2007年12月19日

拡大トヨタカップ 2007年12月16日の満喫 その1 亜細亜対北阿弗利加

 一言で語れば、今年の拡大トヨタカップは例年以上に印象的な大会となった。要因は言うまでもなくレッズが登場した事が1つ目、そして2つ目は決勝でボカが守備を固めずに攻撃的に戦った事だ。その結果として、単純に試合を愉しめたのもよかったし、あるいは比較論から世界のトップレベルと日本サッカーの差を具体的な形態で認識できた事も、自分としては有益だった。さらには何の因果か、3位決定戦をレッズサポータ諸兄の真ん中で観戦すると言う得難い機会を経験する事もできた。
 換言すると、ここまで語ってきた準決勝までの伏線が、16日の決勝戦と3位決定戦で、見事に結実したとも言える。そのあたりを複数回に分けて講釈を垂れていきたい。

 で、レッズ−エトワール戦。
 開始早々レッズは押し込み、CKを3回獲得するが攻め切れず。そしてエトワールのクリアがレッズ守備ラインの後方を襲う。そこで、いきなり坪井がおバカを見せる。高いバウンドに合わせ損ね、慌ててジャンプし、自ら敵FWに抜け出す好機を提供。抜け出した敵FWに慌ててスライディングしなぎ倒した。PKは当然だが、あまりの無様さに主審はイエローカードで勘弁してくれた。これがJの杓子定規な主審ならば当然レッドだっただろう。この日の午前中「跳ねそうな浮き球は絶対ジャンプしてはならず、上半身をボールにかぶせろ」と、小学生に教えていた身としては、来週「な、俺の言った通りだったろ」と言うのがつらい。
 先日のカカに出し抜かれた場面を攻めようとは思わない。あれは世界一の選手に能力面での「差」を突きつけられた場面だったからだ(あのような「一瞬の集中」が90分続くかどうかは、このレベルでの「差」と言う事になる)。しかし、このミスにしても、アントラーズ戦のミスにしても、完全な判断ミス。代表選手がここまで決定的な判断ミスを大事な試合で2回してしまってはいけない。疲れていたのだろうか。

 以降レッズは再び攻勢をとるが、相変わらず堅固に8人で守備を固めるエトワールは中々隙を見せない。前半のうちに追いついておきたいところだが、攻め手が見つからない。最大の問題は長谷部にあった。あれだけ密集した守備網を崩すためには、敵陣に近いところで誰かが無理をしなければならない(ここで言う無理とは、僅かなスペースにパスを通すとか、密集地域で敵を抜くとか、敵の意表を突くスペースを狙うとか、高度な判断と技巧を駆使すると言う意味)。その役割を担った長谷部だが、敵陣近くまで迫りながらどうにも仕掛けられない。ミラン戦どうしようもなかったのは仕方がないが、この相手ならば「何か」をやって欲しいのだが。疲れていたのだろうか。
 この難しい局面を打開したのは、阿部と山田とオジェク氏だった。
 ペナルティエリア右に向かい走りこんだ永井に最後尾の阿部が高精度のロングフィードをピタリと合わせる。永井が巧みに落とした攻撃をエトワールは何とかはね返すが、再びボールは最後尾でフリーの阿部に、阿部の展開から最終的に右サイドで山田がフリーになる。山田のカーブがかかった好クロスをエトワールは逆サイドに逃げるのが精一杯、拾った相馬のクロスをワシントンが叩き込んだ。しっかりとラインを構成している守備ラインを崩すために、後方から精度の高いロングパスを入れてラインを下げさせ、サイドでのプレイ経験が豊富なベテランが鮮やかなクロスを上げたのが起点となった。山田を右サイドに写したオジェク氏采配を見事と言うか、最初からそうすればよかったのにと言うか、いずれを正とするかはさておき。そして、阿部にはこのようなプレイ頻度をとにかく増やして欲しいのだが。
 ともあれ、この同点劇でエトワール守備陣のライン形成はおかしくなった。右サイドで永井が巧みな引き出しで抜け出し、最後はワシントンの強シュートがポストを叩いた場面は惜しかった。もっとも、その後にCKから見事なヘディングシュートを打たれ、都築がゴールラインぎりぎりからかき出すと言う危い場面も作られたのだが(これは後半の苦戦の伏線だったのか)。

 後半に入ると様相は一変した。
 レッズが全く動けなくなったのだ。過去2試合半、あれだけ守備的に戦っていたエトワールも、こうなると中盤を制して攻勢に出る。レッズはハーフウェイラインを越えるのがやっとと言う惨状に落ち込む。
 このあたりは(試合開始時には右サイドを務め、前半半ばに山田と入れ代わってボランチに入った)細貝がいっぱいになったのが大きかった。中盤後方でボールを受けた後、全くパスをつなげないのだ。好調時は丁寧にボールを扱い(いささか常識的ながら)しっかりとつなぐ選手なのだが。上記した通り、長谷部も機能しないため、中盤が全く機能しなくなってしまった。疲れていたのだろうか。
 それでもレッズの勝負を見極める力は凄い。中盤を孤立無援で支えていた啓太からクサビを受けたワシントンが持ちこたえている間に、押し込まれていた啓太が前進、リターンを受けて相馬に鋭いスルーパスを通す。相馬のクロスが敵DFにハンドで防がれたが、レッズはそのFKからワシントンが完璧なヘディングを決めてしまった。この後半、啓太が唯一思い切りよく上がった場面だった。啓太の判断力をどう称えればよいのか。
 ところが、都築の信じ難いミスで再び同点。都築も...疲れていただろうが、GKなのだから...

 その後、レッズは凄絶な戦いを演じる事になる。誰の目にも明らかな疲労。ここ数年全てのツケを選手達に押し付けている無謀な日程。いつもの事だがどんなに選手たちが疲弊していても交代策を使わずそのままの戦いを要求するオジェク氏。そう言えば、ターンオーバの概念を理解していない日本協会やJリーグ首脳の愚かな発言もあったな。それでも、細貝が最後の力を振り絞って自らの展開から、最前線に飛び出し決定的なヘッドを放った場面には感動した。アンブロジーニに完敗した準決勝、ボロボロになるまで疲弊し最後にはPKも決めた決勝。この2試合はこの若者にとって大いなる経験になっただろう。本当に反町は幸せな男だ。
 「どうしてこの男達は戦い続けられるのだろうか」と素直な疑問が湧いて来た終盤、レッズはかろうじて守り抜きPK戦に持ち込む事に成功。サポータの後押しもあり、3位を勝ち取った。
posted by 武藤文雄 at 23:45| Comment(3) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 疲れているとできなくなることと、疲れていてもできること。この二つの重要性が綺麗に反映された試合だった。
 疲労が溜まると、どうしてもセルフ・ジャジが多くなる。とは言っても都築のプレイは論外。まあ、本人もそれを分かっていたらこそ、PK戦を制してもニコリともしなかったのだろうが。
 良かったのは先制点の場面。長谷部は確かに不調だったが、相馬がクロスを入れた瞬間、すっとワシントンの前を過ぎり、サヘルの2番を引きつけた動きだけは上手かった。(ゴールを決められた直後のゲザルの「しまった!」という表情も秀逸(笑))
 心身共に疲れ切った状態でも、ああいうプレイをナチュラルに決められれば、アフリカ王者さえ転がせると分かったのは収穫か。

 どうでもいいけど、ミラン×ボカ戦でボカが1点目を決めた時のミランの棒立ち守備は、ワイタケレなんざ問題にならないくらいひどかったな(笑笑)。あれも疲れのせいですかね。
Posted by 通りすがりの暇人 at 2007年12月20日 22:30
「どうしてこの男達は戦い続けられるのだろうか」

客席にいたなら、わかるでしょ?
Posted by レッズサポ at 2007年12月21日 13:57
講釈依頼、武藤さんは視聴可能ですか?

http://www.nhk.or.jp/bs/100nen/
100年インタビュー 川淵三郎
BShi 12月27日(木) 午後8:00〜9:30
Posted by 五反田西口 at 2007年12月23日 00:31
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