欧州のこのクラスの相手が本気で相当なプレスをかけてきたのに、あれだけボールを回して遅攻をしっかりかけられるのだから大したものだ。
日本のいずれの選手も、ボールを受ける直前の体勢の修正と、ちょうど次のキックの場所にボールを止めるトラップが素晴らしい。さらに日本は、中村、稲本、闘莉王と正確なロングパスを蹴る事のできる選手がいるので、彼らのサイドチェンジで、サイドに起点を作り、中盤で攻勢を取る事ができた(稲本が代表でここまで機能した試合は、あの2002年のロシア戦以来ではなかろうか)。
一方のオーストリーは、いかにも欧州の勤勉なチーム。最前線から激しいプレスをかけ、そのプレスをかいくぐった日本に中盤を取られながらも、中盤選手の戻りの速さで中央を固め中々決定機を作らせてくれない。さらに、ボールを奪うや全員の意思統一がよくとれた速攻を見せる。ただ、攻めのスピードの中で精度の高い仕掛けをできるタレントがいないため、中澤が組織する日本守備を破りきれない。
このオーストリーと敵地で戦う以上は、ブラジルやアルゼンチンのような列強でも相当点を取るのには苦労する事だろう。しかし、ワールドカップで2次トーナメントに進み、さらにはベスト8以上を目指そうと言うからには、この相手から相当な確率で勝ち点3をもぎ取る事ができるようにならなければならないのも、また確かなのだ。
ではどうするか。
中村が何とかしてくれれば。この試合で中村の「格」にも改めて感心した。あのプレスの中、一発で前を向き、高精度なパスをビシビシ通す。アジアカップと異なり、受け手が省エネモードでないだけに、出し所があるとまた違うものだ。ただ、だからこそ1点モノの好機をもっと作って欲しかったところだが。中村は2010年大会中に32歳になる。今の技巧に老獪さが加わった中村が全てを解決してくれる存在にならないか。
駒野を右サイドで起用する事が可能になれば。オシム爺さんは両サイドDFを加地、駒野でほぼ固定している。加地の爆発力は素晴らしいものがあるが、少なくとも現状ではプレイの継続性とクロスの精度は駒野が上回っていると見る。本職のサイドバックではないが、今野、阿部、あるいは中田と言った人材もいる。状況によっては駒野を右で使う手もあると思うのだが(もちろん加地が常時大爆発してくれても、小宮山、本田圭、安田と言ったあたりが大化けしてくれても、問題ない)。
高原がいてくれれば。今の高原は、日本のストライカ史において釜本、カズ、久保(ただし03年から04年のみ)に近づく存在になりつつある(05年のテヘランイラン戦の最低の高原を思い出すと、この復活と言うか高度成長は本当に嬉しい)。この試合でも高原がいれば、状況は全く異なるものになっていただろう。高原の存在は、「カズが点を取ってくれる」と言う97年国立ウズベク戦までの日本代表を思い出させてくれる。
もう1枚強力な攻撃兵器がでてきてくれれば。残念ながら、高原がいても、アジアカップは最後に点を取りきれなかった。もう1枚タレントが欲しい。達也はあのポストに当てたシュートは拙かったが、独特の短い間合いのドリブルは十分敵を悩ませていた。松井も独特のドリブル前進はさすが欧州で高く評価される人材だと思わせてくれた。この2人だけではない。オシム爺さんが選んでいる前線のタレントは皆「素材」は確か。明確な目的意識と執拗な反復練習を通じて誰が出てきてくれるか。
チームとしての速攻が完成してくれれば。この日のオーストリーの速攻への意思統一は中々のものがあった。このようなチームとしての意思統一があれば、状況は格段に改善されるはず。オーストリーが来年の欧州選手権に向けて準備しているのに対し、当方の目標は2010年。チーム全体の意思統一はまだ先の問題でよいのだし。
「名人と上手には天地ほどの差がある」と言われる。
我々は間違いなく、「上手」までは到達した。ここからいかに「名人」に近づくか。ひたすた愚直に1つ1つの課題をつぶしていくしかないのだろう。だからこそ、このような有効な国際試合の実現が嬉しい。
2007年09月08日
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Tracked: 2007-09-16 11:40









駒野を右に回せれば、「寿人の左足にピンポイント」という広島の強力得点パターンも、もれなくオプションでついてくるんですけどね。
アジアカップだったか、駒野から寿人にいいクロスが入ったけど右足で…ってのがあったっけ。
負けたこっちが言うのもなんですが、来年のユーロは3戦全敗かなあというレベルに見えました。
とはいえ実に欧州らしいサッカーをしてくれるチームで、アジアカップ仕様になってしまっていった体をリハビリするにはちょうどいい相手だったかなと。
サイドの2人はもっと周りがフォローすべきでは。セルティックのように中村がワイドに張れるといいのですが、ビルドアップが心許ないのでついつい中村が下がってきてしまいがちですよね。それを考えるといろんなところに修正点が…
オシムさんの苦悩がわかります。