2018年02月25日

Jリーグ2018年開幕

 さあ、Jリーグだ。

 我がベガルタの開幕戦が日曜日と言うこともあり、この土曜日は居住地近辺の平塚BMWスタジアム。ベルマーレ対Vファーレンを、ベルマーレを必死に応援するコーチ仲間の横で、似非サポータとして堪能した。
 ベルマーレは、持ち前のチーム全体の、豊富な運動量と前に出る勇気がしっかりと継続。それに加え、松田天馬の鋭いドリブルと、新韓国人ストライカ李廷記の受けのうまさと、強力な前線の武器が加わった感がある。一方のVファーレンは、高杉を軸にした守備に徳永が加わり一層の堅牢さを増し、ファンマを軸にした速攻は効果的。終盤セットプレイから得点したベルマーレが2対1で振り切ったが、おもしろい試合だった。
 やはり、生観戦は堪えらえない。

 と言うことで、26年目の開幕。いまは、明日のベガルタ対レイソルのDAZN観戦に思いをはせているわけだ。
 今シーズンのベガルタへの期待はおいおい語っていくこととして、26年目のJリーグへの思いを語りたい。

 いつもいつも語っているが、もう最近の日本サッカー界は、いま57歳の私にとって、20代の頃まで夢にすら思わなかった世界だ。毎週末、日本の主要都市で、多くのサポータが応援する中で、リーグ戦が行われる。それも、多くのクラブが、日本人好みの中盤を大事にしたサッカーを狙っている。そして、日本代表は、当たり前のようにワールドカップに連続出場している。
 夢にも思わなかった世界が実現してはいるが、まだまだ私にも欲はある。今以上に、日本代表がもっと強くなって欲しいし、一層充実したリーグ戦を楽しみたい。
 ところが、欧州のトップリーグの各クラブには、(制度上にも道義面にも幾多の疑問にも幾多の疑問はあるものの)ばかばかしいくらいのキャッシュが集まり、Jリーグ各クラブの予算規模との差は開くばかりだ。そのような現状で、我々はどこを目指せばよいのか。

 私にとって、その答えは明確だ。
 ブラジルやアルゼンチンを目指せばよいのだ。
 どんなに、よい選手が欧州に買われて行っても、ブラジルやアルゼンチンのように、それを上回る勢いで、よい選手が供給されればよいのだ。そうなれば、両国の国内リーグのように、常に充実した試合を毎週楽しむことができる。そして、ワールドカップで、もっともっとよい成績も収められるはずだ。
 ブラジルやアルゼンチンを目指すことそのものが、大変な努力を必要とするのは言うまでもないけれど。

 で。グランパスの、ガブリエル・シャビエルを見ていると、その大変な努力が、具体的に可視化されると思うのだ。
 オスカール、もちろんジーコ、レオナルド、ジョルジーニョ、ジーニョ、セサル・サンパイオ、そしてドゥンガ。このようなセレソンの名手ならば、すごいプレイを見せてくれるのは、理解の範疇内だ。また、セレソンまで行かずとも、多数のブラジル人の名手が、これまでのJをいかに実り豊かにしてくれたことか。
 しかし、ガブリエルの魅力は超越している。昨シーズンJ2でガブリエルが見せてくれた様々な好プレイ、技巧と判断の妙、「こんなことができるのか!」と言う魅力の数々。「恐れ入りました」としか言いようがなかった。ちょっと似た記憶として、90年代半ばに、サンフレッチェでプレイした中盤選手のサントスも、そのような魅力があったかなと。
 「どうやったら日本から、このような素敵な選手を輩出できるだろうか」と、ガブリエルの魅力あふれるプレイを見る度に考えてしまうのだ。正に、ガブリエルは、ブラジルと日本のサッカー力を分けている典型的存在なのだ。

 などと考えてながら、今シーズンのJに思いをはせる。
 久保建英(開幕戦でもプレイしたと聞いたが、)は、どのレベルまで行くことができるのか。一方で、久保のようなまだ若いタレントに過大な期待をすることに否定的な考えも少なくない。ただ、ペレとディエゴ・マラドーナはもちろん、ミシェル・プラティニやネイマールのようなタレントは、10代後半から、ほかの選手とはまったく異なる個性の冴えを見せていたのだが。
 そして、このシーズンオフに、我がベガルタに岐阜から移籍したMF,庄司悦大。エスパルスジュニアユース、清水商業と言った若年層育成組織の名門出身のこのタレントは、専修大学、町田、山口、岐阜と、J2、J3のクラブで着実に実力を蓄え、とうとう28歳となった今シーズン、J1に挑戦の機会を得た。
 この2人は、早熟、晩熟、それぞれの典型的なタレントだ。そして、このような、育成の多様性の実現こそ、ブラジルやアルゼンチンに追いつく道だと思うのだ。そして、このような丹念な強化を継続すれば、いつか我々は、ガブリエル・シャビエルを生み出すことができるのではないか。
 それが我々が目指すべき道だと思うのは、私だけだろうか。
posted by 武藤文雄 at 02:05| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月29日

平山相太引退

 平山相太の引退が発表された。オフに契約更新をしていたにもかかわらず、キャンプ中の発表、さすがに驚いた。度重なる負傷に悩まされた選手人生を象徴する引退発表となった。

 昨シーズン開幕戦、ユアテックでコンサドーレと対したlベガルタは押し気味に試合を進めるが崩しきれず、試合終盤を迎えた。渡邉監督は、この場面でベンチにいた平山を石原と交代させることを決意した。ところが、平山がピッチに入ろうとタッチライン沿いで待機していたところで、ベガルタは三田の強シュートのこぼれを石原が押し込み先制に成功。渡邉氏は、交代選手をストライカの平山から、DFの増島に切り替え、守備固めを選択した。
 そして、その翌日のサテライトの試合、平山は重傷を負い、チームからの離脱を余儀なくされた。
 今回の引退発表。その負傷の回復が順調でなかったと言うことだろう。残念極まりない。

 平山が格段の素質に恵まれていたことに異論を唱える人は、ほとんどいないだろう。ただ、残念なのは、その格段の素質の内容を見誤った指導者が、当時の若年層日本代表を率いていたことだったと思っている。そして、その監督がその後FC東京でも、平山の上司となった。
 もちろん、平山の魅力の1つに、190cmの上背があったことは確かだ。しかし、彼の格段の能力は、その上背ではなく、正確なボール扱いと、足でのシュートのうまさにあった。国見高校時代の幾多の得点が、落ち着いたインステップキックのグラウンダのシュートだったことは重要だ。また、その技巧を活かしたターンのうまさも相当だった。
 長身を活かした空中戦も悪くはなかったが、細身なこともあり、後方からの高いボールを受けるのは、あまりうまくなかった(一方で低い足下へのボールを収める上手だったが)。しかし、横に動いてマーカを振り切ってからのヘディングシュートの威力は中々だった。
 だから、そのような使い方をしてほしかったのだ。ああ、それなのに

 もちろん、負傷が多かったと言う不運も大きかった。また、オランダでのホームシックに代表される、精神面の課題もあったのかもしれない。けれども、あれだけの大柄な身体でありながら、あれだけ柔らかなボール扱いの上、あれだけ弾道の低いシュートを打てる技術を身に着けた男が、努力を惜しむ性格だったとは思えない。
 だからこそ、その格段の素質を活かしたチームでプレイすればとの思いは消えなかった。そして、ようやく、ようやくのこと、その機会は、やって来たのに。渡邉氏の指導の下、丁寧にボールを回し、両翼に人数をかけ、時に前線に速いパスを入れるベガルタ。ザ・リアル・ストライカの平山が、その格段の能力を発揮できるチームに、ようやく、ようやく出会えたのに。
 度重なった負傷を呪うしかないのか。

 それはそれとして。
 幾多の素敵な場面を見せてくれた平山に、改めて感謝したい。中でも、インタネットのカクカク画像で堪能したこの試合は、忘れられない。また、似非FC東京サポータとしてゴール裏に侵入し平山の消える動きを堪能したこの試合も。

 結びに戯言を。よく、「平山相太に、岡崎慎司のハートがあれば」と言う人がいる。でも、私の意見は違う。「平山相太が、岡崎慎司の上背しかなければ」と思うのだ。そうだとすれば、平山は、優雅で技巧的なストライカとして、誤った使われ方をせずに、もっともっと、その個性を活かせたのではないか。

 幾多の美しい得点に多謝。
posted by 武藤文雄 at 00:13| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月22日

水沼宏太への期待

 少々旧聞になるが、天皇杯決勝、そして決勝点を決めた水沼宏太について。
 決勝戦のヒーローとなった水沼宏太と、御父上の水沼貴史氏が、史上初めての親子で天皇杯を制したことは結構な話題ともなった。その周辺のことをきっちり講釈を垂れておきたいな、と考えた次第。

 セレッソ対マリノスの決勝戦と言うと、83-84年シーズンの決勝戦以来、34年振り。当時はもちろん、ヤンマー対日産でしたが。そして、この34年前の決勝戦は、以下2つの意味で、日本サッカー史にとって非常に重要な試合だったのだ。
 まず、この試合は、釜本邦茂が出場した最後の公式戦である。監督兼任だった釜本は、この試合0対2とリードを許した状況で、ピッチに登場。右サイド最前線でプレイをして、巧みなボールの引き出しや突破の妙を見せてはくれたが、中盤から有効なボールがほとんど出ず、有終の美を飾ることはできなかった。
 試合はそのまま2対0で日産の完勝、初めてのタイトル獲得となる。日産は70年代から強化を開始した比較的新興のチームだったが、この数年前から、金田喜稔、木村和司と言った日本代表に定着していた大学生選手を精力的に獲得していた。これは、優秀な選手に好条件を提示し、他のチームに先駆けて事実上のプロ化を進めていたことによる。そして、この83-84年シーズンは、柱谷幸一、越田剛史、そして水沼貴史らの有力選手を大量に獲得し、チーム力は格段に向上。JSLでは2位に獲得し、ついに天皇杯を制し初タイトルを獲得することとなった。以降、日産は、同シーズンにJSLを制覇した読売と共に日本サッカー界を牽引することとなる。敗れたヤンマーは釜本を軸に70年代を席捲してきたチーム、まさに時代の変化を感じさせる試合だった。

 以降、日産は水沼貴史と共に多数のタイトルを獲得する。
 そして、ご子息の水沼宏太は、父がプレイ活躍していたマリノス(日産)の若年層組織で成長、幾度も若年層日本代表にも選考され、2008年マリノスでプロ契約を行う。しかし、中々定位置をつかむことができず、栃木SCへのレンタルなどもはさみながら、サガン鳥栖で定位置を確保。16年シーズンにはFC東京に移籍するものの、出場機会が限定されたこともあり、17年シーズンよりセレッソにレンタルされ、今日に至った。
 水沼親子は、最も得意なポジションは、ともに右サイドの攻撃的MF。しかしながら、そのプレイスタイルは異なる。親父殿は、正確なボール扱いと独特の抑揚のドリブルを軸に、サイドを巧みに突破したり、スルーパスを通すのを得意としていた。一方、倅殿は長駆を繰り返すことのできる豊富な運動量が持ち味。親父殿はいわやる主役タイプだったのに対し、倅殿はチームを支える立場なのも異なる。余談ながら、顔つきにしても、個別のパーツは似ているものの、優男だった親父殿と比べ、倅殿は相当精悍な顔つきである。
 ただし、よく似ていることもある。2人とも、動いているボールをとらえるのが、格段にうまいことだ。89年イタリアワールドカップ予選のホーム北朝鮮戦で親父殿が決めたスーパーボレーシュートは、30年近い歳月が経った今でも記憶によみがえる一撃だった。そして、この天皇杯準決勝、アディショナルタイムにに失点し苦境に追い込まれていたセレッソを救った、倅殿のボレーシュートの際の、何とも言えないミートのうまさに、親父殿を思い出したのは私だけだったろうか。
 そして、この決勝戦を見て、もう1つ「親父殿に似てきたな」と思ったことがある。それは、何とも言えない勝負強さだ。マリノスに先制を許し、老獪な中澤を軸とするしつこい守備の前に、なかなか有効な攻撃を見せられなかったセレッソ。その沈滞ムードを破った同点弾のきっかけは、倅殿が意表を突いて放った強烈なミドルシュートだった。そして、決勝点、マリノスGKのポジションミスを冷静に見て取り、無人のゴールにヘディングシュートを流し込む冷静さ。85年のメキシコワールドカップ予選のホーム香港戦のとどめの3点目、親父殿のクールなボールタッチを思い出した。

 親子選手を応援できると言うのは、サポータにとっては、きっと素敵な経験となのだろう。日産時代からのマリノスサポータの方々はその快感を味わったことになる。ただし、上記のとおり、水沼宏太はマリノスの若年層組織で育ったものの、マリノス結果的には芽が出きらず、他クラブでトッププレイヤとなった。そして、よりによって、このマリノスと戦ったビッグゲームで、マリノスに引導を渡すことになったのだから、上記古手のマリノスサポータの方々には何とも複雑な思いがあったに違いない。こんなほろ苦さを味わえるなんて、羨望としか言いようがないではないか。
 私も何十年も日本代表を応援してきた身として、一度でよいから、親子選手を応援したいものだと思っている。マルディニとかヴェロンとか、うらやましいではないですか。そして、水沼宏太は、苦労に苦労を重ね、セレッソと言う日本のトップクラブの中心選手まで駆け上がってきた。とうとう、A代表まで、あと一息のところに到達したのだ。しかし、もう27歳、正直言ってその可能性はもう決して高くはないかもしれない、でもこの準決勝と決勝の色鮮やかな活躍を見ると、オールドファンとして、あきらめずに期待を寄せてもバチは当たらないと思うのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:24| Comment(1) | 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月31日

2017年10大ニュース

 ここ数ヶ月、本業の忙しさを言い訳にすっかりブログの更新をサボっていました。
 以前より述べていますが、ブログでサッカーの講釈を垂れるのは、単なる自己満足に過ぎません。その自己満足すら果たせないのですから、何か自分が情けない気持ちがしています。
 一方で、これだけ間を空けてしまうと、以前より愉しんでくださった方々に、申し訳ない思いもあります。2018年は、もう少しちゃんと書いていきたいと思っています。

 ここ数年の傾向として、バブルと言う単語を使うしかないような大量のキャッシュが、欧州を中心に中東や中国のサッカーシーンにまで入り込み、日本サッカー界との経済力差が顕著になってきたことが挙げられます。一方で後述しますが、DAZNマネーの流入があった2017年は、1つの変革の年となるのかもしれません。
 ただ、日本代表は当たり前のようにワールドカップ出場を決め、レッズが堂々とアジアを制覇し、軽く二桁を越える選手が欧州のクラブで定位置を獲得している。日本サッカー界は、過去と比較しても、格段の成果を挙げた年だったように思います。
 そして、ロシア。ハリルホジッチ氏のチームは、存分に伸び代を残しており、あと半年の強化を的確に行えば、「史上最強」のチームを作り、「史上最高」の成績を収めることも可能だと思っています。GK、DF、MF、FW、ここまで穴が少なく経験豊富なチームを所有するのは初めてだと思っているので。
 もちろん、多くの選手が欧州でプレイしていることもあり、2010年以前のように、他国よりも体調をそろえるは容易ではないのは確かです。また、科学的なトレーニング技術が各国に展開され、同じグループのポーランド、コロンビア、セネガルも合理的な準備な準備を進めてくるでしょう。
 だからこそ、今回は勝ちたい。勝ちたいではありませんか。

1.中村憲剛の歓喜
 正直、あのルヴァン決勝を見たときは、もうこの人に栄冠は訪れないのか、サッカーの神様は何てひどいことをするのだ、と思った。とにかく、よかった。
 憲剛のプレイを見たのは2004年だった、当時からスタイルはまったく変わっていない。中盤後方でボールを受け、ゆっくりボールをさばきながら、突然加速し、前線に高精度のパスを通す。あれから13年、スタイルは変わっていない。ただし、精度と緩急は格段に向上したが。
 この稀代のスーパースタアともにフロンターレと言うクラブは大きくなってきた。そしてとうとう、このスーパースタアが元気なうちに、栄冠をつかんだ。これだけのスーパースタアと共にクラブが成長し、苦労を重ねてタイトル獲得。
 素直に羨望する。こんな素敵なドラマを、憲剛と共に演じられるなんて。おめでとう、フロンターレサポータの皆さん。
 でもね、1つだけ、フロンターレサポータの方々には味わえない事があるのです。それは「憲剛の恐怖」を味わうこと。ほかのJ1クラブのサポータは毎シーズン、それを2試合ずつ愉しむことができるのですよ。
 1つ大きな心配がある。「お願いですから、優勝したからと言ってやめないでくれ。」と言うことだ。憲剛よ、まずはロシアワールドカップを目指してくれ。

2.浦和レッズアジア再制覇
 おめでとうございます。そして、ありがとうございます。
 日本のクラブでは、古河(現ジェフ)、読売(現ヴェルディ)、ガンバ、レッズの4クラブが、前身のアジアチャンピオンズカップを含めて、このアジア最高峰のタイトルを獲得していた。この日本いやアジアいや世界屈指の人気クラブが、日本のクラブとしては、初めての2度目の戴冠となる。これは、とても、とても重要なことだ。
 私達別クラブのサポータは、このような目標を持てることの幸せを感じることができる。

3.ワールドカップ予選、豪州に完勝し6回連続出場
 出場権を獲得できたこともめでたい。しかし、重要なことは、埼玉で豪州との「勝負の戦い」で完勝できたことだ。
 いいですか。1993年ドーハで韓国に勝った以降、我々は同格の難敵に、いずれかが出場権獲得前に戦い、勝ち切ったことはなかった。97年、ソウルで韓国に勝ったのは先方が出場権を獲得した後だった。ジョホールバルで、イランには90分では勝てなかった。05年、イランにテヘランでは負け、横浜で勝ったのはお互いが出場権を獲得した後だった。09年と13年、豪州にはホームでも敵地でも勝てなかった。
 あの埼玉での、浅野と井手口の得点(しかも、2人ともリオ五輪代表、売出し中の若手だった!)で勝利した試合がいかに貴重だったことか。
 私は単純な人間なのでね、あの勝利だけで、ハリルホジッチ氏を評価するよ。

4.ワールドユース、堂安律と冨安健洋の登場
 久々に出場権を獲得したワールドユース(U20ワールドカップ)。
 まあ、色々あるけれどさ、堂安律と冨安健洋が、イタリアやウルグアイ相手に、個人能力で格段に輝いたことが嬉しい。この年代の選手への要求は色々あるさ、でもこの2人がこの両古豪のいずれの選手よりも、この時点で魅力ある選手だったのは間違いない。
 彼らの将来はわからない。中山も三好も初瀬も、いやほかの選手もみなすばらしいタレントだ。みな、格段のタレントに成長してくれることを。

5.岡野俊一郎氏逝去
 我々は帰れるところを失った。これまで日本のサッカー界が実り豊かな世界になったことに、ただ、ただ、感謝。ありがとうございました。
 木之本興三氏も、2017年に逝去された。私達にはJリーグがある。ありがとうございました。

6.サンフレッチェ塩谷が中東に移籍
 塩谷が「キャッシュをサンフレッチェに残せる」と語った言葉は重い。
 中東も中国も、悔しいけれど、我々には管理できないキャッシュを扱えるのだ。
 これが、初めてとなるのだろうか。
 
7.DAZNマネーをどう使うべきなのか
 私は中下位クラブのサポータだから、ちょっと嫉妬しているのだけれども。
 成績に応じての配賦は、危険なのだよね。リターンを期待して投資して、はずれたときのリスクが大きいから。まあ、FC東京さんもヴィッセル神戸さんも、親会社やスポンサがしっかりしているから、大丈夫かもしれませんが。
 
8.田島会長、小者振りが輝く
 すべて否定されている、夏開幕、夏閉幕シーズンへの拘泥は何なのだろうか。
 筑波大在学時に代表に選考され、古河に加入しながら、「私は指導者になります」と言って引退してから40年近くが経過した。
 協会ご用達の指導者として若年層指導の失敗、「エリートプログラム」の挫折、幾多の失敗を重ねて、まあ協会会長かよ。
 川渕氏と比較して、明らかに小物であるがゆえ、叩きがいもないのだけれど、頼むから「邪魔をしないでくれ」

9.長崎Vファーレン、J1昇格
 松本山雅に続き、2000年代になった以降強化を初めたクラブが着々と成功を収めている。
 既存のクラブにとって、どんどん厳しい時代が来ているのだ。過酷な競争、日本のサッカー界の発展の礎は着実に築かれている。

10.名波浩と中村俊輔、17年ぶりの再会
 あの、2000年アジアカップは、本当にすばらしかった。それ以来の2人の再会。天才の邂逅。
posted by 武藤文雄 at 23:49| Comment(1) | 歴史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年ベストイレブン

さて、恒例のベストイレブンです。

GK 川島永嗣(メス)
 2017年に入っての最初のワールドカップ予選、敵地UAE戦でハリルホジッチ氏はGKに川島を起用した。この試合、前半早々に日本が久保の個人能力で先制した直後、DFの不用意な対応から許した1対1の決定的ピンチを、川島が防いだ場面は記憶に新しい。さらに続く埼玉タイ戦では、終盤のPKを、川島は見事に防ぐ。これらの川島の好守もあり、日本は得失点差を含め予選グループのトップに立つことができた。以降も代表で安定したプレイを披露、予選突破の立役者の1人となったのは、ご存知の通り。あのUAE戦まで、自クラブでもほとんど出場機会がなかったと聞くが、難しい環境にもかかわらず、体調を含めた能力を維持し続けた川島自身の努力、それをしっかりと観察し起用したハリルホジッチ氏(正確には、ハリルホジッチ氏のチームと言うべきか)の慧眼と合わせ、正に今回のワールドカップ予選の1つのハイライトだった。

DF 酒井宏樹(マルセイユ)
 距離が出るクロスを蹴ることができて180cmを超える長身と言う特長があるサイドバックが、ようやく本物になった感がある。中でも長足の進歩は、その粘り強い守備。フランスリーグでも親善試合でも、ネイマールと堂々の丁々発止を演じてくれるまでに成長したわけだ。酒井宏樹とネイマールと言えば、この試合を思い出すわけだが、この6年間で酒井は着実にネイマールとの差を詰めてきたことがわかる。これは嬉しい。もちろん、レイソルでプレイしてきた時から有効だったクロスは、これからもっともっと猛威を振るってくれるはず。まずは、大迫、原口、岡崎らとの連携強化を期待したい。

DF 吉田麻也(サウサンプトン)
 吉田麻也も、このワールドカップ予選中に大化けしてくれた。ザッケローニ氏が率いたときから代表の定位置をつかみ、プレミアリーグでも相応の活躍をしながら、敵との1対1の際に(自らの鈍足を考えすぎるのか)慌てる悪癖があった。しかし、16年の敵地豪州戦以降、格段に落ち着きが増し、何かしらの風格も漂うようになってきた。この成長に、ハリルホジッチ氏が相当な関与をしたと考えるのは、私だけだろうか(敵地豪州戦直前の、埼玉イラク戦では、麻也は相変わらず、落ち着きのないプレイを見せていた、この2試合の間の「何か」が麻也を変えたように思うのだ)。だいたい、世界を代表する名DFたちだって、テュラムやカンナバーロやマスケラーノと言った「超人」を除けば、足が遅いとか、後ろを突かれると弱いとか、百点満点の選手は少ないのだから。29歳でロシアに向かう麻也に、期待したいのは、かつて井原正巳や中澤佑二が見せてくれた、格段の予測能力。頼むぞ。

DF 阿部勇樹(浦和レッズ)
 ACL制覇は、結局この男に帰する。ペトロビッチ氏の崩壊の後、指揮権を任された堀氏のヒットは、阿部を中央にした4DFで後方を固めたことだろう。さすがに、往時の強さと速さは失われたが、格段の読みと位置取りは未だ健在、もちろんロングボールの弾道の美しさも全盛期とは変わりない。
 実はこのポジションは、リーグ制覇に強さで貢献した谷口彰悟や、リーグ戦フル出場し天皇杯決勝に進出した中澤佑二と、迷ったのだが、やはりあのACL終盤の超然とした守備を思い出すと、やはり阿部だなと。

MF 槙野智章(浦和レッズ)
 嫌いな選手だった。いわゆる守備の1対1の応対のうまさは国内屈指の能力を持つにもかかわらず、肝心の場面で敵のマークを見失うことが再三。さらには、リードされた試合で、強引に前に位置取りし、チームのバランスを崩す場面を幾度も見せられてきたから。しかし、17年後半から、それらの悪癖が消え、センタバックとしても、左サイドバックとしても、見事なプレイを見せてくれた。不用意な判断ミスががなくなれば、周囲を叱咤激励する発信力の強さもポジティブにはたらく。サンフレッチェ時代から、槙野を甘やかし、上記のミスを犯しても許し続けてきた、ペトロビッチ氏が去ったことも、槙野には幸運だったのだろう。もちろん、槙野が今日の能力を築くためには、ペトロビッチ氏の教育は重要だっただろうが、ここに来ての氏との別離が、この逸材をようやく本物にしてくれつつあると期待したい。

MF 山口蛍(セレッソ大阪)
 ブラジル大会でも準レギュラとして活躍し、将来を嘱望されていた蛍も、ようやく真価を発揮しつつある。元々、球際の強さ、ボール奪取力、常識的だが丁寧な展開、などいわゆる守備的MFとしての能力は折り紙つきだった。何よりすばらしいのは、そのスタミナだ。90分間、最後の最後まで、戦い続けることのできる能力は、必ずやロシアで我々に歓喜を提供してくれることだろう。

MF 井手口陽介(ガンバ大阪)
 底知れぬ潜在力。そのボール奪取力は明神智和のデビュー時をを髣髴させるし、埼玉豪州戦の決勝点に代表される長駆後の継続性は2002年当時の稲本潤一を思い起こさせるし、正確なパスやドリブルは(そのふてぶてしさを含め)J2からJ1に殴り込みをかけてきた当時の中村憲剛の印象すら与えてくれる。もしかしたら、日本サッカー界が生んだ最高の素材ではないか。我々のロシアでの歓喜は、もはや井手口抜きには考えられないが、何かしらそれに留まらない期待を抱かせてくれる。一部に欧州の2部リーグへ移籍すると噂もあるが、才能の安売りだけは避けて欲しいのだが。
 
MF 中村憲剛(川崎フロンターレ)
 詳細は10大ニュースで。

MF 堂安律(FCフローニンゲン)
 あのワールドユース(U20ワールドカップ)での、イタリア戦。ヨハン・クライフの74年ブラジル戦のような1点目、ディエゴ・マラドーナの86年イングランド戦のような2点目。ロシアに間に合って欲しい。

FW 小林悠(川崎フロンターレ)
 縦に飛び出す際のボールの置き方と、敵DFとの間合いの取り方が巧みな、このストライカ。大久保嘉人が去ったクラブで、中村憲剛から腕章を受け継ぎ、Jリーグを初制覇し、得点王となった。そして、主軸のほとんどを欠いた東アジア選手権でも、技巧のみならずエースとしての自覚を発揮、上々のプレイを見せた。好素材が完成に近づきつつある。すばらしいシーズンだった。けれども、小林悠がロシアの23人に残るためには、大迫勇也、岡崎慎司、久保裕也、浅野拓磨、杉本健勇、武藤嘉紀、場合によっては本田圭佑との争いに勝たなければならない。選手層の分厚さは結構なことだが、何とも厳しいものだ。

FW 大迫勇也(1FCケルン)
 大迫はいわゆる万能型のセンタフォワード。格段のキープ力で日本代表の攻撃の中軸を担い、予選突破の立役者の1人となった。ハリルホジッチ氏のチームの攻撃は、大迫の格段のキープ力を軸にしている。そして、先日のブラジル戦でもベルギー戦でも、このやり方はそれなりに通用した。紛れもなく、大迫は日本最高のフォワードになりつつある。しかし、残念ながら、このままでは日本最高のストライカになれるかどうはわからない。ハリルホジッチ氏に要求されているボールキープは重要だが、もう少しシュートに余力を残しておけないものか。この課題をクリアしてくれれば、我々は格段のストライカをも入手できるのだが。1968年に日本がメキシコ五輪で銅メダルを獲得した際、日本には背番号15の万能型ストライカがいた。あれから50年が経った。同じ背番号でプレイする大迫が、どこまで釜本の域に近づけるか。
posted by 武藤文雄 at 21:54| Comment(4) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月18日

苦闘続くベガルタに、中野嘉大の勇気

 ベガルタ1-0サンフレッチェ。
 私にとっては、久々のユアテック詣でのこの試合、ベガルタは8試合ぶりの勝ち点3を獲得した。
 前半は残念な内容だったが、ハーフタイムの修正が絶品(詳細は後述)。後半は完全にペースを確保し、51分に奥埜が先制。以降は、再三すばやい速攻から分厚い攻めを見せ、好機をつかんだのだが追加点は奪えず。終盤、サンフレッチェのパワープレイに苦しめられたが、何とか守り切った。
 いや、1点差でリードし、終盤危うい場面に絶叫し、選手と共に戦い抜くのは、サポータ冥利の1つ。中々生観戦しない不良サポータが、このような快感を味わえたのだから、ありがたいことだ。

 前半のベガルタは攻守ともに機能しなかった。
 出場停止の平岡に代わり中央のDFに入った大岩が、判断よくラインを上げるのだが、左DF増嶋と左MF中野の反応が鈍く、オフサイドラインが上がらない。ために、サンフレッチェのワントップのパトリックに幾度もよい体制でボールを受けられて、難しい状況を作られた。チームとして、分厚い守備的なサッカーをねらっているのではないのだから、ラインを上げる勇気は必須なのだが。
 さらに悪いことに、攻めに転じたところで、左サイドでボールを受けた中野が前を向いて仕掛けようとせずに、内側を向いてボールを受ける。そのため、せっかくボールを確保して前に出ようとした他の選手の前進が止まってしまう。そうなると、せっかくタッチライン沿いでキープしたボールを、ピッチ中央に戻すことになり、敵MFにカットされ、いわゆるショートカウンタを食らうリスクも高まる。中野のような個人技で敵を抜き去る能力が高い選手は、前に出ようとするだけで、敵を警戒させ後方に押し下げることが可能になるのだが。やれるはずのタレントが、消極的なプレイに終始したのが、もどかしかった。

 しかし、後半状況は劇的に改善された。
 中野が勇気を発揮し、前を向いてボールを受け、前進するようになったのだ。そうすれば同サイドの増嶋も、ラインを上げられるようになる。すると、センタの大岩も一層前に出ることができる。結果として、中野の対面の丹羽は中野の突破を怖れて後方に下がり、戻りの遅いパトリックとアンデルソンロペスを孤立させることに成功、以降は完全にベガルタペースで試合は進む。51分の先制点も、動きがよくなった中野の前進から、西村が強シュート、GK中林がはじいたボールを、詰めていた奥埜が決めて先制したものだった。
 その後も試合はベガルタペースで続く。大岩を軸とした最終ラインの押し上げが効果的で、おもしろいように、中野、三田、富田、古林の4MFがルーズボールを拾い、左右のDF増嶋と椎橋がそこに加わり、効果的なボールが前線に入る。石原のいやらしいキープと、西村と奥埜の長駆も効果的で、ベガルタは幾度も好機をつかむ。しかし、どうしても2点目が奪えない。
 問題はこれだけ攻勢をとりながら、追加点を奪えなかったこと。まあ、こう言ってしまうと、身も蓋もないのだが、各選手のシュート力に課題があるのだ。特に、中野、古林、(古林に代わった)蜂須賀らが、アウトサイドから中央に切れ込んで、ほぼフリーでミドルシュートを狙うのだが決めきれない。どうしてもカットインしてのシュートと言うものは、敵GKからはシュートコースを見極められやすいものだから、GKのタイミングを外すなり、読まれづらいコースを狙うなりの工夫が欲しい。
 また、シャドーを務める西村だが、相手を抜ききる前にもっとシュートを狙う意識を高められないものか。強引な持ち出しは、ここ2〜3か月、ますます凄みを増している。そこに加えて、持ち上がろうとする時点で、どこに持ち出し、どこでシュートを打ち、どこに決めるのか、もっともっと意識を高めて欲しい。今シーズン着実に上昇する西村だからこそ、要求が贅沢になってくる。もちろん、シュート力と言う意味では最高のクリスランがいる。しかし、クリスランは、ボールを収める力が弱いだけに、フルタイム使うのが難しい。そうこう考えると、西村の一層の向上と工夫に期待したくなる。頼むぞ。
 余談ながら、元サンフレッチェの石原と、かつてのチームメートの千葉と水本との丁々発止は、何ともおもしろいものだった。お互い長所短所や、プレイイングディスタンスを知りぬいているのだろう。絵に描いたような、騙し騙されの攻防は、実に見どころが多かった。さらに余談、石原のボールの受け方、ターン、身体の入れ方などを集めた映像を、どなたか作ってもらえないだろうか。サッカーの難しさがわかってきた小学校上学年や中学生に、恰好の教材となると思うのだが。
 最後の10分、サンフレッチェはパワープレイに転じる。パトリック、アンデルソンロペスに工藤が並ぶFW陣は、中々強力ゆえ、ほうりこまれるとさすがに劣勢となる。こういう時こそ、ラインを高くして、パワープレイをさせないように中盤を機能させたいところだったが、うまくいかず最後は押し込まれるままとなってしまった。それでも、各選手の献身的努力と、シュミットのファインプレイで何とか零封に成功、何とか勝ちきることができた。やれやれである。
 このあたりは、ボランチの運動量確保に課題があるように思う。渡邊監督の、主将富田とゲームメーカ三田への信頼は絶大で、(それは結構なことなのだが)2人が少々疲弊しても、交代しない。しかし、このように単純な方策で押し込まれてしまう欠点の改善は必須だ。2人をどうしてもピッチに残したいのならば、三田を一列上げて、梁や藤村をボランチに起用し運動量を確保する手段もあると思うのだが。

 ベガルタにとっては、本当に貴重な勝ち点3確保となった。結果も嬉しかったが、試合内容、特に後半の内容がよかったからだ。
 6月後半から7月上旬にかけてのホームでのセレッソ戦、ガンバ戦は、かなり質の高い攻撃ができたのは確かだったが、守備はガタガタだった。さらに、続くヴィッセル戦では、名将ネルシーニョ氏に両翼を的確に抑えられ有効な攻撃はできず、守備面の弱点も執拗に狙われ完敗し、中断期間を迎えた。さすがに渡邊監督も、まずいと思ったのだろう、中断期間は守備の修正に多くの時間を割いた模様で、レイソル戦以降、守備はかなり改善された。ところが、その背反か、攻撃はほとんど機能しなくなっていた。
 レイソル戦の終了間際の同点弾は、どう考えても幸運の賜物。続くアントラーズ戦は、濃霧と言う不運はあったものの、シュートは僅か1本。そして、連戦で行われたジュビロ戦は、敵の組織的なフォアチェックを抜け出せず、「よくもまあ失点しなかったものだ」と言う超幸運な0対0だった。
 そうこう考えると、後半完全にペースをつかみ、幾度も好機をつかみ勝ち取ったこの勝利は本当に重要だ。しかも、守備面で大きな破綻もなかったのだし。

 今シーズン、従来のいわゆる4-4-2から、3-4-3に配置を切り替え、両サイドを前面に押し出すやり方を採用したベガルタ。その前面への押し上げが奏功し、相手の監督から、お褒めの言葉を頂戴した試合もあった。しかし、落ち着いて振り返ってみると、明確な成果を発揮した試合は案外と少ない。守備面で大きな破綻がなく、良好な攻撃ができた試合は、敵地で3-0と快勝したエスパルス戦と、同じく敵地で押し込みながら1-1の引き分けに終わったマリノス戦くらいではなかったか。
 今後、このサンフレッチェ戦のように、守備面の課題を丁寧につぶした上で、いかにマイボールを大事にして人数をかけた攻撃をしっかりやり遂げることができるか。ベガルタが、上位進出を目指すためには、サッカーの質を上げていくしかないのだ。
 続くのは敵地での、アルビレックス戦、コンサドーレ戦。共に今シーズンは苦闘しているクラブだが、試合内容は悪くなく、選手の個人能力も我が軍とは、ほぼ互角と関げてよいだろう。彼我の戦闘能力差、残留争いの星勘定、そして敵にとってホームゲームであることを考えれば、両クラブともベガルタから勝ち点3を獲得することを目指してくるのは自明だ。
 その難敵を相手とするときに重要なのは、試合内容の充実に尽きる。ようやく獲得しつつある攻守のバランス、両翼の勇気、シュートの改善、終盤までの運動力の確保。これらを、しっかりと行うことが、今後の上位進出はもちろん、この2試合でのより多くの勝ち点獲得にも重要なはずだ。
 よい成果を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 20:26| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

石川直樹との別れ

 石川直樹が、コンサドーレに完全移籍した。
 今シーズンに入り、スタメンの座を奪われていた石川。したがって、他クラブからオファーがあれば、石川が移籍の決断をするのは不思議ではない。ベガルタにとっては貴重な控え選手ゆえ、戦闘能力と言う意味でも痛いし、何より石川がいなくなると考えると寂しい。しかし、ここは快く送り出すしかない。そして、新たな環境での活躍を期待したい。ベガルタ戦以外でだが。
 それにしても、この4年半の貢献には感謝しても感謝しきれない。特に2014年シーズンに、我々がJ1に残留できたのは、石川の八面六臂の活躍があってのこと。あの難しい時期のベガルタを支えてくれた石川のプレイ振りを、私は忘れることができない。

 石川は、ベガルタにACLに出場したの2013年シーズンに、ベガルタに加入した。
 当時のベガルタは、菅井、梁、関口、富田と言った2000年代前半に加入した生え抜き選手に加え、J1再昇格の2010年シーズン前後に獲得した、林、鎌田、角田、太田、赤嶺、そしてウイルソン、さらには朴柱成と言った、移籍で獲得したタレントの個人能力を存分に発揮させることで輝いたチームだった。こう言ったピンポイントの移籍選手獲得の格段のうまさと、手倉森監督の格段の手腕により、我々はACL出場の栄冠をつかむことができた。
 けれども、そこには背反があった。それぞれの選手たちは、みな己の選手としてのピークを迎える年齢、つまり20代後半にベガルタにやってきた。そのため、2014年シーズンには一気に反動が来た。チームの老齢化が隠しようがなくなったのだ。
 その2014年シーズンに常時出場し、チームを支えたのが、石川だった。石川はベガルタの一番難しい時期を支えた存在だったのだ。そして、翌2015年シーズンより、ベガルタは奥埜に代表される自前の若手選手を次々に登場させ、新たなステージに移ることができた。

 石川はセンタバックもサイドバックもこなし、左足のキックが魅力。その左足は、センタバックでは高精度のロングフィードに、サイドバックでは好クロスに活かされる。左利きで、いずれの位置もこなせるタレントは日本では珍しい。私的には、日本のマルディーニなのだ。
 守備においては、いわゆるスピードは今一歩だが、敵の攻撃を読む能力に秀でている。ただし、昨シーズンあたりから、年齢的なこともあるだろうが、単純なスピード不足で敵のサイドプレイヤに突破を許す頻度が増えてきて、「そろそろサイドバックは難しいかな」と言う印象だった。
 そして、ベガルタが今シーズン3DFを採用したこともあり、石川はいわゆる左のセンタバックで起用された。ところが、そうなると局面によっては、サイドでの守備が必要となり、上記したスピード不足の課題を露呈することもあった。そのため、敵FWへの応対が丁寧な増嶋に定位置を奪われた格好となっていた。
 それでも、石川はルヴァンカップでは主将を務め、2次ラウンド進出を支え、ベガルタにとっては、貴重な貴重な控えの守備者った。そして、勤勉な石川のことだ。丁寧に自分の長所短所を整理し、レギュラ奪回を狙っていたはずだ。その奪回劇を堪能させてもらう前に、コンサドーレからのオファーが届いたと言うことだろう。

 石川の移籍が発表された日に行われたレイソル戦。同じポジションに椎橋慧也が抜擢された。椎橋は、落ち着いたポジション修正、敵の縦パスへのはね返し、正確なフィードを見せてくれた。そして見事なドリブルの攻め上がりから、石原に決定的なラストパスも通した。もちろん、加速したクリスティアーノや伊東に、後方を突かれるなど、肝心の守備はまだまだ課題は多い。それでも、椎橋のプレイは我々に大きな期待を抱かせるものだった。石川が去ることにより、椎橋は機会を得た。そして、椎橋と同年齢の小島や常田に機会が訪れる可能性があるだろう。さらには、3日には新しいブラジル人CBのヴィシニウスの獲得が発表された。去る者があれば、来る者もいるのだ。

 改めて、4年半の間、ベガルタのために粉骨砕身してくれた石川直樹に感謝したい。ありがとうございました。
posted by 武藤文雄 at 01:23| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月31日

蜂須賀孝治の充実と課題

 J1第19節、ベガルタ1-1レイソル。

 中断前3試合で、毎試合のように大量失点をして3連敗していたベガルタ。さすがに、この試合では守備を相当意識した試合を行った。蜂須賀と中野の両サイドMFが、素早く最終ラインに入り、3-4-3と言うよりは、5-4-1と言う並び。もちろん、ボールをしっかりとキープする狙いは変わっていないから、蜂須賀と中野は幾度も上下動を繰り返す必要があり、負担は非常に重い。
 そして、ベガルタの守備は非常によく機能。石原と西村が長い距離を走る逆襲速攻、蜂須賀の強引な右サイド持ち出しに大岩と西村がからむ右サイドからの崩しなど、上々の展開で後半半ばまで試合は進む。
 しかし後半半ば過ぎ、ベガルタはCKから先制を許す。その後、ベガルタは中々有効な攻め込みができない。クリスランと石原が、レイソルの中谷、中山の若きCBに押さえられ、結果両翼に起点を作れなかったのだ。中でも、シーズン当初より上半身が明らかにたくましくなった中谷は、忌々しい事この上なく、カバーリングの妙と、体幹の強さを存分に発揮されてしまった。
 それでも、アディショナルタイム、クリスランが狡猾な動きから、中野のスルーパスを呼び込み、左から抜け出し鋭く低いクロス、石原が見事なスクリーンプレイからボールを落とし、中野が叩き込んで同点。
 まずはやれやれである。この勝ち点1は、ベガルタにとっては、本当に貴重なものとなった。

 ともあれ。CKから奪われた失点は、ほろ苦いものだった。
 レイソルに分厚い攻めを仕掛けられたが、ベガルタ守備陣も丹念に対応。富田が実に見事なボール奪取を見せたものの、蜂須賀がクリアすればよいものの中途半端につなぎを狙い拾われ、シュートまで持ち込まれたのをブロックして許したCKからだった。
 そして、キッカーのクリスティアーノがファーサイドを狙ったボールに、見事な出足で飛び出した伊東に、蜂須賀の前でヘディングを許し、決められてしまった。
 つまり、蜂須賀が提供したCKの対応を、蜂須賀が誤まり、失点してしまったのだ。

 つらいことだが、中断前の3連敗、失点場面に幾度も蜂須賀はからんでいた。ガンバに許した決勝点は、ガンバのFKに一番ファーサイドにいた蜂須賀が対応できず、ファビオにヘディングシュートを許したものだった。ヴィッセルに許した先制点は、蜂須賀が不用意につなごうとしたボールを奪われたものだった。
 この日のレイソル戦の失点は、蜂須賀はつい最近行ったミスを再度犯してしまったために、許したものだったのだ。

 蜂須賀は2013年シーズン、仙台大から特別指定選手を経てベガルタに加入したサイドプレイヤ。180pの体躯、利き足は右だが左でもしっかりとクロスを蹴ることができ、縦への疾走を繰り返すことができる。しかし、中々定位置をつかむことができずに5シーズン目を迎えた。
 蜂須賀がレギュラに定着できなかった要因はいくつかある。元々、ベガルタの右サイドバックには、クラブのレジェンドでもある菅井直樹がいたこともあった。蜂須賀自身が、ベガルタ加入以降複数回下半身の大怪我をしたこともあった。ただ、それらに加えて、時々びっくりするようなミスをする悪癖があったのだ。中盤でパスをつないでいるときに、簡単な横パスを提供してしまう。逆サイドから攻め込まれているときに、敵に揺さぶられているわけものないのに、ボールウォッチャになってしまうなど。
 それでも今シーズンの蜂須賀は格段に成長している。幾度も上下動を行える脚力を活かし、いずれの試合でもスプリント数は格段の回数を誇る。縦に出た右クロスも、切り返した左クロスも、精度が向上した。敵サイドプレイヤに対する守備応対も随分と粘り強くなった。中盤でのつなぎも、逆サイドへの展開を含め、間違いなく上達した。
 渡邉監督が目指すサッカーでは、サイドMFの充実が何より重要。そして、左サイドで高い評価を得ていた新人永戸の負傷離脱はあまりに残念。しかし、その他のサイドMFとしては、ようやく負傷が癒えた中野、グランパスから獲得した古林、ベテランの菅井、若手の茂木、小島など候補選手は多い。しかし、蜂須賀には彼らライバルにはない、体格の強さ、空中戦の強さ、そして何より上下動をいとわない脚力がある。
 そして、我がクラブは、少々欠点がある選手を見捨てる贅沢は許されない。蜂須賀が己の長所を活かし、短所を改善することで、格段のサイドプレイヤに成長すること。それが、今シーズンの上位進出のカギを握るのだ。

 頑張ってくれ、蜂須賀よ。 
posted by 武藤文雄 at 00:12| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月10日

ロシアに向けたの準備が整った試合

 日本1対1シリア。

 前半はひどかった。ボールがしっかりと回らず、およそ中盤が機能しない。 思うようにボールを保持できない故、無理な縦パスが多く、ボールを失う悪循環。さらに、ハリルホジッチ氏が「デュエル」を要求するからだろう、敵のボール保持時間が多いのに、無理に強く当たりに行くから、かわされピンチを増やす。
 それでも、今の日本はFWの個人能力が高い。前線で大迫はしっかりと持ちこたえるし、原口は幾度もシュートまで持ち込む。前半終了間際の久保のシュートも惜しかった。しかし、シリアのDFも強い。特に主将のアルサリフは、ロンドン五輪予選から、我々に立ち塞がっていた名手(大迫との丁々発止当時も今も見事な戦いだ)で、今日もすばらしいプレイを見せてくれた。と言うことで、前半日本がリードしてもおかしくはなかった。もちろん、リードされても不思議はなかったが、充実の川島と麻也を軸に、何とか守り切る。
 後半開始早々も同じ展開。そして、押し込まれた展開から許したCK、ショートコーナへの緩慢な対応、期待のCB昌子の目測ミスから、あえ無く先制を許した。

 元々、この試合はとても難しい試合だ。
 何よりアウェイ(と言っても中立地だが)イラク戦に勝ち点3を確保するのが最重要事項。そのための準備となるこのシリア戦は、体調のピークを合わせるわけにはいかない。しかし、ビジネス上の理由で、満員の大観衆を集めて仰々しい試合としなければならないのがつらいところ(いつもいつも語っているが、カスミを食うだけでは生きられないのだから、しかたがない)。そうなると、そうひどい試合を見せると勢いが出ない。
 さらに、以下の特殊条件が重なる。今回の代表強化セッションは、欧州のシーズンが終了し、選手達は休暇前にもうひと頑張りと言うタイミング。加えて、久々にハリルホジッチ氏が、欧州クラブ所属選手を集中強化(あるいは観察)できる貴重な機会。
 そうこう考えると、何とも焦点の絞りづらい試合なのだが、このままでは、内容は悪いは、結果も出ないと言うことになる。その状況でイラク戦に臨むのでは、何とも重苦しい雰囲気になってしまう。

 内容が悪いと言えば、タイ戦もそうだった。中盤でのボール回しが明らかに劣勢にもかかわらず、香川、岡崎、久保の見事なシュート力で点差を広げ、麻也を軸に最終ラインでしのぎ続け、あげくは川島のPKストップ。チームとしての機能は褒められたものではなかったが、気が付いてみれば、スコアだけ見ると4対0の完勝だった。悪いなりに拾った試合ではなく、すごく悪かったけれど完勝だったのだ。日本代表を40余年見続けているが、あれほど内容が悪い中で、結果だけがすばらしかった試合はなかった。また、その前のUAE戦は、アウェイゲームで、序盤に久保が先制したこともあり、守備的にペースを握ればよい試合だったが、中盤から崩した好機は少なかった。つまり、今年に入って能動的に中盤が機能した試合はなかったのだ。これは長谷部の負傷離脱の影響もあったのだが。
 言ってみれば、今年に入っての日本代表は、モドリッチのいないレアル・マドリード、イニエスタがいないバルセロナのようなサッカーを見せていたのだ。これでは、安定した試合は望めないし、何より相手DFが当方のFWより能力が高ければ、点はとれない。そして、残念ながら、大迫も原口も、クリスチャン・ロナウドやメッシの域には達していない。
 さらに振り返れば、日本にとって貴重な強化期間だった1次予選で、ハリルホジッチ氏は先を見据えた準備をあまり行わなかった。必ずしも本調子でなかった本田、香川を軸にした攻撃ラインを拘泥、組織守備が崩壊しても試合結果がよければ、それでよしとの態度だった。
 そして、最終予選でいきなりUAEに苦杯し、イラクに苦戦して、慌てて組織守備を整備。原口、大迫を抜擢し、攻守を建て直した。平行して、吉田麻也が格段の成長を遂げたのが大きかった。このあたり、ハリルホジッチ氏の追い込まれたときの手腕はさすが、と言うべきだろう。
 ただし、上記の通り、スコア的に完勝だった敵地UAE戦にしても、ホームタイ戦にしても、中盤でのボール回しは褒められたものではなかった。そして、このシリア戦の前半、これが3試合続くと言うことは偶然ではない。長谷部がいないと、中盤の展開力が激減するのだ。そして、イラクはアジアの中では、日本、ウズベキスタンと並び、中盤の展開力が高い国だ。この状態で、この厄介な相手と戦うのか。いや、それでも予選は勝ち抜ける確率は高かろうが、33歳の長谷部を頼りに、ロシアに向かおうと言うのか。さすがに楽観的な私も、イヤな気分にとらわれ始めた。

 しかし、答えは簡単に見つかった。
 本田圭佑のインサイドハーフ起用だった。
 ザッケローニ氏時代の本田は、年齢的にも全盛期、トップ下で圧倒的な存在ではあった。しかし、細かすぎる崩しに拘泥したり、強引な持ち出しを狙い過ぎる傾向があった。そして、その本田の自己過剰評価と共に、ブラジルで日本は沈んで行った記憶は新しい。
 けれども、この日の本田は違った。
 交代時間が前後したが、アンカーに入った井手口の、早くて速い展開のサポートを受け、本田が長短のパスを繰り出し、中盤をリードした。そこに乾が加わり、溜めを作りつつ突然得意のドリブルで突破も狙う。こうなると、倉田も持ち味が出て来て、中盤で落ち着いてバランスがとれる。
 この日の本田は、自己過剰評価などみじんも感じさせず、よい意味で自己顕示欲を発揮しつつ、落ち着いて中盤を構成した。試合を積んで、大迫との位置関係が整理されれば、いっそう変化あふれる中盤が作れるようになるだろう。こうして軸ができれば、周囲の選手も役割が決まってくるはずだ。
 我々は、本田圭佑と共に、1人のトッププレイヤの登場、成長、飛躍、停滞を愉しんできた。そして、そのドラマに、成熟と言う新たな章が、刻まれようとしている。代表サポータならではの人生の贅沢である。

 遠藤保仁の後継者は、すぐそばにいたのだ。

 川島−麻也−本田−大迫と、縦のラインがしっかりと固まった。これにより、ロシアのベスト8以上に向けてチームの中軸がようやく整理された。本大会まで約1年、ちょうど、タフなイラク戦、豪州戦、サウジ戦を控える。準備状況としては最適なタイミングなのではないか。
 本田が、このシリア戦と同じポジションで常時出場できる的確なクラブを選択することを期待したい。そうすれば、このシリア戦は、ロシアに向けた準備が整った試合と記憶されることだろう。
posted by 武藤文雄 at 13:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月03日

南米との相性の悪さと未来への希望

 ユース代表は、2次ラウンド1回戦ベネズエラ戦、0対0で迎えた延長後半、CKから失点し悔しい敗退。

 今大会は、冨安のミスで敗退した大会と記憶すべきだろう。
 煮詰まった延長後半立ち上がりの敵CK、冨安は目測を誤り、ベネズエラ主将エレーラにフリーでヘディングシュートを許してしまった。110分間これだけタフな試合を繰り広げた上での判断ミス。集中力の欠如ゆえのミスだったが、冨安を攻める気持ちは一切ない。また、冨安がいなければ、我々はここまで勝ち残ることはできなかった。冨安の魅力は、1対1の強さ。特に、加速に乗って仕掛けてくる敵FWへの対応のうまさは格段で、順調に成長してくれれば、日本サッカー史最高の守備者にまで成長する可能性を持たせてくれた。つまり、現在の師匠である井原正巳を超える存在になるのではないかと。
 しかし、この悔しい試合では、肝心要の場面で、目測ミスから痛恨の失点を許してしまった。これだけの逸材なのだ。「冨安のミス」と、皆で明確に記憶し、捲土重来を期してもらうべきだろう。

 悔しいけれど、戦闘能力に僅かだが明確な差があった。一方で、このチームは、日本のの伝統的強さに新たな要素が加わった魅力があった。

 まず、悔しいが明確な差について。ベネズエラとの差は、歴史的に幾度も見てきた、典型的な南米強豪国との間に見られるものだった。
 元々我々は、南米勢とは、相性が非常に悪い。90年代半ば、日本が世界大会に常時出場するようになった以降、ワールドカップ、五輪、ワールドユースで、日本は南米のチームにほとんど勝っていない。アトランタ五輪のブラジル戦と、ナイジェリアワールドユー ス準決勝のウルグアイくらいではないか。この要因には、「絡みキープ力?」とでも呼ぶべきか南米独特の各選手の1対1のうまさと、勝負どころを見極める集中力の二つがあると思っている。

 まず前者の「絡みキープ力」。
 0対0で迎えた後半、ベネズエラはフォアチェックで日本DF陣に厳しいプレスをかけてきた。日本はこれを抜け出すことができず、ベネズエラに攻勢を許した。それでも、中山と冨安を軸に丁寧にしのぎ、それなりに意図的な逆襲を狙ってはいたが、有効な攻撃頻度は少なかった。
 少々乱暴な総論で語る。この日もそうだったのだが、南米の選手達は単純な1対1の競り合い、それも粘り強く身体を絡めてのキープがうまい。そして、その「絡みキープ力」と対すると、日本は持ち前のパスワークの精度が落ち、ペースをつかめなくなる傾向がある。
 欧州やアフリカが相手だと、南米ほど絡みキープが執拗でないため、よりパワフルな選手がいても、日本はパスワークで圧倒できることも多いのだが。ちなみに南米勢は、欧州勢との対戦では、欧州の単純なパワーの前に、絡みキープがうまくいかず苦戦することもある。まあ、このあたりは、ジャンケンと言うか、相性と言うものなだろう。
 南米勢と互角以上に戦うためには、こう言った絡みキープ力を高める必要がある。そのためには、はやり言葉で言うデュエルとかインテンシティとかだけではなく、純粋なボール扱いの技術、身体の使い方、ボールを受ける前の準備、競り合う中での判断など、多面的な強化が必要に思う。そして、そのためには、1対1で勝つための執着、創意工夫を必死に考える習慣付けが必要。これは、指導の現場と言うよりは、サッカーを語る我々が、「絡みキープ力」で勝てる選手を称え続けることが重要に思う。

  次に後者の勝負どころを見極める能力。
 後半、日本は粘り強くしのぎ続け、延長まで持ち込む。そして、延長に入るや、さすがにベネズエラに疲労が目立ち、日本も押し返せる時間帯が増えてきて、シメシメと思っていた。ところが、延長後半、キックオフから攻め込まれ、FKを奪われ、その流れからの連続CKから失点してしまった。しかも、悔しいことに、敵の精神的支柱のマークを当方の守備の大黒柱がし損ねての失点である。それにしても、ここでのキックオフ直後のベネズエラ各選手の集中力には感心した。
 南米勢との試合で、勝負どころで見事な集中や変化を付けられて、やられることは多い。この大会のウルグアイ戦の失点時もそうだった。昨年のリオ五輪でも、コロンビアに許した先制点は、当方の僅かな守備陣のミスを活かされたものだった。
 この感覚を、いかに若年層の選手たちに身につけてもらうか。陳腐な考えだが、若い頃から厳しい試合を経験してもらうしかないのではないか。具体的には、Jユース所属時代から、J2なりJ3のクラブにレンタルに出し、毎週末サポータに後押しされながら(場合によっては罵倒されながら)、勝ち点を1つでも積み上げる(多くのクラブでは、下位に近づかないようにもがく)経験だ。プリンスリーグや、U23でのJ3の試合では、このような経験は難しい。一番似ているのは、高校選手権になるが、これは勝ち抜き戦と言う構造から、多くの選手が経験できない欠点がある(もっとも、そのような欠点があるから、格段の難しさとなり、貴重な経験となるのだが)。

 一方で、今回のチームは、過去のユース代表と比較しても、実に魅力的だった。日本の伝統である、細かなパスワークも、粘り強い集団守備も高いレベルだった。いずれの試合でも、ペースを握った時間帯は、素早いパスワークが奏功し、変化あふれる攻撃を見せてくれた。特に市丸と三好は判断力と技術に優れたMF、この2人が遠藤保仁と中村憲剛の配下として、Jを戦っていることは非常に意味があると思っている。中山も非常に優れたCBで、落ち着いたカバーリングと精度の高いフィードは魅力的だった。久保については、色々な意味で標準外のところもあり、別に検討してみたい。
 ともあれ、今回のチームを魅力的にしていたのは、冨安と堂安だろう。
 冨安については、冒頭に述べた通り。この手の若年層大会で、ここまで格段の素材力を見せてくれたタレントはほとんど記憶にない。師匠の井原正巳は、当時に日本の戦闘能力の低さもあり、世界のトップレベルと対峙する権利を得ることができたのは20代後半になってからだった。対して、冨安は18歳でこれだけ鮮やかな失敗経験を積むことができた。前途洋々たる未来である。もちろん、ここから、大人の身体に育つときに今の強さと速さが維持できるか、ちょっと猫背気味の体型など、気になることもあるが、これだけのタレントがこれだけの経験を詰めたことを素直に喜びたい。
 そして堂安、あのイタリア戦の2得点で十分。日本サッカー史上最高の攻撃創造主と言えば、やはり中村俊輔と言うことなるだろう。そして堂安は、俊輔があれだけ気の遠くなるような努力を積んでもどうしてもできなかった、屈強な守備者をボールタッチと緩急の変化で突破する能力を18歳で身につけている。もちろん、贅沢を言えばキリがない。特に押し込まれたベネズエラ戦の後半に、ちょっと引いて市丸あたりとボールをキープして、試合を落ち着けて欲しかった。今の堂安の年齢で、A代表マッチでそのようなプレイを見せてくれたタレントは少なくない。ディエゴ・マラドーナとか、ミッシェル・プラティニとか、ネイマールとか。
 冨安にせよ、堂安にせよ、最大の課題は、いかに早く自分のクラブで絶対的な存在になるかだろう。自分のクラブで、いかに研鑽を積み続けられるか、期待していきたい。

 我々が多数の好素材を保有していることを再確認できる大会だった。そして、公式国際試合と言うものは楽しいものだと、再確認できた。よい時代はまだまだ続く。
posted by 武藤文雄 at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 若年層 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする