不遜な妄想。
ACL1次ラウンド第3節、アントラーズはシンガポール国防軍、ガンバはスリウィジャヤと対戦。それぞれ日本のトップクラブが東南アジアのクラブと手合わせした。
スリウィジャヤにしてもシンガポール国防軍にしても非常によいチームだと思う。また昨年ガンバを苦しめたチョンブリ、一昨年レッズを悩ませたペルシク・ケディリなどの記憶も新しい。いずれも、組織的に人数をかけて守り、スピードを活かした鋭いカウンタアタックを見せた。精神的な粘り強さを含め、中々見ていても愉しいサッカーを演じてくれる(もっとも昨期、一昨期に登場したここに挙げた他のクラブは、精神的にももろくあまりよいチームではなかったが)。
しかし、これら4チームのいずれも、日本や韓国のトップチームを破り、上位に進出する可能性は非常に少ないだろう。しっかりとチームでボールを保持するための基本戦術と技術(どこに動くか、どちらに向くかと言う判断力、「止める蹴る」のボール扱いなど)が明らかに甘い。
それでも最終ラインが分厚く守り、俊足選手を軸に巧妙なカウンタアタックを見せ、再三日本の強豪クラブを悩ませた。けれども、そう言った鋭いカウンタを見せても、多くの場面では最後のところで日本のセンタバックの強さと読みのよさを破りきれない。また守備面においても、引いて守り切るには各選手の強さが足りない。
代表チームに目を転じても状況は同じだ。一昨年のアジアカップ、4国分散開催した東南アジア各国(タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア)だが、結局準々決勝に進めたのはベトナム一国。ワールドカップ予選にしても、今回の最終予選10国、前回の最終予選8国、いずれにも東南アジア勢は残れなかった。日本や韓国などのアジアトップのみならず、中東の2番手国(たとえばバーレーンやUAE)に対しても、タフなタイトルマッチで勝ち切る事が難しいのが現状だ。
たとえば1970年代あたりまでは東南アジアの存在感はもっと高かった。ビルマ(現ミャンマー)は当時アジア屈指の強国。また日本のみならず韓国も中々マレーシアに勝てなかった。けれども、80年代に入り中東諸国が台頭、さらに90年代に日本がアジア最高峰に加わるあたりから、全くと言ってよいほど東南アジア勢はアジアのトップに加われなくなってきた。唯一の例外は90年代半ばにアジアチャンピオンズカップを2連覇したタイのファーマーズバンクくらいか。
過去も幾度も語ってきたように、いつか我々がワールドカップで優勝しようとするためには、アジア周辺国が相応に強い事は必要条件の1つだと考えている。そう言う観点からすると、東南アジアのチームがもう少し強くあって欲しいところなのだが。
鍵は2つあると思う。
1つは試合経験。ACLにせよ、ワールドカップ予選にせよ、アジアカップにせよ、日本を初めとしたアジアのトップ国との真剣勝負の機会がどの程度あるか。シンガポール国防軍の深澤と新井が語っているが、経験とは直接戦う選手達のみならず、サポータを含めた関係者全てのものなのだ。ただし、現状のシードシステム下においては、このような経験を積む機会は中々訪れない。また、現状の東南アジア選手の実力では、JリーグやKリーグに「買われる」のも簡単ではなさそう。
2つ目は攻撃の変化。スピードを活かしたカウンタは確かに効果的。しかし、直前にもうワンテンポ落としたり、ラストパスでもう少し溜めを作ったり、もう少し「緩」があれば「急」がより活きてくるはず。ところが東南アジア選手の「緩」は往々にして、ボールをこねる事で完全に「急」の効果をなくしてしまう事が多い。このあたりの問題を解決した戦術眼を持つ選手が登場しないものだろうか。
などと考えると、我々が欧州南米の強豪といかに伍するかの話と何か似ているように思えたりして。
2009年04月10日
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