バンコク行きで本業をサボったのは半日足らずだったのだが、何か非常に忙しくて、作文をする時間がなかなか取れない。とにかく、埼玉バーレーン戦前に(考えてみれば、04年五輪予選、05年ドイツ予選と、3回埼玉でバーレーンと戦うのだな)、とにかく前の試合の事だけは書き終わらないとね。
と言う事で、バンコクタイ戦を見ての各種妄想を。
バンコクは雨季だと言うが、この日はいわゆるスコールは降らなかった。その代わりと言うか、早朝に雨が降ったらしく、朝から凄い湿気に。エアコンが効いた室内から外に出るだけで、嫌気がさす蒸し暑さだった。ただ救いは曇天だったがゆえに、気温は格段に上がらなかった事か。
キックオフの現地時刻17時20分。この3次予選、タイで行われたオマーン戦もバーレーン戦もいずれも18時30分キックオフだった。それより1時間早い事と言い、「20分」と言う微妙な時刻と言い、前節に続き、「霞を食えとは言えないけれど」と嘆かなければならないのだろうな。
まずスタメンにビックリ。大久保の代わりに何と香川を起用し、それ以外は前週の敵地オマーン戦と同じ。さらには(後から聞いたのだが)山瀬をベンチからも外すとは。岡田と言う人は、何とまあ、意地っ張りなのだ。
さりながら岡田氏は前節の問題点、早い時間帯の失点、両サイドバックが揃って上がりそこを突かれ再三の逆襲を許した事、の2点を徹底して修正してきた。
日本はいきなタイのキックオフに対して激しいプレスをかける。とにかく立ち上がりを、相当厳しく入る指示だったのだろう。そのキックオフの流れから最後はボールを奪取した長谷部がそのままドリブルで敵陣に進出、的CBを抜き去り完全にGKと1対1になる絶好機を掴む。しかし、長谷部はシュートをGKにぶつけてしまい逸機。GKの飛び出しはよかったが、長谷部はこのような後方からの前進を期待されて起用されているのだから、いくら開始早々とは言え、これは決めなければいけない。これは大きな減点。
ともあれ、以降も日本のプレスは強烈でしばしばタイ陣内で数的優位を作る集中守備からボールを奪取し、前半は圧倒的に日本が攻勢に立つ。前節のような不用意な失点を許さない気持ちがよく出ていた。長谷部の運動量は相当だったし、俊輔と松井の集中も中々だった。
加えて両サイドバックのバランスも改善されていた。攻撃に上がっていないサイドバックは必ず、中澤、闘莉王の横に絞込み、常時後方には3人が残ってバランスを取っていた。一方のタイは2トップを残して、完全に引いていたために、この後方の3人に加え引いてきた遠藤の4人で、かなり楽に攻撃の起点を作る事もできていた。押し込んでも、行き過ぎない事は重要だ。しかもタイの2トップが、前方に居残り遠藤へのプレスをかけないために、遠藤は余裕綽々でゲームを作る。
それでもタイは最終ラインに人数を揃え何とかしのぐ展開となったが、得点は時間の問題と言う雰囲気。そして、その通りに、日本はセットプレイから闘莉王と中澤の2枚看板が強烈に決めて、前半で安全圏の2点差としてしまった。
ただし、猛攻していた割に、決定機の数が少なかったのが問題だったのが、これについては後述する。
そして後半、日本は明らかに運動量が落ちてくる。特に前半献身的に守備を行っていた中盤の名手達に疲労の色が濃かった。今日も暑いし、先週も暑かったし、前半はオーバワーク気味だったし、まあ仕方がないと言えば仕方がないのだが。
そうなると、前を向いたタイFWが、持ち前の瞬間的なスピードでの突破を狙ってきて、日本はしばしば防戦を余儀なくされる。これについては運動量が落ちただけではないのだが後述する。通常、ここは交代である。ベンチには啓太、今野、憲剛と、豊富な人材が控えており、彼らのうち1人を入れるだけでも状況は相当好転すると思うのだが、岡田氏は意地を張り続ける。ようやく70分に俊輔と松井に代えて、憲剛と矢野を起用。以降、憲剛の鋭いパスで日本はペースを取り戻した。さらに80分過ぎにようやく今野を起用し試合をクローズに向かう。
終盤、駒野のスルーパスから抜け出した憲剛がとどめの3点目。後半押されたのを放置し続けたのは感心しないが、敵地で0−3の勝利は見事としか言いようがないだろう。
この試合の第一義は勝ち点3を確保し、4次予選への出場を確定的にする事だったのだから、十分評価すべき試合だった。あの高温多湿化で、前半で勝負を決めてしまった選手達には最大限の敬意を表したい。
とは言え、スタメンと言い、交代の遅さと言い、岡田氏の意地の張りようは凄いものがあった。ここからは邪推だが、氏はこの試合特に3つの事を試したかったのだと思う。そして、3つ共うまくいかなかったように思える。
まず長谷部が、どこまで引っ張れるかを見たかったのだろう。横浜オマーン戦以降、いわゆるボランチの位置に遠藤と長谷部を置き続けた岡田氏。90分間に渡り、長谷部が得意の攻撃のみならず、守備面でも機能し続ける事ができれば、これほど明るい話もないだろう。横浜ではオマーンがあれ以上に点差が開く事を防ぐため、全く前に出てこなかったので、長谷部の守備の評価はできなかった。敵地のオマーン戦では、あまりに気温が高かった事もあるが、大久保退場以降長谷部の動きは止まり、結構逆襲を許していた。この日のタイは、後半になりせめて日本に一矢を報おうと攻撃的な仕掛けをしてきただけに、この攻撃を後半の長谷部がそれなりに止め、あるいは得意のドリブル前進ができれば、4次予選に向けて明るい話題となった事だろう。しかし、そうはならなかった。後半の長谷部は完全に消耗し切っていたのだ。
結論として、暑く環境が極端に悪いところでは、長谷部は90分間守り切る事ができない事が確認された(が、世界中であれだけの悪環境で走り切れるMFがいかほどいるかは疑問なのだが)。4次予選の組み合わせがどうなるかはわからないし、ここまで暑い環境で戦う必要はないかもしれない。しかし岡田氏が拘泥したこの実験は失敗と言わざるを得ない。
岡田氏の狙い2つ目。香川を試したかったのだろう。たしかに香川は俊輔や松井によく絡み、よいプレイを見せていた。しかし、そこまでだった。突出した得点能力も、突出した突破力も、突出した引き出し力も、突出したパスセンスも見せてくれなかった。現状の香川は上質な技術を持つ優秀な攻撃選手ではあるが、現時点では山瀬や憲剛とは比較するもおこがましい。
反町氏がオーバエージをどうするのか不明(遠藤と大久保と言う噂が聞こえてはいるけれど...う〜ん。)だが、まずは香川は五輪代表を梅崎や水野と争い、北京で試合出場を目指すところから始まるのだろう。香川自身にはすばらしい経験になったとは思うが、少なくとも現時点においては代表チームにとってはあまり意味のある抜擢ではなかった。
3つ目に岡田氏が確認したかった事。それは玉田の確立だろう。高原が不振に沈み、前田遼一と田中達也が負傷で中々活躍できず、巻も体調が今一歩の現状で、頼りになるFWは大久保1人。その大久保もオマーンで、別な意味では全く頼りにならない事を証明してしまっている。そのため、(潜在能力では日本屈指の)玉田が一本立ちするかどうかは、極めて重要な命題となった。しかし大変残念ながら、期待は裏切られたのだが。
上記したが、前半日本はあれだけ攻勢を取りながら、必ずしも決定機の数は多くなかった。これは玉田の位置取りが大きな問題だったからと見た。前半の日本はサイドで数的優位を作りよく敵陣でボールを奪っていた。ところが、せっかく敵陣でボールを奪っても、ワントップの玉田が動き過ぎているものだから、肝心の最前線敵ペナルティエリアの人数が足りなくなってしまったのだ。余計な事を考えず、自らの得点だけを意識して欲しいのだが。
また、後半中盤選手の動きが止まり、タイの攻勢を許した時間帯、玉田の動きもまた止まってしまった。玉田も連戦を戦ったきたのだから疲労を考えれば当然の事で、これは仕方がない。しかし、疲労した玉田は悪癖を次々に露呈してしまった。不用意に下がり過ぎ前半以上に前を薄くしてしまう、ボールをもらうとやみくもに突破を狙う(突破後のシュートや展開については考えていないドリブルだから、抜けても効果は薄い)、敵DFを背後にして持ちこたえなければならないボールを簡単に奪われる。
この選手のエゴイズムは悪くない。しかし、そのエゴイズムは瞬間瞬間の自己満足に発揮され、得点に向けてはどうしても発揮されないのだ。潜在能力は間違いないものがあるのだから、ピクシーとヨンセン(と杉本)から学んでさえくれればと思うのだが。
考えてみれば、長谷部と香川の問題はそれほど深刻ではない。局面次第だが、長谷部のように持ち上がれるMFと遠藤を中盤の最後尾に並べる事ができるのは確認された。もし、稲本が全盛期の調子を取り戻せば、長谷部と競わせる事もできるし、この2人のさらに後方に啓太なり今野を置くこともできる。俊輔と遠藤と憲剛が鼎立できる事は爺さんが証明してくれている。山瀬が機能する事は岡田氏が就任早々確認済みだ。北京で香川が大化けすれば(いや本田圭でも水野でも梅崎でも柏木でも誰でもいいが)それはそれで大歓迎。中盤は全く問題ないだろう。
ちなみに最終ラインにしても、中央の2トップは強さと得点力はアジア最高峰。両サイドバックは加地の離脱は痛いが岡田氏の若手抜擢で格段に層は厚くなった。2トップのバックアップにも中田と阿部が控える。さらにこの2人はサイドもできるから、阿部−中澤−闘莉王−中田の4DFと言う日本史上最高ではないかとも思える4DFを組める可能性もある。また、五輪代表には青山直、吉田、森重、そして話題山積の水本が控えている。楢崎、川島、西川に川口が締めるGKも問題ない。
と、言う事で問題はFWなんですよね。
こう考えると、まだフィリップとジーコは楽だったのではないかと。いや、森島がいた、久保がいた、と言う事を言いたいのではありません。それはそれで彼らにとって福音だったろうけれど。
何のかの言って、彼らもFWの得点力不足に悩んでいたのは間違いなかったのだけれども、この2人には彼がいたのだ。動き出しが抜群で、忠実に守備も行い、前線でしっかりとキープしてくれる彼、柳沢敦が。
今、岡田氏の下に全盛期の柳沢がいれば、ほとんどの問題は解決したのではなかろうか。柳沢の引き出しとキープを活かし、中盤の名手達が変幻自在の攻撃を行い、山瀬と俊輔と2トップと(出場さえしていれば)大久保が次々と得点を決めていたのではないかと。
そうこう考えると、柳沢とは全くプレイスタイルは異なるが、巻に期待したくなる自分がいるのだが。
2008年06月20日
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Weblog: りゅうちゃんミストラル
Tracked: 2008-06-24 19:05









是非とも前田遼一にご期待ください。
少なくともまだ代表での前田は
本領を発揮しきってはいません。
速度がね、やっぱり。怪我とかも辛そうだし。
それよりも「意地っ張りの岡ちゃん」が10年前の恩讐を越えられるか、
の方じゃなかろうかとなんとなく思いますが。
小野だったのか柳沢だったのかとか。
あの人は単に「替え時」がわからんだけだと思いますが・・・。
ほかのFWが点取れてるわけではないので、もう一度カムバックしてほしくなる。
ところで水本の件もコラムお待ちしてます。
しかしJで対戦相手としてみていると本当に怖さが無くなりました。
DFが前を切っておけば、必ず近くの味方に落として次のスペースへ走っていくだけ。で、そのリズムが極めて単調なのです。
昔はシュートは決まらないし、1vs1での突破もないと分かっていてもその動きがいやらしくて怖かったんですがね。