2003年01月20日

ああ貴花田

 全くサッカーと関係のない話です。



 貴乃花が引退した。



 稀代の名横綱である。大鵬、北の湖、千代の富士、これらの名横綱と並び語り続けられるべき存在である。そして、私は過去これらの名横綱とそれぞれ同時代を生きてきた。

 大鵬時代はまだ小学生。具体的な記憶は少ないが、色白でじっくりと守る相撲だけはよく覚えている。全盛期を過ぎてからも、若き横綱の北の富士と玉の海(在位中に病魔に冒され死去)に対して、相当な強さを見せたのも忘れ難い。

 北の湖は、私が中学生から大学生にかけて。この力士は、とにかく運動能力の高さが絶品。四つに組みながら、一瞬相手をゆさぶり、文字通りあっという間に巻き変えて下手を取り、攻め立てる。この巧みさは驚異的だった。もし、この力士が相撲でなくて、サッカーを志してくれたならば、日本サッカー史が変わっていただろう。いや、相撲以外のどのスポーツを選択しても、日本のスポーツ史は変わっていただろう。そのくらい、他を圧した運動能力だった。

 一方、千代の富士は、私が大学時代から20代後半にかけて。とにかく型の強さの見事さ、特に立合いの厳しさは天下一品。前みつを取った瞬間に、一気に土俵際まで持っていくスピード。千代の富士に前みつを取らせてはいけないと、相手力士がわかっていても防ぎようのない鍛え抜かれた技の美しさ。



 これらの名横綱と比較して、貴乃花のは敵の抵抗を奪い去ってしまう攻め込みが絶品だった。往時の貴乃花の相撲は、自分十分になってじりじりと寄ると、相手力士が何も抵抗の出来ない状態でそのまま土俵際を割ってしまう。土俵を割った相手の腰や尻を、ポンと叩く貴乃花の余裕がまた心憎かった。



 この力士は、タレントとの婚約破棄騒動や、怪しげな整体師もからむ洗脳騒動など、土俵外の騒ぎが多すぎた。馬鹿なマスコミが権力を持つ最近の時代の悲劇だろう。そして、一昨年の膝の負傷後の治療報告の曖昧さなど、相撲界がサッカー界と比較して「説明責任」が確立していない事の証左となった。

 「膝の負傷」、「肩の負傷」、「横綱の責任」など、グタグタ外野が言うのは、どうでもいい。わかっている事は、この稀代の逸材が、不運な負傷から回復せずに前線を去る事。そして相撲界は、その負傷回復を助けられなかった事だ。

 あまりにもったいないと思うのは私だけだろうか。



 もっとも、「名大関貴ノ花」の息子が「稀代の名横綱」に成長した事だけで、満足している事もまた事実。私が小学校から大学生までの時代。先代貴ノ花の細身ながらも正々堂々とした、そしてあきらめない相撲振りは、本当に素晴らしかった。体重が増えない体質、若年時代に(名横綱先代若の花の弟ゆえにいじめられて無理に酒を飲まされて)壊した内臓、これらを引きずりながらも、堂々とした相撲で、大鵬と、北の湖と、千代の富士と、それぞれ戦い抜いた美しさ。

 先代貴ノ花の現役時代、「減点パパ」と言うTV番組があった。有名人の子供をスタジオに呼び、故三波伸介氏が色々質問しながら、父親の似顔絵を描く趣向。その番組に、2人の息子が出演した。肥満体の小学生2人が、「お父さんのように相撲取りになりたい」と嬉しそうに語った場面が忘れられない。

 その数年後、「貴ノ花の息子2人が相撲界にデビュー」と言う報道を聞いた。そして、2人とも強かった。そして、我々「先代貴ノ花ファン」がかなえられなかった夢を息子2人がかなえてくれた。しかも弟の方は、大鵬、北の湖、千代の富士と並ぶ稀代の名横綱になったのだ。これ以上何を望もうと言うのか。



 だから、私は語りたい。

「ありがとう、貴花田」と。
posted by 武藤文雄 at 00:43| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2003年01月12日

ラグビーとの比較

 昨日たまたまTVで大学ラグビーの決勝を観た。

 ラグビーには素人だが、勝敗の分かれ目は明白だった。前半終了間際、12点リードされた関東学院が簡単なペナルティキックを外した事だ。はっきり言って、40歳を過ぎた私でも決められるような距離と位置(笑)。どうして、日本のラグビー選手はああもキックが下手なのか。

 あそこで、決めていれば前半で9点差。そうなれば、もう1つペナルティを入れれば6点差でワントライワンゴールでひっくり返せる。9点差と12点差の違いは大きい。

 かくしてあせる関東学院に対して、早稲田が巧妙な反則で対抗する。ピンチの「ここぞ」と言うときに、わざとオフサイドの反則をする。関東学院も着実に3点ずつ取っていけばよいのだが、大差(しかも後半の序盤にミスからもうワントライ許していた)のために、いつもトライを狙いに行く。前半の簡単なペナルティ失敗も影響していたのかもしれない。

 わざとオフサイドをする行為は、サッカーならば敵のスルーパスをハンドで止める行為で警告や退場につながるのだが、ラグビーの場合は問題ないらしい。サッカーの時間稼ぎは、自分でボールをキープすると言う自前技術だが、ラグビーはそれに限らないのが、比較文化論としては面白かった。が、すぐ飽きた、カネを取って興行する見世物としては物足りない、おっと彼らはアマチュアか(笑)。

 ワールドカップラグビーを見ていると、世界のトップレベルのラグビーは、ペナルティキックあるいはドロップゴールで、着実に3点ずつ積んでいくゲームのようなのだが、日本のラグビーは抜本的に考え方が違うのだろう。それは、日本のラグビーファンやプレイヤの指向によるものなのかもしれない。サッカー馬鹿としては、「世界トップ方式」の陰々滅々とした積み上げの方が好きだけど。
posted by 武藤文雄 at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2002年12月20日

松井のヤンキース入り

 たまには野球の話。

 松井がヤンキース入りすると言う。誤用、じゃなかった御用新聞の読売が、7番が有力と言うが釈然としない。松井は日本最高の野球選手だと思う。そして、野球は日本で最も盛んなスポーツだ。何故そのようなトッププレイヤが、単独チームで7番を打つと言う展望になるのだろうか。

 野球はサッカーと異なり、打順でランキングが明確につく競技だ。サッカーの場合、サイドバックよりもセンタフォワードが偉いと言う序列はない。しかし、野球では4番はどう考えても7番よりも偉い。

 悔しいけれど、サッカーのように日本が欧州、南米に比べて十分に普及し切っていないならば、そのトップスターが欧州ですぐにトップスターになるのは難しいのは、わからないでもない。それでも、ローマで中田が干された時は腹が立ったが、このあたりは別な機会に講釈しよう。

 しかし、野球の日本と合衆国の普及度が違うとは思えない。しかも、野茂、佐々木、イチローと日本のトップスターは、今まで大リーグでそのまま活躍している。野茂は走り込みをしっかりしてスリムなシーズンは日本でも合衆国でもトップレベルのピッチング。佐々木は日米でトップクラスのストッパ。イチローよりヒットを打つのが巧い選手は、どこにもいない。

 もっとも、今シーズンは「イチローが首位打者を取る事ができなかった」と言う信じ難い事態となった訳だが。確かに、この事実は確かに合衆国の野球リーグの方が、我々のそれよりレベルは高い事を示しているのは間違いない。しかし、だからと言って格段にレベルが異なるとは思えない。

 だから不思議なのだ。「松井が7番を打つ」と言う概念に、多くの人が疑問を呈さないのが、よくわからない。ヤンキースと言うチームはどうやら、大リーグでも最も強いチームの1つらしいが、高々1つの単独チームに我が国のトップ選手よりもよいバッターが何人もいると言う事が不思議でしょうがない。
posted by 武藤文雄 at 01:18| Comment(0) | TrackBack(0) | サッカー外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする