2010年09月16日

香川真司の覚醒

 パラグアイ戦で美しい得点を決めた香川真司が、ボルシア・ドルトムントでも、実に見事な得点を決めてくれた。いずれの得点も、FWの動きにより作られたスペースに高速で走り込みながら、後方(ドルトムントの時は斜め後方と言うべきか)からの球足の速いパスを受け、得意の右足で強いボールを蹴る事ができる右斜め前方に完璧なトラップに成功、鋭いシュートでGKを破る事に成功したもの。ここまで絶妙なトラップを、僅か1週間サイクルで見る事ができるとなると、「いよいよこの若者は化けたのか」と期待は高まってくるではないか(この2つのトラップは、サッカー少年への完璧な見本だ、2つの映像を見せて、「トラップとはこのようにするのだ」と伝えるだけで、その子の技術レベルは高まるように思う)。

 香川は技巧と瞬間の前進速度にすぐれ、しかも体幹も強い福田正博、中田英寿あたりの系譜を次ぐタレントとして期待されていた。そして、香川の覚醒?については「案外遅かったな」と言う印象がある。不思議なことに、まだ21歳と言う若さなのに。それはおそらく、このタレントが約2年前からA代表に抜擢されながら、中々はっきりした活躍ができずにいたからだと思う。
 たとえば香川は、2008年の3次予選の敵地タイ戦(日本はこの試合で4次予選進出を決めた、つまりこの試合は本気で臨むべき試合だったのだ)、4次予選埼玉ウズベク戦で、スタメンに抜擢されている。岡田監督はこれらの試合で、中村憲剛をベンチに置いていたのだから、信じ難い采配である。しかも、ウズベク戦は機能しない香川を引っ張りすぎて引き分けに終わったのだから、試合終了後に岡田氏に厳しい評価が下っても仕方がないところだった。
 また翌2009年年明けに行われた熊本イエメン戦では、若手主体のメンバの中で、1人精神的に「抜けた」不甲斐ないとしか言いようのないプレイ。当時私は怒りのあまり「もう香川を呼ぶべきではない」とすら思ったのものだった。一方でセレッソでは順調に成長、共にJ1昇格を目指して戦う中、このように悔しさにまみれた事も、負傷で不在の隙に歓喜にふるえた事もあった。香川と戦いながらJ1昇格を目指した1年はとても愉しいものではあったが、当時から素朴な疑問として「これだけのタレントが、我々に付き合ってくれていいのだろうか、J1のいずれかのクラブに移籍すべきではないのか」と不思議に思ったものだった(冗談抜きに、この前途有為な若者の経歴にとって昨年1年間トップクラブでのプレイを選択しなかった事がマイナスにならない事を切に望む)。
 明けて2010年。代表では東アジア選手権でも思うような活躍ができなかった香川だが、J1に昇格したセレッソでは期待通り得点を重ね活躍。しかし、代表ではあれだけチャンスを与えられながら、活躍がかなわなかったためか、ワールドカップ最終メンバの選考からは漏れてしまった。ただし、驚きだったのは、サポートメンバに選考され、それを受諾した事。他のサポートメンバは、大学生とユース大会にも出場資格があるさらなる若手だっただけに、これはかなりの驚きだった。今なお岡田氏の明らかにならなかった狙いを勘ぐりたくなる自分がいる。

 そのような香川が「化けたのか?!」と期待させてくれるプレイをとうとう見せてくれた。ようやく上記したイエメン戦後の暴言を謝罪できそうな雰囲気になってきた。これは快感極まりない。完全に謝罪できる機会が訪れる事を大いに期待したい。
 香川の新たなホームスタジアムのヴェストファーレン・シュタディオン(おっと、もうズィグナル・イドゥナ・パルクと呼ばなければならないのか)は、4年前に何とも言えない屈辱を味わった場所だ(まあ、あの相手にああやって敗れて「屈辱」とのたまわれる自分を、ずいぶん出世したものだとも思うのだが)。でもあの競技場で、我らの若者がボコボコ得点をかさねてくれるならば、あの屈辱も一層美しい思い出となると言うものではないか。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
香川は確かに化けましたね!まさに大化け!
ドルトムントでの1点目のトラップも素晴らしいですが、トラップの難易度という点ではパラグアイ戦ですね。
後方からのパスを、前方に全力でダッシュしながらトラップ。
スローで見ると右足を開いて、右足アウトサイドで受けているのがわかります。恐ろしく高度な「お手本」ですが、子どもたちにもぜひ目指してほしいです。
昨日のシャルケ戦1ゴール目のドリブルも左足アウトサイドでの切り返しなどキレキレですね。
前線のドリブラー、アタッカーは1年通して好調を維持するのが難しいポジションですが、なんとかケガなしで、さらなる高みを目指してもらいたいです。ドルトムントのためにも(笑)
Posted by Dortmund06 at 2010年09月20日 14:20
香川は状況さえ整えばこれくらいやるポテンシャルは2年前から持ってましたよ。
だから化けたって感じよりも、初の海外挑戦という特別なモチベーションとドルトムントのサッカーとの好マッチングってのが好調の理由かと。
この緊張感を維持して怪我に気を付ければドルトムントに居る限りは当面このまま活躍を楽しめそう。
Posted by at 2010年09月22日 12:33
日本人代表監督の見る目のなさの証明ですね。
Posted by at 2010年09月26日 12:53
2年も前にJ2から抜擢し続けていた岡田監督の、


そして石川を押す声が大勢を占める中、このJ1経験の少ない若者を万が一のためのサポメンとして連れて行った岡田監督の、

見る目の確かさに驚きました。


12年前の、「ベテラン選手の悲運の物語」を語って売ることしか考えていない低脳マスコミによる基地害バッシングさえなければ、あっさり俊輔と入れ替わってたでしょうね。

Posted by at 2010年09月27日 23:45
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