2007年11月14日

アジア王者奪回

 浦和レッズ、アジア制覇おめでとうございます。

 豪州、インドネシア、中国、韓国×2、イランのトップクラブにそれぞれ苦戦しながら、一切奇策を弄せず、常にチームの戦闘能力を前面に押し出してのアジア制覇。見事なものだ。
 この日の決勝第2戦も、前半からワシントン、ポンテを軸に攻撃的に戦い、永井が巧みに敵の浅いラインをかいくぐり強烈なシュートを決め先制。セパハンのGKモハマディは正対した際のシュートへの反応が正確で、真っ当な1対1に滅法強い。しかし、永井はそのモハマディを力で打ち破った。見事な一撃だった。
 先制し、敵が攻撃的に出てくると押し込まれてしまい、最終ラインでの勝負を余儀なくされるのも、これまでのレッズの戦い方。闘莉王の強さ、堀之内の冷静さ、坪井のスピード、平川の粘り、阿部の判断力、そして都築の安定感。少々押し込まれても、守り切ってしまうレッズの最終ラインの強い事。そして、後半半ば、完全に押し込まれ決定機を許し始め、逆襲速攻も思うように機能しなくなってくる。そのような苦しい場面でもオジェク氏は我慢し続けるのも、これまた今までの試合と同じ。
ところが、散発的な逆襲をしのがれ、相当苦しくなってきた時間帯。これまでと同じように少人数の逆襲を止められ、敵DFが余裕を持って戻したバックパスをGKモハマディが処理を誤り、CKを獲得。そのCK崩れから闘莉王の好クロス、ワシントンの落とし、フリーの永井の強シュート(モハマディが好セーブ)、そして阿部が冷静に詰め、レッズは2−0に突き放すことに成功した。
 こうなれば、もう試合は完全にレッズのもの。諦めないセパハンの猛攻を、闘莉王を軸にしのぐのは得意中の得意。終盤、ポンテ→内舘の交代で後方を厚くし、永井→達也で前線の活動量を増やす交代で、セパハンを完全に押さえ込む。そしてロスタイムには、福田、山田と並ぶJリーグ以降のこのクラブの最大の貢献者である岡野(あれから10年近い月日が経とうとしている)を、時間稼ぎがてらピッチに送り出し(岡野が見事な引き出しでFKを奪うなど、しっかり機能するのがまた嬉しい)、完璧に試合をクローズ。
 レッズは歓喜のアジア制覇、クラブのアジアチャンピオンの座を8年ぶりに奪回してくれた。

 それにしても、ポンテ、ワシントン、達也らの得点力、闘莉王、阿部、都築らの強力な守備力。それらの強さをそのまま前面に押し出し、アジアの列強を叩き潰し続けたのだから、レッズの戦闘能力の高さには敬服。

 とは言え、このチームの強さの源泉は、やはり啓太と長谷部だと思う。豊富な活動量と戻りの速さの啓太、守備も攻撃も1対1の強さが光る長谷部。時に最終ラインに吸収されてしまう事もあったが、この2人の献身が、この馬鹿馬鹿しいほど厳しい日程のレッズを支え続けた。山田が不運な負傷で離脱し、腕章を巻いた啓太がカップを受け取る事ができたのは、このタフ極まりないヒーローへの、せめてものご褒美だったのだろうか。
 しかし、私は啓太はもっと素敵なご褒美をもらう権利があると思う。考えてみよう、アジアカップで日本は4位に終わったが、啓太は中心選手としてほぼフル出場で堂々たるプレイを見せてくれた。Jリーグもおそらくレッズが制するのだろうが、啓太の活躍は言うまでもない。そして、アジアチャンピオンズリーグでの活躍は上記の通り。
 (無能なAFCにそのような能力がない事はわかっているが)鈴木啓太こそ、今シーズンのアジア年間最優秀選手に相応しい。
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2007年10月26日

ソウルにてレッズの強さを堪能して

 水曜日から本業都合でソウル近郊に滞在。レッズの究極の勝利を、ハングルのアナウンスを通してすっかり愉しませていただいた。
 イタマルのミドルシュートを都築が止めきれず金東Rが詰めた瞬間の歓喜、ポンテが大外の阿部に合わせ長谷部が冷静に詰めた瞬間の悔しさ(それにしても、このFK時の城南の交代策は疑問)。崔相国を都築が止めた際の嘆息。平川の怪しげなPKが決まった時の絶望。
 正に「ざまあ見ろ」感覚を堪能できた。

 試合そのものは、城南が山田と平川の前進を徹底して押さえに来た事(逆に言えば、中央突破されて失点するのは「仕方がない」と開き直ったのだろう)、(敵地で2点を取った引き分けをした事で?)レッズが両翼まで下げて5DFで引きこもった事、このあたりが勝負のアヤとはなった。オーソドックスに両翼から攻め込もうとしたレッズは、城南の両翼への厳しいチェックハーフウェイラインあたりでボールを奪われ、守備ラインが引き過ぎの状態だったため、無用なピンチを招いてしまった。
 1点目のワシントンには、釜本を思い出した。
 同点にされた時の坪井はいくらなんでも拙いだろう、あのような対応への強さで評価されている選手なのだから。逆転された直前、達也が敵陣でズルッとすべったのは悪い予感がしたな。
 終盤の阿部は凄かった。改めてこの男の潜在能力の高さを認識できた。ただの日本代表の中心選手で終わって欲しくないのだけれども。
 後半終了間際と延長で、決定機を外した啓太。これはこれで、いかにもこの男らしいから、いいんだよな。最近、きっちりトップに正確なボールを収めるようになってきて、相当立派なボランチになってきたんだけど、これであそこで決勝点を決めちゃったら、ドゥンガじゃないか。いや、もしかしたら。
 堀之内は(内舘もそうだけど)、あの能力を持っていながら、よくこの立場で我慢できるよな。

 と、つまらない講釈を語るのは、野暮なんだよな。このような試合では。
 アジアチャンピオンズリーグは、本当に素晴らしいタイトルマッチだ。谷口と崔相国の涙の重さ。

 で、ようやく帰国できた。

 作文しながら、気がついた。今日は10月26日ではないか。あれから22年が経ったのか。これはちょっと怖ろしいことだ。私は今47歳。あと3年経てば、あれは人生の半分での経験になってしまう。歳をとったものだ。

 えい、そんな事はどうでもいいや。明日は帰仙する。友よ共に戦おう。
 そして、いつかは。
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2007年10月03日

アジア最高峰の戦い

 これぞタイトルマッチ。日韓のトップチームが共にボロボロになりながら、知恵と能力の限りを尽くして戦った素晴らしい試合だった。しかも敵地での2−2は十分満足する結果。

 前半早々、坪井のミスから逆襲速攻を許す。敵FW2枚と闘莉王、阿部のDF2枚の対決。闘莉王が読み過ぎて阿部の後方に位置取りを傾け過ぎたところを逆につかれ、痛恨の失点。しかし、モッタと言う選手のシュートの巧さは凄いな。
 ところがここでリードした事が、逆に城南のゲームプランを混乱させたのか、チーム全体が完全に引いてしまった。確かに屈強な選手が最終ラインに6人か7人残っているので、レッズとしては攻めるのがいささかしんどくなったのは事実だが、切れ味抜群の達也と心憎いばかりの落ち着いたキープを見せるポンテが最前線に迫れば、いくら人数が多くても、城南の守備ラインはズレてくる。
 後半早々こそ城南が攻勢を取るが、すぐにレッズの攻勢に戻る。そして、レッズが執拗に攻め懸けたため、押し込まれた城南の守備に混乱が生じた。達也の同点弾、ポンテが浅い角度からクロスを入れる際に、レッズのFWはワシントンと達也の2枚、一方城南のDFは3枚いた。ところが、この3人がレッズの2トップを巧く捕まえられなかった。あれだけの守備者達が、ゴールラインぎりぎりをえぐられた訳ではないのに、かくもマークを外してしまったのは、あの時間帯いかに城南守備陣が混乱していたかと言う事だろう。無論、ポンテのクロス精度、達也の巧妙な位置取りとヘディングのためにスッと前に出る動きは抜群だったが。
 アウェイゴール2倍ルールを考えると、この1失点は城南には相当ショッキングだったのか、明らかにチームバランスが崩れる。焦る最前線と組織が巧く行かない守備ラインがさらに間延びし、チーム全体がおかしくなる。レッズはその時間帯を冷静につき、ポンテを軸に再三巧い攻め込みを見せた。PKとなった場面そのものは、ワシントンをマークしていた選手(後半アタマから入った長身のFW)の軽率なミスだが、完全なレッズの時間帯ゆえ獲得できたPKとも言えるだろう。
 逆転されて、攻めるしかなくなった城南に対して、レッズはさすがに疲労が顕著になる。特に啓太も長谷部の動きが重くなり、城南の攻撃を中盤で止められなくなってくる。ここは交代のカードを切りたいところだが、坪井の負傷で既に交代枠を1枠使ってしまっていた事、小野が負傷で離脱していた事、阿部や山田を中盤に回すにしても彼らも疲労がありありとしていた事などのためだろうか、オジェク氏は動かない。そうこうしているうちに、敵FWに縦突破を許し(闘莉王の唯一の弱点を付かれたとも言う、ここで坪井ならば最初の縦突破を止められたのではないか)同点弾を許す。ここでもモッタのシュート力に感心、来年どこか金満のJクラブがモッタを獲得するのではないか?!
 これ以降の時間帯は非常に苦しいものだったが、城南にも疲労が目立ち始め何とかしのぎ切った。ただ、オジェク氏の試合のまとめ方には疑問。まず、最後の時間稼ぎの細貝投入は、埼スタ全北戦同様敵ボールのセットプレイ時でピンチを広げる可能性があった(TV桟敷で見ている限りでは、山田が冷静に交代拒否したように見えたが、実際はどうだったのか)。また、負傷上がりの達也交代は妥当だろうが、起用すべきは永井ではなく岡野だったのではないか。岡野ならば愚直に前線でチェイシングをして、チーム全体を助けたのではないかと思う。また、内舘を中盤に起用し(啓太でも長谷部でもポンテでもいい)、中盤で城南の第一波をとにかく止めに行くのも一手段だったのではないか。逃げ切りそのものは成功たが、どうにもオジェク氏の終盤の采配は飲み込みきれない事が多い。

 とにかくレベルの高い面白い試合だった。さすが極東屈指のクラブチーム同士の戦い、素晴らしい娯楽だ。敵地で2点取っての引き分けで、レッズが優位に立ったのは間違いないが、城南も簡単には勝たせてくれないだろう。24日の死闘が今から愉しみでならない。
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2007年09月27日

Jリーグ15年の成果

 左サイドの憲剛が、ノールック(としか思えない体勢で)右サイドフリーのジュニーニョに超高精度サイドチェンジ(スタンドから見ていた私よりも、フィールド内の憲剛の方が視野が広いのでないかと思わせる凄いパスだった)。堅牢なセバハンのDF陣が4枚慌ててジュニーニョに近づく。軽率に飛び出す敵DFを抜き去るのは、このブラジル人ストライカが最も得意とするところ。一気に4人を抜き去るスーパー個人技を見せ、強烈なシュート。しかし、セバハンGKモハマディが奇跡的に片手ではじき出した。決まっていれば、正に超アジアレベルの得点だったのだが。

 開始早々、セパハンのロングスローから連続CKのピンチ(ゴールを割られたが、オフサイド?でノーゴール判定)があったが、その後しばらくの時間帯はフロンターレの猛攻。憲剛やジュニーニョのシュートが飛び交った。セパハンの4−1−4−1のフォーメーションで中央の攻撃的MF2人が憲剛と谷口を押えるようになって、やや小康状態となる。そんな状況下、村上の左サイド突破からのジュニーニョのフリーシュートをモハマディが足ではじき出し、さらに冒頭の超アジアレベル決定機。手変え品変え突破しながら、崩し切れないイヤな雰囲気の前半となった。
 後半もフロンターレペース。幾度と無く好機を掴むが決めきれない。それにしてもセパハンのセンタバックとゴールキーパの強い事。これが国際試合なのだ。そんな中で森が負傷する不運、ここまで森は圧倒的な脚力で右サイドを切り裂いていたのだけに、これは痛かった。黒津を左サイドに投入し、村上を右に回す選択肢もあったように思うが、「1点もやれない」アウェイゴール2倍ルール。関塚氏もそこまでのリスクを選択するのは難しかったのだろう。
 後半終盤になると、フロンターレを「1点もやれない」感が襲い始め、無理ができなくなる。結果的に森負傷以降、「ある程度無理に攻める」時間帯を作れなかった。確かに終盤には各選手の疲労が顕著にはなっていた。しかし、疲労が前面に出ていたのはむしろセパハンの方。また、この日は谷口が非常によい出来で、3DFの前のディフェンススクリーンに位置取り、上下左右に動いてセパハンの逆襲の芽を摘み取り続けた。この谷口の献身もあり守備は安定していただけに、どこかの時間帯で強引に攻めに出てもよい気がしたのだが。
 延長開始早々、憲剛が足をつらせてしまう。関塚氏の選択肢は交代。たとえ、足を引きずる状態になっていても、憲剛は残すべきだったと思うのだが。結果的に、延長戦フロンターレは完全に攻めあぐむ事になってしまった。さらに終盤我那覇を投入するも、交代出場の割には運動量が少なく効果は少なかった。「にんにく注射」以降、すっかりこの選手は調子を崩してしまった感がある。
 そしてPK戦へ。

 サポータ達は、ゴール裏から敵のキッカーを少しでも幻惑しようとし、凄まじい音量のブーイングを浴びせた。しかし、サッカーの神は彼らに微笑まなかった。
 さらに、PK戦の約30分前、関塚氏はあろう事か、憲剛を交代させていた。倒れ行くチームメートを憲剛はどのような思いで見守っていたのだろうか。私はこの采配は間違っていたと思う。しかし、このチームをここまで引き上げてきた関塚氏の判断だったのだ。「正しい」か「正しくない」かの議論が無意味なのは間違いない。

 関塚氏がフロンターレの監督に就任したのが2004年シーズン。前年石崎氏に率いられながら後一歩でJ1昇格を逃したフロンターレ。新監督に抜擢された関塚氏は、J1昇格が必須として期待されていた事、既に名将として評価の高かった石崎氏の後任である事、と言った非常に難しい役割を担う事になった。
 ところが関塚氏は見事なチームを作り、圧倒的な強さでJ2を制覇。そのままJ1でも強豪となり、とうとうアジアのベスト8まで駆け上がるチームを作り上げた。箕輪、伊藤、寺田、佐原と言った頑健なDFを3枚並べる強固な守備ライン、抜群の突破力と得点力を誇るジュニーニョを軸とする高速カウンタアタック。この特徴はJ2時代から変わっていない。そして、フィールド上の指揮官である中村憲剛は、03年には「J2屈指の好MF」だったが、07年には「アジア屈指のMF」と呼ぶべき存在にまで成長した。関塚氏のチームは、中村憲剛の成長と同期して、チームの「格」を上げていったのだ。そして、ここでの「格」とは、チームの戦績だけではない。観客動員、地域密着、クラブとサポータの独特の厚い(熱い)関係を含めての「格」である。
 この躍進はフロンターレフロントと関塚氏の手腕と言う「必然」、中村憲剛と言う偉材との出会いと言う「幸運」の組み合わせによるものだった。いや、関東大学の2部のMFを獲得しここまで成長させたと言う意味では、これもフロントと監督の「手腕」と考えるべきかもしらず、「幸運」と呼ぶのは失礼かもしれないが。
 かの党首殿が、このフロンターレの躍進と敗退を
本当に悔しい結果。
浦和レッズなら今年勝てなくても、来年、再来年とチャンスがあるだろう。
しかし川崎はそういうクラブじゃない。
(中略)
アジアのベスト8に進出しただけでも立派には違いない。
川崎フロンターレ、J1のレベルは見事に証明された。
しかし膨らんだ夢が萎むのは切なく、虚しい。
と論じられている。その通り、彼らには来年、再来年はないだろう。屈強なDFたちも、ジュニーニョも、年齢的にギリギリなのだから。そして、だからこそ「圧倒的攻勢にも関わらずの敗退」の絶望感たるやなかった。派手な逆転劇やロスタイムの悲劇があった訳ではない。ただただ真綿で首を絞められるようにフロンターレは掴みかけていた勝利を獲得できなかったのだ。本当に悲しい敗退だった。しかし、これだけの悲しさを体験できるのも、またサッカーなのではないかと。

 息の詰まるような120分間の死闘。無理ができない中での猛攻。サポータの絶叫。強力そのもののセパハンのCBとGK。
 そして、呆然とする憲剛。天を仰ぐジュニーニョ。崩れ落ちる谷口。立ちすくむ関塚氏。

 これだけの絶望感を味わう事ができたフロンターレサポータの方々が本当に羨ましい。そして、この絶望的敗戦こそ、Jリーグ15年の1つの大きな成果と言えるだろう。

 最近ちょくちょく登場してもらっているフロンターレサポータの友人。惜敗に涙しながら後片付けをして、小学校6年生のご子息(この日も父親の指揮の下、ゴール裏で大旗を振って必死に応援していたらしい)と、深夜トボトボと帰宅したそうな。父親があまりにガッカリしているので、ご子息は必死に励ましてくれたとの事。「お父さん、まだナビスコがあるよ。」「天皇杯に優勝したら、またこの大会に出られるよ。」
 さすがに小6では、この日の敗退の無常までは理解できないと言う事か。ご子息は、数年後この晩の悲劇の重要性を理解し、己が参戦できた事を改めて誇りに思う事だろう。
 以前友人は「孫ができたら『昔、フロンターレがアジアチャンピオンになった事があるのだ』と自慢するのだ」と語っていた。友人の夢は破れた。でも、「昔、フロンターレが準々決勝でPK戦で涙を飲んだ」は、やはり相当な自慢話だと思う。


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2007年09月21日

アジアチャンピオンズリーグ準々決勝、微妙な初戦

 レッズはホームで2−1の勝利、フロンターレは敵地で0−0の引き分け、いずれも「得点勘定からすると微妙ではあるがまあ上々かな」と言う結果となった。

 レッズは早い時間帯に美しい先制点を決め、その後も押し気味に勧めながら追加点を取れないイヤな展開。案の定、前半も終盤以降は再三好機を作られた。それでも後半10分過ぎにCKから作られたピンチをしのいで逆襲速攻。達也が闘莉王とのワンツーから見事に決めて突き放した。その後は再びレッズペースに。終盤には山田と啓太の見事な連携から右サイドを崩し、長谷部?がペナルティエリア内で全くフリーになりながらスルーすると言う珍プレイ(誰か味方が背後にいると勘違いしたのだろう)で逸機。このような場面から流れは変わるもので、終盤全北のパワープレイに押し込まれる。
 ここで2つ残念な事があった。まず小野。敵CKをDFがしのぎ、ペナルティエリア外側で待つ小野に浮き球が流れてきた。ここで小野は横に流れてきた永井?か誰かに軽妙な浮き球のパス、ところが狙いが外れ敵にボールを拾われ、そこから決定機を与え、さらに敵攻撃の継続を許してしまった。己のボール扱いに自信があったのだろうが、あそこは一旦敵の攻めを切りたいところだった。そしてオジェク氏の交代タイミング。達也を内舘に代えるのは時間帯から言って妥当かもしれないが、敵CKの時に代えてはピッチ内の人数が減るだけの事だ。全北に内舘がピッチに入った瞬間にCKを蹴られ、敢え無く失点してしまった。オジェク氏の杓子定規な采配を突かれたと言うところか。
 言うまでもなく、この失点は痛い。2−0で終わっていれば、「2点先に取られてもまだ同点」が「1点先に取られたらもう大変」に変わってしまったのだ。このあたりが「アウェイゴール2倍ルール」の面白さと言えるのけれども。相手も必死なのだから、失点すること事態は仕方がない事だが、上記したミスが2本重なっての失点だけに、寝覚めが悪い結果となってしまった。
 済んだ事は仕方が無い。レッズにとって問題は、土曜日のマリノス戦をどう戦い、体調を整えて韓国に行くかと言う事だろう。ただリーグ優勝も狙うレッズとしては、敵地でのマリノス戦は相当厄介な戦いになる。Jの混戦化と言う意味でも、野次馬から見てもこの試合は今シーズンの重要な試合の1つ。強豪ならではの辛い連戦となる。
 戦闘能力を比較すればワシントンも戻ってくるだけに(全北に第1戦不在だった相当なレベルの別戦力がいればさておき)来週の第2戦は、やはりレッズは相当な優位に立っていると思う。特に、達也の動き出しに序盤ほとんど対応できていなかった全北守備陣が、ワシントンとポンテが上下に控える中で達也を止められるようには思えない。ただ、内舘投入時に見られたような、オジェク氏の杓子定規な采配がちょっと心配。

 一方のフロンターレ。0−0の結果は狙い通りのものと言ってよいだろう。ただ、セバハンの出来が今一歩で決定機はフロンターレの方が多く、ちょっと残念な気持ちも残る試合となった。実際、マギヌンの調子がもう少しよければ勝てていたように思えた。
 ただし、敵地で1点が取れなかった以上に残念だったのは、憲剛が警告を食らってしまった事だ。ペナルティエリアで憲剛が足を出して敵が転倒。トリッピングのようにも、ダイビングのようにも見える微妙な場面だった。DFの人数は足りていたのだから変な足の出し方をする必要がなかったのがまず残念。さらに主審が笛を吹いているにも関わらず両手を上げて敵のダイビングをアピールをした事で主審の心証を害してしまった。これで憲剛は、決勝の第1戦まで「何があっても警告を食らってはいけない」状況になった。「憲剛の不在」はフロンターレの野望を事実上終結させてしまうのだから。
 セバハンは、フロンターレにとって相性のよい相手だと思う。フロンターレ守備陣が苦手とするスピード突破やFWのポジションチェンジはあまり見受けられなかったし、憲剛へのマークも緩かった。セバハンのスカウティング部隊が以前来日したと言う報道もあったし、事前にフロンターレに対する研究は相当行なっていたはず。それなのに、適切な手立てを打ってこなかったのは少々不思議だったが、相性的に「アンチフロンターレ」的な策を取りづらいチームなのかもしれない。少なくとも2度目のお手合わせの際に、そう無策で来るとは思えない。初戦との交代メンバを含め、立ち上がりは要注意だろう。
 もっともフロンターレにとって最大の課題は、自分たちの体調だろう。第1戦を観た限りでは、フロンターレの選手の体調がよければ、相当の確率で勝つ事ができるように思う。しかし、フロンターレは日本−イランと言う長距離を往復してからの戦いになるのに対し、セバハンは片道旅行しかせずに、第2戦に臨む事になる。この差は大きい。
 レッズと異なりフロンターレは現実的にリーグチャンピオンになれる可能性はほとんどない。日曜日のレイソル戦、フロンターレは一部選手を休養させるべきだと思う。それにしても「ベストメンバ規定」なる妙な規定が、日本クラブの栄冠獲得を妨害するものだ。

余談
 フロンターレサポータの友人から聞いた話。あるフロンターレサポータの方がBLOGで「もうリーグ戦制覇の可能性はなくなった。リーグ戦では時に選手を休ませACLに専念すべきではないか。」と意見を述べたところ、一斉に「我々は全てのタイトルを狙うべきだ」と十字砲火を浴びて大変な事になったそうだ。
 また件の友人も私に「何を言っているのだ。日曜のレイソル戦は石崎さん(フロンターレの前監督)との決着をつける大一番なのだ、手を抜くなんて。」と言っていた。
 さて関塚氏は、いかにこの生真面目なサポータの方々に「バレない」ように選手を休ませるのか、手腕を見守りたい(でも憲剛とジュニーニョを下げたらバレるよなあ)。

もう1つ余談
 さらに件の友人。憲剛の出場停止について。「拡大トヨタカップまで今回の警告は持ち越すのかもしれない。すると1回戦で憲剛がイエローを食らうと、憲剛抜きでミランか...」
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月04日

中国サッカー界に未来はあるのか

 U22中国戦、先日来反町氏の五輪代表チーム作りに再三再四疑問を唱えているが、この日の日本のプレイ振りは、反町氏の監督としての潜在能力が並々ならぬものを示すものだった。あの異様なラフプレイと偏った判定の連続に。全選手が耐え切って誰も退場にならずに90分間を終える事ができたのは、感動的でもあった。これは反町氏が試合前及び試合中に、選手達によほどの精神的集中を要求し、それを守らせた事の証左だろう。
 さらに試合終了直後のTVのインタビューでは敢然と以下のように語った(要約は武藤)。
サッカーを30数年やっているが、こんなレフェリーは初めて。この大会そのものに疑問を持っている。
「こんな本当の事を言っていいのだろうか」と心配にもなるが、この発言そのものが、選手達を大変勇気付けるものだろう。
 今まで散々と反町氏を批判してきたが、氏のリーダーとのしての能力は、やはり大変高いものがある事が再認識された。先日嘆いたように、五輪最終予選直前の準備試合に「ベストメンバを組めない日程」を強制する日本協会と、大量にあった準備期間の多くを無駄にロスした反町氏、それぞれに大変な問題はある。しかし、この試合における反町氏の監督としての潜在能力を見るにつけ、厳しい最終予選に何かしらの安心感を味わう事ができた。
 誤解して欲しくないが、上記は全く皮肉ではない。以前も述べたが、私は選手反町は大好きだったし、アルビレックスにおける反町氏の業績を高く評価している。この異様な試合での引き分け劇を見て、改めて氏の潜在能力を再認識したのだ。

 しかし、一連の中国のラフプレイをどう考えたらよいだろう。

 まず審判。
 反町氏は、試合後の記者会見後の囲み取材
まあ、レフェリーもかわいそう。これで日本が勝ったら、彼らはここで生活できないんだから。
と、これまた「こんな本当の事を言っていいのだろうか」と言う発言をしたようだが、反町見解はオーバにしても、一体どのようなつもりで審判生活を送っているのか疑問になった。国際審判員になるためには、相当な努力と研鑽が必要なはず。そして、それだけの経験を経て、晴れて国際審判員になったのだから、矜持と言うものがあると思うのだが。

 選手達。
 ラフなチーム、汚いチームと言うのはあるものだ。しかし、最近の中国(特に今回の五輪代表)を見ていると、そのような常識的表現では表現し切れない何かを感じる。「『ボールを奪う時に敵の足を蹴るのは反則になる』と言う知識を知らずにここまで育ってきたのではないか」と思えるほどだ。どうやったら、このような選手達(1人ではなくて複数だから凄い)を育成できるのだろうか。
 たとえば、先日アジアカップで戦ったUAEのエースのマタルのラフプレイは、審判に気づかれないように敵を削りに行く非常に悪質なもので、かつ日本戦のマタルは主審のそのあたりの見極め力が低い事を理解して、中澤らに非常に悪辣なラフプレイをしていた。
 このマタルのラフプレイは当然排斥されるべきではあるが、一方で「バレないように」と言う意識を持っているマタルの心理状況は理解できなくもない。しかし、この日の中国選手達のラフプレイは、公衆の面前で平気な顔で行なわれる犯罪行為のようなものだから、およそ理解ができないのだ。

 そして中国サッカー協会。
 このような審判団の下、選手達にこのような愚劣な試合を許し、何か中国サッカー界にとってメリットがあるのだろうか。こんなサッカーをしていて、北京五輪で勝てる可能性があると思っているのか。南アフリカワールドカップ予選を勝ち抜けると思っているのか。
 もし、この日本戦が中国にとって、乾坤一擲、全ての力を振り絞って勝たなければならない試合ならば、このような卑怯な手段で、後先考えず戦う選択肢も愚かしい行為ではあるが存在するのかもしれない(それはそれで軽蔑に値する行為だが)。しかし、この大会は来年の北京五輪の準備試合に過ぎない。むしろ、若い選手達に適切な経験を積ませる機会ではないか。
 改めてこの国のサッカー界の病巣の深さを感じずにはいられない試合だった。
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2007年07月25日

アジアカップで勝てない韓国

 韓国はよい試合をしながら、イラクを攻めきれずPK戦のすえ敗れた。

 前半はお互い慎重に戦い互角の攻防が続いた。後半は韓国が鋭い出足でイラクのパスをつぶし幾度と無く攻め込む。何度もFKから好機を掴むのだが、もう1つ精度が足りない。韓国は後半も終盤に入り、(崔相国の負傷もあったが)李東国を投入し、゙宰湊との2トップで無理攻めを狙う。結果的にイラクも逆襲から好機をつかめるようになるが、両国とも決定機に至らず。 延長は、さすがに韓国に疲労が目立ち、イラクが攻勢に立ったが決定機を活かせずそのままPK戦となった。

 イラクはこの日は褒められた出来とは言えなかった。主将のストライカのマハメド、天才肌のボランチのアクラムが、韓国の執拗なプレスに沈黙してしまったからだ。それでも、最終ラインが我慢を重ね、韓国のプレスが緩くなった延長戦はペースを掴み、オープン攻撃から決定機を幾度か掴んだ。戦闘能力的には、日本、韓国、サウジ、イラン、豪州の5ヶ国に、イラクは完全に入ってきたと言ってよいだろう。イラクのようなスキルフルでビルドアップをしっかりしてくるチームが、完全にアジアの強豪に復活してきた事は日本にとって、短期的には(南アフリカ大会出場権獲得への障害と言う意味で)困った問題になるかもしれないが、長期的には(将来ワールドカップ優勝を目指すためにはアジアのレベルアップが必要だと言う意味において)非常によい事だと思う。ここにウズベク、オマーン、北朝鮮、ベトナムのような「サッカーに対して真摯な国」が加わってくれば面白いのだが(ベトナムはフィジカル的にきついかな)。根底から考え方を変えない限り、カタール、UAE、中国は、半永久的に上位には加わってこないだろうから、これらの2番手国に対する期待は大きい。

 試合間隔が短く、前の試合がPKまでもつれ込んだ韓国が、走力でイラクを圧倒したのはさすがとしか言いようがない。今大会は朴智星、薛g鉉、李榮杓、金南一、李乙容と言った中心選手が負傷で離脱していたのが痛かったと言う事だろう。Jリーグがらみの、金珍圭、金正友、゙宰湊の3人が、中核と言ってもよいガンバリを見せていた。彼らは皆とてもよい選手だが、さすがに韓国代表の屋台骨と言うには、まだまだ。彼らがそこまで中心にならなければいけない事そのものがメンバ編成の厳しさをうかがわせた。
 一方で、今大会の韓国はこのような「次世代」の選手が「中核」としての経験を積んだと言う意味では、非常に大きな大会となった。この大会を経験した金正友ど宰湊のJでのプレイは非常に愉しみだ。

 86年のメキシコワールドカップ。アジア枠は2国で東西に分けて代表権を争った。東の代表は言うまでもなく韓国(54年大会以来の久々にワールドカップ代表だった)。「木村和司のFK」「メキシコの青い空」などの伝説を生んだ通り、最終予選の相手は我々だった。西の代表はイラク。イラン−イラク戦争が真っ盛りの時期で、ホームゲームを全く戦う事ができない状態での代表権獲得は驚異だった。両国の死闘を堪能しながら、21年前を思い出したりもした。
 上記86年以降、ワールドカップも五輪も全て本大会連続出場と、アジアの予選であれだけ見事な強さを見せ続ける韓国。一方で韓国はこの準決勝敗退で、92年大会以降5大会連続で1度も決勝進出を果たせない事になった。 これはちょっと不思議な気がする。
posted by 武藤文雄 at 22:10| Comment(1) | TrackBack(1) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月17日

韓国の苦悩

 ライバル韓国が苦戦している。
 初戦サウジと引き分けたのだから、スタートとしては悪くはなかった。また帳尻を合わせる事では定評のある韓国である。何のかの言って間違いなく準々決勝には出てくるだろうと思われていた。ところが、バーレーンに逆転負け。後述するが、1次リーグ最終戦のインドネシア戦を、実に厳しい勝ち点勘定で迎える事になってしまった。
 しかし、ややこしい星勘定だ。最終戦の勝敗により、どの国が準々決勝に出るかまとめてみた(多分間違っていないと思うのだが)。左側が1位、注のケースは、韓国が2点差以上で勝つかサウジが2点差以上で負ければ2位は韓国、共に1点差ならば総得点数で韓国かサウジが2位(それも一緒ならばくじ引き)。

     韓国勝 韓国分 韓国負
サウジ勝 サ、韓 サ、ネ サ、ネ
サウジ分 サ、バ サ、ネ ネ、サ
サウジ負 バ、注 バ、サ ネ、バ

 もちろん一番苦しいのは韓国。インドネシアに勝っても、サウジとバーレーンが引き分けてしまえば、バーレーンとの当該成績で2位に入れない。つまり自力での準々決勝進出は消えてしまっている。と言って韓国は「勝たなければならない」のだが、インドネシア戦で早い時間帯に2点差以上の差をつけたとすれば(もっとも今の韓国がインドネシア相手に「2点差」にできるかどうかは疑問だが)、サウジもバーレーンも「予定調和」の引き分けに持ち込む可能性が高くなる。したがって、変な言い方になるが韓国は張り切って大量点を狙うのも得策でない事になる。
 しかもこのグループは1位だと準々決勝ジャカルタに残れるが準決勝はハノイで日本が待ち構えているのに対し、2位だと準々決勝、準決勝とクアラルンプルで戦えるから、1位と2位の有利さはあまり変わらない。したがって、「優勝狙い」のサウジは4カ国の中で唯一「引き分けでも2位」だから、無理に勝ちに行く必要がない。そのためサウジは守備を固め落ち着いた試合にするだろう。韓国の期待はサウジーバーレーンを点の取り合いにして、どちらかが勝つ状態にする事。しかし、バーレーンもサウジの逆襲速攻の怖さはよくわかっているから、慎重に戦い、終盤に勝負を賭ける事になるはず。唯一、バーレーンが早い時間帯から無理に攻めに出るとしたら、インドネシアがリードを奪っている状況だろう。
 そうこう考えると、サウジの試合が点の取り合いになる事は考えづらく、「予定調和」でなくとも引き分けになる可能性は低くない。さらに両方の試合が同点で推移して試合終盤を迎え、その時点で韓国がリードしていれば、サウジ、バーレーンはそのまま「予定調和」に切り替ってしまう。言い換えれば、韓国は(サウジとバーレーンが同点の場合には)試合終盤でも絶対に2点差にしてはいけないのだ。
 つまり、韓国は以下の策を余儀なくされるのではないか。
(1)後半半ばまでインドネシアにリードを許しておいて、サウジ−バーレーンを荒れた試合にした上で逆転を狙う
(2)終盤までインドネシアと同点で試合を進め、終盤のバーレーンの猛攻(及びサウジの逆襲速攻)に期待して終盤に点を取る

 と言う難しい状況下で、敵地満員の大観衆の下、勝つ気満々のインドネシアと戦わなければならない韓国。大変ですね。
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2007年06月14日

アジアチャンピオンズリーグ2次トーナメント組み合わせに関して

 五輪最終予選と前後して、アジアチャンピオンズリーグの2次トーナメントの組み合わせも決まった。
 レッズは全北現代と戦い、勝てば城南一和とシリアのアルカラマの勝者と準決勝。一方のフロンターレはイランのセパハンと戦い、勝てばUAEのアルワハダ とサウジのアルヒラルの勝者と準決勝。
 レッズの方がよい抽選だったと言う報道が多いようだ。と言うのは、決勝進出まで韓国の2クラブと戦う可能性があり、そうなると移動距離が小さいためだかららしい。一方のフロンターレは、決勝まで2度も中東旅行をしなければならない。確かにJの厳しい日程を考慮すると、そのような考えは正しいのかもしれない。

 しかし、物事は表裏両面。当方が移動距離が短いと言う事は、先方も移動距離が短いと言う事だ。とすらば全北現代はベストコンディションで埼玉スタジアムに乗り込んでくる事になる。準決勝に城南一和が進出したしても同じ事だ。まして、どのようなレベルだろうが、国際試合で韓国のチームから勝ち点を奪うのは決して容易ではない事は言うまでもない。(準決勝に城南一和が出てくると決まっている訳ではないけれど)レッズが韓国のクラブを連続して破り決勝進出したとすれば、これは素晴らしい事だ。何にせよ、レッズはレッズで、厳しい戦いを余儀なくされるのだ。

 一方のフロンターレ。確かに決勝進出までの移動距離は相当なものになりそうだ。Jの日程がどうしようもない状況ゆえ、相当体力的には厳しい戦いを余儀なくされるだろう。しかもセパハンのホームタウンのエスファハンは標高1500mを越える高地だと言う。
 最近拙BLOGにしばしば登場するフロンターレサポータの友人も、「いやあ韓国ならば近いし、僅かな休みで行かれると思っていたのだけれど、イランじゃ遠過ぎて」とこぼしていた。確かに、選手たちの消耗は激しいだろうし、サポータたちも相当な年休消化を余儀なくされる。けれども、(あくまでも野次馬からの戯言ですが)フロンターレサポータ達にとって、この組み合わせは本当に悪いものだろうか。エスファハンと言う都市は、、世界遺産にもなっている美しいモスクが立ち並ぶ世界屈指の観光都市だと言う。さらにそのスタジアムが、地元サポータそれも野太い大声援を送る男達だけの凄まじい雰囲気になる事は容易に予想できる。フロンターレサポータの精鋭たちにとって、かほど魅力的な敵地はないのではないか。
 対してレッズが戦う全北現代のホームゲーム、昨今のKリーグの客の入りから想像して、スタジアムは日本から向かうレッズサポータ達で席巻されるのだろう。それはそれで愉しいかもしれないけれど。
 かつてサファヴィー朝時代には「エスファハンは世界の半分」とまで形容されたと言う。かくも美しい古都で、四面楚歌の状態で憲剛とその仲間達が過酷な戦いに挑むのだ。これは魅力的な試合になるだろう。

 と、ヒトゴトについて、漠然と考えていたら友人から連絡が来た。9月7日(金)は、オーストリーで日本代表が親善試合を戦う予定。そして、翌8日(土)はサウジアラビアで五輪代表が五輪予選を戦う。これって、旅行技術を駆使すれば両方見る事ができるのではないかと。俄かに頭の中で、ヒトゴトが戯言に切り替わってきたのである。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月07日

アリ・ダエイの引退

 いささか旧聞になるが、イランのアリ・ダエイが引退したと言う。
 存在そのものが脅威となるストライカ。忌々しく幾度と決められたゴール。忘れ難い難敵であった。

 97年11月16日、ジョホールバル。延長戦、猛攻を継続する日本に対し、イラン守備陣の必死の守備。どうしても崩せない焦りの中、突然右サイドのマハダビキアのドリブル、きれいなセンタリング。ここまで眠っていたかのように、全く、そう全く試合に参加していなかったアリ・ダエイが実に巧い動きで秋田の外側に走り抜ける。アリ・ダエイがボールを捉える。「うわわわわああああ〜〜〜〜〜。再来週はオーストラリアかよ。」と思ったら、僅かにシュートは枠を外れた。横にいた友人が後から笑っていたが、私はその瞬間本当に腰を抜かしていたのだそうだ。
 もうあれから9年近い時が経った訳だ。それにしても思う。あのダエイの「うわわわわああああ〜〜〜〜〜。」があったからこそ、あの岡野の腰の引けたインサイドキックの感動は、一層高まったのではないかと。

 92年のアジアカップ、イランのストライカのファルシャド・ピュスには驚かされた。1次リーグ初戦の北朝鮮戦、欧州の一流ストライカを思わせる知的な得点。そして1次リーグ最終戦の日本−イラン、終了間際にカズの得点でリードされ無理攻めに出たイランの裏を突いた日本の逆襲速攻、裏に抜け出た中山をイランの名DFモハメド・ハニが倒し一発退場。アル・シャリフ主審を囲むイラン選手たち。その混乱の中、ピュスまで退場になった。後日、ピュスら複数の選手が1年間出場停止になったと報道された。
 何と、翌93年のワールドカップ予選にピュスが出場できなくなったのだ。何となく、あくまでも何となくであったが、あのドーハ最終予選を前に「ピュスのような中心選手を欠いたイランには確実に勝てるのではないか」と言う楽観論があったのも確かだった。だって、アリ・ダエイなんてストライカがいるなんて知らなかったのだもの。
 あのドーハの第2戦。三浦ヤスが前に出てくる裏を狙う右サイドバックのザリンチェ。そこに井原を引き出しておいて、大きなクロスで柱谷と堀池の中間に飛び出してくるアリ・ダエイ。何と言う忌々しい攻撃だったのだ。そして終了間際、逆襲から抜け出したアリ・ダエイの落ち着き払った2点目のふてぶてしい落ち着き振り!

 05年のテヘラン。テヘランでのイラン戦を観戦するのは長年の夢だった。今なおレギュラとして健在のアリ・ダエイは35歳になっていた。中澤とアリ・ダエイの対決が最大の焦点となると思われた試合だったが、前半早々にアリ・ダエイは負傷退場。1−2で敗れた翌日、現地の英語ができる複数のイラン人と会話したところによると、「アリ・ダエイの負傷により、逆に本来のベスト布陣が組めた」と言う発言が多かったのには少々驚いた。確かによい年齢になったストライカの首に鈴をつけるのは難しいのか。
 イランも日本も本大会出場権を獲得し消化試合となった横浜国際でのイラン戦。2−0と日本がリードした終盤、アリ・ダエイは実に見事な入れ代わりから中澤を出し抜きPKを奪取した。衰えたと言えどもアリ・ダエイ。他の選手がやられたのならば、相当悔しかったかもしれないが、よりによって充実しまくっている中澤がやられたのだから、別種の満足感もあった。「やはりアリ・ダエイは凄いのだ」と。

 正直言って、昨年のワールドカップ、アリ・ダエイが主将としてスタメン出場した事が、イラン代表にとって本当によかったのかどうかは、微妙なものがあったと思う。

 でも、それはそれ。
 全盛期の井原が率いた守備ラインも、中澤が君臨した守備ラインも、それぞれアリ・ダエイにやられた。本当に凄いストライカだったのだなと。幾多も見せてくれた忌々しいプレイに乾杯。
posted by 武藤文雄 at 23:45| Comment(3) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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