ちばぎんカップや仙台カップと並び、全世界注目のカップ戦と言われるに至ったスルガ銀行カップ(嘘付け)。2年前に拡大トヨタカップ決勝で、ユナイテッドをあと一歩まで追い込んだリガ・デ・キトが再来日、昨秋ナビスコカップを制したFC東京と対戦した。
恥ずかしながら、私がこの試合の存在を知ったのは、日本協会からのメール。何とこの試合は「JFA登録審判員対象・国際試合観戦研修」にあたっているとの事で、公式審判員は(同行者1名を含め)無料観戦可能との事。南米とJのトップクラブの準公式タイトルマッチを、タダで観戦できるとあらば、行かずばなるまいと日程調整をした次第。そして、南米の強豪とJのトップクラブの対決を、それぞれの国のサッカースタイルの相違を愉しみながら、東京サポータの美女達と堪能させていただいた。東京サポータが「ギンギラギンにさりなげなく」の節で「スルガをとって世界一」と言う、いかにも植田朝日が考えそうな歌を熱唱。おおそうか、これは「世界一」を争う戦いなのだと。
東京にとっては厳しい日程。記録的猛暑の今年、ワールドカップ中断からの再開後3週間で4試合を戦う日程を終えての、中3日で迎える水曜日の公式戦。先週末、城福監督が、アルビレックスに敗れた試合後に「当方は中2日なのに、先方は中3日は不公平だ」と文句を言った事が話題となった(もっとも、「直前の試合からの移動を考えると、必ずしも東京が不利とは言い切れないのではないか」と、揶揄する向きも多かったようだが)。そして、この試合後にはまた中3日で、Jの次節でグランパスと戦わなければならない。ホンネでは回避したいくらいの試合だろうが、優勝賞金3000万円と言う賞金を考えると、そうも言っていられない(あ、いや準公式国際試合のタイトルと言う名誉も重要です)。さらに先方は地球の裏から来日し、おそらくほとんどの選手がこの異様な多湿高温には不慣れだと思われる。これで「当方が不利だ」と主張するのも勇気が必要だろう。交代が6名まで可能と言う少々不可解な規定を活かしつつ、いかにタイトルを獲得するか、城福氏の手腕が問われる試合とも言えた。
スタメンで東京は選手層の厚さを見せつける、梶山、羽生、大黒などの中心選手をベンチに残してスタート。それでも、最近のJにあまり出場していない平山や石川直宏が先発なのだから、豪華なものだ。
序盤から東京ペース。リカルジーニョの持ち出しを平山がうまく受け左サイド(以降、左右は全て東京から見て)に展開、中村北斗の突破からのセンタリングに森重が飛び込む。逆襲から平山が絶妙な持ち出し、右に展開し石川直宏が中に切れ込んで強シュートを放つもGKがファインプレイで防ぐ。シュートまで持ち込まない点に不満は残るが抜群の受けのうまさを見せる平山と、昨年の超絶好調時にはまだ戻っていないが瞬間的なスピードで突破を見せる石川が、キトの守備陣を悩ませる。そして、すっかり中盤の将軍となった森重が全軍を指揮する(ボランチ森重を見るのは、先日のベルマーレ戦に続いて2度目だが、正確な球出しとCB出身とは思えない上下動がすばらしい、米本が復帰すれば過去の日本のチームには見られなかった大きな動きをする中盤が実現するのではないだろうか、いや今野を前に戻してのトレスはどうだろう、いずれにせよ若き逸材の早期の復活を切に祈るものである)。
ところが30分過ぎ、初めてのキトの有効な攻撃、ボランチのデラクルスの鋭いクサビを受けた右FWのボラーニョスが巧く受けてつなぎ、最後はCFのバルコスが完全に前を向いてボールを受けるのに成功。一気に加速したバルコスは金英權を簡単に置いてきぼりにして、さらに今野も見事に抜き去り、ペナルティエリア外側からの強く低いシュートで権田を破った。キトからすれば、初シュート。有効な攻め込みとしても初めてだったのではないか。
キトのやり方は3−4−3、4人のMFは2ボランチと2サイドMF。トップはエースのバルコスを真ん中にしてかなり中央に絞っている。この失点場面は、中央に絞ってくる右FWのボラーニョスを、うまく椋原が捕まえられなかったところから始まった(前半、北斗と椋原は再三左右を変えていたが、攻撃を考えての策だったんかもしれないが、この失点場面を含め守備を考えると疑問が残るやり方だった)。この失点直後、再びバルコスがフリーでボールを受け、今度は右に展開されザルゲイロに強シュートを打たれるも権田が好補でやれやれ。
しかし東京も負けてはいない。左サイドのショートコーナ崩れから、田辺がペナルティエリアやや外から鋭いドライブのかかったシュート、GKがこぼすところを平山が冷静に詰めて押し込んだ。この場面、平山がクロスを要求する動きだったのだが、田辺はシュートを選択、しかし平山はその動きの流れから、よく切り替えてそのままGKに向かったのもの。課題は無数に残っているが、このような平山の「ストライカ的挙動」を見るのは、得点を決めてくれた事と合わせて、嬉しい事だ。
生田辺は初見。ボール扱いもよく落ち着いてさばけるよい選手だ。ただ、2度ほど自陣で完全なミスパスをするなど、課題も多い。そんな中でこのタイトルマッチで得点に絡むなど結果を出すのだから、評価の難しい選手だ。う〜ん、そこまで先輩梶山に似る必要はないと思うのだが...
余談。田辺の名前は「そうたん」と言うとの事。つまりこの同点弾は「そうたんそうた」によるものだった訳だ。東京の川向こうのライバルチームだったら、絶対このネタで何かをするだろうな。いや、それだけ。
後半、東京は森重と大竹に代えて、梶山、羽生を投入。以降も早め早めに交代を仕掛けたのは、疲労を避けるローテーション起用を意識したからだろう。
相互の守備陣が相手の特長をよく押さえた事で試合は膠着状態に入る。両軍とも、前線から質のよいプレスをかけ組織守備を狙い、隙を見て速攻をしかけると言う意味では共通なのだが、明らかに違いがあった。
キトはプレスをかけ中盤で東京の選手の動きを限定し、最終ライン近くで圧倒的な数的優位でボールを奪取するのを狙う。状態が悪い時は回して様子を見るが、東京の守備の隙があると見るや、ボランチのデラクルスが低くて強いボールを前線に当てる事で、バルコスを軸にした少人数の速攻を狙う。
一方東京はプレスをかけて中盤でのボール奪取を目指す。そして、ボールを奪うや、いずれの選手も、すばやく平山にボールを預けるなり、サイドに展開するなりして、攻撃をスタート。ラインを素早く上げて、前線に人数が揃えて崩すことを狙う。
このあたりの相違が、国際試合の愉しみと言えよう。
ところが東京は大変残念な勝ち越し点を許してしまう。キトの左サイドからのFK、ゴール前にクロスが上がりキトFW陣が飛び込んで来た時に、椋原?が敵を押してしまいPKを提供してしまった。バックスタンドの私の位置からも、東京の選手が手を伸ばしキトの選手が転倒したように見えたので、PK判定はやむ無しだったと思う。若さが出たと言う事だろうか。
以降、東京は攻めあぐむ。キトのCBグアグアの読みが抜群だった事、森重、石川のように長駆する選手がいなくなった事、交代で起用された若いサイドMFの徐庸徳、重松が、分厚く守るキトの守備にやや単調に仕掛けてしまった事などが要因だった。そして時計は着々と進み、ロスタイムに。直前から割り切ってパワープレイに転じていた東京、後方からのロングボールを平山が見事な位置取りでヘッドを取り後方に流すと、見事な走り出しで抜け出した大黒が右外に開きながら、左足アウトサイドで鮮やかに流し込み同点弾を決めた。理論的には日本最高級の実力を持つのではないかと思わせるこの2トップで、この難しい時間帯に同点に追いついたのは、今後の東京にとって非常に大きい事になるのではないか。
そしてPK戦では権田が1本目を好セーブ、助走を取り過ぎた重松の失敗はあったものの、敵4人目が失敗。東京が苦しい試合を制し、「世界一」を獲得する事に成功した。
期待通り、キトはとてもよいチームだった。グアグア、デラクルス、バルコスらは非常に能力の高い選手だったし、上記した分厚い守備、少人数で仕掛ける速攻は見事。国際試合のおもしろさを、たっぷりと愉しむ事ができた。それにしても、この多湿高温は、相当厳しい環境だったに違いない。これで敵地戦も実現できれば、今度は高地戦となり、見せ物としては最高なのだが、日程を考えれば、そりゃ無理な注文と言うものだな。
かくして東京は賞金3000万円を獲得。これで、良いかんと(以下自粛)。冗談はさておき、改めて東京が質量共に格段にすぐれた選手を保有する事を再確認できた。最近、平山と石川が先発はおろか交代出場の機会も少ない事そのものが驚きだが、大竹、田辺、椋原など前途有為な若手も豊富。これで、長友移籍直後、米本が負傷離脱中と言うのだから恐れ入る。昨期のナビスコ戴冠も見事だったが、リーグでも相当な成績を収める事が期待できる陣容と言っても過言ではないだろう。この「世界一」が、そのきっかけとなるとおもしろいのだが。
2010年08月05日
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武藤さん、ここも詳しく。
武藤さんは、城福監督の手腕についてどのようにみていらっしゃるのか…よろしければお聞かせ願えませんか?
ノーゴーラーに加え、PK蹴りたくない奴は手を挙げろの問いに真っ先に手を挙げる高卒ルーキーよりしょぼいメンタルw
もう中堅で先も短い選手だが、犬飼さんの言う通りJ2に行くべき選手だよ