今回の欧州遠征は非常によい強化試合だ。開催国ゆえ、欧州選手権の予選免除の両国と敵地で(もっともスイスともオーストリー国内での試合だから、厳密な意味では敵地ではないな)戦えるのだから。いずれの国も初対決だが、欧州の中堅国との敵地の強化試合は、日本の世界サッカーにおける位置を確認できると言う意味でも楽しみな対戦となる。
高原こそ離脱しているものの、アジアカップの面々に稲本、松井、山瀬、達也が加わり、非常に愉しみなメンバ。大久保と前田遼一あたりも選んで欲しかったようには思うが、まあ選べる人数にも限りがあるのだから、仕方がないか。灼熱のハノイで見事なボール回しを見せた日本に、敵陣近くでドリブル突破を仕掛ける事ができるタレントが加わった。一層変化ある攻撃が期待できそうだ。阿部が負傷で離脱したのは残念だが、代わりに稲本が起用される可能性が高そうで、これはこれで愉しみ。あの傍若無人な後方からの押し上げは、これまた日本の攻撃を一層変化に富むものにしてくれるだろう。啓太、今野、阿部、稲本、憲剛、稲本、中田(今回の不選考は以外だったが)と相変わらず後方のMFの多士済々振りは愉しい。
オーストリー代表と言えば、78年のアルゼンチンワールドカップ。ブラジル、スペイン、スウェーデンと同じグループとなった1次リーグ。こう並ぶと「死のグループ」と言う印象があるかもしれないが、別にアルゼンチン(地元なのに凄くきついグループ、でも最終的に優勝する)、イタリア、フランス、ハンガリーと言う本当の「死のグループ」があった、16チームのワールドカップだと、最初からのこのような厳しい戦いとなるのだ。この難しいグループながら、オーストリーは2勝1敗(1敗は2連勝で2次リーグ進出を決めた消化試合でブラジルに敗れたもの)でトップで抜け出す。2次リーグ(78年大会はベスト8を4チーム2グループに分けた2次リーグを行い、トップのチームが決勝に進出した)では、さすがにオランダ、イタリアに2連敗したが、最終戦では(決勝進出の可能性があった)西ドイツを3−2で下した。ベスト4には入れなかったものの、印象的な活躍振りだった。
ちなみに続く82年大会は、西ドイツ、アルジェリア、チリと同じグループ。この大会も2連勝して1次リーグ最終戦に西ドイツと当たった。この大会、西ドイツが初戦でアルジェリアに敗れると言う大番狂わせがあり、西ドイツは1次リーグ敗退の危機に見舞われた。しかし、アルジェリアは前日に2勝1敗、得失点差±0で1次リーグを終えており、西ドイツは1勝1敗で+2、オーストリーは2勝で+3。かくして絵に描いたような八百長試合で、オーストリーは0−1で西ドイツに敗れ、仲良く揃って2次ラウンド進出を決めた。この試合の八百長があまりに見え見えだったので、以降多くの国際試合ではリーグ形式の最終戦は同じ時刻に行なわれるようになる。ちなみに、これではせっかく2連勝していたオーストリーは2位抜けで厳しい組み合わせを余儀なくされるのではないかと思われるかもしれないが、2次リーグの相手はオーストリーはフランスと北アイルランド。西ドイツはイングランドと地元スペイン。組み合わせの妙で、2位抜けの方が楽な対戦相手となる状況だったのだ。もっとも、オーストリーはプラティニフランスに完敗。一方の西ドイツは、この厳しいリーグ戦を抜け出し、さらにプラティニをもPK戦で振り切り、決勝までたどりつくのだが。
オーストリーはこの八百長負けにバチが当たったのか、以降は90年と98年に本大会出場はしているものの、印象的な成績は収めていない。
さてスイスである。何と言っても昨年のベスト16が印象的。
私はあの1/16ファイナル、スイス−ウクライナ戦を現地で観戦する事ができた。とにかく、羨ましかった。朝からケルンの街には、あの国旗を持ったスイスのサポータ(8割くらい)と、青と黄色を身にまとったウクライナのサポータ(2割くらい)が、次々に降り立ってくる。勝ち抜いたからこそ、彼らは「来る事」ができたのだ。そして、あの凄絶な試合。お互いどうしても崩し切ることができずに0−0で120分間を終え、スタジアムに高らかに流れる「ケ・セラ・セラ」。とにかく羨ましかった。そして、自分がようやく堂々と羨ましさを感ずるようになった事が、少しだけ嬉しかった。
実は個人的に私は、スイス代表を密かに我々のライバルだと認識している。ここ10年間くらいで若年層の強化が成功し世界サッカー界で存在感が上がってきている成長振り、真面目でよく走るサッカースタイル、単純ながら美しい国旗、熱狂的なサポータ。定期的に強化試合を組んで生きたい相方だと思うのだが。
ちなみに上記のウクライナ戦。私はスイスサポータの真っ只中で観戦した。横に座っていたのは、私より10歳くらい上のおだやかそうな物腰の紳士だった。試合前の会話は愉しかった。特に「1次リーグで破った韓国よりは、日本の方がアイデアのある選手が多いので強いのではないか」と言うお世辞は嬉しかった。試合開始、彼は豹変した。
彼は120分間戦い続けたのだがPK戦で敗退。目を真っ赤にした彼の充実しきった悲しみに満ちた表情は本当に羨ましいものだった。
2007年09月07日
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トルシエ時代のハッサン国王杯が思い出されますね。西澤のとんでもないバイシクルシュートもあって、フランス相手に2点を取ったんでしたっけ。
世界を相手にイケるんじゃないかと気分が大いに高揚したのを覚えています。
(ジャマイカ相手に中田→カズも感涙ものでしたが(笑)。)
まあ、比較するのも意味がないけど、オーストリア戦、ふと、あの時のような中田英寿の不在を感じてしまいました。
相手の攻撃の芽を詰み、かつ攻撃の基点となる、啓大と憲剛を一人でやっているというか。
ヒデなき後の真の舵取り役は誰なのでしょう。スイス戦、突き抜けた試合をみられるのでしょうか。
そして爺様の愚痴はまだ期待の裏返しとして聞いておきたい。達也、決めてくれ〜!