2010年05月19日

ワールドカップサポートメンバ

 ワールドカップサポートメンバとして、香川真二の他にアルビレックスの酒井高徳、流経大の山村和也、福岡大の永井謙佑が選考されたと言う。
 今日は、サポートメンバそのものの是非と、その人選について講釈を垂れたい。

 そもそもサポートメンバとは何なのか。少なくとも、日本協会が代表チームにサポートメンバを帯同するのは今回が事実上初めて。12年前に23人から外れた市川大祐がそのままチームに帯同したののとは本質的に異なると考えるべきだろう(この事例は、23人超のメンバから落とされた市川が帯同した状態だったから)。
 今回のサポートメンバの目的は大きく分けて2点だろう。1つは、純粋にトレーニングを円滑に運ぶために、能力的に遜色ない選手を帯同させると言う意味だろう。これは案外と重要。23人(2チーム+GK1人)では、チームとしてトレーニングするには、やや足りない。負傷者など特別メニューを組む必要が出てきたり、試合直後に疲労度が全く異なるメンバを組み合わせる際など、もう数人選手が欲しいと言うのは、よくわかる。さらに言えば、23人でフル回転できる時は、そのサポートメンバを「従」的扱いをする事も可能となる。
 今1つは、若手選手の経験。だいたいワールドカップの準備および試合と言うのは、ある意味で究極の状況と言える。フィジカルエリートが1ヶ月以上、異国の同じ屋根の下で鍛練を重ね、異様な国民の期待を背負い、動揺に母国の名誉を背負った敵と戦う準備を続ける。そして、難敵との死闘がヒタヒタと継続する。私が知る限り、あそこまでリフレッシュも難しい状況で継続する競技はそうはないと思う。そのような異様な環境に帯同するのは、有為な若者にとっては得難い経験となるだろう。
 カズがサポートメンバ入りを希望しているとの報道があった。これはこれで、すばらしいお話だが、やはりあり得ない選択肢だろう。カズにサポートされてしまったら、岡崎が落ち着いて練習に集中できなくなってしまう。エースストライカがサポートメンバに気を遣う訳にはいかないのだ。

 しかし、だ。問題も多い。
 たとえば、サポートメンバにどのような鍛練を課すのだろうか。おそらく、合宿開始後代表チームは相当過酷なフィジカルトレーニングを積むはずだ。と言うより、今期のスタートから相当計画的な準備がされていたのだろう。そして、その目的は6月の3試合+αの成功のためだけになる。各選手の所属クラブとしては本意ではないかもしれないが、いずれの選手も「まずは6月」しか考えていないだろう。さらには、今回の鍛練はいわゆる「高地トレーニング」の要素があり、相当過酷なものが予想される。サポートメンバは、それらの鍛練を一緒に行わなければならない。
 サポートメンバのモチベーションの問題もある。上記したように1ヶ月以上の厳しい鍛練を、「目先の目的」のために集中し切っている仲間の横で、「目先の目的」一切抜きで「将来の目的」のために行う事は相当厳しいはずだ。
 そして、香川真二。正に「後一歩」で23人には入れなかった逸材。23人の中には北京五輪でのチームメートも多いし、何より今期のJでは再三見事なプレイを見せ、ついにはドイツの名門への移籍も決めている。実際、岡田氏もこの若者には相当な期待をかけ、幾度も幾度もチャンスを与えていた。予選の埼玉ウズベク戦では、憲剛を外してまでも香川を起用し、若さを露呈した香川が有効なプレイをあまり見せられずホームで勝ち点を落とす事になる直接的な要因となったのも記憶に新しい(そして以降も、香川は代表で未だ切れ味のあるプレイを見せてくれていない)。その香川が、このモチベーションを保ちづらい難しい状況で、長期の合宿に望むのは、精神的にも相当厳しいのではないだろうか。もしかしたら、「23人」で香川の直接のライバルとなった誰かの体調がよほど悪く、早々に「交代劇」があり得るので香川を呼んだのではないかと、邪推したくなるくらいだ。
 永井と山村は、言わば3.5部リーグにあたる大学チーム所属であり、本人達が望むならばよい経験になるだろう。酒井は今期登場した新星、1度映像で見た事しかないので、評価はしづらいが、本人とチームが望むのならば結構な事だろう(私は、近い将来日本代表の守備の中核と成長する事を期待しているベルマーレの村松がサポートメンバになるのではないかと望んでいた、本人もそれを希望していると言う報道もあったのだが)。しかし、繰り返すが香川はいかがなのだろうか。

 まあ、いいだろう。
 決定はなされたのだ。この策の正否は、2つの結果から判断される事になる。1つは言うまでもなく、南アフリカでの好成績。そして、もう1つは、この4選手のこれからの成長。2014年のメンバ入り云々よりも、4年後に今よりも格段に「格」の高い選手に成長してくれる事。それら両方が成功した時に、今回の策は成功だったと評価される事となるだろう。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(11) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
DFのサポートメンバーは紅白戦を考えてセンターよりサイドの選手を優先したのかなーと思いました。
Posted by ワン at 2010年05月20日 03:01
海外移籍前ですし、本人にとってどちらが良かったのか…それはさておき、浦和サポの私としては年に2回(リーグ戦)の対戦での講釈を、ベカルタの昇格が決まった時からとても楽しみにしていたので「えっ?!浦和戦スルー??(涙)」で残念です。初の仙台は色々と(笑)楽しかったです。
Posted by irmr at 2010年05月20日 03:26
ベカルタ→ベガルタですね。クラブ名を間違えるとは失礼致しました。
Posted by irmr at 2010年05月20日 03:32
W杯の参戦は決まりましたか?我等の英雄が「黄金ユニ着て来て」と言ってます。行けない我々の分まで(恥)武藤さんに梁のサポートをお願いしたい!!
Posted by at 2010年05月20日 09:25
×真二 ○真司
Posted by さくらい at 2010年05月20日 11:08
たぶん98年のときにはカズとキーちゃんも残すつもりだったはずです。でも二人が拒否したため実現しなかった。
Posted by むろい at 2010年05月20日 12:20
>12年前に23人から外れた市川大祐が

 あの、12年前は22人ですよ。
Posted by 水谷秋夫 at 2010年05月20日 19:20
稲本と玉田はかなり怪しい状態で代表に行ってます、試合にも出てません。
酒井は本人がネットで見て招集を知るというお粗末さ。
協会は何考えてんだか。
Posted by     at 2010年05月20日 21:00
セルジオ越後さんは酷評してます
http://news.livedoor.com/article/detail/4782266/

バックアップメンバーに入っているからなんとか香川はやっていけるのではないですかね。
あとの選手は本人が希望してればいいですけど。

今後につながるか実験的なものなんでしょうね。
Posted by at 2010年05月21日 15:31
あの98年以来アンチ岡田の私が思うのは、カズさん本人が希望するサポートメンバー入りが岡田ジャパンの人気回復の為の最後のチャンスだったのでは?少なくとも、私の周りのトリニータサポーターは今回の西川落選もあり岡田ジャパンを応援するくらいならキムボギョンが入れるなら韓国代表を応援しようとか、中津江との縁でカメルーンを応援しようって雰囲気です。普段スタジアムでJリーグを観戦するレベルのサッカー好きからこれほど見放された日本代表はJリーグ開幕以来無かったはず…結局、ギリギリの戦いではチームの力はもちろんですが、そのチームを支えるサポーター、ワールドカップにおいては出場国の国民がいかに勝利を願うかが重要なファクターになると思うのですが…だからこそ、開催国は有利なんですよね。ですから、岡田ジャパンの戦術が現役イタリア人監督の分析で世界で通用しないからダメだうんぬんではなく、岡田氏のキャラクター故に余りに国民からの支持がない。故に惨敗必至というのが現実ではないですか?
Posted by たいすけ at 2010年05月21日 20:49
>岡田氏のキャラクター故に

性格もそうですが、この人物の場合それ以前に戦略戦術に難があると解します。


Posted by 心ある監督批判者、だぞ。 at 2010年05月22日 23:03
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。