ACLの1次ラウンドの日本のクラブの対戦相手は、3,4節に豪州と東南アジアの遠距離国クラブ、他の節は韓国、中国の近距離国クラブと、はっきり2分された。ここまでくると、あまり偶然とは思えず、何がしか日本勢が有利になる、あるいは不利になる作為があるのではないかと邪推もしたくなる。しかし、日程が揃ったところでのメリットあるいはデメリットがどうにも思いつかない。やはり偶然の賜物なのだろうか。
この2節は、他節の韓国、中国との対戦と比べ(1)移動距離が大きい(2)気候の相違、の2点からホームチームの優位が一層際立つ事が予想していた、しかし結果は全く異なるものとなるのだからやはりサッカーはおもしろい。
アントラーズはシンガポール国防軍との難しい試合に貴重な勝利。
試合間隔が短くなるとてきめんに強さを失うこのクラブにとって、この試合は非常に難しいものになる事が予想された。敵地への移動の疲労、中2日と言う試合間隔の短さ、赤道直下の蒸し暑さ、不慣れな人工芝。そして、シンガポール国防軍は決して弱くなかった。ここ最近Sリーグで圧倒的な強さを誇り、帰化選手を含め同国代表にも多数選手を輩出(しかも、シンガポール代表は昨年のワールドカップ予選で、レバノンに連勝、サウジやウズベクにそれなりに検討したのは記憶に新しい)、深澤、新井と言った日本選手を含めた外国人選手の補強(日本人の2人も他のクラブでの活躍が評価されて引き抜かれたと言う)も分厚い。
そのような環境下で、アントラーズは小笠原と野沢を中心に落ち着いて攻勢を取って勝利。先制しながらもすぐに追いつかれるイヤな展開だったが、内田の個人技で突き放し、大迫が追加点を決めた。内田がいよいよ本格的な代表選手に育ってきたのは大変めでたいし、大迫が何のかの言って実績を挙げているのも結構な事だ。
PKを曽ヶ端が止め、終了間際にはやや幸運な自殺点で止めを刺せた事もあり、内容以上と言える3点差の勝利を確保。この厄介な相手に敵地で3点差は大きい。しかも、直接対決で完敗した水原三星が上海申花に敗れ、自力での1位突破も復活した。
戦闘能力と勝負強さが抜群のこのクラブだが、過密日程に弱い悪癖を今後どうカバーしていくのか。
グランパスは4クラブで唯一勝ち点を落とした。
もっとも、ホームとは言え「よく引き分けた」と言いたくなるような非常に悪い内容だったので「負けなかっただけよし」と考えるべきかもしれない。
開始早々にミスがらみで速攻を許し失点、これで完全にバランスが狂う。吉村と玉田が不在も大きく、前半はほとんど攻撃の形を作れなかった。後半から起用された玉田がきれいなFKを決めてかろうじて同点としたが、あれが目一杯で、もう1点入る匂いは感じられなかった。若手FWの花井がほとんど機能せず、左サイドバックに起用された竹内も残念なできで、これなら第1節に抜擢された佐藤将也の方がいいように思えた。
このホームでの連続引き分けで、初戦の蔚山現代に対する敵地勝利の価値が小さくなってしまった。もっとも、この日の吉村不在、玉田半分、竹内と花井起用は、正にターンオーバそのもの。ピクシーは辛抱強く、初戦の貯金を巧く利用しながら、過酷な日程を乗り切る采配を狙っているようにも思えるが。
誰もが驚いたのが、フロンターレの敵地での圧勝。
どうやらセントラルコースト・マリナーズは、憲剛、ジュニーニョ、鄭大世などの中心選手の特長を全く調べていなかったようだ。随分と舐められたものだ。それにフロンターレのチーム状態のよさ(開幕1ヶ月で、ほぼベスト布陣が固まってきて、チームの調子が上がってきている事)が加わっての大差と言う事なのだろう。けれども、長旅でしかもJリーグと中3日のフロンターレに、あそこまで劣勢になるのだから、ひどいチームだ。いったい、どうやって浦項と引き分けたのだろうか。加えてあきれたのは、終盤の中国代表を思わせるラフプレイの連発。放置する審判もひどかったが(こういうひどい判定を見ていると、意気軒昂に赤だ黄色だと振り回す日本の審判も悪くないなと思えてくる)、トップレベルで国際試合を戦っていると言う矜持を持たない選手を見るのは本当に不愉快だ。
少なくともこの日のマリナーズは、過去ACLに登場した豪州クラブでは、最低のクラブと言っても過言ではないだろう。熱狂的に応援するフロンターレサポータの方々が再三画面に映ったが、大枚をはたいて敵地を旅し、あんな歯ごたえのない質の低いチームとの対戦を見せられてさぞ不愉快な事だったろうな(と羨望を婉曲に語ったりして)。
ともあれ、フロンターレにとって、この敵地での完勝は大きい。ほぼ完全に浦項とのマッチレースとなったこのリーグ戦残りを関塚氏と憲剛は、いかに戦っていくのだろうか。
そして、ガンバは順当に大差の勝利。
序盤こそスリウィジャヤの粘り強い守備網とGKのファイプレイで中々得点できなかった。しかし、前半40分に見事に先制。左右に細かなパスをつなぎ、ペナルティエリアやや外の中央で、前を向いた佐々木が敵DFの意表をついた浮き球でのラストパス。タイミングよく抜け出したレアンドロが強烈に決めたもの。この佐々木のラストパスは正に芸術的、突破とクロスが武器の佐々木が、中央からこのような変化あるプレイを見せるようになったとは。これでガンバの選手層はまた一段と厚くなった(あのパスを見た時に「あれっ、二川が出ていたっけ」と思ったのは私だけでしょうか)。
直後にルーカスの巧みなサイド攻撃から再びレアンドロが決めて突き放す。そして、後半立ち上がりにFWを増やし猛攻をしかけて、一層の大差をつけて勝負を決めてしまうあたり、西野采配にせよ、それに呼応する選手達にせよ、大したものだ。
何人かの選手の使い方について。再三鋭いロングシュートを狙っていた下平、この選手は常に攻撃時に狙いを持ったパスを出そうとする姿勢がすばらしい。この日はとうとう安田をベンチに追いやってしまった。もっとも、安田は後半下平の前に起用され得点を決めるなど活躍、この2人を縦に並べる策も非常に面白い。レアンドロを1枚下げて使える事が判明したのも重要。上記の佐々木の成長と合わせ、ルーカスを(あるいは遠藤を)休ませる方策(選択肢と言うべきか)が増えてきたと言う事だろう。
スリウィジャヤも中々いいチームだった。散発的だが速攻で反撃。先制直前に山口が完全に裏を取られたものの、松代が超ファインプレイで防いだ場面に先行されていれば、かなり厄介な試合になっていた事だろう。また感心したのは、大差がついても気持ちが折れず、粘り強く守り、時に速攻を狙い、自棄になったファウルもなかった事だ。マリナーズとは偉い違いで、戦闘能力差から大差がついたが、気持ちよいチームだった。
次節は敵地の試合は相当厳しい試合になるだろう。高温多湿の気候に加え、バレンパンへの移動(乗り換えが必要だろうから相当厳しい移動になる)による消耗。西野氏が幾多の名手達を用いていかに悪環境に立ち向かうかを愉しみにしたい。
2009年04月09日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック








