恒例の10大ニュースです。日本代表は強いし、相変わらずJリーグはおもしろいし、よい1年だったとは思います。ただ、ベガルタサポータとしては、つらい1年でしたが、ベスト11にしても、10大ニュースにしても、ベガルタサポータ視点は切り離して語るのが楽しいので。
まあ、ベガルタサポータとしては、下記の第4位で強調したことがすべてでしょうか。
1.日本協会とJリーグ当局、夏夏・年またぎ開催を強行
いわゆる年またぎ開催へのシーズン制変更が困難なことについては、十数年前に随分と書いた。例えばこれ。現実的に大量の試合数をこなすためには、週中の平日に試合をこなすしかなく、そのためにはナイトゲームを行う必要があると言うこと。もし、年またぎのシーズン制を採用すると、北方のクラブでなくとも厳冬期(具体的には12月から3月)の客商売には大きな支障があり、観客動員視点で大きな損失が予想される。もちろん、日本海側の積雪地帯では厳寒期の外出は大きく制限されるから、そう言った地域をホームにするクラブとしては受け入れ難い変更なことは言うまでもない。シーズン制云々よりも、試合数をいかに減らすかが本質的な課題であることも当時指摘した。
しかし、日本協会もJリーグ当局も、この十数年に渡り、上記の本質的課題を能動的に解決しようとせずに来た(例えば、欧州のスタジアムに見られる暖房システムの導入など、ハード面での改善など)。その上でACLがいわゆる年またぎ開催になったことを既成事実として、シーズン制の変更を強行しようとしている。しかも、J1のクラブ数を増やすと言う愚挙も加えてである。
シーズン制の変更理由として、現状のシーズン制の継続では各クラブ(あるいはリーグとしての)収入増限界が理由になっているのもおかしい。厳寒期に試合をすることで収入が増えるとはとても思えないからだ。
もちろん、欧州のトップクラブあるいは中東の一部クラブと、金銭的に戦うことは当面事実上不可能なことだ。そのため、世界のトップレベルの選手はもちろん、日本のトップレベルの選手をJにつなぎ止めるのが難しい現実はある。その中でどのようにサッカー界に入るキャッシュを増やすかは、極めて深刻な課題だ。しかし、その深刻な課題解決のためにやるべきことがシーズン制の変更ではないことは明らかなことだ。
百余年の歳月をかけ、ようやく世界のトップと伍した代表チームを所有するに至った日本サッカー界。もし、報道通りシーズン制変更と言う残念な事態が強行されたとしても、Jリーグの観客動員が一時的に減少したり、よい選手の欧州以外流出が増える程度の被害で済むとは思っている。日本海側クラブの経営に決定的な痛手が生じることがないように祈ってはいるが。そのくらい今の日本サッカー界は磐石な基盤はできている。しかし、愚かな行為はするべきではないのは言うまでもない。
2.女子代表、世界最強チームを作りながら敗戦
大変失礼な物言いとなるが、女子W杯の日本代表があそこまで強力なことは、まったく予想していなかった。こちらに書いたが、戦闘能力だけを見れば、正に世界最強の一角と言っても、言い過ぎではない程だった。それでも勝てないのはサッカーの常、それでもこれだけのチームを作ることができたのだ。特に戦術眼と技術に優れた若い選手が次々と登場している、女子代表の近未来は明るいものがある。女子の強化を推進した多くのサッカー関係者に改めて経緯と感謝を表したい。
確かに世界一を獲得してから12年間、女子サッカーの環境改善はかなり進んだ。例えば、私が関与している神奈川県西部の女子サッカー環境は、小学生世代の女子選手を積極的に集めて試合機会を増やしたり、中学から大人までの一環したクラブが立ち上がったり、十数年前には考えられなかった環境整備が進んでいる。これが全国に広がっているかと言うと、まだまだなのはわかっているが。
ただ、どうにも難しいのがトップレベルの観客動員。常に思うのだが、観客動員視点では、女子サッカーはすぐ隣に男子サッカーと言う強力な競合がある。観客にとって貴重な娯楽に割く時間を、どのようにして女子サッカーに向けることができるのか。そして、その通りWEリーグの観客動員の苦戦はよく知られている。しかし、一方で欧州や北米のトップレベルの女子サッカーの観客動員成功には驚くものがある。その秘訣をうまく整理して日本でも展開できれば、事態は解決するのだろうか。
3.浦和レッズ、3度目のACL王者
レッズが堂々と3回目のアジア制覇。決勝ではサウジの難敵アル・ヒラルを振り切った試合は実に見事。初戦のアウェイゲームで開始早々連係ミスから失点するも、少ない好機を活かし同点として敵地での引き分けに成功。ホームの第2戦は見事な組織守備と少々幸運な得点でリードを奪い、最後までしっかりと守り切った。正に、大人の戦い。
クラブW杯でも、メキシコのレオンに競り勝ち、マンチェスターシティにケンカを売ることはできた。ただ、もうチーム全体があそこまで疲労していては、どうしようもなかったけれど。
それにしても、このクラブのカップ戦での強さには恐れ入る。もちろん、サポータの方々からすれば、リーグの再制覇は大きな目標なのだろうが、毎年のようにしっかりとタイトルを取り切るのだからすごい。
4.ルヴァンカップ城後寿の戴冠
ルヴァンカップ決勝。開始早々、紺野和也の鋭い突破から福岡が先制。浦和が落ち着いて攻め返すが、福岡の組織守備がよく機能。さらに山岸祐也が最前線で巧みなボール保持を見せ、幾度も福岡の速攻が浦和守備陣を脅かす。そして、前半終了間際、またも紺野が輝き、2点差に。
後半の浦和が攻める。交代出場した明本考浩が見事な個人技を発揮して1点差。その後の浦和の猛攻を福岡が押さえ切り(少々怪しげな判定もありましたが)、初戴冠。
でもさ。城後寿がカップを上げる光景はすばらしかったよね。日本中の他クラブのすべてのサポータが、福岡のサポータたちに羨望した瞬間。
5.ヴァンフォーレ甲府ACL 2次ラウンド進出
昨シーズンの天皇杯王者の甲府が、ACLで堂々の2次ラウンド進出。しかもJ1昇格を視野に入れてターンオーバを採用しながらだからすばらしい成果だ。いずれの試合でも、中盤は互角以上の攻防を見せ、変化ある攻撃と組織的に連携した守備を披露。天皇杯制覇が偶然の賜物ではないことを、堂々と証明してくれた。
J1とJ2の最大の差は、両ゴール前での精度にあると言われる。しかし、敵陣前ではピーター・ウタカと三平和司のベテランが知性の限りを尽くしたプレイで、アジアの強豪たちと伍して変化を作り、各選手が次々とネットを揺らした。
多くのトッププレイヤが欧州に流出してもなお、Jリーグが極めて高いレベルのリーグ戦であることを、甲府が堂々と証明してくれた。
6.ヴィッセル神戸、J初制覇
強かった。
大迫勇也、山口蛍、酒井高徳、扇原貴宏とロンドン五輪代表が中核を占め、武藤嘉紀も好調をキープ、周囲を固める前川黛也、山川哲史、本多勇喜、井出遥也、佐々木大樹、汰木康也と言ったタレントが皆堅実に成長、若年層代表時ほど輝きが見られなかった齊藤未月や初瀬亮も輝きを取り戻した感があった。
このクラブは、言うまでもなく約20年前に経営不振で苦しんでいた際に、地元出身の三木谷浩史氏が出資し多くの支援を行ってきた。三木谷氏の支援の下、多くのスター選手を呼ぶなどしていたが今一歩成果は上がらず。特に2014年以降は、三木谷氏の個人支援からいわゆるクリムゾングループの一員となり、バルセロナとの連携や、アンドレス・イニエスタやダビド・ビジャの招聘など多くの施策を行ってきたが、2019-20年シーズンの天皇杯制覇以外は決定的な成果を挙げることができずにいた。
ここにきて、吉田孝行氏が全権を掌握。上記のベテラン達を軸に、知的労働者たちが輝くチームとなった。結果が出てみると、サッカー的には当たり前のことが証明された感があるけれど。選手吉田孝行は知性あふれるストライカだった。特にフリューゲルス最後の天皇杯制覇の決勝点など忘れ難い。
でも、全盛期とは言えずとも、イニエスタの優雅な舞を幾度も国内で堪能したのだから、それはそれで楽しかったな。
7.遠藤航のリバプール加入
30歳になった日本代表の主将、遠藤航がこの年齢でリバプールに加入。当然のように毎試合の好プレイを継続し、中心選手として機能している。考えてみれば、ブンデスリーガでもW杯でもあれだけのプレイを披露してきのだから、これは驚きではない。
ただ、このクラスのメガクラブへ、この年齢になってから加入できた日本人選手は記憶にない。過去多くの日本人選手は、早熟な選手(例えば、香川真司や冨安健洋のように)10代のうちに5大国のリーグに加入し経歴を積まないと、欧州CLの優勝を争うようなメガクラブへの加入が難しい感があった。これは、選手編成が必ずしもその年その年のチーム強化と言う視点だけでは決定されず、選手の転売益などの投資的な視点も考慮されたからだろう。したがって、長谷部誠や酒井宏樹のように。そのポジションで世界屈指の名手と言われても、メガクラブへの道が開かれづらかったためと思われた。だから、日本人選手の代理人の多くは、日本でほとんど実績上がっていないタレントを、無理に10代のうちに欧州で売りに出そうとしているるのだが。
しかし、この遠藤の成功は、ベテランの域に達した日本人選手の有用性を示すもの、今後の欧州での各選手の活躍の場を広げるきっかけになるのではないか。
8.ドイツ戦の完勝
気持ちよい完勝だった。
点の取り合いでリードした前半。サネの好機を冨安が完全につぶす。後半立ち上がりに3DFへ切り替えてサネを止めに行った戦術変更。ドイツの攻めをいなしておいて終盤の加点。
日本代表の好調の重要な要因は、カタールW杯で築くことができた各選手の自信だろう。ドイツもスペインも確かに強い。しかし、同様に日本も強いのだ。もちろん、これら強国から学び続けることは、今後も重要だろう。しかし、それらの強国で行われていることを盲信し、日本が積み上げてきた強化を全否定する必要はない。
9.活字媒体の消失とネット媒体の使いづらさ
年寄りの愚痴です。
サッカー界に限ったことではないが、活字媒体の弱体化が進み、多くの活字媒体が廃刊やネット化を余儀なくされている。
大概のサッカー情報は、ネット経由で入手可能。いや、何よりサッカーの本質である1次情報の試合の映像があふれるほどネット経由で入手できるのだから、ありがたい世の中になったものだ。
しかしですよ。自分のクラブ(私の場合はベガルタ仙台)以外の試合情報の入手が、最近非常に難しくなっている。Google検索を行おうとすると、多くのサイトは広告収入狙いで相当数回クリックしないと目的情報には辿り着けないのだ。いや、何回画面を叩いても目的情報に到達しないことも多い。例えば、「今週末、おもしろそうなJリーグ以外の試合あるかな」とか「来週のドイツ対日本は、何時キックオフだっけかな」的なことを調べるのに、ものすごく苦労するのですよね。面倒な世の中になったのだ(笑)。
10.J1昇格プレイオフの非喜劇
J1昇格プレイオフ。余談ながら、第1回現ルヴァン杯決勝と同じ対戦だと、話題になった。あれは31年前、日本が初めてアジアカップを制した直後のことだったな。カズに先制された清水終盤の猛攻、トニーニョのシュートが僅かに外れ勝敗が決した感が漂った時、オーロラビジョンに悔しそうな表情の、清水レオン監督が大映しになった。「ああ、セレソンの元主将が日本で監督しているんだ、」と妙な感動をした。「今まで経験したことのない素敵な時代が来るんだ」と言う何とも言えない予感。そして、その予感通り、30年以上に渡り、若い頃はまったく想像できない歓喜をいくつもいくつも味わうことができた。
本題に戻ります。東京VのハンドによるPKで清水が先制。このハンドだが、東京Vが不当な守備をした訳でも何でもなく、ハンドと言うルール独特の運不運によるものだった。先制後の清水の守備は組織も強度を完璧に近かった。それに対して、東京Vも粘り強く遅攻を重ね、幾度か好機を掴むも崩せずアディショナルタイムに。分厚く守る清水は敵陣にボールを運んだので、定石通りラインを上げる。その瞬間、東京VにFW染野が裏をねらい、縦パスを受け抜け出しかける。しかし、突破したのは染野1人で、簡単に決定機にはつながりそうもなかった。しかし、清水DFが意図不明のスライディング、巧みなスクリーンで持ち出した染野が倒されPK、同点に。
東京Vの久々のJ1復帰が話題となっている、早速横浜Mと開幕戦を戦うなど話題性ある演出も行われているようだ。実際、プレイオフでは私以上の年齢の(笑)サポータの歓喜する姿が印象的だった。一方で清水の悲劇、もうこんな負け方は防ぎようがない。無責任なライターが「清水の体質改善が…」などと語っているが、あんな負け方は体質をいくら改善したってどうしようもない。
いわゆるオリジナル10クラブの明暗が分かれた訳だが、こう言う理屈で説明不能なプレイで来期の昇格が左右される理不尽さ。どうしてサッカーって、こう言った無常観を味わえるのだろうか。
2023年12月31日
2023年ベスト11
恒例のベスト11です。
ドイツを返り討ちにするなど、実に景気のよかった日本代表チームの中心選手と、Jで活躍したタレントを、いつものように偏見で選考しています。
GK
前川黛也
神戸のJ1制覇を支えた安定した守備振り、A代表で唯一決定的タレントが不在のこのポジション。前川黛也が成長し、2026年大会で日本を支えてくれる可能性も十分にあると思っている。落ち着いたクロス処理と広い守備範囲と堅実なセービング。
ここで改めて年寄りの繰言として、前川黛也のお父上の前川和也のアジア制覇について語らせていただく。
1992年のアジアカップ準決勝中国戦、前半開始早々に先制された日本だが、後半落ち着きを取り戻し、福田正博、北澤豪の得点で逆転。ところがその直後、自陣前の混戦後にGK松永成立が意図不明のラフプレイで退場、オフト監督はこの緊急事態に北澤に代えてGK前川和也を起用した。その直後、中国の単調なクロスボールを、CBの柱谷哲二が意図不明のスルー、突然流れてきたボール処理を前川和也が誤り、日本は同点に追いつかれる。本件については、前川のミスとの記録は多いが、どう考えてても柱谷の判断ミスが致命的だった。1人少ない状況での難しい戦いとなったが、終了間際の堀池巧の鮮やかなクロスからゴン中山が美しい決勝点を決め、我々は決勝進出に成功、アジアチャンピオンに駆け上がった。本当に本当に嬉しかった。
ともあれ、あの苦しかった準決勝中国戦、そして続く決勝サウジ戦、我々サポータに初めてのアジア王者を提供してくれたのは、お父上前川和也だったのだ。
ご子息が改めてアジア王者の歓喜を提供してくれることを期待したい。
DF
菅原由勢
ユース時代からエリート選手。2019年のU20W杯でのプレイもすばらしかった。ところが、韓国戦の直接的敗因となってしまった痛恨のミス。その後オランダの名門での活躍があったものの、カタールW杯の最終代表選考直前の負傷で選考外となった。
こう言った不運を糧として、菅原は最高級の右サイドバックに成長した。このポジションは、内田篤人、酒井宏樹と、日本が常にトップレベルの選手の輩出が継続していた。ここに、内田、坂井と遜色ないタレントの、菅原が確立していること、素直に喜びたい
冨安健洋
その潜在能力からすれば、まだまだ不満は多い。また本人の課題とは言い難いが、負傷の多さはいかがなものか。
しかし、あのドイツ戦での完璧なプレイを見せられた以上、ベスト11には選んでおかないと。
谷口彰悟
カタール移籍後もコンディションを崩すことなく、トップフォームを維持。代表戦に呼ばれる度に堅実なプレイを披露。多くの日本人選手が欧州に戦いの場を移しているが、冨安や遠藤航のようなメガクラブで活躍の場を得ることができない選手が生涯年収を最大にする道筋は、谷口のように中東の金満クラブでのプレイではないかとも思える。それはそれで、複雑な思いにとらわれるけれど。
本多勇喜
ヴィッセルのJ初制覇を最終ラインで支えた。正直、この選手は今シーズンの大活躍までノーマークでした。瞬発力を活かした出足の鋭さ、落ち着いた守備対応、左足の精度。32歳となり、このようなタレントが登場するのだから堪えられませんな。
MF
遠藤航
30歳になってからリバプールのようなメガクラブへの加入し大活躍。考えてみればブンデスリーガでもW杯でもあれだけのプレイを継続してきたのだから、驚きではない。
ただし、こう言ったメガクラブを含めた欧州の一部クラブの編成は、戦闘能力の向上とは別に、選手の売買による利益創出も目的となっている。そうなってくると、日本人選手は、欧州市場への参画がどうしても遅くなり敬遠される傾向があった(だから、日本人選手の代理人の多くは、日本でほとんど実績上がっていないタレントを、無理に欧州で売りに出そうとするのだが)。しかし、この遠藤の成功は、ベテランの域に達した日本人選手の有用性を示すもの、今後の欧州での各選手の活躍の場を広げるきっかけになるのではないか。
守田英正
カタールW杯でも感じたのだが、守田は過去の日本サッカーがようやく生み出すことができた攻守両面で機動的に機能するタレントと言うことになるだろう。中盤後方から挙動を開始し、豊富な運動量で最前線あるいは両翼のサポートを忠実にこなし、時に得点も奪う。しかし、あれだけの頻度で前線に顔を出しながら、中盤守備で破綻もきたさない。
もちろん明神智和の全盛期に真っ当な代表監督がいれば、守田のように中盤を席巻するタレントとして日本代表で圧倒的な存在感を見せてくれた可能性はあっただろうが、まあぞれはそれ。
山口蛍や渡辺皓太と言ったJで秀でたプレイを見せた選手を選びたい思いもあったのだが、今年に関して言えば遠藤と守田がすばらし過ぎた。
紺野和也
あのルヴァンカップ福岡初戴冠の立役者。
ここ十年くらいで世界的流行(十年もの月日が経ったのだから、流行と言うのはおかしいか)となっている左利きの右ウィング。高速で頻度の多いタッチで俊敏性でキュッと中にも縦にも行ける。このような特長が明確なタレントは、チームとしてその異才をいかに活かせるかが重要で、福岡はこの小柄で勇気あふれるウィングにとって最適なチームと言える。これだけ目立った活躍をすると、他の金満クラブから声がかかりそうなものだが、来期も福岡でプレイするとのこと。このまま、この格段の才を活かす活躍が続けばA代表入りも見えてくるのではないか。
伊東純也
日本サッカー史上最高のFWなのではないかとの雰囲気が漂ってきた。
30歳になっても衰えない縦への格段のスピード、そしてトップスピードで長駆しながらブレないトラップの精度がすばらしい。あの高速下の高精度のボールコントロールを見ていると、伊東をトップ下にして久保を右サイドに配した方が、もっと日本は点をとれるように思うのは、私だけか。
三苫薫
川崎時代の活躍を考えれば、プレミアでの圧倒的存在感は不思議ではない。
ただ、私は意地が悪いので、この世界最高級のウィングプレイヤを、長期に渡り代表のレギュラとしてこなかった理由を、森保氏に問いたい。
FW
大迫勇也
やはり今年のCFは上田綺世でも古橋亨梧でもなく、このお方でしょう。優美なテクニシャンに得点力が戻ってきた。
ただ、私は意地が悪いので、この日本サッカー史上屈指の優美なストライカを、カタールW杯代表に選ばなかった理由を、森保氏に問いたい。
余談ながら…
百花繚乱の感がある代表の攻撃的MF。上記の通り、伊東純也は日本サッカー史上最大のFWではないかと思わせる存在感だし、三苫薫は世界屈指のウィングだ。そんな中、久保建英、鎌田大地、堂安律が並立し、凄絶なポジション争いを演じている。そんな中、最近の久保は東京五輪やカタールW杯での独善的が過ぎるプレイがなくなり、レアル・ソシエダでも代表でも見事な攻撃の牽引ぶり。鎌田のドイツ戦での気の利いたポジショニングは見事なものだった。代表での評価が落ちたと揶揄される堂安だが、序盤押し込まれていたトルコ戦で独特のキープで最初に作った好機で伊藤敦樹の得点を演出した場面など大したものだった。結構な時代になったものだが、やはりベスト11となると、ルヴァンカップ決勝の紺野和也かなと思いました。
ドイツを返り討ちにするなど、実に景気のよかった日本代表チームの中心選手と、Jで活躍したタレントを、いつものように偏見で選考しています。
GK
前川黛也
神戸のJ1制覇を支えた安定した守備振り、A代表で唯一決定的タレントが不在のこのポジション。前川黛也が成長し、2026年大会で日本を支えてくれる可能性も十分にあると思っている。落ち着いたクロス処理と広い守備範囲と堅実なセービング。
ここで改めて年寄りの繰言として、前川黛也のお父上の前川和也のアジア制覇について語らせていただく。
1992年のアジアカップ準決勝中国戦、前半開始早々に先制された日本だが、後半落ち着きを取り戻し、福田正博、北澤豪の得点で逆転。ところがその直後、自陣前の混戦後にGK松永成立が意図不明のラフプレイで退場、オフト監督はこの緊急事態に北澤に代えてGK前川和也を起用した。その直後、中国の単調なクロスボールを、CBの柱谷哲二が意図不明のスルー、突然流れてきたボール処理を前川和也が誤り、日本は同点に追いつかれる。本件については、前川のミスとの記録は多いが、どう考えてても柱谷の判断ミスが致命的だった。1人少ない状況での難しい戦いとなったが、終了間際の堀池巧の鮮やかなクロスからゴン中山が美しい決勝点を決め、我々は決勝進出に成功、アジアチャンピオンに駆け上がった。本当に本当に嬉しかった。
ともあれ、あの苦しかった準決勝中国戦、そして続く決勝サウジ戦、我々サポータに初めてのアジア王者を提供してくれたのは、お父上前川和也だったのだ。
ご子息が改めてアジア王者の歓喜を提供してくれることを期待したい。
DF
菅原由勢
ユース時代からエリート選手。2019年のU20W杯でのプレイもすばらしかった。ところが、韓国戦の直接的敗因となってしまった痛恨のミス。その後オランダの名門での活躍があったものの、カタールW杯の最終代表選考直前の負傷で選考外となった。
こう言った不運を糧として、菅原は最高級の右サイドバックに成長した。このポジションは、内田篤人、酒井宏樹と、日本が常にトップレベルの選手の輩出が継続していた。ここに、内田、坂井と遜色ないタレントの、菅原が確立していること、素直に喜びたい
冨安健洋
その潜在能力からすれば、まだまだ不満は多い。また本人の課題とは言い難いが、負傷の多さはいかがなものか。
しかし、あのドイツ戦での完璧なプレイを見せられた以上、ベスト11には選んでおかないと。
谷口彰悟
カタール移籍後もコンディションを崩すことなく、トップフォームを維持。代表戦に呼ばれる度に堅実なプレイを披露。多くの日本人選手が欧州に戦いの場を移しているが、冨安や遠藤航のようなメガクラブで活躍の場を得ることができない選手が生涯年収を最大にする道筋は、谷口のように中東の金満クラブでのプレイではないかとも思える。それはそれで、複雑な思いにとらわれるけれど。
本多勇喜
ヴィッセルのJ初制覇を最終ラインで支えた。正直、この選手は今シーズンの大活躍までノーマークでした。瞬発力を活かした出足の鋭さ、落ち着いた守備対応、左足の精度。32歳となり、このようなタレントが登場するのだから堪えられませんな。
MF
遠藤航
30歳になってからリバプールのようなメガクラブへの加入し大活躍。考えてみればブンデスリーガでもW杯でもあれだけのプレイを継続してきたのだから、驚きではない。
ただし、こう言ったメガクラブを含めた欧州の一部クラブの編成は、戦闘能力の向上とは別に、選手の売買による利益創出も目的となっている。そうなってくると、日本人選手は、欧州市場への参画がどうしても遅くなり敬遠される傾向があった(だから、日本人選手の代理人の多くは、日本でほとんど実績上がっていないタレントを、無理に欧州で売りに出そうとするのだが)。しかし、この遠藤の成功は、ベテランの域に達した日本人選手の有用性を示すもの、今後の欧州での各選手の活躍の場を広げるきっかけになるのではないか。
守田英正
カタールW杯でも感じたのだが、守田は過去の日本サッカーがようやく生み出すことができた攻守両面で機動的に機能するタレントと言うことになるだろう。中盤後方から挙動を開始し、豊富な運動量で最前線あるいは両翼のサポートを忠実にこなし、時に得点も奪う。しかし、あれだけの頻度で前線に顔を出しながら、中盤守備で破綻もきたさない。
もちろん明神智和の全盛期に真っ当な代表監督がいれば、守田のように中盤を席巻するタレントとして日本代表で圧倒的な存在感を見せてくれた可能性はあっただろうが、まあぞれはそれ。
山口蛍や渡辺皓太と言ったJで秀でたプレイを見せた選手を選びたい思いもあったのだが、今年に関して言えば遠藤と守田がすばらし過ぎた。
紺野和也
あのルヴァンカップ福岡初戴冠の立役者。
ここ十年くらいで世界的流行(十年もの月日が経ったのだから、流行と言うのはおかしいか)となっている左利きの右ウィング。高速で頻度の多いタッチで俊敏性でキュッと中にも縦にも行ける。このような特長が明確なタレントは、チームとしてその異才をいかに活かせるかが重要で、福岡はこの小柄で勇気あふれるウィングにとって最適なチームと言える。これだけ目立った活躍をすると、他の金満クラブから声がかかりそうなものだが、来期も福岡でプレイするとのこと。このまま、この格段の才を活かす活躍が続けばA代表入りも見えてくるのではないか。
伊東純也
日本サッカー史上最高のFWなのではないかとの雰囲気が漂ってきた。
30歳になっても衰えない縦への格段のスピード、そしてトップスピードで長駆しながらブレないトラップの精度がすばらしい。あの高速下の高精度のボールコントロールを見ていると、伊東をトップ下にして久保を右サイドに配した方が、もっと日本は点をとれるように思うのは、私だけか。
三苫薫
川崎時代の活躍を考えれば、プレミアでの圧倒的存在感は不思議ではない。
ただ、私は意地が悪いので、この世界最高級のウィングプレイヤを、長期に渡り代表のレギュラとしてこなかった理由を、森保氏に問いたい。
FW
大迫勇也
やはり今年のCFは上田綺世でも古橋亨梧でもなく、このお方でしょう。優美なテクニシャンに得点力が戻ってきた。
ただ、私は意地が悪いので、この日本サッカー史上屈指の優美なストライカを、カタールW杯代表に選ばなかった理由を、森保氏に問いたい。
余談ながら…
百花繚乱の感がある代表の攻撃的MF。上記の通り、伊東純也は日本サッカー史上最大のFWではないかと思わせる存在感だし、三苫薫は世界屈指のウィングだ。そんな中、久保建英、鎌田大地、堂安律が並立し、凄絶なポジション争いを演じている。そんな中、最近の久保は東京五輪やカタールW杯での独善的が過ぎるプレイがなくなり、レアル・ソシエダでも代表でも見事な攻撃の牽引ぶり。鎌田のドイツ戦での気の利いたポジショニングは見事なものだった。代表での評価が落ちたと揶揄される堂安だが、序盤押し込まれていたトルコ戦で独特のキープで最初に作った好機で伊藤敦樹の得点を演出した場面など大したものだった。結構な時代になったものだが、やはりベスト11となると、ルヴァンカップ決勝の紺野和也かなと思いました。
2023年07月27日
ベガルタの伊藤彰氏退任問題について(精神論)
いささか時間が経ってしまったが。ベガルタ仙台は、伊藤彰監督退任を発表。そして、後任はコーチングスタッフから堀孝史氏が昇格。さらに日をおいて渋谷コーチも辞任。伊藤氏退任後もつらい試合が続いている。まずは精神論を語りたい。
整理しましょう。
伊藤氏は事実上の成績不振による解任。
指導者として多彩な経験を持ち、レッズやヴェルディで苦境時の短期監督経験もある堀氏が急場をしのぐ監督を引き受けてくれた(いや、堀氏はレッズで、アジアチャンピオン獲得したのだから日本屈指の実績と称えられるべき指導者だが)。
また、伊藤氏のコーチングスタッフを複数回務めていた渋谷氏。辞任直後に古巣の大宮アルディージャのコーチに就任。これはこれで一つの別れと言うことだろう(大宮の監督が、昨シーズンベガルタの監督を務めていた原崎氏なのはさておき)。
まずは、伊藤氏、渋谷氏に、我が愛するクラブの強化に心血を注いでくれたことに感謝を表したい。勝点を失った試合でも、伊藤氏が選手と一緒にサポータ席に挨拶に来てくれて、丁寧に頭を下げてくれたことは忘れ難い思い出となっている。
残念ながら、伊藤氏退任は短期的には効果を生んでいない。退任以降、ベガルタ仙台は金沢、東京Vに連敗。天皇杯を除いた(そのあたりは後述する)伊藤氏退任前の5試合は2分3敗(勝点2、得点4、失点12、1試合平均とすると勝点0.4、得点0.8、失点2.4)、堀氏就任後の2試合は2敗(勝点0、得点4、失点6、1試合平均すると勝点0、得点2、失点3)。まあ、堀氏就任以降、改善もしていないが、その前もひどかった。最近の7試合で失点18(1試合平均2.6失点)なのだから。
ベガルタの経営層としては、過去甲府で見事な実績を挙げた伊藤監督を昨シーズン終盤に迎え入れることに成功。さらに、このオフによい選手を多数集めることができた。伊藤氏が、甲府で作り上げた、しっかり組立てるサッカーをユアテックで再現。堂々とJ1復帰、さらにはJ1での成功を期待していたのだろう(いや、サポータもそう期待していました)。先日、社長交代が行われたのはさておき。
しかし、思うに任せないのがサッカーの常。この切歯扼腕が、サポータ冥利と言うものだが、経営をしている方々は、そう悠長なことを語れなかったのかもしれない。悪い流れをとにかく変えて、少しでも今シーズンでのJ1昇格の可能性を高めようとする判断で、監督変更を決断したのだろう。
もっとも。
伊藤氏退任のタイミングも自嘲的に微苦笑したくなる。退任直前の試合は天皇杯名古屋戦。映像を観る機会がなかったが、J1屈指の強豪に敵地で引き分け(PK負けで次ラウンドに進めず)。さらにその数日前のリーグ戦の栃木戦は、引き分けに終わったし戦術的な課題もあったが、敵地で選手達がすさまじい気迫を見せた興奮させてくれる試合だった。このような良好な2試合直後に、それを率いた監督を退任させる意味があったのだろうか。いや、もっとハッキリ言いましょう。ベガルタ経営陣は、伊藤氏解任を栃木戦前に決めていたのだろうが、各種手続きに時間がかかり、伊藤氏率いるチームがよい試合を見せた後の正式意思決定になったのではないかと。悲しいくらいのスピード感の無さではないか。いや、邪推しているだけですけれども。
その直後にチームを率いることになった堀氏、つらいところだ。
一方で、これで過去4シーズンに渡り、1年以下で監督をクルクル交代させていることになる。一般論として、監督を頻繁に代えることがチームの強化や好成績にはつながらないのは言うまでもない。
20年シーズン後J1下位低迷で木山氏を解任、21年シーズン終盤J2降格確定し手倉森氏を解任、22年シーズン後半に入ったところでJ1昇格が難しくなったところで原崎氏を解任、そして今年の23年シーズン半ばで伊藤氏を解任。こうやって整理すると、毎シーズン監督を解任しているのみならず、解任サイクルが短くなっているのだから、どんどん悪くなっていると語るべきなのか。
もう20年近く前になるか。清水秀彦氏の自転車操業でJ1昇格、その継続が叶わなくなりJ2降格。それ以降の数年間の迷走が懐かしく思い出されるな。算数のできない監督とか、後日セレソンとなる優秀なタレントがいてもとか。そして、あの磐田の夜の涙。
以降の望外の大成功は、手倉森誠氏、渡邉晋氏と言う、格段の指導者に長期を委ねたことにあったのだが。
ともあれ、身も蓋もない一般論。サッカーの監督人事は永遠の酒の肴。何が正しいか正しくないかは、結果論で語るしかない。そもそも監督人事とチームの成績の関係は非線形。よい監督とよい選手を集めれば好成績を収めることができるとは言えないところが、とにかく厄介なのだ。もちろん、戦闘能力が充実していた名古屋やG大阪をJ2に陥落させた直接要因となった監督が無能だったのは間違いない。しかし、ここまで質の低い監督が登場する事例は極めて稀だろう。
どんな優秀な監督でも、チームとの相性というものがある。過去Jリーグの多くのクラブで成功を収め、今では、日本協会の重職を務めている名将が、北京五輪で大変残念な監督振りだったのが、典型的事例。
繰り返そう。過去実績のあるよい監督を招聘し、よい選手を多数補強。それでも勝てない。さらには、経営層の短期的視野から、さらに事態が悪化する。これこそ、サポータ冥利。だからサッカーはやめられないのだ。
でも俺は絶対に諦めない。まだ間に合う。堀さんよ、選手たちよ。今から丹念に勝点を積み上げ、来季はJ1で戦おう。
整理しましょう。
伊藤氏は事実上の成績不振による解任。
指導者として多彩な経験を持ち、レッズやヴェルディで苦境時の短期監督経験もある堀氏が急場をしのぐ監督を引き受けてくれた(いや、堀氏はレッズで、アジアチャンピオン獲得したのだから日本屈指の実績と称えられるべき指導者だが)。
また、伊藤氏のコーチングスタッフを複数回務めていた渋谷氏。辞任直後に古巣の大宮アルディージャのコーチに就任。これはこれで一つの別れと言うことだろう(大宮の監督が、昨シーズンベガルタの監督を務めていた原崎氏なのはさておき)。
まずは、伊藤氏、渋谷氏に、我が愛するクラブの強化に心血を注いでくれたことに感謝を表したい。勝点を失った試合でも、伊藤氏が選手と一緒にサポータ席に挨拶に来てくれて、丁寧に頭を下げてくれたことは忘れ難い思い出となっている。
残念ながら、伊藤氏退任は短期的には効果を生んでいない。退任以降、ベガルタ仙台は金沢、東京Vに連敗。天皇杯を除いた(そのあたりは後述する)伊藤氏退任前の5試合は2分3敗(勝点2、得点4、失点12、1試合平均とすると勝点0.4、得点0.8、失点2.4)、堀氏就任後の2試合は2敗(勝点0、得点4、失点6、1試合平均すると勝点0、得点2、失点3)。まあ、堀氏就任以降、改善もしていないが、その前もひどかった。最近の7試合で失点18(1試合平均2.6失点)なのだから。
ベガルタの経営層としては、過去甲府で見事な実績を挙げた伊藤監督を昨シーズン終盤に迎え入れることに成功。さらに、このオフによい選手を多数集めることができた。伊藤氏が、甲府で作り上げた、しっかり組立てるサッカーをユアテックで再現。堂々とJ1復帰、さらにはJ1での成功を期待していたのだろう(いや、サポータもそう期待していました)。先日、社長交代が行われたのはさておき。
しかし、思うに任せないのがサッカーの常。この切歯扼腕が、サポータ冥利と言うものだが、経営をしている方々は、そう悠長なことを語れなかったのかもしれない。悪い流れをとにかく変えて、少しでも今シーズンでのJ1昇格の可能性を高めようとする判断で、監督変更を決断したのだろう。
もっとも。
伊藤氏退任のタイミングも自嘲的に微苦笑したくなる。退任直前の試合は天皇杯名古屋戦。映像を観る機会がなかったが、J1屈指の強豪に敵地で引き分け(PK負けで次ラウンドに進めず)。さらにその数日前のリーグ戦の栃木戦は、引き分けに終わったし戦術的な課題もあったが、敵地で選手達がすさまじい気迫を見せた興奮させてくれる試合だった。このような良好な2試合直後に、それを率いた監督を退任させる意味があったのだろうか。いや、もっとハッキリ言いましょう。ベガルタ経営陣は、伊藤氏解任を栃木戦前に決めていたのだろうが、各種手続きに時間がかかり、伊藤氏率いるチームがよい試合を見せた後の正式意思決定になったのではないかと。悲しいくらいのスピード感の無さではないか。いや、邪推しているだけですけれども。
その直後にチームを率いることになった堀氏、つらいところだ。
一方で、これで過去4シーズンに渡り、1年以下で監督をクルクル交代させていることになる。一般論として、監督を頻繁に代えることがチームの強化や好成績にはつながらないのは言うまでもない。
20年シーズン後J1下位低迷で木山氏を解任、21年シーズン終盤J2降格確定し手倉森氏を解任、22年シーズン後半に入ったところでJ1昇格が難しくなったところで原崎氏を解任、そして今年の23年シーズン半ばで伊藤氏を解任。こうやって整理すると、毎シーズン監督を解任しているのみならず、解任サイクルが短くなっているのだから、どんどん悪くなっていると語るべきなのか。
もう20年近く前になるか。清水秀彦氏の自転車操業でJ1昇格、その継続が叶わなくなりJ2降格。それ以降の数年間の迷走が懐かしく思い出されるな。算数のできない監督とか、後日セレソンとなる優秀なタレントがいてもとか。そして、あの磐田の夜の涙。
以降の望外の大成功は、手倉森誠氏、渡邉晋氏と言う、格段の指導者に長期を委ねたことにあったのだが。
ともあれ、身も蓋もない一般論。サッカーの監督人事は永遠の酒の肴。何が正しいか正しくないかは、結果論で語るしかない。そもそも監督人事とチームの成績の関係は非線形。よい監督とよい選手を集めれば好成績を収めることができるとは言えないところが、とにかく厄介なのだ。もちろん、戦闘能力が充実していた名古屋やG大阪をJ2に陥落させた直接要因となった監督が無能だったのは間違いない。しかし、ここまで質の低い監督が登場する事例は極めて稀だろう。
どんな優秀な監督でも、チームとの相性というものがある。過去Jリーグの多くのクラブで成功を収め、今では、日本協会の重職を務めている名将が、北京五輪で大変残念な監督振りだったのが、典型的事例。
繰り返そう。過去実績のあるよい監督を招聘し、よい選手を多数補強。それでも勝てない。さらには、経営層の短期的視野から、さらに事態が悪化する。これこそ、サポータ冥利。だからサッカーはやめられないのだ。
でも俺は絶対に諦めない。まだ間に合う。堀さんよ、選手たちよ。今から丹念に勝点を積み上げ、来季はJ1で戦おう。
2023年02月19日
Jリーグ30周年
Jリーグ30周年。
62歳の私だが、人生の半分近くJリーグがある生活を続けていたことになる。いや、物心ついた後と言う視点ならば、もう半分以上だな。
気がついて見れば、全国ほとんどの地域でプロフェッショナルのサッカークラブが存在。日本中の仲間が毎週末、病膏肓w愛するクラブの上下動を堪能する事態とあいなった。言い換えれば、何より楽しいサッカーと言う娯楽が、日本中に広がり多くの地域の人々の週末の楽しみになったと言うことだな。若い方々には理解できないかもしれないが、90年代以前日本にはそのような娯楽がまったく存在しなかったのだ。プロ野球や相撲は、地方都市への娯楽提供と言う視点は全く欠落していた。Jリーグが、日本の文化すべてを大きく変えたと言っても、言い過ぎではない。このあたりは過去も随分語ったきたし、今後も語っていくつもりだ。
そして、我がベガルタ仙台は明日の敵地町田戦が開幕。飲みながらSNS見ていると、全世界のベガルタサポータの友人たちが、みな町田に集結するみたいだ。友との再会、圧倒的に強化された愛するクラブ、町田の方々のホスピタリティ。もうワクワク感が最高で堪えられない。妻と「よし、明日は鶴川駅から1時間歩くぞ!」などと盛り上がるのも楽しい。
しかも多くのクラブはこの金曜土曜で開幕試合体験済み、多くの友人が既に初戦を戦い、己のクラブの歓喜と痛恨を嬉しそうに語ってくれているから、単純にうらやましい。
ああ、我慢できない。
考えてみれば、こんな緊張感はあのクロアチア戦以来ではないか。あのPK戦後、一歩一歩階段を上がって競技場を去る時の胸の張り裂けそうな思い。
Jリーグ30周年視点で考えて見れば、日本代表も、J開幕前年の92年アジアカップ制覇以降、常にアジア屈指の強豪となったわけだ。そして、W杯でも上下動はあったものの着実に地位を築いてきた。そして、ドーハでは、世界のどんな強豪とも互角に戦うことができた。だからこそ、あのクロアチア戦の悔しさは癒えることはないのだけれども。
もちろんJリーグができず、大昔のJSLが継続していても、日本代表がアジア予選でモタモタしていも、私はサッカーを存分に楽しんでいたことだろう。勝とうが負けようが、サッカーは最高だからだ。
でも、サッカーを楽しむ友が多数いてくれて、世界中の仲間に自分のクラブと代表チームをポジティブに自慢できるに越したことはない。
何回でも何回でも言う。
こんなステキな人生を楽しむことができるなんて、若い頃想像すらできなかった。
ともあれ、まずは突然金満クラブとなった町田を叩き潰すのだ!
62歳の私だが、人生の半分近くJリーグがある生活を続けていたことになる。いや、物心ついた後と言う視点ならば、もう半分以上だな。
気がついて見れば、全国ほとんどの地域でプロフェッショナルのサッカークラブが存在。日本中の仲間が毎週末、病膏肓w愛するクラブの上下動を堪能する事態とあいなった。言い換えれば、何より楽しいサッカーと言う娯楽が、日本中に広がり多くの地域の人々の週末の楽しみになったと言うことだな。若い方々には理解できないかもしれないが、90年代以前日本にはそのような娯楽がまったく存在しなかったのだ。プロ野球や相撲は、地方都市への娯楽提供と言う視点は全く欠落していた。Jリーグが、日本の文化すべてを大きく変えたと言っても、言い過ぎではない。このあたりは過去も随分語ったきたし、今後も語っていくつもりだ。
そして、我がベガルタ仙台は明日の敵地町田戦が開幕。飲みながらSNS見ていると、全世界のベガルタサポータの友人たちが、みな町田に集結するみたいだ。友との再会、圧倒的に強化された愛するクラブ、町田の方々のホスピタリティ。もうワクワク感が最高で堪えられない。妻と「よし、明日は鶴川駅から1時間歩くぞ!」などと盛り上がるのも楽しい。
しかも多くのクラブはこの金曜土曜で開幕試合体験済み、多くの友人が既に初戦を戦い、己のクラブの歓喜と痛恨を嬉しそうに語ってくれているから、単純にうらやましい。
ああ、我慢できない。
考えてみれば、こんな緊張感はあのクロアチア戦以来ではないか。あのPK戦後、一歩一歩階段を上がって競技場を去る時の胸の張り裂けそうな思い。
Jリーグ30周年視点で考えて見れば、日本代表も、J開幕前年の92年アジアカップ制覇以降、常にアジア屈指の強豪となったわけだ。そして、W杯でも上下動はあったものの着実に地位を築いてきた。そして、ドーハでは、世界のどんな強豪とも互角に戦うことができた。だからこそ、あのクロアチア戦の悔しさは癒えることはないのだけれども。
もちろんJリーグができず、大昔のJSLが継続していても、日本代表がアジア予選でモタモタしていも、私はサッカーを存分に楽しんでいたことだろう。勝とうが負けようが、サッカーは最高だからだ。
でも、サッカーを楽しむ友が多数いてくれて、世界中の仲間に自分のクラブと代表チームをポジティブに自慢できるに越したことはない。
何回でも何回でも言う。
こんなステキな人生を楽しむことができるなんて、若い頃想像すらできなかった。
ともあれ、まずは突然金満クラブとなった町田を叩き潰すのだ!
2023年01月03日
新潟医療福祉大のオナイウ情滋を楽しむ
ベガルタに入団するオナイウ情滋が所属する新潟医療福祉大が、元日に行われた大学選手権決勝戦(対桐蔭横浜大)に進出。国立競技場で観戦した。情滋応援団として、ベガルタサポータの仲間たちと一緒に応援できたのも楽しかった。さらに偶然、我々の席のすぐそばに、新潟のジェフ入団決定済みの小森飛絢を応援するジェフサポの方もいて、それも嬉しかった。
大学サッカー観戦は久々、1試合だけの観戦で大学サッカー云々と語るのは危険なので、あくまでも大学トップレベルの1試合を見ての感想について講釈を。
一言で言って、相互の狙いが、とにかく単調なのに驚かされた。
お互い、中盤でつなげる技巧もタイミングの理解もあるのに、負けるのを怖がってか、縦にロングボールを蹴ってしまう。一方、守備側は裏を突かれるのを怖がり、ラインを上げ切れない。結果的に不正確なロングボールが両サイドに飛べば、それなりに好機となる。
そうこうしているうちに、前半、FK崩れから情滋がミドルシュート、敵DFに当たったこぼれを大柄なストライカの田中翔太が詰め、新潟が先制。情滋のシュートは、少々当たり損ね感があったが、とにかく枠に飛んでいたのだから、よしとしようか。
直後、左サイド(新潟から見て)を崩され中央混戦から同点とされる。桐蔭の2トップはフロンターレ行きが決まっている山田新(川崎ユース出身、来季から出戻りが決まっているわけだな)と、ホーリーホック入りが決まっている寺沼星文。ペナルティエリアにボールが入ると、この2人のボールコントロールがよく、それだけで好機を作られてしまう。序盤から左サイド(新潟から見て)で巧みな位置取りをする井出真太郎(横浜Mのユース出身)への対応に苦慮していたが、完全に崩されてしまった。
その後、新潟はサイドバック神田悠成のロングスローを、CB秋元琉星がすらしCB二階堂正哉が決めて突き放す。3人とも青森山田出身なのには、なるほど感がありましたが、とにかく、2-1で前半終了。
新潟は後半序盤は、リードして落ち着いたのだろう。短いパスを中盤でつなぐようになる。特に左サイドで丁寧につないで、桐蔭守備をひきつけてサイドチェンジ。情滋がフリーでボールを受け、幾度か好機を作る。もっとも、情滋はフリーのミドルシュートが枠に飛ばなかったり、中央突破を試みながら身体を入れ損ね簡単にボールを奪われるなど、ベガルタサポータからすると「おい、こら」と言う場面も見受けられたw。いや私が「もっと、がんばらんかい!」と思わず語ると、周りのベガルタサポータの方々が、楽しそうに失笑してくれたけれどw。
ところが、新潟は後半半ば以降、勝ちを意識したのだろうか、落ち着いてつなぐことがなくなり、再び縦パスに頼ることになってきた。そうなると、結果的に桐蔭に簡単にボールを渡し、幾度も攻め返されることになる。上記の通り、桐蔭の2トップは技巧も持ち堪えも巧み。簡単に桐蔭にボールを渡し、前線に差し込まれると、それだけで危ない場面となってしまう。そうこうしているうちに、75分過ぎに同点とされる。 同点となれば、少しは落ち着くかと期待したが、その後も同様の展開。新潟が単調なロングボールを蹴り、そこから桐蔭が好機をつかむ時間帯が継続する。それでも試合は同点のまま進み、アディショナルタイム。桐蔭の決定機を新潟GK桃井がファインセーブ、その直後のCKもしのぎ、桃井のゴールキック。ここでまったく時間は残っていないのに、桃井は単純にロングボールを蹴ってしまう、それを跳ね返され、桐蔭の逆襲速攻、エース山田に強烈な一撃を食らった。試合運びとすれば、あまりに稚拙。若い学生チームとすれば、やむを得ないのだろうか。
桐蔭関係者(川崎や水戸の関係者もそうでしょうが)からすれば感動的勝利だったことでしょう。新潟関係者としては、たまったものではありませんでしたが。
オナイウ情滋は、ボールを持てば多彩な攻撃の起点になれる。強引に縦に抜け出した直後、少々体勢が悪くとも高精度の右クロスを上げることができる。敵DFがウェイティングしようとすると、「縦に抜け出すぞ」と脅しDFの腰を引かせた上で、中に切り返したり、周囲にパスを出したり、色々な変化も作れる。また、右足のインフロントキックで蹴るプレイスキックも魅力的。球足は速いし、相当カーブもかかるし、精度も中々だった。しかし、少なくともこの試合ついては、ボールに触る回数が少な過ぎた。もちろん、桐蔭も情滋を相当警戒していたのは間違いない。しかし、エースなのだから、もっともっとボールにからみ、勝利に貢献しようとすることは責務のはずだ。情滋本人の受けのアイデアと周囲への要求それぞれに課題があったのだ。大学サッカーでの最後の最後の試合で、情滋はそこまで自分を活かすための工夫までは築き上げることができなかった、と言うことなのだろう。
さらに言えば、守備面での不満も多かったのだが、まあいいや。まずは得意のプレイの頻度が少なかったことが課題だな。そして、この決勝戦程度しか、攻撃面で貢献できなかったのを見ると、ベガルタですぐに定位置を奪ったり、効果的なプレイをするのは簡単ではないように思える。
などと、若い選手に愚痴を語るのは、何とも言えず楽しい。願わくば、私の見立てがはずれていることを。まずはしっかり休み、気持ちも体調も整え、キャンプに向かって下さい。
大学サッカー観戦は久々、1試合だけの観戦で大学サッカー云々と語るのは危険なので、あくまでも大学トップレベルの1試合を見ての感想について講釈を。
一言で言って、相互の狙いが、とにかく単調なのに驚かされた。
お互い、中盤でつなげる技巧もタイミングの理解もあるのに、負けるのを怖がってか、縦にロングボールを蹴ってしまう。一方、守備側は裏を突かれるのを怖がり、ラインを上げ切れない。結果的に不正確なロングボールが両サイドに飛べば、それなりに好機となる。
そうこうしているうちに、前半、FK崩れから情滋がミドルシュート、敵DFに当たったこぼれを大柄なストライカの田中翔太が詰め、新潟が先制。情滋のシュートは、少々当たり損ね感があったが、とにかく枠に飛んでいたのだから、よしとしようか。
直後、左サイド(新潟から見て)を崩され中央混戦から同点とされる。桐蔭の2トップはフロンターレ行きが決まっている山田新(川崎ユース出身、来季から出戻りが決まっているわけだな)と、ホーリーホック入りが決まっている寺沼星文。ペナルティエリアにボールが入ると、この2人のボールコントロールがよく、それだけで好機を作られてしまう。序盤から左サイド(新潟から見て)で巧みな位置取りをする井出真太郎(横浜Mのユース出身)への対応に苦慮していたが、完全に崩されてしまった。
その後、新潟はサイドバック神田悠成のロングスローを、CB秋元琉星がすらしCB二階堂正哉が決めて突き放す。3人とも青森山田出身なのには、なるほど感がありましたが、とにかく、2-1で前半終了。
新潟は後半序盤は、リードして落ち着いたのだろう。短いパスを中盤でつなぐようになる。特に左サイドで丁寧につないで、桐蔭守備をひきつけてサイドチェンジ。情滋がフリーでボールを受け、幾度か好機を作る。もっとも、情滋はフリーのミドルシュートが枠に飛ばなかったり、中央突破を試みながら身体を入れ損ね簡単にボールを奪われるなど、ベガルタサポータからすると「おい、こら」と言う場面も見受けられたw。いや私が「もっと、がんばらんかい!」と思わず語ると、周りのベガルタサポータの方々が、楽しそうに失笑してくれたけれどw。
ところが、新潟は後半半ば以降、勝ちを意識したのだろうか、落ち着いてつなぐことがなくなり、再び縦パスに頼ることになってきた。そうなると、結果的に桐蔭に簡単にボールを渡し、幾度も攻め返されることになる。上記の通り、桐蔭の2トップは技巧も持ち堪えも巧み。簡単に桐蔭にボールを渡し、前線に差し込まれると、それだけで危ない場面となってしまう。そうこうしているうちに、75分過ぎに同点とされる。 同点となれば、少しは落ち着くかと期待したが、その後も同様の展開。新潟が単調なロングボールを蹴り、そこから桐蔭が好機をつかむ時間帯が継続する。それでも試合は同点のまま進み、アディショナルタイム。桐蔭の決定機を新潟GK桃井がファインセーブ、その直後のCKもしのぎ、桃井のゴールキック。ここでまったく時間は残っていないのに、桃井は単純にロングボールを蹴ってしまう、それを跳ね返され、桐蔭の逆襲速攻、エース山田に強烈な一撃を食らった。試合運びとすれば、あまりに稚拙。若い学生チームとすれば、やむを得ないのだろうか。
桐蔭関係者(川崎や水戸の関係者もそうでしょうが)からすれば感動的勝利だったことでしょう。新潟関係者としては、たまったものではありませんでしたが。
オナイウ情滋は、ボールを持てば多彩な攻撃の起点になれる。強引に縦に抜け出した直後、少々体勢が悪くとも高精度の右クロスを上げることができる。敵DFがウェイティングしようとすると、「縦に抜け出すぞ」と脅しDFの腰を引かせた上で、中に切り返したり、周囲にパスを出したり、色々な変化も作れる。また、右足のインフロントキックで蹴るプレイスキックも魅力的。球足は速いし、相当カーブもかかるし、精度も中々だった。しかし、少なくともこの試合ついては、ボールに触る回数が少な過ぎた。もちろん、桐蔭も情滋を相当警戒していたのは間違いない。しかし、エースなのだから、もっともっとボールにからみ、勝利に貢献しようとすることは責務のはずだ。情滋本人の受けのアイデアと周囲への要求それぞれに課題があったのだ。大学サッカーでの最後の最後の試合で、情滋はそこまで自分を活かすための工夫までは築き上げることができなかった、と言うことなのだろう。
さらに言えば、守備面での不満も多かったのだが、まあいいや。まずは得意のプレイの頻度が少なかったことが課題だな。そして、この決勝戦程度しか、攻撃面で貢献できなかったのを見ると、ベガルタですぐに定位置を奪ったり、効果的なプレイをするのは簡単ではないように思える。
などと、若い選手に愚痴を語るのは、何とも言えず楽しい。願わくば、私の見立てがはずれていることを。まずはしっかり休み、気持ちも体調も整え、キャンプに向かって下さい。
2022年12月31日
2022年10大ニュース
恒例の10大ニュースです。カタールワールドカップについて、まだ何も書けていないので迫力に欠けることこの上ないのですが、今年の重要事項を自分なりに整理しました。11、12月にワールドカップを堪能してしまうと、あまりにその影響が強すぎるのですけれど、何とかまとめました。
1. 日本代表ベスト8 ならず
できればこの正月休みのうちに、日本代表についても、ワールドカップ全体についても、まとめたい。
今はただ、クロアチア戦の苦杯は、とにかく悔したかったと言うことだけ。今回こそは、今回こそは、と思ったけれど勝ち切れず。とにかく悔しい。繰り返すが悔しい。何度でも言うが悔しい。ドイツやスペインはやっつけたけど、悔しいのだ。
一方で。今は私は62歳、何となく大会前から、死ぬ前に一度はベスト4を体験できるのではないかと思っていた。そして、それを希望ではなく、確信できたのがこの大会かなとは思う。たとえ、それが錯覚で自惚れだとしても。
でも、延長前半の三笘のシュートが、もう少しポスト寄りに飛んでいればとは思うけれど…
2. ヴァンフォーレ甲府の日本一
日本で最も歴史の古いクラブチームの一つ、ヴァンフォーレ甲府が天皇杯制覇、初めての日本一の栄冠を獲得した。歴史的偉業と語られ続けるべきだろう。
甲府の前進の甲府クラブの事実上の設立は1965年と言う。甲府クラブは1972年のJSL2部設立時に参加以降、常にJ1、J2、JFL、JSL2部のいずれかで戦っている。設立は読売クラブより古く、継続的に活動している純粋なクラブとしては神戸FCと並ぶ歴史を誇る。もちろん、日本中にあるいわゆる学校のOBチームで、より古い歴史を持つクラブはあるかもしれないが、トップリーグで高い続けている歴史は圧倒的だ。特に90年代後半、プロ化を決断した直後に大きな経営危機を迎えるが、関係者の血の滲むような努力で回避。人口が決して多くない地方クラブとして自立に成功。さらに複数年にわたりJ1で戦うなど、日本中の地方クラブの象徴とも目標とも言える存在となっている。
またカタールで戦った日本代表のエース伊東純也は、甲府でプロのキャリアをスタートさせたことも特筆されるべきだろう。
その甲府が天皇杯制覇。それもサンフレッチェ広島と戦った決勝の勝ち方が鮮やかだった。先制に成功するが終了間際に追いつかれて延長に。延長でも丹念に守っていたが、116分にチームのレジェンド山本英臣が痛恨のハンドでPKを与える。そのPK河田晃兵が止めPK戦に。PK戦で最後に山本が決めると言う劇的勝利。
来シーズン、甲府はACLを戦える。「J2で苦しい戦いになる」とか「ACL出場権をカップ戦王者に与えてよいのか」と、サッカーをわかっていない輩が余計なことを言うが、言いたい奴には言わせておけばよい。難しいシーズンにはなろうが、国際試合で戦う権利は、勝者にしか与えられないのだから。
この決勝戦ですっかり悪役となってしまったサンフレッチェ広島。こちらは森保監督時代に3回J1制覇をしているが、カップ戦は幾度か決勝進出はあったが優勝はなかった(もっとも、前身のマツダ(東洋工業)時代には1960年代は複数回天皇杯制覇しているが)。今回も決勝で苦杯を喫し、「またか」感ががあった。しかし、1週間後に行われたルヴァンカップ決勝セレッソ戦、セレッソに退場者が出たこともあり、アディショナルタイムの連続得点での逆転勝利。劇的なルヴァンカップ制覇となったのも付記しておこう。
3. 横浜マリノスと川崎フロンターレの覇権争い
ここ数年、優勝争いを演じている両チーム。今年は横浜Mが川崎を振り切った。疫病禍下でACLも合わせて戦わなければ難しいシーズン。
韓国に快勝するなど実に気持ちよい優勝を演じてくれたE-1東アジア選手権の中軸は今年の横浜M、水沼宏太や岩田智輝の知性あふれるプレイはすばらしかった。老人としては、30歳過ぎて日本代表に到達した水沼宏太に、かつての水沼貴史の面影を見て感涙ものだったのだが。
もっとも、川崎サポータはこのチームの中核は谷口彰悟だったと語り、カタールの日本代表は、谷口の他に、板倉滉、山根視来、田中碧、守田英正、三笘薫と川崎出身選手が中軸だったと主張するだろうが。
リーグ戦が終わってみれば、この2チームの後ろに、新監督スキッベ氏が機能した広島が続き、監督問題で苦労したが優秀な選手を多数抱える鹿島が続いた。まあ妥当な結果なのかなとは思う。海外への選手流出が続くJリーグだが、丹念にクラブの経営規模を拡大し、丹念な強化を継続しているチームが常に上位をうかがっている。野心的に上位を目指す各クラブにも、適切な目標が提示されている形態は健全な状況に思える。
4. J2山形対岡山戦再試合
J2モンテディオ山形対ファジアーノ岡山戦で、主審のルール適用ミスがあり、Jリーグ当局は再試合と裁定した。私はこの裁定が間違っていないとは思うが、サッカーのルールと裁定が非常に難しくなったものだと嘆息した次第。上記リンクは非常によく整理されており、経緯は以下だと理解できる。
(1) 主審がルール誤適用をして山形GKが退場、山形は約80分間10人での戦いを余儀なくされ敗戦
(2) Jリーグ当局がIFABに問い合わせたところ、「ルール誤適用の場合は『主審の試合決定が最終』とは言えない」と回答受領
(3) ルール誤適用についてJFAもJリーグも規定なく、試合成否決定という重要事案なので理事会で議論し、再試合とした
実はこの誤適用となったルール追加は約2年前のこと。キーパがゴールキックやFKをペナルティエリア内で蹴り、それがミスにつながり敵が決定的チャンスを掴んだ場合などに、キーパが他選手より先にボールに触ったら警告なり退場(退場はDOGSOのケース)と言うもの。一方で、バックパスを手で受けた場合は従来通り敵に間接FKが与えられるだけで警告も退場にもならない、とも同じ条項内で明記されている。そして今回は後者のケースにもかかわらず退場と誤適用してしまった。余談ながら、当時少年サッカーのコーチ仲間とこのルール変更が話題となり「そんな難しいこと、いちいち覚えてられないよねえw」と語り合ったものだった。
まず、私のような年寄りは「前者だろうが後者だろうが、そんな稀にしか起こらないことはルール化せず、主審の判断に任せてしまえ」と言いたくなる。しかし、昨今のルールの考え方は、全世界で?極力判定基準を揃えようとするもの。結果的に、本件のようにやたら細かい項目を考慮してルール化することになる。ついでに言うと、得点や決定機の阻止の退場についてはDOGSOを満たした場合と条件を具体化したのも、審判の仕事をやたら難しくすることとなっている。私のような底辺の4級審判員には、あまり縁のない世界だが、トップレベルの審判の方々には同情を禁じ得ない。
さらに、私のような年寄りは「主審の試合決定が最終であるべきだろう」と言いたくなる。しかし、ルールを詳細化することで、今回のように「後から考えたら誤適用」となるケースが出てくる。そうなると、「試合の最終決定を誤った判断をした主審に任せてよいのか」問題起こってしまい、今回のような騒ぎに発展してしまう。誤適用により主審の最終決定をくつがえす事例にはこんなことがあった(当時私も講釈を垂れた)。以降、ルールが一層複雑化しているのは言うまでもなく、このような事例が世界中で増えているのかもしれない。
加えて、私のような年寄りは「さてJ当局は、このような誤適用がシーズン終盤日程に余裕がない時に起こったならばどうしたのだい?」と言いたくなる。しかし、これはただ私が性格が悪いだけのことだな。誤適用で不利益をこうむった山形が負けていた以上、Jリーグ理事会が当該決定をしたことは正しいのだろう。
それにしても、厄介な時代になったものだ。
5. 名古屋グランパス虚偽報告
名古屋は、保健所の指導がなかったにもかかわらず、活動停止の指導があったと虚偽報告を行い、チェアマンに7/16に予定されていた川崎フロンターレ戦を中止させた。後日、それが判明、Jリーグ当局からけん責と罰金200万円の処罰が発表された。
上記リンクから、名古屋が行ってしまった虚偽報告と経緯を具体的に記載しば部分を抜粋するとおおむね下記となる(以下の抜粋では「名古屋グランパス」をすべて「名古屋」に読み替えた。
疫病禍下のリーグ戦を継続するのは、本当に難しいことが顕在化した事件と言えよう。J当局が上記の情状を考慮し、けん責と200万円罰金と言う処罰を決定したのも間違いとは思わない。本件については。
しかし、昨年の10大ニュースの筆頭でも議論した浦和への意味不明の懲罰とのバランスがまったく取れていない。事務手続きのミスはあったものの、結果的に誰にも迷惑をかけていない浦和は試合をなきものにされた。一方、(結果論からもしれないが)虚偽申告で多くの関係部門に迷惑をかけた名古屋は200万円の罰金にとどまった。
21年の浦和への裁定が間違っていたのだ。今からでもよい、Jリーグ当局は当時の誤りを認めるべきだろう。
6. ACLレッズ決勝進出と声出し罰金問題
浦和レッズがACLの決勝に進出。
それにしてもこのクラブの最近のカップ戦の強さには恐れ入る。15年天皇杯決勝進出、16年ルヴァン制覇、17年ACL制覇、18年天皇杯制覇、19年ACL決勝進出、21年天皇杯制覇、そして今回のACL決勝進出。20年は疫病禍が最も厳しい年だったので、天皇杯が特殊レギュレーションで行われたので例外的な年。そう考えると、毎年のように必ずカップ戦で決勝進出しているのだから、さすがだ。日本最大のサポータ集団に支えられた勝負強さとでも言おうか。実際、浦和のサポータの大声援はすばらしいと思うのだよね。もちろん、浦和サポータの友人と会話していると、彼らの悩みは深い。クラブの経済力を考慮すると、常にリーグ戦でも上位を争い、栄冠を掴むのを当然と思っているのだろうから。まあ、それはそれでステキな悩みですよね。
ところが、そのサポータ集団の一部をクラブが制御できない残念な事案から、2000万円と言う多額の罰金が浦和に課せられた。一部のサポータがマスクなしで、複数回声出し応援を行ったと言うものだ。カタールワールドカップを典型例に、海外ではマスクなしでの声出し応援が許可されている。しかし、その是非はさておき、Jでは声出し応援は禁止されていた。これはJ当局に賛同せざるを得ない。J当局の裁定を抜粋しておく。
あのすばらしいサポータ集団の一部に困った人々がいる残念な事態、何とか解決してほしい。
7. ジュビロの国際契約違反
事象としては単純だが、情報の多くが公表されていないので、非常にわかりづらい事件となっている。ともあれ、アジア王者となった実績もある歴史あるクラブが、事務手続きで決定的なミスを冒したわけで相当な事件である。
ジュビロが契約したファビアンゴンザレスが、その前にタイの別クラブと契約していたとの疑惑が濃厚。結果的に二重契約を行なったジュビロが、FIFAから常に厳しい制裁の決定を受領。ジュビロが、それを不服としてCAS(スポーツ仲裁裁判所)に異議申し立てを行なった。ジュビロは、このリリースで、本件の詳細について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)における審理に影響を及ぼす可能性がございますので、回答を控えさせていただきます。 と言及している。そのため、本件の経緯や詳細については、第三者の我々にはよくわからない。しかし、結果的にジュビロの異議申し立ては却下されたと言う。
この手の二重契約を防止するために、移籍の際に国際移籍証明が徹底されている。ここで引用したのは、日本協会のものだが、当然ながら他国でも同様の対応がとられているはず。どこかで大きな間違いが生まれたのだろうが、よくわからない。起こしてしまったことはしかたがない。改めて、何が起こったのか、どこで間違いがあったのか、適正な情報公開を期待したい。説明責任としての責務もあるし、これが再発防止につながる。
8. サッカー中継の将来、ABEMA
ワールドカップの放映権をABEMAが獲得したと聞いた時、「また新しい有料配信サービスにカネを払わなければならないのか」と思った。ところが、全部無料だったのには驚いた。考えてみれば、ABEMAで試合を見ている間、ハーフタイムや試合の合間には、そこから流れてくるCMを見ているのだから、民放テレビと同じではないか。「そうか配信サービスも無料での観戦は可能なのか」と改めて勉強した感がある。
カタール滞在中は、把握できなかったが、本田圭佑氏らの若々しい解説が、ABEMAでは好評だったとのこと。帰国後、準々決勝以降ABEMAの配信を楽しんだけれど、提携しているTV局の優秀なアナウンサ、豊富な解説陣、何ら既存のTV局と変わりなかった。本田圭佑氏の解説は松本育夫氏、松木安太郎氏の系譜を継ぐ本能型の解説でおもしろかった。故岡野俊一郎氏を起点とする、岡田武史氏・反町康治氏・戸田和幸氏・中村憲剛氏の流派だけではつまらないからね。いや、NHKが拘泥してるサッカーの魅力を矮小化するアテネ五輪代表監督のような外乱が登場しない分、安心して楽しめたかな。
冗談はさておき。我々はサッカー中継を見られればよいのであって、方式や媒体はどうでもよいのだと、改めて痛感した。今後のサッカー中継がどうなっていくのか、注視していきたい。
9. 山下氏ワールドカップ主審選考と女性審判のこれからと三笘の1mm
ワールドカップの審判として、山下良美氏が選考された。
山下氏はJ1及びACLの主審経験があり安定した判定は評価されているが、日本人の主審としてはトップとは言えない存在。また、大会では第4審を複数回務めたのみで、笛を吹く機会は訪れなかった。女性の優秀な審判と言うことでワールドカップの審判団に下駄を履かせた評価で選考されたが、現地での事前準備で笛を吹くところまでの評価を得られなかった、と言うことだろう。いささか失礼な評価となるが。ただし、女性審判と言う視点では、ドイツ対コスタリカをステファニー・フラパール氏を主審とする女性審判団が裁き、上々の評価を得た。
性別にかかわらずサッカーに携わってくれる人が増えるのは大歓迎だ。副審の場合は瞬間的な守備ライン上下動や逆襲速攻に対応する必要があるため、脚力の面から女性のハンディキャップがあるかもしれない。しかし主審ならば、展開の予測や位置取りの工夫やトレーニングによる運動量確保で、極端に不利になることはないのではないか。女性でトップレベルの審判を目指す人がもっと増えて質の高い経験を積めれば、上記のような失礼な表現が不要となる時代も来るだろう。
そう考えてみると、今大会話題になった画像処理による判定がトップレベルのサッカーに定着してくれば、女性副審でも脚力の弱点がカバーされる。個人的にはVARは相当改善の余地があると思うが(画像処理によるライン判定と、複数審判の連係による反則判断が、将来あるべき姿だと思うが)、技術の向上が間違いなく審判に必要な要素を変えていく。女性の審判進出もその一例だろうが、サッカーも変わっていくのだろう。
その典型が、あのスペイン戦の三笘の神業だったのだろう。三笘の1mmと言う歴史に残る妙技を、新技術が支えてくれたのだ。
10. 高校選手権決勝、青森山田対大津の両監督
約1年前となってしまったが。
高校選手権決勝は青森山田対大津。幾多の名選手を輩出した大津が、はじめて選手権の決勝にたどり着き、この世代で圧倒的強さを誇る青森山田と対戦。非常に興味あふれる試合となったが、4-0と青森山田の完勝。大津はまともにシュートにすら持ち込めなかった。
大津平岡和徳氏と青森山田黒田氏は日本のユース世代指導者としては代表的存在。平岡氏は巻誠一郎、植田直道、谷口彰悟、黒田氏は柴崎岳と言ったワールドカップ代表選手を育てている。
平岡氏は、言うまでもなく帝京高校出身。高校選手権で創意工夫を凝らした采配で勝ち切ることに執念を燃やし結果を出してきた古沼監督の弟子にあたる。しかし、この決勝では、特別な工夫すら行わず、戦闘能力で優位に立つ山田にまともに戦いに行き、木っ端微塵に粉砕された形となった。およそ、古沼先生の弟子とは思えない淡白な采配だった。もっとも、平岡氏は、トッププレイヤの育成や選手たちの人間教育に主眼を置き、師匠と異なり選手権での上位進出には拘泥していないのかもしれないのかもしれない。
一方で、このシーズンオフ、青森山田の監督を長年勤めていた黒田氏の町田ゼルビア監督就任が発表された。黒田氏率いる山田はプレミア、高校選手権など幾度も日本一を獲得、采配の実績は格段。また、青森山田中からの一環強化に見られる組織作りも相当の手腕。ユース世代の指導者として格段の成果を挙げていた黒田氏が、大人のクラブを率いるのは、大変興味深い。類似例としては、市立船橋で格段の成果を挙げた布啓一郎氏が思い起こされるが、トップレベルの指導者のキャリアメイクとしてどのようなことになるか、注視していきたい。
1. 日本代表ベスト8 ならず
できればこの正月休みのうちに、日本代表についても、ワールドカップ全体についても、まとめたい。
今はただ、クロアチア戦の苦杯は、とにかく悔したかったと言うことだけ。今回こそは、今回こそは、と思ったけれど勝ち切れず。とにかく悔しい。繰り返すが悔しい。何度でも言うが悔しい。ドイツやスペインはやっつけたけど、悔しいのだ。
一方で。今は私は62歳、何となく大会前から、死ぬ前に一度はベスト4を体験できるのではないかと思っていた。そして、それを希望ではなく、確信できたのがこの大会かなとは思う。たとえ、それが錯覚で自惚れだとしても。
でも、延長前半の三笘のシュートが、もう少しポスト寄りに飛んでいればとは思うけれど…
2. ヴァンフォーレ甲府の日本一
日本で最も歴史の古いクラブチームの一つ、ヴァンフォーレ甲府が天皇杯制覇、初めての日本一の栄冠を獲得した。歴史的偉業と語られ続けるべきだろう。
甲府の前進の甲府クラブの事実上の設立は1965年と言う。甲府クラブは1972年のJSL2部設立時に参加以降、常にJ1、J2、JFL、JSL2部のいずれかで戦っている。設立は読売クラブより古く、継続的に活動している純粋なクラブとしては神戸FCと並ぶ歴史を誇る。もちろん、日本中にあるいわゆる学校のOBチームで、より古い歴史を持つクラブはあるかもしれないが、トップリーグで高い続けている歴史は圧倒的だ。特に90年代後半、プロ化を決断した直後に大きな経営危機を迎えるが、関係者の血の滲むような努力で回避。人口が決して多くない地方クラブとして自立に成功。さらに複数年にわたりJ1で戦うなど、日本中の地方クラブの象徴とも目標とも言える存在となっている。
またカタールで戦った日本代表のエース伊東純也は、甲府でプロのキャリアをスタートさせたことも特筆されるべきだろう。
その甲府が天皇杯制覇。それもサンフレッチェ広島と戦った決勝の勝ち方が鮮やかだった。先制に成功するが終了間際に追いつかれて延長に。延長でも丹念に守っていたが、116分にチームのレジェンド山本英臣が痛恨のハンドでPKを与える。そのPK河田晃兵が止めPK戦に。PK戦で最後に山本が決めると言う劇的勝利。
来シーズン、甲府はACLを戦える。「J2で苦しい戦いになる」とか「ACL出場権をカップ戦王者に与えてよいのか」と、サッカーをわかっていない輩が余計なことを言うが、言いたい奴には言わせておけばよい。難しいシーズンにはなろうが、国際試合で戦う権利は、勝者にしか与えられないのだから。
この決勝戦ですっかり悪役となってしまったサンフレッチェ広島。こちらは森保監督時代に3回J1制覇をしているが、カップ戦は幾度か決勝進出はあったが優勝はなかった(もっとも、前身のマツダ(東洋工業)時代には1960年代は複数回天皇杯制覇しているが)。今回も決勝で苦杯を喫し、「またか」感ががあった。しかし、1週間後に行われたルヴァンカップ決勝セレッソ戦、セレッソに退場者が出たこともあり、アディショナルタイムの連続得点での逆転勝利。劇的なルヴァンカップ制覇となったのも付記しておこう。
3. 横浜マリノスと川崎フロンターレの覇権争い
ここ数年、優勝争いを演じている両チーム。今年は横浜Mが川崎を振り切った。疫病禍下でACLも合わせて戦わなければ難しいシーズン。
韓国に快勝するなど実に気持ちよい優勝を演じてくれたE-1東アジア選手権の中軸は今年の横浜M、水沼宏太や岩田智輝の知性あふれるプレイはすばらしかった。老人としては、30歳過ぎて日本代表に到達した水沼宏太に、かつての水沼貴史の面影を見て感涙ものだったのだが。
もっとも、川崎サポータはこのチームの中核は谷口彰悟だったと語り、カタールの日本代表は、谷口の他に、板倉滉、山根視来、田中碧、守田英正、三笘薫と川崎出身選手が中軸だったと主張するだろうが。
リーグ戦が終わってみれば、この2チームの後ろに、新監督スキッベ氏が機能した広島が続き、監督問題で苦労したが優秀な選手を多数抱える鹿島が続いた。まあ妥当な結果なのかなとは思う。海外への選手流出が続くJリーグだが、丹念にクラブの経営規模を拡大し、丹念な強化を継続しているチームが常に上位をうかがっている。野心的に上位を目指す各クラブにも、適切な目標が提示されている形態は健全な状況に思える。
4. J2山形対岡山戦再試合
J2モンテディオ山形対ファジアーノ岡山戦で、主審のルール適用ミスがあり、Jリーグ当局は再試合と裁定した。私はこの裁定が間違っていないとは思うが、サッカーのルールと裁定が非常に難しくなったものだと嘆息した次第。上記リンクは非常によく整理されており、経緯は以下だと理解できる。
(1) 主審がルール誤適用をして山形GKが退場、山形は約80分間10人での戦いを余儀なくされ敗戦
(2) Jリーグ当局がIFABに問い合わせたところ、「ルール誤適用の場合は『主審の試合決定が最終』とは言えない」と回答受領
(3) ルール誤適用についてJFAもJリーグも規定なく、試合成否決定という重要事案なので理事会で議論し、再試合とした
実はこの誤適用となったルール追加は約2年前のこと。キーパがゴールキックやFKをペナルティエリア内で蹴り、それがミスにつながり敵が決定的チャンスを掴んだ場合などに、キーパが他選手より先にボールに触ったら警告なり退場(退場はDOGSOのケース)と言うもの。一方で、バックパスを手で受けた場合は従来通り敵に間接FKが与えられるだけで警告も退場にもならない、とも同じ条項内で明記されている。そして今回は後者のケースにもかかわらず退場と誤適用してしまった。余談ながら、当時少年サッカーのコーチ仲間とこのルール変更が話題となり「そんな難しいこと、いちいち覚えてられないよねえw」と語り合ったものだった。
まず、私のような年寄りは「前者だろうが後者だろうが、そんな稀にしか起こらないことはルール化せず、主審の判断に任せてしまえ」と言いたくなる。しかし、昨今のルールの考え方は、全世界で?極力判定基準を揃えようとするもの。結果的に、本件のようにやたら細かい項目を考慮してルール化することになる。ついでに言うと、得点や決定機の阻止の退場についてはDOGSOを満たした場合と条件を具体化したのも、審判の仕事をやたら難しくすることとなっている。私のような底辺の4級審判員には、あまり縁のない世界だが、トップレベルの審判の方々には同情を禁じ得ない。
さらに、私のような年寄りは「主審の試合決定が最終であるべきだろう」と言いたくなる。しかし、ルールを詳細化することで、今回のように「後から考えたら誤適用」となるケースが出てくる。そうなると、「試合の最終決定を誤った判断をした主審に任せてよいのか」問題起こってしまい、今回のような騒ぎに発展してしまう。誤適用により主審の最終決定をくつがえす事例にはこんなことがあった(当時私も講釈を垂れた)。以降、ルールが一層複雑化しているのは言うまでもなく、このような事例が世界中で増えているのかもしれない。
加えて、私のような年寄りは「さてJ当局は、このような誤適用がシーズン終盤日程に余裕がない時に起こったならばどうしたのだい?」と言いたくなる。しかし、これはただ私が性格が悪いだけのことだな。誤適用で不利益をこうむった山形が負けていた以上、Jリーグ理事会が当該決定をしたことは正しいのだろう。
それにしても、厄介な時代になったものだ。
5. 名古屋グランパス虚偽報告
名古屋は、保健所の指導がなかったにもかかわらず、活動停止の指導があったと虚偽報告を行い、チェアマンに7/16に予定されていた川崎フロンターレ戦を中止させた。後日、それが判明、Jリーグ当局からけん責と罰金200万円の処罰が発表された。
上記リンクから、名古屋が行ってしまった虚偽報告と経緯を具体的に記載しば部分を抜粋するとおおむね下記となる(以下の抜粋では「名古屋グランパス」をすべて「名古屋」に読み替えた。
(前略)真実は管轄保健所から指導を受けたものではなく、名古屋の対応方針を是認されたものにすぎないのに、新型コロナウイルス感染者の多発により管轄保健所から同日から3日間の活動停止の指導を受けた旨をJリーグに報告し、チェアマンをして(中略)同試合の中止を決定させた。さらに上記リンクでは、名古屋の日程遵守義務回避疑念を厳しく追及している。
(前略)「Jリーグ新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン」(規約第3条の2)においては(中略)各Jクラブが虚偽を述べないことが大前提となっているところ、本件名古屋の行為はこの前提を揺るがすものである。(中略)公式試合は予め一部のJクラブのみが不利な日程にならないよう調整して日程が組まれており、特別の事情がない限り変更され、または中止されないことが原則である(中略)。そのため、各Jクラブは公式試合の日程遵守義務を負っているところ、虚偽報告により安易に日程遵守義務を回避したとの疑念を他のJクラブ、サポーター等に抱かれかねない事態を招いたことは、Jリーグの信用を大きく毀損するものである。ただし、J当局の調査によると、情状を考慮すべき点もあるとのこと。
一方で、弁護士等も交えた(中略)への聞き取り調査に基づき、名古屋が虚偽の報告を故意に行ったとは認められず、(中略)名古屋側が示したチームの活動停止の方針に保健所側が異議を唱えず、(中略)他クラブの直近の事例からしても、当時の名古屋の陽性者の広がりからすれば保健所から指導があり得ると考えても不自然とはいえない。また、その後の調査によれば、(中略)当時、名古屋はエントリー下限人数をもともと満たせていなかったことが客観的に明らかであるために、虚偽報告の有無にかかわらず、結果的に開催可否判断への影響が限定的であった。以上より、譴責と200万円の罰金が妥当との結論になったようだ。弁護士を交えた客観調査で、チーム内の実情は感染者が相当数出ていた。そのため、虚偽報告がなくとも、最終的にチェアマンが試合中止を判断した可能性が濃厚だった。そのため、虚偽報告は論外だが、結果的には同じ結論に至ったと言うことらしい(いつも思うが、Jリーグ当局は、もう少しリリースをわかりやすく書いて欲しいのだがw)。ただし、今回たまたま対戦相手が、ACLにも出場し日程的に非常に厳しい戦いを演じていた相手が川崎だったこともあり、日程遵守義務を回避した虚偽報告は、川崎を含めた関係各部門にも相当な迷惑をかける事態だった。そのために性悪説をとなえ、名古屋が意図的に川崎戦を回避したのではないかとの揶揄も飛んだが、まあそれはなかったと言うことだろう。
疫病禍下のリーグ戦を継続するのは、本当に難しいことが顕在化した事件と言えよう。J当局が上記の情状を考慮し、けん責と200万円罰金と言う処罰を決定したのも間違いとは思わない。本件については。
しかし、昨年の10大ニュースの筆頭でも議論した浦和への意味不明の懲罰とのバランスがまったく取れていない。事務手続きのミスはあったものの、結果的に誰にも迷惑をかけていない浦和は試合をなきものにされた。一方、(結果論からもしれないが)虚偽申告で多くの関係部門に迷惑をかけた名古屋は200万円の罰金にとどまった。
21年の浦和への裁定が間違っていたのだ。今からでもよい、Jリーグ当局は当時の誤りを認めるべきだろう。
6. ACLレッズ決勝進出と声出し罰金問題
浦和レッズがACLの決勝に進出。
それにしてもこのクラブの最近のカップ戦の強さには恐れ入る。15年天皇杯決勝進出、16年ルヴァン制覇、17年ACL制覇、18年天皇杯制覇、19年ACL決勝進出、21年天皇杯制覇、そして今回のACL決勝進出。20年は疫病禍が最も厳しい年だったので、天皇杯が特殊レギュレーションで行われたので例外的な年。そう考えると、毎年のように必ずカップ戦で決勝進出しているのだから、さすがだ。日本最大のサポータ集団に支えられた勝負強さとでも言おうか。実際、浦和のサポータの大声援はすばらしいと思うのだよね。もちろん、浦和サポータの友人と会話していると、彼らの悩みは深い。クラブの経済力を考慮すると、常にリーグ戦でも上位を争い、栄冠を掴むのを当然と思っているのだろうから。まあ、それはそれでステキな悩みですよね。
ところが、そのサポータ集団の一部をクラブが制御できない残念な事案から、2000万円と言う多額の罰金が浦和に課せられた。一部のサポータがマスクなしで、複数回声出し応援を行ったと言うものだ。カタールワールドカップを典型例に、海外ではマスクなしでの声出し応援が許可されている。しかし、その是非はさておき、Jでは声出し応援は禁止されていた。これはJ当局に賛同せざるを得ない。J当局の裁定を抜粋しておく。
(前略)声出し応援の禁止等のガイドライン遵守をはじめとする秩序維持にはサポーターの強い自律が必要であって、クラブには、これを促すための不断の改善努力が求められる。短期間のうちに(中略)秩序を損なう行為を阻止できなかったことは重く受け止めざるを得ない。かかる状況はJリーグ全体への社会的信用の低下につながるものである(中略)、今後Jリーグも浦和と共に再発防止に向けて対応するものの、浦和が再び(中略)懲罰事案を発生させた場合、無観客試合の開催又は勝点減といった懲罰を諮問する可能性があることを付言しておく。一部のサポータの暴走をクラブが複数回止められなかった事実は重い。これは前項で述べた昨シーズンの不合理な裁定とは無関係な話である。
あのすばらしいサポータ集団の一部に困った人々がいる残念な事態、何とか解決してほしい。
7. ジュビロの国際契約違反
事象としては単純だが、情報の多くが公表されていないので、非常にわかりづらい事件となっている。ともあれ、アジア王者となった実績もある歴史あるクラブが、事務手続きで決定的なミスを冒したわけで相当な事件である。
ジュビロが契約したファビアンゴンザレスが、その前にタイの別クラブと契約していたとの疑惑が濃厚。結果的に二重契約を行なったジュビロが、FIFAから常に厳しい制裁の決定を受領。ジュビロが、それを不服としてCAS(スポーツ仲裁裁判所)に異議申し立てを行なった。ジュビロは、このリリースで、本件の詳細について、
この手の二重契約を防止するために、移籍の際に国際移籍証明が徹底されている。ここで引用したのは、日本協会のものだが、当然ながら他国でも同様の対応がとられているはず。どこかで大きな間違いが生まれたのだろうが、よくわからない。起こしてしまったことはしかたがない。改めて、何が起こったのか、どこで間違いがあったのか、適正な情報公開を期待したい。説明責任としての責務もあるし、これが再発防止につながる。
8. サッカー中継の将来、ABEMA
ワールドカップの放映権をABEMAが獲得したと聞いた時、「また新しい有料配信サービスにカネを払わなければならないのか」と思った。ところが、全部無料だったのには驚いた。考えてみれば、ABEMAで試合を見ている間、ハーフタイムや試合の合間には、そこから流れてくるCMを見ているのだから、民放テレビと同じではないか。「そうか配信サービスも無料での観戦は可能なのか」と改めて勉強した感がある。
カタール滞在中は、把握できなかったが、本田圭佑氏らの若々しい解説が、ABEMAでは好評だったとのこと。帰国後、準々決勝以降ABEMAの配信を楽しんだけれど、提携しているTV局の優秀なアナウンサ、豊富な解説陣、何ら既存のTV局と変わりなかった。本田圭佑氏の解説は松本育夫氏、松木安太郎氏の系譜を継ぐ本能型の解説でおもしろかった。故岡野俊一郎氏を起点とする、岡田武史氏・反町康治氏・戸田和幸氏・中村憲剛氏の流派だけではつまらないからね。いや、NHKが拘泥してるサッカーの魅力を矮小化するアテネ五輪代表監督のような外乱が登場しない分、安心して楽しめたかな。
冗談はさておき。我々はサッカー中継を見られればよいのであって、方式や媒体はどうでもよいのだと、改めて痛感した。今後のサッカー中継がどうなっていくのか、注視していきたい。
9. 山下氏ワールドカップ主審選考と女性審判のこれからと三笘の1mm
ワールドカップの審判として、山下良美氏が選考された。
山下氏はJ1及びACLの主審経験があり安定した判定は評価されているが、日本人の主審としてはトップとは言えない存在。また、大会では第4審を複数回務めたのみで、笛を吹く機会は訪れなかった。女性の優秀な審判と言うことでワールドカップの審判団に下駄を履かせた評価で選考されたが、現地での事前準備で笛を吹くところまでの評価を得られなかった、と言うことだろう。いささか失礼な評価となるが。ただし、女性審判と言う視点では、ドイツ対コスタリカをステファニー・フラパール氏を主審とする女性審判団が裁き、上々の評価を得た。
性別にかかわらずサッカーに携わってくれる人が増えるのは大歓迎だ。副審の場合は瞬間的な守備ライン上下動や逆襲速攻に対応する必要があるため、脚力の面から女性のハンディキャップがあるかもしれない。しかし主審ならば、展開の予測や位置取りの工夫やトレーニングによる運動量確保で、極端に不利になることはないのではないか。女性でトップレベルの審判を目指す人がもっと増えて質の高い経験を積めれば、上記のような失礼な表現が不要となる時代も来るだろう。
そう考えてみると、今大会話題になった画像処理による判定がトップレベルのサッカーに定着してくれば、女性副審でも脚力の弱点がカバーされる。個人的にはVARは相当改善の余地があると思うが(画像処理によるライン判定と、複数審判の連係による反則判断が、将来あるべき姿だと思うが)、技術の向上が間違いなく審判に必要な要素を変えていく。女性の審判進出もその一例だろうが、サッカーも変わっていくのだろう。
その典型が、あのスペイン戦の三笘の神業だったのだろう。三笘の1mmと言う歴史に残る妙技を、新技術が支えてくれたのだ。
10. 高校選手権決勝、青森山田対大津の両監督
約1年前となってしまったが。
高校選手権決勝は青森山田対大津。幾多の名選手を輩出した大津が、はじめて選手権の決勝にたどり着き、この世代で圧倒的強さを誇る青森山田と対戦。非常に興味あふれる試合となったが、4-0と青森山田の完勝。大津はまともにシュートにすら持ち込めなかった。
大津平岡和徳氏と青森山田黒田氏は日本のユース世代指導者としては代表的存在。平岡氏は巻誠一郎、植田直道、谷口彰悟、黒田氏は柴崎岳と言ったワールドカップ代表選手を育てている。
平岡氏は、言うまでもなく帝京高校出身。高校選手権で創意工夫を凝らした采配で勝ち切ることに執念を燃やし結果を出してきた古沼監督の弟子にあたる。しかし、この決勝では、特別な工夫すら行わず、戦闘能力で優位に立つ山田にまともに戦いに行き、木っ端微塵に粉砕された形となった。およそ、古沼先生の弟子とは思えない淡白な采配だった。もっとも、平岡氏は、トッププレイヤの育成や選手たちの人間教育に主眼を置き、師匠と異なり選手権での上位進出には拘泥していないのかもしれないのかもしれない。
一方で、このシーズンオフ、青森山田の監督を長年勤めていた黒田氏の町田ゼルビア監督就任が発表された。黒田氏率いる山田はプレミア、高校選手権など幾度も日本一を獲得、采配の実績は格段。また、青森山田中からの一環強化に見られる組織作りも相当の手腕。ユース世代の指導者として格段の成果を挙げていた黒田氏が、大人のクラブを率いるのは、大変興味深い。類似例としては、市立船橋で格段の成果を挙げた布啓一郎氏が思い起こされるが、トップレベルの指導者のキャリアメイクとしてどのようなことになるか、注視していきたい。
2022年ベストイレブン
どうしても、今年はカタールワールドカップのメンバが中心となります。ただ、東京五輪に続き、この大切な大会をベストで迎えられなかった冨安健洋は選んでいません。また、ドイツ戦とスペイン戦で見事な得点を決めた堂安律も、コスタリカ戦とクロアチア戦は不満なので選びませんでした。この2人への要求はこんなものではないのです。
GK 権田修一
ドイツ戦、スペイン戦、難しい時間帯、よくもまあ守り切ってくれたと思います。細かい部分を言えば不満はありますが、やはり今年の日本のGKと言えば今年は権田でしょう。
DF 酒井宏樹
クロアチア戦75分以降の知性の限りを尽くした戦いを見ると、やはり右DFはこの選手です。浅野の裏にボールを出すだけになった単調な攻撃に変化をつけようとした尽力は忘れられません。
DF 谷口彰悟
ワールドカップでの大活躍は言うまでもなし。E-1東アジア選手権での圧倒的存在感も格段でした。予選でも麻也、冨安不在時に何も不安を感じさせませんでした。カタールでタップリ稼いでください。今まで、本当にありがとう。
DF 板倉滉
スペイン戦の先制を許した痛恨のポジションミスはありました。しかし、それ以外はほぼ完璧な守備。もちろん、予選でのすばらしい守備も忘れられません。列強に対して、冨安との2CBで留め切る姿を見るのが楽しみです。
DF 中山雄太
予選での充実を含め、メンバ選考された直後の重傷は本当に痛かった。森保監督は、3DFを採用しサイドMFに三笘薫を抜擢する奇策で上位進出を果たしました。しかし、中山がいれば、三笘をもっと前で使えたはずです。
MF 遠藤航
カタール直前負傷の情報が流れましたが、大会が始まってみれば、俺たちの遠藤航でした。中盤でのタフなボール奪取、落ち着いた前進。何と頼りになることか。
MF 岩田智輝
E-1東アジア選手権での活躍、J制覇への貢献を考えると、カタールの26人に入るのではないかと思っていました。横浜Mでは最終ラインで使われることが多く、Jの最優秀選手にも選考されたわけですが、一番魅力を発揮できるのはMFだと思います。セルティックでの活躍を期待。
MF 守田英正
日本サッカー界がようやく作り上げることができた、攻守に戦い続けることのできるMF。イタリアの名手、タルデリ、デ・リービオ、ガットゥーゾを彷彿させるタレント。
FW 伊東純也
2021年日本代表のエースは、2022年本大会もやはりエースでした。予選のサウジ戦の得点とアシスト。カタール本大会でも幾度右サイドをえぐってくれた事か。さらに3DFのサイドMFとして起用されると、シャドーに入った堂安と美しい連係も見せてくれました。
FW 前田大然
2002年に鈴木隆行が見せてくれた日本伝統の守備的CF。あの献身がスペイン戦の逆転劇を演出し、クロアチア戦の先制弾を決めてくれました。他の国ではまったく考えられない異次元のストライカに育って欲しい。
FW 三笘薫
ドイツもコスタリカもスペインもクロアチアも、皆三笘の突破を警戒しまくっており、それでも三笘は幾度も突破を成功させました。3DFのサイドMFで守備もあそこまで見事に演じられるのも驚きでしたが、もう少し前で攻撃に専念して欲しかったかなとも思います。
GK 権田修一
ドイツ戦、スペイン戦、難しい時間帯、よくもまあ守り切ってくれたと思います。細かい部分を言えば不満はありますが、やはり今年の日本のGKと言えば今年は権田でしょう。
DF 酒井宏樹
クロアチア戦75分以降の知性の限りを尽くした戦いを見ると、やはり右DFはこの選手です。浅野の裏にボールを出すだけになった単調な攻撃に変化をつけようとした尽力は忘れられません。
DF 谷口彰悟
ワールドカップでの大活躍は言うまでもなし。E-1東アジア選手権での圧倒的存在感も格段でした。予選でも麻也、冨安不在時に何も不安を感じさせませんでした。カタールでタップリ稼いでください。今まで、本当にありがとう。
DF 板倉滉
スペイン戦の先制を許した痛恨のポジションミスはありました。しかし、それ以外はほぼ完璧な守備。もちろん、予選でのすばらしい守備も忘れられません。列強に対して、冨安との2CBで留め切る姿を見るのが楽しみです。
DF 中山雄太
予選での充実を含め、メンバ選考された直後の重傷は本当に痛かった。森保監督は、3DFを採用しサイドMFに三笘薫を抜擢する奇策で上位進出を果たしました。しかし、中山がいれば、三笘をもっと前で使えたはずです。
MF 遠藤航
カタール直前負傷の情報が流れましたが、大会が始まってみれば、俺たちの遠藤航でした。中盤でのタフなボール奪取、落ち着いた前進。何と頼りになることか。
MF 岩田智輝
E-1東アジア選手権での活躍、J制覇への貢献を考えると、カタールの26人に入るのではないかと思っていました。横浜Mでは最終ラインで使われることが多く、Jの最優秀選手にも選考されたわけですが、一番魅力を発揮できるのはMFだと思います。セルティックでの活躍を期待。
MF 守田英正
日本サッカー界がようやく作り上げることができた、攻守に戦い続けることのできるMF。イタリアの名手、タルデリ、デ・リービオ、ガットゥーゾを彷彿させるタレント。
FW 伊東純也
2021年日本代表のエースは、2022年本大会もやはりエースでした。予選のサウジ戦の得点とアシスト。カタール本大会でも幾度右サイドをえぐってくれた事か。さらに3DFのサイドMFとして起用されると、シャドーに入った堂安と美しい連係も見せてくれました。
FW 前田大然
2002年に鈴木隆行が見せてくれた日本伝統の守備的CF。あの献身がスペイン戦の逆転劇を演出し、クロアチア戦の先制弾を決めてくれました。他の国ではまったく考えられない異次元のストライカに育って欲しい。
FW 三笘薫
ドイツもコスタリカもスペインもクロアチアも、皆三笘の突破を警戒しまくっており、それでも三笘は幾度も突破を成功させました。3DFのサイドMFで守備もあそこまで見事に演じられるのも驚きでしたが、もう少し前で攻撃に専念して欲しかったかなとも思います。
2022年12月25日
富田晋伍との18年
富田晋伍が引退する。
18年間に渡り、ベガルタ仙台一筋で戦い続けてくれた戦士。ベガルタゴールド以外のユニフォームを着る事なくトップレベルのプレイを終える富田。言葉にならないほどの感謝を、微力ながら日本語化させていただきたい。
富田のプレイは何がすばらしかったか。
言うまでもなく、中盤でのボール奪取能力だ。ただし、この奪取能力が、独特の魅力を持っていた。常に中盤で位置取りの修正を行い、敵の進出経路を予測し、自らのプレイエリアに入ってきたところで躊躇せず身体を張りボールを奪取、常識的だが正確なパスで味方につなぐ。富田の最大の特長は待ち構えて躊躇せず奪いしっかりつなぐところにあった。
ボール奪取を武器するMFには様々なスタイルがある。例えば遠藤航、自ら能動的にボール奪取のために飛び出し、身体を当て合い、ボールと敵の間に自らの身体を入れボールを奪取。そのまま強引に前進を継続する。例えば明神智和、豊富な運動量で敵に幾度もからみ都度攻撃を阻止し、ボールを奪うやあちらこちらに展開する。一方上記の通り、富田のスタイルは待ち構えて躊躇せず奪いしっかりつなぐやり方。似たスタイルの選手を探すと鈴木啓太だろうか。鈴木啓太の方がパス精度は高かったが、ボール奪取力は富田が上回っていたのではないか。躊躇せず奪うと言うとアルゼンチンのマスケラーノを思い出す。富田のパスの精度やタイミングは、さすがにこの南米の大巨人の足下にも及ばない。しかし、ボール奪取の妙は紛れもなくこの名人を彷彿させるものだった。
富田はチーム戦術への柔軟性も高かった。ACLに出場した手倉森政権の頃は、分厚い守備からの速攻の起点となっていた。この頃は富田は敵からスッとボールを奪い、素早く梁勇基や菅井直樹や朴柱成にボールを渡すプレイが光っていた。角田誠と富田のドイスボランチが、いかに他クラブを苦しめたことか。一方で、渡邉晋氏が采配時のポゼッションを軸としたサッカーでも十分に機能した。渡邉氏が指向するサッカーは様々な変遷があったが、前線に通すさりげないパスや、後方でフリーとなったDFにロングフィードを出させるパスを、富田は巧みに操った。奥埜博亮、三田啓貴、野津田岳人らと組む中盤は魅力的だった。
もう少し上背があれば、代表チームに選考された可能性もあったかもしれない。国際試合だと、どうしてもこのポジションだと高さが欲しくなるからだ。ただ、あの躊躇せず奪う能力は、富田が短躯で重心が低いが故に完成したもののようにも思える。もちろん、サッカーにはヘディングと言う重要な要素があり、上背は高いに越したことはない。しかし、サッカーの能力要素を個別に整理すれば、背が低いことがメリットになるケースもあるのだ。もっとも富田は的確な位置取りで、ヘディングも決して弱くはなかったけれど。
2005年シーズン富田がベガルタに加入したきっかけが、あの都並敏史監督にあった。そのあたりは、引退記者会見で富田自身が言及していたし、よく知られたことだ。ただ、都並氏は不思議なことに、この富田をサイドバックとして抜擢した。しかし、富田は、足が速いわけでもなく、角度のあるクロスを蹴るのがうまいわけでもなく、長駆を繰り返せるタイプでもない。なぜ、都並氏が、富田をサイドバックに起用したのは本当に不思議だった。
当時のベガルタは毎シーズンJ1復帰を目指し迷走を繰り返していた。毎シーズン監督交代を繰り返し、一貫性ある強化が叶わず、再三空振りを繰り返すこととなった。都並氏の招聘もその一つ。さすがに、日本代表選手として豊富な経験を積んできた都並氏が算数ができないとは思ってもいなかったけれども。
ともあれ、そんな事ははるか昔のこと。都並氏は監督としての姿勢も能力も残念なものだったかもしれない。けれども、私たちは富田晋伍をたっぷりと18年間にわたって堪能できた。改めて都並氏にも感謝したい。
2009年シーズンにJ1に復帰して以降、ベガルタは高橋義希、和田拓也、金眠泰と言った能力の高い守備的MFを補強した。言わば、定位置争いで富田のライバルとなる選手たちだ。しかし、彼らは短期間ベガルタに在籍したのみで、他クラブに移籍する。そして、移籍後にすばらしい活躍をすることになる。これは、彼らの能力の高さを的確に評価したベガルタフロントの慧眼と、彼らとの定位置争いに負けなかった富田の存在感を示している。柏レイソルで中心選手として活躍する椎橋慧也。2020年シーズンにベガルタで定位置を確保した後、レイソルに移籍した。しかし、この2020年シーズンは富田が重傷を負い、リーグ戦登場の機会がなかった。椎橋はベガルタに在籍した4シーズン、毎年少しずつ出場機会を増やしていたが、富田が元気な間は完全に定位置を奪う事はできなかったのだ。言い方を変えれば、富田は定位置争いのライバルだったこう言った選手達に対して大きな壁となることで、彼らの成長にも大きく貢献したことになる。
富田の18年間。上記したがJ1再昇格を目指しての迷走時代、富田や梁をしっかり育てJ1への昇格、考えられない自然災害、ACL出場、経営規模拡大が叶わず毎シーズンの苦闘、天皇杯決勝進出、疫病禍における経営危機、J2降格。思えば色々なことがあった。そして、幾多の喜びと悲しみを味わう事ができた。
改めて富田晋伍と言う我々のレジェンドが引退する報を聞き、まず大きな空虚感を味わった。そして、幾多の喜びと悲しみを思い出し、整理できない感謝の念が交錯した。無数の感謝を整理していると、不思議なことに喜びばかりの記憶に満たされてきた。目をつぶれば、多くの待ち構えて躊躇せず奪いしっかりつなぐプレイを思い起こす事ができる。そのすべてに感謝の言葉を捧げたい。富田が敵からボールを奪ってくれた分だけ、私は喜びを味わえたのだ。
富田晋伍さん、本当にありがとうございました。18年間積み上げた無数のボール奪取に乾杯。
18年間に渡り、ベガルタ仙台一筋で戦い続けてくれた戦士。ベガルタゴールド以外のユニフォームを着る事なくトップレベルのプレイを終える富田。言葉にならないほどの感謝を、微力ながら日本語化させていただきたい。
富田のプレイは何がすばらしかったか。
言うまでもなく、中盤でのボール奪取能力だ。ただし、この奪取能力が、独特の魅力を持っていた。常に中盤で位置取りの修正を行い、敵の進出経路を予測し、自らのプレイエリアに入ってきたところで躊躇せず身体を張りボールを奪取、常識的だが正確なパスで味方につなぐ。富田の最大の特長は待ち構えて躊躇せず奪いしっかりつなぐところにあった。
ボール奪取を武器するMFには様々なスタイルがある。例えば遠藤航、自ら能動的にボール奪取のために飛び出し、身体を当て合い、ボールと敵の間に自らの身体を入れボールを奪取。そのまま強引に前進を継続する。例えば明神智和、豊富な運動量で敵に幾度もからみ都度攻撃を阻止し、ボールを奪うやあちらこちらに展開する。一方上記の通り、富田のスタイルは待ち構えて躊躇せず奪いしっかりつなぐやり方。似たスタイルの選手を探すと鈴木啓太だろうか。鈴木啓太の方がパス精度は高かったが、ボール奪取力は富田が上回っていたのではないか。躊躇せず奪うと言うとアルゼンチンのマスケラーノを思い出す。富田のパスの精度やタイミングは、さすがにこの南米の大巨人の足下にも及ばない。しかし、ボール奪取の妙は紛れもなくこの名人を彷彿させるものだった。
富田はチーム戦術への柔軟性も高かった。ACLに出場した手倉森政権の頃は、分厚い守備からの速攻の起点となっていた。この頃は富田は敵からスッとボールを奪い、素早く梁勇基や菅井直樹や朴柱成にボールを渡すプレイが光っていた。角田誠と富田のドイスボランチが、いかに他クラブを苦しめたことか。一方で、渡邉晋氏が采配時のポゼッションを軸としたサッカーでも十分に機能した。渡邉氏が指向するサッカーは様々な変遷があったが、前線に通すさりげないパスや、後方でフリーとなったDFにロングフィードを出させるパスを、富田は巧みに操った。奥埜博亮、三田啓貴、野津田岳人らと組む中盤は魅力的だった。
もう少し上背があれば、代表チームに選考された可能性もあったかもしれない。国際試合だと、どうしてもこのポジションだと高さが欲しくなるからだ。ただ、あの躊躇せず奪う能力は、富田が短躯で重心が低いが故に完成したもののようにも思える。もちろん、サッカーにはヘディングと言う重要な要素があり、上背は高いに越したことはない。しかし、サッカーの能力要素を個別に整理すれば、背が低いことがメリットになるケースもあるのだ。もっとも富田は的確な位置取りで、ヘディングも決して弱くはなかったけれど。
2005年シーズン富田がベガルタに加入したきっかけが、あの都並敏史監督にあった。そのあたりは、引退記者会見で富田自身が言及していたし、よく知られたことだ。ただ、都並氏は不思議なことに、この富田をサイドバックとして抜擢した。しかし、富田は、足が速いわけでもなく、角度のあるクロスを蹴るのがうまいわけでもなく、長駆を繰り返せるタイプでもない。なぜ、都並氏が、富田をサイドバックに起用したのは本当に不思議だった。
当時のベガルタは毎シーズンJ1復帰を目指し迷走を繰り返していた。毎シーズン監督交代を繰り返し、一貫性ある強化が叶わず、再三空振りを繰り返すこととなった。都並氏の招聘もその一つ。さすがに、日本代表選手として豊富な経験を積んできた都並氏が算数ができないとは思ってもいなかったけれども。
ともあれ、そんな事ははるか昔のこと。都並氏は監督としての姿勢も能力も残念なものだったかもしれない。けれども、私たちは富田晋伍をたっぷりと18年間にわたって堪能できた。改めて都並氏にも感謝したい。
2009年シーズンにJ1に復帰して以降、ベガルタは高橋義希、和田拓也、金眠泰と言った能力の高い守備的MFを補強した。言わば、定位置争いで富田のライバルとなる選手たちだ。しかし、彼らは短期間ベガルタに在籍したのみで、他クラブに移籍する。そして、移籍後にすばらしい活躍をすることになる。これは、彼らの能力の高さを的確に評価したベガルタフロントの慧眼と、彼らとの定位置争いに負けなかった富田の存在感を示している。柏レイソルで中心選手として活躍する椎橋慧也。2020年シーズンにベガルタで定位置を確保した後、レイソルに移籍した。しかし、この2020年シーズンは富田が重傷を負い、リーグ戦登場の機会がなかった。椎橋はベガルタに在籍した4シーズン、毎年少しずつ出場機会を増やしていたが、富田が元気な間は完全に定位置を奪う事はできなかったのだ。言い方を変えれば、富田は定位置争いのライバルだったこう言った選手達に対して大きな壁となることで、彼らの成長にも大きく貢献したことになる。
富田の18年間。上記したがJ1再昇格を目指しての迷走時代、富田や梁をしっかり育てJ1への昇格、考えられない自然災害、ACL出場、経営規模拡大が叶わず毎シーズンの苦闘、天皇杯決勝進出、疫病禍における経営危機、J2降格。思えば色々なことがあった。そして、幾多の喜びと悲しみを味わう事ができた。
改めて富田晋伍と言う我々のレジェンドが引退する報を聞き、まず大きな空虚感を味わった。そして、幾多の喜びと悲しみを思い出し、整理できない感謝の念が交錯した。無数の感謝を整理していると、不思議なことに喜びばかりの記憶に満たされてきた。目をつぶれば、多くの待ち構えて躊躇せず奪いしっかりつなぐプレイを思い起こす事ができる。そのすべてに感謝の言葉を捧げたい。富田が敵からボールを奪ってくれた分だけ、私は喜びを味わえたのだ。
富田晋伍さん、本当にありがとうございました。18年間積み上げた無数のボール奪取に乾杯。
2022年10月31日
東京五輪の失敗を再現するのか?反省を活かすのか?
カタールのメンバ発表が近づいてきた。
最終メンバをどのタイミングで絞るかは、ワールドカップの歴史でもとても微妙な問題。直前まで多めに集めて最後に絞ろうとすると、98年のように「外れるのはカズ、三浦カズ」となってしまう。一方で早めに絞ってしまうと、06年の茂庭照幸のように「南洋の休暇をとりやめて急遽帰ってまいりました」になってしまう。いずれの状況に陥っても、マスコミの好餌となり世間の耳目を集めるかもしれないが、チームの強化にはマイナスになる。難しいものなのだ。
本稿では、これまでの森保氏の采配を冷やかしながら、最終メンバを予想しつつ、カタール本大会に想いを寄せてみたい。
ともあれ。Twitterで幾度かつぶやいたが、森保氏のカタールへの準備には、既視感がある。最近に流行り言葉では再現性かw。守備的MFは既にギリギリに絞り込んでおり、煽れんばかりの数の攻撃ラインの選手の選考に迷う。その結果、チームの要の遠藤航が疲弊と前線の連係不足で、モヤモヤ感を残したまま、勝ち切れない。
東京五輪直前の準備試合、ホンジュラス戦とスペイン戦。いわゆる後方のMF要員として招集されたのは、遠藤航、田中碧だけ。2つのポジションに2人のみ。一方で、攻撃的MFとFWはドラミ相馬、三好康児、三笘薫、堂安律、久保建英、前田大然、上田綺世、林大地、4つのポジションに対し8人の候補選手がいた。一応DFで選考された板倉滉、中山雄太、旗手怜央が中盤のバックアップ(もできる要員)と予想された。ところが冨安健洋の負傷もあって、大会に入り3人ともDFラインの定位置での起用となり、結果的に遠藤と碧はフル回転。2人が疲弊したことが直接要因となり、メダルを逃した。この年代には渡辺皓太、田中駿太、岩田智輝ら、中盤後方で活躍できそうなよい人材は多数いた。しかし、森保氏は最後の準備試合の時点で、早々に彼らに見切りをつけてしまい、遠藤と碧の消耗を招いてしまった。
3ヶ月前の6月シリーズ。4連戦の最終チュニジア戦、冨安健洋と守田英正不在のため、ほぼ皆勤していた遠藤と吉田麻也のミスから3点を奪われ完敗した。守備的MF不足と冨安不在→板倉CB起用→遠藤ボロボロ。正に東京五輪の再現だったw。
そして、今回の二連戦。このシーズンの編成を見る限り、後方のMF要員はレギュラ定位置2枚に対して遠藤、守田、田中、柴崎岳の4人しか選考していない、しかも柴崎は強度が大きな課題で、守備面でのリスクを抱えるのは言うまでもなく、ターンオーバしたエクアドル戦の苦戦要因となった。もちろん、負傷で選考外になった板倉はパラグアイ戦のようにMFでも十分使えそうだが、本大会では冨安とCBを組む可能性は高い。一方攻撃的MFとFWは4枚に対して、鎌田大地、原口元気、伊東純也、堂安、久保、前田、上田、古橋亨梧、町野修斗、三笘、南野拓実、ドラミ、合計12名。もしかしたら、森保氏は、この9月シーズン直前に負傷した、ジャガー浅野琢磨や、復調の評価著しい大迫勇也まで考慮しているのかもしれない。そうなると、53日前の今日時点で、ポジション4個に対して14人の候補選手がいることになる。守備的MFの見切りはとても早く、FWは最後まで迷い続ける。東京五輪前の再来ではないか。
先日の強化試合を振り返ってみる。
USA戦。久々に4-2-3-1を採用。USA首脳は、これまでの日本の基本布陣4-3-3を予想していたのかもしれない。前田大然と鎌田大地の2トップがいきなりフォアチェックで、圧倒的攻勢をとることができた。前半、危なかったのは、序盤右サイドのプレスをうまく回避され、左に展開されて好クロスを上げられた場面くらい。特に前田の繰り返される俊足プレスはUSAを悩ませる。USAもMFやサイドバックを加えて最終ラインを3人にしてつなごうとしたり、ロングボールで日本のラインを広げようと工夫する。しかし、USA前線選手はボールの受けの位置取りに工夫が少ないため、強引なロングボールは冨安が完封、精度に欠ける縦パスは幾度も遠藤と守田の餌食となる。そのため、USA陣内で幾度もボール奪取に成功。前半は鎌田の得点のみの1-0で終わったが、伊東、鎌田、久保が次々と好機を演出、GKターナーの再三のファインプレイがなければ大差にできていたかもしれない。
余談です。6月の国立ブラジル戦、厳しいフォアチェックをしのぎ、持ち出そうとする度にフレッジとカミネーロに止められ、速攻の危機を迎える、ちょっとほろ苦い思い出だが、その恐怖を相手国に味合わせていると思うと気持ちがよかった。
後半は、冨安を右サイドに出したために中央の強度が落ち、USAも前線の選手を代えて受けの位置取りを改善してきたため、前半ほど圧倒的な攻勢はとれなくなる。しかし、ここに来て代表に定着しつつある伊藤洋輝も落ち着いた守備を見せ危ない場面は作らせない。そして、68分両翼を堂安と三笘に代えることで攻勢を取り直す。75分三笘が作った絶好機は堂安は決めなければダメ、大きな反省点だ。終盤鎌田に代えて原口を起用し、5DFの守備固めオプションを試したところで、三笘が得意のヌルヌルドリブルから決めて突き放したのも愉快だった。冨安の復帰が大きかったが、過去の日本代表史を振り返ってもベストに近い内容の試合だった。
エクアドル戦。スタメンを総取り替えすれば、バランスは崩れるのは当然のこと。そもそも、田中碧と柴崎岳でボランチを組むことそのものが健全な試合の取り組みとは言えない。2人は、共に落ち着いたキープや、長距離のパスを得意とするスタイルで、ボール奪取が本業ではない。幾度も語ってきたが、柴崎のロシアワールドカップでの鮮やかなロングパスは最高だった(残念ながら、それ以降柴崎はあの輝きを再現してくれていないが)。田中碧は、五輪代表で遠藤航や板倉のサポートを受け中盤の指揮官として君臨。ワールドカップ予選でも、遠藤と守田の献身の下、幾度も前線に鋭いパスを通して、本大会出場に貢献した。しかし、この2人並べても有効でないことは、試合をする前からわかっていたこと。このエクアドル戦は、柴崎ではなく遠藤と守田を45分ずつ起用すべきだった。結果的に本大会出場の26人に入ることを目指してる他の選手たち、特に前線で空回りを余儀なくされた古橋と南野が、何より気の毒に思えた。
しかもエクアドルは、最終ラインの選手のつなぐ能力はUSAを凌駕していた。古橋と南野のフォアチェックに対し、後方を3枚にして落ち着いてかわし、前線にボールを供給。冨安不在の日本は第一波をはね返し切れない。さらに、第二波の中盤のデュエル合戦も、碧と柴崎ではボールを取り切れないことが多く、連続攻撃を許す。こうなると、裏抜けをねらう最前線の古橋亨梧によいボールが供給できず、いよいよ攻めあぐむ。結果、ピンチの連続となった。前半右サイドを崩されポストに当たるシュートを許し、終了間際にはCKからのピンチをシュミットがファインセーブ、かろうじて0-0でしのぐことに成功した。
後半古橋に代えて上田綺世を起用。上田が前線でキープすることで、ペースを少しずつたぐりよせる。そして68分にようやく遠藤を起用し中盤を落ち着け、交代で入ったドラミの切れ味鋭いドリブルと、鎌田の変化で好機を掴むも決め切れず。逆に谷口が敵FWの妙技にPKを許すも、シュミットが止めると言った場面もあり、試合は0-0の引き分け。冨安と板倉と守田が不在、遠藤と麻也も僅かな出場時間と言う条件下で、ワールドカップ出場国を無失点に押さえたのは結構なことだ。
選手個人と言う視点でも、本大会に向けて明るい発見もあった。USA戦で久保が左MFで攻守に渡り活躍できたこと。これまで、久保はこのチームで、鮮やかな個人技を発揮はしたものの、自分本位のプレイばかりでチームに混乱を招くことが多かった。しかし、このUSA戦では組織的な崩しにも、守備にもしっかり参画。スタメン久保、終盤三笘起用と言う流れが最もバランスがとれているようにも思えた。
懸念されていた左DFも、USA戦では中山が90分間、守備を固めながら、左サイドからの攻め込み時は常に的確に押し上げを継続、この選手は攻守ともに圧倒的な能力を見せるタイプではないが、苦しい時間帯でも常に適切な一度理をしてくれる。一方で、エクアドル戦は大ベテランの長友が、さすがのプレイ。中央に絞ったカバーや、自陣での1対1の間合いなど老獪なプレイの数々、ここに来て圧倒的な存在感。酒井の体調に不安がある中、ブラジル戦での右サイドでの好プレイ含め、大したものだ。
まったく誰が選考されるか、目処が立っているに見えないCF。「予想が難しい」のではなくて「目処がが立っているように見えない」のは残念だが、ここは多数の候補が揃っていると前向きに考えることにしよう。とは言え、前田の献身的かつ強引な前線刈り取りは魅力的だった。余談ながら、この前田の暴力的なフォアチェックに、約20年前の鈴木隆行を思い出したのは私だけだろうか。前田は鈴木に比べると、身長は大きくないため迫力にはやや欠けるかもしれないが、人相の悪さと執拗な疾走の繰り返しは同レベル、そして短距離奪取の速さは鈴木を凌駕するものがある。このような短距離疾走の速さは、欧州の大柄なCBが最も嫌がるものゆえ、ドイツやスペインに対し非常に有効となるだろう。
エクアドル戦の終盤に起用されたドラミ相馬が切れ味鋭いドリブルを見せたのも頼もしかった。五輪でも大活躍し、韓国、エクアドルと言うワールドカップ出場国でも機能したこの小柄な異才は間違いなく本大会でも戦力となろう。ただ、久保がよかっただけに、ポジションのバッティングがあるのだが。
そしてシュミット・ダニエル。PKストップも見事だったが、度々前線に鋭いフィードを入れ、高いボールへの強さも上々だった。さてドイツ戦のスタメン、権田の安定感をとるか、シュミットの特長をとるか、森保氏の決断を待ちたい。
さて、それでは26人はどうなるか。一部選手の負傷報道が聞こえてきているが、そのような外乱がなければ、おおむね以下となるのではないか。
まず確定メンバを推定する。GKは権田とシュミットは確定として、3人目は川島または谷。右DFは酒井と山根、左DFは長友と中山。CBは麻也、冨安、谷口、伊藤、そして板倉。MFは遠藤航、守谷、田中碧、原口、鎌田。負傷明けの板倉を、CB要員ではなくMF要員と考えれば、いわゆるドイスボランチを、遠藤航、守田、板倉で回して、勝負どころで田中碧を使える。このやり方をすれば、散々イヤミを語った選手森保一選考しない問題を解決できるように思う。そしてFW、右は伊東純也、堂安、左は三笘、久保、そして問題のCFだが、上記した傍若無人的活躍をした前田大然は決まりかなと思う。そして、森保氏はヴィッセルで調子を取り戻した大迫勇也を選ぶように思えてならない。ここまでで23人で残り3枠。
この3枠を、瀬古、柴崎、旗手、南野、ドラミ、上田、町野、古橋、そして浅野が争う。ここから先は読みづらい。ただ、ここまでの選考を考えると、森保氏が大好きな柴崎はメンバ入りするだろう。(この森保氏の柴崎への極端な愛情は、本当に興味深い)。CFとしてもう1人上田か古橋(大迫が間に合ったので町野は選考外となるのではないか、あの強引なシュート狙いは魅力ですけれど)。そして、最後の1枚は南野かドラミ。
私個人の好みとしては、とにかく点を取るのがうまい小林悠を入れたらとか、中盤で骨惜しみしない選手がもう1人欲しいから稲垣や川辺選べばよいのではないかとか思いはあるが、まあそれはそれ。
散々森保氏には文句を語ってきたが、間違いなく氏は史上最強の日本代表を作りつつある。一方で、過去出場6大会と比較して、しんどいグループリーグに入ってしまったのも間違いないけれど。
予選埼玉サウジ戦でワールドカップ本大会出場国にほとんど危ない場面を作らせず、キッチリ得点を奪う完璧に近い試合ができた。そして、USA戦では、決定機獲得頻度とピンチ少ないと言う意味では、サウジ戦以上の試合を見せてくれた。
攻撃連係の練度には不満が残るが、伊東や三笘のように個人能力で決め切るタレント、鎌田や堂安のようにラストパスを操るタレント、田中碧のように崩せるパスを出せるタレントが揃っている。そして、こう言った攻撃タレントに対し、忠実な組織守備と切り替えの早さを徹底したのは森保氏の貢献だ。
現実的に、ドイツもスペインも、USAやエクアドルやサウジや豪州よりは強かろう。また毎回よいチームを作ってくるコスタリカも非常に難しい相手だ。しかし、いずれの相手もブラジルほどは強くない。これだけのタレントが揃ったのだ、十分にやれるはずだ。
そして、本稿冒頭でイヤミを語った再現性問題。考えてみれば、相手国は当然日本のことを詳細にスカウティングしているはずだ。森保氏がカタール本大会での歓喜のために、難敵スカウティングチームを混乱させるために伏線を打っていたのだとしたら…
最終メンバをどのタイミングで絞るかは、ワールドカップの歴史でもとても微妙な問題。直前まで多めに集めて最後に絞ろうとすると、98年のように「外れるのはカズ、三浦カズ」となってしまう。一方で早めに絞ってしまうと、06年の茂庭照幸のように「南洋の休暇をとりやめて急遽帰ってまいりました」になってしまう。いずれの状況に陥っても、マスコミの好餌となり世間の耳目を集めるかもしれないが、チームの強化にはマイナスになる。難しいものなのだ。
本稿では、これまでの森保氏の采配を冷やかしながら、最終メンバを予想しつつ、カタール本大会に想いを寄せてみたい。
ともあれ。Twitterで幾度かつぶやいたが、森保氏のカタールへの準備には、既視感がある。最近に流行り言葉では再現性かw。守備的MFは既にギリギリに絞り込んでおり、煽れんばかりの数の攻撃ラインの選手の選考に迷う。その結果、チームの要の遠藤航が疲弊と前線の連係不足で、モヤモヤ感を残したまま、勝ち切れない。
東京五輪直前の準備試合、ホンジュラス戦とスペイン戦。いわゆる後方のMF要員として招集されたのは、遠藤航、田中碧だけ。2つのポジションに2人のみ。一方で、攻撃的MFとFWはドラミ相馬、三好康児、三笘薫、堂安律、久保建英、前田大然、上田綺世、林大地、4つのポジションに対し8人の候補選手がいた。一応DFで選考された板倉滉、中山雄太、旗手怜央が中盤のバックアップ(もできる要員)と予想された。ところが冨安健洋の負傷もあって、大会に入り3人ともDFラインの定位置での起用となり、結果的に遠藤と碧はフル回転。2人が疲弊したことが直接要因となり、メダルを逃した。この年代には渡辺皓太、田中駿太、岩田智輝ら、中盤後方で活躍できそうなよい人材は多数いた。しかし、森保氏は最後の準備試合の時点で、早々に彼らに見切りをつけてしまい、遠藤と碧の消耗を招いてしまった。
3ヶ月前の6月シリーズ。4連戦の最終チュニジア戦、冨安健洋と守田英正不在のため、ほぼ皆勤していた遠藤と吉田麻也のミスから3点を奪われ完敗した。守備的MF不足と冨安不在→板倉CB起用→遠藤ボロボロ。正に東京五輪の再現だったw。
そして、今回の二連戦。このシーズンの編成を見る限り、後方のMF要員はレギュラ定位置2枚に対して遠藤、守田、田中、柴崎岳の4人しか選考していない、しかも柴崎は強度が大きな課題で、守備面でのリスクを抱えるのは言うまでもなく、ターンオーバしたエクアドル戦の苦戦要因となった。もちろん、負傷で選考外になった板倉はパラグアイ戦のようにMFでも十分使えそうだが、本大会では冨安とCBを組む可能性は高い。一方攻撃的MFとFWは4枚に対して、鎌田大地、原口元気、伊東純也、堂安、久保、前田、上田、古橋亨梧、町野修斗、三笘、南野拓実、ドラミ、合計12名。もしかしたら、森保氏は、この9月シーズン直前に負傷した、ジャガー浅野琢磨や、復調の評価著しい大迫勇也まで考慮しているのかもしれない。そうなると、53日前の今日時点で、ポジション4個に対して14人の候補選手がいることになる。守備的MFの見切りはとても早く、FWは最後まで迷い続ける。東京五輪前の再来ではないか。
先日の強化試合を振り返ってみる。
USA戦。久々に4-2-3-1を採用。USA首脳は、これまでの日本の基本布陣4-3-3を予想していたのかもしれない。前田大然と鎌田大地の2トップがいきなりフォアチェックで、圧倒的攻勢をとることができた。前半、危なかったのは、序盤右サイドのプレスをうまく回避され、左に展開されて好クロスを上げられた場面くらい。特に前田の繰り返される俊足プレスはUSAを悩ませる。USAもMFやサイドバックを加えて最終ラインを3人にしてつなごうとしたり、ロングボールで日本のラインを広げようと工夫する。しかし、USA前線選手はボールの受けの位置取りに工夫が少ないため、強引なロングボールは冨安が完封、精度に欠ける縦パスは幾度も遠藤と守田の餌食となる。そのため、USA陣内で幾度もボール奪取に成功。前半は鎌田の得点のみの1-0で終わったが、伊東、鎌田、久保が次々と好機を演出、GKターナーの再三のファインプレイがなければ大差にできていたかもしれない。
余談です。6月の国立ブラジル戦、厳しいフォアチェックをしのぎ、持ち出そうとする度にフレッジとカミネーロに止められ、速攻の危機を迎える、ちょっとほろ苦い思い出だが、その恐怖を相手国に味合わせていると思うと気持ちがよかった。
後半は、冨安を右サイドに出したために中央の強度が落ち、USAも前線の選手を代えて受けの位置取りを改善してきたため、前半ほど圧倒的な攻勢はとれなくなる。しかし、ここに来て代表に定着しつつある伊藤洋輝も落ち着いた守備を見せ危ない場面は作らせない。そして、68分両翼を堂安と三笘に代えることで攻勢を取り直す。75分三笘が作った絶好機は堂安は決めなければダメ、大きな反省点だ。終盤鎌田に代えて原口を起用し、5DFの守備固めオプションを試したところで、三笘が得意のヌルヌルドリブルから決めて突き放したのも愉快だった。冨安の復帰が大きかったが、過去の日本代表史を振り返ってもベストに近い内容の試合だった。
エクアドル戦。スタメンを総取り替えすれば、バランスは崩れるのは当然のこと。そもそも、田中碧と柴崎岳でボランチを組むことそのものが健全な試合の取り組みとは言えない。2人は、共に落ち着いたキープや、長距離のパスを得意とするスタイルで、ボール奪取が本業ではない。幾度も語ってきたが、柴崎のロシアワールドカップでの鮮やかなロングパスは最高だった(残念ながら、それ以降柴崎はあの輝きを再現してくれていないが)。田中碧は、五輪代表で遠藤航や板倉のサポートを受け中盤の指揮官として君臨。ワールドカップ予選でも、遠藤と守田の献身の下、幾度も前線に鋭いパスを通して、本大会出場に貢献した。しかし、この2人並べても有効でないことは、試合をする前からわかっていたこと。このエクアドル戦は、柴崎ではなく遠藤と守田を45分ずつ起用すべきだった。結果的に本大会出場の26人に入ることを目指してる他の選手たち、特に前線で空回りを余儀なくされた古橋と南野が、何より気の毒に思えた。
しかもエクアドルは、最終ラインの選手のつなぐ能力はUSAを凌駕していた。古橋と南野のフォアチェックに対し、後方を3枚にして落ち着いてかわし、前線にボールを供給。冨安不在の日本は第一波をはね返し切れない。さらに、第二波の中盤のデュエル合戦も、碧と柴崎ではボールを取り切れないことが多く、連続攻撃を許す。こうなると、裏抜けをねらう最前線の古橋亨梧によいボールが供給できず、いよいよ攻めあぐむ。結果、ピンチの連続となった。前半右サイドを崩されポストに当たるシュートを許し、終了間際にはCKからのピンチをシュミットがファインセーブ、かろうじて0-0でしのぐことに成功した。
後半古橋に代えて上田綺世を起用。上田が前線でキープすることで、ペースを少しずつたぐりよせる。そして68分にようやく遠藤を起用し中盤を落ち着け、交代で入ったドラミの切れ味鋭いドリブルと、鎌田の変化で好機を掴むも決め切れず。逆に谷口が敵FWの妙技にPKを許すも、シュミットが止めると言った場面もあり、試合は0-0の引き分け。冨安と板倉と守田が不在、遠藤と麻也も僅かな出場時間と言う条件下で、ワールドカップ出場国を無失点に押さえたのは結構なことだ。
選手個人と言う視点でも、本大会に向けて明るい発見もあった。USA戦で久保が左MFで攻守に渡り活躍できたこと。これまで、久保はこのチームで、鮮やかな個人技を発揮はしたものの、自分本位のプレイばかりでチームに混乱を招くことが多かった。しかし、このUSA戦では組織的な崩しにも、守備にもしっかり参画。スタメン久保、終盤三笘起用と言う流れが最もバランスがとれているようにも思えた。
懸念されていた左DFも、USA戦では中山が90分間、守備を固めながら、左サイドからの攻め込み時は常に的確に押し上げを継続、この選手は攻守ともに圧倒的な能力を見せるタイプではないが、苦しい時間帯でも常に適切な一度理をしてくれる。一方で、エクアドル戦は大ベテランの長友が、さすがのプレイ。中央に絞ったカバーや、自陣での1対1の間合いなど老獪なプレイの数々、ここに来て圧倒的な存在感。酒井の体調に不安がある中、ブラジル戦での右サイドでの好プレイ含め、大したものだ。
まったく誰が選考されるか、目処が立っているに見えないCF。「予想が難しい」のではなくて「目処がが立っているように見えない」のは残念だが、ここは多数の候補が揃っていると前向きに考えることにしよう。とは言え、前田の献身的かつ強引な前線刈り取りは魅力的だった。余談ながら、この前田の暴力的なフォアチェックに、約20年前の鈴木隆行を思い出したのは私だけだろうか。前田は鈴木に比べると、身長は大きくないため迫力にはやや欠けるかもしれないが、人相の悪さと執拗な疾走の繰り返しは同レベル、そして短距離奪取の速さは鈴木を凌駕するものがある。このような短距離疾走の速さは、欧州の大柄なCBが最も嫌がるものゆえ、ドイツやスペインに対し非常に有効となるだろう。
エクアドル戦の終盤に起用されたドラミ相馬が切れ味鋭いドリブルを見せたのも頼もしかった。五輪でも大活躍し、韓国、エクアドルと言うワールドカップ出場国でも機能したこの小柄な異才は間違いなく本大会でも戦力となろう。ただ、久保がよかっただけに、ポジションのバッティングがあるのだが。
そしてシュミット・ダニエル。PKストップも見事だったが、度々前線に鋭いフィードを入れ、高いボールへの強さも上々だった。さてドイツ戦のスタメン、権田の安定感をとるか、シュミットの特長をとるか、森保氏の決断を待ちたい。
さて、それでは26人はどうなるか。一部選手の負傷報道が聞こえてきているが、そのような外乱がなければ、おおむね以下となるのではないか。
まず確定メンバを推定する。GKは権田とシュミットは確定として、3人目は川島または谷。右DFは酒井と山根、左DFは長友と中山。CBは麻也、冨安、谷口、伊藤、そして板倉。MFは遠藤航、守谷、田中碧、原口、鎌田。負傷明けの板倉を、CB要員ではなくMF要員と考えれば、いわゆるドイスボランチを、遠藤航、守田、板倉で回して、勝負どころで田中碧を使える。このやり方をすれば、散々イヤミを語った選手森保一選考しない問題を解決できるように思う。そしてFW、右は伊東純也、堂安、左は三笘、久保、そして問題のCFだが、上記した傍若無人的活躍をした前田大然は決まりかなと思う。そして、森保氏はヴィッセルで調子を取り戻した大迫勇也を選ぶように思えてならない。ここまでで23人で残り3枠。
この3枠を、瀬古、柴崎、旗手、南野、ドラミ、上田、町野、古橋、そして浅野が争う。ここから先は読みづらい。ただ、ここまでの選考を考えると、森保氏が大好きな柴崎はメンバ入りするだろう。(この森保氏の柴崎への極端な愛情は、本当に興味深い)。CFとしてもう1人上田か古橋(大迫が間に合ったので町野は選考外となるのではないか、あの強引なシュート狙いは魅力ですけれど)。そして、最後の1枚は南野かドラミ。
私個人の好みとしては、とにかく点を取るのがうまい小林悠を入れたらとか、中盤で骨惜しみしない選手がもう1人欲しいから稲垣や川辺選べばよいのではないかとか思いはあるが、まあそれはそれ。
散々森保氏には文句を語ってきたが、間違いなく氏は史上最強の日本代表を作りつつある。一方で、過去出場6大会と比較して、しんどいグループリーグに入ってしまったのも間違いないけれど。
予選埼玉サウジ戦でワールドカップ本大会出場国にほとんど危ない場面を作らせず、キッチリ得点を奪う完璧に近い試合ができた。そして、USA戦では、決定機獲得頻度とピンチ少ないと言う意味では、サウジ戦以上の試合を見せてくれた。
攻撃連係の練度には不満が残るが、伊東や三笘のように個人能力で決め切るタレント、鎌田や堂安のようにラストパスを操るタレント、田中碧のように崩せるパスを出せるタレントが揃っている。そして、こう言った攻撃タレントに対し、忠実な組織守備と切り替えの早さを徹底したのは森保氏の貢献だ。
現実的に、ドイツもスペインも、USAやエクアドルやサウジや豪州よりは強かろう。また毎回よいチームを作ってくるコスタリカも非常に難しい相手だ。しかし、いずれの相手もブラジルほどは強くない。これだけのタレントが揃ったのだ、十分にやれるはずだ。
そして、本稿冒頭でイヤミを語った再現性問題。考えてみれば、相手国は当然日本のことを詳細にスカウティングしているはずだ。森保氏がカタール本大会での歓喜のために、難敵スカウティングチームを混乱させるために伏線を打っていたのだとしたら…
2022年09月23日
選手森保一を呼ばない森保一監督
ワールドカップ前の貴重な準備試合、USA戦を迎える。
先日、森保氏がセンタフォワードをどうするつもりなのかと講釈を垂れたが、今日は今回選考のメンバを俯瞰しながら、(おそらく皆が最も気にしている)守備的MF選考について講釈を垂れたい。今大会よりメンバ総数が、23人から26人に増えた。森保氏の現状の基本布陣は4-3-3だから、GK3人、DF8人、MF6人、FW6人(これで合計従来の23人)に、あと3人をどう組み合わせるかが、常識的な選考方法となるのだろう。
一方で今日のお題の守備的MFについて。選手森保一は、運動量が豊富で、敵選手にうまくからんでボールを奪い、落ち着いて味方につなぐのが格段にうまい守備的MFだった。格段にフィジカルが強いようには見えないが、敵攻撃に対する予測力が格段に高く、敵にからんでスッとボールを奪い、攻撃の起点となる。最近の選手ではフレッジや稲垣祥をイメージしてもらえばよいだろうか。本稿では、代表監督としての森保氏が、最も思い入れの深いであろうこのポジションに対して、どこまで深く考えているのかが見えてこないことに対する愚痴を語りたい。
まずGK。ここは権田修一、シュミット・ダニエル、川島永輔、谷晃生の4人が選考。森保氏の信頼厚くここ数年安定した守備を見せている正キーパの権田。フィードの精度が高く権田とは長所の異なるシュミットが第2GK(ベガルタサポータとしては、この欧州遠征で従来以上の高さを見せて欲しいところだが)。第3キーパを大ベテランの川島と若い谷が争う。中東という独特の文化の国、初めて11月開催、試合間隔も短いなど、今大会は未知のことが多いだけに、ここは語学堪能で経験豊富な川島の選考が妥当か。
DFは、右が酒井宏樹と山根視来、左が長友佑都と中山雄太、中央が吉田麻也、冨安健洋、谷口彰悟、伊東洋輝、そして瀬古歩夢。ブンデスリーガで大活躍していながら直前に負傷した板倉滉が外れた。伊藤は6月シーズンで長時間使われ、貴重な左利きで左DFにも起用可能で再度選考された。瀬古は板倉の代替招集。東京五輪では冨安、板倉らの後塵を拝し出場機会を得られなかったが、CBとのしての才能は疑いない。冨安と板倉の20代半ばのCBコンビを世界中に見せびらかすのは楽しみだだった。しかし、もしこの2人の体調が整わなくても、大ベテランの麻也、先日のA3で韓国相手に格段の存在感を見せた谷口、そして潜在力は疑いない伊藤と瀬古が控える。過去いずれのW杯でもセンタバックの層の薄さに悩んでいたとは思えないタレントの厚み、よい時代になったものだ。
サイドバック、大ベテランの長友が、先日のブラジル戦で右サイドで「さすが」としか言いようないプレイを見せ状況は格段に好転した。常に選手層の薄さに悩まされていた左サイドは長友、中山、伊藤と3枚タレントがいる。右サイドは酒井、山根、長友に加え、もちろん冨安を回せる。欧州で活躍している菅原由勢や橋岡大樹でさえ、この選手層の厚みから選考外になってしまった。これはこれで、すごい事だと思う。
報道によれば、板倉は本大会に十分間に合いそう。瀬古は逸材とは言え、準備の合宿で麻也や谷口を凌駕する能力を見せない限り、この欧州遠征で起用されるかすら微妙で、本大会メンバ選考は難しかろう。そして、DFを8人とするか9人とするか、もし8人となると最後の一枠を山根、中山、伊藤が争うのだろうか。贅沢なものだ。
中盤については、今日の本題なので後述する。
右FWは、大エースの伊東純也、左足で多くの変化を演出する堂安律、何かしらの潜在力に期待したくなる久保建英。左FWは、最前線のタレントとしては欧州で最も高い評価を受けている南野拓実、予選でも幾度か決定的な仕事をしたヌルヌルドリブラの三笘薫、先日のA3で大活躍した短距離ドリブルの切れ味あふれるドラミ相馬勇紀。これまた3人ずつの選考。もちろん、いずれのタレントも魅力的だが、森保氏はどうやって絞り込むのだろうか。常識的には大エースの伊東純也を最大限に活かすためのタレントをどう選ぶかだと思うのだが。例えば、伊東と堂安を併用するのだろうか、それとも併用せずに試合終盤攻撃の変化をつけるために伊東の代わりに堂安を起用するのだろうか、もしそうならば久保は不要なのではないか、云々。
さらにCFに至っては、先日散々講釈を垂れたが、このポジションは何も決まっていない。誰が中核なのか、控えをどうするのか、変化をどう付けるのか。今回の欧州遠征では、選考直前に負傷したジャガー浅野拓磨が外れ、前田大然、古橋亨梧、上田綺世に加え、町野修斗の4人が選考された。ここに来て、嬉しい誤算だがJで大迫も復調してきている。改めて断言するが、この欧州遠征に至っても、森保氏は選択(言い換えれば捨てること)を決断していない。しかし、このポジションの枠は最大3枚なのだ。いや、4-3-3にこだわらず、4–2-2-2と言う選択肢をとるならば、南野や堂安や久保や鎌田のトップ下起用の選択肢があるだろうから、CF枠は2枚かもしれない。
そして、このUSA戦とエクアドル戦は、攻撃の連係を磨くのに最高の機会。選考した前線の選手たちすべてにプレイ機会を与える余裕などないはず。森保氏が、状況ここに至っても選手選考を絞り切れない現状にイヤミを語りつつ、今後の氏の選手選考に注目していきたい。
そして、今日の本題のMFについて。
4-3-3の布陣を基本とするとしたら、3人のMFの主軸は言うまでもなく、遠藤航、田中碧、守田英正。遠藤はシュツットガルトで主将を務め、ブンデスリーガシーズンベスト11にも選考された実績を持ち、格段の体幹の強さを生かしたボール奪取と落ち着いた展開はすばらしい。田中は中盤後方から、視野の広さと正確な技術を活かし、敵の守備を飛ばしたパスと緩急の妙で試合を作る。ファルカン、レドンド、ピルロ、デ・ブライネと言ったタレントを目指して欲しいのですが。守田は切り替えの早さと豊富な運動量を軸に、常識的だが長短のパスも上手、フロンターレ時代の田中との連係も強み。この3人で組む中盤が、ドイツやスペインにどのくらい通用するのかを想像し実感するのは、カタール大会の大きな楽しみの一つとなっている。
この3人の控えだが、常時予選でも選考されていたのは柴崎岳と原口元気。柴崎については後述する。原口は、ロシア予選から代表の中心選手、森保政権になってからは貴重な控えとして活躍を継続。予選でも試合終盤によく起用され、献身的な上下動と厳しい当たり、さらに若い頃からのドリブルのうまさに加え、最近ではラストパスの妙も見せてくれる。そして先般の6月シーズンには鎌田大地が久々に選考され、ブンデスリーガでも高く評価されている攻撃力の片鱗を見せるのみならず、インサイドMFとして組織的な守備も上々だった。そして、今回の欧州遠征で、旗手怜央が改めて選考された。旗手のセルティックでの活躍はすばらしいし、フロンターレでのサイドMF(あるいはサイドバック)としての、いかにも静岡学園出身らしい技巧と知性に疑いはない。
さて、誰もが思っているだろうが問題は柴崎だ。まず言及しておく必要があるが、ロシアでの柴崎はすばらしかった。セネガル戦で左サイド長友に通した60mクラスの超ロングパス(その後、長友とのシザースパスでフリーになった乾が得点)、ベルギー戦で右サイド原口のフリーランにピタリと合わせた40mのグラウンダのスルーパス。この2つのプレイだけで、柴崎は日本サッカー史に残る存在となった。もちろん、長谷部誠との連係から落ち着いたボールキープでの試合コントロールも見事だったけれども。
森保氏は代表監督就任以降、柴崎は常時メンバとして選考し続けている。試合によっては主将も託したこともあった。けれども、柴崎はこの4年間、あのロシア大会のような目の覚めるようなロングパスを見せてはくれていない。それどころか、最終予選の初戦ホームオマーン戦、柴崎は有効な組み立てやチャンスメークをできぬまま時計は進み、試合終盤疲弊したところで敵に決勝点を許してしまう。さらに敵地サウジ戦では、後半、疲労の色が顕著な柴崎は再三ミスパスを連発ピンチを招く。それでも森保氏は柴崎を引っ張り、運命のバックパスミス。日本サッカー史に残る珍場面と言えるだろう。敵地オマーン戦は守田の警告累積出場停止に伴い、柴崎は久々にトレスボランチでスタメン起用されたが、冴えないプレイ。前半で交代させられた。最終予選、柴崎はほとんど活躍できなかったのだ。
ここで改めてMF勢を並べてみる。レギュラは遠藤、田中、守田。控えに原口、鎌田、柴崎、そして旗手。遠藤や守田のようにボール奪取や敵を潰すのが得意は控え選手は選考されていない。中盤でボール奪取を主眼とする役目の選手は、豊富な運動量が要求され、累積警告による出場停止の可能性も高い。実際、東京五輪では、遠藤航と田中碧を中盤後方に並べる布陣を基本としながら、この2人の控えがおらずほぼフル出場(このポジションのバックアップと目されていた板倉滉がCBにレギュラ起用されたこともあったが)。大会終盤に入り、2人の疲弊もあって、メダル獲得に失敗した。3位決定戦で疲労困憊ながら献身する遠藤の姿は美しかったけれど。また先日の6月強化試合、最後のチュニジア戦でも、遠藤の疲労は顕著でそこが敗因の一つとなった。言い換えれば、森保氏は1年前の東京五輪での失敗経験を、この6月シーズンに活かせなかったのだ。
では、このポジションにタレントが少ないかと言うとそうでもない。川辺駿、稲垣祥、橋本拳人、岩田智輝と言ったタレントは、森保氏率いる日本代表に選考され、起用されれば充実したプレイを見せてくれた。しかし、今回の欧州遠征では選考されなかった。イヤミな言い方になるが、森保氏就任以降の約4年に渡り、柴崎は彼ら4人より充実したプレイを見せてくれただろうか。
もちろん、森保氏がしたたかな準備をしている可能性は否定しない。例えば、遠藤と田中は確定として、3MFのもう1人は鎌田か原口を起用し、常に守田をベンチにバックアップとする、あるいは板倉はCBに使わず、常時ベンチに置きバックアップとする、等々。
グダグダと講釈を垂れてきたが、不思議なことは柴崎を招集し続けることではない。守備的な能力の高いMFを、レギュラーの遠藤と守田しか呼ばないことなのだ。その代わりと言っては何だが、毎回FWの選手はベンチに入りきれないくらい呼んで、特にCFは本大会出場確定という選手がわからないことだ。繰り返すが、森保一のようなタレントをもう1人呼んでおくべきではないのだろうか。
29年前のドーハ、W杯最終予選。
サウジ、イラン、北朝鮮、韓国、イラクとの6カ国総当たりで、上位2国がUSA本大会に出場できるレギュレーションだった。最終戦前に2勝1分1敗でトップに立っていた日本だが、最終イラク戦の終了間際にCKから追い付かれ本大会初出場を逃した。
重要だったのは第3戦の北朝鮮戦、3-0でリードしていた日本だが、終盤森保一はつまらないファウルで警告を食らい、続く韓国戦は出場停止。韓国戦は、森保の位置にラモスを下げ、北澤を起用する布陣が当たり1-0で勝利を収めることができた。しかし、最終イラク戦、韓国戦で運動量を要求されるポジションに起用された33歳のラモスは疲労困憊、2-1と突き放すゴン中山へのアシストは見事だったが、試合終盤まったく動けなくなってしまった。あの同点ゴールとされるCKは、イラクの攻撃を一度森保が止め、ラモスにパス。ラモスは自陣でのボールキープを狙うべきだったが、敵陣への縦パスを選択し、それを奪われた速攻から提供したものだった。
もし、あの北朝鮮戦の終盤、森保がつまらないファウルを冒さなかったら。あるいは、ハンス・オフト氏が、森保の適正なバックアップ選手を選考できていたら。
29年後、監督森保一が同じ街で戦う真剣勝負。遠藤と守田に加えて、選手森保一のようなタフな選手を招集すべきに思うのは私だけだろうか。
先日、森保氏がセンタフォワードをどうするつもりなのかと講釈を垂れたが、今日は今回選考のメンバを俯瞰しながら、(おそらく皆が最も気にしている)守備的MF選考について講釈を垂れたい。今大会よりメンバ総数が、23人から26人に増えた。森保氏の現状の基本布陣は4-3-3だから、GK3人、DF8人、MF6人、FW6人(これで合計従来の23人)に、あと3人をどう組み合わせるかが、常識的な選考方法となるのだろう。
一方で今日のお題の守備的MFについて。選手森保一は、運動量が豊富で、敵選手にうまくからんでボールを奪い、落ち着いて味方につなぐのが格段にうまい守備的MFだった。格段にフィジカルが強いようには見えないが、敵攻撃に対する予測力が格段に高く、敵にからんでスッとボールを奪い、攻撃の起点となる。最近の選手ではフレッジや稲垣祥をイメージしてもらえばよいだろうか。本稿では、代表監督としての森保氏が、最も思い入れの深いであろうこのポジションに対して、どこまで深く考えているのかが見えてこないことに対する愚痴を語りたい。
まずGK。ここは権田修一、シュミット・ダニエル、川島永輔、谷晃生の4人が選考。森保氏の信頼厚くここ数年安定した守備を見せている正キーパの権田。フィードの精度が高く権田とは長所の異なるシュミットが第2GK(ベガルタサポータとしては、この欧州遠征で従来以上の高さを見せて欲しいところだが)。第3キーパを大ベテランの川島と若い谷が争う。中東という独特の文化の国、初めて11月開催、試合間隔も短いなど、今大会は未知のことが多いだけに、ここは語学堪能で経験豊富な川島の選考が妥当か。
DFは、右が酒井宏樹と山根視来、左が長友佑都と中山雄太、中央が吉田麻也、冨安健洋、谷口彰悟、伊東洋輝、そして瀬古歩夢。ブンデスリーガで大活躍していながら直前に負傷した板倉滉が外れた。伊藤は6月シーズンで長時間使われ、貴重な左利きで左DFにも起用可能で再度選考された。瀬古は板倉の代替招集。東京五輪では冨安、板倉らの後塵を拝し出場機会を得られなかったが、CBとのしての才能は疑いない。冨安と板倉の20代半ばのCBコンビを世界中に見せびらかすのは楽しみだだった。しかし、もしこの2人の体調が整わなくても、大ベテランの麻也、先日のA3で韓国相手に格段の存在感を見せた谷口、そして潜在力は疑いない伊藤と瀬古が控える。過去いずれのW杯でもセンタバックの層の薄さに悩んでいたとは思えないタレントの厚み、よい時代になったものだ。
サイドバック、大ベテランの長友が、先日のブラジル戦で右サイドで「さすが」としか言いようないプレイを見せ状況は格段に好転した。常に選手層の薄さに悩まされていた左サイドは長友、中山、伊藤と3枚タレントがいる。右サイドは酒井、山根、長友に加え、もちろん冨安を回せる。欧州で活躍している菅原由勢や橋岡大樹でさえ、この選手層の厚みから選考外になってしまった。これはこれで、すごい事だと思う。
報道によれば、板倉は本大会に十分間に合いそう。瀬古は逸材とは言え、準備の合宿で麻也や谷口を凌駕する能力を見せない限り、この欧州遠征で起用されるかすら微妙で、本大会メンバ選考は難しかろう。そして、DFを8人とするか9人とするか、もし8人となると最後の一枠を山根、中山、伊藤が争うのだろうか。贅沢なものだ。
中盤については、今日の本題なので後述する。
右FWは、大エースの伊東純也、左足で多くの変化を演出する堂安律、何かしらの潜在力に期待したくなる久保建英。左FWは、最前線のタレントとしては欧州で最も高い評価を受けている南野拓実、予選でも幾度か決定的な仕事をしたヌルヌルドリブラの三笘薫、先日のA3で大活躍した短距離ドリブルの切れ味あふれるドラミ相馬勇紀。これまた3人ずつの選考。もちろん、いずれのタレントも魅力的だが、森保氏はどうやって絞り込むのだろうか。常識的には大エースの伊東純也を最大限に活かすためのタレントをどう選ぶかだと思うのだが。例えば、伊東と堂安を併用するのだろうか、それとも併用せずに試合終盤攻撃の変化をつけるために伊東の代わりに堂安を起用するのだろうか、もしそうならば久保は不要なのではないか、云々。
さらにCFに至っては、先日散々講釈を垂れたが、このポジションは何も決まっていない。誰が中核なのか、控えをどうするのか、変化をどう付けるのか。今回の欧州遠征では、選考直前に負傷したジャガー浅野拓磨が外れ、前田大然、古橋亨梧、上田綺世に加え、町野修斗の4人が選考された。ここに来て、嬉しい誤算だがJで大迫も復調してきている。改めて断言するが、この欧州遠征に至っても、森保氏は選択(言い換えれば捨てること)を決断していない。しかし、このポジションの枠は最大3枚なのだ。いや、4-3-3にこだわらず、4–2-2-2と言う選択肢をとるならば、南野や堂安や久保や鎌田のトップ下起用の選択肢があるだろうから、CF枠は2枚かもしれない。
そして、このUSA戦とエクアドル戦は、攻撃の連係を磨くのに最高の機会。選考した前線の選手たちすべてにプレイ機会を与える余裕などないはず。森保氏が、状況ここに至っても選手選考を絞り切れない現状にイヤミを語りつつ、今後の氏の選手選考に注目していきたい。
そして、今日の本題のMFについて。
4-3-3の布陣を基本とするとしたら、3人のMFの主軸は言うまでもなく、遠藤航、田中碧、守田英正。遠藤はシュツットガルトで主将を務め、ブンデスリーガシーズンベスト11にも選考された実績を持ち、格段の体幹の強さを生かしたボール奪取と落ち着いた展開はすばらしい。田中は中盤後方から、視野の広さと正確な技術を活かし、敵の守備を飛ばしたパスと緩急の妙で試合を作る。ファルカン、レドンド、ピルロ、デ・ブライネと言ったタレントを目指して欲しいのですが。守田は切り替えの早さと豊富な運動量を軸に、常識的だが長短のパスも上手、フロンターレ時代の田中との連係も強み。この3人で組む中盤が、ドイツやスペインにどのくらい通用するのかを想像し実感するのは、カタール大会の大きな楽しみの一つとなっている。
この3人の控えだが、常時予選でも選考されていたのは柴崎岳と原口元気。柴崎については後述する。原口は、ロシア予選から代表の中心選手、森保政権になってからは貴重な控えとして活躍を継続。予選でも試合終盤によく起用され、献身的な上下動と厳しい当たり、さらに若い頃からのドリブルのうまさに加え、最近ではラストパスの妙も見せてくれる。そして先般の6月シーズンには鎌田大地が久々に選考され、ブンデスリーガでも高く評価されている攻撃力の片鱗を見せるのみならず、インサイドMFとして組織的な守備も上々だった。そして、今回の欧州遠征で、旗手怜央が改めて選考された。旗手のセルティックでの活躍はすばらしいし、フロンターレでのサイドMF(あるいはサイドバック)としての、いかにも静岡学園出身らしい技巧と知性に疑いはない。
さて、誰もが思っているだろうが問題は柴崎だ。まず言及しておく必要があるが、ロシアでの柴崎はすばらしかった。セネガル戦で左サイド長友に通した60mクラスの超ロングパス(その後、長友とのシザースパスでフリーになった乾が得点)、ベルギー戦で右サイド原口のフリーランにピタリと合わせた40mのグラウンダのスルーパス。この2つのプレイだけで、柴崎は日本サッカー史に残る存在となった。もちろん、長谷部誠との連係から落ち着いたボールキープでの試合コントロールも見事だったけれども。
森保氏は代表監督就任以降、柴崎は常時メンバとして選考し続けている。試合によっては主将も託したこともあった。けれども、柴崎はこの4年間、あのロシア大会のような目の覚めるようなロングパスを見せてはくれていない。それどころか、最終予選の初戦ホームオマーン戦、柴崎は有効な組み立てやチャンスメークをできぬまま時計は進み、試合終盤疲弊したところで敵に決勝点を許してしまう。さらに敵地サウジ戦では、後半、疲労の色が顕著な柴崎は再三ミスパスを連発ピンチを招く。それでも森保氏は柴崎を引っ張り、運命のバックパスミス。日本サッカー史に残る珍場面と言えるだろう。敵地オマーン戦は守田の警告累積出場停止に伴い、柴崎は久々にトレスボランチでスタメン起用されたが、冴えないプレイ。前半で交代させられた。最終予選、柴崎はほとんど活躍できなかったのだ。
ここで改めてMF勢を並べてみる。レギュラは遠藤、田中、守田。控えに原口、鎌田、柴崎、そして旗手。遠藤や守田のようにボール奪取や敵を潰すのが得意は控え選手は選考されていない。中盤でボール奪取を主眼とする役目の選手は、豊富な運動量が要求され、累積警告による出場停止の可能性も高い。実際、東京五輪では、遠藤航と田中碧を中盤後方に並べる布陣を基本としながら、この2人の控えがおらずほぼフル出場(このポジションのバックアップと目されていた板倉滉がCBにレギュラ起用されたこともあったが)。大会終盤に入り、2人の疲弊もあって、メダル獲得に失敗した。3位決定戦で疲労困憊ながら献身する遠藤の姿は美しかったけれど。また先日の6月強化試合、最後のチュニジア戦でも、遠藤の疲労は顕著でそこが敗因の一つとなった。言い換えれば、森保氏は1年前の東京五輪での失敗経験を、この6月シーズンに活かせなかったのだ。
では、このポジションにタレントが少ないかと言うとそうでもない。川辺駿、稲垣祥、橋本拳人、岩田智輝と言ったタレントは、森保氏率いる日本代表に選考され、起用されれば充実したプレイを見せてくれた。しかし、今回の欧州遠征では選考されなかった。イヤミな言い方になるが、森保氏就任以降の約4年に渡り、柴崎は彼ら4人より充実したプレイを見せてくれただろうか。
もちろん、森保氏がしたたかな準備をしている可能性は否定しない。例えば、遠藤と田中は確定として、3MFのもう1人は鎌田か原口を起用し、常に守田をベンチにバックアップとする、あるいは板倉はCBに使わず、常時ベンチに置きバックアップとする、等々。
グダグダと講釈を垂れてきたが、不思議なことは柴崎を招集し続けることではない。守備的な能力の高いMFを、レギュラーの遠藤と守田しか呼ばないことなのだ。その代わりと言っては何だが、毎回FWの選手はベンチに入りきれないくらい呼んで、特にCFは本大会出場確定という選手がわからないことだ。繰り返すが、森保一のようなタレントをもう1人呼んでおくべきではないのだろうか。
29年前のドーハ、W杯最終予選。
サウジ、イラン、北朝鮮、韓国、イラクとの6カ国総当たりで、上位2国がUSA本大会に出場できるレギュレーションだった。最終戦前に2勝1分1敗でトップに立っていた日本だが、最終イラク戦の終了間際にCKから追い付かれ本大会初出場を逃した。
重要だったのは第3戦の北朝鮮戦、3-0でリードしていた日本だが、終盤森保一はつまらないファウルで警告を食らい、続く韓国戦は出場停止。韓国戦は、森保の位置にラモスを下げ、北澤を起用する布陣が当たり1-0で勝利を収めることができた。しかし、最終イラク戦、韓国戦で運動量を要求されるポジションに起用された33歳のラモスは疲労困憊、2-1と突き放すゴン中山へのアシストは見事だったが、試合終盤まったく動けなくなってしまった。あの同点ゴールとされるCKは、イラクの攻撃を一度森保が止め、ラモスにパス。ラモスは自陣でのボールキープを狙うべきだったが、敵陣への縦パスを選択し、それを奪われた速攻から提供したものだった。
もし、あの北朝鮮戦の終盤、森保がつまらないファウルを冒さなかったら。あるいは、ハンス・オフト氏が、森保の適正なバックアップ選手を選考できていたら。
29年後、監督森保一が同じ街で戦う真剣勝負。遠藤と守田に加えて、選手森保一のようなタフな選手を招集すべきに思うのは私だけだろうか。








