2011年12月07日

レイソル、拡大トヨタカップに挑戦

 レイソルが堂々とJ1を制覇した。前身の日立がJSLを制したのが72年シーズンだったから、実に39年、38期振りの日本一である。当時の中心選手は、野村六彦、山口芳忠、平沢周策、松永章と言った選手で、碓井博行、西野朗、横谷政樹、吉川亨と言った後年のスタアでさえ、まだ入団していなかった時代である。
 その70年代前半の日立を率いていたのは、高橋英辰氏。氏は長沼氏の前任の代表監督だった。つまり、言わばクラマー氏時代前の、日本を代表する監督だった訳だ。そして、高橋氏が日立を率いて秀でた実績を挙げた事は、クラマー以前に日本サッカーにも相当な蓄積、ノウハウがあった事を示している。実際に、氏が標榜したサッカーは、運動量豊富なサッカー。当時日立は「走る日立」と呼ばれていた。何となく、今日につながるものがあるな。
 いや、全くの余談。当時日立とJSL上位を争っていたライバルを俯瞰。東洋工業(サンフレッチェ)はレベルの高い選手同士のコンビネーション、三菱重工(レッズ)は豊富なタレントによる厚い守備と逆襲速攻、ヤンマー(セレッソ)は圧倒的なエースの個人能力を活かした攻撃的サッカー。何となく、伝統は今日にも引き継がれていたりして。

 話題を戻します。
 レイソルのこの鮮やかな成果は、言うまでもなく、ネルシーニョ氏の格段の手腕の賜物であり、また一昨期J1で苦しい試合を続けていた際に、氏を招聘し2部落ちしても中期的視野で、氏に采配を任せたレイソルフロントの勝利である。
 そして、レイソルの選手構成。大谷、近藤を筆頭に、酒井、工藤、茨田と言った自前ユース育ちが着々と育ち、レアンドロ・ドミンゲスとジョルジ・ワグネルと言った「格段の武器」を持つブラジル人が中核を担う。そして、それ以外の選手の経歴の多彩な事、菅野、増嶋、澤、安、兵働、栗澤、水野など移籍で獲得した選手達、田中、橋本、工藤ら新卒選手。そして北嶋。
 自前育成選手を軸に、多彩な選手が活躍しているだけで、フロントの手腕、監督との連携のよさが理解できる。

 また、チームとしての厚みもすばらしかった。
 強いチームが選手層が厚いのは当たり前なのだが、今年のレイソルは少し異なる。従来「選手層が厚い」と言う表現は、レギュラが抜けた場合にその選手の穴を埋める人材がいると言う意味で使われてきた。しかし、レイソルの場合は、最初からレギュラを務める事のできる選手が20人くらいいて、その時の調子や対戦相手によって誰が出てくるかわからない印象がある。予算があり余る金満クラブや、長期的な強化に成功した代表チームならば考えられるが、通常の単独クラブでは、かなり難しいやり方だ。そして、いずれの選手も、知的でタフでよく動き、そして何より統一的に戦っている。
 そう言う意味で、「選手層の厚み」と言うよりは「チームとしての厚み」の方がしっくり来るように思うのだ。

 そして、酒井宏樹。
 今期のJのベストゲームの1つに、7月9日の柏でのレイソル-ベガルタ戦があった。エルゴラに「首位攻防」と煽られ赤面したのは懐かしい。しかし、エルゴラは正しく、私は間違えていた。本当に見事な試合だったのだ。両軍の意思統一された中盤戦、敵の隙を突いての速攻など、実に美しい試合だった(少なくとも、ベガルタサイドから見れば、「ベガルタ史上最高レベルの試合」と呼んでも過言ではなかったと思う)。
 ところが、この試合の勝負を決めたのが酒井だった。後半半ば過ぎ、ペナルティエリア内で抜け出しかけた柳沢を、後方からフェアで深いタックルで止めたのが酒井だったのだ。それだけではない、ロスタイム、ほんの僅かベガルタの中盤選手が交錯してしまっい、酒井はほぼフリーで得意のクロスを上げ、澤の決勝点を見事にアシストした。あのロスタイムがなければ、今頃我々とレイソルの順位も違っていたのではないかと、考えるのは楽観的すぎますか。
 この若者が通年で活躍したのは今期がはじめて。来期以降、プロフェッショルとして、いかに自ら伸ばせるか。だからこそ、来期の酒井には、大いに注目が集まるところだ。

 そのレイソルが拡大トヨタカップに挑戦する。
 まあ、拡大トヨタカップの「地元枠」に抵抗がない訳ではない。しかし、少々インチキっぽい雰囲気があろうが、それはレイソルの責任ではなく、FIFAと日本協会の責任である。レイソルはその幸運を受け入れ、最高の成績を残せばそれでよい。上記してきた多彩な選手、分厚いチーム、そして酒井。拡大トヨタカップでもかなりやれるのではないか。大いに期待したいところだ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(5) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>まあ、拡大トヨタカップの「地元枠」に抵抗がない訳ではない。しかし、少々インチキっぽい雰囲気があろうが、それはレイソルの責任ではなく、FIFAと日本協会の責任である。

10年前からのW杯アジア枠のインチキぶりを150%認識していながら、今まで一切の言及から逃げ回ってきた姑息なオッサンがよくもヌケヌケと・・・
Posted by 真の at 2011年12月08日 08:48
この素晴らしいチーム、活躍すればするほど中心選手が引き抜かれる確率が高くなりそうな状況にあり、嬉しいやら悲しいやらでございます。酒井選手は内田を凌駕する活躍ぶりですが、心臓に病を抱えていたとも聞き、心配で心配でたまりません。ブラジルでの歓喜のためには彼ともう一人の酒井にはもっともっとやってもらわねばなりませんから。
Posted by エデル at 2011年12月08日 12:14
真の○○は書き込み禁止になったのではないのでしょうか。
レイソルの講釈を楽しく読んだ後に、コメントを見て気持ち悪くなりました。
Posted by レイくん at 2011年12月08日 17:21
「聖人君子たれ」とは言わないけれど
折角の晴れ舞台に臨むチームへ「インチキ」とか書く必要の無い煽りで締めるのはやめて欲しい。

「レイソルが羨ましくて、つい絡んじゃった…てへぺろ(・ω<)」
って書けば良いと愚考。
Posted by at 2011年12月08日 20:42
21世紀枠みたいなもんですよね。
勝たないとインチキ感がつきまとうけど
勝ってしまえばあんまり気にならなくなります。

ということで既に2勝したレイソルは
全く気にすることなく日本勢の成績記録の
更新を目指してほしいものです。
Posted by baron at 2011年12月13日 13:15
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