一方、面白いものでプロ野球でもその年はドラゴンズが優勝した。つまり、サッカーも野球も近隣地域のチームが優勝した訳だ。一緒に仕事をしていた仲間の多くは当然ながら、ドラゴンズびいきだから、随分と祝い酒をおごってもらったのも愉しい思い出だ。ちなみに、当時のチームは星野氏は監督就任2年目、落合が主砲でフル回転し、立浪が新人だったのだから、時代を感じずにはいられない。
そのドラゴンズが、落合監督の下セリーグを制覇しながらも、またも日本選手権で敗れた。ドラゴンズは選手権では勝てない事に定評がある。けれども、今年の相手は大沢親分、江夏以来久々の選手権のフライヤーズじゃなかったファイターズだけに、今度こそ勝てるかと思われた。しかし、北海道サポータに押し切られてかのような敗戦だった。昨年のオリオンズじゃなかったマリーンズの勝利と言い、この2年の選手権は強力なサポータ抜きでは語れないようだ。
一方で、ファイターズの快進撃を、非常に複雑な思いで眺めているコンサドーレのサポータが多いのも確か。北海道あるいは札幌をホームタウンとして、活動を開始したのはコンサドーレの方がずっと早かったのだが、現時点では「見かけの人気」に大きな差がついてしまった。さらに言えば、コンサドーレの場合、一時はJ1に定着する雰囲気すらあったのに、明らかな監督選考の不備から始まるJ2陥落、同時に顕在化した財務的な危機により、J2中位に低迷する事になっただけに、悔しさはひとしおかもしれない。いや、近い将来イーグルスの強化が順調に進めば、我々ベガルタサポータも同じ感情を持つかもしれない。
このあたりは、やはり「野球の凄さ」だと思う。我々サッカーサイドの人間が何を言っても、この国における野球は凄い。もちろん、そこに至るまでにファイターズやマリーンズの営業努力もまた並々ならぬものだったのだろうが。よく「野球人気は頭打ち」と言う議論をよく読むが、私にはとてもではないがそうは思えない。06年の野球を回顧してみれば、王監督の下で世界一になって、ユースの日本選手権の決勝では歴史的な好ゲームがあって、トップリーグでは札幌と名古屋のクラブが叡智を尽くした死闘を演じた。我々が川淵会長とジーコでアボーンしたのとはえらい違いだ(いや、Jリーグはこれから非常に面白い終盤戦を愉しめるだろうが)。むしろ、「野球人気は頭打ち」ではなく、単にジャイアンツと言う球団が苦戦していると言う事なのだろう。
一方でかなり驚いた事がある。小学6年の坊主が「『遊びとしての野球』をほとんどした事がない」と言うのだ。「野球は道具が必要だし、ルールがややこしいからすぐケンカになるし」と言っていた。私が子どもの時は、放課後いつも野球ばかりやっていた。もちろん、「校庭でバットを使ってはいけない」と言ったキマリもあったから、いわゆる「ハンドベースボール」が多かったが。確かにルールの解釈で、よくケンカしていた記憶はあるけれど。ところが、坊主に言わせると「野球は少年団に入っている子が、ユニフォームを着てやる競技」らしい。坊主がサッカー少年団所属で、極めて特殊な父親の息子である事は割り引いて考えなければならないが、「みんなで身体を動かしたい時はサッカーだよ、道具はいらないし、わかりやすいし。」との事だ。
野球の凄さは認めざるを得ないだろうが、確かに時代は動いているのかもしれない。
誤解されては困るが、私はサッカー人だが、野球とサッカーの人気が排他的なものだとは思っていない。野球場に生観戦しに行く時間があったら、サッカーを見に行くだろうが、野球(を含めた他のスポーツ)をノンビリ愉しむのも嫌いではない。上記のWBCも甲子園決勝も、存分に愉しませてもらったし。野球とサッカーは「排他的ではない競合」として、相互を利用しつつ成長すべきものではないかと思っている。
先ほど、コンサドーレについて述べた時に「J1に定着」と言う表現を用いたが、長い歴史で見れば「J1に定着」と言う日本語が妥当かどうかは疑問が多い。たとえば、マンチェスターユナイテッドが2部落ちしたのは「ほんの」30年ほど前の話で、前回ファイターズならぬフライヤーズが日本選手権を制覇した時よりは「最近」なのだから。つまり、長い歴史と言うのはそう言うものなのだ。ファイターズとコンサドーレの、ホークスとアビスパの、ドラゴンズとグランパスの、カープとサンフレッチェの、そしてイーグルスとベガルタの、「排他的ではない競合」関係の戦いは、未来永劫続く。
(付録)
お遊びです。
ファイターズが栄冠を掴むまでの一連の道のりで、最も興奮したのは、プレイオフの決勝点の場面の森本の2塁からの快走でした(ホークス斉藤和に完璧に抑えられていたファイターズだったが、9回ウラに森本四球、田中雅送りバント、小笠原敬遠、セギノール三振で迎えた2アウト1、2塁で、稲葉の内野ゴロで2塁のフォースプレイになる所に小笠原が飛び込みセーフ、その間に森本が長躯ホームを突いてしまった!)。で、この場面をサッカーにシミュレートしてみました。もし、野球に詳しい方が不快に思ったらゴメンナサイ。
お互い完璧な守備で守り合っていた試合。ホークスの守備は、CBの斉藤和の驚異的な読みを軸に安定し、何らゆるぎを見せない。一方若手の八木を最終ラインに起用した日本ハムの守備ラインも堅実でとてもではないが崩せそうもない。
かくしてお互いに0−0で迎えたロスタイム。日本ハムのサイドハーフ田中賢が、ソフトバンクの中盤のプレスの僅かな隙を見つけてアーリークロス、もちろんそのクロスのコースを冷静に読み切った斉藤和は落ち着いてコースに入る。ところが、日本ハムの闘将小笠原が、そのクロスに強引に頭から飛び込んだ。
そのため体勢を崩した斉藤和は味方につなぐのを断念し、プレイを切るためタッチラインにクリア。ところが、この日素晴らしい気迫で守備ラインを引き締めていたサイドバック森本が、好機はここしかないと読んでいたのか長躯70mを疾走していた。森本はそのクリアを拾って、角度のないところからアウトサイドにかけたシュート、その一撃が完璧な決まってしまった。
ゴールキーパの新庄が、森本の近くまで来ていたのがご愛嬌。
って言う感じでしょうか。それにしても、ノーヒット、ノーエラーで、点が入るのだからビックリしました。それでサヨナラ勝ちで優勝と言うのですから...








