J1第9節。日本代表に直結しそうな攻撃タレント達の活躍があちらこちらで見られた。たとえば、山瀬と前田遼一それぞれの個人技による得点。負傷さえなければ、代表の中核を担ってもおかしくない2人の復調は大変めでたい事だ
しかし、やはり本節の最大の話題は、この2人と同じアテネ五輪世代の石川直宏のハットトリックだろう。アルディージャ守備ラインの裏を付き冷静に決めた2得点。鮮やかなドライブシュートの3点目。瞬間的なスピード、正確な技術、そして何よりも的確な判断。誰しも、この試合のプレイ振りを見て代表復帰の可能性を考えたのではないか(ここ最近の試合でも相当好調だったようだが)。
石川は若い頃から瞬間的な加速の速さが高く評価されていた。細かなタッチのドリブルから突然の加速で敵を抜き去る能力は国際試合でも十分に通用していた。が、この能力が目立ち過ぎるのがこの選手にとっての悲劇だったのではないかと思うのだ。石川自身も周囲もこの選手をサイドプレイヤと決め付けてしまうと言う意味で。
しかし、石川の武器はその瞬発力だけではなかった。石川は縦に出るぞと敵DFを脅しておいて、ちょっと溜めて正確でタイミングよいスルーパスを出す事もできる。サイドチェンジのような長いボールを蹴る事もできる。技巧も判断力も中々のものがあったのだ。さらに、同世代に「遅い技巧派」の松井、「前に出て点を取る技巧派」の山瀬がいた事もあり、「速い技巧派」の石川がサイドに固定される傾向があった。しかし、石川は万能型の攻撃的MFと捉えるべきだったように思うのだが。
実際アテネ五輪代表で、山本昌邦氏は石川を3−5−2のサイドに使う事に拘泥した。加えて氏は「石川の守備を不安視」したのか、再三石川を控えにして徳永や駒野を先発起用した。おそらく、氏は石川を試合終盤の攻撃の切り札として使おうとしたのだろう。しかし、アテネ本大会のパラグアイ戦でもイタリア戦でも、石川を起用する前に、守備が破綻しその補正で交代を使い切ってしまったのだが。かくして石川は、この五輪代表チームで攻撃の中核と期待されながら、思った活躍ができなかった。
アテネでの不完全燃焼後、FC東京でも石川は伸び悩んだ。以前も述べた事があるが、FC東京と言うクラブは、若年層代表に選ばれたようなエリート選手が伸び悩み、無名のタレントは成長すると言う不思議な傾向がある。石川も、この伝統?に巻き込まれたのか、ここ最近確固とした活躍ができないでいた。
しかし、このアルディージャ戦 石川は完全に復活した。いや、あのハットトリックは「復活」と言うよりは「確立」というべきなのかもしれない。もうすぐ28歳になる石川だが、若い頃のスピードは衰えていない。パスの精度と、そしてもっと重要な判断力は経験を積み、より磨かれた。アテネの時と同様に(よりハイレベルで)山瀬と松井と定位置争いをしてくれるのではなかろうか。
本節、もう1人どうしても語りたいのが坂田大輔。これまたアテネ五輪世代のストライカだ。
フロンターレ戦の一撃は、代表DF寺田(強さ、高さだけでなく速さも相当のレベルの守備者なのだが)と競り合い、速さと身体の入れ方で裏を付き切り、飛び出してきたGK川島をも抜き去り、バランスを崩しながらも右足でボールを強く叩き、ゴールに押し込んだもの。坂田はユース代表時代から、長い距離を走った後に(単純な速さも相当なのに加え)バックスイングが大きなきれいなインステップキックで強いシュートが打てるのが魅力だった。この日の得点はこの能力が見事に発揮されたもの。往々にして日本のトップクラスのFWは長躯、突破したところでエネルギーが尽きてしまい、最後のシュートが決まらない事がある。坂田のこの得点は、バランスを崩しながらもしっかりと最後までボールを捉えてゴールに押し込んだところがすごかった。
坂田自身は、ここ数年マリノスの攻撃の軸としてそこそこの活躍は継続していた。しかし、最近のマリノスは監督が頻繁に交代する事もあって、攻撃のやり方が定まらず、もう1つはっきりした活躍ができないでいた。さらに今期は新人の渡辺千真が台頭し、出場時間が減り存在感は薄くなった感もあった。実際、この坂田の得点前に、渡辺も寺田を振りちぎりかけた場面があったし(寺田がファウルで止めた)。
そのような状況だからこそ、この坂田の得点は意味があったと思う。
岡崎なり渡辺千真なり長谷川悠なり大迫なりの若い点取り屋が機能するのは大変結構な事だ。しかし、中堅どころの能力の高い選手が、再びその能力を輝かせて得点を重ねてくれるのも、また大変結構な事ではないか。
2009年05月04日
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Tracked: 2009-06-14 21:53









私も彼が代表で活躍することを、ずっと期待していました。
どのゲームだったかは覚えていませんが、石川がゴール前でロングボールを見事にワントラップで止めて、ゴールに流し込んだプレーを思い出しました。
坂田も良いですね。武藤さんのように技術的なことは分かりませんが、あの気の強さはまさにFW向きと言えるんじゃないでしょうか。
運よくスタジアム観戦していたところに久々のビューティフルゴールで、小躍りしました。
あのキレが長続き…といかないところが、今の坂田(というか横浜FMというチーム自体?)の限界か…。坂田には、スピードに決定力も加えて、スピードスターからスピードキングに化けてくれることを願っています。
そういえば、石川もたしか元は横浜FM出身でしたね。
坂田、石川あたりには、もっともっとがんばってもらうと、日本代表もさらに活気づくように感じます。