ベガルタ1−1レッズ。実はこの週末は仙台に帰省していたのだが、諸事情あってこの試合キックオフ時には、仙台から北方200kmの盛岡近郊の鶯宿温泉に滞在していた。情けない限りである(って、単に親戚と飲んだくれていたのだが)。と言う事で、飲みながら携帯で試合の速報を眺め、一喜一憂していた次第。ホームとは言えこの難敵との引き分け、結果だけを見ると「やれやれ」としか言いようがないのだが。
で、ようやく映像を見終えた。結果は悪くなかったし、内容面では問題も多かったが相手も強かったし、評価の難しい試合だった。
序盤こそ互角の展開だったが、15分過ぎからレッズが完全に攻勢を取る。
ベガルタはせっかくボールを奪っても、すぐに奪い返されまた攻め込まれる事の繰り返し。すばらしかったのは細貝。見事な読みと運動量で、ルーズボールを拾いまくる。部下が機能すれば阿部は楽になる。細貝が拾ったルーズボールを冷静に展開。さらに困った事に、技巧に優れたポンテと柏木もよく走り(ポンテとフィンケ氏がどのように良好な関係を築いているのか非常に興味深い)、細貝と阿部の展開を受けてボールを散らす。そしてエジミウソンはよくボールを収め、田中達也は再三ドリブルで切り崩してくる。中盤がよくボールを奪うから、両サイドバックの平川も宇賀神もよく前に出てくる。特に宇賀神の突破は脅威だし、平川のバランス感覚のよい位置取りも絶妙。そりゃ、あそこまで細貝と阿部を軸に連携よく前に出てこられてはどうしようもない。
解説の鈴木武一氏が「レッズの応援がすばらしいので、ベガルタの選手が常軌を失している、落ち着かなければ」と再三繰り返すが、そうじゃないだろう。レッズの応援は見事だったのかもしれないが、押し込まれたのはそのためではない。単に能力差、特に細貝の縦横無尽の活躍で、ベガルタはレッズのプレスを抜け出せないだけだった(これを「だけ」と言ってよいかはさておき)。ここまで相手の攻撃がよければ、最終ラインで粘るか、何とか前線で起点を作り鮮やかな攻撃を仕返すかくらいしか対応策はない。
そしてベガルタ最終ラインがよく粘り失点を防ぎ続ける。このあたりは前々節のFC東京戦から顕著になった全軍の粘り強さの賜物か。しかし、結局CKから失点。この失点も結構難解だった。林とエリゼウ?が中途半端に交錯し、平瀬がせっかくカバーしながら1度ボールに触った後棒立ちになって、結局エジミウソンの押し込みを防ぎそびれたもの。もったいない感もあるが、あれだけ押し込まれてしまっては、いつか失点しても仕方がないと見るべきか。
失点後も複数回危ない場面があったが、逆にレッズにも攻め疲れも見え、ベガルタが速攻できるようになる。そして、平瀬の惜しいヘッドなどでやや落ち着き始めた35分、梁が実に見事な直接FKを決めて同点に。このFKは、かなり距離もあったのだが、強さもコースも完璧だった。従来の梁のFKの特長は、むしろもう少し短い距離から振りの小さな(GKから読みづらい)キックが正確に飛ぶところにあった。しかし、この一撃は(普段同様振りは小さかったが)強いインパクトで比較的長い距離はあったものの、ドライブをかけて決めたもの。壁もGK山岸も、全くノーチャンスだった。この難しい時間帯に、この難しいFKを決めた事は、北朝鮮代表首脳陣に対するインパクトも大きかろう。もちろん、ベガルタサポータからすれば、難易度が高かろうが、ワールドカップ出場に近づこうが、何より「苦しい試合の同点」と言う結果が嬉しい。
後半立ち上がりから、レッズは達也に代えてエスクデロを起用。不可解な交代だ。ワールドカップメンバ選考に向けて達也は相当無理をしていたのかもしれない。そして、達也のワールドカップへの思いに対して、男気に感じてフィンケ氏は前節までは、達也に無理をさせていたのだろうか。それらを吟味しての交代劇と言うならば納得できようと言うものだが。もっとも、エスクデロは再三強引な突破でベガルタ守備網を苦しめる。ただし、達也のようなインテリジェンスには欠けるため、少々攻撃は単調になってくれた。
ただ前半と違うのは、相変わらず細貝は猛威を振るうものの、ベガルタも千葉と鎌田を軸に早め早めに左右に散し、「押し込まれる一方」にはならなかった事。ために、結構有効な逆襲の頻度も多かった。50分、梁のシュートがポストを叩いたのは、その典型例だろう。決まってくれれば、もう最高だったのだが。以降もほぼ同じ展開。20分過ぎにフェルナンジーニョが入り、逆襲頻度が高まった。かくして、レッズの「攻撃的サッカー」にベガルタが「湧き出る速攻」で対応した後半、中々の見物だったとは思う。結果は引き分け、ホームとは言え、戦闘能力差と内容を考えればよい結果と言えるのだろう。
レッズにはなるほど見事なサッカーを披露されてしまった。ただ、このチームには現時点で決定的な点取屋がいないのが悩みか。エジミウソンは万能型のFWだが、ある程度自由に動いて、達也やポンテとスペースを作り合うところに妙味がある。高原はもう復調しないのだろうか。
ベガルタ。あそこまで攻め込まれては、かなりの確率で負けてしまう。ワールドカップ休戦の間に、相当な上積みがないかぎり、今後の戦いは相当苦しいものになるはずだ。永井、千葉、平瀬と言うベテランに頼っていてはJ1を戦い抜くのは難しい。序盤の貯金を使い果たしつつある訳だが、早々に壁に当たり「対策、と言うより改革の必要性」が明示されたと前向きに捉えたい。問題山積ではあるが、それなりには強豪クラブに対抗できているのは確かなのだから。
2010年05月20日
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