考えてみれば、この韓国五輪チームとの対戦成績は1勝2分け1敗と全くタイで終わった訳だ(もっとも得失点差は当方のプラス1だな)。かくなる上は本大会で雌雄を決しようではないか。試合終了後、悔し涙を流す宋鐘国を小野がなぐさめる。歓喜で飛び跳ねる那須に口を真一文字に結んだ柳想鉄が声をかけユニフォームを交換する。いいでしょ。
ところで、昨晩は大変だった。
夕刻は17時頃だったか。突然妻から電話があった。緊迫した声。
「TVが壊れたみたい、どうしよう。」
色々事情を聞く限りでは、回復不能の故障の模様だ。我が家には1台しかTVはない。今日は上記のU23日韓戦を観た上で、コパ・アメリカ準決勝アルゼンチン−コロンビアとアジアカップの中国−インドネシアがある。アジアカップのみならずコパ・アメリカも開催中に、TV無しで人生を送るのは不可能だ。今から仕事を休んで中国に行くのには無理がある。私は即決した。
「電器屋に行って、一番安いTVを買って来い、大型TVの買い替えは後からじっくり検討しよう、とにかくすぐ帰る」
帰宅後、新品の14インチTV(わずか1万円超でカラーTVが買える時代なのだと感心したが)で、日韓戦を見終わった後、故障のTVの復旧作業を試みた。いくら試しても、29インチのブラウン管は映像を映してはくれない。もうダメだ。寿命らしい。
思えば、このTVを買ったのは、89年5月。イタリアワールドカップ1次予選のアウェイゲームを、NHKが衛星放送で中継すると言うから慌てて買ったものだ。あれから15年、こいつは本当によく働いてくれた。あの日本代表暗黒時代のインドネシア−日本戦(0−0の引き分け、当時はインドネシアとの敵地での引き分けは悪くないと思ったが)を皮切りに、一体何試合をこいつを通じて観戦したのだろうか。そして、あの頃アジアでもまともに勝てなかった我らが代表チームは、当時想像すらしなかった高みまで成長してくれた。そして、その1つ1つをこいつは俺に見せてくれたのだ。坊主に手伝わせ、敗戦じゃなかった配線をはずしながら、この15年間を思い起こした。
イタリアW杯予選、平壌での北朝鮮戦の完敗。本大会開幕戦、カメルーンのオマン・ビイクがアルゼンチンを破るヘディングシュート。バルセロナ五輪予選、日韓戦終了間際の痛恨の失点。広島アジアカップイラン戦、カズの「足に魂込めた」決勝ゴール。USAW杯1次予選UAEラウンドタイ戦、井原がピヤポンと共に退場、そして堀池の決勝ゴール。本大会決勝、バレージとバッジョのPK失敗。広島アジア大会日韓戦、井原の超ロングシュート、そして疑惑のPK。ウェンブレイでのアンブロカップイングランド戦、井原の完璧なヘディングシュート。ユーロ96、ザマーの見事な攻撃参加。アトランタ五輪、マイアミの奇跡。UAEアジアカップクウェート戦の苦杯。フランスW杯予選敵地ウズベク戦、終了間際ロペスの同点ゴール。そして同予選UAE−ウズベク、引き分けによる自力進出回復の歓喜。ワールドユースナイジェリア大会、堂々たる決勝進出。欧州チャンピオンズカップ、マンチェスタUの奇跡の逆転勝利。ユーロ00、ロスタイムのカテナチオ崩壊。シドニー五輪スロバキア戦、欧州チームに完璧な勝利。同じくUSA戦、悔しいPK負け、ダバディ氏の涙。レバノンアジアカップ、名波を中軸としたアジア完全制覇。コンフェデカメルーン戦、日本代表史上最高の試合。01年J2最終節、ベガルタ涙の昇格劇。敵地でのポーランド戦、日本代表の完璧な試合。韓日ワールドカップベルギー戦、歓喜と怒り。コンフェデコロンビア戦、宮本のミス。03年J1最終節、ベガルタ涙の降格劇。アテネ五輪予選、敵地UAE戦の感動の勝利、ホームUAE戦の「やれやれ」感。先日のユーロ04、決勝でのルイ・コスタとフィーゴの悲しい妙技。
ありがとう、NEC製C−29BS80。君のおかげで、この15年間、本当に愉しかったよ。
と、アホな感慨にふけりつつ、前日の15年前よりも弱くなったのではないかとまで思わせるC−29BS80の最後の奮闘を思い出して悲しくなった。ああ、君が最後私に見せてくれたのは、あのオマーン戦なのか。
いや、ポジティブに考えよう、君が最後に見せてくれた得点は、あの芸術的な中村俊輔のアウトサイドキックだったのだ。








