2008年04月10日

メルボルン−ガンバにおける既視感

 少々古新聞になってしまったが、ガンバがメルボルンとの殴り合いを制した試合について。
 このメルボルンのスタジアムは、オーストラリアンフットボール用の競技場らしい。何か、サッカー場より広いせいか、テレビ桟敷で見ていても違和感がある。ただ、テレビ映像を通して感じるこの違和感に、何かしら微妙な記憶があると思っていたのだが、前半半ばに思い出した。

 あの97年。ジョホールバルの後日談。
 我々が歓喜したと言う事は、敵は絶望に追い込まれたと言う事。ただし、イランにとって岡野のVゴールは最終通告ではなく、彼らには豪州とのプレイオフが残されていた。そして、そのプレイオフ第2戦が行われたのが、この競技場のはずだ(たぶん)。
 第1戦、あのアザディスタジアムで、イランはビドゥカとキューエルの連携から先に失点。マハダビキアとアジジのコンビで追いつき、猛攻を仕掛けたものの、ホームで1−1で試合を終えた。アウェイゴールルール下での、ホームで1失点の引き分けは辛いものがあった。
 そして、第2戦。イランは、24年ぶりの出場を狙う豪州の猛攻を食らう。後半立ち上がりまでに、ビドゥカとキューエルそれぞれの得点で2−0とリードを許す。ところが、後半半ばあたりから、豪州に攻め疲れが見え始め、イランペースに。そして、イランは、バゲリ、アジジの連続得点で2−2の同点に追いついてしまい、アウェイゴール数でワールドカップ出場を決めてしまった。
 そう、ガンバがメルボルンと戦った競技場は、10年半前にアジジが豪州の野望を断ったスタジアムだったのだ(と思う)。そして、ビドゥカやキューエルにとって、一昨年32年ぶりにドイツのピッチで(彼らの32年前の舞台も西ドイツだった!)戦う事の意味がどれだけ深かったかも、この試合を思い出すと感慨深い。何より、「『好敵手同士の死闘』の『高みの見物』」の記憶は(未曾有の歓喜の安堵感下だったと言う特殊事情を含め)甘美なものがあるな。

 そのような思い出の地(って言っても、自分で出向いた訳でも何でもないが)において、明神や安田が苦闘するのを見るのは、これまた中々の娯楽であった。この日のメルボルンはサポータも熱狂的な模様で、映像の音声にはメルボルンの応援がよく入っていた。
 
 試合そのものは、ガンバの「技巧」と「俊敏さ」、メルボルンの「強さ」が、それぞれ活かされると言う実に国際試合らしいものだった。
 ガンバの3失点はいずれも「強さ」にやられたもの。1点目は「強さ」で縦パスを流され、裏をつかれた。以前も述べたが、明神が関与できない攻撃(多くの場合、中盤を飛び越す強引な縦パス)への対応は、ガンバの大きな課題。そのための水本の補強だったのだが。その水本、3DFの左サイドに起用されたが、これが散々な出来だった。安田が上がった裏を敵の俊足FWが突いて来る。水本の守備範囲を考慮すれば、最初から安田の後方をカバーする位置取りをすればよいと思うのだが、妙に中央にポジションを取り続ける。そのため、敵FWへの対応が遅れ、再三ピンチを招いていた。さらに2点目時にはゴール前の「おしくらまんじゅう」に完敗し、遭えなく転倒し、マークしていた敵にフリーでヘディングシュートを許した。西野氏は後半立ち上がりから水本を外した4DFに方向転換。以降は、浅いラインで押し込む策が比較的奏功した。3点目は、やや偶然っぽい「強さ」にやられたもの。豪州のチームとやる時はこのくらいは織り込む必要があるのかな。
 敵の強さを警戒して守備ラインの数を増やすか、少なくして浅いラインで押し込む事を狙うか、先日のバーレーン戦を含め、知的興奮を満足させる酒の肴である。
 それにしても水本には困った。この壁を乗り越えての栄光と前向きに捉える事にしよう。
 
 ガンバの攻撃は、すっかり調子を取り戻した。
 決勝点の安田の突破だが、大柄な豪州選手がシャープな安田のドリブルに全く対応できないのが愉快だった。アジアのタイトルマッチで2試合続けて、敵地で決勝アシストを決めた安田の勝負強さも評価していいだろう。山崎も散々敵DFをチンチンにしていたが、この2人の突破は正に「技巧」と「俊敏さ」の賜物だった。
 セットプレイからガンバも2得点するが、ボールの精度と言う「技巧」とよい位置に入り込む「俊敏さ」で奪ったもの、この対比も面白かった。
 そして、二川の先制点。巧みにアウトサイドに引っ掛けた見事な変化球だった。流れの中からの、あの手のシュートとしては最高レベルに近い「技巧」だった。

 4つどもえの混戦グループだが、敵地での2連勝でガンバは勝ち点勘定的には圧倒的に有利になった。それにしても、3試合とも試合終盤に点を取っているのだから、勝負強いと言うのでしょうか。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(5) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
僕も「このスタジアムは、、、あん時のバゲリとアジジの、だよなー、たぶん…」と思いながら見てました。自信ないんですけど。
エントリ読みながら、パリのホテルのTVで見た98WCのイランv.USAの映像(妙に発色の薄い画面だった)も芋づる式に思い出したりしました。

2試合続けてaway遠征したガンバサポの人は、きっと人生の歓喜やら狂喜やらをそうとう使い果たしてきちゃったんじゃないのかな、と羨みつつ思ったりしてます。
Posted by at 2008年04月15日 13:01
自分も一瞬、あのスタジアム、テルストラドームがプレイオフ会場だったのかな、と思いましたが、97年のあの試合はメルボルン・クリケット・グラウンドでした。
http://en.wikipedia.org/wiki/Melbourne_Cricket_Ground
サッカールーの試合は時折こちらで行われるようです。
10万人収容ですしね。
Posted by 鈴木高次 at 2008年04月15日 21:10
焦らしすぎw
宿題の西野評を早く提出して下さい!


選手と軋轢を生じさせちゃう悪癖はあるけれど、実績では岡田さんと同じくJリーグ2チームで結果を残してるし・・・監督としてこんなに成長した人も珍しいんで是非お願いします(笑)
アトランタ五輪は耳に蛸だから割愛してもいいんで柏〜大阪時代のが激しく知りたいです!
Posted by テン at 2008年04月15日 23:48
二川のスーパーミドルシュートには度肝を抜かれましたBeautifulの一言です。“攻撃面”はらしさが出てきたものの、“守備面”は不安定だなぁ。心臓に悪い。。けど、中毒性のあるガンバの試合は、見ちゃいます。


ガンバサポーターで、とても読み応えのあるレビューを書かれる方がいるので、是非覗いて見て下さい。ガンバのことなら、隅から隅まで見ている方です。↓↓
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/assamtea9969/category/11
Posted by DADA at 2008年04月16日 18:34
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
Posted by 履歴書の添え状 at 2014年02月23日 12:55
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