2007年03月10日

最高に近い結果

開始早々から非常に悪い予感がした。
日本がまず失点しない事を強く意識し過ぎていたからだ。4DFの前に、宮本を中央に宮間と酒井を左右に配するトレスボランチ。常に7枚守備に残す守備偏重。
先日、オシム爺さんがアウェイゴールルールを批判していた。引用してみる。
このルール、導入当初は意味があった。アウエーに乗り込むチームを積極的にする点で。しかし、もう形骸化しているといっていい。アウエー側の勇敢さを引き出すより、今ではホームチームへのプレッシャーとしてマイナス方向に作用しているからだ。
ホームで失点したら取り返しがつかないという強迫観念が、監督に失点はしたくないという戦術を採らせる。昔はアウエーの側だけが塹壕(ざんごう)にこもって試合をしたのに、今では両方が、あるいはホームの側が塹壕にこもって出てこなかったりする
この日の日本のプレイ振りは正に爺さんが指摘したホームチームのもの。

 日本は、両サイドに2トップなり澤が流れてサイドMFとサイドバックが絡んで数的優位を作る。それに宮本のサイドチェンジを絡めるのが基本的な攻撃のやり方。けれども、チーム全体が引いているのでサイドで数的優位を作っても、中央の数が足りないからセンタリングが上がっても得点が入る匂いがしない。この日の目標は2−0での勝利だと思うのだが、後半勝負を考えているのだろうか。
 イヤな予感がし始めたところ、チーム全体が慎重過ぎるため、パスの出しどころがなくなった宮本が中盤をドリブルで抜け出そうとしたところ、敵MF2人にはさまれボールを奪われる。その速攻から、2対2を作られ、最後フリーで抜け出した敵FWが強シュートを放つも、GK福元が美技で防ぐ。
 やや重苦しい雰囲気が漂い始めた35分過ぎ。日本が見事な攻撃を見せる。右サイドで近賀と酒井が巧みに2対1を作り、しっかりとボールを保持した後、宮本を経由して左に展開、左サイドでも宇津木と宮間の連携で数的優位を作り宇津木がフリーとなって好クロス、後方から長躯して荒川の後方に走りこんだ澤がヘディングシュートを決めた。美しい得点だった。それぞれのサイドでサイドバックがしっかりと押し上げ、サイドチェンジを織り込んだ攻撃をしてサイドを崩せれば、ペナルティエリアに3枚の選手が飛び込める。両サイドバックの勇気と、澤の飛び込むセンスが生んだ、鮮やかな先制点だった。
 ここで重要な事は、両サイドが同時に飛び出すようなリスクではない。タイミングを見て、自サイドにボールが入った時に数的優位を作る勇気なのだ。リスクを侵せと言っているのではない、勇気を持てと言っているのだ。

 後半に入り、メキシコが開始早々から前に出てきた。これは当然予想された動き。1−0とリードしたのだし、少なくともボール保持に関しては優位に立てるのは前半からわかっていた事。ところが、ここで日本の選手は慌ててしまう。この時間帯は危なかった。ようやくマイボールにしながら、FWが攻め込もうとしているのに最終ラインは押し上げずに息をついてしまったり、後方でキープすればよいのに精度の低いフィードを急いでしまったり。
 中途半端な押上から敵FWが右サイドフリーで抜け出した場面(センタリングをかろうじてかき出す)。近賀の軽率な対応から敵FWに強烈なシュートを食らった場面(福元が好フィスティング)、そして最も危なかったのはやはり守備ラインの押し上げが悪く縦パスを通された時に軽率に福元が前進してしまい、ループシュートを打たれてバーに当たった場面(このミスがなければ、この日のウーマンオブザマッチは澤でなく福元だったのだが、ここは結果オーライ、最高の失敗経験と言っておこう)。

 ここで、大橋監督が見事な采配を見せた。
 左サイドMFに柳田を起用し、左右に見事な展開をしていた宮本と交代、宮間を右に回し、中盤の底に酒井。正直言ってこの交代にはビックリした。前半は宮本のサイドチェンジで変化をつける以外、攻撃に変化がほとんど見る事ができなかったからだ。しかし、大橋氏の采配は正しかった。宮本のサイドチェンジは失われたが、両サイドに技巧的なプレイヤが入り、底に「戦う」酒井が入った事でる事で、両翼から仕掛ける頻度が増え、再び日本はペースを取り戻した。
 そして、左サイドを宇津木、柳田、澤で完璧に崩し、澤のセンタリング、逆サイドから宮間が飛び込み、全くフリーでヘディングを決める。ここでも「サイドの数的優位+敵ペナルティエリアに相当数が飛び込む」と言う勇気が奏効した。
 その後はメキシコ守備陣の疲労が顕著になり、荒川、永里(大野に交代)の2トップがフィジカルで強引に押し込み、澤のバーに当たったシュートを含め攻勢を取り続けるも3点目がとれずに試合終了。来週高地の敵地での試合とは言え、ホームで2−0はほぼ満足ができる結果と言ってよいだろう。

 このチームは悪くない。組織的な守備網は見事なものだ(この日危ない場面のほとんどは、個人的なミスによるものだった)。しかし、このやり方をする以上は、点をとるためには勇気が必要。言い換えれば、時間帯としては短い局面だったが、「ここぞと言う場面で勇気を持って攻め上がった」選手が複数いたのが勝因となった。選手のイマジネーションで勝った試合だったのだ。
 もっと技巧的な選手を1枚加えるべきではないかとか、変則的に引き過ぎる指示はいかがと思う事も、ない訳ではないけれど、とにかく今日は2−0の完勝を素直に喜びたい。
posted by 武藤文雄 at 23:04| Comment(5) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月09日

がんばれ女子代表

 明日は女子代表ワールドカップ予選プレイオフ。
 考えてみれば、女子の試合を生観戦したのは、この試合この試合くらい。いずれの試合も我らが誇る淑女達は見事な戦いを見せてくれて、我々に歓喜を提供してくれた。
 4年前のメキシコ戦の快勝は、今なお素晴らしい思い出だ。もっとも、このチームを率いて監督として非常に高い評価を受けていた上田栄治氏が、ベルマーレで失敗した事も忘れてはいけないのだろうけれど。
 4年前と違うのは、先にホームゲームを戦う事か。4年前は敵地で引き分けて帰国してのホームゲーム、勝つか1−1以下の引き分けで出場が決まると言う状況だった。しかし、明日は違う、何点差で勝とうが完結しない。しかも、最低でも2点差をつけて勝ちたいと言う難しい試合だ。
 厄介な試合となろうが、明日は「行け行け」で戦うべきだと思う。アウェイゴール2倍ルールの罠が怖ろしいのは確かで、先日もバルセロナやリヨンがその罠に嵌った。そのような観点からは「慎重に戦うべし」と言う考えもあろう。けれども、今の女子代表はそのような駆け引きが向いたチームとは思えない。むしろ、大観衆の後押しを受けて、勢いで粉砕するような試合をすべきではないか。まずは前半からラッシュをかけて押し込む事が肝要だ。
 もちろん、だからと言って単調な攻撃にならないようにする事が肝要。ひたむきに押し込みながら、いかに変化をつける事ができるか。元々女子代表は戦う意欲が高過ぎて、「戦い」に専念してしまい「遊び」を忘れる悪癖があるからだ。
 だからこそ、明日は応援が重要になる。日本を励まし、メキシコを追い込むような応援が。応援はひたすら敵を押し込む雰囲気を作り、一方選手達が「遊び」の感覚を忘れずに変化をつける事が理想の展開につながると思う。
 何とも愉しみな国際試合ではないか。

 ちなみに明日は坊主とチームメート(要は私の教え子)と共に参戦する。「サッカーの応援とはこのようなものだ」と、卒業前の彼らに教えてやるのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月05日

もう少しゆっくり

 男女とも優勝の可能性が無くなってしまった東アジア選手権。何とも微妙な空気が流れているジーコ氏率いる男の代表チームと比較して、女子代表の評判は大変よろしい。



 ここまでの2試合、女子代表の試合振り、特に戦う姿勢が素晴らしいからだろう。チーム全体が意思統一された攻守、体格で優れる相手にひるまずにチャレンジ、敵に隙あらば攻め込む意欲。TV桟敷で愉しむ野次馬の私も、選手1人1人の戦う意欲を、映像を通してたっぷり堪能させてもらっている。

 ただ、北朝鮮戦、中国戦と2試合続けて観戦したところで、彼女達に「もう少し肩の力を抜いたらどうだ」と言いたくなってきたのは私だけだろうか。



 私が今まで見た女子代表の試合のベストゲームは、アテネ五輪スウェーデン戦。この試合は、全員の戦う姿勢、守備面の組織力、攻撃での即興性が、非常に高いレベルで発揮された。当時と比較して、今回の女子代表は、戦う姿勢は遜色ないものの、残り2点には不満が残る。そのうち、守備面の組織力については、新しいチームでピークは来年以降に来るべきなので、これは仕方が無い。

 しかし、もう少し技術を活かした即興的な攻撃を見せてもらえないかと言う想いはある。おそらく、アテネでそのような役割を担当した荒川、小林、川上と言った選手ではなく、若い選手を登用しているためだと思う。若い選手たちは、国際経験も浅いから、どうしても「戦おう」とすると「戦い」に専念してしまい、「遊び」の感覚がなかなか出てこないのだろう。唯一、経験も技巧も兼ね備えた澤は、逆に若い選手を引っ張るのが精一杯で、これまた「遊び」が出てこない。何とか、もう少し肩の力を抜いて、落ち着いたゆっくりとした攻撃を仕掛けられないものだろうか。

 さらに言うと、北朝鮮にせよ、中国にせよ、体格差に対抗するために、敢闘精神が全面に出過ぎると、逆に「力と力」の戦いに陥りやすい。特に北朝鮮戦はその傾向が強かった。相手が強かろうが、速かろうが、技術で対抗して圧倒するのが、当面日本がアジア席捲を目指す上で重要なポイントとなると思うのだが。

 第3戦の韓国戦は、久々に川上が起用されるとの噂があるが、彼女のリードに導かれ、大野、宮間、安藤らの若手技巧派たちが、落ち着いた技巧を発揮し、美しい即興的な攻撃を披露してくれる事を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:14| Comment(10) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月24日

女子サッカーの今後 下

 女子代表敗退の講釈を継続する。



 多くの素質豊かな少女たちが、サッカーを志してくれたとして、最終的に重要になってくるのはトップレベルの環境整備だろう。その観点から、今一度今回の女子代表を考察してみたい。



 今回の女子代表チームの素晴らしさについては、既に述べた。選手たちが、鍛えられた組織戦を行いつつ、ここぞと言う場面で、これらの個人能力を発揮しようとする本当に見事なチームだった。

 これだけのチームを作り上げた上田氏の手腕は本当に素晴らしい。さらに、このチームの選手たちの多くはまだ20代半ば、このコンビネーションがよいチームの連携がさらに熟成されれば、次のワールドカップさらに4年後の五輪の好成績までも期待できると思われる。



 しかし、日本のサッカー界は、さらに年月をかけて代表チームの集中強化を行い、このチームの熟成を図るべきなのだろうか。現在の日本協会の財力からすれば、従来以上の合宿や遠征を組み(山本氏に自由自在に使わせた費用の一部をこちらに回すだけで存分な予算が確保される)、好成績を挙げた時には従来以上のボーナスを選手たちに提供する事は可能だろう。世界大会で好成績を得るためには、短期的な手段としてはそれは正しいと思う。

 しかし、長期的な観点から見て、代表チームだけをひたすら強化するのが正しいとは思えないのだ。

 やはり、強化の王道はLリーグ全体をよりレベルの高いものにしていく事のはずだ。真の強化は、合宿や遠征からは得られない。日々の厳しい連戦の中から、本当の強者が育ってくるはずだ。しかし、いくら資金豊富な日本協会でも、Lリーグ全体のレベルを上げていくための経済支援は事実上不可能。所属選手の生活保障は、各チームに依存せざるを得ない。これに1番カネがかかるのだから。

 ところが、団体競技のスポンサシップは、サッカーに限らず日本スポーツ界では非常に深刻な問題だ。個人競技の場合は少数の精鋭を鍛え抜く(経済的にもその精鋭たちに資本を集中する)事で、強化は可能かもしれない。個人競技ならば、日々の厳しい連戦を、海外転戦に求める事さえ可能なのだ。しかし、サッカーのような団体競技では、代表チームのみならず、国内リーグの各チームまで万遍無い強化をしなければならないのだ。

 ここでつらいのは、Jリーグと異なり、女子サッカーは自己完結した経済原理の確立(つまり観客やスポンサを集め、ビジネスとして成立させる)のが、かなり難しい事だ。見世物と言う観点からは、JリーグそのものがLリーグの最も強力な競合なのだ。





 日本協会は、視点を変えるべきだと思う。

 Lリーグにカネを落としやすい環境を作るべきなのだ。例えば、今の日本協会が直接所有している無形資産である「日本代表チーム」、間接的に所有している「Jリーグ」これらのブランドを、Lリーグにカネを出してくれる企業にも提供可能な形態を考えるのはいかがか。これは矛盾した提案だ。上記のブランドを現在利用可能な企業は、「それなりの独占使用権」を確保できるからカネを出している。つまり、Lリーグ出資者と言う新たな参画者に、その権利が分離されてしまっては、カネを出す意味が減ってしまう。

 つまり、方式の組み直しが必要になるだろう。男女のサッカーを組み合わせた商品として、改めて売りに出す事はできないかと言う事だ。非常に厄介な事だとは思うが、そこまで遡る事が、真の女子サッカーの強化は難しいのではなかろうか。

 

 一時のLリーグバブルが崩壊した以降も、堅実にチームを支えてきてくれた現在の各スポンサ企業には、いくら感謝しても感謝し足りない。そして、今回の女子代表の活躍で、新たにスポンサとなろうと言う企業も出てきているようだ。そのようなありがたいスポンサによりよい商品を提供する事。日本協会には、この機会を逃さず適切な改革を実施する事を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:46| Comment(1) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月23日

女子サッカーの今後 中

 女子代表敗退の講釈を継続する。

 

 上田発言で、もう1つ重要なのは、「今回の女子代表の奮戦が「体格」のよい素材がサッカーをする機会になって欲しい」と言うくだり。

 当たり前の話と言ってしまえばそれまでだが、戦闘能力を高めるためには(色々な意味で)よい素材が多数サッカーをプレイし、選手層が厚くなることが重要。そして、今回の「磯崎とその仲間たち」の素晴らしいプレイ振りは、一例としてこちらでも述べられているように、日本中で多くの少女たちをサッカーを志すきっかけになったはずだ。



 ここで大切になるのは、サッカーを志してくれる多くの少女を受け入れる環境だ。昨日述べたように上田氏のような慧眼の持ち主が注意深く発言しても、必ず間抜けな奴が広告代理店に乗せられて、こういう事を、また言い出す恐れがある。これへの批判は以前も述べた

 重要な問題はこの間抜けなニュースリリースにも述べられているが、中学生レベルのサッカー少女を受け入れる環境なのだ。日本中ほとんどの中学校には女子バレー部や女子バスケット部はあるが女子サッカー部がないのは、皆様ご存知の通り。しかも、少子化の折、中学校に新しいクラブを作るのは容易ではない。とすれば、何がしかの形態で、日本中津々浦々にサッカー好きの女の子が加われるクラブを作ると言う遠大な計画が必要になる。これは大変厳しい課題だが、今の経済状況の日本サッカー協会にとっては実現不可能なものではないと思う。

 磯崎たちの大奮闘を利用して、「全てのサッカー少女にプレイの機会を」と言うモットーのもと、日本中のサッカー好き女子中学生のために一肌脱ぐのは、いかにも川淵会長がお好きなイベントだと思うのだが。



 ついでにもっと底辺からのお願い。

 私の少年団にも、最近女子選手が4名加入した。4人とも、「お兄ちゃんがサッカーやっているから」と言うどこかで聞いた事のある理由での加入、まだ小学校1,2年生だ。そのくらいの年齢の時は、我々素人(に毛が生えたような)コーチでも対応は可能に思える。次第にそのような女の子が成長し、小学校の高学年なり中学生になった時はどうなるか。

 そこまで成長した女の子の指導は、私のような素人には手が余る。サッカーの技術、戦術の指導ならば問題なかろう。しかし、そのような女の子に精神面の指導など、どうしてよいかわからない。男ならば、乏しい自分の人生経験からでも何とかなるのだけれども。

 私は中学1年の娘がいて仲良く生活している。しかし、娘の友人(女の子)はもはや違う生物としか思えない。どう会話していいかすらわからない(笑)。

 訳のわからない文章を書いたが言いたい事は、日本協会に「日本中の素人少年指導者に女子指導のノウハウを教示いただきたい」と言う事だ。



 女子代表の美しい戦い振りは、間違いなく日本中にサッカー少女を増やす事だろう。だからこそ、日本協会はこの機運を逃す事なく、適切な活動を行って欲しい。
posted by 武藤文雄 at 23:14| Comment(1) | TrackBack(1) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年08月20日

女子代表敗退、審判と監督それぞれに愚痴

 明日はベガルタは大事な敵地でのアビスパ戦。最後の最後、ベガルタに立ち塞がる可能性が非常に高い厄介なチームだ。

 ワールドカップ予選のためにチームを離れていたセドロスキが出られるのかどうかだが(おお、萬代もユースでいなかったのか)、このような厳しい戦いを勝ち抜いてこそのJ1復帰。ここ最近勝つべき試合を勝ちきれていない苦しさはあるが、今は付いて行きさえすればよい。勝負は第4ステージ終盤なのだから。

 このような大混戦で大切なのは負けないこと。引き分ければ勝ち点は1だけだが増える。そして敵に勝ち点3を与えずに済む。明日のアビスパ戦は、そのような死闘になるはず。丁寧に戦って欲しい。



 女子代表が散ってしまった。結果も残念だが、過程にも様々な残念さを感じる試合だった。情緒的な感想は別途まとめたいが、今日は取り急ぎ、理論的な愚痴のみ述べる。



 まず審判。試合を通じて下手くそで不安定な審判団だった。疑惑の判定が再三。それにしても、2失点とも審判を恨みたくなる。



 1点目の失点。シュートを決められる直前、米国の選手はボールを見ずに山郷に飛び掛った。山郷はそのためボールを視野にしっかり捉える事ができずボールがこぼれた。あれは反則ではないのか。

 私なら笛を吹く。



 そして2点目のオフサイド疑惑。VTRを2回見ただけだが

@ボールを受けた選手はオンサイドだったが、他の3人はオフサイド、しかも全員プレイする意思がはっきりしていた。プレイに関与しているから、やはりオフサイドではないか。

A百歩譲って、抜け出した瞬間、他の3人がプレイに関与していないとしても(笑)、シュートを決めた選手は、その前にオフサイドポジションにいたのだから、パスを受けた瞬間にオフサイドの判定になるべきではないか。

 私なら旗を上げる。



 それぞれの失点場面、審判術に詳しい方の意見を待ちたい。

 

 そして上田監督の采配にも不満は大きい。

 どうして、山本、あまつさえ(事実上の攻撃の要の)川上を外すのか。さらには小林を使わなかったのか。頑健で組織的な米国守備陣を崩すためには、技巧とアイデアが必要。試合終盤、交替カードを切るたびに、そのような選手がフィールドを去っていった。

 上田氏が素晴らしいチームを作った事を私は高く評価する。しかし、3試合を通じて、選手交替については、疑問が残ったのは事実。



 残念だった。しかし、素晴らしいチームだった。帰国便だが、男はエコノミーにして、彼女たちをビジネスとすべきではないのか。
posted by 武藤文雄 at 23:57| Comment(7) | TrackBack(3) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年05月24日

スーパー少女プロジェクトに異議あり

 先日来、一部報道で日本協会が妙な計画を立てていると言う噂が先行していた。しかし、その噂が事実と明確に発表されると考え込んでしまう。



 確かに日本女子代表を見ていると、小柄な選手が多い。昨年のワールドカップでも、技巧と戦術眼それぞれのの高さを発揮しながらも、カナダ戦ドイツ戦のように、敵のフィジカルに圧倒されて敗れる試合があった。「せめてもう少しフィジカルの強い選手がいれば」と言う想いが出てくる事は確かだ。

 しかし、大柄でフィジカルが強い少女を探索、抜擢しようとする「今回のプロジェクト?」は本当に適切だろうか。



 異論もあるかもしれないが、私は男女に関わらず日本サッカーの発展は、技巧と判断力に富んだ選手の育成が全てだと思っている。大柄な選手がいればそれに越した事はないが、それは本質ではない。技巧と判断力に富んだ若者を多数育成すれば、統計的に大柄な選手も増えてくるはずだ。もちろん、男子の世界で、国見高の小嶺先生のようにトップレベルのユース選手を育てる指導者が、積極的に大柄な若者を育成するのは素晴らしい事だ。しかし、それはあくまでもトップレベルの話。まずは小嶺先生にその素材を供給する環境を作るのが先決のはず。

 私が疑問視する今回のJFAプランにも明確に記載されているが、小学校レベルで多数の女子がサッカーをプレイしているが、中学校に進級すると彼女たちにプレイの機会が減ってしまう事が本質的な問題ではないのか。改善すべきはそこのはず。

 そして男のサッカー界でもそれは同じ、40年をかけた強化を経て、我々はようやくアジアのトップに立ち、欧州、南米の強国と戦えるレベルまで到達したのだ。このような成功体験を持つ、日本サッカー界は、その成功例に学ぶべきではなかろうか。



 やるべき事は、大柄小柄関係なく、サッカーを愉しみたい女性への環境作りだと想う。フィジカルに恵まれているとは言えない我らの大和撫子たちが、堂々と技巧と判断力で北朝鮮に勝った試合を見た私としては、尚更その想いは強い。
posted by 武藤文雄 at 23:35| Comment(5) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月24日

歓喜の夜をありがとう

 いや、本当に見事な勝利だった。確かに一昨日懸念した通り、ボールをキープする能力や競り合いでのフィジカルなど、戦闘能力と言う意味では劣勢だった。北朝鮮と10回試合を行えば、甘く見てもせいぜい2勝2分け6敗くらいの差があったのではないか。しかし、タイトルマッチは一発勝負。この場合、勝敗を分けるのは「周到な準備」。そしてこの日の日本はその「周到な準備」で、完全に北朝鮮を上回っていた。さらに、日本が上回っていた事がある。それは「攻撃における選手の想像力」。想像力と漢字を用いたが、サッカー言葉としては、イマジネーションあるいはヒラメキと言った方がわかりやすいかもしれない。つまり瞬間瞬間でのとっさの判断による即興的な変化の事。このサッカーの本質と言ってもよい分野で、日本は北朝鮮を圧倒した。以下詳説したい。



 まず「準備の周到さ」

 開始早々から日本の守備方式で疑問だったのは、左右の不対称。日本から見た左サイドは矢野、山本とサイドプレイヤ2枚を並べているのに対して、右サイドのMFは不在で、サイドバックの川上とボランチの酒井が流れての守備。最初は開始早々鮮やかな4人抜き?を演じた快足川上の攻撃参加を狙っての事かと思ったが、どうも北朝鮮は左サイドからのアーリークロスをほとんど狙わないようで、その事を熟知していた日本の策のようだった。実際この左サイド2枚守備は後半半ばまで北朝鮮に決定機を与えないのに奏効したのだから上田采配はズバリ。

 中央の3人、山郷、磯崎、下子鶴も、身長差を感じさせない粘りはもちろん見事だったが、敵FWなりアーリークロスに対する判断の良さが目立った。自分自身の最高打点の認識が適切だったのも大きいが、加えて敵の特長を事前に存分に理解していたのだろう。特に後方に引きつつ身体を張れる敵エースの10番へのマークなどは、引き過ぎず上がり過ぎず実に見事だった。

 さらにドイスボランチの酒井と宮本の分業の見事さにも恐れ入った。北朝鮮のチェックの強さを考えるとMF後方から前線に抜け出すためには、ボランチがよい体勢でボールを受ける事が肝要。そのための策としてだろう、酒井がとにかくつぶれて、展開を宮本に一任していた。酒井の献身振りも素晴らしかった(この試合のMVPは酒井と見る)が、宮本もよく我慢して展開に専念した。もし、宮本が味方の苦境を救おうとしてつぶれる仕事まで行っていたならば、日本はより猛攻にさらされ一層苦しい展開を余儀なくされただろう。

 3点目のCKの見事さも準備の賜物だろう。身長差で優位にあるためだろうか、北朝鮮は二アサイドに合わされるのを警戒していたようだ(2人の選手が壁に立っていたのその証左)。その北朝鮮の警戒に対してあえて逆をつき、宮本が敵DF陣の後方から進出し競り勝った。正確に合わせた山本の技術と合わせ、見事な得点だった。



 そして「攻撃における選手の想像力」

 とにかく2点目である。あの時間帯、日本サイドは「何とか1−0のままハーフタイムを」と必死に北朝鮮の猛攻に耐えていた。そして、逆襲から前線で澤がよい体制でボールを受け、「これで前半リードで終われる」とスタジアム中に安堵感が広がった瞬間だった。澤がヒラメいた。自らの技巧から大谷、荒川と見事な連携により、荒川をペナルティエリア近傍で前を向かせる事に成功。ここで荒川も想像力を見せ付ける。シザースを交えたドリブルで敢然と敵DFを打ち破り見事な低いセンタリング。結果的に自殺点となったが、後方に日本選手(大谷?)が詰めており、北朝鮮DFのミスがなくても日本の得点となった確率が高い。時間帯と言い、美しさと言い、アイデアと言い、形容し難い得点だった。

 1点目のDFミスの直後の荒川の冷静さ、開始早々の川上の傍若無人な突破振り、終盤の丸山の単身での強引な前進なども、とっさの判断の適切さを感じた。

 逆に北朝鮮は上記した通り日本の周到な準備の下の注文相撲に完全にはまり、試合終了まで力任せの強引な攻撃に終始し、変化をつける事ができなかった。そして、その差がこの大一番の勝負を分けた最大要因だった。そしてこの差は案外と大きいものに思える。

 さらに妄想を広げる。私は過去女子ワールドカップなり女子五輪をそう多数観戦した訳ではない。しかし、私が過去観戦したいくつかの試合では、この2点目のようなアイデアに富んだ得点はほとんどなく、展開の速さや中央での高さや混戦での強さによるものばかりだった。したがって、日本が国際試合でこのような得点を上げる事ができるとすれば、世界レベルにおいても近い将来の日本の女子サッカーはかなり期待できるのではないのか。



 素晴らしい試合だった。

 スタジアムの雰囲気も素晴らしかった。私もその歓喜の一員になれた事は大変嬉しい。ただし、間違えないないようにしよう。我々サポータが彼女たちを五輪に行かせたのではない。彼女たちが私たちに歓喜を提供してくれたのだ。

 最高のプレイと歓喜を提供してくれた、我らが大和撫子に改めて多謝。
posted by 武藤文雄 at 22:29| Comment(2) | TrackBack(2) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年04月22日

頑張れ女子代表

 結局、本業を含む諸事都合で、1次リーグの生観戦は叶わなかった女子代表。やや格下の2チームに、キッチリと快勝し、いよいよ北朝鮮との決戦に挑む事になった。ここ数週間、女子代表の五輪出場の可否が一般マスコミにも取り上げられ、主軸選手がTVなどの取材を受ける事も増えている。日本代表のサポータたちにも、「4月24日国立決戦」が流通し、いよいよ盛り上がってきた。素晴らしいエンタティンメントの上、我らが大和撫子達が堂々と五輪出場権を獲得する事を確信している。



 とは言え、少しは冷めた講釈を垂れてみたい。

 冷静に過去の実績を考慮すると、「4月24日国立決戦」は、残念ながら北朝鮮の方が戦闘能力的には優位にあると認識せざるを得ないだろう。まずはこのようなリアリスティックな分析が必要なはずだ。そして、上田監督以下のスタッフと選手たちは冷静にその事実を認識した上で策を立てているに違いない。そして、その策は(事前に言ってしまえば身も蓋も無いが)冷徹かつ陰険に守備を固め、カウンタを狙うものとなるだろう。90分間集中に集中を重ねて守りに守り、ここぞと言うときに中心選手のヒラメキにより得点を目指す試合。サッカーのタイトルマッチとはそのようなものなのだ。

 しかし、いざ本番となるとどうだろうか。先方も相当な応援団動員が噂されているが、一方で日本サイドも相当数のサポータが熱狂的な声援を送る事になる。そして、選手たちにとっても余りに重いタイトルがかかっている大一番。サポータの熱狂的な声援下で、我らが大和撫子たちは前掛りになってしまう危険がある。また、攻勢に出た時にスタジアムの応援は、ついつい真っ正直にゴールを目指す単調な攻撃に陥ってしまう恐れもある。そして、それは戦闘能力で上回る北朝鮮の思う壺となる恐れがあるのだ。

 

 そのような状況を避けるためにも、「4月24日国立決戦」は、選手たちにも、サポータたちにも、「クールに燃える」と言うサッカーの大原則を守り切る事ができるかどうかを問われる試合となる。 我々は、「最高のサポータ」であると言う誇りを持って、大和撫子たちと共に「クールにクールに」戦わなければならないのだ。



 と、言いつつ、本業などが滅茶苦茶多忙なのです。土曜の夜、国立に行くための時間を確保するのが、最大の問題。最近、このような人生の目的と手段を間違えた状況に陥る自分自身に自己嫌悪に陥ってしまうのだが。

 いや、絶対行くぞ。この決戦を行かずとして何とする...
posted by 武藤文雄 at 23:34| Comment(4) | TrackBack(4) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2004年01月28日

女子代表五輪予選

 古を懐かしんでいるうちに、世の中はどんどん進み、Jリーグ各チームは始動し、サッカーマガジンでの取扱の小ささにベガルタ2部落ちを改めて認識し、マリノスは絶望的な日程に臨まされ、チケットは余りまくり、女子代表の五輪予選日程が決まった。
 今年はタイトルマッチラッシュ、無定見な強化策で全世界を振り回される選手は大変だが(移動による疲労で故障する選手が出ない事を切に望む)、野次馬にとっては堪えられないシーズンである。そして、一連のタイトルマッチの中で、戦闘能力を考慮すると楽観できないが、負けた場合の痛手が大きいと言う意味では、女子五輪代表予選が最も興味深いように思える。
 もっともワールドカップ1次予選で万が一敗退した場合の痛みは筆舌に尽くし難いものがあろうが。ただし、この確率は万が一そのものと見る。オマーンに勝ち点を落とすリスクは小さくないが、その他の総当たり戦でオマーンが日本を上回る勝ち点を奪う可能性もまた低い。ホーム&アウェイの総当たり戦では、番狂わせは出づらいものなのだ。

 と言う事で女子代表の予選であるが、よくレギュレーションが理解できない。3グループに分けて、各グループの1位と、2位で最も成績のよいチームが準決勝進出との事だが、各グループのチーム数が異なっているのに、どうやって「2位で一番成績がよいチーム」を決められるのだろうか。常識的には、勝ち点、得失点差などで決めるのだと思うのだが。日本の入ったグループは3チームしかないので、2位になっても同考えても、勝ち点で他のグループを上回るのは難しい。JFAの公式を見ても説明がない。最初から「A,Bグループの2位で...」と言うのならば、わからなくもないが。この組合せをリアルに見ると、日本と同じグループになったベトナムとタイは、他国に比べてあまりに気の毒である。
 また疑問なのは、Bグループの1位チームは、問題の2位最上位チームと「五輪出場を賭けた最も大事な試合」を行う事になっている事。そうなると、そのB1位を確保したチームはリーグ戦序盤で2連勝でもすれば、リーグ最終戦で恣意的な操作で「最も大事な試合」の相手を選べる事になり兼ねない(事実的には、Bの最終戦は「4強」である中国と韓国の試合であり、そうはならない可能性が高いが。そして、「最強」と目される中国はこのリーグ最終戦で韓国を打ち破ることで、「最も大事な試合」を韓国より戦闘能力が弱いと目されるAグループの2位とやれる事になる)。
 限られた日程と予算で、それなりに公平と思える方法で、11チームから2チームを選ぶと言うのは、確かに難しいが、疑問はつきないレギュレーションだ。

 もちろん、さすがホームと言う事で(笑)こちらの1月23日で詳細に分析されている通り、日本にも格段に有利なスケジュールにはなっている。何はともあれ、4月24日は愉しみな1日となろう。
posted by 武藤文雄 at 23:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする