2012年01月19日

今野泰幸の移籍

 今野泰幸が、ガンバへ移籍した。現在のJリーグでは最高レベルの守備者の移籍である。トップ選手の海外流出あるいは微妙な帰国などを含め、例年になく激しいトレードが行われている今シーズンオフだが、やはり最大の衝撃的な移籍と言ってもよいだろう。ここ最近の国内の大物移籍としては、闘莉王なり、阿部勇樹なりに匹敵する大型移籍と言ってもよいだろう(この2人を受領したクラブの、直後の好成績は言うまでもない)。
 ガンバと言うチームは、西野氏の長期政権が終わりを告げた訳だが、長年の功労者橋本、山口がチームを去るなど、大きな変革の最中。日本最高の守備者の獲得は、それはそれで利に叶っている。
 年明けに、一部マスコミが本件を報道した以降、正式発表まで随分と時間がかかったが、FC東京も必死に慰留したのだろう。実際、天皇杯に優勝した事で、移籍せずともACL出場が叶う訳で、「移籍を見合わせるのではないか」との噂もあった。おそらく、今野自身は天皇杯優勝前に決断していたのだろうが。
 国内のトップ選手を買い集めるのが上手なガンバが今野を買う、FC東京が今野を慰留する。ある意味では当たり前の事が行われた訳だが、今野自身にとってこの移籍はどのような意味を持つのか。

 現状、今野は日本最高の守備者である。
 もちろん、中澤は相変わらず美しいし、闘莉王も相変わらずおもしろい。しかし、今野は身体の切れでは中澤を凌駕し、安定感については闘莉王と比較する必要すらない(もっとも、闘莉王は少々不安定だろうが、冴えた時の凄みは格段なのだが)。
 だから、FC東京に残ろうが、ガンバに移ろうが、今野が最高のプレイを見せる事は間違いない。

 けれども、「ここでの移籍が適切だったのか」を考える事は、実に愉しい思考実験だと思う。

 FC東京の充実はすばらしい。これまで、多数のトップスタアを抱えながら、力を発揮し切れなかったクラブ。その強豪クラブが、戦闘能力的にはあり得ない2部落ちを経験し、それへの反省を活かしたのか、かつてないすぱらしいサッカーで天皇杯を制覇した。そして、言うまでもなく今野はその中核だった。
 そして、今期FC東京は監督にポポビッチ氏を招聘。比較的短い時間で、美しい攻撃サッカーを作り込んだ実績のある名将が、今野を軸にしたFC東京を率いれば、すばらしい事になったのではないかと思ったりもする(もちろん、それがそう簡単でない事はわかっている。特に天皇杯で素晴らしいプレイを見せてしまった事そのものは、ポポビッチ氏の初期活動を阻害する怖れもある。また、FC東京はこのシーズンオフに、恐るべき貪欲さで選手を獲得しているが、ある程度うまく言っているチームでそれが奏功するかの疑問も多かろう)。
 でもとにかく、「ポポビッチ氏と今野が率いるFC東京が、一気にアジアを制するのではないか」と言う思いは、いつまでもつきまとう。

 一方のガンバ。もちろん、遠藤も明神もいる。その他にも無数のスタアがいる。
 ただ、山口と橋本がチームを去った事が象徴的だが、1つの時代が終わった印象も強い。どうせ今野が移籍するならば(非常に無意味な仮定なのは承知の上ですが)、2、3年前だったのではないかと(笑)。遠藤、明神、二川、橋本、加地、そしてルーカス(あれ?)らが、皆20代後半くらいで充実し切っている時に、最終ラインに今野が加入していれば、これはこれでスゴい事になったのではないかと思うのだ。西野氏の指揮の下で(そして、西野氏嫌いの私は、愉しく憎まれ口をはたく)。

 いや、言いたい事はそんなこんな、つまらん事なのだが。
 ただ、それはそれとして、「日本サッカー史上最高の老獪さ」を持つであろう、遠藤と明神の後方に今野が控えるのを見るのは、最高の娯楽のような気もする。今期のガンバの試合、「この3人の連動を見るだけで、十分幸せになれるのではないか」と期待しているんだ。
posted by 武藤文雄 at 01:39| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
個人的には代表と役割が違う「ガンバの遠藤」に今野が触れることによって
代表のオプションが増えることを期待してます。
Posted by そら at 2012年01月20日 02:35
今朝の報道では
ベテランになって誰にも怒られることがなくなってしまった立場から、もっと厳しい状況に身を置きたかった
と言ってますね。
彼としても西野さんが辞めるとか予想外の出来事だったのでしょうが、移籍することは決めていたのではないでしょうか

個人的には、自分が出したパスをどれだけ有効に使って貰えるか、ということで、遠藤の存在が大きかったのではないかと考えます
FC東京は、やはりボランチが弱点だろうと思いますし(比較して、ですが)

まぁこの考えは、『観察力』を読んだから、というのはありますね。やっと教か、というくらい、べたべたでしたから。
Posted by mimi at 2012年01月20日 12:20
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