしない事であるべき。ところが、試合終盤まで同じテンポでの「攻勢」を続け、ためにマレーシアは相当激しいプレイで対抗してきた。したがって、負傷のリスクが高まった。実際、兵頭、小林が交代を余儀なくされたのは、敵との交錯によるもの、さらに終盤中村、平山も傷ついた。当方が強引に前に出て行けば、技術、フィジカルで劣る地元チームは、激しさで対抗してくるのは当然で、負傷のリスクが高まる。この当たり前の事が、どうして各選手に徹底されていなかったのか。もっとダラダラしたペースにどうして持ち込もうとしないのか。それとも、今後の勝負どころに向けて、「もう1点取る」トレーニングだったのか。
グダグダ不満を述べたが、日本伝統の技巧とパスワークに加え、平山、苔口と高さ、速さで勝負できるタレントがいる魅力的なチーム。ワールドユースの決勝トーナメントを見据え、チームをどう育てていくか、大熊氏の手腕にも期待したい。
と言う事で、マレーシア−日本。開始早々に1点取ってしまったところで、事実上の勝負あり。技巧とフィジカルで圧倒し、前半終盤に加点。後半も何度か決定機を掴み、(このチームでは)最も若い森本の追加点で3−0と快勝した。
この大会は、極端な言い方をすれば準々決勝の重みのみが強過ぎる。そのような意味では、1次リーグをキッチリ無失点で2連勝したのだから、文句を言ってはいけないのかもしれない。しかし、3点ほど不満を述べたい。
1つ目。エース平山の活かし方、どう平山に点を取らせるか、が不明確。いくら平山が空中戦に強くても、敵DFからみて「よし、クロスが来るな」と言う状況では、余裕を持ったヘディングは簡単ではない。2点目のように、敵DFのクリアがたまたま平山近傍に来れば、圧倒的な高さを活かせるのだが。したがって、クロスを上げるにしても、平山のウラを狙うとか、平山がファーなりニアに動いてそこに合わせるなどの仕掛けが必要だと思うのだが。さらに平山の魅力として、胸トラップで持ち出しての両足での低いシュートもあるのだが、周囲がそれを狙っていないのも不思議。兵頭、中村と言った、国見でのチームメートもいるのに。それとも勝負どころまで、隠しているのだろうか。
2つ目。どうして、スピードだけで突破しようとするのか。苔口、中村の両翼の速さは抜群で、正対すれば敵DFは止めようがなかった。しかし、あそこまでチーム全体で速さで突破しようとすれば、さすがに読まれる。とすれば、まず一旦スローテンポにして敵を引き出す工夫が必要なはず。梶山の負傷離脱は痛いのかもしれないが、中山のように独特の「溜め」を武器にできる選手もいるのだが。「単純な速さ」による突破には限界があるはず、大事なのは「緩急」による突破だと思うのだが。まあ、せわしない攻めも日本の特長もとへ特徴なのかもしれないが。
3つ目。2−0あるいは3−0になり、事実上勝負はついていた。先の試合もある。とすれば、一番大事なのは追加点ではなく、警告を食らったり負傷をしない事であるべき。ところが、試合終盤まで同じテンポでの「攻勢」を続け、ためにマレーシアは相当激しいプレイで対抗してきた。したがって、負傷のリスクが高まった。実際、兵頭、小林が交代を余儀なくされたのは、敵との交錯によるもの、さらに終盤中村、平山も傷ついた。当方が強引に前に出て行けば、技術、フィジカルで劣る地元チームは、激しさで対抗してくるのは当然で、負傷のリスクが高まる。この当たり前の事が、どうして各選手に徹底されていなかったのか。もっとダラダラしたペースにどうして持ち込もうとしないのか。それとも、今後の勝負どころに向けて、「もう1点取る」トレーニングだったのか。
グダグダ不満を述べたが、日本伝統の技巧とパスワークに加え、平山、苔口と高さ、速さで勝負できるタレントがいる魅力的なチーム。ワールドユースの決勝トーナメントを見据え、チームをどう育てていくか、大熊氏の手腕にも期待したい。
2004年09月24日
U17の敗退
いささか旧聞ではあるが、先日わざわざ自国で開催したアジアU17大会で、日本が1次リーグで敗退し、世界大会出場に失敗した。このところ、アジアのタイトルマッチを突破し世界大会に進出する事が「当然の世界」になっている我が国だが、どうにもこの大会だけは苦手にしている。
愛読書サッカーマガジン最新号に、布監督の「敗戦反省インタビュー」が載っていた。盛りだくさんの内容で、わずか見開き2ページとスペースが小さかったのが残念(カレン・ロバートの大判カラー写真に1ページ半も使うならば、その恩師の言葉にもっとページを割いて欲しかったのだが、まあ、我が愛読書も「商売」があるのだから仕方が無いのかもしれないが)。とは言え、反省、悔しさ、言い訳、改革提案などが、理路整然と述べられていて、なかなか面白かった。
しかし、その内容がどうも釈然としなかった。布氏の分析が、いささか短期的にU17で勝つための短期的手段に偏っていたように思えたのだ。氏の指摘と私の突っ込みを列記してみる。多芸な選手の不足(その考えが極端に走ると画一的な選手を望む事になるように思うが)、ユースコーチが世界標準を見据えていない事(これはごもっとも、加えて市立船橋時代の自省には感心)、センタラインに強い選手育成が必要(同じ議論が何十年と続いているが、十代半ばで頑健さが特長で大成した選手はあまり記憶がないのだが)。
また、この大会に負ける度に各方面で語られるより本質的な日本サッカーの課題が、今回も各方面で論じられた。中学高校の切れ目のためにトレーニングがおろそかになる。この年代は高校やクラブでは最年少のため甘えが出る、キッズレベルの取り組みにまだ課題がある、少子化で人材が減っていく等々。
布氏の分析も、上記の本質的な議論も、間違っていないと思う。しかし、私が見る限り、直接的な敗因は、タイに苦杯を喫した事につきる(厳しい言い方になるが、布監督を含めたチーム全体に油断があったように見えたが)。加えて組合せの悪さ。今大会決勝に残った中国、北朝鮮と同じグループだったのだから。いずれにせよ、世界大会に出場するのは、この2国とカタール、いずれも「集団強化」を得意としている国。若年層の大会では、このような国は強いものだ。この年代で中国や北朝鮮にやられても(おっと、中国には勝ったんだな)、現状をそうは悲観すべきではないと思うのだが。まして、エース森本が不在だったのだし。
つまり、この年代は集団鍛錬でもまだ勝てる年代であり、そうアジアでの勝敗に拘泥する必要はないのではないかと思うのだ。これについては、布氏は「世界に行かなければ『経験』は積めないので、行かせてあげる事が大前提」と語っており、日本協会もわざわざ大会を誘致したのだから、何とか出場しなければならないと考えていたのだろう。しかし、本当にそうだろうか。そりゃ、勝って「世界」を経験できれば、それに越した事はなかろうが。しかし、逆に「経験を積むために、無理に勝とうとして早熟な選手のみを選考し、将来性ある適切な選手がアジアでも経験を積めない」と言うリスクもあると思う。必勝は大事だが、それが全てではないではないか。
この年代の前途有為な選手に経験を積ませるために必要なのは、より高いランクでの試合だとしたら、ポイントは飛び級制度ではないのか。以前も触れたが、優秀なユースクラスの選手を合理的にJ2やJFLに出場させる仕組みがあれば、面白いと思うのだが。例えば、厄介なのは、ユースのトップレベルの選手はJ1のトップクラブのユースに所属している事が多く、そう言ったチームの1軍レベルはとても高いから、中々大人での試合が経験できない事。具体的な対策を書き始めると、キリがないので別な機会に譲るが、日本サッカー界が考えていくべき問題だと思っている。
もっとも日本協会も、せっかく世界進出を目指して日本で大会を行うならば、もっと盛り上がる環境で試合をすべきだったのではないか。チケットを必死にさばき、事前にマスコミで煽り、熱狂的な大観衆の下で連戦する環境を作れれば、もっとよい成績を残せた可能性は高いと思う(TVで観る限りでは、それなりには盛り上がっていたようだが、通常の日本代表やJリーグのサポート風景に比べれば、まだまだの雰囲気を感じた、北朝鮮戦は敵のサポートの方が強力だったと言うし、中国戦に至ってはワールドカップ予選のインド戦と同じ日だったのだから)。
そこまで盛り上げて「必勝体制」を採らないならば、敵地で若者たちに経験を積ませる方が有益かもしれないではないか。
ともあれ、明日からU20アジア選手権。この年代まで来たら、プロの君たちに負けは許されません。頼むぞ、平山!
愛読書サッカーマガジン最新号に、布監督の「敗戦反省インタビュー」が載っていた。盛りだくさんの内容で、わずか見開き2ページとスペースが小さかったのが残念(カレン・ロバートの大判カラー写真に1ページ半も使うならば、その恩師の言葉にもっとページを割いて欲しかったのだが、まあ、我が愛読書も「商売」があるのだから仕方が無いのかもしれないが)。とは言え、反省、悔しさ、言い訳、改革提案などが、理路整然と述べられていて、なかなか面白かった。
しかし、その内容がどうも釈然としなかった。布氏の分析が、いささか短期的にU17で勝つための短期的手段に偏っていたように思えたのだ。氏の指摘と私の突っ込みを列記してみる。多芸な選手の不足(その考えが極端に走ると画一的な選手を望む事になるように思うが)、ユースコーチが世界標準を見据えていない事(これはごもっとも、加えて市立船橋時代の自省には感心)、センタラインに強い選手育成が必要(同じ議論が何十年と続いているが、十代半ばで頑健さが特長で大成した選手はあまり記憶がないのだが)。
また、この大会に負ける度に各方面で語られるより本質的な日本サッカーの課題が、今回も各方面で論じられた。中学高校の切れ目のためにトレーニングがおろそかになる。この年代は高校やクラブでは最年少のため甘えが出る、キッズレベルの取り組みにまだ課題がある、少子化で人材が減っていく等々。
布氏の分析も、上記の本質的な議論も、間違っていないと思う。しかし、私が見る限り、直接的な敗因は、タイに苦杯を喫した事につきる(厳しい言い方になるが、布監督を含めたチーム全体に油断があったように見えたが)。加えて組合せの悪さ。今大会決勝に残った中国、北朝鮮と同じグループだったのだから。いずれにせよ、世界大会に出場するのは、この2国とカタール、いずれも「集団強化」を得意としている国。若年層の大会では、このような国は強いものだ。この年代で中国や北朝鮮にやられても(おっと、中国には勝ったんだな)、現状をそうは悲観すべきではないと思うのだが。まして、エース森本が不在だったのだし。
つまり、この年代は集団鍛錬でもまだ勝てる年代であり、そうアジアでの勝敗に拘泥する必要はないのではないかと思うのだ。これについては、布氏は「世界に行かなければ『経験』は積めないので、行かせてあげる事が大前提」と語っており、日本協会もわざわざ大会を誘致したのだから、何とか出場しなければならないと考えていたのだろう。しかし、本当にそうだろうか。そりゃ、勝って「世界」を経験できれば、それに越した事はなかろうが。しかし、逆に「経験を積むために、無理に勝とうとして早熟な選手のみを選考し、将来性ある適切な選手がアジアでも経験を積めない」と言うリスクもあると思う。必勝は大事だが、それが全てではないではないか。
この年代の前途有為な選手に経験を積ませるために必要なのは、より高いランクでの試合だとしたら、ポイントは飛び級制度ではないのか。以前も触れたが、優秀なユースクラスの選手を合理的にJ2やJFLに出場させる仕組みがあれば、面白いと思うのだが。例えば、厄介なのは、ユースのトップレベルの選手はJ1のトップクラブのユースに所属している事が多く、そう言ったチームの1軍レベルはとても高いから、中々大人での試合が経験できない事。具体的な対策を書き始めると、キリがないので別な機会に譲るが、日本サッカー界が考えていくべき問題だと思っている。
もっとも日本協会も、せっかく世界進出を目指して日本で大会を行うならば、もっと盛り上がる環境で試合をすべきだったのではないか。チケットを必死にさばき、事前にマスコミで煽り、熱狂的な大観衆の下で連戦する環境を作れれば、もっとよい成績を残せた可能性は高いと思う(TVで観る限りでは、それなりには盛り上がっていたようだが、通常の日本代表やJリーグのサポート風景に比べれば、まだまだの雰囲気を感じた、北朝鮮戦は敵のサポートの方が強力だったと言うし、中国戦に至ってはワールドカップ予選のインド戦と同じ日だったのだから)。
そこまで盛り上げて「必勝体制」を採らないならば、敵地で若者たちに経験を積ませる方が有益かもしれないではないか。
ともあれ、明日からU20アジア選手権。この年代まで来たら、プロの君たちに負けは許されません。頼むぞ、平山!